(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】タブレットプレス機および圧縮方法
(51)【国際特許分類】
B30B 11/08 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B30B11/08 C
(21)【出願番号】P 2022523665
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2020059839
(87)【国際公開番号】W WO2021079259
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】102019000019649
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512031301
【氏名又は名称】アイエムエー、インドゥストリア、マッキーネ、アウトマティケ、ソチエタ、ペル、アチオニ
【氏名又は名称原語表記】I.M.A. INDUSTRIA MACCHINE AUTOMATICHE S.P.A
【住所又は居所原語表記】VIA EMILIA 428-442, 40064 OZZANO DELL’EMILIA (BO), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】コンソリ,サルヴァトーレ・ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】コロナ,マルコ
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-206998(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01714775(EP,A2)
【文献】登録実用新案第3045097(JP,U)
【文献】特開2001-293599(JP,A)
【文献】特公昭50-003027(JP,B1)
【文献】特表平09-506298(JP,A)
【文献】特開2008-264814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周部に沿って複数のダイ(4)が設けられているダイテーブル(3)と、それぞ
れのダイ(4)と対になって付随する複数の第1パンチ(5)および対応する複数の第2
パンチ(6)と、を有する、回転圧縮タレット(2)と、
前記ダイ(4)内に製品(50)、特に高気孔率の粉末製品を投入するための投入ステ
ーション(7)と、
前記製品(50)を圧縮してタブレット(100)を製造するために、それぞれの前記
ダイ(4)内で前記第1パンチ(5)および前記第2パンチ(6)をそれぞれ直線的に動
かすように適合された第1圧縮ローラ(11)ならびに第2圧縮ローラ(12)、を有す
る圧縮ステーション(8)と、
前記投入ステーション(7)と前記圧縮ステーション(8)との間に配置され、前記第
1パンチ(5)および/または前記第2パンチ(6)と協働する少なくとも1つの押し固
めカム(13、23)を有する、押し固めステーション(9)と、を備え、
前記複数の第1パンチ(5)および前記複数の第2パンチ(6)の各パンチが、
前記第1圧縮ローラ(11)および前記第2圧縮ローラ(12)が接触して作用し、そ
れぞれの前記ダイ(4)内で前記製品(50)を圧縮する推力を前記パンチに付与する当
接端部(5a,6a)を有する実質的に円筒形の本体、を備える、回転式タブレットプレ
ス機(1)であって、
前記押し固めステーション(9)において、前記第1パンチ(5)および/または前記
第2パンチ(6)の前記当接端部(5a,6a)が、
投入された前記製品(50)を押し固めて前記製品(50)内の空気を除去するために
、前記第1圧縮ローラ(11)および前記第2圧縮ローラ(12)によって前記第1パン
チ(5)および/または前記第2パンチ(6)に付与される圧縮力よりも低い予め定めら
れた押し固め力で、各前記ダイ(4)内で前記第1パンチ(5)および/または前記第2
パンチ(6)を押すように、前記当接端部(5a,6a)が接触して摺動する摺動面(1
3a)を画定する少なくとも一つの押し固めカム(13、23)と接触して協働するよう
に構成され
、
前記押し固めカム(13)が、前記製品(50)を圧縮するために前記第1パンチ(5
)および前記第2パンチ(6)が前記圧縮ステーション(8)内で動かされる圧縮時間(
Tp)の10~25倍に等しい押し固め時間(Tc)の間、前記第1パンチ(5)および
/または前記第2パンチ(6)を動かすように配置および構成されていることを特徴とする、回転式タブレットプレス機(1)。
【請求項2】
前記押し固めカム(13)が、前記ダイ(4)内での前記第1パンチ(5)および/ま
たは前記第2パンチ(6)の押し固めストロークを変化させるように、前記回転圧縮タレ
ット(2)の回転軸に実質的に平行な調整方向(R)に沿って調整可能である、請求項1
に記載の回転式タブレットプレス機(1)。
【請求項3】
前記押し固めカム(13)の前記摺動面(13a)が、実質的に直線的なプロファイル
を有する、請求項1
または2の何れか一項に記載の回転式タブレットプレス機(1)。
【請求項4】
前記押し固めステーション(9)が、前記押し固めカム(13)に付随し、それぞれの
前記ダイ(4)内に含まれる前記製品(50)に対して前記第1パンチ(5)および/ま
たは前記第2パンチ(6)によって加えられる押し固め力を測定するように構成される荷
重計(14)、を備える、請求項1~
3の何れか一項に記載の回転式タブレットプレス機
(1)。
【請求項5】
ロードセル(14)に接続され、前記ロードセル(14)によって測定された押し固め
力に関連するデータを受信し、異常の場合に前記タブレットプレス機(1)の動作を停止
させ、および/または前記押し固め力を変更するために前記調整方向(R)に沿って前記
押し固めカム(13)の位置を調整するように構成された制御ユニット(30)、を備え
ることを特徴とする、請求項
2に付される請求項
4に記載の回転式タブレットプレス機(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの押し固めカムが、前記第1パンチ(5)および前記第2パンチ(
6)をそれぞれ駆動するように構成された第1押し固めカム(13)および第2押し固め
カム(23)を含む、請求項1~
5の何れか一項に記載の回転式タブレットプレス機(1
)。
【請求項7】
前記圧縮ステーション(9)と前記押し固めステーション(8)との間に置かれ、前記
製品(50)を予備圧縮するために、前記ダイ(4)内で前記第1パンチ(5)および前
記第2パンチ(6)をそれぞれ直線的に動かすように適合された第1予備圧縮ローラ(1
6)および第2予備圧縮ローラ(17)を有する、予備圧縮ステーション(10)、を備
える、請求項1~
6の何れか一項に記載の回転式タブレットプレス機(1)。
【請求項8】
その外周部に沿って複数のダイ(4)が設けられているダイテーブル(3)と、それぞ
れのダイ(4)と対になって付随する複数の第1パンチ(5)および対応する複数の第2
パンチ(6)と、を有する回転圧縮タレット(2)を備え、
前記第1パンチ(5)および前記第2パンチ(6)が、
第1圧縮ローラ(11)および第2圧縮ローラ(12)がそれぞれ接触して作用する当
接端部(5a、6a)を有する実質的に円筒形の本体、を備える、回転式タブレットプレ
ス機(1)において、タブレットを製造するための方法であって、
前記ダイ(4)内に製品(50)、特に高気孔率粉末製品を、投入するステップと、
タブレット(100)を製造するようにそれぞれの前記ダイ(4)内で前記製品(50
)を圧縮するために、前記第1圧縮ローラ(11)および前記第2圧縮ローラ(12)と
の接触によってそれぞれの第1パンチ(5)および第2パンチ(6)の前記当接端部(5
a、6a)に安定した推力を付与して前記第1パンチ(5)および前記第2パンチ(6)
を動かすことによって、前記ダイ(4)内で投入された前記製品(50)を圧縮するステ
ップと、を含み、
前記投入するステップの後、前記圧縮するステップの前に、それぞれの前記ダイ(4)
内で前記第1パンチ(5)および/または前記第2パンチ(6)を押し、前記製品(50
)内の空気を除去するために、少なくとも1つの押し固めカム(13,23)と接触して
前記当接端部(5a,6a)を摺動させることによって付与される予め定められた押し固
め力を、前記第1パンチ(5)および/または前記第2パンチ(6)の前記当接端部(5
a,6a)に加えることによって、前記ダイ(4)内で投入された前記製品(50)を押
し固めるステップを含
み、
前記押し固めるステップが、前記圧縮するステップが実行される圧縮時間の10~25倍に等しい押し固め時間において実行されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記押し固めるステップの間に、前記第1パンチ(5)および/または前記第2パンチ
(6)によって前記ダイ(4)内の前記製品に加えられる圧縮力を測定するステップを含
む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの押し固めカム(13,23)の位置を調整することによって、前
記ダイ(4)内の前記製品に前記第1パンチ(5)および/または前記第2パンチ(6)
によって加えられる前記押し固め力を調整するステップを、さらに含む、請求項
8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記押し固めステップの後、前記圧縮ステップの前に、前記ダイ(4)内で前記第1パ
ンチ(5)および前記第2パンチ(6)を動かすことにより、前記ダイ(4)内の前記製
品(50)を予備圧縮するステップ、を含む、請求項
8~
10の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状または顆粒状の製品を圧縮(compressing)することによって、例えば医薬、化粧品、食品、化学用途の、タブレット、ロゼンジ、ピルを製造するためのタブレットプレス機に関する。特に、本発明は、回転式タブレットプレス機、および回転式タブレットプレス機でタブレットを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の回転式タブレットプレス機は通常、垂直軸を中心に回転し、テーブルの外周部に沿って等距離に角度分布する複数のダイ、すなわち貫通キャビティ、を備えるダイテーブルまたはプレートによって形成され、並置された投入ステーションに供給される粉末または顆粒製品を受容するように配置される圧縮タレット、を備える。それぞれの前記ダイに付随し、タレット回転中にカムおよび圧縮ローラによって直線的かつ垂直に動かされる、複数の上部パンチおよび下部パンチを、前記タレットは、さらに含む。
【0003】
前記下部パンチは、前記下部パンチによって底部が閉じられたダイに製品が導入される投入ステーションにおいて、前記製品を受容するように適合されたダイシートまたはハウジングを形成する。前記上部パンチおよび下部パンチは、導入された製品を圧縮してタブレットを製造し、そのタブレットは、下部パンチを上昇させることによってテーブルダイから取り出され、次いで、出口シュートにおいて搬送される。
【0004】
タブレットの種々の製造ステップは、連続的な動きで回転する圧縮タレットの1回転中に実行される。
【0005】
前記ダイ内での製品の圧縮は、一般に2つのステップで行われる。予備圧縮ステーションでは、製品に含まれる空気の大部分を除去するために、製品は、制限された圧縮力で圧縮される。次の主圧縮ステーションでは、空気が除去された製品が、高い圧縮力で圧縮され、タブレットが形成される。各予備圧縮/圧縮ステーションは、上部圧縮ローラおよび下部圧縮ローラを備え、両方のローラとも水平軸を中心に回転して、上部パンチおよび下部パンチにそれぞれ作用し、前記ダイ内で両パンチを、互いに向かって直線的に動かす。
【0006】
一対の圧縮ローラの位置、すなわちその距離は、所望の寸法、形状、硬さ、多孔性を有するタブレットを得るために、前記ダイに投入される製品の量、製品の特性、とりわけ製品に加えられる圧縮の量に応じて、調整可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記タブレットプレス機の高い生産性、および前記圧縮タレットの対応する高い回転速度を確保するために、前記予備圧縮のステップおよび前記圧縮のステップは、非常に短い時間で行われる必要があり、そのためには前記ダイ内で上部パンチおよび下部のパンチを素早く動かして製品を圧縮する必要がある。
【0008】
かなりの割合の空気を含んでいるために気孔率が高いまたは軟らかい粉末製品の場合、上部パンチおよび下部パンチを、高速度で直線的に動かしても、予備圧縮ステップにおいても、製品に含まれる空気を前記ダイから完全に除去することはできない。空気が残留すると、そのことにより、タブレットを形成して安定させるために必要な粉末の固体粒子間の凝集力の高まりが妨げられるため、後続の粉末の正確かつ均質な圧縮が、不可能になる。
【0009】
この欠点を克服するために、前記両パンチの移動速度を低下させて前記予備圧縮ステップおよび圧縮のステップの時間を増加させ、製品から空気を完全に除去することが、可能である。あるいは、圧縮時間を増加させるために、より大きなヘッドを備えたパンチを製造することが、提案されてきた。
【0010】
しかし、前述のいずれの場合にも、前記タブレットプレス機の生産性が低下する。
【0011】
本発明の目的は、公知のタブレットプレス機、特に、圧縮ローラによって駆動されるダイおよびパンチを有する圧縮タレットを備える回転式タブレットプレス機を、改良することである。
【0012】
別の目的は、前記タブレットプレス機の動作速度およびその生産性を低下させることなく、規則的で安定したタブレットを得るために、軟らかいおよび/または高気孔率の粉末状製品の最適な圧縮を可能にするタブレットプレス機および方法を、提供することである。
【0013】
さらなる目的は、タブレット形成ステップの間、軟らかいおよび/または高気孔率の粉末製品に含まれる空気の完全な除去を可能にするタブレットプレス機および方法を、得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様では、請求項1に記載の回転式タブレットプレス機が、提供される。
【0015】
本発明の第2の態様では、請求項9に記載のタブレットを製造するための方法が、提供される。
【0016】
本発明は、その例示的かつ非限定的な実施形態を示す添付図面を参照することにより、よりよく理解されて実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による回転式タブレットプレス機の概略図である。
【
図2】特に製品の押し固め(compacting)ステーションを示す、
図1のタブレットプレス機の拡大部分図である。
【
図3】特に製品の押し固めステーションを示す、
図1のタブレットプレス機の変形形態の拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および
図2を参照すると、医薬、化粧品、食品または化学的用途、特に軟らかいおよび/または高気孔率の粉末状または顆粒状製品50を圧縮することによって、タブレット、ロゼンジ、ピルを製造するように配置される、本発明による回転式タブレットプレス機1が示されている。
【0019】
前記タブレットプレス機1は、垂直回転軸を中心に回転し、その外周部または縁に沿って複数のダイ4が設けられているダイテーブル3と、それぞれのダイ4と対になって付随し、タブレット、ロゼンジまたはピルを製造するために前記ダイ4内に導入された製品50を圧縮するように移動可能な、複数の第1パンチ5および対応する複数の第2パンチ6と、を有する圧縮タレット2、を備える。
【0020】
前記ダイ4は、ダイテーブル3にもたらされる貫通キャビティであり、前記第1パンチ5および前記第2パンチ6と共に、タブレット100を形成するために製品50が投入され続いて圧縮されるシートまたはハウジング、を形成する。
【0021】
前記タブレットプレス機1は、前記ダイ4内で圧縮される一定量の製品50を送達するように配置された投入ステーション7と、前記ダイ4内に送達された製品50を圧縮してタブレット100を得るために、それぞれの前記ダイ4内で圧縮方向A(
図1)に沿って前記第1パンチ5および前記第2パンチ6をそれぞれ駆動するように適合された第1圧縮ローラ11および第2圧縮ローラ12を備える、少なくとも一つの圧縮ステーション8、すなわち主圧縮ステーションと、を備える。
【0022】
図1および
図2に示す実施形態では、前記圧縮方向Aは、実質的に垂直、すなわち前記タレット2の回転軸に平行であり、前記第1パンチ5は下部パンチであり、前記第2パンチ6は上部パンチである。同様に、前記第1圧縮ローラ11は、前記下部パンチ5に作用する下部圧縮ローラであり、前記第2圧縮ローラ12は、前記上部パンチ6に作用する上部圧縮ローラである。
【0023】
前記圧縮ステーション8は、公知のタイプの作動手段を含み、さらに詳細に図示および説明されていないが、前記第1圧縮ローラ11または前記第2圧縮ローラが前記第1パンチ5または前記第2パンチ6にそれぞれ定まったほぼ一定の圧縮力を加えるように、定まったほぼ一定の作動力を第1圧縮ローラ11に、または第2圧縮ローラ12に作用させている。
【0024】
作動手段によって駆動されない前記圧縮ローラ11,12は、前記タブレットプレス機1の支持フレームに回転可能に連結されている。
【0025】
前記複数の第1パンチ5および前記複数の第2パンチ6の各パンチは、前記第1圧縮ローラ11および前記第2圧縮ローラ12が接触して作用するそれぞれの当接端部5a,6a(または後つかみ部(follower end))、を備えた実質的に円筒形の本体を有し、これらにより、それぞれの前記ダイ4内で前記製品50を圧縮するのに必要な推力を、前記パンチに付与することが可能である。
【0026】
前記投入ステーション7と前記圧縮ステーション8との間に位置し、前記第1パンチまたは前記第2パンチ6と協働する少なくとも1つの押し固めカム13を有する、押し固めステーション9を、前記回転式タブレットプレス機1は、さらに備える。
【0027】
前記押し固めステーション9において、前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6の前記当接端部5a,6aは、前記押し固めカム13と接触して協働するように構成されており、前記押し固めカム13は、投入された製品50を押し固めて前記製品50内の空気を除去するために、前記第1圧縮ローラ11および前記第2圧縮ローラ12によって前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6に付与される一定の圧縮力、よりも低い予め定められた押し固め力で、各前記ダイ4内で前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6を押すように、前記当接端部5a,6aが接触して摺動する摺動面13a(またはドライバプロファイル)を、画定するまたは有する。
【0028】
図1および
図2に示す実施形態では、前記押し固めカム13は、前記第1パンチ5(下部)を前記圧縮方向Aに沿って動かすように配置され、前記第2パンチ6(上部)は、固定されたままである。
【0029】
しかし、図に示されていない本発明のタブレットプレス機1の代替実施形態では、前記押し固めカム13は、前記第2パンチ6(上部)を圧縮方向Aに沿って動かすように配置され、前記第1パンチ5(下部)が固定されたままであることが、規定される。
【0030】
前記押し固めカム13は、前記製品50を圧縮するために前記第1パンチ5および前記第2パンチ6が前記圧縮ステーション8で動かされる圧縮時間Tp、の10~25倍に等しい押し固め時間Tcの間、前記押し固めステーション9において前記第1パンチ5を動かすように構成されている。このようにして、定まった一定速度での前記圧縮タレット2の回転の間、前記第1パンチ5は、前記圧縮ステーション8において前記第1圧縮ローラ11によってパンチが動かされる速度よりもはるかに低い速度で、前記ダイ4内で、前記押し固めカム13によって動かされる。
【0031】
前記第1パンチ5の速度が低いと、製品中のあらゆる空気を除去できるので(通常、製品が軟らかく高気孔率の粉末製品である場合)、前記ダイ4内に投入される前記製品50を最適に押し固めることができるようになる。押し固め時間Tcの間、空気は、実際、前記ダイおよび/またはパンチに設けられた適切な通路を通って出ることができるので、空気が製品内に閉じ込められたままになってその後の圧縮操作を損なうことは、ない。
【0032】
前記押し固めカム13の前記摺動面13aまたはドライバプロファイルは、前記第1パンチ5に線運動則をもたらすために、例えば、直線的なプロファイルを有する。
【0033】
また、それぞれの前記ダイ4内の前記第1パンチ5のストロークを変化させるため、すなわち、前記製品50の化学物理的特徴(例えば、より低いまたはより高い気孔率、粉末の固体粒子径、前記粒子間の凝集力など)に応じて押し固めの程度を変化させるために、前記押し固めカム13は、前記圧縮タレット2の回転軸に平行な調整方向Rに沿って調整可能である。
【0034】
前記押し固めカム13に付随し、各前記ダイ4内に含まれる前記製品50に対して前記第1パンチ5によって加えられる押し固め力を測定するように配置される荷重測定要素14(例えばロードセル)を、前記押し固めステーション9は、好ましくは、さらに備える。
【0035】
前記ロードセル14は、測定された押し固め力の値に関連するデータを送信するために、前記タブレットプレス機1の制御ユニット30に接続される。前記制御ユニット30は、異常の場合にタブレットプレス機1の動作を停止するために、前記測定された押し固め力の値に関するデータを受信するように、および/または押し固め力の値を変更するために調整方向Rに沿って前記押し固めカム13の位置を調整するように、構成されている。
【0036】
図1および
図2に示す実施形態では、前記圧縮ステーション8に加えて、前記タブレットプレス機1は、前記圧縮ステーション8と前記押し固めステーション9との間に置かれ、前記第1パンチ5に作用する第1予備圧縮ローラ16と前記第2パンチ6に作用する第2予備圧縮ローラ17とを有する予備圧縮ステーション10、を備える。
【0037】
前記予備圧縮ステーション10では、前記製品50は、前の押し固めステーション9で実行された押し固めの後に前記製品50内に残っている残留空気を除去するために、制限された圧縮力にて速い速度で圧縮され、これにより前記圧縮ステーション8では、空気が除去された前記製品50は、高い圧縮力で、および短縮された圧縮時間Tcで圧縮され、所望の寸法、形状、硬さ、多孔性特性を有するタブレット100を形成することができる。
【0038】
本発明のタブレットプレス機1の通常の動作では、前記圧縮タレット2の回転方向Bを基準として、前記投入ステーション7の下流に位置する前記押し固めステーション9が、前記ダイ4内に投入された前記製品50を押し固め、前記製品50内のあらゆる空気を、前記ダイおよび/またはパンチに設けられた適切な通路を介してほぼ完全に排出することが可能になる。実際、前記押し固めカム13は、操作を実行するために利用可能な押し固め時間Tcが、前記第1パンチ5(および前記第2パンチ6)が前記圧縮ステーション8内で動かされる圧縮時間Tpよりもはるかに長いので、前記第1パンチが前記圧縮ステーション8内で前記第1圧縮ローラ11によって動かされる速度よりもはるかに低い速度で、前記ダイ4内で前記第1パンチ5を動かすように、構成されている。
【0039】
前記第一パンチ5の速度がより低いと、特に粉末が軟らかい場合および/または高い多孔性を有する場合に、粉末を形成する固体粒子間の空気の除去が、かなり容易になる。
【0040】
このようにして、連続する前記予備圧縮ステーション10および前記圧縮ステーション8において、ほとんど空気を含まない製品50を最適に圧縮し、一定の寸法、形状、コンパクト性および多孔性を有するタブレット、ピル、ロゼンジを得ることができる。
【0041】
前記圧縮タレット2の回転方向Bを基準として前記圧縮ステーション8(および任意の予備圧縮ステーション10)の上流に特別な押し固めステーション9を備える、本発明の回転式タブレットプレス機1のおかげで、前記タブレットプレス機1の動作速度およびその生産性を低下させることなく、軟らかいおよび/または高多孔性の粉末製品(すなわち圧縮が困難な製品)も最適に圧縮し、規則的で安定したタブレットを得ることが可能である。実際、前記圧縮ステップの前に、前記押し固めステーション9において製品に含まれる空気を、ほぼ完全に除去することが可能である。
【0042】
図3を参照すると、前記第1パンチ5(下部)に作用する前記押し固めカム13に加えて、前記第2パンチ6(上部)をそれぞれの前記ダイ4内で動かすように配置されたさらなる押し固めカム23を備える前記押し固めステーション9について、上述し
図1および2に示した実施形態とは異なる本発明のタブレットプレス機1の変形形態が、示されている。
【0043】
前記タブレットプレス機1のこの変形形態では、両方のパンチ5、6が、製品50を押し固めるために、同じダイ4内で動かされる。
【0044】
前記さらなる押し固めカム23は、前記第2パンチ6のそれぞれの当接端部6aに当接するように適合されたそれぞれの摺動面23a(またはドライバプロファイル)を有し、また、前記押し固めカム13のドライバプロファイル13aと同一または異なる、直線的なプロファイルを有している。
【0045】
その外周部に沿って複数のダイ4が設けられているダイテーブル3と、それぞれの前記ダイ4と対になって付随する複数の第1パンチ5および対応する複数の第2パンチ6と、を有する回転圧縮タレット2を備え、前記第1パンチ5および前記第2パンチ6が、前記タブレットプレス機の第1圧縮ローラ11および第2圧縮ローラ12がそれぞれ接触して作用する当接端部5a,6aを備える実質的に円筒形の本体を有する、回転式タブレットプレス機1において、タブレットを製造する本発明に従う方法は、以下のステップ:
前記ダイ4内に製品50、特に高気孔率粉末製品を、投入するステップ;
タブレット100を製造するようにそれぞれの前記ダイ4内で前記製品50を圧縮するために、前記第1圧縮ローラ11および前記第2圧縮ローラ12との接触によってそれぞれの前記第1パンチ5および前記第2パンチ6の前記当接端部5a,6aに安定した推力を付与して前記第1パンチ5および前記第2パンチ6を動かすことによって、前記ダイ4内で投入された前記製品50を圧縮するステップ;および
前記投入するステップの後、前記圧縮するステップの前に、それぞれの前記ダイ4内で前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6を押し、前記製品50内の空気を除去するために、少なくとも1つの押し固めカム13,23に沿って、前記当接端部5a,6aと接触して摺動させることによって付与される予め定められた押し固め力を、前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6の前記当接端部5a,6aに加えることによって、前記ダイ4内で投入された前記製品50を押し固めるステップ、を含む。
【0046】
本方法は、前記圧縮が行われる圧縮時間Tpの10~25倍に等しい押し固め時間Tcにおいて、前記ダイ4内の前記製品50を押し固めるステップを提供する。
【0047】
本方法は、前記押し固めステップ中に前記ダイ4内の前記製品50へ前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6によって加えられる押し固め力を測定するステップを、さらに含む。
【0048】
本方法は、特に前記圧縮タレット2の回転軸に平行な調整方向Rに沿って、前記押し固めカム13、23の位置を調整することによって、前記ダイ4内の製品に前記第1パンチ5および/または前記第2パンチ6によって加えられる押し固め力を調整するステップを、さらに含む。
【0049】
本方法は、前記押し固めステップの後、前記圧縮ステップの前に、前記ダイ4内で前記第1パンチ5および前記第2パンチ6を動かすことにより、前記ダイ4内の製品50を予備圧縮するステップ、を含む。