(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】感光性樹脂層、それを用いたドライフィルムフォトレジスト、および感光性エレメント
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20240412BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240412BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240412BHJP
C08F 220/00 20060101ALI20240412BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240412BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G03F7/027 502
G03F7/004 512
H05K3/00 F
C08F220/00
C08F2/44 C
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2022538437
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 KR2020018168
(87)【国際公開番号】W WO2021137467
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179944
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0095386
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ソク サンフン
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120393(JP,A)
【文献】特開2002-258475(JP,A)
【文献】特開2013-037272(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012272(WO,A1)
【文献】特開2007-286477(JP,A)
【文献】特開2004-004546(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080257(WO,A1)
【文献】特開2017-167394(JP,A)
【文献】特開平11-316456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0263746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
G03F 7/004
H05K 3/00
C08F 220/00
C08F 2/44
C08F 290/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物および単官能(メタ)アクリレート化合物を含む光重合性化合物;およびアルカリ現像性バインダー樹脂を含み、
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式1の化合物を含み、
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式2の化合物を含み、
下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下である、感光性樹脂層:
【化12】
前記化学式1中、
R
1
は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
2
は炭素数1~10のアルキレンであり、
R
3
は炭素数1~10のアルキルであり、
n1は1~20の整数であり、
【化9】
前記化学式2中、
R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
R
5は炭素数1~10のアルキレンであり、
R
6は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、
n2は1~20の整数であり、
pは前記R
6に置換される官能基数であり、3~10の整数であり、
【数1】
前記数式1中、
Pc
nは、各3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物または単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、
Oc
nは、各3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物または単官能(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、
前記Oc
nは、(メタ)アクリレートに含まれるO原子の数は含まず、
Wr
nは、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物または単官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物または単官能(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、
Mw
nは、各3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物または単官能(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
【請求項2】
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式2-1の化合物を含む、請求項1に記載の感光性樹脂層:
【化10】
前記化学式2-1中、
R
6’は炭素数1~10の3価の官能基であり、
R
7~R
9はそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレンであり、
R
10~R
12はそれぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
n3~n5はそれぞれ独立して、1~3の整数である。
【請求項3】
前記光重合性化合物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部以上で含む、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項4】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の感光性樹脂層
【請求項5】
前記光重合性化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含む単官能(メタ)アクリレート化合物;および
炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;を含む、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項6】
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、20000g/mol以上150000g/mol以下の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項7】
前記数式1中、前記単官能(メタ)アクリレート化合物のOc
1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のOc
2との比率が1:0.3以上1:0.9以下である、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項8】
前記数式1中、前記単官能(メタ)アクリレート化合物のMw
1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のMw
2との比率が1:1.1以上1:1.9以下である、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項9】
前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上500重量部以下で含む、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項10】
前記光重合性化合物は、二官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂層。
【請求項11】
前記二官能(メタ)アクリレート化合物を、単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して500重量部以上1500重量部以下で含む、請求項
10に記載の感光性樹脂層。
【請求項12】
前記二官能(メタ)アクリレート化合物を、多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して500重量部以上1000重量部以下で含む、請求項
10に記載の感光性樹脂層。
【請求項13】
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、
下記化学式3で表される繰り返し単位、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、下記化学式6で表される繰り返し単位および下記化学式7で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダー樹脂;および
下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、および下記化学式6で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;を含む、請求項1に記載の感光性樹脂層:
【化1】
前記化学式3中、
R
3’’は水素であり、
【化2】
前記化学式4中、
R
3’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式5中、
R
4’’は炭素数1~10のアルキルであり、
R
5’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化4】
前記化学式6中、
Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化5】
前記化学式7中、
R
4’は水素であり、
R
5’は炭素数1~10のアルキルである。
【請求項14】
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂100重量部に対して、第2アルカリ現像性バインダー樹脂を500重量部以上1000重量部以下で含む、請求項
13に記載の感光性樹脂層。
【請求項15】
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂とのガラス転移温度比率が1:1.5以上1:5以下である、請求項
13に記載の感光性樹脂層。
【請求項16】
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂との酸価比率が1:1.01以上1:1.5以下である、請求項
13に記載の感光性樹脂層。
【請求項17】
請求項1に記載の感光性樹脂層を含む、ドライフィルムフォトレジスト。
【請求項18】
高分子基材;および
前記高分子基材上に形成される請求項1に記載の感光性樹脂層を含む、感光性エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月31日付の韓国特許出願第10-2019-0179944号および2020年7月30日付の韓国特許出願第10-2020-0095386号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、感光性樹脂層、それを用いたドライフィルムフォトレジスト、および感光性エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物は、印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)やリードフレーム(Lead Frame)に用いられているドライフィルムフォトレジスト(Dry Film Photoresist、DFR)、液状フォトレジスト(Liquid Photoresist Ink)などの形態で用いられている。
現在は印刷回路基板(PCB)やリードフレームの製造だけでなく、プラズマディスプレイパネル(PDP)のリブバリア(Rib barrier)やその他のディスプレイのITO電極、バスアドレス(Bus Address)電極、ブラックマトリクス(Black Matrix)の製造などにもドライフィルムフォトレジストが広く用いられている。
一般に、このようなドライフィルムフォトレジストは、銅張積層板(Copper Clad Laminates)上に積層される用途として多く使用される。これに関連して印刷回路基板(Printed Circuit Board、PCB)の製造過程の一例としては、PCBの原板素材である銅張積層板をラミネーションするために、まず、前処理工程を経る。前処理工程は、外層工程ではドリリング、ばリ取り(deburring)、整面などの順で行い、内層工程では整面または酸洗を行う。整面工程ではbristle brushおよびjet pumice工程を主に使用し、酸洗はソフトエッチング(soft etching)および5wt%硫酸酸洗を経ることができる。
前処理工程を経た銅張積層板に回路を形成するためには、一般に銅張積層板の銅層上にドライフィルムフォトレジスト(以下、DFRという)をラミネーションする。この工程では、ラミネータを用いてDFRの保護フィルムを剥がしながらDFRのフォトレジスト層を銅表面上にラミネーションする。一般に、ラミネーションは速度0.5~3.5m/min、温度100~130℃、加熱ロール圧力10~90psiで行う。
ラミネーション工程を経た印刷回路基板は、基板の安定化のために15分以上放置した後、所望の回路パターンが形成されたフォトマスクを用いてDFRのフォトレジストに対して露光を行う。この過程でフォトマスクに紫外線を照射すると、紫外線が照射されたフォトレジストは、照射された部位で、含有された光開始剤によって重合を開始する。まず、初期にはフォトレジスト内の酸素が消耗し、次に活性化したモノマーが重合されて架橋反応が起こり、その後、多量のモノマーが消耗しながら重合反応が行われる。一方、未露光部位は、架橋反応が行われていない状態で存在する。
次に、フォトレジストの未露光部分を除去する現像工程を行うが、アルカリ現像性DFRの場合、現像液として0.8~1.2wt%の炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムの水溶液が使用される。この工程で未露光部分のフォトレジストは現像液内で結合剤高分子のカルボン酸と現像液とのけん化反応によって洗い流され、硬化したフォトレジストは銅表面上に残留する。
次に、内層および外層工程に応じて、異なる工程を経て回路を形成する。内層工程ではエッチングおよび剥離工程を経て基板上に回路を形成し、外層工程ではめっきおよびテンティング工程を経た後、エッチングと半田剥離を行って所定の回路を形成する。
最近では感光性樹脂組成物において超高圧水銀灯やレーザーダイレクト(Laser Direct)露光に対する感度が高く、現像工程で現像液に対する耐性が増加して高密度の回路形成が可能であり、基板露光位置設定のためのUVマーカに使用するために発色度に優れ、硬化膜の剥離時間短縮と剥離試験片が小さくてフィルターの目詰まりがない感光性樹脂組成物を必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、優れた細線密着力および解像度を実現し、露光時、製品に対するAlignment認識率を高めて最終製品の生産時間を短縮し、不良率を減少させて信頼度を向上させることができる、感光性樹脂層を提供する。
また、本発明は、前記感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストおよび感光性エレメントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む光重合性化合物;およびアルカリ現像性バインダー樹脂を含み、
下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下である、感光性樹脂層を提供する。
【数1】
前記数式1中、
Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、
Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、
Wr
nは、(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、
Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
本明細書ではまた、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有し得る。
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、前記化学式2の化合物を含み得る。
前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式2-1の化合物を含み得る。下記化学式2-1は後述の通りである。
前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。
前記光重合性化合物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して前記多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部以上含み得る。
単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含み得る。
前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、前記化学式1の化合物を含み得る。
前記光重合性化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含む単官能(メタ)アクリレート化合物;および炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;を含み得る。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、20000g/mol以上150000g/mol以下の重量平均分子量を有し得る。
前記数式1中の前記単官能(メタ)アクリレート化合物のOc
1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のOc
2の比率が1:0.3以上1:0.9以下であり得る。
前記数式1中の前記単官能(メタ)アクリレート化合物のMw
1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のMw
2の比率が1:1.1以上1:1.9以下であり得る。
前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上500重量部以下で含み得る。
前記光重合性化合物は、二官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。
前記二官能(メタ)アクリレート化合物を、単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して500重量部以上1500重量部以下で含み得る。
前記二官能(メタ)アクリレート化合物を、多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して500重量部以上1000重量部以下で含み得る。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、下記化学式3で表される繰り返し単位、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、下記化学式6で表される繰り返し単位および下記化学式7で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダー樹脂;および下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、および下記化学式6で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;を含み得る。化学式3~化学式7は後述の通りである。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂100重量部に対して、第2アルカリ現像性バインダー樹脂を500重量部以上1000重量部以下で含み得る。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂とのガラス転移温度比率が1:1.5以上1:5以下であり得る。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂との酸価比率が1:1.01以上1:1.5以下であり得る。
本明細書ではまた、前記感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供される。
本明細書ではまた、前記感光性樹脂層を含む感光性エレメントが提供される。
【0005】
以下、発明の具体的な実施形態による感光性樹脂層、それを用いたドライフィルムフォトレジスト、および感光性エレメントについてより詳細に説明する。
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
本明細書で使用される単数の形態は、文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外するものではない。
そして、本明細書で「第1」または「第2」のように序数を含む用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記用語により限定されない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せずに第1構成要素は第2構成要素として命名され、類似に第2構成要素も第1構成要素として命名され得る。
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これらに限定されるものではない。
本明細書で、「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
本明細書で「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;第1級アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうちの1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換または非置換されることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0006】
本明細書で、
または
は他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合は、Lで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書で、(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルをすべて含む意味である。例えば、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを全て含む意味である。
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)に由来する1価の官能基であり、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は、置換または非置換され得、置換される場合置換基の例示は上述した通りである。
本明細書において、アリール基は、アレーン(arene)に由来する1価の官能基であり、特に限定されないが炭素数6~20であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。前記アリール基は、置換または非置換され得、置換される場合置換基の例示は上述した通りである。
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来する2価の官能基であって、これらは2価の官能基であることを除けば、上述したアルキル基に関する説明が適用可能である。例えば、直鎖状、または分枝状であって、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基などであり得る。前記アルキレン基は置換または非置換され得る。
本明細書において、多価の官能基は、任意の化合物に結合した複数の水素原子が除去された形態の残基であって、例えば、2価の官能基、3価の官能基、4価の官能基が挙げられる。一例として、シクロブタンに由来する4価の官能基は、シクロブタンに結合した任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
本明細書において、直接結合または単結合は、当該位置にいかなる原子または原子団も存在せず、結合線で連結されることを意味する。具体的には、化学式中のR
a、またはL
b(aおよびbは、それぞれ1~20の整数)で表される部分に別の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書において、「(光)硬化物」または「(光)硬化」されるとは、化学構造中に硬化または架橋可能な不飽和基を有する構成成分が全部硬化、架橋または重合される場合だけではなく、その一部が硬化、架橋または重合された場合まで包括することができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0007】
1.感光性樹脂組成物
発明の一実施形態によれば、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む光重合性化合物;およびアルカリ現像性バインダー樹脂を含み、
下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下である、感光性樹脂層が提供される。
【数1】
前記数式1中、
Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、
Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、
Wr
nは、(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、
Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
本発明者らは前記一実施形態の感光性樹脂層が前記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であることによって、良好な解像度および密着性を維持したまま、優れた現像性および剥離性を有する技術的効果を確保できることを実験を通して確認して発明を完成した。
【0008】
(1)アルカリ現像性バインダー樹脂
本発明の感光性樹脂層は、アルカリ現像性バインダー樹脂を含み得る。
具体的には、前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、少なくとも2種以上のアルカリ現像性バインダー樹脂を含み得る。少なくとも2種以上のアルカリ現像性バインダー樹脂とは、2種以上のアルカリ現像性バインダー樹脂の混合物を意味する。
前記少なくとも2種以上のアルカリ現像性バインダー樹脂は、下記化学式3で表される繰り返し単位、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、下記化学式6で表される繰り返し単位および下記化学式7で表される繰り返し単位を含む第1アルカリ現像性バインダー樹脂;および下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、および下記化学式6で表される繰り返し単位を含む第2アルカリ現像性バインダー樹脂;を含み得る。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、下記化学式3で表される繰り返し単位、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、下記化学式6で表される繰り返し単位および下記化学式7で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
【化1】
前記化学式3中、R
3’’は水素であり、
【化2】
前記化学式4中、R
3’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式5中、R
4’’は炭素数1~10のアルキルであり、R
5’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【0009】
【化4】
前記化学式6中、Arは炭素数6~20のアリールであり、
【化5】
前記化学式7中、R
4’は水素であり、R
5’は炭素数1~10のアルキルである。
前記化学式3~化学式7中、前記炭素数1~10のアルキルの具体的な例としては、メチルが挙げられる。
Arは炭素数6~20のアリールであり、前記炭素数6~20のアリールの具体的な例としては、フェニルが挙げられる。
前記化学式4で表される繰り返し単位は、下記化学式4-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化6】
前記化学式4-1中、R
3’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式4-1中、R
3’に関する内容は、前記化学式4で上述した内容と同じである。前記化学式4-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)が挙げられる。
前記化学式5で表される繰り返し単位は、下記化学式5-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【0010】
【化7】
前記化学式5-1中、R
4’’は炭素数1~10のアルキルであり、R
5’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式5-1中、R
4’’およびR
5’’に関する内容は、前記化学式5で上述した内容と同じである。前記化学式5-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)が挙げられる。
前記化学式6で表される繰り返し単位は、下記化学式6-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化8】
前記化学式6-1中、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式6-1中、Arに関する内容は、前記化学式6で上述した内容と同じである。前記化学式6-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene、SM)が挙げられる。
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂および第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、重量平均分子量が30000g/mol以上150000g/mol以下であり、ガラス転移温度は20℃以上150℃以下であり得る。これにより、ドライフィルムフォトレジストのコーティング性、追従性、および回路形成後のレジスト自体の機械的強度が向上する。以上または以下において、重量平均分子量はWaters 450GPCを用いてポリスチレンをスタンダードとして測定し、カラムはShodex 105、104、103を用い、ガラス転移温度はPerkin Elmer社製のDSC7を用いて測定した。
【0011】
前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が140mgKOH/g以上160mgKOH/g以下であり得る。また、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、酸価が160mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり得る。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂とのガラス転移温度比率が1:1.5以上1:5以下、1:1.5以上1:3以下、1:1.5以上1:2以下、1:1.5以上1:1.8以下、1:1.5以上1:75以下、または1:1.6以上1:7以下であり得る。
また、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂と第2アルカリ現像性バインダー樹脂との酸価比率が1:1.01以上1:1.5以下、1:1.1以上1:1.5以下、1:1.25以上1:1.5以下、または1:1.4以上1:1.5以下であり得る。
【0012】
一方、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式3で表される繰り返し単位1モルに対して、前記化学式4で表される繰り返し単位を1.2モル以上3モル以下、1.2モル以上2モル以下、1.5モル以上2モル以下、または1.5モル以上1.6モル以下で含み得る。
また、前記一実施形態の感光性樹脂組成物に含まれる前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式7で表される繰り返し単位1モルに対して、前記化学式5で表される繰り返し単位を2モル以上10モル以下、3モル以上10モル以下、3モル以上5モル以下または4モル以上5モル以下で含み得る。
一方、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位、および下記化学式6で表される繰り返し単位のランダム共重合体を含み得る。
【化2】
前記化学式4中、R
3’は炭素数1~10のアルキルであり、
【化3】
前記化学式5中、R
4’’は炭素数1~10のアルキルであり、R
5’’は炭素数1~10のアルキルであり、
【0013】
【化4】
前記化学式6中、Arは炭素数6~20のアリールである。
前記化学式4で表される繰り返し単位は、下記化学式4-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化6】
前記化学式4-1中、R
3’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式4-1中、R
3’に関する内容は、前記化学式4で上述した内容と同じである。前記化学式4-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)が挙げられる。
前記化学式5で表される繰り返し単位は、下記化学式5-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【0014】
【化7】
前記化学式5-1中、R
4’’は炭素数1~10のアルキルであり、R
5’’は炭素数1~10のアルキルである。前記化学式5-1中、R
4’’およびR
5’’に関する内容は、前記化学式5で上述した内容と同じである。前記化学式5-1で表される単量体の具体的な例として、メタクリル酸メチル(Methylmethacrylate、MMA)が挙げられる。
前記化学式6で表される繰り返し単位は、下記化学式6-1で表される単量体に由来する繰り返し単位であり得る。
【化8】
前記化学式6-1中、Arは炭素数6~20のアリールである。前記化学式6-1中、Arに関する内容は、前記化学式6で上述した内容と同じである。前記化学式6-1で表される単量体の具体的な例として、スチレン(Styrene、SM)が挙げられる。
具体的には、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式4で表される繰り返し単位:前記化学式5で表される繰り返し単位:前記化学式6で表される繰り返し単位を1:(2以上5以下):(0.2以上0.9以下)、1:(2以上3以下):(0.5以上0.9以下)、1:(2.5以上3以下):(0.6以上0.9以下)または1:(2.75以上3以下):(0.6以上0.75以下)で含み得る。
【0015】
また、前記第2アルカリ現像性バインダー樹脂は、前記化学式4で表される繰り返し単位:前記化学式5で表される繰り返し単位:前記化学式6で表される繰り返し単位を1:(1.1以上2以下):(0.2以上0.99以下)、1:(1.5以上2以下):(0.5以上0.99以下)、または1:(1.5以上1.75以下):(0.75以上0.99以下)で含み得る。
一方、発明の一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記第1アルカリ現像性バインダー樹脂100重量部に対して、第2アルカリ現像性バインダー樹脂を500重量部以上1000重量部以下、600重量部以上800重量部以下、700重量部以上800重量部以下で含み得る。
本明細書において、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出装置および分析用カラムが用いられ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。
前記測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダー樹脂は、1.0(w/w)% in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過した後GPCに20μlを注入し、GPC移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列連結し、検出器としてはAgilent 1260 Infinity II system、RI Detectorを用いて40℃で測定した。
これを、テトラヒドロフランに0.1(w/w)%の濃度で以下のように多様な分子量を有するポリスチレンを溶解させたポリスチレン標準試料(STD A、B、C、D)を0.45μm Pore SizeのSyringe Filterで濾過した後GPCに注入して形成された検定曲線を用いてアルカリ現像性バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)の値を求めた。
STD A(Mp):791,000/27,810/945
STD B(Mp):282,000/10,700/580
STD C(Mp):126,000/4,430/370
STD D(Mp):51,200/1,920/162
【0016】
ガラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Perkin-Elmer社製、DSC-7)でreferenceとバインダーポリマーを比較した。温度設定は、20℃で15分間維持した後、200℃まで昇温速度1℃/minで昇温させて測定することができる。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂の酸価は、前記アルカリ現像性バインダー樹脂を1g余りサンプリングして50ml混合溶剤(MeOH 20%、Acetone 80%)に溶かし、1%-フェノールフタレイン指示薬を2滴加えた後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂は、固形分を基準として感光性樹脂組成物の総重量に対して、20重量%以上80重量%以下で含まれる。前記アルカリ現像性バインダー樹脂の含有量が上記の範囲内にある場合、回路形成後、細線密着力を強化させる効果を得ることができる。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
本発明のアルカリ現像性バインダー樹脂の含有量は、感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して40重量%以上70重量%以下であり得る。前記アルカリ現像性バインダー樹脂の含有量が感光性樹脂組成物全体に対して40重量%未満の場合、現像端の汚染が生じて短絡などの不良をもたらす短所があり、70重量%を超える場合、密着力と解像度などの回路物性が不良になる問題がある。
【0017】
(2)光重合開始剤
本発明による感光性樹脂層に含まれる光重合開始剤は、UVおよびその他のradiationによって光重合性モノマーの連鎖反応を開始させる物質であって、ドライフィルムフォトレジストの硬化に重要な役割を果たす。
前記光重合開始剤として使用できる化合物としては、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノンなどのアントラキノン誘導体;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、フェナントレンキノン、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾイン誘導体が挙げられる。
その他にも2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’-5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-[4-モルフォリノフェニル]ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、メチル4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル4-ジメチルアミノベンゾエート、ブチル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル4-ジメチルアミノベンゾエート、2-イソアミル4-ジメチルアミノベンゾエート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケトンジメチルアセタール、ベンジルケトンβ-メトキシジエチルアセタール、1-フェニル-1,2-プロピルジオキシム-o,o’-(2-カルボニル)エトキシエーテル、メチルo-ベンゾイルベンゾエート、ビス[4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、メトキシベンゾイン、エトキシベンゾイン、イソプロポキシベンゾイン、n-ブトキシベンゾイン、イソブトキシベンゾイン、tert-ブトキシベンゾイン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル4-ジメチルアミノベンゾエートの中から選択される化合物を光重合開始剤として用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
前記光重合開始剤の含有量は、固形分を基準として、感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して0.1重量%以上10重量%以下で含まれる。前記光重合開始剤の含有量が上記の範囲内にある場合十分な感度を得ることができる。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
前記光重合開始剤の含有量が0.1重量%未満の場合、光効率が低くて露光量が多く入らなければならないので生産効率性がきわめて低下する短所があり、10重量%を超える場合フィルムが破れやすくなる(brittle)短所、および現像液の汚染性が高くなり、短絡などの不良をもたらす問題がある。
【0019】
(3)光重合性化合物
本発明の光重合性化合物は、UV露光後現像液に対する耐性を有してパターン形成を可能にする。
本発明の光重合性化合物は、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む光重合性化合物を含み得る。
具体的には、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有し得る。
より具体的には、前記3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式2で表される化合物を含み得る。
【化9】
前記化学式2中、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキレンであり、R
6は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n2は1~20の整数であり、pは前記R
6に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
また、前記化学式2中、n2は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数であり、pは前記R
6に置換される官能基数を意味するもので、3~10の整数、3~5の整数、または3~4の整数である。
すなわち、前記化学式2中、前記R
6に置換される官能基数を意味するpが3~10の整数であるので、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物が3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物であり得る。
具体的には、前記多官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式2-1で表される。
【0020】
【化10】
前記化学式2-1中、R
7~R
9はそれぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレンであり、R
10~R
12はそれぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルであり、n3~n5はそれぞれ独立して、1~20の整数である。
前記化学式2-1中、n3~n5は1~20の整数、1~10の整数、または1~5の整数である。
前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の例は特に限定されないが、例えば、下記化学式Bで表されるT063(Trimethylolpropane [EO]
6 triacrylate)であり得る。
【化11】
前記一実施形態の感光性樹脂層が前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことによって、単官能(メタ)アクリレート化合物に比べて前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物が光硬化時、架橋結合が増加し、反応基が多い技術的原因によって前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物のみの添加時、問題になる回路の物性低下を防止し、発色変化量を増加させる効果を実現することができる。
【0021】
一方、前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。
具体的には、前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含み得る。
すなわち、前記光重合性化合物は、炭素数1~10のアルキレンオキシド基を含む(メタ)アクリレートを含む単官能(メタ)アクリレート化合物;および炭素数1~20の中心グループに炭素数1~10のアルキレンオキシド基および(メタ)アクリレート官能基がそれぞれ3個以上結合した構造を有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;を含み得る。
より具体的には、前記単官能(メタ)アクリレート化合物は、下記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
【化12】
前記化学式1中、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキレンであり、R
3は炭素数1~10のアルキルであり、n1は1~20の整数である。
【0022】
すなわち、本発明の一実施形態による感光性樹脂層は、単官能(メタ)アクリレート化合物、および多官能(メタ)アクリレート化合物の混合物を含み得る。
一方、前記一実施形態の感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上500重量部以下、110重量部以上300重量部以下、110重量部以上200重量部以下、または150重量部以上200重量部以下で含み得る。
前記一実施形態の感光性樹脂層は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物に対して前記多官能(メタ)アクリレート化合物を過剰に含むことによって、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の剥離時間を短縮させる効果および前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の現像液に対する耐性を高めて密着力と解像度を向上させる効果を同時に具現でき、前記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下を満たすことができ、これによって優れた現像性を確保することができる。
前記一実施形態の感光性樹脂層は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を100重量部未満で含む場合、現像液に対する耐性が弱くなり、良好な密着力と解像度を実現するには技術的な問題が発生することがある。
一方、前記光重合性化合物は、アルキレングリコール系ジ(メタ)クリレートおよびウレタン系ジ(メタ)クリレートを含む二官能(メタ)アクリレート化合物をさらに含み得る。
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂層は光重合性化合物を含み、前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物、アルキレングリコール系ジ(メタ)クリレートおよびウレタン系ジ(メタ)クリレートを含む二官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
【0023】
前記アルキレングリコール系ジ(メタ)クリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)クリレート(ethylene glycol di(meth)acrylate)、ジエチレングリコールジ(メタ)クリレート(diethylene glycol di(meth)acrylate)、テトラエチレングリコールジ(メタ)クリレート(tetraethylene glycol di(meth)acrylate)、プロピレングリコールジ(メタ)クリレート(propylene glycol di(meth)acrylate)、ポリエチレングリコールジ(メタ)クリレート(polyethylene glycol di(meth)acrylate)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)クリレート(polypropylene glycol di(meth)acrylate)、ブチレングリコールジ(メタ)クリレート(butylene glycol di(meth)acrylate)、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)クリレート(ethylene glycol diglycidyl ether di(meth)acrylate)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)クリレート(diethylene glycol diglycidyl ether di(meth)acrylate)、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製品のMiramer M244(BPA(EO)3DA、Bisphenol A (EO)3 Diacrylate)、Miramer M240(BPA(EO)4DA、Bisphenol A(EO)4 Diacrylate)、Miramer M241(Bisphenol A (EO)4 Dimethacrylate)、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製品のMiramer M2100(BPA(EO)10DA、Bisphenol A (EO)10 Diacrylate)、Miramer M2200(BPA(EO)20DA、Bisphenol A (EO)20 Diacrylate)、Miramer M2101(Bisphenol A (EO)10 Dimethacrylate)などを使用することができる。
【0024】
また、前記ウレタン系ジ(メタ)クリレートとしては、KUA-1330hなどを使用することができる。
前記ウレタン系ジ(メタ)クリレートは、既存の単純なアルキレンオキシドより分子量が大きく、線状構造を有することによって柔軟性を付与することができる。これは外層用ドライフィルムフォトレジスト(DFR)に必要なテンティング性を向上させる原因になり、ウレタンアクリレートの構成要素の一つであるポリオールの疎水性は強酸であるめっき液に対する耐性を向上させてめっき液が汚染されない。
前記ウレタン系ジ(メタ)クリレートは、ヒドロキシ基を有するポリエーテル化合物またはヒドロキシ基を有するポリエステル化合物とジイソシアネート化合物を反応させてウレタン化合物を得て、前記得られたウレタン化合物とヒドロキシ基およびエチレン性不飽和基を全て有する化合物を反応させて得られる。
前記ヒドロキシ基を有するポリエーテル化合物としては、ポリエーテルグリコールとしてポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラヒドロフランなどのグリコールが用いられ、前記ヒドロキシ基を有するポリエステル化合物としては、アジピン酸と1,4-ブタジオールなどが縮合した化合物を使用する。
【0025】
前記ジイソシアネート化合物としては、アルキレン基などの2価の脂肪族基を有する脂肪族ジイソシアネート化合物、シクロアルキレンなどの2価の脂環基を有する脂環式ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物およびこれらのイソシアヌレート化変性物、カルボジイミド化変性物、ビューレット化変性物などが挙げられる。
このとき、前記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,3-あるいは1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネート化合物としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートまたは2,6-トルエンジイソシアネートの二量化重合体、(o,pまたはm)-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらは1種を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いられる。また、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートなどの2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含んでいてもよい。それらの中でも光硬化物の柔軟性および強靭性を高めて基板の密着力を向上させる観点から、脂環式ジイソシアネート化合物が好ましい。
前記ヒドロキシ基を有するポリエーテル化合物またはポリエステル化合物とジイソシアネート化合物とを反応させてウレタン化合物を製造する。前記反応においてヒドロキシ基を有するポリエーテル化合物またはポリエステル化合物1モルに対して、ジイソシアネート化合物を1.01~2.0モル比とすることが好ましく、1.1~2.0モル比とすることがさらに好ましい。もし、ジイソシアネート化合物の含有量が1.01モル未満または2.0モルを越えると、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物が安定的に得られない。
【0026】
また、ウレタン化合物を合成する反応においては、触媒としてジブチルスズジラウレートを投入することが好ましい。
反応温度は60~120℃とすることが好ましい。60℃未満であれば反応が十分に進行しない傾向があり、120℃を越えると急激な発熱により反応操作が危ないおそれがある。
このように製造されたウレタン化合物と反応させるためのヒドロキシ基およびエチレン性不飽和基を全て有する化合物としては、分子中にヒドロキシ基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、ヒドロキシ(メタ)クリレート、ヒドロキシ(メタ)クリレートのカプロラクトン付加物または酸化アルキレン付加物、グリセリンなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸と反応させて製造されたエステル化合物、およびグリシジル(メタ)アリレートアクリル酸付加物が挙げられる。
前記ヒドロキシ(メタ)クリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)クリレートが挙げられる。
前記ヒドロキシ(メタ)クリレートのカプロラクトン付加物としては、ヒドロキシエチル(メタ)クリレート・カプロラクトン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート・カプロラクトン付加物、ヒドロキシブチル(メタ)クリレート・カプロラクトン付加物が挙げられ、酸化アルキレン付加物としては、ヒドロキシエチル(メタ)クリレート・酸化アルキレン付加物、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート・酸化プロピレン付加物、ヒドロキシブチル(メタ)クリレート・酸化ブチレン付加物が挙げられる。
前記エステル化合物としては、例えば、グリセリンモノ(メタ)クリレート、グリセリンジ(メタ)クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)クリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)クリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパンの酸化エチレン付加物ジ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物ジ(メタ)クリレートが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
前記ウレタン系ジ(メタ)クリレートは、前記ウレタン化合物と前記ヒドロキシ基およびエチレン性不飽和基を全て有する化合物を付加反応させて由来する化合物であって、ウレタン化合物1モルに対してヒドロキシ基およびエチレン性不飽和基を全て有する化合物を2.0~2.4モル比で添加し、60~90℃で付加反応させることによって得られる。
前記ウレタン系ジ(メタ)クリレートは、重量平均分子量が1、000~60、000g/molの範囲内であることが好ましい。前記重量平均分子量が1、000g/mol未満の場合、柔軟性と強靭性を十分に高めることが難しくなり、基板の密着力を向上させることができず、60、000g/molを超える場合には現像性が悪くなり、現像時間が遅くなる問題が発生することがあり、本発明によるウレタン系ジ(メタ)クリレートは、重量平均分子量が1、000~60、000g/molであることが好ましい。
本発明では前記重量平均分子量が1、000~60、000g/molであるウレタン系ジ(メタ)クリレートを感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物中に1~20重量%、好ましくは1.5~15重量%で含む。前記重量平均分子量が1、000~60、000g/molであるウレタン系ジ(メタ)クリレートの含有量が1重量%未満の場合、その効果が微小であり、20重量%を超える場合には露光後現像工程での現像時間が急激に増加することはもちろん、スカムとスラッジが多量に発生する欠点がある。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、前記アルキレングリコール系ジ(メタ)クリレート100重量部に対して、ウレタン系ジ(メタ)クリレートを1重量部以上50重量部以下、1重量部以上30重量部以下、1重量部以上10重量部以下または1重量部以上5重量部以下で含み得る。
【0028】
具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記二官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下、500重量部以上1000重量部以下、750重量部以上1000重量部以下、800重量部以上900重量部以下で含み得る。
すなわち、前記一実施形態の感光性樹脂層は、前記単官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記多官能(メタ)アクリレート化合物を110重量部以上で含み、前記二官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1500重量部以下で含み得る。
また、前記一実施形態の感光性樹脂層は、前記多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、前記二官能(メタ)アクリレート化合物を500重量部以上1000重量部以下、500重量部以上800重量部以下、500重量部以上750重量部以下、500重量部以上700重量部以下、500重量部以上600重量部以下で含み得る。
本発明において、前記感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物全体の重量に対して、前記単官能光重合性化合物を0.1重量%以上2.5重量%以下で含み得る。
また、本発明において、前記感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物全体の重量に対して、前記多官能光重合性化合物を2.6重量%以上5.0重量%以下で含み得る。
すなわち、前記感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物全体の重量に対して、前記単官能光重合性化合物を0.1重量%以上2.5重量%以下で含み、前記多官能光重合性化合物を2.6重量%以上5.0重量%以下で含み得る。
前記感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物全体の重量に対して、前記単官能光重合性化合物が0.1重量%未満または前記多官能光重合性化合物が2.6重量%未満の場合、前記化学式1および化学式2で表される化合物の添加による効果が微小で、前記単官能光重合性化合物が2.5重量%超過または前記多官能光重合性化合物が5.0重量%を超える場合、疎水性が増加して露光後現像工程での現像時間が急激に増加する問題が発生することがある。
【0029】
また、前記一実施形態の感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物は、光重合性化合物として、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate)、プロピレングリコールジメタクリレート(propylene glycol dimethacrylate)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(polypropylene glycol dimethacrylate)、ブチレングリコールジメタクリレート(butylene glycol dimethacrylate)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(neopentyl glycol dimethacrylate)、1,6-ヘキサングリコールジメタクリレート(1,6-hexane glycol dimethacrylate)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethyolpropane trimethacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethyolpropane triacrylate)、グリセリンジメタクリレート(glycerin dimethacrylate)、ペンタエリスリトールジメタクリレート(pentaerythritol dimethacrylate)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート(pentaerythritol trimethacrylate)、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート(dipentaerythritol pentamethacrylate)、2,2-ビス(4-メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン(2,2-bis(4-methacryloxydiethoxyphenyl)propane)、2,2-ビス(4-メタクリルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(2,2-bis(4-methacryloxypolyethoxyphenyl)propane)、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルメタクリレート(2-hydroxy-3-methacryloyloxypropyl methacrylate)、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート(ethylene glycol diglycidyl ether dimethacrylate)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート(diethylene glycol diglycidyl ether dimethacrylate)、フタル酸ジグリシジルエステルジメタクリレート(phthalic acid diglycidyl ester dimethacrylate)、グリセリンポリグリシジルエーテルポリメタクリレート(glycerin polyglycidyl ether polymethacrylate)およびウレタン基を含む多官能(メタ)アクリレートなどをさらに含み得る。
前記光重合性化合物の含有量は、固形分を基準として感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物の総重量に対して、10重量%以上70重量%以下で含まれる。前記光重合性化合物の含有量が上記の範囲内である場合、光感度、解像度および密着性などを強化させる効果を得ることができる。
【0030】
(4)感光性樹脂組成物
前記感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物は、固形分を基準として、アルカリ現像性バインダー樹脂20重量%以上80重量%以下、光重合開始剤0.1重量%以上10重量%以下、および光重合性化合物10重量%以上70重量%以下を含み得る。前記重量基準である固形分は、前記感光性樹脂組成物から溶媒を除いた残りの成分を意味する。
前記感光性樹脂組成物は溶剤をさらに含み得る。前記溶剤としては、一般的にメチルエチルケトン(MEK)、メタノール、THF、トルエン、アセトンの中から選択されるものを使用し、前記溶剤は特に限定されるものではなく、含有量も光重合開始剤、アルカリ現像性バインダー樹脂および光重合性化合物の含有量に応じて適宜調節し得る。
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてその他の添加剤をさらに含み得るが、その他の添加剤としては、可塑剤としてフタル酸エステル形態のジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート;グリコールエステル形態のトリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート;酸アミド形態のp-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、n-ブチルベンゼンスルホンアミド;トリフェニルホスフェートなどを使用することができる。
本発明において感光性樹脂組成物の取り扱い性を向上させるためにロイコ染料や着色物質を入れることもできる。前記ロイコ染料としては、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン、トリス(4-ジメチルアミノ-2メチルフェニル)メタン、フルオラン染料などが挙げられる。その中でも、ロイコクリスタルバイオレットを使用した場合、コントラストが良好であるので好ましい。ロイコ染料を含む場合、含有量は、感光性樹脂組成物中の0.1重量%以上10重量%以下であり得る。コントラストの発現の観点から0.1重量%以上が好ましく、保存安定性を維持する観点からは10重量%以下が好ましい。
【0031】
着色物質としては、例えば、トルエンスルホン酸一水和物、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマゼンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ダイアモンドグリーン、ベーシックブルー20などが挙げられる。前記着色物質を含有する場合の添加量は、感光性樹脂組成物に対して0.001重量%以上1重量%以下であり得る。0.001重量%以上の含有量は取り扱い性が向上する効果があり、1重量%以下の含有量は保存安定性を維持する効果がある。
その他の添加剤としては、熱重合防止剤、染料、変色剤(discoloring agent)、密着力促進剤などをさらに含み得る。
一方、前記一実施形態の感光性樹脂層は、下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であり得る。これは前記一実施形態の感光性樹脂層形成用感光性樹脂組成物が上述した光重合性化合物を含むことによって具現され得る。
【数1】
前記数式1中、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物に対して、Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Wr
nは、単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂組成物が、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことによって、前記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であり得る。
より具体的には、前記一実施形態の感光性樹脂層が、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物に対して、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物を過剰に含むことによって、前記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であり得る。
前記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であることによって、前記一実施形態の感光性樹脂層の反応性が速くなり、前記一実施形態の感光性樹脂層の硬化物を含むドライフィルムフォトレジストの発色時間および程度に優れ、これにより、前記ドライフィルムフォトレジストを含むディスプレイ装置の物性に優れた効果を具現することができる。
【0032】
前記芳香環分率パラメータは、光重合性化合物中の芳香環含有量からO、S原子の含有量を除いたものを計算し、これを組成物の平均分子量で割った値であって、前記芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下、-0.015以上-0.012以下、-0.015以上-0.013以下、または-0.014以上-0.013以下であり得る。前記芳香環分率値を満たす光重合性化合物を使用することによって、前記一実施形態の感光性樹脂層が良好な解像度および密着性を維持したまま、優れた現像性および剥離性を有する効果を実現することができる。
さらに、芳香環分率が-0.015未満である場合には多官能(メタ)アクリレート化合物を過度に少量含むもので、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことから、現像液に対する耐性を高める技術的効果が低下して密着力と解像度を向上させる技術的な問題が発生することがあり、該値が-0.011を超える場合には単官能(メタ)アクリレート化合物を過度に少量含むもので、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことから、親水性を有する分子構造内のエチレンオキシドの繰り返し単位が少なくなり、分子量が高くなり、剥離時間が長くなる技術的な問題が発生することがある。
前記数式1は、具体的には、下記のような数式を意味する。
【数2】
前記数式1中、Pc
nは、化学式nで表される(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数を意味する。すなわち、Pc
1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数を意味し、Pc
2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数を意味する。
【0033】
前記数式1中、Ocnは、化学式nで表される(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数を意味する。すなわち、Oc1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数を意味し、Oc2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数を意味する。
前記数式1中、Wrnは、化学式nで表される(メタ)アクリレート化合物の単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する重量%を意味する。すなわち、Wr1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する重量%を意味し、Wr2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する重量%を意味する。
前記数式1中、Mwnは、化学式nで表される(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量を意味する。すなわち、Mw1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量を意味し、Mw2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量を意味する。
すなわち、前記一実施形態で、前記数式1によって計算される芳香環分率値は、具体的には下記数式1-1によって計算することができる。
【0034】
【数3】
前記数式1-1中、Pc
1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Pc
2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Oc
1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Oc
2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Wr
1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する重量%であり、Wr
2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する重量%であり、Mw
1は、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量であり、Mw
2は、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
前記数式1中、Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数を示す。前記芳香環の数は、(メタ)アクリレート化合物に含まれる単一環の数を意味し、縮合環の場合、縮合した各単一環の数を意味する。例えば、(メタ)アクリレート化合物が一つのナフチル基を含む場合、単一環のベンゼン環2個が縮合したものであるので、Pc
nは2であり、(メタ)アクリレート化合物が一つのアントラセン基またはフェナントレン基を含む場合、Pc
nは3である。
【0035】
すなわち、前記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物は、Pcnが0以上10以下、0以上2以下、または0であり、前記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物は、Pcnが0以上10以下、0以上2以下、または0である。
前記Ocnは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数、または(メタ)アクリレートに含まれる「0」の数は含まない。
例えば、(メタ)アクリレート化合物がドデカンジオールジメタクリレートの場合、Ocnは0であり、(メタ)アクリレート化合物がフェニルチオアクリル酸エチルの場合、Ocnは1である。
Wrnは、単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり得る。例えば、使用される(メタ)アクリレート化合物はドデカンジオールジメタクリレート60kgとフェニルチオエチルアクリレート40kgが混在している場合、ドデカンジオールジメタクリレートのWrnは、(60/100)×100=60であり、フェニルチオエチルアクリレートのWrnは、(40/100)×100=40である。
一方、前記数式1中、前記単官能(メタ)アクリレート化合物のOc1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のOc2との比率が1:0.3以上1:0.9以下、1:0.5以上1:0.9以下、1:0.5以上1:0.75以下、1:0.5以上1:0.7以下であり得る。
【0036】
また、前記数式1中、前記単官能(メタ)アクリレート化合物のMw
1と前記多官能(メタ)アクリレート化合物のMw
2との比率が1:1.1以上1:1.9以下、1:1.1以上1:1.5以下、1:1.1以上1:1.4以下、1:1.2以上1:1.4以下、1:1.2以上1:1.3以下であり得る。
2.ドライフィルムフォトレジスト
発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂層を含むドライフィルムフォトレジストが提供される。前記感光性樹脂層に対する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含む。
具体的には、前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物の乾燥物あるいは硬化物を含み得る。前記乾燥物とは、感光性樹脂組成物の乾燥工程を経て得られる物質を意味する。前記硬化物とは、感光性樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。
一方、前記感光性樹脂層は、下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であり得る。
【数1】
前記数式1中、下記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および下記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物に対して、Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Wr
nは、単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量であり、
【化12】
前記化学式1中、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキレンであり、R
3は炭素数1~10のアルキルであり、n1は1~20の整数であり、
【0037】
【化9】
前記化学式2中、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキレンであり、R
6は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n2は1~20の整数であり、pは前記R
6に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
前記数式1に対する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含む。
前記ドライフィルムフォトレジストの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。前記ドライフィルムフォトレジストの厚さが特定の数値ほど増加または減少する場合、ドライフィルムフォトレジストで測定される物性もまた、一定の数値ほど変化することがある。
前記ドライフィルムフォトレジストは、基材フィルムおよび保護フィルムをさらに含み得る。前記基材フィルムは、ドライフィルムフォトレジストを製造する間感光性樹脂層の支持体の役割を果たすものであって、粘着力を持っている感光性樹脂層の露光時取り扱いを容易にする。
前記基材フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記基材フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記保護フィルムは取り扱い時のレジストの損傷を防止し、ほこりなどの異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割を果たすものであって、感光性樹脂層の基材フィルムが形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは、感光性樹脂層を外部から保護する役割を果たすものであって、ドライフィルムフォトレジストを後工程に適用する場合容易に離脱し、保管および流通の場合には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
【0038】
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記ドライフィルムフォトレジストを製造する方法の例は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの通常の基材フィルム上に通常のコーティング方法を用いて前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコーティングした後、乾燥し、前記乾燥された感光性樹脂層上面にポリエチレンなどの通常の保護フィルムを用いてラミネーションしてドライフィルムを製造することができる。
前記一実施形態の感光性樹脂組成物をコーティングする方法は特に限定されず、例えば、コーティングバーなどの方法が用いられる。
前記コーティングされた感光性樹脂組成物を乾燥させる段階は、熱風オーブン、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、50℃以上100℃以下の温度で行うことができる。
3.感光性エレメント
発明のさらに他の実施形態によれば、高分子基材;および前記高分子基材上に形成される感光性樹脂層を含み、前記感光性樹脂層は、下記数式1によって計算される芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下である、感光性エレメントが提供される。
【数1】
前記数式1中、下記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および下記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物に対して、Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Wr
nは、単官能(メタ)アクリレート化合物および多官能(メタ)アクリレート化合物の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量であり、
【0039】
【化12】
前記化学式1中、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキレンであり、R
3は炭素数1~10のアルキルであり、n1は1~20の整数であり、
【化9】
前記化学式2中、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキレンであり、R
6は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n2は1~20の整数であり、pは前記R
6に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
前記感光性樹脂組成物に対する内容は、前記一実施形態と他の一実施形態で上述した内容を全て含む。
すなわち、前記感光性樹脂層は、アルカリ現像性バインダー樹脂と光重合性化合物を含み、前記光重合性化合物は、下記化学式1で表される単官能(メタ)アクリレート化合物、および下記化学式2で表される多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
【0040】
【化12】
前記化学式1中、R
1は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
2は炭素数1~10のアルキレンであり、R
3は炭素数1~10のアルキルであり、n1は1~20の整数であり、
【化9】
前記化学式2中、R
4は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、R
5は炭素数1~10のアルキレンであり、R
6は炭素数1~20の中心グループを含むpが官能基であり、n2は1~20の整数であり、pは前記R
6に置換される官能基数であり、3~10の整数である。
前記高分子基材は各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記高分子基材の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
前記高分子基材の具体的な例としては、未延伸ポリエステルフィルムを一軸延伸し、その一面にバインダー樹脂と有機粒子を含む調液を塗布して残りの一軸延伸するインラインコーティング方式によってアンチブロッキング層が形成されたポリエステルフィルムが挙げられる。
前記高分子基材は、通常、製造時の走行性および巻き取り特性を考慮して添加されるアンチブロッキング剤を添加しない代わりにインラインコーティング方式を選択し、透明性を阻害しない代替粒子を使用した有機粒子層を備えたものである。
【0041】
ここで走行性および巻き取り特性を考慮し、かつ透明性を阻害しない粒子として用いられる有機粒子の例としては、メタクリル酸メチル、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのアクリル系粒子;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系粒子;アクリルとオレフィン系の共重合体;または単一重合体粒子を形成した後、その層上に異なる種類の単量体をコーティングした多層多成分系粒子などの有機粒子などが挙げられる。
このような有機粒子は、具体的には球形で、かつバインダー樹脂との屈折率の差を有さなければならない。ここで「球形」は、楕円において短軸(a)と長軸(b)の比が0.5<a/b<2であり、長方形において対角線(d)との関係がd2≦a2+b2であると定義する。また、六面体において頂間距離が最も長い軸(f)とa、b軸以外のc軸との関係はf2≦c2+a2+b2と定義する。粒子形状が球形でなければ走行性の側面から好ましくない。
そして、有機粒子のバインダー樹脂との屈折率の差は0.05以下であることを特徴とする。屈折率の差が0.05より大きいとヘイズ(Haze)を増加させる。これは散乱光が多いことを意味し、このような散乱光が多い場合サイドウォールのスムージング効果が低下する。これは有機粒子の大きさと量にも依存する。有機粒子は、平均粒径が0.5μm~5μm程度であることが好ましく、これより小さい場合、走行特性および巻き取り特性が低下し、5μmより大きい場合ヘイズを増加させ、脱落の発生を勘案して好ましくない。有機粒子の含有量は、バインダー樹脂との総量を基準として1~10重量%であることが好ましい。
有機粒子の含有量がバインダー樹脂との総量を基準として1重量%未満であれば、アンチブロッキング効果が不十分でスクラッチに弱く、巻き取り特性、走行特性が悪くなり、10重量%を超えるとヘイズが増加して透明特性が悪くなる問題があり得る。
一方、前記のような有機粒子に加えて無機系粒子を添加することもできるが、この場合、通常使用されてきた無機系アンチブロッキング剤を添加するのは好ましくなく、粒子の大きさが100nm以下のコロイダルシリカを添加することが好ましい。その含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して10重量部以下で含むことが好ましい。上記のような粒子の大きさと含有量を満たす場合、ドライフィルムフォトレジストを用いたパターン形成でアンチブロッキング層により発生するサイドウォールの欠損や噴火口のような溝が発生しない。
【0042】
このような有機粒子を未延伸のポリエステルフィルム上に塗布するための接着剤の役割を果たすバインダー樹脂としては、有機粒子と相容性のあるものを使用することが好ましいが、このような樹脂の例としては、不飽和ポリエステル、メタクリル酸メチル、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリレート、ノーマルブチルメタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体または三元共重合体などのアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;またはメラミン系樹脂などが挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂である。
バインダー樹脂と有機粒子で調液するに当たって使用可能なソルベントは水が好ましい。
このようにバインダー樹脂に有機粒子を含む調液を、PETペレットを溶融押出して得られた未延伸ポリエステルフィルムを一軸延伸した後、一軸延伸されたフィルム上に塗布する。塗布は、一軸延伸フィルムの少なくとも一面に行われ得、その厚さは、最終乾燥後の厚さを基準として30nm~200nm程度であることが好ましい。仮に、有機粒子を含む調液を一軸延伸フィルム上に30nmより薄く塗布すると有機粒子の脱落が容易でスクラッチに脆弱であり、白粉が発生する問題があり、200nmより厚く塗布すると調液の粘度上昇によってコーティング速度が速いインラインコーティングではコーティング方向にコーティングラインが発生する。
このようにインラインコーティング方式により、一般的なアンチブロッキング剤でなく有機粒子を使用して塗布して得られた前記高分子基材は、粒子層により巻き取り特性および走行特性を維持し、かつ光透過性に優れた有機粒子によって透明性に優れた基材フィルムである。
【0043】
感光性樹脂層の積層は、高分子基材において有機粒子を含む層の反対面に行われるため、このように有機粒子を含む層の反対面に感光性樹脂層が形成されることによって、従来のようにアンチブロッキング剤を含む基材フィルムが積層されることによって現れる噴火口模様の傷の発生がない。シリカなどの粒子は、有機粒子に比べてその大きさが大きいだけでなく、その分布が基材フィルム全般にわたっているため、感光性樹脂層と隣接する部分でもシリカの影響がわずかにでも現れる。
これに対して、本発明で使用される高分子基材においては、その大きさが0.5μm~5μmの有機粒子であり、かつ、その有機粒子層が感光性樹脂層と隣接していないので有機粒子の物理的影響が及ばない。また、優れた光透過性を有する有機粒子を使用することによって、サイドウォールの欠損を減らすことができ、かつ、その他の回路物性を阻害しないことになる。
前記感光性エレメントは、感光性樹脂層上に形成された保護フィルムをさらに含み得る。前記保護フィルムは、取り扱い時感光性樹脂層の損傷を防止し、ほこりなどの異物から感光性樹脂層を保護する保護カバーの役割を果たすものであって、感光性樹脂層の高分子基材が形成されていない裏面に積層される。前記保護フィルムは、感光性樹脂層を外部から保護する役割を果たすものであって、感光性エレメントを後工程に適用する場合、容易に離脱し、かつ保管および流通時には離型しないように適当な離型性と粘着性を必要とする。
前記保護フィルムは各種プラスチックフィルムを使用することができ、例えば、アクリル系フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリノルボルネン(PNB)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、およびポリカーボネート(PC)フィルムからなる群より選択される1種以上のプラスチックフィルムを含み得る。前記保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1mmの範囲内で適宜調節可能である。
【0044】
4.回路基板、ディスプレイ装置
発明のさらに他の実施形態によれば、前記一実施形態の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を含む、回路基板またはディスプレイ装置が提供される。前記感光性樹脂組成物に対する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含む。
前記回路基板またはディスプレイ装置に関する具体的な内容は特に限定されず、従来より知られている多様な技術構成を制限なく適用可能である。
前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれる感光性樹脂層は、開口部がないフィルム形態であってもよく、開口部を有するパターン形態であってもよい。
前記パターン形態の感光性樹脂層を形成する方法の例としては、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。また、前記他の実施形態の感光性エレメントの感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層させた後、露光および現像を行う方法が挙げられる。
前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層上に保護フィルムを有する場合、感光性樹脂層を回路基板またはディスプレイ製造装置用基板上に積層工程前に保護フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
また、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントが感光性樹脂層の一面に積層された高分子基材あるいは基材フィルムを有する場合、露光工程直後の高分子基材あるいは基材フィルムを除去する工程をさらに経ることができる。
したがって、前記他の実施形態のドライフィルムフォトレジストあるいは感光性エレメントに含まれる感光性樹脂層が前記回路基板またはディスプレイ装置に含まれ得る。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、優れた現像性を実現できる感光性樹脂組成物およびそれを用いたドライフィルムフォトレジスト、感光性エレメントを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
<製造例:アルカリ現像性バインダー樹脂の製造>
製造例1
4口丸底フラスコに機械式撹拌機(mechanical stirrer)と還流装置を装着した後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)80gおよびメタノール(Methanol、MeOH)7.5gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)0.45gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてアクリル酸(Acrylic acid、AA)8g、メタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)15g、アクリル酸ブチル(Butyl acrylate、BA)15g、メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate、MMA)52g、およびスチレン(Styrene、SM)10gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂1を製造した。
前記アルカリ現像性バインダー樹脂1は、重量平均分子量71538g/mol、ガラス転移温度79℃、固形分含有量51.4重量%、酸価156.3mgKOH/gであった。
前記重量平均分子量の測定条件の具体的な例として、アルカリ現像性バインダー樹脂は、1.0(w/w)%in THF(固形分基準約0.5(w/w)%)の濃度となるようにテトラヒドロフランに溶解させ、0.45μm Pore SizeのSyringe Filterを用いて濾過した後、GPCに20μlを注入し、GPCの移動相はテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)を使用し、1.0mL/分の流速で流入し、カラムはAgilent PLgel 5μm Guard(7.5×50mm)1個とAgilent PLgel 5μm Mixed D(7.5×300mm)2個を直列に連結し、検出装置としては、Agilent 1260 InfinityII system、RI Detectorを用いて40℃で測定した。
酸価は、アルカリ現像性バインダー樹脂1g余りをサンプリングして50mlの混合溶剤(MeOH 20%、Acetone80%)に溶かし、1%-フェノールフタレイン指示薬を2滴添加した後、0.1N-KOHで滴定して酸価を測定した。
固形分含有量は、上記製造例で製造されたアルカリ現像性バインダー樹脂の重量を基準としてオーブンで150℃、120分間加熱した後、残った固形分の重量パーセント比率を測定した。
【0047】
製造例2
4口丸底フラスコに機械式撹拌機(mechanical stirrer)と還流装置を装着した後、窒素でフラスコ内部をパージした。前記窒素でパージされたフラスコにメチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone、MEK)235g、およびメタノール(Methanol、MeOH)19gを投入した後、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile、AIBN)1.9gを投入して完全に溶解させた。そこに単量体としてメタクリル酸(Methacrylic acid、MAA)63.5g、メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate、MMA)120.6g、およびスチレン(Styrene、SM)69.8gの単量体混合物を投入し、80℃まで昇温した後、6時間重合してアルカリ現像性バインダー樹脂2(重量平均分子量37500g/mol、ガラス転移温度128℃、固形分含有量49重量%、酸価163mgKOH/g)を製造した。
<実施例および比較例:感光性樹脂組成物およびドライフィルムフォトレジストの製造>
下記表1に記載の組成により、光重合開始剤類を溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)に溶かした後、光重合性化合物とアルカリ現像性バインダー樹脂を添加して機械的撹拌機を用いて約1時間程度混合して感光性樹脂組成物を製造した。
前記得られた感光性樹脂組成物を40μmのPETフィルム上にコーティングバー(bar)を用いてコーティングした。コーティングされた感光性樹脂組成物層は、熱風オーブンを用いて乾燥させるが、このとき、乾燥温度は80℃であり、乾燥時間は5分であり、乾燥後の感光性樹脂組成物層の厚さは40μmであった。
乾燥が完了した感光性樹脂組成物層上に保護フィルム(ポリエチレン)を用いてラミネーションしてドライフィルムフォトレジストを製造した。
前記PETフィルムは、以下の工程により製造した。
エチレングリコールとテレフタル酸からエステル交換反応、重縮合反応を行ってPETを製造した。このPETペレットを120℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融した。これを静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。押出機の吐出量を調節して未延伸フィルムの厚さを250μmに調節した。その後、未延伸フィルムを縦方向に4倍延伸した後、その一面に、アクリル系樹脂4gと有機粒子としてポリメタクリル酸メチル0.1gを水95.9gに混合した調液をグラビアを用いて最終乾燥後、厚さ50nmとなるように塗布した。ここで使用されるポリメタクリル酸メチルは、表面にポリスチレンでコーティングされたものであって、球形であり、アクリル系樹脂との屈折率の差が0.03である。
有機粒子を含む調液が塗布された縦方向一軸延伸フィルムを120℃で予熱し、横方向に4倍延伸した。
該フィルムを定めた長さ下で最高温度230℃で10秒間熱固定し、常温に冷却して総厚さ20μm、コーティング層の厚さ50nmのポリエステルフィルムを得た。
【0048】
【表1】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストに対して、下記方法で物性を測定し、その結果を表2に示す。
1.芳香環分率
前記実施例および比較例で製造された感光性樹脂組成物に対して、下記数式1によって芳香環分率値を計算した。
【数1】
前記数式1中、感光性樹脂組成物に含まれている単官能(メタ)アクリレート化合物であるA040および3官能(メタ)アクリレート化合物であるT063に対して、Pc
nは、各(メタ)アクリレート化合物の芳香環の数であり、Oc
nは、各(メタ)アクリレート化合物のO原子およびS原子の数であり、Wr
nは、単官能(メタ)アクリレート化合物であるA040および3官能(メタ)アクリレート化合物であるT063の総重量に対する各(メタ)アクリレート化合物の重量%であり、Mw
nは、(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量である。
【0049】
2.細線密着力(単位:μm)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm2、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションした。
前記積層体に回路評価用フォトマスクを用いて、ORC社製のFDi-3を用いて16mJ/cm2の露光量で紫外線を10秒間照射した後、15分間放置した。その後、ドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がし、30±1℃のNa2CO3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm2で噴射方式の現像条件で1分間現像を行った。
現像が完了した積層体で、感光性樹脂層の最小線幅をZEISS AXIOPHOT Microscopeで測定して細線密着力を評価した。該値が小さいほど細線密着力に優れていると評価することができる。
【0050】
3.解像度(単位:μm)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm2、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションして積層体を形成した。
前記積層体に対して、現像後の回路ライン(line)の幅と回路ライン間の空間(space)の間隔が1:1となるように回路評価用フォトマスクを用いて、ORC社製のFDi-3を用いて16mJ/cm2の露光量で紫外線を10秒間照射した後、15分間放置した。その後、ドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がし、30±1℃のNa2CO3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm2で噴射方式の現像条件で1分間現像を行った。
【0051】
4.めっきに対する汚染防止性の評価
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストを40cm×50cmの大きさに切断し、保護フィルムを除去してステップタブレットが20段/41段となる露光量で露光を行い、PETフィルムを剥離して硬化膜を得た。該硬化膜を硫酸銅/硫酸水溶液めっき液1Lに3日間浸漬した。ハルセル試験装置(韓国、ジョンド試験機研究所製)を用いて銅板に電流2Aで10分間電解銅めっきを施した。
硬化膜を浸漬していないめっき液を基準サンプルにして、硬化膜を浸漬しためっき液でめっきしたとき、めっきの外観を肉眼で観察して、めっきの外観不良または光沢の変化が発生した場合X、基準サンプルと同じで全く異常がない場合Oと判断した。
5.剥離速度(単位:秒)
前記実施例および比較例で製造されたドライフィルムフォトレジストの保護フィルムを剥がしてドライフィルムフォトレジストの感光性樹脂層がブラシ(Brush)研磨処理された1.6mm厚さの銅張積層板の銅層表面と接触するように基板予熱ロール温度120℃、ラミネータロール温度115℃、ロール圧力4.0kgf/cm
2、およびロール速度2.0min/mの条件でHAKUTO MACH 610iを用いてラミネーションした。
前記積層体に回路評価用パターンを用いて、ORC社製のFDi-3を用いて16mJ/cm
2の露光量で紫外線を10秒間照射した後、15分間放置した。その後、ドライフィルムフォトレジストの支持体であるPETフィルムを剥がし、30±1℃のNa
2CO
3 1.0wt%水溶液でスプレー圧力1.5kgf/cm
2で噴射方式の現像条件で1分間現像を行い、光硬化膜を製造した。
その後、3%水酸化ナトリウム水溶液(温度50℃)を使用して剥離を行った。剥離速度の評価は、光硬化膜が銅箔から剥離する時間で測定した。
【表2】
【0052】
上記表2に示すように、実施例は芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であることによって、芳香環分率値が-0.011超過の比較例1に比べて、類似した水準の細線密着力および解像度を示すと同時に、顕著に優れた剥離速度を示すことを確認することができた。また、実施例は芳香環分率値が-0.015以上-0.011以下であることによって、芳香環分率値が-0.015未満の比較例2に比べて、顕著に優れた細線密着力、解像度およびめっきに対する汚染防止性を示すことを確認することができた。