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特許7471423高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法
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  • 特許-高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/34 20060101AFI20240412BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240412BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B29C44/34
B29C44/00 F
C08J9/12 CEZ
C08J9/12 CER
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022540862
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2022079784
(87)【国際公開番号】W WO2023010842
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202110896999.2
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522262898
【氏名又は名称】江▲蘇▼大毛牛新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】Jiangsu Damaoniu New Material Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.19, Qinhuai North Road, Lishui Economic Development Zone, Nanjing City, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】白朋
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼振秀
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-072084(JP,A)
【文献】特開平08-311230(JP,A)
【文献】特開平07-330940(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105385024(CN,A)
【文献】特開平06-322168(JP,A)
【文献】特表2002-537082(JP,A)
【文献】国際公開第2012/046743(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/147104(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/023173(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/068009(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107627527(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102229708(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60;67/20
C08J 9/00- 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡するシート材を反応窯に入れ、
透過性媒体を導入して浸漬し、
不活性ガスで飽和処理を行い、
高温条件で発泡して、
理的発泡材料を調製する方法であって、
前記高温条件の温度は、80℃以上であり、
前記浸漬する工程で加熱を行う、
方法。
【請求項2】
前記透過性媒体は、極性流体または非極性流体であることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記極性流体には水が含まれることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非極性流体には、沸点が105℃以下の液体アルカンが含まれることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記非極性流体は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびイソペンタンの1つまたは複数から選択することを特徴とする、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記浸漬する工程で、前記反応窯の温度は80~110℃であることを特徴とする、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記飽和処理を行う工程での前記反応窯の飽和圧力は20~60MPaであることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記飽和処理を行う工程の飽和時間は、少なくとも1時間であることを特徴とする、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡するシート材の原材料は、ポリオレフィン材料であることを特徴とする、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィン材料は、LDPE、LLDPE、m-LLDPE、HDPE、PPの1つまたは複数から選択することを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオレフィン材料には、LLDPEおよびPPが含まれ、PP含有量は40wt%以上であることを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理発泡技術分野に関し、特に高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー発泡材料は、ポリマーをマトリックスとし、ガスを分散相とする気相と固相の2相複合材料である。現在、熱可塑性発泡材料の製造工程には、化学発泡と物理発泡が含まれる。その中で、化学発泡は、発泡材料の原材料と化学発泡剤成分とを混合し、対応する金型キャビティに流させ、化学発泡剤の分解により生成したガスを利用して発泡成形品を得るということである。大量の発泡剤成分が必要であるため、環境にやさしくなく、生産工程の安全性も低く、発泡材料に残っている化学成分は製品の性能に影響を与える欠陥がある。また、低密度発泡材料を調製するためには大量の発泡剤成分が必要であり、隣接する気孔の間に大量の空洞が形成し、細孔の均一性と独立気泡率がよく制御できない。それに対し、物理的発泡とは、不活性ガスを発泡材料に一定の圧力で浸透させ、圧力と温度を調整してガスを放出し、細孔を形成して発泡材料を得るということである。
【0003】
しかしながら、従来の物理的発泡材料の調製方法による調製工程が長く、ガスを導入した後、不活性ガスをシート材に浸透させるために、長時間の飽和が必要であるため、生産効率が低く、コストが高いである。さらに、不活性ガスのシート材への浸透均一性を制御することは難しく、飽和処理を行ったシート材は加熱および発泡中の加熱が不均一であるため、発泡製品の細孔サイズの均一性、細孔の均一性、発泡率に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を解決するため、本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供する。それは、水などの透過性媒体でシート材を処理した後、窯を使用した発泡技術を採用することにより、発泡効率が大幅に向上され、得られた発泡材料の細孔径の均一性、細孔分布の均一性および発泡率が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明の第一の態様は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料の調製する方法を提供し、以下の手順を含む。発泡するシート材を反応窯に入れ、透過性媒体を導入して浸漬し、そして、不活性ガスで飽和処理を行い、高温条件下で発泡して得られる。前記高温条件の温度は80℃以上である。
【0006】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記透過性媒体は、極性流体または非極性流体であり、好ましくは、前記極性流体には水が含まれる。
【0007】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記非極性流体には、沸点が105℃以下の液体アルカンが含まれる。
【0008】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記非極性流体は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびイソペンタンの1つまたは複数から選択される。
【0009】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記浸漬処理工程で前記シート材の加熱を行い、好ましくは、反応窯の温度は80~110℃である。
【0010】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記飽和処理工程の反応窯の飽和圧力は20~60MPaである。
【0011】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記飽和処理工程の飽和時間は、少なくとも1時間である。
【0012】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記発泡するシート材の原材料は、ポリオレフィン材料であり、好ましくは、前記ポリオレフィン材料は、LDPE、LLDPE、m-LLDPE、HDPE、PPの1つまたは複数から選択される。
【0013】
本発明の好ましい技術的解決策として、前記ポリオレフィン材料には、LLDPEとPPが含まれ、その中で、PP含有量は、40wt%以上である。
【0014】
本発明の第2の態様は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法によって得られる物理的発泡材料を提供することである。
【発明の効果】
【0015】
有利な効果は次のとおりである。本発明の物理的発泡材料を調製する方法において、水などの透過性媒体でシート材を処理した後、窯を使用した発泡技術を採用することにより、発泡効率が大幅に向上され、得られた発泡材料の細孔径の均一性、細孔分布の均一性および発泡率などの性能が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】100倍拡大した実施例1のサンプルのSEM電子顕微鏡画像である。
図2】200倍拡大した実施例1のサンプルのSEM電子顕微鏡画像である。
図3】50倍拡大した実施例1のサンプルのSEM電子顕微鏡画像である。
図4】100倍拡大した実施例4のサンプルのSEM電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の次の具体的な実施例および実施方法の詳細な説明、ならびに含まれる実施例と併せて、本発明をさらに理解することができる。
【0018】
本発明の第一の態様は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料の調製する方法を提供し、以下の手順を含む。発泡するシート材を反応窯に入れ、透過性媒体を導入して浸漬し、そして、不活性ガスで飽和処理を行い、高温条件下で発泡して得られる。前記高温条件の温度は80℃以上である。
【0019】
本出願では、発泡するシート材を棚においてから反応窯に入れて飽和処理を行うことで、発泡するシート材をさまざまな形状や構造の製品に製造し、発泡によってさまざまな製品を得ることができる。本発明において、棚の材質は特に限定されず、当業者に知られている様々な材料を使うことができる。
【0020】
本出願では、発泡するシート材の調製方法は特に限定されず、当技術分野の従来の方法に従って製造することができる。例えば、異なる発泡材料を混合し、二軸スクリュー押出機で造粒することができる。または、内部ミキサーで混錬した後、一軸スクリュー押出機で押し出して造粒し、得られた顆粒を押出成形等によりシート材に加工し、発泡に使用する。本出願において、浸透処理および飽和処理後のシート材を乾燥ラインまたはオーブンに入れ、加熱して発泡させている。シート材はすでに浸透処理を行っており、浸透剤はシートの内側と外側に熱をより速く伝達することができるため、シートの加熱はより均一になる、それにより、その中の不活性ガスはより均一かつ安定に膨張し、寸法と構造および分布が均一である気孔を形成し、より優れた包括的な性能を備えた発泡材料を得るのに役立つ。
【0021】
本出願に記載の透過性媒体は、従来の液体成分から選択することができ、透過性媒体による反応窯、シート材を置くための棚の腐食を防ぐために、好ましくは、腐食効果のない不活性液体媒体を使用する。
【0022】
いくつかの実施形態では、透過性媒体は、極性流体または非極性流体であり、好ましくは、前記極性流体には、水が含まれるがこれに限定されない。
【0023】
本出願では、透過性媒体のシート材内部への浸透およびその浸透の均一性を改善するために、前記透過性媒体に適切な量の補助剤を添加することができる。本出願に記載の補助剤は非極性流体である。また、表面張力を調整し、シート材内の発泡ガスの急速な飽和に役立つ界面活性剤やその他の成分を選択することもできる。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記非極性流体は、沸点が105℃以下の液体アルカンを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記非極性流体は、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソペンタンのうちの1つまたは複数から選択される。
【0026】
本出願に記載「流体」は、いくつかの溶媒などを含むがこれらに限定されず、常温および常圧条件下で流れることができる物質を指す。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記水と非極性流体との重量比は1~8):1であり、さらに、その重量比は(3~5):1である。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記浸漬処理工程で前記シート材を加熱する。 本発明では、使用される透過性媒体の選択および配合比に従って反応窯の温度を調整することができる。 いくつかの実施形態では、前記浸透処理工程での反応器の温度は25~250℃である。
【0029】
本出願では、シート材を透過性媒体で処理した後、不活性ガスを導入し、不活性ガスがシート材に浸透するように窯内の圧力を調整する。シート材は透過性媒体で処理したので、窯内の不活性ガスをシート材の内部に均一に引導し、不活性ガスの浸透と拡散をある程度促進できる。さらに、透過性媒体での導入された不活性ガスの拡散速度は、固体のシート材よりも速いので、反応窯内のシート材の飽和時間を大幅に短縮することができる、それにより、短時間で不活性ガスが均一に分布する発泡シート材を得ることができる。
【0030】
本発明では、発泡材料の特性、透過性媒体の使用有無、および飽和時間およびその他の要因に従って飽和工程の反応窯内の圧力を調整する。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記飽和処理工程の反応窯内の飽和圧力は、20~60MPaであり、その飽和時間は1~24時間である。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記発泡するシート材の原材料は、ポリオレフィン材料であり、好ましくは、前記ポリオレフィン材料はLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、m-LLDPE(メタロセンポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP(ポリエチレン)の1つまたは複数から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記ポリオレフィンには、LLDPEとPPが含まれ、PP含有量が40wt%である。
【0034】
さらに、前記LLDPEとPPの重量比は(1~5):(6~9)であり、さらに、前記LLDPEとPPの重量比は3.3:6.7である。
【0035】
出願者は、透過性媒体および不活性ガスのシート材内の拡散と均一分布に影響を及ぼし、さらにその後の発泡均一性に影響を与えるPP材料の溶融押出後に得られるシート材の過度の結晶化を回避するために、本発明の発泡材料に適切な量のLLDPEを加えた。出願者は、適切な量のLLDPE材料を添加すると、材料の発泡性が大幅に向上することを発見した。それにより、LLDPE構造の短鎖分岐構造は、PPポリマー分子鎖の密な充填と規則正しい配列を妨げる可能性があり、それによって発泡材料の微細構造のランダム相の含有量が増加し、浸透剤の均一な拡散と分布を促進し、浸透剤は、さらにシート材内の不活性ガスの均一な飽和を導いてシート材の内部で多くの発泡核を形成し、発泡材料の気泡の均一性を改善するのに役立つことができると推測する。しかし、出願者は、システム内のLLDPEの含有量が高すぎる場合(特にLLDPEの含有量がPPに近い場合)、発泡材料の発泡効果が大幅に低下し、不均一に分布した気泡が多く現れ、その弾性が大幅に低下されていることを発見した。これは、PP材料とLLDPE材料の凝集強度の差が大きく、材料間の相溶性が低く、シート材の微細構造に特定の相分離界面が生じていることが原因であると考えられる。それに、高圧条件下でシート材に不活性ガスを導入して飽和処理を行うと、シート材の内部で多くの発泡核が形成され、これらの発泡核は高温条件下での発泡にシート材内部の相分離界面で多くの応力集中点を形成するので、その周りの気泡が大きくなり、隣接する気泡が並列接続状態になり、得られたシート材の気泡のサイズと分布が不均一となる問題が発生する。
【0036】
さらに、前記LLDPEの密度は0.90~0.935g/cm、さらに、前記LLDPEの密度は、0.915~0.930g/cm、さらに、前記LLDPEの密度は0.924g/cmである。その密度は、ASTM D1505規格に従って測定して得られる。
【0037】
さらに、前記LLDPEは190℃/2.16kg条件下での溶融指数は18~25g/10min、さらに、前記LLDPEは190℃/2.16kg条件下での溶融指数は21g/10minである。本出願で記載されている溶融指数は、メルトフロー指数である。これは、溶液状態での材料の流動特性を測定するパラメータであり、ASTM D1238規格に従って測定して得られる。本出願に記載のLLDPは、台湾プラスチック社の3470LLDPE製品など、市販品を採用することができる。
【0038】
さらに、前記PPの密度は0.89~0.92g/cm、さらに、前記PPの密度は0.89~0.91g/cm、さらに、前記PPの密度は0.90g/cmである。ISO規格に従って測定して得られる。
【0039】
さらに、前記PPは190℃/2.16kg条件下での溶融指数5~10g/10min、さらに、前記PPは190℃/2.16kg条件下での溶融指数は7g/10minである。本出願に記載のPPは、台湾プラスチック社の5061ポリプロピレンなど、市販品を採用することができる。
【0040】
本発明では、飽和処理後のシート材を所定温度のオーブンまたは乾燥ラインで乾燥して発泡することである。本発明の発泡温度は80℃以上である。好ましくは、前記発泡温度は摂氏90~125度、さらに、前記発泡温度は105~120℃である。
【0041】
出願者は、LLDPEとPP材料の密度と溶融指数などのパラメータを最適化および調整することにより、発泡材料中のLLDPEの含有量をさらに増やし、材料の発泡性能をさらに改善でき、特にPP材料の溶融指数(好ましくは5~10g/10min)がLLDPEの溶融指数(好ましくは18~25g/10min)よりも低く、両者の密度が類似している場合、発泡材料中のLLDPEの含有量は30wt%以上に達することができ、得られた材料の持つ度が低く、気泡の分布が均一になることが発見した。出願者は、上記の条件下では、LLDPEとPP材料間の凝集エネルギー密度に大きな違いはなく、分子セグメント間の拡散と移動に必要なエネルギーの差は小さく、完全に拡散および融合でき、発泡核は特定の温度で膨脹して気泡を形成するときに、均一な応力を受けることができ、さらに気泡の破損や並列接続を回避することができると推測する。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記発泡材料を採用するとき、透過性媒体を加えた場合の反応窯の温度は80~110℃、さらに、該反応窯の温度は85~96℃、さらに、前記透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物であり、さらに、前記水とシクロペンタンとの重量比は3.2:1.2である。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記発泡材料を採用するとき、前記飽和処理工程の反応窯内の飽和圧力は22~55MPa、さらに、前記飽和圧力は30~48MPa、さらに、前記飽和圧力は37MPaである。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記発泡材料を採用するとき、前記飽和処理工程の飽和時間は、少なくとも1時間、さらに、前記飽和時間は1.3~3時間、さらに、飽和時間は2.5時間である。
【0045】
出願者は、特定の成分の浸透剤で処理すると、シート材の高圧飽和時間を大幅に短縮することができ、短時間で飽和処理しても、分布およびサイズが均一な発泡効果を実現でき、得られた材料は依然として優れた機械的性能を維持することができると発見した。
【0046】
本発明の第2の態様は、前記の高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料の調製方法によって調製して得られた物理的発泡材料を提供することである。
【0047】
ここで、以下の実施例によって本発明を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の上記の内容に従って当業者によって行ったいくつかの本質的でない改善と調整は、依然として本発明の保護範囲に属する。また、特定の説明がない限り、使用する原材料はすべて市販品である。
【0048】
<実施例1>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比3.3:6.7でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、透過性媒体(透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物で、重量比は3.2:1.2)を導入してシート材を浸漬し、浸漬工程で反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5.5時間浸漬後、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して2.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0049】
<実施例2>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比3.3:6.7でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、透過性媒体(透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物で、重量比は3:1)を導入してシート材を浸漬し、浸漬工程で反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5.5時間浸漬後、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を58MPaに維持して1時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0050】
<実施例3>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比3.3:6.7でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、透過性媒体(透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物で、重量比は3:1)を導入してシート材を浸漬し、浸漬工程で反応窯の温度を摂氏90度に維持し、5.5時間浸漬後、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して2.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0051】
<実施例4>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比4:6でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、透過性媒体(透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物で、重量比は3.2:1.2)を導入してシート材を浸漬し、浸漬工程で反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5.5時間浸漬後、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して2.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0052】
<実施例5>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比3.3:6.7でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5.5時間熱処理後、室温まで温度を下げ、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して2.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の
【0053】
<実施例6>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。LLDPE材料を二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、透過性媒体(透過性媒体は水とシクロペンタンの混合物で、重量比は3.2:1.2)を導入してシート材を浸漬し、浸漬工程で反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5.5時間浸漬後、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して2.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0054】
<実施例7>
本発明は、高効率かつ低コストで環境にやさしい物理的発泡材料を調製する方法を提供し、その具体的な手順は次のとおりである。重量比3.3:6.7でLLDPE材料とPP材料をひょう量して混合し、そして、二軸スクリュー押出機に加え、押出機の各段の温度をそれぞれ190℃、190℃、220℃、220℃、220℃、230℃に調整し、溶融して押出成形によって発泡するシート材を得る、次に、発泡するシート材をPVDF棚において反応窯に入れ、反応窯の温度を摂氏92度に維持し、5時間熱処理後、室温まで温度を下げ、不活性ガス(窒素)を導入し、窯内の圧力を37MPaに維持して7.5時間飽和処理を行い、そして、反応窯内の圧力を徐々に放出し、飽和されたシート材を取り出して115℃のオーブンで20min発泡処理を行い、そしてカットして前記物理的発泡材料を得る。ここで、前記LLDPEは台湾プラスチック社の3470LLDPE(溶融指数21g/10min、密度0.924g/cm)、前記PPは台湾プラスチック社の5061ポリプロピレン(密度0.90g/cm、溶融指数7g/10min)を採用している。
【0055】
[性能試験]
出願者は、上記実施例の発泡試料を発泡して気泡の密度を計算し、圧縮変形率を測定した。ここで、気泡の密度は、発泡後の乾燥材料の重量と体積との比、圧縮変形率は試料の初期厚さと圧縮停止後の厚さ(回復完了後の厚さ)の差と、試料の初期厚さと圧縮状態下の厚さとの差の比である。その結果を表1に示す。
【表1】
【0056】
上記の試験結果からわかるように、本発明の物理的発泡法により、良好な発泡性能および気泡の密度が小さい軽量材料を調製することができ、優れた発泡効果の同時に、材料の良好な機械的特性を確保でき、優れた弾力性と圧縮性能を備え、使用中の材料機能の失効を効果的に回避することができる。
【0057】
また、本発明の添付図面からわかるように、本発明の方法によって調製された発泡材料の気泡の分布およびサイズが均一であり、基本的に球形または楕円形であり、気泡内部の並列接続などの問題がほとんどないことである。逆に、採用する方法の主要な手順とパラメータを適切に調整しないと、気泡の構造が不均一になり、隣接する気泡が互いに貫通し、不規則な気泡が現れ、さらに材料の内部で不規則な空洞構造が発生し、材料の弾力性などの機械的特性に深刻な影響を及ぼすことである。
【0058】
本発明の実施形態に開示される操作および手順は、本発明に固有の部品に関するものであり、他の手順は、当業者が熟知の操作に従って実行することができる。
【0059】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明のいかなる形態を限定するものではない。矛盾することなく、ここで開示する実施例の特徴を互いに組み合わせて新しい実施例を得ることができる。本発明の技術的解決策の範囲から逸脱することなく、当業者によって得行った任意の変更、修正および進化などの同等の変更は、本発明の同等の実施例である。
図1
図2
図3
図4