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特許7471433電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20240412BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240412BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240412BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240412BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240412BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240412BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/249
H01M10/058
H01M10/04 Z
H01M50/296
H01M50/105
H01M50/131
H01M50/119
H01M50/548 301
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/224
H01M50/233
H01M50/204 101
H01M50/271 B
H01M50/50 201Z
B60K1/04 Z
H01M50/51
H01M50/505
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022549470
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2021075186
(87)【国際公開番号】W WO2021164559
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】202010097965.2
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】胡世超
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特許第5357373(JP,B2)
【文献】中国実用新案第209776139(CN,U)
【文献】特表2012-523087(JP,A)
【文献】特許第6016080(JP,B2)
【文献】特開2018-176690(JP,A)
【文献】特開2019-036422(JP,A)
【文献】特開2019-096412(JP,A)
【文献】国際公開第2006/135162(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0173065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/058
H01M 10/04
H01M 50/10
H01M 50/50
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された電極体アセンブリアレイとを含む電池であって、前記金属ケースは、前記金属ケース内を封止し、
前記電極体アセンブリアレイは、N行、M列の電極体アセンブリを含み、各電極体アセンブリは、パッケージフィルムと、パッケージフィルム内にパッケージ化された少なくとも1つの電極体とを含み、前記パッケージフィルムは、前記パッケージフィルム内を封止し、
電池の長さ方向に、前記電極体アセンブリは、行に配列され、各行は、M個の電極体アセンブリを含み、電池の厚さ又は高さ方向に、前記電極体アセンブリは、列に配列され、各列は、N個の前記電極体アセンブリを含み、
各列のN個の電極体アセンブリは、直列接続されて電極体アセンブリ列を形成し、
M個の電極体アセンブリ列は、直列接続され、
M、Nは、1より大きい整数であり、
前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース外の気圧より低いことを特徴とする、電池。
【請求項2】
前記電極体アセンブリの長さは、電池の長さ方向に沿って延び、
各電極体アセンブリは、電極体アセンブリの長さ方向の両端から延出して電流を引き出す第1の電極引出部材と第2の電極引出部材を含み、
各列における隣接する2つの電極体アセンブリのうちの1つの電極体アセンブリの第1の電極引出部材は、もう1つの電極体アセンブリの第2の電極引出部材に電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
各列における隣接する2つの電極体アセンブリのうちの1つの電極体アセンブリの第1の電極引出部材と、もう1つの電極体アセンブリの第2の電極引出部材とは、該列の同じ側に位置することを特徴とする、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
隣接する2つの電極体アセンブリ列のうちの1つの電極体アセンブリ列の末端電極体アセンブリは、もう1つの電極体アセンブリ列の末端電極体アセンブリに電気的に接続され、
或いは、隣接する2つの電極体アセンブリ列のうちの1つの電極体アセンブリ列の1番目の電極体アセンブリは、もう1つの電極体アセンブリ列の1番目の電極体アセンブリに電気的に接続されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記電極体アセンブリの長さは、電池の長さ方向に沿って延び、
各電極体アセンブリは、電極体アセンブリの長さ方向の両端から延出して電流を引き出す第1の電極引出部材と第2の電極引出部材を含み、
隣接する2つの電極体アセンブリ列のうちの1つの電極体アセンブリ列の末端電極体アセンブリの第1の電極引出部材は、もう1つの電極体アセンブリ列の末端電極体アセンブリの第2の電極引出部材に隣接し、
或いは、隣接する2つの電極体アセンブリ列のうちの1つの電極体アセンブリ列の1番目の電極体アセンブリの第1の電極引出部材は、もう1つの電極体アセンブリ列の1番目の電極体アセンブリの第2の電極引出部材に隣接することを特徴とする、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
N個の前記電極体アセンブリは、電池の厚さ方向に沿って配列され、前記電極体アセンブリの厚さは、電池の厚さ方向に沿って延び、
前記電極体アセンブリアレイは、直列回路の電流を引き出す第1の主電極及び第2の主電極を含み、
Nは、奇数であり、第1の主電極と第2の主電極は、それぞれ電極体アセンブリアレイの対角から延出することを特徴とする、請求項2に記載の電池。
【請求項7】
前記電極体アセンブリアレイは、複数あることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記電池の長さは、400mm~2500mmであり、前記電池の厚さは、13mm~75mmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記パッケージフィルム内の気圧は、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧より低いことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記金属ケースとパッケージフィルムとの間の気圧P1は、-100Kpa~-5Kpaであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記パッケージフィルム内の気圧P2の値は、-100Kpa~-20Kpaであることを特徴とする、請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記電池は、電池の厚さ方向に沿って反対側に位置する2つの第1の表面を有し、少なくとも1つの前記第1の表面は、金属ケースの内部に窪んでいることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記2つの第1の表面は、いずれも金属ケースの内部に窪んで、電極体アセンブリアレイを挟持することを特徴とする、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記パッケージフィルムは、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、前記内層フィルムは、電極体と外層フィルムとの間に位置し、前記外層フィルムの融点は、前記内層フィルムの融点より大きく、かつ前記外層フィルムと内層フィルムの融点差は、30℃~80℃にあることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記外層フィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド及びポリプロピレンのうちの1種又は複数種の組み合わせであり、前記内層フィルムの材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートのうちの1種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする、請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記外層フィルムは、内層フィルムに接着され、接着用接着剤は、ポリオレフィン系接着剤であることを特徴とする、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記パッケージフィルムは、アルミラミネートフィルムであることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
前記金属ケースには、空気抜き孔が設けられ、前記空気抜き孔内に封止部材が設けられることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
前記金属ケースの厚さは、0.05mm~1mmであることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の電池を含むことを特徴とする、電池モジュール。
【請求項21】
複数の電池を含む電池列を含み、少なくとも1つの前記電池は、請求項1~19のいずれか一項に記載の電池であることを特徴とする、電池パック。
【請求項22】
複数の前記電池は、電池の厚さ方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、
少なくとも2つの隣接する電池の間に隙間があり、前記隙間と前記電池の厚さとの比率範囲は、0.001~0.15であることを特徴とする、請求項21に記載の電池パック。
【請求項23】
前記金属ケースは、開口を有するケース本体と、開口に封止接続されたカバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体アセンブリアレイは、前記収容キャビティ内に位置し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第1の隙間d1を含み、前記第1の隙間は、前記2つの隣接する電池の2つのカバープレートの、電池の厚さ方向に沿う最小距離であり、前記第1の隙間d1と前記電池の厚さとの比率範囲は、0.005~0.1であることを特徴とする、請求項22に記載の電池パック。
【請求項24】
前記電池は、電池の厚さ方向に沿って反対側に位置する2つの第1の表面を有し、前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第2の隙間d2を含み、前記第2の隙間は、前記2つの隣接する電池の対向する2つの第1の表面の間の最小距離であることを特徴とする、請求項22に記載の電池パック。
【請求項25】
前記電池の使用前の第2の隙間d2は、使用後の第2の隙間d2より大きいことを特徴とする、請求項24に記載の電池パック。
【請求項26】
前記電池パックは、電池パックカバー及びトレイを更に含み、前記電池パックカバーとトレイは、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、前記電池列は、電池収容キャビティ内に位置し、前記トレイは、支持部材を含み、前記金属ケースに支持領域が形成され、前記電池は、前記支持領域により前記支持部材に当接して前記支持部材に支持されることを特徴とする、請求項22に記載の電池パック。
【請求項27】
前記トレイは、支持部材であるサイドビームを含み、前記電池は、長さ方向に沿う両端がそれぞれ前記サイドビームに支持されることを特徴とする、請求項26に記載の電池パック。
【請求項28】
請求項22~27のいずれか一項に記載の電池パックを含むことを特徴とする、電気自動車。
【請求項29】
前記電池の長さ方向は、前記電気自動車の車体の長さ方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項28に記載の電気自動車。
【請求項30】
前記車体の長さは、500mm~5200mmであることを特徴とする、請求項29に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2020年2月18日に提出した、出願名称が「電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車」である中国特許出願第「202010097965.2」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に属し、特に、電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車に適用される電池パックは、一般的に、電池容量を向上させるように、複数の電池を含み、複数の電池は、電池パックのケース内に取り付けられる。
【0004】
従来技術に係る電池は、一般的に、金属ケースと、金属ケース内にパッケージ化された電極体とを含み、電池の電圧を向上させるために、複数の電極体を直列接続する解決手段もあるが、現在の内部直列接続の解決手段は、実際の応用において一定の安全上の問題が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とする。このために、本願は、安全性能がより高い電池を提供する。
【0006】
本願は、更に電池モジュールを提供する。
【0007】
本願は、更に電池パックと、該電池パックを使用する電気自動車とを提供する。
【0008】
本願の電池は、金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された電極体アセンブリアレイとを含み、前記電極体アセンブリアレイは、N行、M列の電極体アセンブリを含み、前記電極体アセンブリは、パッケージフィルムと、パッケージフィルム内にパッケージ化された少なくとも1つの電極体とを含み、電池の長さ方向に、前記電極体アセンブリは、行に配列され、各行は、M個の前記電極体アセンブリを含み、電池の厚さ又は高さ方向に、前記電極体アセンブリは、列に配列され、各列は、N個の前記電極体アセンブリを含み、各列のN個の電極体アセンブリは、直列接続されて電極体アセンブリ列を形成し、M個の電極体アセンブリ列は、直列接続され、M、Nは、1より大きい整数であり、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース外の気圧より低い。
【0009】
本願の電池において、まず、電極体をパッケージフィルム内にパッケージ化し、次に金属ケース内にパッケージ化して、二次封止を行うことにより、パッケージフィルムと金属ケースの二層封止作用により封止効果を効果的に向上させることができ、また、金属ケースとパッケージフィルムとの間の気圧差を金属ケース外の気圧より低くすることにより、金属ケースを内部電極体セットにできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体セットが金属ケース内で移動することを防止するとともに、電極体セット同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池全体の機械的強度を向上させ、電池の耐用年数を長くし、電池の安全性能を向上させ、また、本願の電極体アセンブリの配列方式により、長い電池をより容易に製造し、コストを低減するとともに、電池の放熱効率を向上させることを保証することができる。したがって、本願の解決手段により長く、強度の高い電池を容易に製造することができ、これにより、電池を電池パックのケース内に取り付ける場合、電池パック内の横ビームと縦ビームなどの支持構造の設置を減少させ、電池自体を支持体として電池を電池パックのケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パックの内部空間を節約し、電池パックの体積利用率を向上させることができ、かつ電池パックの重量を低減することに役立つ。
【0010】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0012】
図1】本願の実施例に係る電池の立体構造の概略図である。
図2】本願の実施例に係る電極体アセンブリアレイの概略構成図である。
図3】本願の実施例に係る電極体アセンブリアレイにおける電極体アセンブリの電気的接続の概略図である。
図4】本願の実施例に係る電極体アセンブリアレイにおける電極体アセンブリの電気的接続の概略図である。
図5】本願の実施例に係る金属ケースの第1の表面に凹部が形成された概略図である。
図6】本願の実施例に係る電池列の概略構成図である。
図7】本願の実施例に係る電池モジュールの概略構成図である。
図8】本願の実施例に係る電池パックの概略構成図である。
図9】本願の実施例に係る電気自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0014】
図1図4に示すように、本願は、例えば、電池パックを形成する電池100を指す電池100を提供する。電池100は、金属ケース11と、金属ケース11内にパッケージ化された電極体アセンブリアレイ14とを含み、電極体アセンブリアレイ14は、N行、M列の電極体アセンブリ12を含み、電極体アセンブリ12は、パッケージフィルムと、パッケージフィルム内にパッケージ化された少なくとも1つの電極体とを含み、電池100の長さ方向に、電極体アセンブリ12は、行に配列され、各行は、M個の電極体アセンブリ12を含み、電池100の厚さ又は高さ方向に、電極体アセンブリ12は、列に配列され、各列は、N個の電極体アセンブリ12を含み、各列のN個の電極体アセンブリ12は、直列接続されて電極体アセンブリ列13を形成し、M個の電極体アセンブリ列13は、直列接続され、M、Nは、1より大きい整数であり、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース11外の気圧より低い。
【0015】
本願の電池において、電極体をパッケージフィルム内にパッケージ化し、次に金属ケース11内にパッケージ化して、二次封止を行うことにより、パッケージフィルムと金属ケース11の二層封止作用により封止効果を効果的に向上させることができ、また、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧差を金属ケース11外の気圧より低くすることにより、金属ケース11を内部電極体アセンブリ12にできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体アセンブリ12が金属ケース11内で移動することを防止するとともに、電極体アセンブリ12同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池全体の機械的強度を向上させ、電池の耐用年数を長くし、電池の安全性能を向上させ、また、本願の電極体アセンブリの配列方式により、長い電池をより容易に製造し、コストを低減するとともに、電池の放熱効率を向上させることを保証することができる。したがって、本願の解決手段により長く、強度の高い電池を容易に製造することができ、これにより、電池を電池パックのケース内に取り付ける場合、電池パック内の横ビームと縦ビームなどの支持構造の設置を減少させ、電池自体を支持体として電池を電池パックのケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パックの内部空間を節約し、電池パックの体積利用率を向上させることができ、かつ電池パックの重量を低減することに役立つ。
【0016】
図1~4に示すように、本実施例の電極体アセンブリ12の長さは、電池の長さ方向に沿って延び、電極体アセンブリ12は、それぞれ電極体アセンブリ12の長さ方向の両端から延出して電流を引き出す第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122を含み、第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122の数は、限定されず、ここでは電極体の2つの異なる電極引出部材のみを代表する。各列における隣接する2つの電極体アセンブリ12のうちの1つの電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121は、もう1つの電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122と電気的に接続される。
【0017】
例えば、各列における隣接する2つの電極体アセンブリ12のうちの1つの電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121と、もう1つの電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、該列の同じ側に位置し、接続がより簡単であり、電池の安全性能を更に向上させ、電池のコストを低減し、第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122の接続は、直接接続であってもよく、導電部材を介した接続などの間接接続であってもよい。
【0018】
図2~4に示すように、本実施例の隣接する2つの電極体アセンブリ列13のうちの1つの電極体アセンブリ列13の末端電極体アセンブリ12は、もう1つの電極体アセンブリ列13の末端電極体アセンブリ12に電気的に接続され、或いは、隣接する2つの電極体アセンブリ列13のうちの1つの電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12は、もう1つの電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12に電気的に接続され、これにより、電極体アセンブリ列13の直列接続を実現する。隣接する2つの電極体アセンブリ列13のうちの1つの電極体アセンブリ列13の末端電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121は、もう1つの電極体アセンブリ列13の末端電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122に隣接し、或いは、隣接する2つの電極体アセンブリ列13のうちの1つの電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121は、もう1つの電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122に隣接し、接続がより簡単であり、電池の安全性能を更に向上させ、電池のコストを低減し、第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122の接続は、直接接続であってもよく、導電部材を介した接続などの間接接続であってもよい。
【0019】
本願の実施例において、N個の電極体アセンブリ12は、電池の厚さ方向に沿って配列され、電極体アセンブリ12の厚さは、電池の厚さ方向に沿って延びる。上記直列接続方式により、電極体アセンブリアレイ14は、直列回路の電流を引き出す第1の主電極141及び第2の主電極142を含む。図3に示すように、まず厚さ方向に沿って配列された3つの電極体アセンブリ12を直列接続し、3番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、2番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、2番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、1番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、1番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、次の電極体アセンブリ列13に電気的に接続される。
【0020】
図3に示すように、3つの電極体アセンブリは、接続されて「S」字形の電極体アセンブリ列13を形成する。上記形成された電極体アセンブリ列13である1番目の電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、2番目の電極体アセンブリ列13の1番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、この2つの電極引出部材は、隣接し、次に、順に、この2番目の電極体アセンブリ列13において、1番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、2番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、2番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、3番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、3番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、次の電極体アセンブリ列13に電気的に接続される。
【0021】
2番目の電極体アセンブリ列13の3番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、3番目の電極体アセンブリ列13の3番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、この2つの電極引出部材は、隣接し、次に、順に、この3番目の電極体アセンブリ列13において、3番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、2番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、2番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、1番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121に接続され、かつこの2つの電極引出部材は、同じ側にあり、1番目の電極体アセンブリ12の第2の電極引出部材122は、第2の主電極142を引き出す。
【0022】
1番目の電極体アセンブリ列13の3番目の電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121は、第1の主電極141を引き出し、第1の主電極141と第2の主電極142は、それぞれ電極体アセンブリアレイ14の対角から延出する。ここでは、図面のみからその接続関係を説明し、その製造時の具体的な接続順序は、本実施例に限定されず、実際の状況に応じて調整することができる。
【0023】
図4に示すように、上記得られた電極体アセンブリアレイ14をさらに直列接続することができ、上記1番目の電極体アセンブリアレイ14の第2の主電極142は、2番目の電極体アセンブリアレイ14の第1の主電極141に接続され、この2つの主電極は、同じ側に位置し、かつ最適に隣接する。他の実施例において、2つの電極体アセンブリアレイ14の直列接続に限定されず、複数の電極体アセンブリアレイ14の直列接続であってもよく、各電極体アセンブリアレイ14におけるM、Nの数は、同じであっても異なってもよく、すなわち各電極体アセンブリアレイ14における電極体アセンブリの数は、同じであっても異なってもよい。
【0024】
本願において、言及された電極体は、動力電池の分野で一般的に使用される電極体であり、巻回して形成された電極体であってもよく、積層の方式で製造された電極体であってもよく、一般的に、電極体は、少なくとも正極板、セパレータ及び負極板を含む。本願において、電極体アセンブリ内の電極体は、1つであっても複数であってもよく、一般的には、複数の電極体は、並列接続される。なお、電極体アセンブリは、電池自体として理解されず、本願において言及された電池は、独立した単電池であり、複数の電極体アセンブリを含むため、電池モジュール300又は組電池として簡単に理解すべきではない。
【0025】
電極体アセンブリ12の第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122は、それぞれパッケージフィルムから延出する。電極体アセンブリ12が1つの電極体のみを含む場合、第1の電極引出部材121と第2の電極引出部材122は、それぞれ電極体の正極タブと負極タブであってもよいか、又はそれぞれ負極タブと正極タブであってもよい。電極体アセンブリ12が複数の電極体を含む場合、第1の電極引出部材121は、正極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、第2の電極引出部材122は、負極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、或いは、第1の電極引出部材121は、負極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、第2の電極引出部材122は、正極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよい。第1の電極引出部材121及び第2の電極引出部材122の「第1」及び「第2」は、名称の区別のみに用いられ、数を限定するものではなく、例えば、第1の電極引出部材121は、1つであっても複数であってもよい。
【0026】
金属ケース11は、開口を有するケース本体111と、開口に封止接続されたカバープレート112とを含み、カバープレート112は、ケース本体111とともに封止された収容キャビティを形成し、電極体アセンブリアレイ14は、該収容キャビティ内に位置する。第1の主電極141及び第2の主電極142は、カバープレート112から引き出される。カバープレート112の数は、本願に限定されず、1つであってもよく、2つであってもよく、内部電極体アセンブリアレイ14の設計に基づいてケース本体111の開口の位置及びカバープレート112の数を設計することができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、ケース本体111は、両端が開口してもよく、カバープレート112の数は、2つであってもよいため、2つのカバープレート112は、それぞれケース本体111の両端の開口に封止接続されて、封止された収容キャビティを形成する。このような方式において、電極体アセンブリアレイ14の第1の主電極141と第2の主電極142は、同一のカバープレート112から引き出されてもよく、それぞれ2つのカバープレート112から引き出されてもよく、これを限定しない。いくつかの実施形態において、ケース本体111には、一端のみに開口が形成されてもよく、カバープレート112の数は1つであるため、1つのカバープレート112は、ケース本体111の一端の開口に封止接続される。このような方式において、電極体アセンブリアレイ14の第1の主電極141と第2の主電極142は、同一のカバープレート112から引き出される。
【0028】
本願の実施例において、電極体は、パッケージフィルム内にパッケージ化され、すなわち、金属ケース11と電極体との間にパッケージフィルムが更に設けられる。これにより、パッケージフィルムと金属ケース11により電極体に対する二次パッケージを実現することができ、電池の封止効果を向上させることに役立つ。一般的に、パッケージフィルム内に電解液がある。したがって、上記方式により、更に電解液と金属ケース11との接触を回避し、金属ケース11の腐食又は電解液の分解を回避することができる。金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース11外の気圧より低い。本願において、「気圧」は、大気圧の略称である。それは、単位面積当たりに作用する気体の圧力を指し、すなわち単位面積において、大気上界まで上方に延びる垂直空気柱の重量に等しい。金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルムとの間に位置する空間内の気圧であり、該気圧は、金属ケース11外の気圧より低く、したがって、本願の実施例において、金属ケース11とパッケージフィルムとの間が負圧状態にあるため、金属ケース11が大気圧によって窪むか又は変形すると、金属ケース11と電極体アセンブリとの間の隙間がそれに伴って小さくなり、電極体アセンブリが移動するか又は互に変位する空間が小さくなり、更に電極体アセンブリの移動及び電極体アセンブリ同士の相対変位を減少させ、電池100の安定性、強度及び安全性能を向上させることができる。
【0029】
例えば、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより、金属ケース11とパッケージフィルムとの間を負圧状態にすることにより、金属ケース11を内部の電極体アセンブリにできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体アセンブリが金属ケース内で移動することを防止するとともに、電極体アセンブリ同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池全体の機械的強度を向上させ、電池の耐用年数を長くし、電池の安全性能を向上させる。
【0030】
一実施形態において、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧は、P1であり、P1の値の範囲は、-100Kpa~-5Kpaであってもよく、
勿論、当業者は、実際の需要に応じてP1の値を設定することができる。例えば、P1の値は、-75Kpa~-20Kpaであってもよい。なお、金属ケース11とパッケージフィルムとの間は、真空状態にあってもよい。
【0031】
パッケージフィルム内の気圧は、P2であり、P1とP2との関係は、P1/P2の範囲は、0.05~0.85である。P2の値は、-100Kpa~-20Kpaであってもよい。
【0032】
P1、P2及びP1/P2を上記範囲内に限定し、本技術における電極体は、二次封止のモードを使用し、まず電極体をパッケージフィルム内にパッケージ化し、内部の気圧が大きすぎてパッケージフィルムが外向きに膨出することによるパッケージフィルムの破損を回避するために、本発明者らは、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧がパッケージフィルム内の気圧より大きいことを選択する。また、本発明者らは、多くの実験により、P1/P2が上記範囲にある場合、電池の二次封止の信頼性をよく保証するとともに、電池極板の間の界面を保証し、極板の間の隙間を回避し、リチウムイオンをよりよく伝導させることを検証した。
【0033】
いくつかの実施形態において、パッケージフィルム内の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧より低い。
【0034】
本願の配列方式により、電極体アセンブリ12同士の2つずつの直列接続を容易に実現することができ、接続構造が簡単である。また、このような配列方式により長い電池100を容易に製造することができ、これにより、電池100を電池パックのケース内に取り付ける場合、横ビーム及び縦ビームなどの支持構造を設ける必要がなく、電池100自体の金属ケース11を支持体として電池100を電池パックのケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パックの内部空間を節約し、電池パックの体積利用率を向上させることができ、かつ電池パックの重量を低減することに役立つ。
【0035】
電池は、ほぼ直方体であり、電池の長さLは、400mm~2500mm(ミリメートル)であり、例えば500mm、1000mm又は1500mmなどであってもよい。電極体を1つのみ設ける従来の方式に比べて、電池内に複数の電極体アセンブリを設けることにより、長い電池をより容易に製造することができ、従来の電池において、電池が長くなると、集電体として使用される内部の銅アルミニウム箔の長さがそれに応じて増加して、電池の内部の抵抗を大幅に大きくし、現在ますます高くなる電力及び急速充電の要件を満たすことができない。電池の長さが同じである場合、本願の実施例は、電池の内部の抵抗を大幅に小さくし、高電力出力、急速充電などの場合の電池の過熱などによる問題を回避することができる。
【0036】
電池の厚さDは、10mmより大きくてもよく、例えば13mm~75mmの範囲であってもよい。本願の実施例において、電池の長さと厚さとの比率は、5~250である。
【0037】
本願の実施例において、電池は、電池の厚さ方向に沿って反対側に位置する2つの第1の表面113を有し、該第1の表面113は、電池の最大表面で、すなわち、電池の「大きな表面」である。少なくとも1つの第1の表面113は、金属ケース11の内部に窪むことにより、金属ケース11と電極体アセンブリをできるだけ貼り合わせることができる。
【0038】
金属ケース11は、厚さが小さく、薄いシートであるため、電池の第1の表面113上の凹部114は、例えば、金属ケース11内から空気抜きする場合に形成された凹部であってもよい。すなわち、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧が金属ケース11外の気圧より低い場合、空気抜きの進行に伴い、電池の第1の表面113は、金属ケース11内に窪んで凹部114を形成しやすい。
【0039】
電池が正常に使用される過程において、材料自体の膨張、電解液のガス発生などにより、電池は、一般的に膨張し、通常、膨張変形が最大の領域が電池の大きな表面に位置する。本技術を使用して、電池の初期状態の場合に、真空引きにより大きな表面がわずかに内側に窪むように形成され、電池膨張後の電池の間の押圧を効果的に緩和し、電池及びシステム全体の耐用年数、安全性能などを向上させることができる。
【0040】
他のいくつかの実施例において、図5に示すように、金属ケース11の第1の表面113に凹部を予め形成し、次に金属ケース11内に空気抜き処理を行うことであってもよい。金属ケース11の第1の表面113上の凹部114は、複数あってもよく、例えば、第1の表面113に複数の凹部114を予め形成し、各凹部の位置は、1つの電極体アセンブリの所在する位置に対応する。
【0041】
いくつかの実施形態において、電池の反対側に位置する2つの第1の表面113は、いずれも内部に窪んで、窪んだ領域により電極体アセンブリを挟持する。
【0042】
金属ケース11に空気抜き孔を設け、該空気抜き孔により金属ケース11とパッケージフィルムとの間の空間に対して空気抜き操作を行うことができる。該空気抜き孔を封止する必要があるため、空気抜き孔内には、空気抜き孔を封止する封止部材が更に設けられる。該封止部材は、例えば、プラグ、ゴム部材などであってもよく、これを限定しない。
【0043】
いくつかの実施形態において、金属ケース11から空気抜きする前に、電極体アセンブリと金属ケース11の内表面との間に隙間が設けられ、該隙間により電極体アセンブリを金属ケース11の内部に取り付けやすく、金属ケース11から空気抜きした後、金属ケース11が第2の方向に沿って電極体アセンブリの外表面に押圧されて電極体アセンブリを挟持することにより、電極体アセンブリが金属ケース内部に移動する空間を小さくし、電池の安全性能を向上させる。
【0044】
本願の実施例において、金属ケース11は、従来のアルミラミネートフィルムと異なる。アルミラミネートフィルムは、相対的に放熱効果が低く、強度が低く、かつ製造プロセスにより制限され、アルミラミネートフィルムを電池100のケースとして使用して厚さが大きい電池100を製造することができない。金属ケース11は強度が高く、放熱効果が高く、金属ケース11は、アルミニウムケース又は鋼ケースを含むが、それらに限定されない。
【0045】
いくつかの実施例において、金属ケース11の厚さは、0.05mm~1mmである。金属ケース11の厚さが厚いと、電池100の重量を増加させ、電池100の容量を低下させる可能性があり、かつ本願を実現しにくい。本実施例は、金属ケース11の厚さを上記範囲内に限定することにより、金属ケース11の強度を保証するだけでなく、電池100の容量を低下させることもなく、更に負圧の状態で、金属ケース11がより変形しやすく、金属ケース11と電極体アセンブリとの間の間隔を小さくすることにより、電極体アセンブリの金属ケース11内部の移動と電極体アセンブリ同士の相対変位とを減少させる。
【0046】
本願において、パッケージフィルムは、アルミラミネートフィルムであり、或いは、パッケージフィルムは、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、内層フィルムは、外層フィルムと電極体セットとの間に位置する。内層フィルムは、化学的安定性が高く、例えば、耐電解液腐食性を有する材料、例えば、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)、ポリエチレン(PE、Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)、又は上記材料のうちの複数種の組み合わせを使用してもよい。外層フィルムは、保護層であり、外層フィルムを利用して空気、特に水蒸気、酸素などの浸透を阻止することができ、その材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA、Polyamide)又はポリプロピレンであってもよく、上記材料の複数種の組み合わせであってもよい。本実施例のパッケージフィルムにおいて、外層フィルムの融点が内層フィルムの融点より大きいため、熱融着して封止する場合、外層フィルムが溶融されず、内層フィルムがタイムリーに溶融することにより優れた密封性を保証することができる。
【0047】
外層フィルムと内層フィルムの融点差は、30℃~80℃の間にあってもよく、例えば、両者の融点差は、50℃又は70℃などであってもよく、具体的な材料は、実際の需要に応じて選択することができる。外層フィルムと内層フィルムとは、接着剤で接着して複合される。例えば、接着して複合フィルムを形成するために、外層フィルムの材料は、PPであってもよく、内層フィルムの材料は、PETであってもよく、両者を接着する接着剤は、例えば、ポリオレフィン系接着剤であってもよい。本実施例は、二層非金属膜を使用してパッケージフィルムを形成して電極体をパッケージ化し、引張強度及び破断伸度がより高くなり、電池の厚さに対する制限を減少させることができるため、製造された電池は、厚さがより大きくなる。本実施例の電池の厚さは、拡張可能な範囲が大きく、例えば10mmより大きく、例えば、13mm~75mmの範囲にあってもよい。
【0048】
本願の一実施例において、電池は、リチウムイオン電池である。
【0049】
図7に示すように、本願の別の態様において、上記いずれかの実施例の電池を含む電池モジュール300を提供する。本願に係る電池モジュール300を使用することにより、密封性が高く、組立プロセスが少なく、電池のコストが低い。
【0050】
図6及び図8を参照して、本願は、電池列21を含む電池パック200を更に提供し、電池列21は、複数の電池100を含み、電池100は、上記いずれかの実施例に記載の電池100であるため、電池100の具体的な構造についてはここでは説明を省略する。
【0051】
電池列21は、1つであっても複数であってもよく、各電池列21における電池100は、1つあっても複数であってもよく、実際の製造において、電池100の数は、実際の需要に応じて設定することができ、電池列21の数も、実際の需要に応じて設定することができ、本願は、これを具体的に限定しない。
【0052】
本願の実施例において、複数の電池100は、電池の厚さ方向に順に配列されて電池列21を形成する。少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と電池100の厚さとの比率範囲は、0.001~0.15である。
【0053】
なお、2つの隣接する電池100の隙間は、電池の動作時間の増加に伴って変化するが、動作中又は動作後又は電池の出荷前であっても、電池の間の隙間と厚さとの比率範囲が本願に限定された範囲内にあれば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0054】
本願において、電池100の間に残した一定の隙間は、電池100が膨張する場合に緩衝空間とすることができる。
【0055】
本願は、電池100の間の隙間と電池100の厚さとの比率を0.001~0.15に限定し、電池パック200の空間を十分に利用し、電池パック200の利用率を向上させるだけでなく、電池100の膨張に対して優れた緩衝効果を果たすことができる。
【0056】
また、電池100が膨張する場合に発熱するため、電池100の間に一定の隙間を残し、該隙間は、更に放熱通路、例えば、空気ダクトとして機能することができ、電池100の面積の大きい表面の放熱効果がより高いため、電池パック200の放熱効率を向上させ、電池パック200の安全性能を向上させることができる。
【0057】
上記解決手段において、電池100の間の隙間は、電池100の間にいかなる構造部材が設けられず、単純に一定の空間を残すと理解することができ、更に、電池100に他の構造部材が設けられることにより電池100と電池100とが該構造部材により隔てられると理解することができる。
【0058】
なお、電池100の間に構造部材が設けられる場合、電池100の間の隙間は、該構造部材と電池100との間の間隔ではなく、該構造部材の両側の電池100の間の距離であると理解すべきである。
【0059】
なお、構造部材と該構造部材の両側の電池100との間には、一定の隙間を残してもよく、直接的に接触してもよく、構造部材が両側の電池100と直接的に接触する場合、構造部材は、一定の可撓性を有する必要があり、電池100が膨張する場合に緩衝作用を果たすことができる。構造部材としては、エアロゲル、熱伝導性構造用接着剤又は断熱綿を含むが、それらに限定されない。
【0060】
本願において、電池列21が複数ある場合、隙間は、異なる電池列21における隣接する2つの電池の間の間隔ではなく、同一の電池列21における隣接する2つの電池100の間の間隔を指すべきである。また、同一の電池列21において、全ての隣接する2つの電池の間にいずれも一定の隙間を残してもよく、一部の隣接する2つの電池の間に一定の隙間を残してもよい。
【0061】
一実施形態において、2つの隣接する電池100の間の隙間は、第1の隙間d1を含み、第1の隙間d1は、2つの隣接する電池の2つのカバープレート112の電池の厚さ方向に沿う最小距離として定義され、かつ第1の隙間d1と電池の厚さとの比率範囲は、0.005~0.1である。
【0062】
上記実施形態において、カバープレート112は、強度が高いため、ケース本体111に対して、膨張しにくく、電池100が一定の期間動作した後に、内部に化学反応が発生し、電池100が膨張して隣接する電池100を押圧し、第1の隙間d1が変化しても(例えば、徐々に増大する)、該変化の程度が小さく、無視することができ、或いは、変化しても、第1の隙間と電池100の厚さの比率は、依然として上記範囲を満たす。上記実施形態において、ケース本体111の両端にそれぞれカバープレート112が設けられ、電池100が厚さ方向に沿って電池列21に配列される場合、2つの電池100の間の隙間は、電池列の同一の端部に位置する2つのカバープレートの電池の厚さ方向に沿う最小間隔であってもよく、電池列の異なる端部に位置する2つのカバープレートの電池の厚さ方向に沿う最小間隔であってもよい。
【0063】
一実施形態において、2つの隣接する電池100の間の隙間は、第2の隙間d2を含み、第2の隙間d2は、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面の間の最小距離である。電池100の使用前の第2の隙間d2は、使用後の第2の隙間d2より大きい。
【0064】
「使用前」は、電池100が組立完了後に出荷する前又は出荷されたが、外部に電力を供給し始める前であると理解することができ、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後であると理解することができる。例えば、電池パック200は、電気自動車1000に組み立てられる場合、使用前の状態は、新車の状態として理解することができ、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0065】
該実施形態において、第2の隙間は、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面の間の最小間隔を指すべきであり、該間隔は、電池の使用時間の増加に伴って徐々に小さくなり、主に、電池が膨張した後、隣接する2つの大きな表面の間の間隔が徐々に小さくなるためである。
【0066】
本願の実施例において、電池パック200は、電池パックカバー及びトレイ22を更に含む。図8のグラフにおいて電池パックカバーは示されていない。電池パックカバーとトレイ22は、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、電池列21は、電池収容キャビティ内に位置する。トレイ22は、支持部材221を含み、電池100の金属ケース11に支持領域が形成され、電池100は、支持領域により支持部材221に当接して支持部材221に支持される。
【0067】
トレイ22は、支持部材221であるサイドビームを含み、電池100は、長さ方向に沿う両端がそれぞれサイドビームに支持される。
【0068】
本願の実施例の電池100において、金属ケース11とパッケージフィルムとの間の気圧は、負圧であり、電池全体の強度を向上させることができるため、電池100を自体の強度で支持してトレイ22に直接的に取り付けることができ、これにより、トレイ22に横ビーム又は縦ビームなどの構造を設けて電池100を支持する必要がなく、電池パックの内部空間の利用率を向上させることに役立つ。
【0069】
電気自動車1000は、上記電池パック200を含む。本願に係る電気自動車1000を使用すると、車両の航続能力が高く、コストが低い。
【0070】
電池の長さ方向は、電気自動車1000の車体の長さ方向に沿って配置され、車体の長さは、500mm~5200mmである。
【0071】
なお、本願の説明において、別に明らかな規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0072】
本明細書の説明において、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0073】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9