(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】オフロード及びロールオーバー検出により作動可能な保護装置を制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/0132 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B60R21/0132 330
(21)【出願番号】P 2022554508
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 IB2020052258
(87)【国際公開番号】W WO2021181138
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】バートレット・チャールズ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン・チュンチー
(72)【発明者】
【氏名】バラスブルマニアン・キラン
(72)【発明者】
【氏名】イェ・ホワン-ファーン
(72)【発明者】
【氏名】ザファロン・ルカ
(72)【発明者】
【氏名】プテット・アドリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】レイェル・マチェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・チャク
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-200951(JP,A)
【文献】特開2007-001536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0179042(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0141936(US,A1)
【文献】特開2009-143555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/0132
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両乗員の保護を補助するための作動可能な拘束装置と、車両ロールオーバー事象に応じた作動可能な拘束装置の作動を制御するための制御装置とを含む車両安全システムであって、車両が通常の使用において動作しているかどうかを特定するように構成されたオフロード検出メトリックを実行するように制御装置が構成されており、制御装置が、1つ又は複数のあらかじめ規定されたロールレート閾値を超える大きさを有する車両ロールレート(R_RATE)に対応してロールオーバー事象の発生を識別するように構成されたロールオーバー識別メトリックを実行するようにも構成されており、車両が通常の使用において動作していることの特定に対応して、制御装置が、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出する通常のロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されており、車両がオフロード使用において動作していることの特定に対応して、制御装置が、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出するオフロードロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されている
おり、オフロード検出メトリックが、車両が通常の使用において動作されているか、又はオフロード使用において動作されているかを特定するために、時間にわたって車両のロール角(R_ANGLE)を評価するように構成されており、オフロード検出メトリックが、ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側ロール閾値と、負のロール角を示す下側ロール閾値の両方を超過する車両ロール角に対応してオフロード使用を特定するように構成されていることを特徴とする車両安全システム。
【請求項2】
オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、オンである通常の安全化関数及び/又はロールオーバー事象を分類する特定の分類アルゴリズムと、オフロードロールオーバー閾値を超えるロールオーバー識別メトリックとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項3】
オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、以下の全ての条件:
ロールオーバー識別メトリックが、ロールオーバー事象の特定のタイプを識別するロールオーバー閾値を超過すること;
ロールオーバー分類アルゴリズムが、ロールオーバー識別メトリックによって識別されるロールオーバーの特定のタイプに一致するロールオーバー事象を分類すること;及び
ロール加速度(D_RATE)メトリックが所定のD_RATE閾値より上に維持されること
が満たされることに対応して車両ロールオーバー事象を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項4】
ロールオーバー事象の特定のタイプが、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであることを特徴とする請求項
3に記載の車両安全システム。
【請求項5】
ロールオーバー分類アルゴリズムが、リセット閾値を超過するロールオーバー識別メトリック又はゼロに等しい車両ロール角(R_ANGLE)に対応して分類をリセットするように構成されていることを特徴とする請求項
3に記載の車両安全システム。
【請求項6】
ロールオーバー分類アルゴリズムが、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックとに対応してロールオーバー事象を分類するように構成されていることを特徴とする請求項
3に記載の車両安全システム。
【請求項7】
D_RATEメトリックが、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象を識別するためのあらかじめ規定された閾値を含んでいることを特徴とする請求項
6に記載の車両安全システム。
【請求項8】
通常のロールオーバー展開アルゴリズムが、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックと、ロールオーバー事象を分類する特定のロールオーバー分類アルゴリズムとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項9】
通常のロールオーバー展開アルゴリズムが、以下のこと:
通常の閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び通常の安全化関数がオンであることに対応して通常のロールオーバー事象の発生を特定すること
傾斜路閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び傾斜路分類アルゴリズムがオンであることに対応して傾斜路ロールオーバー事象の発生を特定すること
溝閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び溝分類アルゴリズムがオンであることに対応して溝ロールオーバー事象の発生を特定すること
硬質土/縁石閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び硬質土/縁石分類アルゴリズムがオンであることに対応して硬質土/縁石ロールオーバー事象の発生を特定すること
中間質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び中間質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して中間質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
軟質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び軟質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して軟質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
のうち少なくとも1つを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項10】
車両横方向Y軸加速度を感知し、感知した車両横方向Y軸加速度(AMA_Y)を示す信号を提供するための加速度計と、車両垂直方向Z軸加速度を感知し、感知した車両垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)を示す信号を提供するための加速度計と、車両ロール値を感知し、感知した車両ロール値を示す信号を提供するためのロールセンサとを更に含み、制御装置が、オフロード検出メトリックと、ロールオーバー識別メトリックと、通常のロールオーバー展開アルゴリズムと、オフロードロールオーバー展開アルゴリズムとを加速度計及びロールレートセンサによって提供される信号を用いて実行するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項11】
作動可能な拘束装置が、シートベルトアンカプリテンショナ、シートベルトリトラクタプリテンショナ、カーテンエアバッグ、胸部エアバッグ及びサイドエアバッグのうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項12】
車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することと、
車両がオンロードで運転されている場合に作動可能な拘束装置の作動を必要とするロール事象を車両が受けているかどうかを特定することと、
車両のロール加速度(D_RATE)がロール事象が継続していることの特定に対応して、作動可能な拘束装置を作動させることと
を含む、車両ロールオーバー事象に対応して作動可能な拘束装置の作動を制御するための方法。
【請求項13】
車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することが、
時間にわたる車両ロール角(R_ANGLE)を評価することと、
ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側のロール閾値及び負のロール角を示す下側のロール閾値の両方を超過するR_ANGLEに対応して車両がオフロードで運転されていることを特定することと
を含むことを特徴とする請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、ロールオーバー識別メトリックがロールオーバー閾値を超えるかどうかを特定するためにロールレート(R_RATE)に対するロール角(R_ANGLE)をプロットするロールオーバー識別メトリックを評価することを含むことを特徴とする請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、特定のタイプのロールオーバー事象の発生を特定するためにロールオーバー分類アルゴリズムを評価することを更に含むことを特徴とする請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
ロールオーバー分類アルゴリズムを評価することが、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックを評価することと
を含むことを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
ロールオーバー事象の特定のタイプが、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであることを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
作動可能な拘束装置と、請求項
12に記載の方法により作動可能な拘束装置の作動を制御するように構成された制御装置とを含む車両安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の作動可能な乗員保護装置を制御するための方法及び装置に関するものであり、特に、通常走行状態及びオフロード走行状態の両方におけるロールオーバー事象に対応して保護装置を制御するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両安全システムは、エアバッグ制御ユニット(「ACU」)と呼ばれることがある中央制御ユニットを含んでおり、当該中央制御ユニットは、ACUでの、及びACUから離れて、車両を巻き込む衝突事象の発生を検出し、当該事象がエアバッグ及びシートベルトリアクタのような作動可能な拘束装置の作動を必要とする可動かを特定するためにセンサを用いる。ACUによって用いられるセンサは、加速度計と、衝撃センサ、シートベルトバックルスイッチ、シートプレッシャスイッチ、操舵角センサなどのような他のセンサとを含むことが可能である。これらセンサからのデータを用いて、ACUは、車両の衝突事象の発生を特定することができるとともに、衝突事象を特定のタイプのうち1つとして分類する識別アルゴリズムを実行することが可能である。ACUは、衝突事象の特定のタイプに従い作動可能な拘束装置を作動させることが可能である。
【0003】
車両安全システムにとって、車両が巻き込まれ得る様々な衝突事象間で識別することが望ましい。衝突事象を「識別」することは、衝突事象の1つの特定のタイプであるとして衝突事象を分類することを意味することができ、衝突事象の他の退部から衝突事象を区別することができる。車両安全システムが1つの特定のタイプとして衝突事象を識別又は確認することができれば、作動可能な拘束装置は、衝突事象の当該特定のタイプに適合した態様で作動されることが可能である。ここで用いられる「衝突事象」は、車両に関連する様々な事象を包含するために用いられることが可能である。例えば、衝突事象は、車両が異なるタイプの構造物と衝突し、衝撃を与え、そのほか関連する衝突又は衝撃であり得る。当該衝突事象は、他の車両のような変形可能な障害物との衝突又は樹木若しくは電柱のような変形不能な障害物との衝突であり得る。他の例として、衝突事象は、車両の横転/転覆に起因する車両の衝撃が生じるロールオーバー(横転/転覆)事象のような事象も含み得る。ロールオーバー事象は、車両が横向きにすべり、縁石にぶつかること、道路の側方で盛り土若しくは溝をすべり落ちるか若しくは道路から外れること、又は坂道のような傾斜路をすべるか若しくは道路から外れることに起因し得る。
【0004】
車両安全システムは、作動可能な拘束装置の展開が所望される事象(「展開事象」)を作動可能な拘束装置の展開が所望されない事象(「非展開事象」)から識別するように構成又は適合されることができる。衝突識別は、事象のタイプの特定、例えば、変形可能な障害物、変形不能な障害物、前方衝撃衝突、後方衝撃衝突、側方衝撃衝突、斜め衝突、オフセット衝突、ロールオーバーなどの特定を必要とする。衝突識別は、衝突の重大性の特定と、作動可能な拘束装置が安全な態様で展開されることを保証するためのチェックとして機能する安全化関数を実施することも必要とする。
【0005】
以上のことから、車両が巻き込まれる衝突事象のタイプ及び/又は重大性に対応して安全システムにおける作動可能な拘束装置の作動及びタイミングを制御することが望ましいことがあり得ることが理解される。感知された衝突事象に対応してどの乗員保護装置を作動させるかを特定するために、安全システムは、衝突事象のタイプ間で識別するための衝突評価プロセスを実施することが可能である。確認された衝突事象が重大性閾値に適合するか、又は超過し、安全化関数が合致する場合には、作動可能な拘束装置は、識別された事象タイプに見合った態様で作動されることが可能である。
【0006】
自動車の安全性について、安全基準は、長年にわたって、「限界に挑む」ために修正され、アップデートされている。結果として、自動車製造者は、基準を遵守するために、その製品の安全性を継続的に改善するように迫られている。基準がより厳格になるにつれて、安全システムは、適応し、より複雑かつ有能となる。車両安全システムの進化によって、衝突分類がシステムの効率の特定の補助となる重要項目のうちの1つであることがわかった。安全システムが安全基準によって規定された衝突事態を正確かつロバストに認識することができれば、基準が想定する事故に巻き込まれた乗員にとって最良の結果をもたらすように適合された対策を講じることが可能である。
【0007】
車両安全システムは様々な衝突事象を識別する能力と共に開発されてきているものの、車両安全システムが適切な応答動作をとれるように、衝突事象間の更なる分類及び識別のための継続的なニーズが存在する。衝突事象のうち、識別が所望され得る衝突事象はロールオーバー事象である。
【0008】
ロールオーバー事象に対応して、サイドエアバッグ(カーテンエアバッグ、胸部エアバッグ)及び/又はシートベルトプリテンショナのような安全装置を作動させることが望ましい。ロールオーバー事象は、様々な事態において生じ得る。例えば、車両は、コントロールを失い、隣接する草地/土へ道路から横方向へすべり出るか、盛り土へ、溝へ、又は傾斜路又は坂道へ至ることがあり得る。他の例として、車両は、コントロールを失い、縁石のような低い障害物へ横方向へすべることがあり得る。これら事態のいずれにおいても、生じるロールオーバー事象の大きさは、1つ又は複数の車両安全装置の作動を保証する(必要とする)ことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一部の車両は、実用性としての、又はレクリエーションの目的でのオフロード使用に適合されている。オフロード使用中には、車両は、急な運動、激しい、又は急な発進/停止、急坂、全ての方向における激しい揺れなどを受けがちであり得る。しかしながら、あるオフロード走行中及びロールオーバー事象の初期段階での車両の運動は車両安全システムによって感知されることができ、ロールオーバーの一部は、類似し得るとともに、センサに対する類似の信号となることがあり、潜在的に安全装置の不意の作動につながることがある。オフロードの非ロールオーバー事象を実際のロールオーバー事象から更に区別する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、車両安全システムは、車両乗員の保護を補助するための作動可能な拘束装置と、車両ロールオーバー事象に応じた作動可能な拘束装置の作動を制御するための制御装置とを含んでいる。制御装置は、車両が通常の使用において動作しているかどうかを特定するように構成されたオフロード検出メトリックを実行するように構成されている。制御装置は、1つ又は複数のあらかじめ規定されたロールレート閾値を超える大きさを有する車両ロールレート(R_RATE)に応じてロールオーバー事象の発生を判定するように構成されたロールオーバー判定メトリックを実行するようにも構成されている。車両が通常の使用において動作していることの特定に対応して、制御装置は、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出する通常のロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されている。車両がオフロード使用において動作していることの特定に対応して、制御装置が、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出するオフロードロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されている。
【0011】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、オフロード検出メトリックは、車両が通常の使用において動作されているか、又はオフロード使用において動作されているかを特定するために、時間にわたって車両のロール角(R_ANGLE)を評価するように構成されることが可能である。
【0012】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、オフロード検出メトリックは、ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側ロール閾値と、負のロール角を示す下側ロール閾値の両方を超過する車両ロール角に対応してオフロード使用を特定するように構成されることが可能である。
【0013】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、オンである通常の安全化関数及び/又はロールオーバー事象を分類する特定の分類アルゴリズムと、オフロードロールオーバー閾値を超えるロールオーバー識別メトリックとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されることが可能である。
【0014】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、以下の全ての条件:ロールオーバー識別メトリックが、ロールオーバー事象の特定のタイプを識別するロールオーバー閾値を超過すること;ロールオーバー分類アルゴリズムが、ロールオーバー識別メトリックによって識別されるロールオーバーの特定のタイプに一致するロールオーバー事象を分類すること;及びロール加速度(D_RATE)メトリックが所定のD_RATE閾値より上に維持されることが満たされることに対応して車両ロールオーバー事象を検出するように構成されることが可能である。
【0015】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロールオーバー事象の特定のタイプは、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであり得る。
【0016】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロールオーバー分類アルゴリズムは、リセット閾値を超過するロールオーバー識別メトリック又はゼロに等しい車両ロール角(R_ANGLE)に対応して分類をリセットするように構成されることが可能である。
【0017】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロールオーバー分類アルゴリズムは、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックと
に対応してロールオーバー事象を分類するように構成されることが可能である。
【0018】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、D_RATEメトリックは、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象を識別するためのあらかじめ規定された閾値を含むことができる。
【0019】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、通常のロールオーバー展開アルゴリズムは、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックと、ロールオーバー事象を分類する特定のロールオーバー分類アルゴリズムとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されることが可能である。
【0020】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、通常のロールオーバー展開アルゴリズムは、以下のこと:
・通常の閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び通常の安全化関数がオンであることに対応して通常のロールオーバー事象の発生を特定すること
・傾斜路閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び傾斜路分類アルゴリズムがオンであることに対応して傾斜路ロールオーバー事象の発生を特定すること
・溝閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び溝分類アルゴリズムがオンであることに対応して溝ロールオーバー事象の発生を特定すること
・硬質土/縁石閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び硬質土/縁石分類アルゴリズムがオンであることに対応して硬質土/縁石ロールオーバー事象の発生を特定すること
・中間質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び中間質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して中間質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
・軟質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び軟質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して軟質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
のうち少なくとも1つを実行するように構成されることが可能である。
【0021】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、車両安全システムは、
・車両横方向Y軸加速度を感知し、感知した車両横方向Y軸加速度(AMA_Y)を示す信号を提供するための加速度計と、
・車両垂直方向Z軸加速度を感知し、感知した車両垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)を示す信号を提供するための加速度計と、
・両ロール値を感知し、感知した車両ロール値を示す信号を提供するためのロールセンサと
を更に含むことが可能である。制御装置は、オフロード検出メトリックと、ロールオーバー識別メトリックと、通常のロールオーバー展開アルゴリズムと、加速度計及びロールレートセンサによって提供される信号を用いるオフロードロールオーバー展開アルゴリズムとを実行するように構成されることが可能である。
【0022】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、作動可能な拘束装置が、シートベルトアンカプリテンショナ、シートベルトリトラクタプリテンショナ、カーテンエアバッグ、胸部エアバッグ及びサイドエアバッグのうち少なくとも1つを含むことが可能である。
【0023】
他の態様によれば、車両ロールオーバー事象に対応して作動可能な拘束装置の作動を制御するための方法は、車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することを含む。方法は、車両がオンロードで運転されている場合に作動可能な拘束装置の作動を必要とするロール事象を車両が受けているかどうかを特定することも含む。方法は、車両のロール加速度(D_RATE)がロール事象が継続していることを示す旨の特定に対応して、作動可能な拘束装置を作動させることを更に含む。
【0024】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することが、時間にわたる車両ロール角(R_ANGLE)を評価することと、ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側のロール閾値及び負のロール角を示す下側のロール閾値の両方を超過するR_ANGLEに対応して車両がオフロードで運転されていることを特定することとを含むことが可能である。
【0025】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、ロールオーバー識別メトリックがロールオーバー閾値を超えるかどうかを特定するためにロールレート(R_RATE)に対するロール角(R_ANGLE)をプロットするロールオーバー識別メトリックを評価することを含むことが可能である。
【0026】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、特定のタイプのロールオーバー事象の発生を特定するためにロールオーバー分類アルゴリズムを評価することを更に含むことが可能である。
【0027】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロールオーバー分類アルゴリズムを評価することが、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックを評価することと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックを評価することと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックを評価することと、
・あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックを評価することと
を含むことが可能である。
【0028】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、ロールオーバー事象の特定のタイプは、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであり得る。
【0029】
他の態様によれば、単独で、又は他の態様との組合せにおいて、車両安全システムは、作動可能な拘束装置と、上述の方法により作動可能な拘束装置の作動を制御するように構成された制御装置とを含むことが可能である。
【0030】
本発明の上記の、及び他の特徴並びに利点は、以下の本発明の説明及び添付の図面を考慮すれば当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】車両と、車両内に配置されたセンサアーキテクチャから得られる信号を概略的に示す図である。
【
図3】車両安全システムに実装されたメトリック演算を示すブロック図である。
【
図4】ロールオーバー事象を検出するため、及び検出されるロールオーバー事象に対応して安全装置を展開するための、車両安全システムに実装された展開アルゴリズムを図示する論理図である。
【
図5】車両安全システムに実装された、ロールオーバー事象の発生を特定するための閾値を含む識別メトリックを示す図である。
【
図6】車両安全システムに実装されたオフロード検出メトリックを示す図である。
【
図7】車両安全システムに実装された安全化メトリックを示す図である。
【
図8】車両安全システムに実装された傾斜路ロールオーバー事象についての分類メトリックを概略的に示すブロック図である。
【
図9】車両安全システムに実装された溝ロールオーバー事象についての分類メトリックを概略的に示すブロック図である。
【
図10】車両安全システムに実装された軟質土ロールオーバー事象についての分類メトリックを概略的に示すブロック図である。
【
図11】車両安全システムに実装された中間質土ロールオーバー事象についての分類メトリックを概略的に示すブロック図である。
【
図12】車両安全システムに実装された硬質土/縁石ロールオーバー事象についての分類メトリックを概略的に示すブロック図である。
【
図13】D_Rate閾値ロールオーバー検出特徴による、車両安全システムに実装された、ロールオーバー事象の発生を特定するための閾値を含む識別メトリックを示す図である。
【
図14】車両安全システムに実装されたD_Rate閾値メトリックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、ロールオーバー事象間を識別し、ロールオーバー事象を分類することが可能なロールオーバー識別アルゴリズムを実施する車両安全システムに関するものである。ロールオーバー識別アルゴリズムは、車両のオフロード使用も検出し、検出されたオフロード使用に対応してロールオーバー判別のある態様を調整し、又は切り換える。
【0033】
本発明はロールオーバー事象の判別に関するものであるため、車両安全システムは、ここでは、当該特定の判別機能を実行するために必要な、構成要素を含み、アルゴリズムを実施するものとして示され、説明される。当業者は、車両安全システムは、ここに示され説明されたものに加えて、構成要素を含むことができるとともに、ここに示され説明されたものに加えて、識別機能を実行できることを認識するであろう。
【0034】
図1を参照すると、一例の構成によれば、車両12は、ここではエアバッグ制御ユニット(ACU)50と呼ばれる中央制御ユニットを含む車両安全システム10を含んでいる。ACU50は、左/右のシートベルトプリテンショナ(アンカー及び/又はリトラクタ)、左/右のカーテンエアバッグ、左/右の胸部エアバッグ及び左/右のサイドエアバッグのような1つ以上の作動可能な拘束装置20を作動させるように動作する。ACU50は、前方エアバッグ及びニーエアバッグのような他の保護装置の作動をコントロールするように動作することも可能である。
【0035】
ACU50は、車両の直線加速度及び/又は角加速度、及び/又は異なる方向における、及び異なる車軸に関する移動率を示す信号を提供するように動作する1つ以上のセンサを含んでいる。センサは、ACU50自体内に、又はACU50自体において取り付けられることができるか、又はACUから離れているとともに、例えばワイヤを介してACUと相互接続されることが可能である。当該車軸はX軸を含んでおり、当該X軸は、車両の前進/後進の方向において車両における長手方向に延在している。車両Y軸は、車両において横方向に、X軸に対して垂直に延在している。車両Z軸は、車両において垂直方向に、X軸及びY軸に対して垂直に延在している。
【0036】
X軸、Y軸及びZ軸は、ACU50において交わるものとして
図1において示されている。これは、ACU50が、X軸、Y軸及びZ軸に関する車両12の運動、すなわち加速度を測定するためのセンサを含むことができるためである。当該運動は、
図1において、安全システム10が軸線に沿った運動を割り当てる正又は負の符号を示す符号(+/-)で識別される。ACU50は、X軸周りの回転すなわちピッチと、Y軸周りの回転すなわちロールと、Z軸周りの回転すなわちヨーを感知するためのセンサも含むことができる。車両安全システム10は、ある車両の状態を検出するために、これら加速度及び/又は回転を異なる組合せで利用することが可能である。
【0037】
図1に示されているように、車両安全システム10は、X軸に沿った運動を前方から後方のもの(加速)を正と解釈し、後方から前方のもの(減速)を負と解釈するように構成されることが可能である。Y軸に沿った運動は、右から左へのものが正と解釈され、左から右へのものが負と解釈されることができる。Y軸に沿った運動は、下方へのものが正と解釈され、上方へのものが負と解釈されることができる。車両安全システム10は、X軸周りの車両回転運動、すなわちロールを解釈するように構成されることができ、左方へのロールを正とし、右方へのロールを負とすることが可能である。Y軸周りの車両回転運動、すなわちピッチについては、前方/下方へのピッチが正であり、後方/上方へのピッチが負であり得る。Z軸周りの車両回転運動、すなわちヨーについては、(前向きの視点から見て)左方へのヨーが正であり、右方へのヨーが負であり得る。
【0038】
図2を参照すると、ここに記載された車両安全装置10の一部の目的のために、ACU50は、車両横方向(Y軸)の加速度(ACU_Y)を感知するための加速度計52と、車両垂直方向(Z軸)の加速度(ACU_Z)を感知するための加速度計54と、車両ロールレート値、すなわち、車両X軸周りのロールレートを感知するためのロールレートセンサ62とを利用する。車両安全システム10は、X軸加速度、ピッチ及びヨーのような他の車両運動のための追加的な加速度計及び/又はセンサを含むことも可能である一方、これらの値は、ここで開示されるアルゴリズムでは実行されず、そのため、
図2には示されていない。
【0039】
センサは、当該センサが軸に沿って又は軸周りに車両運動を感知する当該それぞれの軸に、又は当該軸の近傍に位置決めされることが望ましいことがある。センサはACU50において特定の箇所に取り付けられることができるため、ACUを車両X軸、車両Y軸及び車両Z軸が通る車両の質量中心(重心)に、又は当該質量中心近傍に取り付けられることが望ましいことがある。しかし、車両の質量中心における、又は当該質量中心近傍におけるACU50の位置は決定的なものではなく、ACU50は、車両のほかの箇所に位置決めされることが可能である。
【0040】
車両安全システムに実装されるACUのためのハードウェア構成及びソフトウェア構成は本技術分野において知られている。したがって、ACU50のハードウェア構成の詳細な説明は、車両安全システム10を理解し、認識するのに、当業者にとって不要である。
図1のACU50はマイクロコンピュータのような中央処理装置(CPU)を含んでおり、当該中央処理装置は、それぞれのセンサから信号ACU_Y,ACU_Z,ROLLを受信し、当該信号に基づいて車両メトリック演算70を実行し、演算されたメトリックを用いてロールオーバー識別アルゴリズム80を実行するように構成されている。
【0041】
演算70により得られる車両メトリックは、以下を含んでいる:
・車両横方向Y軸加速度移動平均(値)(AMA_Y)
・車両垂直方向Z軸加速度移動平均(値)(AMA_Z)
・車両ロール差レート、すなわちロール加速度(D_RATE)
・車両ロールレート(R_RATE)
・車両ロールレート2(R_RATE2)
・車両ロール角(R_ANGLE)。
【0042】
ロールオーバー識別アルゴリズム80は、いくつもの異なるロールオーバー事象を検出するための識別アルゴリズムを含むことができる。これらロールオーバー事象は、以下を含んでいる:
・オフロードロールオーバー
・通常のロールオーバー
・傾斜路(ランプ)ロールオーバー
・溝/盛り土ロールオーバー
・硬質土/縁石ロールオーバー
・中間質土ロールオーバー
・軟質土ロールオーバー。
車両安全システム10によって検出されるロールオーバー事象は、製造者要件及び/又は車両が製造される業界標準のような要因に依存して、異なる場合がある。
【0043】
図3には、ACU50によって実行される車両メトリック演算70が図示されている。
図2に示された車両メトリック演算70の要素は、ここではACU50によって内部で実行される「関数」と呼ばれる。
【0044】
ロールレートメトリック
ACU50は、様々な加速度センサからの信号ROLL、ACU_Y、ACU_Z信号をデジタル信号に変換するためのアナログ・デジタル変換(ADC)を含む信号調整を使用する。ACUは、レールチェック及びバイアス調整を使用することも可能である。
図3に示されているように、デジタル化され、バイアスされたロールレートROLLは、例えば、所定の期間後、例えばT=8秒後にフィルタ関数をリセットする結果となる時定数を有するように選択されることが可能なハイパスフィルタ(HPF)関数104へ引き渡される。HPF関数104において生成されるハイパスフィルタされたロールレートROLLは、ロールレートメトリックR_RATEを生成するローパスフィルタ(LPF)関数106へ引き渡され、ロールレートメトリックは、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行される車両ロールレート(すなわち角速度)を示す値を有している。R_RATEは、積分器関数及びデュアル時定数ハイパスフィルタ関数を含む積分ハイパスフィルタ(IHPF)関数へ引き渡される。IHPF関数110は、車両の所定の相対ロール角を示す値を生成するためにR_RATE信号を積分する。IHPF関数110は、R_RATE信号のハイパスフィルタリングも実行する。IHPF関数110はメトリックR_ANGLEを生成し、当該メトリックR_ANGLEは、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行される。
【0045】
R_ANGLEは車両の正規化されたロール角を示すものであり、当該ロール角は、感知されたロールレートに応じた車両の相対的な角回転(angular rotation)の尺度である。IHPF関数110は、R_ANGLEが検出されたロールレートの発生中の角回転の表示を提供するように、ハイパスフィルタ関数についての時定数に基づいてR_ANGLEをリセットすることが可能である。したがって、R_ANGLEは、地面に対する車両の実際の角度方向を示すことはできない。このように、車両ロールオーバー状況の特定は、地面又は道路に対する車両の初期角度方向の特定に依存する必要はない。
【0046】
HPF関数104において生成されたハイパスフィルタされたロールレートROLLは、移動平均関数120へ引き渡され、そして、移動平均関数122へ引き渡される。各移動平均関数120,122は、例えば、サンプルの数、例えば1~32のサンプルの数を選択するように整調可能であり得る。移動平均関数120,122はロールレートについての変動を平滑化し、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行されるメトリックR_RATE_2を生成する。
【0047】
R_RATE_2は、現在のサンプルと以前のサンプルの間の差異が比較される差分関数124へ提供される。これは差分ロールレートメトリックD_RATEを生成し、当該差分ロールレートメトリックは、ロールレートの変化率、すなわち加速度を示す。当該ロール加速度D_RATEは、車両X軸周りの車両の角加速度である。ロール加速度D_RATEは、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行される。
【0048】
横方向加速度メトリック
図3に示されているように、デジタル化され、バイアスされた横方向加速度ACU_Yは、例えば、所定の期間後、例えばT=8秒後にフィルタ関数をリセットする結果となる時定数を有するように選択されることが可能なハイパスフィルタ(HPF)関数130へ引き渡される。HPF関数130において生成されたハイパスフィルタされた横方向加速度ACU_Yは、ローパスフィルタ(LPF)関数132へ引き渡される。LPF関数132において生成されたローパスフィルタされた横方向加速度ACU_Y値は、それぞれ横方向加速度メトリックACU_Y_AMA及びACU_Y_AMA_SAFEを生成する移動平均ブロック134,136へ引き渡される。移動平均関数134,136のそれぞれにおいて含まれるサンプルの数は、1~32のサンプルのようなあらかじめ規定された範囲内で調整されることが可能である。ACU_Y_AMA_及びACU_Y_AMA_SAFEは、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行される横方向加速度移動平均値である。
【0049】
垂直方向加速度メトリック
図3に示されているように、デジタル化され、バイアスされた垂直方向加速度ACU_Zは、例えば、所定の期間後、例えばT=8秒後にフィルタ関数をリセットする結果となる時定数を有するように選択されることが可能なハイパスフィルタ(HPF)関数140へ引き渡される。HPF関数140において生成されたハイパスフィルタされた垂直方向加速度ACU_Zは、ローパスフィルタ(LPF)関数142へ引き渡される。LPF関数142において生成されたローパスフィルタされた垂直方向加速度ACU_Z値は、それぞれ垂直方向加速度メトリックACU_Z_AMA及びACU_Z_AMA_SAFEを生成する移動平均ブロック144,146へ引き渡される。移動平均関数144,136のそれぞれにおいて含まれるサンプルの数は、1~32のサンプルのようなあらかじめ規定された範囲内で調整されることが可能である。ACU_Z_AMA_及びACU_Z_AMA_SAFEは、ロールオーバー識別アルゴリズム80(
図2参照)において実行される垂直方向加速度移動平均値である。
【0050】
展開アルゴリズム
図4には、車両安全システム10によって実行されるロールオーバー展開アルゴリズム150が図示されている。ここに図示された例示的な構成では、ロールオーバー展開アルゴリズム150は、ACU50において実行される。ロールオーバー展開アルゴリズム150は、検出されたロールオーバー事象に対応していつ作動可能な拘束装置20を作動させるべきか、又は「点火」すべきかを決定する。ロールオーバー展開アルゴリズム150は、有利には、オフロード車両使用検出を実施し、当該オフロード車両仕様は、車両12がオフロード態様で用いられるかどうかに依存して、検出されたロールオーバー事象の様々な事例に対する車両安全システム10の応答を適合するように用いられる。このように、ロールオーバー展開アルゴリズム150は、通常のロールオーバー展開アルゴリズム152と、オフロードロールオーバー展開アルゴリズム154とを実施する(実装している)。後述するように、ロールオーバー展開アルゴリズム150は、これらオフロード強化を実施するために、ロールレート(R_RATE)を利用する。
【0051】
ロール識別
ロールオーバー展開アルゴリズム150は、
図5に図示されたロールオーバー識別メトリック160を実施する。
図5に示されているように、ロールオーバー識別メトリック160は、ロールオーバー閾値が満たされているかどうかを特定するために、ロール角(R_ANGLE)に対するロールレート(R_RATE)を評価する。
図5に示されているように、ロールオーバー識別メトリック160は、以下のロールオーバー閾値を実装している:
・オフロードロールオーバー閾値
・通常のロールオーバー閾値
・傾斜路(ランプ)ロールオーバー閾値
・溝ロールオーバー閾値
・硬質土ロールオーバー閾値
・中間質土ロールオーバー閾値
・軟質土ロールオーバー閾値。
しかし、ロールオーバー識別メトリック160は、追加的な閾値、すなわちこれら閾値のサブセット又はこれらの組合せを実装することが可能である。通常の閾値を超えると、R_RATEがゼロに等しくなるか、又はメトリックが設定可能な期間リセットボックス162内にあるまでラッチされる。他の全ての閾値は、R_ANGLEがゼロに等しくなるか、又はメトリックが設定可能な期間リセットボックス162内にあるまでラッチされる。
【0052】
ロールオーバー識別アルゴリズム160は様々なタイプのロールオーバー事象間で識別する能力を実装しており、ロールオーバー識別アルゴリズムにより、作動可能な拘束装置20の展開を引き起こす閾値の適合を可能とする。
図5の閾値識別は、左方ロール(すなわち運転者側へのロール)は、正の方向におけるR_RATE及びR_ANGLEの値によって示されている。右方ロール(すなわち同乗者(助手席)側へのロール)も、逆の、すなわち負の方向におけるR_RATE及びR_ANGLEについての値によって示されている。
【0053】
図5に示されているように、軟質土ロールオーバー分離は、作動可能な拘束装置の展開を引き起こす最低の閾値を有している。中間質土ロールオーバー分離は、作動可能な拘束装置の展開を引き起こす次に低い閾値を有しており、硬質土、溝、傾斜路、通常及びオフロードの順につづく。
図4には閾値が大きさの特定の順番で示されているが、閾値に関連する大きさは異なってもよいことが理解されるべきである。加えて、車両プラットフォームの可変性及び製造者要件に依存して、閾値の大きさの順番又は相対的な大きさも異なり得る。例えば、硬質土閾値は軟質土よりも低くてよいなどである。これにもかかわらず、オフロード閾値は最大の閾値である。
【0054】
オフロード検出
ロールオーバー展開アルゴリズム150は、オフロード検出関数156も実装しており、当該オフロード検出関数では、車両12がオフロード態様において用いられているかどうかが識別される。オフロード検出関数156は、
図6に図示されている。
図6に示されているように、オフロード検出関数156は、車両12がオフロードで使用されているかどうかを特定するために時間にわたるロール角(R_ANGLE)を監視するメトリック158を実施する。オフロード使用状況は、上側検出閾値164(正のロール角)及び下側検出閾値166(負のロール角)の両方を超えるメトリック158に対応して検出される。オフロード検出関数156は、ロールオーバー識別メトリック160(R_ANGLEに対するR_RATE)がリセットボックス162(
図5参照)へ入り、設定可能な期間リセットボックス162にとどまるまで、オフロード使用検出をラッチする。リセットされることなく両閾値を超えることは、オフロード車両の使用について通常である前後方向ロール、すなわちロッキングによるオフロード使用を示している。
【0055】
安全化
ロールオーバー展開アルゴリズム100は、作動可能な拘束装置20が点火されるべきかどうかを特定するためのチェックとして実装された安全化関数170も実施する。安全化関数170は
図7に図示されている。
図7に示されているように、安全化関数170は、横方向加速度メトリックACU_Y_AMA_Safeと垂直方向加速度メトリックACU_Z_AMA_Safeを比較するメトリック172を実装している。安全化関数170は、メトリック172が安全化範囲174内にあればOFF(ブール(値)0)であり、メトリックが安全化範囲を出るとオン(ブール(値)1)をラッチする。安全化関数170は、メトリックが安全化範囲174へ再び入った後に安全化関数がオンのままであるようにラッチを実施することができる。ラッチの継続時間は、安全化関数の調整可能なパラメータであり得る。結果として、
図7の例示的なメトリックにおいて示されているように、安全化関数170は、メトリックが最初に安全化範囲174を離れるときにオンへ切り換わり、メトリックが安全化範囲外にある間、及びメトリックが安全化範囲174へ再び入るとラッチ継続時間の間(
図7で強調されている)オンを維持する。
【0056】
展開アルゴリズム
図8~
図12には、車両安全システム10によって実行される特有のロールオーバー分類特定アルゴリズム180が図示されている。ここに図示された例示的な構成では、ロールオーバー分類特定アルゴリズム180は、ACU50において実行される。特有のロールオーバー分類特定アルゴリズム180は、以下のように、特有のロールオーバー事象を分類するために複数の車両メトリックを利用する:
・傾斜路(ランプ)ロールオーバー分類アルゴリズム(
図8)
・溝ロールオーバー分類アルゴリズム(
図9)
・軟質土ロールオーバー分類アルゴリズム(
図10)
・中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム(
図11)
・縁石ロールオーバー分類アルゴリズム(
図12)。
【0057】
傾斜路(ランプ)ロールオーバー分類アルゴリズム
図8には、傾斜路(ランプ)ロールオーバー分類アルゴリズム200が図示されている。傾斜路ロールオーバー分類アルゴリズム200は、ロールオーバー事象を傾斜路ロールオーバー事象として分類するための車両メトリックを使用する。
図8の傾斜路ロールオーバー分類アルゴリズム200は、ロールオーバー事象に応じた左方ロールオーバー事象について、すなわち左方又は運転者側への車両ローリングについて示されている。しかし、
図8に示されるアルゴリズムは、右方へのロールオーバー事象にも当てはまり、分類において用いられる値の差異である符号(+/-)のみが逆であることが分かる。換言すれば、右方へのロールオーバー事象についての分類メトリックは、(変化しないAMA_Zを除いて)分類メトリック内の異なるメトリック値についての各軸の符号が逆、例えば正の代わりに負となり、またその逆となることを除いて、
図8に示されたものと同一である。
【0058】
傾斜路ロールオーバー分類アルゴリズム200は、傾斜路ロールオーバーを分類するために異なる4つの分類メトリックを実装している。4つの傾斜路分類メトリックは以下のとおりである:
・R_ANGLEに対するAMA_Y(メトリック202)
・R_ANGLEに対するAMA_Z(メトリック204)
・R_ANGLEに対するR_RATE(メトリック206)
・R_ANGLEに対するD_RATE(メトリック208)。
【0059】
ロール角に対する横方向加速度の分類メトリック202は、ANDブロック210へ供給される出力を生成するために、AMA_Y及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック202は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動(トリガ)される。メトリック202は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック202における実線は、車両が傾斜路ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック200は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0060】
ロール角に対する垂直方向加速度の分類メトリック204は、ANDブロック210へ供給される出力を生成するために、AMA_Z及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック204は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリック204は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの下限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Z)についての下限が無限大であり、したがって超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック204における実線は、車両が傾斜路ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック204は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0061】
ロール角に対するロールレートの分類メトリック206は、ANDブロック210へ供給される出力を生成するために、R_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック206は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリック206は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合R_RATE)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック206における実線は、車両が傾斜路ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック206は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0062】
ロール角に対する角加速度又はロール加速度の分類メトリック208は、ANDブロック210へ供給される出力を生成するために、D_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するD_RATEの分類メトリック208は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入るときにオンとなっている。メトリック208は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するD_RATEの分類メトリック208における実線は、車両が傾斜路ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック208は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0063】
傾斜路ロールオーバー分類アルゴリズム200は、ブロック218において傾斜路ロールオーバー分類オン表示を発出すべきかどうかを特定するためのブール論理を実装している。
図8に示されているように、傾斜路ロールオーバー分類オン218は、SET/RESET関数214、すなわちANDブロック218の出力に対応して起動(トリガ)される。SET/RESET関数214によれば、設定可能な期間(タイマブロック212)の間同時に(ANDブロック210)オンされる4つの全てのメトリック202,204,206,208が、ANDブロック218のSET入力へ供給されるORブロック216をオンさせる。これは、ANDブロック218のRESET入力へ供給される条件(状態)が存在しない限り(ANDブロック218のRESET入力における円はブールNOTを表す)、ANDブロック218を起動し、傾斜路分類をオンする。
【0064】
SET/RESET関数214がオンにセットされ、傾斜路分類ON220がオンとなると、リセット条件が生じるまでオンのままである。タイマブロック228において特定されるように、設定可能な期間の間ORブロック226がオンであるときに生じるタイマブロック228がオンであるときに、RESET条件が生じる。
図8に示されているように、R_ANGLE=0(ブロック222)であるか、又はロールオーバー識別メトリック160が、タイマブロック228によって規定される設定可能な期間の間リセットボックス162内にある場合に、ORブロック226はオンである。したがって、傾斜路分類ON220は、これらリセット条件の少なくとも1つが成立するまでラッチされる。
【0065】
溝ロールオーバー分類アルゴリズム
図9には、溝ロールオーバー分類アルゴリズム240が図示されている。溝ロールオーバー分類アルゴリズム240は、ロールオーバー事象を溝ロールオーバー事象として分類するための車両メトリックを使用する。
図9の溝ロールオーバー分類アルゴリズム240は、ロールオーバー事象に応じた左方ロールオーバー事象について、すなわち左方又は運転者側への車両ローリングについて示されている。しかし、
図9に示されるアルゴリズムは、右方へのロールオーバー事象にも当てはまり、分類において用いられる値の差異である符号(+/-)のみが逆であることが分かる。換言すれば、右方へのロールオーバー事象についての分類メトリックは、(変化しないAMA_Zを除いて)分類メトリック内の異なるメトリック値についての各軸の符号が逆、例えば正の代わりに負となり、またその逆となることを除いて、
図9に示されたものと同一である。
【0066】
溝ロールオーバー分類アルゴリズム240は、溝ロールオーバーを分類するために異なる4つの分類メトリックを実装している。4つの溝分類メトリックは以下のとおりである:
・R_ANGLEに対するAMA_Y(メトリック242)
・R_ANGLEに対するAMA_Z(メトリック244)
・R_ANGLEに対するR_RATE(メトリック246)
・R_ANGLEに対するD_RATE(メトリック248)。
【0067】
ロール角に対する横方向加速度の分類メトリック242は、ANDブロック250へ供給される出力を生成するために、AMA_Y及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック242は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動(トリガ)される。メトリック242は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの下限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Y)についての下限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック242における実線は、車両が溝ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック240は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0068】
ロール角に対する垂直方向加速度の分類メトリック244は、ANDブロック250へ供給される出力を生成するために、AMA_Z及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック244は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリック244は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Z)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック244における実線は、車両が溝ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック244は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0069】
ロール角に対するロールレートの分類メトリック246は、ANDブロック250へ供給される出力を生成するために、R_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック246は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリック246は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合R_RATE)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック246における実線は、車両が溝ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック246は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0070】
ロール角に対する角加速度又はロール加速度の分類メトリック248は、ANDブロック250へ供給される出力を生成するために、D_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するD_RATEの分類メトリック248は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入るときにオンとなっている。メトリック248は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するD_RATEの分類メトリック248における実線は、車両が溝ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するD_RATEの分類メトリック248は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0071】
溝ロールオーバー分類アルゴリズム240は、ブロック258において溝ロールオーバー分類オン表示を発出すべきかどうかを特定するためのブール論理を実装している。
図9に示されているように、溝ロールオーバー分類ON258は、SET/RESET関数254、すなわちANDブロック258の出力に対応して起動(トリガ)される。SET/RESET関数254によれば、設定可能な期間(タイマブロック252)の間同時に(ANDブロック250)オンされる4つの全てのメトリック242,244,246,248が、ANDブロック258のSET入力へ供給されるORブロック256をオンさせる。これは、ANDブロック258のRESET入力へ供給される条件(状態)が存在しない限り(ANDブロック258のRESET入力における円はブールNOTを表す)、ANDブロック258を起動し、溝分類をオンする。
【0072】
SET/RESET関数254がオンにセットされ、溝分類ON260がオンとなると、リセット条件が生じるまでオンのままである。タイマブロック268において特定されるように、設定可能な期間の間ORブロック266がオンであるときに生じるタイマブロック268がオンであるときに、RESET条件が生じる。
図9に示されているように、R_ANGLE=0(ブロック262)であるか、又はロールオーバー識別メトリック160が、タイマブロック268によって規定される設定可能な期間の間リセットボックス162内にある場合に、ORブロック266はオンである。したがって、溝分類ON260は、これらリセット条件の少なくとも1つが成立するまでラッチされる。
【0073】
土ロールオーバー分類アルゴリズム-軟質土
図10には、土ロールオーバー分類アルゴリズム280が図示されている。土ロールオーバー分類アルゴリズム280は、ロールオーバー事象を土ロールオーバー事象として分類するための車両メトリックを使用する。
図10の土ロールオーバー分類アルゴリズム280は、ロールオーバー事象に応じた左方ロールオーバー事象について、すなわち左方又は運転者側への車両ローリングについて示されている。しかし、
図10に示されるアルゴリズムは、右方へのロールオーバー事象にも当てはまり、分類において用いられる値の差異である符号(+/-)のみが逆であることが分かる。換言すれば、右方へのロールオーバー事象についての分類メトリックは、分類メトリック内の異なるメトリック値についての各軸の符号が逆、例えば正の代わりに負となり、またその逆となることを除いて、
図10に示されたものと同一である。
【0074】
土ロールオーバー分類アルゴリズム280は、土ロールオーバーを分類するために異なる4つの分類メトリックを実装している。4つの土分類メトリックは以下のとおりである:
・R_ANGLEに対するAMA_Y(メトリック282)
・R_ANGLEに対するAMA_Z(メトリック284)
・R_ANGLEに対するR_RATE(メトリック286)
・R_ANGLEに対するD_RATE(メトリック288)。
【0075】
ロール角に対する横方向加速度の分類メトリック282は、ANDブロック290へ供給される出力を生成するために、AMA_Y及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック282は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動(トリガ)される。メトリック282は、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの下限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Y)についての下限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック282における実線は、車両が土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック280は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0076】
ロール角に対する垂直方向加速度の分類メトリック284は、ANDブロック290へ供給される出力を生成するために、AMA_Z及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック284は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリックは、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック284における実線は、車両が土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック284は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0077】
ロール角に対するロールレートの分類メトリック286は、ANDブロック290へ供給される出力を生成するために、R_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック286は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリック286は、メトリックが陰影付けされたトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合R_RATE)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック286における実線は、車両が土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック286は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0078】
図10では、メトリック282,284,286のトリガゾーンはそのそれぞれの縦軸から離れていることに留意されたい。結果として、それぞれのトリガゾーンについてのロール角閾値は、増大し、例えば、トリガゾーンが縦軸において、又は縦軸の近傍で始まるメトリックであり、すなわち、低いロール角の閾値である。これは、土の状態が、どのように車両のロールオーバー事象を発生させるかに影響を与えるためである。軟質土状態の場合には、ロールオーバー事象は、中間質土又は硬質土/縁石状態の場合と比べて比較的緩慢に発生し得る。したがって、トリガゾーンは、土の状態に従ってトリガゾーンについてのロール角閾値を選択するように位置決めされることが可能である。
図10では、間隔は、軟質土状態を考慮して比較的大きくなっている。
【0079】
ロールレートに対する角加速度又はロール加速度の分類メトリック288は、ANDブロック290へ供給される出力を生成するために、D_RATE及びR_RATE_2を利用する。
図10では、ロールレートに対するロール加速度の分類メトリック288の出力は、軟質土オン信号である。示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れて3つの土ゾーン:硬質土/縁石、中間質土及び軟質土へ破線の閾値を超える場合に、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック288は、特定の土分類についてオンである。R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック288の出力、すなわち硬質土/縁石オン、中間質土オン、軟質土オンは、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れた後入る最初の土ゾーンによって特定される。したがって、
図10において例示された状態においては、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック288の出力は軟質土オンである。なぜなら、
図10において星印で一般的に示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンから直接軟質土ゾーンへ入るためである。
【0080】
土ロールオーバー分類アルゴリズム280は、ブロック298において土ロールオーバー分類オン表示を発出すべきかどうかを特定するためのブール論理を実装している。
図10に示されているように、土ロールオーバー分類オン298は、SET/RESET関数294、すなわちANDブロック298の出力に対応して起動(トリガ)される。SET/RESET関数294によれば、設定可能な期間(タイマブロック292)の間同時に(ANDブロック290)オンされる4つの全てのメトリック282,284,286,288が、ANDブロック298のSET入力へ供給されるORブロック296をオンさせる。これは、ANDブロック298のRESET入力へ供給される条件(状態)が存在しない限り(ANDブロック298のRESET入力における円はブールNOTを表す)、ANDブロック298を起動し、土分類をオンする。
【0081】
SET/RESET関数294がオンにセットされ、土分類ON300がオンとなると、リセット条件が生じるまでオンのままである。タイマブロック308において特定されるように、設定可能な期間の間ORブロック306がオンであるときに生じるタイマブロック308がオンであるときに、RESET条件が生じる。
図10に示されているように、R_ANGLE=0(ブロック302)であるか、又はロールオーバー識別メトリック160が、タイマブロック308によって規定される設定可能な期間の間リセットボックス162内にある場合に、ORブロック306はオンである。したがって、土分類ON300は、これらリセット条件の少なくとも1つが成立するまでラッチされる。
【0082】
土ロールオーバー分類アルゴリズム-中間質土
図11には、中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム320が図示されている。中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム320は、ロールオーバー事象を中間質土ロールオーバー事象として分類するための車両メトリックを使用する。
図11の中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム320は、ロールオーバー事象に応じた左方ロールオーバー事象について、すなわち左方又は運転者側への車両ローリングについて示されている。しかし、
図11に示されるアルゴリズムは、右方へのロールオーバー事象にも当てはまり、分類において用いられる値の差異である符号(+/-)のみが逆であることが分かる。換言すれば、右方へのロールオーバー事象についての分類メトリックは、分類メトリック内の異なるメトリック値についての各軸の符号が逆、例えば正の代わりに負となり、またその逆となることを除いて、
図11に示されたものと同一である。
【0083】
中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム320は、中間質土ロールオーバーを分類するために異なる4つの分類メトリックを実装している。4つの中間質土分類メトリックは以下のとおりである:
・R_ANGLEに対するAMA_Y(メトリック322)
・R_ANGLEに対するAMA_Z(メトリック324)
・R_ANGLEに対するR_RATE(メトリック326)
・R_ANGLEに対するD_RATE(メトリック328)。
【0084】
ロール角に対する横方向加速度の分類メトリック322は、ANDブロック330へ供給される出力を生成するために、AMA_Y及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック322は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動(トリガ)される。メトリックは、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの下限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Y)についての下限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック322における実線は、車両が中間質土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック320は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0085】
ロール角に対する垂直方向加速度の分類メトリック324は、ANDブロック330へ供給される出力を生成するために、AMA_Z及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック324は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリックは、メトリックが陰影付けされたトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック324における実線は、車両が中間質土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック324は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0086】
ロール角に対するロールレートの分類メトリック326は、ANDブロック330へ供給される出力を生成するために、R_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック326は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリックは、メトリックが陰影付けされたトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合R_RATE)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック326における実線は、車両が中間質土ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック326は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0087】
図11では、メトリック322,324,326のトリガゾーンはそのそれぞれの縦軸から離れていることに留意されたい。結果として、それぞれのトリガゾーンについてのロール角閾値は、増大し、例えば、トリガゾーンが縦軸において、又は縦軸の近傍で始まるメトリックであり、すなわち、低いロール角の閾値である。これは、土の状態が、どのように車両のロールオーバー事象を発生させるかに影響を与えるためである。中間質土の状態の場合には、ロールオーバー事象は、硬質土/縁石の状態に比して比較的緩慢に発生し、軟質土の状態に比して比較的迅速に発生する。したがって、トリガゾーンは、土の状態に従ってトリガゾーンについてのロール角閾値を選択するように位置決めされることが可能である。
図11では、間隔は、中間質土状態を考慮して軟質土状態(
図10)よりも小さくなっている。
【0088】
ロールレートに対する角加速度又はロール加速度の分類メトリック328は、ANDブロック330へ供給される出力を生成するために、D_RATE及びR_RATE_2を利用する。
図11では、ロールレートに対するロール加速度の分類メトリック328の出力は、中間質土オン信号である。示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れて3つの土ゾーン:硬質土/縁石、中間質土及び軟質土へ破線の閾値を超える場合に、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック328は、特定の土分類についてオンである。R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック328の出力、すなわち硬質土/縁石オン、中間質土オン、軟質土オンは、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れた後入る最初の土ゾーンによって特定される。したがって、
図11において例示された状態においては、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック328の出力は中間質土オンである。なぜなら、
図11において星印で一般的に示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンから直接中間質土ゾーンへ入るためである。
【0089】
中間質土ロールオーバー分類アルゴリズム320は、ブロック338において中間質土ロールオーバー分類オン表示を発出すべきかどうかを特定するためのブール論理を実装している。
図11に示されているように、中間質土ロールオーバー分類オン338は、SET/RESET関数334、すなわちANDブロック338の出力に対応して起動(トリガ)される。SET/RESET関数334によれば、設定可能な期間(タイマブロック332)の間同時に(ANDブロック330)オンされる4つの全てのメトリック322,324,326,328が、ANDブロック338のSET入力へ供給されるORブロック336をオンさせる。これは、ANDブロック338のRESET入力へ供給される条件(状態)が存在しない限り(ANDブロック338のRESET入力における円はブールNOTを表す)、ANDブロック338を起動し、中間質土分類をオンする。
【0090】
SET/RESET関数334がオンにセットされ、中間質土分類ON300がオンとなると、リセット条件が生じるまでオンのままである。タイマブロック348において特定されるように、設定可能な期間の間ORブロック346がオンであるときに生じるタイマブロック348がオンであるときに、RESET条件が生じる。
図11に示されているように、R_ANGLE=0(ブロック342)であるか、又はロールオーバー識別メトリック160が、タイマブロック348によって規定される設定可能な期間の間リセットボックス162内にある場合に、ORブロック346はオンである。したがって、中間質土分類ON340は、これらリセット条件の少なくとも1つが成立するまでラッチされる。
【0091】
土ロールオーバー分類アルゴリズム-硬質土/縁石
図12には、縁石ロールオーバー分類アルゴリズム360が図示されている。縁石ロールオーバー分類アルゴリズム360は、ロールオーバー事象を縁石ロールオーバー事象として分類するための車両メトリックを使用する。
図12の縁石ロールオーバー分類アルゴリズム360は、ロールオーバー事象に応じた左方ロールオーバー事象について、すなわち左方又は運転者側への車両ローリングについて示されている。しかし、
図12に示されるアルゴリズムは、右方へのロールオーバー事象にも当てはまり、分類において用いられる値の差異である符号(+/-)のみが逆であることが分かる。換言すれば、右方へのロールオーバー事象についての分類メトリックは、分類メトリック内の異なるメトリック値についての各軸の符号が逆、例えば正の代わりに負となり、またその逆となることを除いて、
図12に示されたものと同一である。
【0092】
縁石ロールオーバー分類アルゴリズム360は、縁石ロールオーバーを分類するために異なる4つの分類メトリックを実装している。4つの縁石分類メトリックは以下のとおりである:
・R_ANGLEに対するAMA_Y(メトリック362)
・R_ANGLEに対するAMA_Z(メトリック364)
・R_ANGLEに対するR_RATE(メトリック366)
・R_ANGLEに対するD_RATE(メトリック368)。
【0093】
ロール角に対する横方向加速度の分類メトリック362は、ANDブロック370へ供給される出力を生成するために、AMA_Y及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック362は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動(トリガ)される。メトリックは、メトリックがトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの下限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合AMA_Y)についての下限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック362における実線は、車両が縁石ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Yの分類メトリック360は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0094】
ロール角に対する垂直方向加速度の分類メトリック364は、ANDブロック370へ供給される出力を生成するために、AMA_Z及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック364は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリックは、メトリックが陰影付けされたトリガゾーンにある間オンのままである。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック364における実線は、車両が縁石ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するAMA_Zの分類メトリック364は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0095】
ロール角に対するロールレートの分類メトリック366は、ANDブロック370へ供給される出力を生成するために、R_RATE及びR_ANGLEを利用する。示されているように、R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック366は、メトリックが破線の閾値を超え、(一般的に星印で示された)陰影付けされたトリガゾーンへ入ると起動される。メトリックは、メトリックが破線で区画された陰影付けされたトリガゾーンにある間オンのままである。しかし、ここで、トリガゾーンの上限が破線によって囲まれていないことは、このメトリック(この場合R_RATE)についての上限が無限大であり、超過されることがないことを示していることに留意されたい。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック366における実線は、車両が縁石ロールオーバー事象を受けているときのメトリックを表す。R_ANGLEに対するR_RATEの分類メトリック366は、ラッチなしのメトリックであり、メトリックがトリガゾーンにあるときにのみメトリックがオンであることを意味している。
【0096】
図12では、メトリック362,364,366のトリガゾーンはそのそれぞれの縦軸から離れていることに留意されたい。結果として、それぞれのトリガゾーンについてのロール角閾値は、増大し、例えば、トリガゾーンが縦軸において、又は縦軸の近傍で始まるメトリックであり、すなわち、低いロール角の閾値である。これは、土の状態が、どのように車両のロールオーバー事象を発生させるかに影響を与えるためである。硬質土の状態の場合には、ロールオーバー事象は、軟質土及び中間質土の状態に比して比較的迅速に発生する。したがって、トリガゾーンは、土の状態に従ってトリガゾーンについてのロール角閾値を選択するように位置決めされることが可能である。
図12では、間隔は、硬質土/縁石状態を考慮して中間質土状態(
図11)よりも小さくなっている。
【0097】
ロールレートに対する角加速度又はロール加速度の分類メトリック368は、ANDブロック370へ供給される出力を生成するために、D_RATE及びR_RATE_2を利用する。
図12では、ロールレートに対するロール加速度の分類メトリック368の出力は、硬質土オン信号である。示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れて3つの土ゾーン:硬質土/縁石、中間質土及び軟質土へ破線の閾値を超える場合に、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック368は、特定の土分類についてオンである。R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック368の出力、すなわち硬質土/縁石オン、中間質土オン、軟質土オンは、メトリックが陰影付けされたゾーンを離れた後入る最初の土ゾーンによって特定される。したがって、
図12において例示された状態においては、R_RATE_2に対するD_RATEの分類メトリック368の出力は硬質土/縁石オンである。なぜなら、
図12において星印で一般的に示されているように、メトリックが陰影付けされたゾーンから直接硬質土/縁石ゾーンへ入るためである。
【0098】
縁石ロールオーバー分類アルゴリズム360は、ブロック378において縁石ロールオーバー分類オン表示を発出すべきかどうかを特定するためのブール論理を実装している。
図12に示されているように、縁石ロールオーバー分類オン378は、SET/RESET関数374、すなわちANDブロック378の出力に対応して起動(トリガ)される。SET/RESET関数374によれば、設定可能な期間(タイマブロック372)の間同時に(ANDブロック370)オンされる4つの全てのメトリック362,364,366,368が、ANDブロック378のSET入力へ供給されるORブロック376をオンさせる。これは、ANDブロック378のRESET入力へ供給される条件(状態)が存在しない限り(ANDブロック378のRESET入力における円はブールNOTを表す)、ANDブロック378を起動し、縁石分類をオンする。
【0099】
SET/RESET関数374がオンにセットされ、縁石分類ON380がオンとなると、リセット条件が生じるまでオンのままである。タイマブロック388において特定されるように、設定可能な期間の間ORブロック386がオンであるときに生じるタイマブロック388がオンであるときに、RESET条件が生じる。
図12に示されているように、R_ANGLE=0(ブロック382)であるか、又はロールオーバー識別メトリック160が、タイマブロック388によって規定される設定可能な期間の間リセットボックス162内にある場合に、ORブロック386はオンである。したがって、縁石分類ON380は、これらリセット条件の少なくとも1つが成立するまでラッチされる。
【0100】
通常のロールオーバー展開アルゴリズム
戻って
図4を参照すると、通常のロールオーバー展開アルゴリズム152は、車両12が通常において、すなわちオフロードでない態様で使用されていることを特定するオフロード検出メトリック156(
図6)に対応して、ロールオーバー展開アルゴリズム150によって起動される。通常のロールオーバー展開アルゴリズム152がアクティブ(ブロック156=ノー)であれば、ANDブロック230,232は、点火状態を特定することが可能である。
図4に示されているように、ブロック156=ノーによって可能であれば、ANDブロック230,232のいずれかは、ブロック192における作動可能な拘束装置の点火を起動(トリガ)する。
【0101】
通常のロールオーバー展開アルゴリズム152の第1の点火状態(条件)は、識別メトリック160(
図5)の通常のロールオーバー閾値を超過し、安全化関数170(
図7)がオンであるときに、ANDブロック230において生じる。両状態(条件)が満たされると、点火作動可能拘束装置コマンド192が発出される。上述のように、通常の閾値を超えると、R_RATEがゼロに等しくなるか、又はメトリックがリセットボックス162内にあるまでラッチされることに留意されたい。また、設定可能なラッチ継続期間(
図7参照)によって特定されるようにメトリックが安全化範囲174へ再び入った後、安全化関数170は、あらかじめ規定された期間ラッチされるとともにオンのままであることにも留意されたい。したがって、ANDブロック230における2つの点火状態(条件)のタイミングは、変化することができるとともに、同時に生じる必要はない。
【0102】
通常のロールオーバー展開アルゴリズム152の第2の点火状態(条件)は、識別メトリック160(
図5)の特定のロールオーバー閾値を超過し、一致するロールオーバー分類特定180(
図8~
図12)がオンであるときに、ANDブロック232において生じる。両状態(条件)が満たされると、点火作動可能拘束装置コマンド150が発出される。上述のように、特定のロールオーバー分類は、識別メトリック160によって特定される特定のロールオーバー閾値と同様にラッチされることに留意されたい。したがって、ANDブロック232における2つの点火状態(条件)のタイミングは、変化することができるとともに、同時に生じる必要はない。点火状態(条件)のタイミングは、識別メトリック160の調整可能なタイミングパラメータと、特定のロールオーバー分類特定アルゴリズム180とを介して選択されることが可能である。
【0103】
オフロードロールオーバー展開アルゴリズム
図4を参照すると、オフロードロールオーバー展開アルゴリズム154は、車両12がオフロードの態様で使用されていることを特定するオフロード検出メトリック156(
図6)に対応して、ロールオーバー展開アルゴリズム150によって起動される。オフロードロールオーバー展開アルゴリズム154がアクティブ(ブロック156=イエス)であれば、ANDブロック184,274は、点火状態を特定することが可能である。
図4に示されているように、ANDブロック274を満たす状態(条件)は追加的なタイミングと後述するD_RATE閾値の考慮を必要とするが、ブロック156=イエスによって可能であれば、ANDブロック184,274のいずれかは、ブロック192における作動可能な拘束装置の点火を起動(トリガ)する。
【0104】
オフロードロールオーバー展開アルゴリズム154の第1の点火状態(条件)は、識別メトリック160(
図5)のオフロードロールオーバー閾値を超過し、ORブロック182へ入力される2つの状態(条件)のうち少なくとも1つがオンであるときに、ANDブロック184において生じる。より具体的には、安全化関数170(
図7)がオンであるか、又は特定のロールオーバー分類180(
図8~
図11参照)のうちいずれか1つがオンであれば、ORブロック182はオンである。両状態(条件)が満たされると、ANDブロック184がオンであり、点火作動可能拘束装置コマンド192が発出される。
【0105】
したがって、第1の点火条件によれば、オフロード使用中にオフロードロールオーバー閾値を超えると、通常の安全化又は任意のロールオーバー分類に対応して点火が行われることが見て取れる。車両がオフロードで使用されているため、ロールオーバーの予測が難しく、激しいオフロード走行中に通常のロールオーバー閾値を超過することがあり得る。特定のロールオーバー分類又は通常の安全化関数のいずれかを受け入れることでロールオーバー確認を低減しつつ同時にロールオーバー閾値(
図5のオフロード閾値参照)を増大することで、この第1の点火条件はこれを考慮に入れる。
【0106】
図6を参照して上述したように、オフロード閾値を超えると、R_ANGLEがゼロに等しくなるか、又はロールオーバー識別メトリック160がリセットボックス162内にあるまでラッチされることに留意されたい。また、設定可能なラッチ継続期間(
図7参照)によって特定されるようにメトリックが安全化範囲174へ再び入った後、安全化関数170は、あらかじめ規定された期間ラッチされるとともにオンのままであることにも留意されたい。さらに、 特定のロールオーバー分類180は、これに実装され、
図8~
図12を参照して上述したSET/RESET機能によりラッチされることに留意されたい。したがって、ANDブロック184における点火状態(条件)のタイミングは、変化することができるとともに、正確に同時に生じる必要はない。
【0107】
当業者は、上昇したオフロード閾値により、ロールオーバー事象が発生するオフロード場面において作動可能な拘束装置の点火が遅延し得ることを理解する。有利には、オフロードロールオーバー展開アルゴリズム154は、このような遅延を解消するのを補助するD_RATEメトリックを実施する第2の点火条件を実装している。これは、ブロック274,276,278において示されている。ANDブロック274,278に示されているように、第2の点火条件は、検出されたオフロード使用(ブロック156)、生成される特定のロールオーバー分類(
図8~
図12、ブロック180参照)、超過される分類に対応する閾値(
図5、ブロック160参照)及び超過されないD_Rate閾値(
図14、D_Rateメトリック400参照)に対応して生じる。
【0108】
オンが満たされるANDブロック274に対応して、タイマブロック276が設定可能なカウントダウン期間を有するカウントダウンを開始する。タイマブロック276の出力は、計時中にはオフであり、タイムアウト時にはオンであり、ANDブロック278へ引き渡される。D_Rateメトリック400の目的は、オフロード車両使用に応じた点火を防止しつつ、特定のロールオーバー閾値が超過され対応する特定のロールオーバー分類によって検証されるオフロード使用中に、作動可能な拘束装置を点火することが可能な手段を提供することである。本質的に、D_RATEは、1)検出されたロール状態によって示されるように、車両がロールオーバーへ向けて継続しているか、又は2)検出されたロールがオフロード使用の極限によるものであり、ロールが消滅し、車両が逆方向へ復帰しているかの早期の指標として用いられる。タイマブロック276の満了後、D_Rateが、車両がロールオーバーへ向けて継続している(ブロック400-D_Rate閾値を超過していない)ことを示す場合には、ANDブロック278がオンされ、作動可能な拘束装置が点火される(ブロック192)。
【0109】
D_Rateメトリック
D_Rateメトリック400は
図14に図示されている。
図14では、D_Rateメトリック400は、メトリックの関数を記述するために用いられる2つの例示的なメトリック402,404を含んでいる。当該関数を記述するに当たって、ロールオーバー識別メトリック390を図示する
図13が参照され、当該
図13は、
図14におけるメトリック402,404にそれぞれ対応する2つの例示的なメトリック392,394を示している。換言すれば、メトリック392,402は1つの事象に対応し、メトリック394,404は他の1つの事象に対応する。
【0110】
オフロード閾値に加えて、
図13には、例示の目的のための傾斜路閾値が図示されている。
図13及び
図14の例は、ここに記載される他の任意の閾値(傾斜路、溝、軟質土、中間質土、硬質土)をもって実行されることが可能である。
図13に示されているように、メトリック392は、傾斜路閾値(星形A参照)を超過し、やがてオフロード閾値を超過する。したがって、メトリック392は、作動可能な拘束装置の点火が所望されるロールオーバー事象を示すものである。メトリック394は、傾斜路閾値を超えるが、その後、逆になり、オフロード閾値に達することはない。したがって、メトリック394は、作動可能な拘束装置の点火が所望されるロールオーバー事象を示すものではない。メトリック394は、車両のオフロード使用の極限に起因し得る。
【0111】
D_Rateメトリック400は、時間にわたってD_Rateを監視するとともに、メトリックがD_Rate閾値406を超える/に入るかどうかを特定する。 参考のために、D_Rateメトリック400(
図14)は、ブロック276(
図4参照)のタイマ継続時間と、また
図13に示された星形の指標に対応する星形の指標A,B,Cとで注釈付けされている。
図13及び
図14を通じて、メトリック392,402の点火事象及びメトリック394,404の非点火事象に適用されるようなD_Rateメトリック400の実装が説明される。
【0112】
図13及び
図14の例では、両メトリックは、同一の初期軌道に従い、星形Aにおける傾斜路閾値を超える。この点では、対応する分類180、この場合には傾斜路分類200(
図8参照)もオンであることが仮定されている。これにより、
図14に示されているように、ANDブロック274(
図4)はオンであり、タイマブロック276は計時を開始する。非点火事象の場合には、メトリック394の大きさは、オフロード閾値を超過する前にピークに達し、下降し始める。同時に、D_Rate閾値メトリック400は、これをD_Rateの低下又は減少とみなし、当該D_Rateは、
図13に示された星形CにおいてD_Rate閾値406を超える。閾値406を超えるD_Rateにより、
図4(閾値を超過していない)におけるブロック400がオフされ、又は0となり、ANDブロック278によって作動可能な拘束装置が点火されることが防止される。
【0113】
点火事象の場合には、メトリック392の大きさは、上昇し続けるとともに、やがてオフロード閾値を超過する。閾値を超えると、他の条件(
図4のANDブロック184)が満たされていると仮定して、作動可能な拘束装置が点火される。これを知ったうえであれば、作動可能な拘束装置を時間的に早期に、すなわちオフロード閾値によってトリガされる前に点火することが有益であり得ることが理解される。ここで、D_Rateはメトリック400の実装が有利であることが証明される。
図14に示されているように、識別メトリック392に対応するD_Rateメトリック402は、タイマ276の継続時間中にはD_Rate閾値406をかなり上回ったままである。そのため、タイマ276が満了するとき、D_Rateメトリック402は、D_Rate閾値406を超過していない。これにより、
図4(D_Rate閾値を超過していない)におけるブロック400はオン又は1となり、ANDブロック278がトリガされ、点火作動可能拘束装置コマンド192が発出される。
【0114】
本発明の上記説明から、当業者は、説明された車両安全システムがオフロード車両使用中のロールオーバー識別及び応答性を改善するためにD_Rateを使用するアルゴリズムを実装することを理解する。当業者は、本発明の思想及び範囲に属する開示されたシステム及び方法に対する改良、変更及び修正も理解する。当該改良、変更及び/又は修正は、添付の特許請求の範囲によってカバーされるように意図されている。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.車両乗員の保護を補助するための作動可能な拘束装置と、車両ロールオーバー事象に応じた作動可能な拘束装置の作動を制御するための制御装置とを含む車両安全システムであって、車両が通常の使用において動作しているかどうかを特定するように構成されたオフロード検出メトリックを実行するように制御装置が構成されており、制御装置が、1つ又は複数のあらかじめ規定されたロールレート閾値を超える大きさを有する車両ロールレート(R_RATE)に対応してロールオーバー事象の発生を識別するように構成されたロールオーバー識別メトリックを実行するようにも構成されており、車両が通常の使用において動作していることの特定に対応して、制御装置が、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出する通常のロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されており、車両がオフロード使用において動作していることの特定に対応して、制御装置が、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックに対応して車両のロールオーバーを検出するオフロードロールオーバー展開アルゴリズムを実行するようにも構成されていることを特徴とする車両安全システム。
2.オフロード検出メトリックが、車両が通常の使用において動作されているか、又はオフロード使用において動作されているかを特定するために、時間にわたって車両のロール角(R_ANGLE)を評価するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
3.オフロード検出メトリックが、ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側ロール閾値と、負のロール角を示す下側ロール閾値の両方を超過する車両ロール角に対応してオフロード使用を特定するように構成されていることを特徴とする上記2.に記載の車両安全システム。
4.オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、オンである通常の安全化関数及び/又はロールオーバー事象を分類する特定の分類アルゴリズムと、オフロードロールオーバー閾値を超えるロールオーバー識別メトリックとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
5.オフロードロールオーバー展開アルゴリズムが、以下の全ての条件:
ロールオーバー識別メトリックが、ロールオーバー事象の特定のタイプを識別するロールオーバー閾値を超過すること;
ロールオーバー分類アルゴリズムが、ロールオーバー識別メトリックによって識別されるロールオーバーの特定のタイプに一致するロールオーバー事象を分類すること;及び
ロール加速度(D_RATE)メトリックが所定のD_RATE閾値より上に維持されること
が満たされることに対応して車両ロールオーバー事象を検出するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
6.ロールオーバー事象の特定のタイプが、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであることを特徴とする上記5.に記載の車両安全システム。
7.ロールオーバー分類アルゴリズムが、リセット閾値を超過するロールオーバー識別メトリック又はゼロに等しい車両ロール角(R_ANGLE)に対応して分類をリセットするように構成されていることを特徴とする上記5.に記載の車両安全システム。
8.ロールオーバー分類アルゴリズムが、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックと、あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックとに対応してロールオーバー事象を分類するように構成されていることを特徴とする上記5.に記載の車両安全システム。
9.D_RATEメトリックが、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象を識別するためのあらかじめ規定された閾値を含んでいることを特徴とする上記8.に記載の車両安全システム。
10.通常のロールオーバー展開アルゴリズムが、ロールオーバー事象を識別するロールオーバー識別メトリックと、ロールオーバー事象を分類する特定のロールオーバー分類アルゴリズムとに対応して車両のロールオーバーを検出するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
11.通常のロールオーバー展開アルゴリズムが、以下のこと:
通常の閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び通常の安全化関数がオンであることに対応して通常のロールオーバー事象の発生を特定すること
傾斜路閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び傾斜路分類アルゴリズムがオンであることに対応して傾斜路ロールオーバー事象の発生を特定すること
溝閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び溝分類アルゴリズムがオンであることに対応して溝ロールオーバー事象の発生を特定すること
硬質土/縁石閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び硬質土/縁石分類アルゴリズムがオンであることに対応して硬質土/縁石ロールオーバー事象の発生を特定すること
中間質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び中間質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して中間質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
軟質土閾値を超過するロールオーバー識別メトリック及び軟質土分類アルゴリズムがオンであることに対応して軟質土ロールオーバー事象の発生を特定すること
のうち少なくとも1つを実行するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
12.車両横方向Y軸加速度を感知し、感知した車両横方向Y軸加速度(AMA_Y)を示す信号を提供するための加速度計と、車両垂直方向Z軸加速度を感知し、感知した車両垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)を示す信号を提供するための加速度計と、車両ロール値を感知し、感知した車両ロール値を示す信号を提供するためのロールセンサとを更に含み、制御装置が、オフロード検出メトリックと、ロールオーバー識別メトリックと、通常のロールオーバー展開アルゴリズムと、オフロードロールオーバー展開アルゴリズムとを加速度計及びロールレートセンサによって提供される信号を用いて実行するように構成されていることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
13.作動可能な拘束装置が、シートベルトアンカプリテンショナ、シートベルトリトラクタプリテンショナ、カーテンエアバッグ、胸部エアバッグ及びサイドエアバッグのうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする上記1.に記載の車両安全システム。
14.車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することと、
車両がオンロードで運転されている場合に作動可能な拘束装置の作動を必要とするロール事象を車両が受けているかどうかを特定することと、
車両のロール加速度(D_RATE)がロール事象が継続していることの特定に対応して、作動可能な拘束装置を作動させることと
を含む、車両ロールオーバー事象に対応して作動可能な拘束装置の作動を制御するための方法。
15.車両がオフロードで運転されているかどうかを検出することが、
時間にわたる車両ロール角(R_ANGLE)を評価することと、
ロールオーバー識別メトリックがリセットボックスへ入ることなく、正のロール角を示す上側のロール閾値及び負のロール角を示す下側のロール閾値の両方を超過するR_ANGLEに対応して車両がオフロードで運転されていることを特定することと
を含むことを特徴とする上記14.に記載の方法。
16.ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、ロールオーバー識別メトリックがロールオーバー閾値を超えるかどうかを特定するためにロールレート(R_RATE)に対するロール角(R_ANGLE)をプロットするロールオーバー識別メトリックを評価することを含むことを特徴とする上記14.に記載の方法。
17.ロール事象を車両が受けているかどうかを特定することが、特定のタイプのロールオーバー事象の発生を特定するためにロールオーバー分類アルゴリズムを評価することを更に含むことを特徴とする上記16.に記載の方法。
18.ロールオーバー分類アルゴリズムを評価することが、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Yをプロットする横方向Y軸加速度(AMA_Y)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するAMA_Zをプロットする垂直方向Z軸加速度(AMA_Z)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するR_RATEをプロットするロールレート(R_RATE)メトリックを評価することと、
あらかじめ規定された閾値を超えるロール角(R_ANGLE)に対するD_RATEをプロットするロール加速度(D_RATE)メトリックを評価することと
を含むことを特徴とする上記17.に記載の方法。
19.ロールオーバー事象の特定のタイプが、傾斜路ロールオーバー事象、溝ロールオーバー事象、軟質土ロールオーバー事象、中間質土ロールオーバー事象及び硬質土/縁石ロールオーバー事象のうちの1つであることを特徴とする上記17.に記載の方法。
20.作動可能な拘束装置と、上記14.に記載の方法により作動可能な拘束装置の作動を制御するように構成された制御装置とを含む車両安全システム。