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特許7471453ディスプレイに表示されたコンテンツを投影するための方法及び機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ディスプレイに表示されたコンテンツを投影するための方法及び機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240412BHJP
   G02B 27/18 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 25/00 20060101ALI20240412BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02B27/18 A
G02B3/00 A
G02B25/00
G02B5/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022566636
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2020059948
(87)【国際公開番号】W WO2021220047
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522425714
【氏名又は名称】フォーンオプティカ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツール、シュラガ
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン、アリエ
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-255494(JP,A)
【文献】特開2001-147486(JP,A)
【文献】特表2000-501857(JP,A)
【文献】特開2007-017832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0225487(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0335615(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0261758(US,A1)
【文献】米国特許第5990992(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0279012(US,A1)
【文献】国際公開第2008/149423(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
G02B 3/00-3/14
G02B 5/00-5/32
G02B 25/00
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに表示されたコンテンツを投影するための機器であって、
ディスプレイと、
複数の第1のマイクロレンズを備える、第1のマイクロレンズの第1のアレイと、
前記第1のマイクロレンズの第1のアレイから間隔を置いて配置され、複数の第2のマイクロレンズを備える、第2のマイクロレンズの第2のアレイと
を備え、
各第1のマイクロレンズ及び各第2のマイクロレンズの幅が、前記ディスプレイのピクセル・ピッチの4より小さく、
前記第2のマイクロレンズの第2のアレイが、前記ディスプレイの共役平面に配置され、
前記第2のマイクロレンズの焦点面が、前記第1のマイクロレンズのところに配置され、
前記機器が、互いに異なり、前記第2のマイクロレンズの被写界深度の内側に、且つ前記第2のマイクロレンズの焦点面の近傍に配置される仮想平面である別々の平面の各平面に有る視覚情報を投影するように構成され、
各平面の前記視覚情報異なるディスプレイの部分に対応する複数のセグメントを有
各セグメントの光路が第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズとの専用ペアを通過する、機器。
【請求項2】
第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズの異なるペアが互いに平行でない光軸を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
隣接する第2のマイクロレンズ間の距離が、対応する隣接する第1のマイクロレンズ間の距離より小さい、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズの異なるペアが互いに交差する光軸を示す、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
第2のマイクロレンズの面積が、対応する第1のマイクロレンズの面積より小さい、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
第2のマイクロレンズの幅(Dc2)と対応する第1のマイクロレンズの幅(Dc1)との間の比が実質的にL/(L+H1)に等しく、H1は前記第2のマイクロレンズと前記第1の対応するマイクロレンズとの間の距離であり、Lは前記ディスプレイと異なるペアの光軸間の交点との間の距離である、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記第1のマイクロレンズの前記第1のアレイと前記第2のマイクロレンズの前記第2のアレイとの間に配置された少なくとも1つの透明要素をさらに備える、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの透明要素と前記第1のマイクロレンズの前記第1のアレイとの間にエア・ギャップがある、請求項に記載の機器。
【請求項9】
ディスプレイに表示されたコンテンツを投影する方法であって:
機器の第2のマイクロレンズの被写界深度の内側に、且つ前記第2のマイクロレンズの前記第2のアレイの第2のマイクロレンズの焦点面の近傍に配置される互いに異なる仮想平面である別々の平面の各平面に有る視覚情報を前記機器によって投影するステップを含み;前記機器が第1のマイクロレンズの第1のアレイをさらに備え、前記第2のマイクロレンズの第2のアレイが前記第1のマイクロレンズの第1のアレイから間隔を置いて配置され、各第1のマイクロレンズ及び各第2のマイクロレンズの幅が前記ディスプレイのピクセル・ピッチの4より小さく、前記第2のマイクロレンズの第2のアレイが前記ディスプレイの共役平面に配置され、前記第2のマイクロレンズの焦点面が前記第1のマイクロレンズのところに配置され;
各平面の前記視覚情報異なるディスプレイの部分に対応する複数のセグメントを有
各セグメントの光路が第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズとの専用ペアを通過する、方法。
【請求項10】
第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズの異なるペアが互いに平行でない光軸を有る、請求項に記載の方法。
【請求項11】
隣接する第2のマイクロレンズ間の距離が、対応する隣接する第1のマイクロレンズ間の距離より小さい、請求項に記載の方法。
【請求項12】
第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズの異なるペアが互いに交差する光軸を示す、請求項に記載の方法。
【請求項13】
第2のマイクロレンズの面積が、対応する第1のマイクロレンズの面積より小さい、請求項に記載の方法。
【請求項14】
第2のマイクロレンズの幅(Dc2)と対応する第1のマイクロレンズの幅(Dc1)との間の比が実質的にL/(L+H1)に等しく、H1は前記第2のマイクロレンズと前記第1の対応するマイクロレンズとの間の距離であり、Lは前記ディスプレイと異なるペアの光軸間の交点との間の距離である、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記機器が、前記第1のマイクロレンズの前記第1のアレイと前記第2のマイクロレンズの前記第2のアレイとの間に配置された少なくとも1つの透明要素をさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの透明要素と前記第1のマイクロレンズの前記第1のアレイとの間にエア・ギャップがある、請求項1に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
今日、デジタル・ディスプレイは非常に普及している。それらは、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル・デバイス、タブレット端末、コンピュータ、自動車、デジタル・カメラ、テレビなどに使用されている。しかしながら、ユーザの視聴体験を著しく損なうような問題に遭遇する場合もある。
【0002】
ほとんどの人は40歳に近づくかそれ以上になると、目の水晶体が柔軟性を失うため、目の自動焦点機能を失う。目の焦点は一定の位置に固定されたままのため、彼らの明瞭な視野は一定の距離にのみある。その大部分の人は「遠視」で遠距離(「無限遠」)が明瞭に見えるため、したがって近距離で読むには老眼鏡を必要とする。一方「近視」の人たちもおり、近距離では明瞭に見え、したがって眼鏡を使わずに読むことができるが、運転やテレビ視聴、映画などの遠距離には光学眼鏡が必要である。
【0003】
そのことを解決するために、「遠視」の人々は、近くのものに焦点を合わせることが可能になる老眼鏡を使っている。しかし、遠方の画像を見るためには眼鏡を必要としない。よく起こりそうな状況では、ほぼ終日彼らは眼鏡をかけずに過ごし、そのため、デジタル・ディスプレイ(携帯電話やタブレット端末、デジタル時計など)からメッセージを読む必要が生じて、老眼鏡を必要とするときにはそれが手元にない、というのはごくありふれた話である。彼らは自分の眼鏡の手入れをしなければならないので、これが非常に面倒になる。人前で老眼鏡を使いたくないと思う人は多い。眼鏡なしでデジタル・ディスプレイを読む能力を提供することは、そのような人々にとって非常に心引かれるものである。
【0004】
加えて眼科医は、ノートパソコン、タブレット端末、携帯電話、そして今はスマートウォッチの使い過ぎが視力に与える影響について警告をしている。モバイル・デバイスの普及に伴い、ほとんどの人々はますます多くの時間を費やして小さな光るスクリーン上で世界とやりとりをしている。
【0005】
指先で世界を扱うことには多くの便益があるが、近くに焦点を合わせることに過大な時間を費やすと目を痛めることがあるという多くの証拠がある。ここ数十年間に、特に子供たちによるディスプレイの使用が指数関数的に増加しているので、彼らの目の焦点を近距離のディスプレイに長時間合わせることによって彼らの目が毎日酷使されているという事実が原因で、眼鏡を必要とする子供や大人の割合は劇的に増加してきていることを証拠は示す。
【0006】
上記の場合において、ユーザ・エクスペリエンスを大幅に改善し、眼精疲労を軽減する方法及び機器を提供する必要性が高まっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ディスプレイ上に表示されたコンテンツを投影するための機器及び方法が提供され得る。
【0008】
機器は、複数の第1のマイクロレンズを含み得る、第1のマイクロレンズの第1のアレイと;第1のマイクロレンズの第1のアレイから間隔を置いて配置され得、複数の第2のマイクロレンズを含み得る、第2のマイクロレンズの第2のアレイとを含み得;各第1のマイクロレンズ及び各第2のマイクロレンズの幅は、ディスプレイのピクセル・ピッチより数倍小さくあり得;第2のマイクロレンズの第2のアレイは、ディスプレイの共役平面に配置され得;第2のマイクロレンズの焦点面は、第1のマイクロレンズのところに配置され得;機器は、互いに異なり、第2のマイクロレンズの焦点面の近傍に配置され得る別々の平面を投影するように構成され得;各平面は複数のセグメントを含み得る視覚情報を有し;各セグメントの光路は第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズとの専用のペアを通過する。
【0009】
数倍とは4倍であり得、4倍未満でも4倍を上回ってもよい。
【0010】
別々の平面は、第2のマイクロレンズの第2のアレイの被写界深度の内側に配置され得る。
【0011】
異なるペアは、互いに平行でないことがある光軸を有し得、各ペアは、第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズとを含み得る。
【0012】
隣接する第2のマイクロレンズ間の距離は、対応する隣接する第1のマイクロレンズ間の距離より小さいことがある。
【0013】
異なるペアは、互いに交差する光軸を示すことがある。
【0014】
第2のマイクロレンズの面積が、対応する第1のマイクロレンズの面積より小さいことがある。
【0015】
第2のマイクロレンズの幅(Dc2)と対応する第1のマイクロレンズの幅(Dc1)との間の比は実質的にL/(L+H1)に等しくあり得、H1は第2のマイクロレンズと第1の対応するマイクロレンズとの間の距離であり得、Lはディスプレイと異なるペアの光軸間の交点との間の距離であり得る。
【0016】
本機器は、第1のマイクロレンズ・アレイと第2のマイクロレンズ・アレイとの間に配置された少なくとも1つの透明要素を含み得る。
【0017】
少なくとも1つの透明要素と第1のマイクロレンズ・アレイとの間には、エア・ギャップがあり得る。
【0018】
本発明である主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に請求されている。しかしながら、本発明は、動作の機構及び方法の両方に関してはその目的、特徴及び利点とともに、添付の図面とともに読まれたときに、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】機器の1つ又は複数の部品の、及びディスプレイの実例である。
図2】機器の1つ又は複数の部品の実例である。
図2A】機器の1つ又は複数の部品の実例である。
図3】機器の1つ又は複数の部品の実例である。
図4】機器の1つ又は複数の部品の、ディスプレイの、及び様々な光路の実例である。
図4A】機器の1つ又は複数の部品の、ディスプレイの、及び様々な光路の実例である。
図5】機器の1つ又は複数の部品の、ディスプレイの、及び様々な光路の実例である。
図6】機器の1つ又は複数の部品の、ディスプレイの、及び様々な光路の実例である。
図7】方法の実例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
デジタル・ディスプレイの内容を読むために老眼鏡を使用する必要性を排除し得る方法及び機器が提供されている。
【0021】
これは、ディスプレイの上に、薄膜のような形と大きさを取り得る機器を付加することによって行われ、その機器は、ディスプレイの画像をユーザの目に、あたかも遠く、「遠視」に対しては無限遠に、「近視」に対しては近距離にあると感じられるように変換し、こうして「遠視」のユーザや「近視」のユーザが眼鏡を使用せずに高解像度で画像を見ることを可能にする。本方法は、ディスプレイの追加薄層として埋め込まれることも、ディスプレイを覆うアドオンの透明薄膜又はデバイスとして使用されることも可能である。
【0022】
本方法及び機器は、「遠視」と「近視」の両方の目のみならず、完全な目の視力を有し、眼鏡を全く必要としない人にも好都合である場合がある。提案する機器と方法を用いれば、ディスプレイはほとんどの目にとって高解像度で見ることができ、さらなる目の矯正は必要とされない。
【0023】
方法及び機器は、通常の読書距離(≒25~40cm)のディスプレイのユーザに、その画像を無限遠で、倍率、解像度、色、明るさ及び他のディスプレイの特徴の顕著な変化なしに提供することによって、眼精疲労を防止し得る。
【0024】
本方法及び機器は、遠方の物体を見るために光学系をユーザの合焦能力に合わせる必要性を克服する。加えて、本方法及び機器は、晴天の屋外でディスプレイを使用する際に、太陽や背景のシーンの反射を低減する。
【0025】
本機器は、アドオンとしてディスプレイの上に特別な薄膜として埋め込まれるか(図1を参照)、又はディスプレイ中の特別な層として埋め込まれ得る(実例として図6を参照)、様々な光学層の組合せを含み得る。
【0026】
この薄層は3Dマイクロレンズ・アレイ(MLA)層で構成され、その断面は図1に描かれている。図2及び図2Aは、矩形のマイクロレンズ・アレイの上面図の実例を示す。三角形、矩形、六角形など、表示領域を完全にカバーすることができるあらゆる形状のマイクロレンズが考えられ得、説明の簡易化のため、矩形の場合を言及することに留意されたい。
【0027】
図1を参照すると、デジタル・ディスプレイ105は、赤-R、青-B、及び緑-G色のサブ・ピクセル104のアレイの組合せで構成されている。一般性を損なわないように、及び簡易化のために、線に沿って描かれているが、任意の2次元(2D)又は3次元(3D)の構成を有し得る。サブ・ピクセルの相対強度の線形結合が、そのピクセルの実際の色を生成する。ピクセル間のピッチはディスプレイの解像度に依存する。今日の携帯電話では、ピッチはおよそ40~80μmである。ピクセルのアレイは、その典型的な光学的厚さが約0.5~1mmであるカバー・ガラス110に取り付けられる。
【0028】
この構成は、様々なタイプのデジタル・ディスプレイに対して典型的なものである。図1の、110に取り付けられている本薄層要素150は、一実例として、以下の4層で構成されている。
a.ディスプレイとカバー・ガラスの間の、カバー・ガラスからの反射及び次の界面の反射を著しく減少させる屈折率整合接着剤からなり得る層115。
b.幅Dc1、焦点距離f1の第1のマイクロレンズ・アレイ(MLA)層120。好ましくは、Dc1(MLAのセルの大きさ)は、通常の読書距離での目の解像力を下回る。通常、Dc1はディスプレイのピクセル・ピッチと同程度の大きさであり得る。
c.中間透明層130。製造の容易性のため、及び小さ過ぎて製造不可能なレンズの半径の要件を排除するために、透明な固体層又はエア・ギャップで構成され得る。エア・ギャップは、レンズとの界面で高い屈折率差(Δn)を確保し、したがって製造上の半径が大きくなる。いくつかのレンズの間のコーナーの部分に小さく非常に細い支柱があると、MLA全体の充填率をほとんど犠牲にしないスペーサ132として役立つことがある(図3を参照)。
d.層130上に存在する、ほぼ同じ幅Dc2及び焦点距離f2を有する第2のMLA層135。第2のMLAレンズの焦点面は、第1のMLAレンズ125の平面にあり、したがって第2のMLAレンズは無限遠に像を投影する。Dc1とDc2との好ましい関係については後述する。
【0029】
図1及び図3の構成を開口像2層マイクロレンズ・アレイ(AIDMLA:Aperture Image Dual Micro lens Array)と呼ぶ。
【0030】
以下は、1つのMLAセル(図4参照)用に提案された光学系の簡単な説明である。
【0031】
第1のMLA120の各レンズは、大きさDの、ディスプレイの微小部分の画像を生成する。この画像は、第2のMLAの部品である第2のレンズ135の平面に形成される。M=H1/Hの倍率をもつDの倒立像であり、第2のレンズを満たしている。ディスプレイの画像部分の大きさは、したがって、D=Dc2/Mである。簡易化のため及び一般性を損なわずに、HとH1はそれぞれ、屈折率を含む、材料の「光学的厚さ」である。
【0032】
第1のレンズ120は、光軸に沿って、第2のレンズ135の焦点面にあり、したがって、第1のレンズ120の開口の像は、第2のレンズによって無限遠に投影される。この画像(第1のレンズの開口)のすべての点は、ディスプレイ上のDのすべての点から光線を受けるので、Dを構成するRGBサブ・ピクセルの完全な混合となる。Dc1及びDc2(セルの両側にあるレンズの大きさ)が目の解像力を下回っているので、ディスプレイの観察者の目は、光軸に沿って、観察者の目に映し出される、ディスプレイ上のDの色をもつ解像不能の小さいスポットを見ることになる。
【0033】
上に示したように、各セルは、大きさDのディスプレイのその小さな部分を無限遠に映し出し、セルは目に平行光線を発する。これらの光線は網膜上で1点に集中させられる。セルの大きさは目の入射瞳よりもはるかに小さい(2~3mmに対して50~100μm)ので、ディスプレイ上の別々の領域を起点として互いに平行な、平行光線のいくつかのこのような平行な束が、同じ方向から目に入ることになり、したがって網膜上の同じ点に集中させられることになる。これにより、ディスプレイの、隣接するが別々の部分からの色を混合させる。この結果、ぼやけたり、解像度が落ちたりすることになる。これを防ぐために、ディスプレイ全体を映し出すすべてのセルの光軸は、互いに平行ではなく、目の瞳孔の中心を指す必要がある。換言すれば、ディスプレイの全領域にわたって、各ペアのセル・レンズの中心と目の瞳孔の中心が同一直線上になければならない。
【0034】
これは、次の方法で達成される。
【0035】
以下を仮定する。
a.観察者の目は、主軸(ディスプレイの中心から出る鉛直線)上に配置されている。
b.中央のセルの両側にあるレンズの中心も、この主軸上に配置されている(図4Aを参照)。
c.セルの内側の大きさはDc1であり、セルの外側の大きさはDc2である。
d.中心(0,0)からの座標(X,Y)をもつディスプレイの小領域が各MLAセルを通して観察者の目に映し出される.
【0036】
次いで、目の光軸と、関連する2つのセル・レンズの光軸とが、一直線上にあるという要件は、内側レンズの中心が、主軸から外側レンズの高さよりわずかに高い(又は低い)という要件に帰着する(図4図4Aを参照)。
【0037】
等価な三角形(equivalent triangle)の関係を使って、Y1/Y2=(L-H)/(L-H-H1)を得る。次いで、あるセルのレンズが主軸からYの距離にあるときに必要な垂直方向のオフセット(OSy)は、OSy=Y1-Y2=Y×H1/Lである。
【0038】
Ny=Y/Dc2をディスプレイの中心とYとの間に位置する外側レンズ135の概数とすると、OSy=(Y/Dc2)×Dc2×H1/Lであり、OSy=Ny×Dc2×H1/Lとなる。
【0039】
そのレンズの数(Ny)にレンズの大きさの差(Dc1-Dc2)を乗じると、中心からの高さYにおけるレンズ間の総体的なオフセットに等しくなる:OSy=Ny×(Dc1-Dc2)。上記からOSyを代入すると、Ny×(Dc1-Dc2)=Ny×Dc2×H1/Lとなり、Dc1-Dc2=Dc2×H1/Lとなる。すなわち、Dc1=Dc2×(1+H1/L)である。
【0040】
X方向に沿って同様の評価を行うと、同じ要件になる。これが、ディスプレイ全面にわたる各セルのペアのレンズの中心がすべて眼球と1本の光軸上に位置するようになる、内側セルと外側セルの大きさの関係である。このようにして、ディスプレイの解像度は維持される。
【0041】
第1の実例
a.Dc2=100μm、H1=1mm、L=250mmの場合、Dc1=100.4mm
b.簡易化のため、以下ではDc1とDc2をその平均値で近似する:Dc=(Dc1+Dc2)/2。
【0042】
すべての上記の光学的概念は、2つのMLA層のレンズのすべてのペアについて同様である。
【0043】
目の入射瞳の中心と第2の(外側の)MLAの各レンズの中心とは、上記のディスプレイの部分(大きさDの正方形)がディスプレイのその領域の適切な色で解像不能なスポットとして網膜に結像される光軸を構成する。
【0044】
目の光軸と外側のMLAの隣接するレンズとは、それぞれわずかに異なる方向の光軸を形成し、したがって、目の網膜上のすべてのスポットの像の総体は、ディスプレイ全体の完全な画像の複製物を網膜上に形成する。
【0045】
ディスプレイの外観は、視野角(ディスプレイへの垂直方向に対する相対的な角度)に対して敏感であるとは考えられない。
【0046】
目の網膜上の画像の解像要素はDであり、上に示したようにその大きさはD=Dc/Mである。M=H1/Hであるので、3つの事例が分析され得る。
a.H1=H、M=1、D=Dcと仮定する。この場合、解像要素はMLAのセルの大きさ(Dc)であり、これを目の解像力より十分に低く抑えられている限り、表示された画像の解像度は保たれる。MLAから観察者の目に入る光線は平行に非常に近く、それゆえ、ディスプレイの見かけの明るさに顕著な変化はない。
b.H1<H、M<1及びD>Dcと仮定する。この場合、MLAの隣接するレンズの撮像領域が一部重なることがあるため、解像要素は≒Dとなる。H1の大きさを最小にすることによって、この事例は、ディスプレイ上には厚過ぎるMLA要素を避けるという実用上の理由のために利用され得る。また、隣接するセルの画像の一部を混合することで、折り返し雑音やモアレ・アーティファクトのリスクが最小化される。また、網膜に映し出される光源(D)の面積が大きくなると、MLAから発せられる光の立体角が同じだけ大きくなるという補償効果により、ディスプレイの見かけ上の明るさは維持される。Dが目の解像力より十分に低く抑えられれば、表示された画像の解像度は維持される。
c.H1>H、M>1、D<Dcを仮定する。この場合、セル間には映し出されていない間隙が存在する。これにより、ディスプレイの明るさが低下する上に、MLAの厚さが増し、折り返し雑音やモアレが発生しやすくなるため、この事例は望ましくない。
【0047】
要約すると、Dが目の解像力より低く抑えられている限り、ディスプレイの解像度は維持されることになる。
【0048】
さらに、以下のいくつかの実例で詳述するように、観察者の目が自動焦点機能を失い(例えば、老眼鏡を必要とする高齢者の場合)、無限遠とは異なる距離に焦点が固定された場合、目の網膜上のディスプレイの画像は、外側レンズの焦点面の焦点深度内(ナノメートル・・・の範囲内)の近接した平面から画像を描くという事実により、依然として完全である(図4及び5を参照)。図4において、図1のレンズ・アレイの1つのセルを参照する。
【0049】
サブ・ピクセル104は、レンズ120上で混合され、スポットの強度とその色が光軸に沿ってほぼ同じである、レンズ120の平面の近傍で、平面121~126と記されている色付きのスポットになる。
【0050】
平面121~126は、互いに異なり、第2のマイクロレンズの第2のアレイの第2のマイクロレンズの焦点面の近傍に配置される平面の実例である。121~126の各平面は、ディスプレイによって表示された視覚情報を表す視覚情報を有している-ただし、ディスプレイの画像ではない。平面は、例えばミクロン・スケール以内、すなわちサブミリメートルの距離範囲内で互いに接近している。視覚情報はセグメントを有し、各セグメントは第1のマイクロレンズと第2のマイクロレンズとを含むペアを通過する。
【0051】
無限遠に焦点が固定されたユーザAの目は、第2のレンズの焦点面530からその画像を取得する。この画像は第2のレンズ135によって無限遠に投影され、ユーザの目の水晶体510がそれをユーザの目の網膜515上に結像させる。
【0052】
図5では、ユーザが近距離に焦点が固定されている場合(「近視」)について言及する。この場合、目は、レンズ135にわずかに近く、レンズ120の前にある平面520からその鮮鋭な画像を受け取ることになる。この平面の画像は網膜515上で鮮鋭である。
【0053】
見られ得るように、光軸に沿って、わずかに変位した平面においても、各セルの画像は、レンズ120の周りのカラー・スポットを表すディスプレイのその部分(図1及び3の104を参照)の依然として色の優れた表現である色を含んでいる。このように、本発明は、たとえ両眼で異なる矯正を必要とする場合でも、ディオプトリの処方矯正を伴う老眼鏡を必要としない解決策を提示する。上記の層は、一部のみ使用することや異なる順番で構成することのみならず、さらに層を追加することや1つの層にまとめることもできることに留意されたい。
【0054】
本方法及び機器は、周囲光の反射の影響を低減することもできる。上記のように、図1図3において、外表面は、それぞれ目の解像度未満のマイクロレンズ135のアレイで構成されている。この表面は、周辺の非常に明るい画像に対する完璧な拡散板として機能し、周辺の画像を散乱させ、現状のように表示画像を邪魔することを防止する。外表面は完璧な拡散板ではあるが、それにより、見る者が老眼鏡を全く必要とせずに外表面を通してディスプレイを完全に見ることが可能になる。
【0055】
このAIDMLAが提案されたイメージング・システムは、層とガラスの厚さのわずかな変化に対して堅牢で鈍感である。以下の実例から明らかになる。
【0056】
このシステムは、レンズの半径、その形状、及び表面のわずかな補正不良にも鈍感である。完全な目の解像力を下回る光学要素の小ささにより(ディスプレイのピクセル・ピッチと同程度の大きさの)、提案する本発明は、その光学要素にあり得る光学収差(色収差、球面収差、コマ収差など)の補正の必要性を排除している。本発明のこの特徴がその開発及び生産の低価格を保証している。
【0057】
AIDMLAの実例と分析(M=1)。
実例A:0.5mに焦点が合っている近視眼
a.以下は、簡単な理由と計算である。
b.システムは以下のサブシステムで構成されていると仮定する。
c.厚さ1000μmのカバー・ガラス、100μmのPET(polyethylene terephthalate)ベース、UV(ultraviolet)樹脂Aからなる第1のMLA、UV樹脂Bからなる第2のMLA。
d.注:簡易化のため、平坦な要素(カバー・ガラス、ベース、接着剤など)の光学的厚さ(屈折率で除した厚さ)を使用する。
e.第1のレンズのディスプレイからの最短距離は、ガラスの厚さであり、1000μm+100μm(PETベース)+100μm UVRA(UV樹脂A)、そして2f=1200μmとすると、f=600μmが第1のレンズの焦点距離となる。
f.第1のレンズの半径は、R1=f×(n2-n1)=600×(1.62-1.52)=60μmとなる。図3に見られるように、エア・ギャップ131を使用する場合、
g.R=f×(1.52-1)=600×0.52=312μm。
h.第2の層の厚さ及び焦点距離は、F=2f=1200μmとなる。
i.外側の層には同じUVRAを使用し得る。
j.この場合、R2=F×(1.52-1)=1200×0.52=624μmである。
k.フォイルの全厚さ:100(PET)+100(UVRA)+1200=1.4mm
【0058】
必要な視力矯正量に対する感度。
0.5mの距離に固定的に矯正された目を想定し、ディスプレイは0.25mから見られるものとする。これは、像が、第2(投影)のレンズからU=0.25mにおいて虚像であることを意味する。ニュートンのレンズ方程式を使用することによって、物体面はレンズの焦点面より
【数1】

の分だけレンズに近いことが分かる。図4及び図5を参照。
【0059】
最悪の場合の状況では、RGBの別々のサブ・ピクセル色がセル全体の大きさを占める線に沿って一直線に並んでいると仮定し、その場合、R色とB色の間の最大距離はDcである。各点から、光の円錐は第1のレンズ125にわずかに異なる角度で当たる(図4図5を参照)。レンズ120の平面において、色付いた円錐が重なり合い、完全な混合を行う。その平面から光軸に沿って距離xだけ移動して、上記の矯正していない目の最も鮮鋭な像を利用する平面に移動すると、そのセルの色にわずかな変化を生じさせ得るRGB円錐の断面のわずかな分離がある。図5参照。簡単な幾何学から、2つのRとBの色円錐の断面間の最大相対分離Sは、Fを第2(外側)のレンズの焦点距離として、S=x/Fであることを見出し得る。
【0060】
上記の方程式からxを代入すると、S=F/Uを得る。この場合、S=624/250000 S=0.0025=0.25%を得る。この最悪の場合の分離は、色の変化が顕著になる限界(3%)よりも1桁小さい。したがって、図4及び図5で指摘したように、平面530の辺りの104の色はほぼ同じである。
【0061】
これは、焦点距離及び層厚における10~15μm(≒10×x)程度の誤差は許容されることも意味し、したがって、システムは堅牢で製造可能である。
【0062】
第2の実例
システムは上記と同様であるが、今度は虚像がディスプレイから距離U=2.25m-0.25m=2mにあるべき状況を仮定する。
【0063】
上記の方程式に代入すると、
【数2】

が得られ、最大色分離S=624/2000000=0.03%であり、これは色の顕著な変化(3%)より2桁も低い。
【0064】
AIDMLAの実例と分析(M=0.5)
a.上記の計算方法に従って、M=0.5のような小さな倍率では、f=300μm、全フォイル厚さは100(PET)+100(UVRA)+600=0.8mmであることも示し得る。この薄い厚さは、ディスプレイのガラス・プロテクタとして、或いはディスプレイの一体化された内部部品として取り扱い容易であり得る。その他の特徴については、上記実例で説明したものと同様となる。
【0065】
要約すると、提案するAIDMLAは、以下の重要な特徴及び利点-解像度及び観察者の目の視度補正の必要がないこと-を提供する。
【0066】
解像度はセルの大きさと倍率によって決定される。
【0067】
目はセルの大きさに比べて比較的遠い距離にあるので、各セルが目への見通し線を決定し、セルの大きさは人間の解像度を下回るので、ディスプレイの元の解像度は維持される。25cmの視距離から、完全な目の解像要素は>90μmである。
【0068】
この解像度は広範囲の角度において同様である。見通し線がディスプレイの垂直方向から移動すると、隣接する内側レンズから光の一部が入り得るが、それらは同一であるため、ディスプレイの解像度や色が変わることはない。
【0069】
各種の目は、外側MLA(135)のわずかに異なる物体面の鮮鋭な画像を見ることになるが、上記で説明したように、ディスプレイの色は顕著に変化しない。
【0070】
図1は、図2における列の1つの断面図である。図2は要素のアレイの上面図を示し、各要素は寸法Dc×Dcの3D要素であることに留意されたい。Dcの典型値は、マイクロメートルの大きさであり得る。いくつかの事例では、テレビなどの大型ディスプレイ向けに、Dcがmmの領域にもなり得る。Dcは、ディスプレイの解像度を維持するためにピクセル・ピッチと同程度であり得るが、モアレ・アーティファクトの可能性を避けるために、多少異なる値であり得る。
【0071】
多層化アプローチの実例として、図2に記載したような矩形のマイクロエレメントのアレイから構成される層を使用する。表示領域を完全に覆うことができる形状であれば、三角形、矩形、六角形などのアレイも検討され得ることに留意されたい。他の幾何学的形状も適用可能だが(円など)、それらは要素間にデッド・スペースを有することになり、したがってディスプレイのエネルギーの伝達効率が低くなる。図1図2において、大きさd1×d2及び高さH1の各要素が透明要素130から構成される矩形の場合を示している。好ましくは、d1とd2の寸法は目の解像度を下回る。
【0072】
層135は、2つの機能性を有する。
a.平面120からの光線を、観察者の目に入る平行光線に再コリメートし、無限遠における平面120の像を生成すること。
b.ディスプレイのピクセル・ピッチ程度の(目の解像度を下回る)ピッチの、あり得る凸又は凹の外側要素の繰り返しにより、層135がマット面としても機能し、入射する周囲光を拡散し、かつ傷や指紋跡がつきにくくなる。
【0073】
これらの層を別の方法で組合せたり、これらの層の一部を使用したりすることができることに留意されたい。層のこの構造は、システム及び方法がどのように実装され得るかの実例として提供されるものである。提示した方法は、デバイスのディスプレイ内部に特殊な層150として埋め込まれても、ディスプレイを覆うアドオンの透明要素としても使用されてもよい。
【0074】
図6は、AIDMLAはどのように電話に埋め込まれ得るかの実例を示す。そのためには、様々な選択肢がある。本機器150がディスプレイとカバー・ガラスの下との間に配置されている実例を示す。デジタル・ディスプレイ105は、R、G、Bカラー・サブ・ピクセル104のアレイの組合せで構成され、3つのサブ・ピクセルの組合せがピクセルの色を表す。カラー・サブピクセルの別の構成が使用され得ることに留意するべきであり、この配置は実例として使用されている。今日の携帯電話では、ピッチは約40~80μmである。ピクセルのアレイは、図6の本薄層要素150に取り付けられている。カバー・ガラス110は150に取り付けられている。
【0075】
機器150は、実例として、以下のような4層で構成されている。
a.ディスプレイとレンズ・アレイ層120の間の屈折率整合接着剤並びに透明スペーサからなり得る層115。
b.各レンズがDc1の正方形開口と焦点距離f1とをもつマイクロレンズ・アレイ層120。
c.中間透明層130。
d.層130上に存在する、幅Dc2の正方形開口と焦点距離f2とをもつ第2のレンズ・アレイ層135であって、この層は光線を再コリメートし、画像平面125を観察者の目に無限遠又はユーザの目137に適した所望の画像距離で映し出す。
【0076】
マイクロレンズ・アレイ135は、その焦点f2がH1に等しく、これにより、レンズ120の中心にある平面125が、無限遠に投影されることが保証される。H及びH1を所与とすると、M=H1/Hの倍率でディスプレイ105を外側MLA135に映し出すように120の焦点距離f1が選択される。
【0077】
図7は、方法300を示す。方法300は、機器の第2のマイクロレンズの第2のアレイの第2のマイクロレンズの焦点面の近傍に配置される互いに異なる別々の平面を機器によって投影するステップ310を含み得;機器は、第1のマイクロレンズの第1のアレイをさらに備え、第2のマイクロレンズの第2のアレイは第1のマイクロレンズの第1のアレイから間隔を置いて配置され、各第1のマイクロレンズ及び各第2のマイクロレンズの幅はディスプレイのピクセル・ピッチより数倍小さく、第2のマイクロレンズの第2のアレイはディスプレイの共役平面に配置され、第2のマイクロレンズの焦点面は第1のマイクロレンズのところに配置され;
各平面は複数のセグメントを有する視覚情報を有し、各セグメントの光路は第2のマイクロレンズと対応する第1のマイクロレンズとの専用ペアを通過する。
【0078】
機器は、ディスプレイに追加されてディスプレイと一体化され得、ディスプレイのアドオンその他であり得る。
【0079】
詳細な説明では、本発明の十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本発明は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることは、当業者には理解されよう。他の例では、周知の方法、手順、及び構成要素は、本発明を不明瞭にしないように、詳細には説明していない。
【0080】
本発明である主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に請求されている。しかしながら、本発明は、動作の機構及び方法の両方に関してはその目的、特徴及び利点とともに、添付の図面とともに読まれたときに、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0081】
図示の簡易化及び明瞭化のために、図に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、一部の要素の寸法は、明瞭化のために他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切と思われる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、図間で参照番号が繰り返されていることがある。
【0082】
本発明の図示された実施例は、ほとんどの場合、当業者に公知の電子構成要素及び回路を使用して実施され得るので、詳細は、本発明の基礎となる概念の理解及び評価のために、また本発明の教示を難解にしたり逸したりしないように、上記に例示したように必要と考えられる範囲を超えて説明しない。
【0083】
本明細書における方法へのいかなる言及も、その方法を実行することができる機器に準用されるべきである。
【0084】
本明細書における機器へのいかなる言及も、その機器によって実行され得る方法に対して準用されるべきである。
【0085】
用語「及び/又は」は、追加的又は代替的に、である。
【0086】
前述の明細書において、本発明は、本発明の実施例の具体実例を参照して説明された。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された本発明のより広い思想及び範囲から逸脱することなく、そこに様々な改変及び変更がなされ得ることは明らかであろう。
【0087】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「前(front)」、「後(back)」、「最上部(top)」、「最下部(bottom)」、「上方に(over)」、「下に(under)」などの用語は、説明のために使用されており、必ずしも永久的な相対位置を説明するために使用されているのではない。このように使用される用語は、本明細書で説明される本発明の実施例が、例えば、本明細書で図示又はその他の方法で説明される方向とは異なる方向で動作可能であるような適切な状況下で交換可能であることが理解される。
【0088】
同じ機能を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能が達成されるように、効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされる本明細書の任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は介在する構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように互いに「関連」していると見なされ得る。同様に、このように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に結合」されていると見なされ得る。
【0089】
さらに、当業者は、上記の操作の間の境界は単に例示的なものであることを認識するであろう。複数の操作は単一の操作に結合され得、単一の操作は追加の操作に分散されてもよく、操作は、時間的に少なくとも部分的に重複して実行され得る。さらに、代替の実施例では、特定の操作の複数のインスタンスを含み得、操作の順序は他の様々な実施例において変更され得る。
【0090】
しかしながら、他の改変、変形及び代替案も可能である。したがって、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきものである。
【0091】
「Xであり得る(may be X)」という表現は、条件Xが満たされる可能性があることを示す。この表現は、条件Xが満たされない可能性も示唆している。例えば、ある機器がある構成要素を含むという言及は、その機器がその構成要素を含まないという状況も包含するべきである。
【0092】
用語「含む(including)」、「備える/含む/有する(comprising)」、「有する(having)」、「構成する(consisting)」及び「本質的に構成する(consisting essentially of)」は、交換可能な態様で使用される。例えば、あらゆる方法は、図及び/又は本明細書に含まれるステップを少なくとも含み得、図及び/又は本明細書に含まれるステップのみを含み得る。同じことが機器及びモバイル・コンピュータについても適用される。
【0093】
図示の簡易化及び明瞭化のために、図に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるであろう。例えば、一部の要素の寸法は、明瞭化のために他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切と思われる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、図間で参照番号が繰り返されていることがある。
【0094】
しかしながら、他の改変、変形及び代替案も可能である。したがって、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきものである。
【0095】
特許請求の範囲において、括弧の間に置かれた参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されてはならない。「備える/含む/有する(comprising)」という単語は、請求項に記載された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書で使用する「a」又は「an」という用語は、1つ又は複数のものとして定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つ」や「1つ又は複数の」などの導入句の使用は、同じ請求項が「1つ又は複数の」や「少なくとも1つ」といった導入句や「a」や「an」といった不定冠詞を含んでいるときでも、不定冠詞「a」や「an」による別の請求項要素の導入が、そのような導入された請求項要素を含む任意の特定の請求項を、そのような要素を1つのみ含む発明に限定することを意味していると解釈されるべきでない。同じことが定冠詞の使い方についても当てはまる。特に断りのない限り、「第1の(first)」や「第2の(second)」などの用語は、そのような用語が説明する要素を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は、そのような要素の時間的又はその他の優先順位を示すことを必ずしも意図されておらず、ある手段が相互に異なる請求項に記載されているという事実だけで、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0096】
本発明の特定の特徴が本明細書で例示され、説明されてきたが、多くの改変、置換、変更、及び等価物が、ここで当業者に発生するだろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の思想の範囲内にあるすべてのそのような改変及び変更を包含することを意図していると理解されるべきである。
【0097】
図及び/又は明細書及び/又は特許請求の範囲のいずれかに例示されている機器の任意の構成要素及び/又はユニットの任意の組合せが提供され得る。
【0098】
図及び/又は明細書及び/又は特許請求の範囲のいずれかに例示された任意の機器の任意の組合せが提供され得る。
【0099】
図及び/又は明細書及び/又は特許請求の範囲のいずれかに例示されるステップ、操作及び/又は方法の任意の組合せが提供され得る。
【0100】
図及び/又は明細書及び/又は特許請求の範囲のいずれかに例示された操作の任意の組合せが提供され得る。
【0101】
図及び/又は明細書及び/又は特許請求の範囲のいずれかに例示される方法の任意の組合せが提供され得る。
【0102】
さらに、例示的な実施例が本明細書に記載されてきたが、本開示に基づいて、同等の要素、改変、省略、組合せ(例えば、様々な実施例にわたる態様の)、適応及び/又は変更を有するあらゆるすべての実施例の範囲が当業者に理解されるであろう。特許請求の範囲の限定は、特許請求の範囲に採用された言語に基づいて広く解釈され、本明細書に又は出願の手続中に記載された実例に限定されるものではない。これらの実例は、非排他的なものとして解釈されるべきである。さらに、開示された方法のステップは、ステップの順序を入れ替えること及び/又はステップを挿入若しくは削除することを含む、いかなる仕方でも変更され得る。したがって、本明細書及び実例は例示に過ぎず、真の範囲及び思想は以下の特許請求の範囲及びその均等物の全範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2
図2A
図3
図4
図4A
図5
図6
図7