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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】5軸印刷のための加熱固定具
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/295 20170101AFI20240412BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240412BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240412BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240412BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240412BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240412BHJP
【FI】
B29C64/295
B29C64/112
B29C64/393
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022573428
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021021075
(87)【国際公開番号】W WO2021247110
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】16/888,988
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァーセン,ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ケイソン,マイケル,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ハジセイド,エーサン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209051039(CN,U)
【文献】特開2016-097588(JP,A)
【文献】国際公開第2017/189904(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0215091(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱固定具であって
5軸ステージに機械的に結合するように構成されたベースと、
スタンドであって
印刷基材を支持し、前記印刷基材に熱的に結合されるように構成された支持面と、
前記スタンドが前記ベースから取り外し可能であるように、かつ、前記スタンドの位置が前記5軸ステージに対して維持されるように、前記ベースと機械的に結合するように構成された嵌合構造と、
前記支持面に熱的に結合された本体と、
ヒータによって生成された熱エネルギーが前記本体および前記支持面を介して前記印刷基材と交換されるように、前記本体に熱的に結合されたヒータと
を含むスタンドと、
前記印刷基材の第2の温度に関連する第1の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記温度センサによって測定された前記第1の温度に基づいて、前記ヒータに供給される電力を調節するように構成された温度コントローラと
を含む被加熱固定具。
【請求項2】
前記ヒータはフィルムヒータである、請求項1に記載の被加熱固定具。
【請求項3】
前記本体は、熱伝導性材料の第1の本体部分と、前記熱伝導性材料の第2の本体部分とを含み、前記ヒータは、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に位置する、請求項2に記載の被加熱固定具。
【請求項4】
前記ヒータは、前記第1の本体部分の側面および前記第2の本体部分の側面の両方と接触して配置される、請求項3に記載の被加熱固定具。
【請求項5】
前記支持面は、前記第1の本体部分の表面に位置し、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分は、前記支持面が前記スタンドの長手方向軸に沿って前記ベースから離れる方向に前記第2の本体部分を越えて延在するように、互いに対して配置される、請求項3または4に記載の被加熱固定具。
【請求項6】
前記ヒータはポリイミドフィルムヒータである、請求項2に記載の被加熱固定具。
【請求項7】
前記ヒータは、前記スタンドの長手方向軸に沿って前記支持面から離れた位置にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項8】
前記ヒータはカートリッジヒータである、請求項1から7のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項9】
前記ヒータは、前記本体のボア内に位置する、請求項8に記載の被加熱固定具。
【請求項10】
前記ベースは、締結具を介して前記5軸ステージに機械的に結合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項11】
前記支持面は、前記印刷基材の結合面と機械的に結合される、請求項1から10のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項12】
前記支持面は、前記印刷基材の前記結合面の輪郭に一致するように成形される、請求項11に記載の被加熱固定具。
【請求項13】
前記スタンドは、前記本体の外面に隣接して位置する断熱材をさらに含み、前記断熱材は、前記本体と前記本体が位置する環境との間の熱エネルギーの交換を遅らせるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項14】
前記温度センサは熱電対である、請求項1から13のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項15】
前記温度コントローラは、前記温度センサの出力が制御温度未満の温度に維持されるように、前記ヒータに供給される前記電力を調節する、請求項1から14のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項16】
前記本体および支持面は、銅またはアルミニウムで作られる、請求項1から15のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項17】
前記5軸ステージは、電気コネクタを含み、前記被加熱固定具は、前記ヒータが前記5軸ステージから電力を受け取るように、前記5軸ステージの前記電気コネクタとの電気接続を確立するように構成された電気接点をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の被加熱固定具。
【請求項18】
被加熱固定具であって、
5軸ステージに機械的に結合するように構成されたベースと、
スタンドであって
印刷基材を支持し、前記印刷基材に熱的に結合されるように構成された支持面と、
前記スタンドが前記ベースから取り外し可能であるように、かつ、前記スタンドの位置が前記5軸ステージに対して維持されるように、前記ベースと機械的に結合するように構成された嵌合構造と、
前記支持面に熱的に結合され、第1の本体部分および第2の本体部分を含む本体であって、前記支持面は、前記第1の本体部分の表面に位置し、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分は、前記支持面が前記スタンドの長手方向軸に沿って前記ベースから離れる方向に前記第2の本体部分を越えて延在するように、互いに対して配置される、本体と、
ヒータによって生成された熱エネルギーが前記本体および前記支持面を介して前記印刷基材と交換されるように、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分との間に位置するとともに、前記第1の本体部分および前記第2の本体部分の両方と接触しているフィルムヒータと
を含むスタンドと、
前記印刷基材の第2の温度に関連する第1の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記温度センサによって測定された前記第1の温度に基づいて、前記ヒータに供給される電力を調節するように構成された温度コントローラと
を含む被加熱固定具。
【請求項19】
プリンタであって、
5軸ステージと、
印刷基材と、
請求項1から18のいずれか一項に記載の被加熱固定具と
を備えるプリンタ。
【請求項20】
エアロゾル化された印刷材料を前記印刷基材上に出力するように構成されたプリントヘッドをさらに備える、請求項19に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に3次元(3D)印刷に関し、より詳細には、5軸印刷ステージ用の加熱固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)プリンタは、プリントヘッドに対して印刷面を向けるために、多軸ステージを使用することが多い。一般的な多軸ステージは、印刷中に5軸すべてに沿って基板の再配置を可能にする5軸ステージである。例えば、エアロゾルジェットプリンタは、電子機器の印刷に使用される特殊な3Dプリンタである。エアロゾルジェットプリンタは、機能性材料(例えば、導電性インク、誘電体、ポリマー、接着剤など)をエアロゾル化して基板上に噴霧する。
【発明の概要】
【0003】
3次元(3D)印刷中に基板を再配置する際、基板の移動中に印刷化合物が流れないことを確実にすることが重要である。例えば、導電性インクおよび5軸ステージを使用するとき、ステージの移動中にインクが流れないように導電性インクを十分に硬化させるために、ステージの移動を制限するべきである。
【0004】
3D印刷で使用される多くの印刷材料は、印刷化合物を乾燥させ、印刷化合物が流れるのを防止するために、加熱された基板上に印刷される必要がある。印刷チャンバ(すなわち、基板を取り囲む環境)を加熱することで基板を間接的に加熱することは、周囲環境が、印刷化合物が基板に到達する前に印刷化合物を乾燥させる可能性があるので、多くの用途(例えば、液体中に懸濁されたエアロゾル化粒子を使用して印刷するとき)にとって好ましくない。
【0005】
本発明は、印刷化合物の乾燥を改善し、ステージのより速い移動速度を可能にするための、多軸ステージ用の被加熱固定具を提供する。
【0006】
一態様によれば、被加熱固定具が提供される。被加熱固定具は、ベースと、スタンドと、温度センサと、温度コントローラとを含む。ベースは、5軸ステージに機械的に結合するように構成される。スタンドは、印刷基材を支持し、印刷基材に熱的に結合されるように構成された支持面を含む。スタンドはまた、スタンドがベースから取り外し可能であるように、かつ、スタンドの位置が5軸ステージに対して維持されるように、ベースと機械的に結合するように構成された嵌合構造を含む。本体は、本体およびヒータをさらに含む。ヒータによって生成された熱エネルギーが本体および支持面を介して印刷基材と交換されるように、本体は支持面に熱的に結合され、ヒータは本体に熱的に結合される。温度センサは、印刷基材の第2の温度に関連する第1の温度を測定するように構成される。温度コントローラは、温度センサによって測定された第1の温度に基づいて、ヒータに供給される電力を調節するように構成される。
【0007】
代替的にまたは追加的に、ヒータはフィルムヒータである。
【0008】
代替的にまたは追加的に、本体は、熱伝導性材料の第1の本体部分と、熱伝導性材料の第2の本体部分とを含み、ヒータは、第1の本体部分と第2の本体部分との間に位置する。
【0009】
代替的にまたは追加的に、ヒータは、第1の本体部分の側面および第2の本体部分の側面の両方と接触して配置される。
【0010】
代替的にまたは追加的に、支持面は、第1の本体部分の表面に位置し、第1の本体部分および第2の本体部分は、支持面がスタンドの長手方向軸に沿ってベースから離れる方向に第2の本体部分を越えて延在するように、互いに対して配置される。
【0011】
代替的にまたは追加的に、ヒータはポリイミドフィルムヒータである。
【0012】
代替的にまたは追加的に、ヒータは、スタンドの長手方向軸に沿って支持面から離れた位置にある。
【0013】
代替的にまたは追加的に、ヒータはカートリッジヒータである。
【0014】
代替的にまたは追加的に、ヒータは、本体のボア内に位置する。
【0015】
代替的にまたは追加的に、ベースは、締結具を介して5軸ステージに機械的に結合される。
【0016】
代替的にまたは追加的に、支持面は、印刷基材の結合面と機械的に結合される。
【0017】
代替的にまたは追加的に、支持面は、印刷基材の結合面の輪郭に一致するように成形される。
【0018】
代替的にまたは追加的に、スタンドは、本体の外面に隣接して位置する断熱材をさらに含み、断熱材は、本体と本体が位置する環境との間の熱エネルギーの交換を遅らせるように構成される。
【0019】
代替的にまたは追加的に、温度センサは熱電対である。
【0020】
代替的にまたは追加的に、温度コントローラは、温度センサの出力が制御温度未満の温度に維持されるように、ヒータに供給される電力を調節する。
【0021】
代替的にまたは追加的に、本体および支持面は、銅またはアルミニウムで作られる。
【0022】
代替的にまたは追加的に、5軸ステージは、電気コネクタを含み、被加熱固定具は、ヒータが5軸ステージから電力を受け取るように、5軸ステージの電気コネクタとの電気接続を確立するように構成された電気接点をさらに備える。
【0023】
別の態様によれば、被加熱固定具が提供される。被加熱固定具は、ベースと、スタンドと、温度センサと、温度コントローラとを含む。ベースは、5軸ステージに機械的に結合するように構成される。スタンドは、支持面と、嵌合構造と、本体と、フィルムヒータとを含む。支持面は、印刷基材を支持し、印刷基材に熱的に結合されるように構成される。嵌合構造は、スタンドがベースから取り外し可能であるように、かつ、スタンドの位置が5軸ステージに対して維持されるように、ベースと機械的に結合するように構成される。本体は、支持面に熱的に結合され、第1の本体部分および第2の本体部分を含む。支持面は、第1の本体部分の表面に位置する。第1の本体部分および第2の本体部分は、支持面がスタンドの長手方向軸に沿ってベースから離れる方向に第2の本体部分を越えて延在するように、互いに対して配置される。フィルムヒータは、ヒータによって生成された熱エネルギーが本体および支持面を介して印刷基材と交換されるように、第1の本体部分と第2の本体部分との間に位置するとともに、第1の本体部分および第2の本体部分の両方と接触している。温度センサは、印刷基材の第2の温度に関連する第1の温度を測定するように構成される。温度コントローラは、温度センサによって測定された第1の温度に基づいて、ヒータに供給される電力を調節するように構成される。
【0024】
さらなる態様によれば、プリンタが提供される。プリンタは、5軸ステージと、印刷基材と、被加熱固定具とを含む。
【0025】
代替的にまたは追加的に、プリンタは、エアロゾル化された印刷材料を印刷基材上に出力するように構成されたプリントヘッドをさらに含む。
【0026】
いくつかの特徴が本発明の実施形態に関して本明細書で説明されるが、所与の実施形態に関して説明される特徴はまた、他の実施形態に関連して採用され得る。以下の説明および添付の図面は、本発明の特定の例示的な実施形態を示す。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が採用され得る様々な方法のうちのいくつかを示すものである。本発明の態様による他の目的、利点および新規な特徴は、以下の詳細な説明を図面と併せて考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面は、必ずしも縮尺通りではないが、本発明の様々な態様を示しており、様々な図において同じまたは同様の部分を示すために同様の参照番号が使用されている。
図1】矩形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の概略上面図である。
図2図1の矩形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の側面図である。
図3図1の矩形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の正面図である。
図4図1の矩形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の斜視図である。
図5図1の被加熱固定具のベースから分離されたスタンドの正面図である。
図6図1の被加熱固定具のベースおよびスタンドの断面図である。
図7】中空円筒形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の上面図である。
図8図7の中空円筒形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の側面図である。
図9図7の中空円筒形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の斜視図である。
図10】円錐形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の側面図である。
図11図10の円錐形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の上面図である。
図12図10の円錐形の印刷基材、5軸ステージ、および被加熱固定具の斜視図である。
【0028】
次に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図面において、参照番号を有する各要素は、参照番号に続く任意の文字指定とは無関係に、同じ参照番号を有する他の要素と同様である。本文では、参照番号に続く特定の文字指定を有する参照番号は、その番号および文字指定を有する特定の要素を指し、特定の文字指定を有さない参照番号は、図面内の同じ参照番号を有するすべての要素を、その参照番号に続く任意の文字指定とは無関係に、指す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
一般的な実施形態によれば、印刷化合物の乾燥を改善し、ステージのより速い移動速度を可能にするための、多軸ステージ用の被加熱固定具が提供される。固定具は、3次元(3D)プリンタの多軸ステージに取り付けるベースと、印刷基材およびヒータを支持するスタンドと、温度センサと、温度コントローラとを含む。
【0030】
図1図4を参照すると、5軸ステージ14に対して印刷基材12を支持するための被加熱固定具10が示されている。被加熱固定具10は、ベース22と、スタンド24と、温度センサ26と、温度コントローラ28とを含む。ベース22は、5軸ステージ14に機械的に結合するように構成される。スタンド24は、印刷基材12を支持し、印刷基材12に熱的に結合された支持面30を含む。スタンド24はまた、本体32およびヒータ34を含む。ヒータ34によって生成された熱エネルギーが、本体32および支持面30を介して印刷基材12と交換されるように、本体32は支持面30に熱的に結合され、ヒータ34は本体32に熱的に結合される。温度センサ26は、印刷基材12の温度に関連する温度を測定する。温度コントローラ28は、温度センサ26によって測定された温度に基づいて、ヒータ34に供給される電力を調節する。
【0031】
図1図6に示す実施形態では、ステージは、x方向50、y方向52、およびz方向54に並進し、x-y平面を中心として(ヨーとも呼ばれる)回転56し、x-z平面を中心として(ピッチとも呼ばれる)回転58する。他の実施形態では、ステージはトラニオンである。5軸ステージは、x-y平面を中心として回転56するジンバルと、x-z平面を中心として回転58するトラニオン揺動アームとを含む。
【0032】
図示の実施形態では、ベース22は、締結具を介して5軸ステージ14に機械的に結合される。例えば、ベース22は、5軸ステージの回転プラットフォーム40に取り付けられたねじまたは接着剤を介して5軸ステージ14に固定され得る。ベース22は、5軸ステージが移動すると、それに対応して印刷基材12も移動するように、5軸ステージに固定される。ベース22は、任意の適切な材料(例えば、金属および/またはプラスチック)で作られ得る。
【0033】
支持面30および本体32に加えて、スタンド24は、スタンド24がベース22から取り外し可能であるように、かつ、スタンド24の位置が5軸ステージ14に対して維持されるように、ベース22と機械的に結合するように構成された嵌合構造36も含む。一実施形態では、スタンド24は、異なる形状のスタンド24がベース22に接続され得るように、ベース22から取り外し可能である。以下でさらに詳細に説明するように、スタンド24は、印刷基材12に応じて異なる形状を有し得る。
【0034】
図5に示すように、嵌合構造24は、ベース22の対応する構造25内に受け入れられる本体32の延長部を備え得る。図6のベース22および嵌合構造24の断面では、嵌合構造36は、本体32の五角形の延長部であり、ベース22の対応する構造25は、ベース22の五角形の開口部である。一実施形態では、嵌合構造24は、スタンド24をベース22に堅固に接続するための締結具であってもよい。
【0035】
スタンド24は、支持面30と印刷基材12との間で熱エネルギーが交換されるように、印刷基材12に熱的に結合される。本体32も同様に、本体と支持面との間で熱エネルギーが交換されるように、支持面に熱的に接続される。
【0036】
ヒータ34と印刷基材12との間の熱伝達を改善するために、スタンド24の本体32は、一実施形態では、205W/mK~385W/mKの範囲の熱伝導率を有する熱伝導性材料で作られる。例えば、本体32および/または支持面30は、アルミニウムおよび/または銅で作られてもよい。
【0037】
ヒータ34の一部は、ヒータ34と印刷基材12との間の熱伝達を改善するために、支持面30に近接して配置され得る。図1図6に示す実施形態では、ヒータ34は、支持面30に近接しているが、スタンド24の長手方向軸70に沿って支持面30から離れた位置にある(例えば、1~5mm離れて位置する)。図7図9に示す実施形態では、ヒータ34は、支持面30とは正反対の本体32の表面に位置する。
【0038】
図1図6に示す実施形態では、本体32は、第1の本体部分60および第2の本体部分62を含む。ヒータ34は、第1の本体部分60と第2の本体部分62との間に位置する。例えば、ヒータ34は、ポリイミドフィルムヒータなどのフィルムヒータであり得る。図示の実施形態では、ヒータ34は、第1の本体部分60の側面64と第2の本体部分62の側面66の両方と接触して配置される。図示の実施形態では、支持面30は、第1の本体部分60の表面に位置する。第1の本体部分60および第2の本体部分62は、支持面30がスタンド24の長手方向軸70に沿ってベース22から離れる方向に第2の本体部分62を越えて延在するように、互いに対して配置される。逆に、図7図9に示す実施形態では、支持面30は、本体32のみがヒータ34と印刷基材12との間に位置するように、印刷基材12に対向して位置する。
【0039】
図1図9に示す両方の実施形態では、ヒータ34はフィルムヒータである。図10図12に示す実施形態では、ヒータ34は、本体32のボア74内に位置するカートリッジヒータである。
【0040】
図示の実施形態では、支持面30は、印刷基材12の結合面76と機械的に結合される。例えば、印刷基材12は、支持面30上にプレス嵌めされてもよいし、印刷基材12は、接着剤(例えば、糊、両面テープなど)、クリップ、または任意の他の適切な締結具を使用して、支持面30に取り付けられてもよい。図10に示すように、印刷基材12は、3Dプリンタ84のプリントヘッド82によって印刷化合物80が堆積される任意の表面または材料を指し得る。
【0041】
図7図12に示す実施形態では、支持面30は、印刷基材12の結合面76の輪郭に一致するように成形される。図7図9に示す実施形態では、印刷基材12は中空円筒であり、支持面30は、印刷基材12の内側に嵌合する円筒形状を有する。同様に、図10図12に示す実施形態では、印刷基材12は中空の円錐体であり、支持面30は、印刷基材12の内側に嵌合する円錐形を有する。支持面30が、印刷基材12の少なくとも一部の輪郭に一致する形状を有していることで、被加熱固定具10により、印刷基材12へのより大きな熱伝熱が可能になる。
【0042】
上述したように、被加熱固定具10は、印刷基材12の温度に関連する温度を測定する温度センサ26を含む。温度センサ26は、熱電対または温度を測定するための任意の適切なデバイスの形態をとり得る。例えば、温度センサ26は、非接触温度計(例えば、赤外線(IR)カメラ)であってもよいし、印刷基材12、支持面30、または本体24のうちの少なくとも1つと物理的に接触する温度計であってもよい。一実施形態では、温度センサ26は、印刷基材12と支持面30との間に位置し、印刷基材12と物理的に接触している。図2に示す実施形態では、温度センサ26は、支持面30とは反対側の本体32の表面と物理的に接触している。
【0043】
温度コントローラ28は、温度センサ26によって測定された温度に基づいて、ヒータ34に供給される電力を調節する。一実施形態では、温度コントローラ28は、温度センサ26の出力が、制御温度未満の温度に維持されるように、ヒータ34に供給される電力を調節する。制御温度は、任意の適切な値に設定され得る。例えば、制御温度は、150℃、200℃、印刷基材の溶融温度、または印刷基材のガラス転移温度であってもよい。
【0044】
温度コントローラ28は、様々な実装形態を有し得る。例えば、温度コントローラ28は、プロセッサ(例えば、CPU)、プログラマブル回路、集積回路、メモリおよびI/O回路、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、複合プログラマブル論理デバイス、他のプログラマブル回路などの任意の適切なデバイスを含み得る。温度コントローラ28はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、または任意の他の適切な媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0045】
スタンド24の温度を安定させるために、スタンド24は、本体32の外面88に隣接して位置する断熱材86を含み得る。断熱材86は、本体32と本体32が位置する環境との間の熱エネルギーの交換を遅らせるように構成される。断熱材86は、0.045W/mK未満の熱伝導率を有し得る。
【0046】
ヒータ34は、5軸ステージ14の外側の電源で終端するワイヤを使用して電力を受け取り得る。これらのワイヤは、ワイヤのもつれを防ぐために、5軸ステージ14の回転を制限し得る。例えば、5軸ステージ14は、反対方向に回転して戻る前に、一方向に最大で1000°回転するように制限され得る。一実施形態では、ヒータ34は、5軸ステージ14に含まれる電気接続部90から電力を受け取る。被加熱固定具14は、同様に、ヒータ34が5軸ステージ14から電力を受け取るように、5軸ステージの電気コネクタ90との電気接続を確立する電気接点92を含む。この実施形態では、ヒータ34は、外部電源とは対照的に5軸ステージから電力を受け取るので、ワイヤのもつれを回避することができ、その結果、5軸ステージ14の回転を制限する必要がなくなる。
【0047】
上述したように、図10は、5軸ステージ14と、印刷基材12と、被加熱固定具10とを含むプリンタ80(例えば、3Dプリンタ)を示す。前述の実施形態では、被加熱固定具14は、既存のプリンタ80に追加されたアフターマーケットアクセサリであり得る。この実施形態では、被加熱固定具14は、プリンタ80に含まれ得る。例えば、被加熱固定具14のベース22は、5軸ステージ14に恒久的に固定され得、および/または5軸ステージ14と一体化され得る。
【0048】
上述したように、プリンタ80は、プリントヘッド82を介して、エアロゾル化された印刷材料80を印刷基材12上に出力し得る。一実施形態では、エアロゾル化された印刷材料は導電性インクである。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲に開示されるすべての範囲および比の限界は、任意の方法で組み合わせられ得る。別途明記しない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および/または「その(the)」への言及は、1つまたは2つ以上を含み得、単数形の項目への言及は、複数形のその項目も含み得る。
【0050】
本発明は、1つまたは複数の特定の実施形態に関して示され、説明されてきたが、当業者であれば、本明細書および添付の図面を読み理解することで、同等の変更および修正が思い浮かぶであろう。特に、上述の要素(構成要素、アセンブリ、デバイス、組成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、別段の指示がない限り、本明細書で例示される本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態における機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないが、説明される要素の指定された機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の要素に対応することが意図される。加えて、本発明の特定の特徴が、いくつかの例示される実施形態のうちの1つまたは複数のみに関して上記で説明されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途のために望ましく、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせられ得る。
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