(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】閉塞性睡眠時無呼吸を治療する刺激
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61N1/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023021044
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2020147566の分割
【原出願日】2016-03-16
【審査請求日】2023-02-14
(32)【優先日】2015-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510302135
【氏名又は名称】インスパイア・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Inspire Medical Systems,Inc.
【住所又は居所原語表記】5500 Wayzata Boulevard, Suite 1600 Golden Valley MN 55416 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ダレル・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】クアン・ニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ロンドニ
(72)【発明者】
【氏名】デイブ・ディーケン
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525280(JP,A)
【文献】特開平03-023870(JP,A)
【文献】特許第5636129(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞性睡眠時無呼吸を治療する装置であって、
埋め込み刺激電極を備え、
前記埋め込み刺激電極は、刺激パルスを受信し、一連の連続する刺激サイクルを含む第1刺激プロトコルに基づいて、上気道の呼吸の通り道に関連する筋肉へ刺激可能で上気道開存性の保持又は回復に関連した上気道開存性関連神経へ刺激し、各刺激サイクルが刺激期間と非刺激期間とを含み、前記第1刺激プロトコルにおいて、刺激期間のタイミングが患者の呼吸に対して非同期的であり、各刺激期間の持続時間が各非刺激期間の持続時間より長い、装置。
【請求項2】
前記埋め込み刺激電極と通信可能であり、前記埋め込み刺激電極に前記刺激パルスを送信し、患者の身体の外部にある外部部品を含むパルス発生器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
患者の呼吸に対して前記刺激の前記非同期的なタイミングは、前記第1刺激プロトコルの適用中において積極的に検出された呼吸に基づかないタイミングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
各刺激期間の持続時間が基準呼吸関連パラメータに基づくものであ
り、
前記基準呼吸関連パラメータは、基準呼吸サイクルの持続時間、または、前記基準呼吸サイクルの吸気フェズの持続時間を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記基準呼吸関連パラメータは基準呼吸サイクル
の持続時間を含み、前記刺激サイクルの各刺激期間の持続時間は前記基準呼吸サイクルの吸気フェズの持続時間より長い、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記基準呼吸関連パラメータは安定な呼吸に基づくものである、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記基準呼吸関連パラメータは基準呼吸サイクル
の持続時間を含み、対応する1つの刺激期間と対応する1つの非刺激期間との組み合わせは刺激サイクルを含み、前記刺激サイクルの持続時間は前記基準呼吸サイクルの持続時間より短い、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記基準呼吸関連パラメータは基準呼吸サイクル
の持続時間を含み、前記各呼吸刺激サイクルの持続時間は基準呼吸サイクルの持続時間の30%より短い、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
対応する1つの刺激期間と対応する1つの非刺激期間は少なくとも1.5対1の比となる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
対応する1つの刺激期間の持続時間は対応する1つの非刺激期間の持続時間の3倍を超える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
対応する1つの刺激期間の持続時間は各刺激サイクルの持続時間の少なくとも80%を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
プロセッサと、
指令を記憶するための不揮発性コンピュータ可読媒体と、を含み、
前記指令は、前記第1刺激プロトコルを実現するためにプロセッサによって実行可能である請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記基準呼吸関連パラメータは基準呼吸サイクル
の持続時間を含み、前記第1刺激プロトコルは前記基準呼吸サイクルの持続時間において複数の刺激期間を送るためのものである、請求項4に記載の装置。
【請求項14】
各非刺激期間の持続時間は少なくとも各刺激期間の持続時間の半分より短い、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記基準呼吸サイクルは、患者特有の履歴的な基準呼吸サイクル、および、複数の患者の基準呼吸サイクルの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記刺激プロトコルは、前記基準呼吸サイクルの吸気フェズの持続時間において前記複数の刺激期間の少なくともいくつかを送るためのものである、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記各呼吸刺激サイクルの持続時間は少なくとも基準呼吸サイクルの持続時間の30%より短い、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
対応する1つの刺激期間と対応する1つの非刺激期間との組み合わせは刺激サイクルを含み、前記第1刺激プロトコルは前記基準呼吸サイクルの持続時間において1つ以上の刺激期間を送るためのものである、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記基準呼吸関連パラメータは基準呼吸サイクル
の持続時間を含み、対応する1つの刺激期間と対応する1つの非刺激期間とは刺激サイクルを含み、前記刺激サイクルの持続時間は前記基準呼吸サイクルの持続時間より長い、請求項4に記載の装置。
【請求項20】
対応する1つの刺激期間の持続時間は前記基準呼吸サイクルの持続時間より長い、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年3月19日を出願日とする米国仮特許出願第62/135,305号に対して優先権を主張する国際特許出願であり、上記仮特許出願は本参照により開示に含まれる。
【背景技術】
【0002】
神経への標的電気刺激は多くの治療について将来性をうかがわせる。例えば、舌下神経への刺激は、上気道の開存性の保持および/または回復を支援することにより閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea、OSA)を緩和することとして知られている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1A】本開示の一例に係る、刺激要素を概略的に示すブロック図
【
図1B】本開示の一例に係る、治療管理部を概略的に示すブロック図
【
図2A】本開示の一例に係る、患者に対して少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムを概略的に示す図
【
図2B】本開示の一例に係る、埋め込み可能なパルス発生器を概略的に示すブロック図
【
図2C】本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムに対する制御部を概略的に示すブロック図
【
図2D】本開示の一例に係る、刺激システムを概略的に示すブロック図
【
図2E】本開示の一例に係る、刺激電極を概略的に示す上面図
【
図3A】本開示の一例に係る、呼吸パターンの一例における呼吸サイクルを概略的に示す図
【
図3B】本開示の一例に係る、刺激プロトコルに対して並列された一連の基準呼吸サイクルを概略的に示す図
【
図3C】本開示の一例に係る、刺激プロトコルに対して並列された一連の基準呼吸サイクルを概略的に示す図
【
図3D】本開示の一例に係る、刺激プロトコルに対して並列された一連の基準呼吸サイクルを概略的に示す図
【
図3E】本開示の一例に係る、刺激プロトコルに対して並列された一連の基準呼吸サイクルを概略的に示す図
【
図4】本開示の一例に係る、複数の刺激パラメータを概略的に示すブロック図
【
図5】本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素を概略的に示すブロック図
【
図6】本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの電源部品を概略的に示すブロック図
【
図7A】本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの検出要素を概略的に示すブロック図
【
図7B】本開示の一例に係る、検出要素を含んで患者に対して少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムを概略的に示す図
【
図8】本開示の一例に係る、治療呼吸パラメータを概略的に示すブロック図
【
図9】本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの制御部を概略的に示すブロック図
【
図10】本開示の一例に係る、制御部の態様を概略的に示すブロック図
【
図11A】本開示の一例に係る、ユーザインターフェースを概略的に示すブロック図
【
図11B】本開示の一例に係る、ユーザインターフェースを概略的に示すブロック図
【
図12】本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素を概略的に示すブロック図
【
図13】本開示の一例に係る、呼吸関連刺激要素を概略的に示すブロック図
【
図14】本開示の一例に係る、刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様を概略的に示す図
【
図15A】本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素を概略的に示すブロック図
【
図15B】本開示の一例に係る、刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様を概略的に示す図
【
図15C】本開示の一例に係る、刺激プロトコル選択部を概略的に示すブロック図
【
図15D】本開示の一例に係る、刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様を概略的に示す図
【
図16A】本開示の一例に係る、刺激プロトコルを概略的に示す図
【
図16B】本開示の一例に係る、刺激プロトコルを概略的に示す図
【
図17A】本開示の一例に係る、神経刺激の方法を概略的に示すフロー図
【
図17B】本開示の一例に係る、神経刺激の方法を概略的に示すフロー図
【
図17C】本開示の一例に係る、神経刺激の方法を概略的に示すフロー図
【
図18】本開示の一例に係る、治療管理部を概略的に示すブロック図
【
図19】本開示の一例に係る、治療管理部を概略的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の詳細な説明において、その一部を構成し且つ本発明を実行する具体例を示す添付図面を参照する。この点に関し、「上」、「下」、「前」、「後」、「先頭」、「末尾」などの方向用語は、記載されている図の方向性に関して使用される。実施例の構成要素は複数の異なる方向に設置されるので、方向用語は、説明の目的で使用され、限定するものではない。他の実施例が使用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造又は論理的な変更がなされてもよいことは理解されるべきである。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0005】
本開示の少なくとも複数の実施例は、神経刺激を適用することにより閉塞性睡眠時無呼吸を治療する方法に向けられている。これにより、上気道の圧潰を防止または最小限に抑えながら、上気道開存性は保たれるおよび/または増大されてもよい。同時に、標的刺激の利用により、所定神経または神経セットに適用される刺激の全体的な量は制限されうる。
【0006】
複数の実施例において、神経刺激は治療期間に渡って適用される。複数の実施例において、治療期間は、睡眠行動に入っている患者に対応し、回避されるべき睡眠呼吸障害に渡る。治療期間は、患者により手動で始まってもよく、神経刺激を適用する装置により自動的に始まってもよい。
【0007】
複数の実施例において、睡眠呼吸障害を治療するための少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムは独立した刺激要素を含み、刺激要素は呼吸波形の特徴に関連する同期がなく気道開存性関連神経(airway-patency-related nerve)へ刺激する。したがって、複数の実施例において、独立した刺激要素は検出要素を省略するシステムの一部を構成する。複数の実施例において、刺激要素は刺激プロトコルを決定して管理する刺激機関を含む。複数の実施例において、刺激要素は、標的神経へ刺激を送るパルス発生器と刺激電極をさらに含む、および/または、このパルス発生器と刺激電極とともに作用する。この複数の実施例において、パルス発生器は刺激機関を含み、または、刺激機関はパルス発生器と通信状態になる。複数の実施例において、パルス発生器は埋め込み可能であり、複数の実施例において、パルス発生器は患者の身体の外にある。複数の実施例において、刺激要素は、治療管理部と通信状態になり、または、治療管理部に組み入れられる。複数の実施例において、治療管理部は、パルス発生器と通信状態になり、および/または、パルス発生器に組み入れられる。複数の実施例において、治療管理部の少なくともいくつかの部品、機能、要素などは医師プログラマまたは患者遠隔操作装置(patient remote)に組み入れられ、医師プログラマまたは患者遠隔操作装置は患者の外にある。
【0008】
複数の実施例において、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムは呼吸情報を受信するまたは取得する検出要素を含むが、この情報は、検出された呼吸波形の特徴に関連する刺激の同期により刺激をトリガーすることに利用されない。むしろ、この複数の実施例において、検出された呼吸波形は睡眠呼吸障害行動を探知するまたは評価することに利用される。探知された行動が重症度閾値に達するまたは超える場合、治療管理部は独立した刺激要素を介して一般的に刺激を活性化する。この複数の実施例において、重症度閾値は少なくとも無呼吸の頻度および/または強度に基づく。複数の実施例において、重症度閾値は閉塞性睡眠時無呼吸負担(OSA負担)として、例えば起きている無呼吸の量および/または強度として、表現されてもよい。複数の実施例において、重症度閾値またはOSA負担は無呼吸低呼吸指数(Apnea-Hypopnea Index、AHI)として表現される。しかしながら、この複数の実施例において起きる呼吸検出にかかわらず、刺激は実際に検出した呼吸波形の特徴な特性から独立したプロトコルを介して実行される。すなわち、個々の刺激期間は、吸気フェズなどの呼吸特徴に関連してトリガーされる、および/または、同期されるものではない。
【0009】
複数の実施例において、独立した刺激要素は検出された呼吸情報から独立した第1刺激プロトコルに基づいて、非同期的に気道開存性関連神経へ刺激するように配置され、各刺激サイクルは刺激期間と非刺激期間とを含む。複数の実施例において、第1刺激プロトコルが検出された呼吸情報に関しては同期的でないので、第1刺激プロトコルは独立であると呼ばれる。複数の実施例において、第1刺激プロトコルが検出された呼吸情報に関しては同期的でないので、第1刺激プロトコルの独立性は非同期的な刺激プロトコルとも呼ばれてもよい。
【0010】
複数の実施例において、刺激サイクルにおける各刺激期間は連続刺激を含む。複数の実施例において、連続刺激は比較的に短い時間枠において起きる一連の刺激パルスを指す。例えば、複数の実施例において、1秒ごとに少なくとも有限個数(例えば、5、10など)の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、連続刺激は1秒ごとに少なくとも20個の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、連続刺激は1秒ごとに少なくとも30個の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、秒ごとにある刺激パルスの個数は制御部(例えば、
図2Cにおける要素56)を介して操作員により選択可能である。
【0011】
複数の実施例において、前述の連続刺激に渡って、一連の刺激パルスにおける各刺激パルスは個別の再充電パルスに続く一次刺激パルスを含み、個別の再充電パルスは次の一次刺激パルスが来る前に非刺激フェズに順次に続く。
【0012】
複数の実施例において、刺激期間は吸気基準と同様または吸気基準より長い最小持続時間を有する。複数の実施例において、吸気基準は基準呼吸サイクルの吸気フェズの持続時間に対応する。複数の実施例において、第1刺激プロトコルの各刺激サイクルは、吸気基準の持続時間より長い持続時間を有して非刺激期間に続く刺激期間を含み、非刺激期間は刺激期間の持続時間より短い持続時間を有する。
【0013】
複数の実施例において、基準呼吸サイクルは安定な呼吸に対して患者特有の履歴的な平均呼吸サイクルより定義される。複数の実施例において、基準呼吸サイクルは安定な呼吸に対して複数の患者の平均呼吸サイクルより定義される。
【0014】
少なくとも複数の実施例において、刺激期間の全体的な持続時間(刺激期間と非刺激期間とを含む)はわざと基準呼吸サイクルの持続時間(R)にずらされるため、刺激プロトコルは、一連の刺激サイクルにおける引き続く各刺激期間を引き続く各基準呼吸サイクルの異なる部分に位置させる。したがって、刺激は(一連の基準呼吸サイクルを含む)基準呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期的でなくとも、刺激プロトコルが基準呼吸サイクルの進行中のパターンに対していつ開始しても、かなり大部分の治療期間に対して、各刺激サイクルの刺激期間と、それぞれの基準呼吸サイクルの吸気フェズの少なくとも一部分とが重なる。したがって、仮に刺激プロトコルは最初の刺激サイクルの非刺激期間と基準呼吸サイクルの吸気フェズとが少なくとも部分的に重なる時点で始まるとしても、引き続く刺激サイクルの刺激期間は次の基準呼吸サイクルの吸気フェズと少なくとも部分的に重なる。さらに、少なくとも複数の後の引き続く刺激期間は、少なくとも複数のそれぞれの引き続く基準呼吸サイクルの吸気フェズとかなり重なる(例えば、少なくとも大部分の吸気フェズと重なる)。複数の実施例において、このようなかなりの重なりは吸気フェズの完全な重なりを含んでもよい。
【0015】
この配置を介して、検出要素が一切なくとも、または、検出要素を最小限に利用しても、上気道関連神経へ刺激して睡眠呼吸障害を治療することが可能となる。この観点から見ると、刺激は非同期的に実行され、例えば、検出した呼吸情報に対して同期せずに実行される。他の利点では、この特徴は刺激システムのコストを低減することができ、刺激システムの実施を簡略化することができ、刺激システムの動作を簡略化することができる。さらに、非刺激期間の存在は潜在的な筋肉疲労を最小限に抑えるのに役に立ち、非刺激期間がなければ潜在的な筋肉疲労が起こりうる。最後に、独立した刺激要素を介して非同期的な刺激を提供することは、センサーに基づくシステムまたは同期的なシステムが同期を達成できなくなる、および/または、信号の検出が安定でなくなる(または利用できなくなる)との状況を克服するのに役に立つ。
【0016】
しかしながら、理解されるべきなのは、複数の実施例において、同期する目的でないことのために、例えば、刺激治療効果を評価する、および/または、独立した刺激プロトコルのパラメータの調整に向けて情報を提供するために、呼吸情報の検出を実行しながらも、非同期的で独立した刺激プロトコルは実行されることである。
【0017】
他の態様において、独立した刺激要素を介して非同期的に刺激を提供することには、刺激プロトコルの刺激サイクルを呼吸波形の特徴にどう関係をつけるかについて制限が少ないため、大量の異なる刺激プロトコルを利用することができる。さらに、複数の実施例において、刺激要素は、複数の異なる刺激プロトコルにより応用をローテーションしながら神経刺激を適用し、複数の実施例において、単一の刺激プロトコルを利用する治療よりロバストな治療を提供する。複数の実施例において、このローテーションは、異なる刺激プロトコルの関連効果によりソートして、特定の患者に対して最も有効な刺激プロトコルを選択することに利用されてもよい。
【0018】
複数の実施例において、独立した刺激プロトコルは、刺激期間に少なくとも部分的に重なる大部分の基準呼吸サイクルの吸気フェズにおいて実施され、このような重なりの発生は少ない方より多い方が好ましい。同様に、複数の実施例において、一般的には、一連の刺激期間の提供を介してこのような独立した刺激プロトコルを実施することが好ましく、基準呼吸サイクルの吸気フェズと小さな程度の重なりより、大きな程度の重なりになるほうが好ましい。
【0019】
複数の実施例において、治療管理部は刺激プロトコル要素を含み、刺激プロトコル要素は検出した呼吸波形の特徴に同期する上気道関連神経への前述の独立した(すなわち、非同期的な)第1刺激モードと、刺激の同期的な第2刺激モードとの間で転換可能な操作を提供する。この配置において、治療管理部は、少なくとも第1所定時間期間に渡る第1刺激モードにおける操作と、センサー信号品質指標を満たして検出した呼吸波形の特徴の少なくとも1つのパラメータに基づいて第2刺激モードに転換する操作と、センサー信号品質指標を満たして検出した呼吸波形の特徴の少なくとも1つのパラメータに基づいて少なくとも第1所定時間期間に渡って第1刺激モードに復帰する操作と、を行う。したがって、1つの態様において、第1刺激モードは刺激のデフォルトモードを含む。
【0020】
複数の実施例において、第1刺激モードと第2刺激モードとの転換は自動的に行われる。複数の実施例において、治療管理部は、ユーザに第1刺激モードまたは第2刺激モードをデフォルトモードとして選択させるユーザ選択機能を含む。
【0021】
複数の実施例において、治療管理部は選択的にその2つの異なる刺激モードの間での転換を行う操作選択機能を含む。1つの態様において、このような選択的な転換は、操作員が特定の患者に対して刺激プロトコルのパラメータを調整する時に、治療管理部の操作員滴定(operator titration)に渡って手動で実施されてもよい。
【0022】
複数の実施例において、第1所定時間期間は、フィルタリングが確立される定常状態を確立するのに十分な期間、吸息と呼息とが確実に探知されている期間、または信号利得制御が実現される期間などに対応する。複数の実施例において、第1所定期間時間は刺激システムの操作上の適正さを評価するためのテストモードに対応しない。言い換えれば、第1所定期間時間に渡って発生する行為はたまに非テストモードと呼ばれてもよい。
【0023】
この配置を介して、独立した刺激要素はまず安定した呼吸パターンを確立する。この配置は、呼吸依存の刺激プロトコルのその後の達成できる同期性の見込みを同時に増やしながら、気道開存性を治療的に達成する。特に、複数の実施例は刺激が(重症度閾値を超える)睡眠呼吸障害行動が探知されるまで実施されないまたは(重症度閾値を超える)睡眠呼吸障害行動が探知されない限りに実施されないことを示すので、利用可能な呼吸信号は刺激信号の同期を試みるには劣化した信号の可能性がある。
【0024】
したがって、問題が起こりそうな同期を試みるより、本開示の少なくとも複数の実施例はまずは同期に依存しない独立した神経刺激を確立する。次に、この独立した刺激は、安定な呼吸パターンまたは信号の確立に対して役に立ち、そして、後に呼吸信号に対して呼吸依存の刺激プロトコルを同期する成功率を大幅に向上させる。ロバストな同期が一旦確立されると、刺激が吸気フェズ(または検出した呼吸波形の他の特徴)と概ね一致するように制限される同期基礎に基づく刺激により、システムは全体的に少ない刺激を利用して安定な呼吸期間をよく保つことができる。
【0025】
もちろん、有効な治療的な刺激の同期、および/または、受け渡しが妨げられるように検出した呼吸信号が変わる場合において、少なくとも複数の実施例において、治療管理部は独立した刺激モードに復帰する操作を行う。
【0026】
この配置を利用すると、独立した刺激モードは最初に高強度刺激を適用可能で、安定な呼吸パターンを確立して決め、そして、後に呼吸依存の刺激モードにおいて同期により低強度刺激を確立して保つことができる見込みを向上させる。このように、独立した刺激モードが最初に適用されない場合より長い期間時間に渡って同期モードが成功に動作する見込みにより、全体的な筋肉疲労が最小限に抑えられると予想される。
【0027】
したがって、複数の実施例において、独立した刺激要素は睡眠呼吸障害を治療するために単独に実施される。しかしながら、複数の実施例において、治療は独立した(すなわち、非同期的な)刺激モードと同期的な刺激モードとの相補的な組み合わせを介して達成される。
【0028】
上述記載から分かるように、複数の実施例において、刺激プロトコル要素は検出した呼吸波形の特徴を利用して気道開存性関連神経へ刺激する。前述の独立した(すなわち、非同期的な)第1刺激モードと同期的な第2刺激モードとの間での転換操作を提供してもよい。しかしながら、1つの実施例の態様において、治療管理部は、第2刺激モードにおける操作と、検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータがセンサー信号品質指標を満たさない時に第1刺激モードに変換する操作とを行う。したがって、1つの態様において、第2刺激モードは刺激のデフォルトモードを含む。
【0029】
これらの実施例およびほかの実施例は少なくとも
図1-19とともにさらに記述される。
【0030】
図1Aは本開示の一例に係る、刺激要素12を概略的に示すブロック図である。複数の実施例において、刺激要素12は神経刺激を管理して制御し、閉塞性睡眠時無呼吸を治療する。複数の実施例において、刺激要素12は独立した刺激機能14を含み、一般的に、独立した刺激機能14は刺激プロトコルを介して気道開存性関連神経に電気刺激を適用し、上気道閉塞を治療する。複数の実施例において、このような気道開存性関連神経は少なくとも舌下神経の突出筋の分枝(protrusor branches)を含む。
【0031】
複数の実施例において、第1刺激プロトコルに基づいて、独立した刺激機能14は気道開存性関連神経への刺激を操作し、第1刺激プロトコルは検出した呼吸情報に対して同期であらず、第1刺激プロトコルにおいて、各呼吸サイクルは刺激期間と非刺激期間とを含む。したがって、複数の実施例において、独立した刺激機能14を介して、神経刺激は検出した呼吸情報から独立して適用される。言い換えると、一旦独立した刺激機能14が活性化されると、それぞれの神経刺激期間の開始と終了は特徴、例えば、患者の呼吸サイクルの吸気フェズの開始、および/または、他の特徴、に対して同期しない。少なくとも本文において、独立した刺激機能14の操作(
図1A)は非同期刺激機能または非同期刺激モードと呼ばれている。
【0032】
複数の実施例において、治療期間が一旦開始すれば、患者が睡眠行動に入っている時(および避けるべき睡眠呼吸障害に渡って)、神経刺激機能14は常に「オン」または活性モードであるため、刺激サイクルは神経に対して適用される。このような実施例において、独立した刺激機能14の活性化または非活性化は無呼吸が発生しているか否かにかかわらない。例えば、独立した刺激機能14の一般的な活性化または非活性化は選択可能な時間スケジュール、例えば所定の開始時間(例えば、午後10時)および所定の終了時間(例えば、午前6時)、に基づいて制御されてもよい。
【0033】
図1Bは本開示の一例に係る、治療管理部16を概略的に示すブロック図である。一般的には、治療管理部16は睡眠呼吸障害を制御するための治療処方を管理し、睡眠呼吸障害は例えば閉塞性睡眠時無呼吸であるが、これに限らない。治療管理部16は少なくとも部分的に埋め込み可能な神経刺激システムの一部としてまた当該システムとともに動作する。複数の実施例において、治療管理部16は少なくとも制御部の一部を形成し、制御部は例えば少なくとも
図9および
図10とともに後述する制御部360であるが、これに限らない。複数の実施例において、治療管理部16は
図9とともに後述する治療管理部371と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0034】
複数の実施例において、治療管理部16は刺激要素12の少なくともいくつかの態様と通信状態になる、および/または、刺激要素12の少なくともいくつかの態様を組み入れる。複数の実施例において、治療管理部は検出要素(例えば、少なくとも
図7Aと
図7B)を介して生理学的検出情報にアクセスする。複数の実施例において、独立した刺激機能14の一般的な活性化、および/または、一般的な非活性化は睡眠行動の見込みに基づいて制御され、睡眠行動は、加速度計または他の検出要素を介して検出される少なくとも身体位置、身体姿勢、身体動作、および/または、身体活動パラメータに基づいて判断される。複数の実施例において、睡眠行動の見込みの判断は追加の検出した生理学的情報を介して補完され、この場合に、生理学的情報は検出した呼吸情報を含むがそれに限らない。
【0035】
治療管理部16が検出した生理学的情報(例えば、少なくとも
図7Aと
図7B)に既にアクセスした複数の実施例において、治療期間が一旦開始すると、呼吸行動指標(例えば、無呼吸が起こりそうかまたは起こっているかなど)に基づいて促されるまで、神経刺激機能14は一般的には神経を刺激するように活性化、および/または、非活性化されない。この判断は、検出した呼吸情報の特定の特徴(例えば、吸気、呼気など)に対してそれぞれの刺激期間のタイミングまたは同期から分離されるとともに独立である。したがって、これらの実施例において、患者が刺激を受けるか否かは、この患者が無呼吸の十分な量、頻度または強度を経験するか否かにより管理される。
【0036】
言い換えると、複数の実施例において、治療管理部16は、患者が無呼吸を経験しているまたは経験しそうな時に刺激を適用するように操作する。こうすれば、神経刺激は必要に応じて行われるように制限されるため、刺激システム20のエネルギーが浪費されないので、潜在的な筋肉疲労も抑えられる。刺激信号の特定の強度と、睡眠呼吸障害行動の関連の重症度の観点から特定の強度の刺激信号を提供するかについて、刺激治療の程度の自動的調整の少なくとも複数の実施例は、少なくともChristophersonの「睡眠呼吸障害の治療方法」と題して2011年10月27日に公開された米国特許出願公開第2011-0264164号に記述されている。
【0037】
複数の実施例において、気流制限、および/または、関わる無呼吸の検出、また呼吸サイクルの各吸気フェズと呼気フェズとの開始および終了の検出は、こうするための既知の方法および装置に基づいてまたは既知の方法および装置とともに行われる。このような、呼吸努力および気流制限に関する様々な特性とパターンを認識して検出する装置および方法の複数の限定されない実施例は、下記文献を含むがこれらに限らない:「睡眠時無呼吸の治療方法」と題する2010年5月27日に公開された国際公開第2010/059839号、Christophersonの「呼吸努力の検出方法と装置」と題する米国特許第5,944,680号明細書、およびTestermanの「閉塞性睡眠時無呼吸を治療する方法と装置」と題する米国特許第5,522,862号明細書。
【0038】
複数の実施例において、刺激要素12は、刺激プロトコルを決定して投与する刺激機関を備える。複数の実施例において、刺激要素12はパルス発生器と刺激電極とをさらに含み、および/または、パルス発生器と刺激電極とともに動作し、パルス発生器と刺激電極とは標的神経、例えば少なくとも
図2A-2Dおよび7Bとともに後述する神経、へ刺激を送る。このような実施例において、パルス発生器は刺激機関を含み、または、刺激期間はパルス発生器と通信状態になる。
【0039】
複数の実施例において、治療管理部16は、パルス発生器と通信状態になり、および/または、パルス発生器に組み入れられる。複数の実施例において、治療管理部16の少なくともいくつかの部品、機能、要素などは医師プログラマまたは患者遠隔操作装置に組み入れられ、医師プログラマまたは患者遠隔操作装置は患者の外にある。
【0040】
独立した刺激機能14を介して実行される特定の刺激プロトコルに関する詳細は、少なくとも
図3B-3Eとともに後述する。特に、少なくともいくつかの詳細は非同期刺激が睡眠呼吸障害の治療においてどのように治療効果を高めるかに関して提供される。
【0041】
図2Aは本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20の概略図である。一般的には、刺激を送るように、
図1Aの刺激要素12(および/または
図1Bの治療管理部16)は刺激システム20に組み入れられる、および/または、刺激システム20とともに動作する。
【0042】
図2Aにも示されているように、1つの実施例において、システム20は埋め込み可能なパルス発生器(IPG)35と、IPG35の接続ポート内に位置合わせされるコネクタ(不図示)を介してIPG35と電気結合される刺激リード線32とを含む。複数の実施例において、IPG35は患者22の胸部内に外科的に位置合わせされる。以下に詳述するように、リード線32は刺激電極部45を含んでIPG35から延び、刺激電極部45は舌下神経33の刺激を有効化すべく患者10の舌下神経33等の所望される神経に近接して位置合わせされる。複数の実施例において、刺激電極部45は自己サイズ調整カフ、例えばBonde等の米国特許第8,340,785号明細書に記載の自己サイズ調整カフ、を備える。複数の実施例において、電極45とともに、リード線32はBonde等の米国特許出願公開第20110160827号明細書に記載の少なくともいくつかの特性および属性を含む。複数の実施例において、リード線32は、少なくともChristophersonの米国特許第6572543号明細書に記載の埋め込み可能な刺激システムにおいて用いられる特性および属性を含む。
【0043】
後に
図9および
図10とともにより十分に記述するように、複数の実施例において、治療管理部16はIPG35を制御し、この制御は、IPG35の外部で、完全にIPG35の内部で、または部分的にIPG35の内部で実行される。
【0044】
複数の実施例において、刺激電極部45は少なくとも2つの電極の単一機能的接点群(operative contact group)を含むカフ電極を含み、2つの電極を介して、刺激を非選択的に気道開存性関連神経へ送ることができる。
図2Eはこのような電極50の1つの実施例を概略的に示す上面図であり、電極50は少なくとも2つの電極52の単一機能的接点群を含む。複数の実施例において、刺激電極部45は少なくとも1つの単一機能的接点群を含むカフ電極を含み、カフ電極を介して刺激を非選択的に気道開存性関連神経へ送ることができる。したがって、電極の1つ以上の機能的接点群は単一カフ電極に組み入れられてもよい。複数の実施例において、刺激電極部45は、それぞれ電極の少なくとも1つの機能的接点群を有する複数の個別のカフ電極を含んでもよい。
【0045】
複数の実施例において、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するための刺激システムは完全に埋め込み可能なシステムであり、睡眠呼吸障害と診断された患者に治療上の解決手法を提供する。しかしながら、複数の実施例において、システムの1つまたは複数の部品は患者の体内に埋め込まれることはなく、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムを提供する。後に少なくとも
図6とともに示されるように、このような非埋め込み式の部品のいくつかの非限定的な実施例には、外部センサー、および/または、外部電源が含まれる。
【0046】
複数の実施例において、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20は検出要素も含んでいない。したがって、システム20とその治療管理部16が呼吸行動を治療する刺激プロトコルを提供する範囲において、特定の患者に対する呼吸情報は、事前に受信および/または取得され、および/または、システム20の埋め込みに渡って受信および/または取得される。選択的に、独立した刺激機能14(
図1A)に基づいて動作する少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20の治療効果を定期的に測定および/または評価するために、一時的な外部検出システムが利用されてもよい。
【0047】
少なくとも複数の実施例において、無センサーの刺激システム20は、複数のセンサーベースのシステムより、かなり少ない電力を利用しているとともに、埋め込みやすい。さらに、このような実施例において、センサー、所定の検出関連回路および所定の追加のプログラミングが省略されるため、システム20はかなり簡単に構築、および/または、動作できる。
【0048】
しかしながら、理解されるべきなのは、複数の実施例において、刺激システム20は少なくとも
図7Aおよび
図7Bとともに後述する形式で検出要素を含むことである。これらの実施例のうちの少なくとも複数の実施例において、検出要素は治療および特定の刺激プロトコルを評価するために利用されるが、検出した呼吸波形の特徴に対して刺激を同期するために利用されるわけではない。
【0049】
図2Bは本開示の一例に係る、埋め込み可能なパルス発生器(IPG)50のブロック図である。複数の実施例において、IPG50はIPG35(
図2A)と同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。しかしながら、複数の実施例において、IPG50はIPG35(
図2A)と異なる特性および属性の少なくともいくつかを含む。このように、複数の実施例において、IPG50は
図2A(および
図7B)に示された実施例と異なる構成であってもよく、
図2A(および
図7B)に示された実施例と異なる位置に埋め込まれてもよい。
【0050】
さらに
図2Bを参照すると、複数の実施例において、埋め込み可能なパルス発生器50は刺激要素52と通信要素54とを含む。刺激要素52は、医師によりプログラムされた治療処方に基づいて、および/または、治療管理部16とともに、電極(例えば、
図2Aの刺激電極45)を介して神経刺激を発生し適用する。複数の実施例において、刺激要素52は
図1Aとともに前述した刺激要素12と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを備える。
【0051】
通信要素54は、システム20の外部とシステム20の埋め込み部分との間でのデータの送信及び/又は制御信号のやりとりを可能にする通信経路を提供する。例えば、複数の実施例において、通信要素54はIPG50の動作(検出した生理学的データ、刺激履歴、検出された無呼吸の個数などを含む)を報告するように配置されており、外部ソースからIPG50の最初のプログラミングまたはさらなるプログラミングを受信するように配置されており、外部ソースは、例えば、後に少なくとも
図10とともに言及される医師プログラマ、臨床医プログラマなどである。複数の実施例において、通信要素54は無線周波数(RF)テレメトリ・リンクまたは他の無線通信プロトコルを利用する。
【0052】
複数の実施例において、埋め込み可能なパルス発生器50は
図2Cに示された制御部56のような制御部または制御部の少なくとも一部を含む。一般的には、制御部56はパルス発生器50および少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの操作を管理する。このような制御部56に関するさらなる詳細は
図9-10とともに後述する。さらに、複数の実施例において、制御部56はユーザインターフェース、例えば少なくとも
図11Aおよび
図11Bとともに後述するユーザインターフェース、とともに操作可能である。
【0053】
図2Dは本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム80を概略的に示すブロック図形70である。複数の実施例において、システム80は、少なくとも
図2Dとともにさらに示されるように、胸部内でないところに位置するある部分と、刺激すべき標的神経に十分近接するところに位置するある部分とを有すること以外、システム20(
図2A)、パルス発生器50および制御部56と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0054】
複数の実施例において、システム80は前述したシステム20と実質的に同様な形式の無センサーのシステムである。言い換えると、システム80はセンサーを省略して、少なくとも部分的に患者の身体に埋め込まれる。
【0055】
図2Dに示されているように、複数の実施例において、システム80は神経接続(nerve-coupling)電極部82とパルス発生器84とを含む。複数の実施例において、神経接続電極部82は標的神経72に対して少なくとも電気的に接続する要素を備える。標的神経72は気道開存性の保持又は回復に適切であり、例えば舌下神経であるが、これに限らない。
【0056】
複数の実施例において、電極部82は
図2Aとともに記述された刺激電極部45のようなカフを備え、この電極部は機械的にも電気的にも神経72に対して接続している。しかしながら、複数の実施例において、神経接続電極部82は機械的にも電気的にも神経72に対して接続しているが無カフ構造をしている。
【0057】
複数の実施例において、神経接続電極部82は、機械的に神経72と接続していないが、神経72に十分近接するところに機械的に接続または固定して、電極部82と神経72との電気的な接続を可能とする。1つの例示において、このような実施例は経皮アクセス供給(percutaneous access delivery)を介して標的神経72に供給される電極部82を含む。1つの例示において、このような実施例は経静脈供給方法(transvenous delivery method)介して標的神経72に送られる電極部82を含み、経静脈供給方法においては、患者の脈管構造の内部に誘導されたリード線および脈管構造を通るリード線において供給される。
【0058】
複数の実施例において、前述したパルス発生器50(
図2B)の形式と同様に、パルス発生器84は刺激要素52と通信要素54とを含む。複数の実施例において、パルス発生器84は内部部品90のみを含み、内部部品90は皮膚/組織の下の身体の内部にある。しかしながら、複数の実施例において、パルス発生器84は複数の内部部品90および複数の外部部品92の組み合わせを含み、外部部品92は身体の外部にあって皮膚/組織の上または外部にある。
【0059】
複数の実施例において、
図2Dに示すように、通信要素54(
図2B)を介して、システム80はパルス発生器84と神経接続電極部82との間の有線通信経路94および/または無線通信経路96を含む。複数の実施例において、このような通信経路94、96の片方また両方は、パルス発生器84の内部部品90と外部部品92との間の通信に利用可能である。
【0060】
複数の実施例において、検出した呼吸情報を利用するおよび/または評価するために、治療管理部16は基準点、例えば
図3Aに示された通常呼吸パターン150、を用いる。もちろん、患者の個人差が存在するため、理解されるべきなのは、通常呼吸パターン150は説明する目的のために提供される代表な例示であり、すべての患者に対して全般的に通常な呼吸パターンを厳密に定義することを意図するものではないことである。これを踏まえて、複数の実施例において、システム20は(治療方法が適用される)特定の患者の特定の呼吸パターンを基準点として用いて検出した呼吸情報を利用および/または評価する。
【0061】
図3Aに示された通常の呼吸パターン150の実施例において、呼吸サイクル160は吸気フェズ162と呼気フェズ170を含む。吸気フェズ162は初期部164と、中期部165と、末期部166とを含み、呼気フェズ170は初期部174と、中期部175と、末期部176と、呼気ピーク177とを含む。第1移行部180は末期吸気部166と初期呼気部174の間の接点に発生し、第2移行部182は末期呼気部176と初期吸気部164の間の接点に発生する。複数の実施例において、末期呼気部176は呼気停止(expiratory pause)を含みおよび/または呼気停止と呼ばれ、呼気フェズは初期吸気部164の開始の直前に発生する。
【0062】
図3Bは本開示の一例に係る、独立である刺激機能14(
図1A)を介して実行される刺激プロトコル210を概略的に示す図形200。複数の実施例において、患者の既知/適用できる呼吸サイクルに基づいてシステムを始めた後、かつ、独立した刺激機能14の一般的な活性化の後、刺激プロトコル210の初期、中期および末期は検出した呼吸情報にかかわらず動作する。1つの態様において、
図3Bは一連の基準呼吸サイクル204A-204Hを含む呼吸パターン202を示し、各サイクルは呼吸サイクル160と同様な特性および属性を実質的に有する。したがって、各基準呼吸サイクル204A-204Hは持続時間Rを有する。
【0063】
1つの態様において、パターン202は、通常の昼間の呼吸に渡って発生する安定な呼吸パターンを表現し、および/または、刺激プロトコル210のアプリケーションに由来する安定な呼吸パターンを表現している。
【0064】
複数の実施例において、刺激プロトコル210を介する刺激はアクティブに検出した呼吸サイクルの特徴に対して同期的でないため(例えば、呼吸努力のリアルタイム測定を介する)、刺激プロトコル210は基準呼吸サイクルに基づいて動作する。複数の実施例において、基準呼吸サイクルは、安定な呼吸に対する少なくとも1つの患者特有の履歴的な平均呼吸サイクルと、安定な呼吸に対する多数患者平均呼吸サイクルとを含む。履歴および/または予測情報は、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20の動作に渡って治療管理部16(
図1B)が積極的に呼吸波形を検出しない少なくとも複数の実施例に用いられる。
【0065】
図3Bに示されるように、刺激プロトコル210は一連の分離した刺激期間(例えば、パルス)212A-212Jを含み、刺激期間212A-212Jは非刺激期間218A-218Iにより間隔があき、各非刺激期間218A-218Iは一対の隣接の刺激期間との間に挟まれている。例えば、非刺激期間218Bは刺激期間212Bと212Cとの間に挟まれている。1つの態様において、各刺激期間(212A-212I)は第1端214と反対する第2端216を有する。
【0066】
複数の実施例において、刺激プロトコル210が基準パターン202に対して並列していることを論証するために、
図3Bはさらに、離散個数(例えば、3、4、5、6、78、など)の時間ユニットに割り当てられた呼吸サイクルを示し、各時間ユニットが持続時間tを有する。
図3Bに示された実施例において、各呼吸サイクルは持続時間Rを有し、6つの持続時間tに分けられている。
【0067】
複数の実施例において、持続時間Rは患者特有であって呼吸サイクルの長期平均持続時間に基づくものである。複数の実施例において、持続時間Rは患者特有でなくて多くの異なる患者に対する呼吸サイクルの平均持続時間に基づくものである。複数の実施例において、持続時間Rは約3秒から約6秒である。複数の実施例において、治療管理部16を介して、持続時間Rは好ましい持続時間に調整されてもよい。複数の実施例において、治療管理部16は持続時間に関する患者特有情報を用いる。
【0068】
しかしながら、複数の実施例において、このような情報は取得できないまたは問題がある場合、治療管理部16は多数患者情報を用いる。例えば、少なくとも複数の患者集団に対して呼吸期間の全体の持続時間は約3-6秒であり、この持続時間は約10-18呼吸/分との一般的な呼吸数に対応する。さらに、一般的には、吸気(例えば、吸気フェズ)は吸気と呼気と呼気停止とを含む呼吸期間の全体における少部分である。
【0069】
少なくとも複数の患者集団において、無呼吸および/または低呼吸は約2、3呼吸の最小持続時間に対応する約10秒の最小持続時間を有する。
【0070】
複数の実施例において、無呼吸は1つ以上の呼吸(例えば、1つの吸気フェズ)に対して刺激ミス(完全なミスまたはかなりのミス)を回避する刺激プロトコルの実行を介して回避できる。
【0071】
さらに
図3Bを参照すると、説明文209に表示されるように、刺激プロトコル210は刺激サイクルに基づいて操作し、この刺激サイクルにおいて当該刺激サイクルの持続時間は基準呼吸サイクルの持続時間(R)より短い。複数の実施例において、刺激期間の持続時間は非刺激期間の持続時間の3倍を超える。複数の実施例において、説明文209に示されるように、刺激期間と非刺激期間は4対1の比となる。複数の実施例において、各刺激サイクルは4時間ユニットの連続刺激期間と続いて1時間ユニットの非連続刺激期間とを含み、神経刺激が一般的に活性化される時にこの刺激サイクルは連続に繰り返される。刺激サイクルの総持続時間(例えば、刺激の4時間ユニットおよび非刺激の1時間ユニット)は5時間ユニットであり、総持続時間はこの実施例においては6時間ユニットである呼吸期間の持続時間Rより短い。1つの態様において、刺激期間が大きい割合で非刺激時間より長い配置例は、舌運動の頻度または総量を最小限に抑えることで舌磨きを最小限に抑えることにより、複数の患者に利益を提供し、この舌運動は気道開存性を回復するための刺激治療により起こりうる舌突出である。
【0072】
図3Bにおいて、刺激期間212Aの第1端214は、呼吸サイクル204Aの吸気フェズ162の開始と一致するように示されている。しかしながら、理解されるべきなのは、刺激期間212Aの開始214が呼吸フェズ162に対して同期的でないことである。むしろ、刺激期間212Aの開始214が呼吸サイクル204Aの吸気フェズ162の開始と一致するように示されているのは、呼吸サイクル204A-204Hに対して刺激プロトコル210を簡単に並列で図示するためである。したがって、理解されるべきなのは、刺激は(刺激プロトコル210に基づいて)治療期間に渡って始まり、刺激期間212Aの開始は
図3Bに示された呼吸サイクル(例えば204A)の違うところと一致してもよいことである。
【0073】
さらに
図3Bの刺激プロトコル210を参照すると、1つの態様において、非刺激期間218A-218Iのそれぞれは、刺激期間212A-212Jのそれぞれの持続時間より短い持続時間を有する。1つの態様において、刺激プロトコル12Aの持続時間は基準呼吸サイクル204Aの持続時間Rより短い。1つの態様において、各刺激期間(例えば、212A)と非刺激期間(例えば、218A)の相対的な持続時間は、引き続く各刺激期間(例えば、212B)を引き続く呼吸サイクルにおいて異なるところに位置させるため、刺激パターンは呼吸サイクルの特徴から独立している(すなわち、呼吸サイクルの特徴に対して同期的でない)。例えば、
図3Bから見られるように、刺激期間212Dの第1端214が呼吸サイクル204Cの呼気フェズ170のところと一致していながら、刺激期間212Eの第1端214が引き続く呼吸サイクル204Dの吸気フェズ162のところと一致している。
【0074】
図3Bに示されるように、刺激期間212A、212B、212Cは呼吸サイクル204A-204Cのそれぞれの吸気フェズ162の全体と重なりながら、刺激期間212Dは少なく部分的に呼吸サイクル204Dの吸気フェズ162と重なる。
【0075】
刺激サイクル(刺激期間と非刺激期間の両方)の全体的な持続時間は基準呼吸サイクルの持続時間(R)にずらされるため、刺激プロトコル210は、一連の刺激サイクルにおける引き続く各刺激期間を引き続く各基準呼吸サイクルの異なる部分に位置させる。したがって、刺激は基準呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期的でなくとも、刺激プロトコル210が基準呼吸サイクルの進行中のパターンに対していつ開始しても、かなり大部分の治療期間に対して、各刺激期間と、それぞれの基準呼吸サイクルの吸気フェズの少なくとも一部分とが重なる。したがって、仮に刺激プロトコル210は非刺激期間(例えば、218D、218E)と呼吸サイクル(例えば、204D、204E)の吸気フェズ162とが少なくとも部分的に重なる時点で始まるとしても、引き続く刺激期間212F、212Gなどは次の呼吸サイクル204F、204Gなどの吸気フェズ162と少なくとも部分的に重なり(例えば、刺激期間212Fが少なくとも大部分と重なる)、または引き続く各呼吸サイクル(例えば、204F、204G)の吸気フェズ162と完全に重なる(例えば、刺激期間212G)。
【0076】
1つの態様において、刺激プロトコル210に、各刺激期間(例えば、212A-212J)の持続時間は基準呼吸サイクル(204A-204H)の持続時間(R)より短いが、個々の呼吸サイクル(例えば、204A)の吸気フェズ162の持続時間より長い。
【0077】
1つの態様において、刺激サイクルのためのデューティサイクルは呼吸サイクル特有の特徴により変化する。例えば、呼吸サイクル204A、204B、204C、204D、204F、204G、204Hに渡って、連続刺激の5時間ユニットと非刺激の1時間ユニットでは、デューティサイクルは約83%となる。しかしながら、呼吸サイクル204Eに渡って、連続刺激の4時間ユニットと非刺激の2時間ユニットでは、デューティサイクルは約67%となる。5つの呼吸サイクルごとに、一連の刺激サイクルは繰り返し、示された呼吸サイクル204Fのように、呼吸サイクル204Aと同様な方式で、刺激期間212Gの第1端214は再び呼吸サイクル204Fの吸気フェズ162の開始と一致する。したがって、1つの態様において、無限なる呼吸サイクルにおける長期間のデューティサイクル(または十分な数の時間枠における平均的なデューティサイクル)は約80%となる。
【0078】
複数の実施例において、刺激プロトコル210を介して、
図3Bに、呼吸サイクルの吸気フェズ162とかなり重なる(少なくとも吸気フェズ162の大部分と重なる)刺激期間が存在していない4つの呼吸サイクルとの列は発生しない。この指標は最も長い時間期間に基づくものであり、少なくとも複数の実施例において、患者は、呼吸イベント関連の覚醒を回避しながら呼吸しなくてもよく、および/または、通常の血液酸素化(blood oxygenation)に近く維持してもよい。
【0079】
複数の実施例において、刺激要素12(
図1A)および/または治療管理部16(
図1B)を介して、臨床医は刺激プロトコルを実行してもよく、特定の患者に対する所定の時間量、および/または、所定個数の呼吸サイクルに基づいて、いくつかの呼吸サイクルは刺激期間とかなり重ならずにパスされるかに関する量(例えば、2、3、4)が操作員に選択される。
【0080】
理解されるべきなのは、各呼吸サイクル(204A-204H)の各吸気フェズ162は理想的な形で
図3Bに示されており、いくつかの実施例において、吸気フェズ162は少なくとも部分的に各非刺激期間(例えば、218D)の1つと一致しており、吸気フェズは時々
図3Bに示された理想的な形より不規則な形を有してもよいことである。
【0081】
したがって、刺激プロトコル210を介して、刺激要素12の独立した刺激機能14(
図1A)は非同期神経刺激を実行し、潜在的な睡眠呼吸障害にかかわらず安定な呼吸を達成する。
【0082】
パターン202および刺激プロトコル210の実施例を基礎として、理解されるべきなのは、複数の実施例において、各刺激サイクルの刺激期間の持続時間が基準呼吸サイクルの持続時間の少なくとも50%である時に刺激プロトコルは適用されることである。少なくとも複数状況において、この配置は非同期刺激プロトコルにおける完全にミスする吸気の確立を50%以下にさせることができるため、治療期間の大部分において、睡眠呼吸障害(例えば、無呼吸)を最小限にする又は予防することに十分にできる刺激は、少なくとも吸気の一部に渡って送られる。
【0083】
複数の実施例において、刺激プロトコルは各刺激サイクルの刺激期間の持続時間が基準呼吸サイクルの持続時間の80%である時に適用される。例えば、患者が激しい閉塞性睡眠時無呼吸を有し、5つの吸気のうちの1つ以下のミスしか許さない複数の実施例において、このような配置は利用できる。非同期的に適用する時、このようなデューティサイクルはおそらく有効な治療をさせながらも(他の刺激パラメータが有効と仮定する)、疲労の筋肉を十分に休ませることができる。
【0084】
図3Bに描かれていないが、複数の実施例において、刺激プロトコルは各刺激サイクルの刺激期間の持続時間が基準呼吸サイクルの持続時間の少なくとも25%である時に、刺激プロトコルが適用される。非同期的に適用する時、このような配置はおそらく、少なくとも1つの刺激期間を、3つの呼吸(すなわち、3つの呼吸サイクル)ごとに少なくとも1つの呼吸(例えば、1つの呼吸サイクル)の吸気フェズと重ならせる。激しくない無呼吸が発生するいくつかの患者に対して、この配置は十分に閉塞性イベントを予防することができる。
【0085】
図3Cは本開示の一例に係る、独立した刺激機能14(
図1A)を介して実行される刺激プロトコル22を概略的に示す図である。1つの実施例において、異なる刺激プロトコル220を有する以外、図形221は図形201と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0086】
さらに、説明文229に表示されているように、刺激プロトコル220は、刺激サイクルの持続時間が基準呼吸サイクルの持続時間Rより長いとの刺激サイクルに基づいて動作する。複数の実施例において、刺激期間の持続時間は非刺激期間の持続時間の1.5倍を超える。説明文229を介して表示されているように、複数の実施例において、刺激プロトコル220は刺激サイクルを含み、刺激サイクルは4と1/2時間ユニットがある刺激期間と2と1/2時間ユニットがある非刺激期間とを含み、7時間ユニットがある全体的な刺激サイクルは6時間ユニットがある呼吸サイクル(例えば、204A)の持続時間Rより長い持続時間を有する。
【0087】
前述した刺激期間210と実施的に同様な形式で、刺激プロトコル220が呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期的でなくとも、刺激プロトコル220が一連の呼吸サイクルに対していつ開始しても、かなり大部分の治療期間に対して、各刺激期間とそれぞれの基準呼吸サイクルの吸気フェズの少なくとも一部分とが重なる。例えば、非刺激期間228Bが一般的に呼吸サイクル204Cの吸気フェズ162と一致する時に始まるように刺激プロトコルは起こり、引き続く刺激期間222Cは、次の呼吸サイクル204Dの吸気フェズ162と少なくとも部分的に重なり、また、後に引き続く刺激期間はそれぞれの引き続く呼吸サイクル(例えば、204E、204F)の吸気フェズ162とかなり(例えば、少なくとも大部分で重なるように表示された刺激期間222D)または完全に(例えば、刺激期間222E)重なる。
【0088】
複数の実施例において、治療期間に渡って第1刺激プロトコルを介する刺激の総持続時間が治療期間の総持続時間の30%より長い時に、刺激プロトコルは適用される。
【0089】
1つの態様において、刺激プロトコル220に、各刺激期間(例えば、222A-222G)の持続時間は呼吸サイクル(204A-204H)の持続時間(R)より短いが、個々呼吸サイクル(例えば、204A)の吸気フェズ162の持続時間より長い。
【0090】
1つの態様において、繰り返す刺激サイクルにより表示されたデューティサイクルは呼吸サイクル特有の特徴により変化する。例えば、呼吸サイクル204D、204E、204F、204Gに渡って、3と1/2時間ユニットがある連続刺激と2と1/2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは58%となる。しかしながら、呼吸サイクル204Aおよび204Bに渡って、4と1/2時間ユニットがある連続刺激と1と1/2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは75%となる。一方、呼吸サイクル204Cに渡って、4時間ユニットがある連続刺激と2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは67%となる。8つの呼吸サイクルごとに、一連の刺激サイクルは繰り返し、示された呼吸サイクル204Hのように、呼吸サイクル204Aと同様な方式で、刺激期間222Gの第1端224は再び呼吸サイクル204Hの吸気フェズ162の開始と一致する。したがって、1つの態様において、無限なる呼吸サイクルにおける長期間のデューティサイクルまたは平均的なデューティサイクルは約64%となる。
【0091】
複数の実施例において、刺激プロトコル220を介して、
図3Cに、呼吸サイクルの吸気フェズ162とかなり重なる(少なくとも吸気フェズ162の大部分と重なる)刺激期間が存在していない4つの呼吸サイクルは発生しない。
【0092】
図3Dは本開示の一例に係る、独立した刺激機能14(
図1A)を介して実行される刺激プロトコル230を概略的に示す図である。異なる刺激プロトコル230を有する以外、図形231は図形201(
図3B)または図形221(
図3C)と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0093】
さらに、説明文239に表示されているように、刺激プロトコル220は、刺激サイクルの持続時間が基準呼吸サイクルの持続時間Rより長いとの刺激サイクルに基づいて動作する。複数の実施例において、刺激期間の持続時間は非刺激期間の持続時間の3倍を超える。
図3Dにおいて説明文239を介して表示されているように、複数の実施例において、刺激プロトコル230は刺激サイクルを含み、刺激サイクルは7と1/2時間ユニットがある連続刺激期間と2と1/2時間ユニットがある非刺激期間とを含み、10時間ユニットがある全体的な刺激サイクルは6時間ユニットがある呼吸サイクル(例えば、204A)の持続時間Rより長い持続時間を有する。
【0094】
前述した刺激期間210、220と実質的に同様な形式で、刺激プロトコル230が呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期的でなくとも、刺激プロトコル230が一連の呼吸サイクルに対していつ開始しても、かなり大部分の治療期間に対して、刺激期間とそれぞれの基準呼吸サイクルの吸気フェズの少なくとも一部分とが重なる。したがって、非刺激期間238Bが一般的に呼吸サイクル204Dの吸気フェズ162と一致する時に始まるように刺激プロトコルは起こり、引き続く刺激期間232Cは、次の呼吸サイクル204Eの吸気フェズ162と少なくとも部分的に重なる。
【0095】
1つの態様において、刺激プロトコル230に、各刺激期間(例えば、232A-232D)の持続時間は呼吸サイクル(204A-204G)の持続時間(R)より長く、個々呼吸サイクル(例えば、204A)の吸気フェズ162の持続時間よりも長い。
【0096】
1つの態様において、繰り返す刺激サイクルにより表示されたデューティサイクルは呼吸サイクル特有の特徴により変化する。例えば、呼吸サイクル204Aに渡って、6時間ユニットがある連続刺激では、デューティサイクルは100%となる。しかしながら、呼吸サイクル204Bから204Eに渡って、3と1/2時間ユニットがある連続刺激と2と1/2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは58%となる。一方、呼吸サイクル204Cに渡って、5と1/2時間ユニットがある連続刺激と1/2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは92%となる。一方、呼吸サイクル204Dに渡って、4時間ユニットがある連続刺激と2時間ユニットがある非刺激では、刺激デューティサイクルは66%となる。
【0097】
5つの呼吸サイクルごとに、一連の刺激サイクルは繰り返し、示された呼吸サイクル204Fのように、呼吸サイクル204Aと同様な方式で、刺激期間232Dの第1端234は再び呼吸サイクル204Hの吸気フェズ162の開始と一致する。
【0098】
1つの態様において、十分な数の呼吸サイクルを経る長期間の(すなわち、平均的な)デューティサイクルは約75%となる。
【0099】
1つの態様において、全体的な平均デューティサイクルが75%でありながら、刺激期間に渡って吸気フェズがミスされないことを確保するために、刺激プロトコルは特別な場合のための100%のデューティサイクル(例えば、刺激期間232D)を提供する。複数の実施例において、呼吸波形のパターンが相当に変化するが連続刺激を使わずに有効な治療が達成できる患者に対して、このような刺激プロトコルは適切である。
【0100】
複数の実施例において、刺激プロトコル230を介して、
図3Dに、呼吸サイクルの吸気フェズ162と少なくともかなり重なる刺激期間が存在していない一連の4つの呼吸サイクルは発生しない。
【0101】
図3Eは本開示の一例に係る、独立した刺激機能14(
図1A)を介して実行される刺激プロトコル240を概略的に示す図形241である。1つの実施例において、異なる刺激プロトコル240を有する以外、図形241は図形201と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0102】
図3Eにおいて説明文249に表示されているように、刺激プロトコル240は、刺激サイクルを含み、刺激サイクルは4時間ユニットがある連続刺激期間と2時間ユニットがある非刺激期間とを含み、6時間ユニットがある全体的な刺激サイクルは6時間ユニットがある呼吸サイクル(例えば、204A)の持続時間Rに一般的に合致している持続時間を有する。
図3A-
図3Eとともに前述した実施例のように、刺激240は独立であり、すなわち、呼吸情報の検出に対して同期的でない。
【0103】
複数の患者において、患者らの呼吸サイクルの持続時間(R)は時間が経つにつれてわずかに変化しえて、呼吸サイクルは短縮したり延長したりしえる。図形241はただ、基準呼吸サイクルは、患者の呼吸サイクルの呼気フェズ171の延長のため、呼吸サイクルの持続時間をR1に延長する状況を表示するとの1つの実施例を概略的に示す。理解されるべきなのは、呼吸サイクルの他の特徴、パラメータ、特性もよく変わるが、簡単で明確に示すために、これらの変化は
図3Eに描かれていないことである。
【0104】
さらに理解されるべきなのは、このような変化は時間が経つにつれて発展しえて、
図3Eは変化が既に少なくとも部分的に発展していた概観を提供することである。さらに、独立した刺激の配置は検出した呼吸情報に対して同期的でなく動作するため、
図3Eは、刺激プロトコル240が呼吸サイクルの延長する(または短縮する)状況において
図3Eの基準呼吸サイクル204A-245Mによりどのように治療有効性を提供できるかに関する少なくとも複数の態様を概略的に表示する。
【0105】
したがって、この実施例において、刺激サイクルは各基準呼吸サイクルに完全に一致しないように繰り返すが、延長した基準呼吸サイクルの持続時間は刺激サイクルを呼吸サイクルにおける様々な位置と一致でなくなるようにさせる。
【0106】
理解されるべきなのは、もちろん、前に示したように、刺激プロトコルの時間は
図3Eに示されていないが始まり、最初の刺激期間242Aの第1端244は呼吸サイクル245Aの吸気フェズ162の開始と一致する必要がないことである。
【0107】
複数の実施例において、刺激プロトコル240は呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期していないとして、刺激プロトコル240は一連の呼吸サイクルに対してどこから開始しても、刺激期間はかなり大部分の治療期間に対して基準呼吸サイクルの吸気フェズの少なくとも一部と重なる。したがって、刺激プロトコルは非刺激期間248H、248I、248Jが概ね呼吸サイクル245H、245I、245Jの吸気フェズ162と一致する時に始まっても、少なくとも特定な続く刺激期間242L、242M、242Nは概ね次にお呼吸サイクル245K、245L、245Mの吸気フェズ162とかなり重なる(少なくとも大部分が重なる)。さらに
図3Eから見られるように、他の実施例の刺激期間(例えば、刺激期間242F)もそれぞれの対応の呼吸サイクル245Fの吸気フェズ162とかなり重なる。
【0108】
複数の実施例において、刺激期間242A-E、242Nが完全に呼吸サイクル(245A-E、245M)の吸気フェズ162と重なる。しかしながら、理解されるべきなのは、複数の実施例において、このような特定な呼吸サイクルの吸気フェズとの完全な重なりは発生しないことがあり、かなりの重なりでは十分に適度な気道開存性を達成することである。
【0109】
1つの態様において、刺激プロトコル240において、各刺激期間(例えば、242A-242M)の持続時間は、呼吸サイクル(245A-245M)の持続時間(R)より短いが、個々の呼吸サイクル(例えば、245A)の吸気フェズ162の持続時間より長い。
【0110】
1つの態様において、刺激サイクルに関するデューティサイクルは呼吸サイクル特有の特徴により変化する。例えば、呼吸サイクル245A、245B、245C、245D、245E、245F、245G、245H、245Mに渡って、連続刺激の4と1/2時間ユニットと非刺激の2時間ユニットでは、デューティサイクルは約75%となる。しかしながら、呼吸サイクル245I、245J、245K、245Lに渡って、連続刺激の4時間ユニットと非刺激の2と1/2時間ユニットでは、デューティサイクルは約62%となる。
【0111】
少なくとも延長した呼吸サイクルの特定な持続時間(R1)が存続する時に対して、12つの呼吸サイクルごとに、一連の刺激サイクルが繰り返し、呼吸サイクル245Mに図示されるように、呼吸サイクル245Aと同様な形式で、刺激期間242Nの第1端244は再び呼吸サイクル245Mの吸気フェズ162の開始と一致する。
【0112】
1つの態様において、十分な時間期間に渡る長期間で平均的な刺激デューティサイクルは約67%となる。
【0113】
したがって、複数の実施例において、刺激プロトコル240を介して、
図3Eに、呼吸サイクルの吸気フェズ162と少なくとも部分的に重なるまたはかなり重なる刺激期間が存在していない一連の4つの呼吸サイクルは発生しない。
【0114】
さらに理解されるべきなのは、前述されて少なくとも
図3B-3Eとともに図示された様々な刺激プロトコルは、少なくとも
図1-14とともに記載された少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20を介して実行されることである。しかしながら、複数の実施例において、前述されて少なくとも
図3B-3Eとともに図示された様々な刺激プロトコルは、
図1-14とともに記載されたものと異なる少なくとも特定な部品、要素、システムなどを介して実行される。
【0115】
独立した刺激機能14(
図1A)は各刺激期間を起すまたは各刺激期間を同期するために検出した呼吸情報を用いず、複数の実施例において、独立した刺激モード14は検出した呼吸情報を用いて、刺激プロトコルがどのように検出した呼吸波形の特徴に対して一致しているかを追跡する。したがって、検出した呼吸サイクルが延長するまたは短縮する時に、(独立した刺激機能14を含む)治療管理部16は、所望の量およびタイミングの刺激が適用されることを確保するために、適用されている刺激プロトコルを維持することまたは変更することを選択してもよい。さらに、または代案として、治療管理部16は検出した呼吸情報を用いて特定な刺激プロトコルに関する基準呼吸サイクルの特性を調整するまたは較正する。
【0116】
複数の実施例において、(少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム20の一部とする)治療管理部16の動作は少なくとも
図3B-3Eとともに前述した特定な刺激プロトコルに限られず、他の刺激プロトコルはより長いまたはより短い刺激期間およびより長いまたはより短い非刺激期間をもって実行されてもよい。
【0117】
複数の実施例において、独立した刺激機能14(
図1A)は複合刺激サイクルを含み、当該複合刺激サイクルにおいて、長さが異なる少なくとも2つの刺激期間が利用され、および/または、長さが異なる少なくとも2つの非刺激期間が利用される。この原則を説明する制限的でない1つの実施例として、1つの刺激プロトコルは、3時間ユニットの第1連続刺激期間と、2時間ユニットの第1非連続刺激期間と、3時間ユニットの第2連続刺激期間と、続く1時間ユニットの第1連続刺激期間と、を含んでもよい。この実施例はこれらの特徴の複数の態様を図示する
図16Aとともに後述する。
【0118】
複数の実施例において、
図3B-3Eに図示されるように、刺激サイクルは呼吸波形の特徴または特性に関して注目しない。言い換えると、(例示の刺激プロトコルにおいて)それぞれの連続刺激期間または非刺激期間は、呼吸波形の特定な目印もしくは基点に固定されない、または、呼吸波形の特定な目印もしくは基点に連結されていない。したがって、(特定な刺激プロトコルの)刺激サイクルにあるそれぞれの連続刺激期間および非刺激期間は、これらと一致した(一連の呼吸サイクルの)呼吸サイクルの部分により変化する。
【0119】
複数の実施例において、独立した刺激機能14は80%のデューティサイクルを有する刺激プロトコルを提供し、100%のデューティサイクルは呼吸サイクルの全体にわたる連続刺激に対応する。1つの実施例において、デューティサイクルの第1部は連続刺激期間を備え、デューティサイクルの第2部は第1部にすぐ続く連続非刺激期間を備える。制限的でない1つの実施例において、呼吸サイクルは5秒の持続時間を有し、デューティサイクルは繰り返される状態で、4秒間にわたって適用される連続刺激と、すぐ続く1秒間にわたって適用される連続非刺激とを含む。
【0120】
図4は本開示の一例に係る、複数の刺激パラメータ250を概略的に示すブロック
図251である。一般的には、これらの刺激パラメータは、
図3B-3Eとともに前述した刺激プロトコルの1つを実行することの一部として利用されてもよく、および/または、刺激要素12(
図1A)および/または治療管理部16(
図1B)の一般的な動作の一部として利用されてもよい。1つの実施例において、単一なパラメータが実行されるが、複数の実施例において、これらのパラメータのいくつかが実行されてもよい。いくつかのパラメータが実行される時、複数の実施例において、パラメータは個別で実行されるが同時に実行され、他の実施例において、パラメータは組み合わせて実行される。
【0121】
図4に示されるように、これらの刺激パラメータ250は、振幅パラメータ252と、デューティサイクルパラメータ254と、呼吸サイクル持続時間パラメータ260と、時間ユニット262と、時間枠パラメータ270と、を含む。振幅パラメータ252は刺激信号の振幅を制御し、特定な刺激プロトコルに選択されてもよい。
【0122】
複数の実施例において、デューティサイクルパラメータ254は刺激のデューティサイクルを追跡するおよび/または制御する。複数の実施例において、刺激デューティサイクルは(パラメータ260ごとに)1つの呼吸サイクルの持続時間(R)に関して
図3B-3Eとともに前述した刺激プロトコルについて説明した形式で表現される。デューティサイクルパラメータ254は定数機能256と変数機能258とを備える。定数機能256はが実行する当該デューティサイクルにおいては、刺激デューティサイクルは各呼吸サイクルに関して同様であり、一方、変数機能258が実行するデューティサイクルにおいては、刺激デューティサイクルは一連の呼吸サイクルにある少なくとも特定な呼吸サイクルに関して変化する。
【0123】
少なくとも
図3B-3Eとともに前述したように、複数の実施例において、刺激デューティサイクルは一連の刺激サイクルに基づいて実行され、当該一連の刺激サイクルにおいて、各刺激サイクルは少なくとも1つの連続刺激期間と少なくとも1つの非刺激期間とを含む。平均デューティサイクルが計算できるような一連の刺激サイクルを介して、少なくとも複数の刺激プロトコルは、(1つ又は複数の)刺激期間の持続時間が(1つ又は複数の)非刺激期間の持続時間と異なる刺激サイクルを含む。
【0124】
したがって、様々な刺激プロトコルは呼吸サイクルが変化する複数のデューティサイクルを提供すると同時に、全体的なデューティサイクルまたは平均的なデューティサイクルを提供する。特定な刺激サイクルを選択することにより、特定なデューティサイクルは呼吸サイクル特有の特徴により実行され、全体的なデューティサイクルまたは平均的なデューティサイクルは達成する。
【0125】
複数の実施例において、呼吸サイクル持続時間パラメータ260は、合理的に安定な呼吸(例えば、通常呼吸)にわたる患者特有の平均呼吸サイクルの持続時間を識別し、または、合理的に安定な呼吸にわたる複数の患者の平均呼吸サイクルの持続時間を識別する。複数の実施例において、患者特有の平均呼吸サイクルは最近に検出した呼吸情報に基づいて決められ、複数の実施例において、複数の患者の平均呼吸サイクルは患者に対して合理的に安定な呼吸(例えば、通常呼吸)にわたって収集した長期間のデータに基づいて決められる。
【0126】
複数の実施例において、呼吸サイクル持続時間パラメータ260は患者の検出した呼吸サイクルの持続時間を追跡して平均値を決める。
【0127】
複数の実施例において、時間ユニット262は刺激サイクルが動作する時間ユニットの数を追跡して制御する。複数の実施例において、時間ユニット262は時間ユニットを呼吸波形に関する特定な固有時間ユニットの倍数として実行する。例えば、複数の実施例において、
図3B-3Eとともに前述した刺激プロトコルを例とすると、時間ユニット262は6時間ユニットを呼吸サイクルの持続時間と同一視し、当該呼吸サイクルにおいて、吸気フェズは全体呼吸サイクルの1/3を備える。しかしながら、理解されるべきなのは、複数の実施例において、(パラメータ262ごとに)時間ユニットは無単位であることである。例えば、仮に呼吸期間は5秒の持続時間Rを有し、呼吸サイクルは6時間ユニットに分けられる取り決めが採用される。すると、6時間ユニットは5秒の呼吸サイクルの持続時間に分布する。
【0128】
複数の実施例において、時間ユニットパラメータ262は、時間ユニットを実行する呼吸波形に関する1つまたはそれ以上の固有時間ユニットに対しては完全に任意である。例えば、複数の実施例において、
図16Aとともに説明と図示する刺激プロトコルを例とすると、時間ユニット262は8時間ユニットを呼吸サイクルの持続時間と同一視し、当該呼吸サイクルにおいて、吸気フェズは全体呼吸サイクルの1/3を備える。
【0129】
複数の実施例において、
図4における時間枠パラメータ270は呼吸サイクルシリーズパラメータ272と刺激サイクルパラメータ274とを識別する。呼吸サイクルシリーズパラメータ272は、特定な刺激サイクル(274)の特定部分が呼吸サイクルの特定な部分と再び一致する前に発生する呼吸サイクルの数を識別して追跡する。例えば、刺激プロトコル220が7つの呼吸サイクルの時間枠に基づいて動作し、7つの呼吸サイクルとの列が刺激サイクルの刺激期間の開始が繰り返す呼吸サイクルの吸気フェズの開始と一致する前に発生することは、少なくとも
図3Cとともに前に示した。独立した刺激機能14(
図1A)に関する刺激プロトコルは検出した呼吸波形の特徴(例えば、吸気フェズ)に対して同期的でなく、時間枠パラメータ270は、与えられた刺激プロトコルがどのようにして検出した患者呼吸行動に関して近接させられるかを追跡して調整することを可能とする。
【0130】
図5は本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素280を概略的に示すブロック図である。
図5に示されるように、刺激プロトコル要素280は、アレイパラメータ282と、ローテーションパラメータ284と、自動パラメータ286と、手動パラメータ288と、スタティックパラメータ290と、カスタムパラメータ291と、を備える。
【0131】
複数の実施例において、刺激プロトコル要素280は
図1-4とともに前述した刺激プロトコル要素12と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。特に、前に示したように、複数の実施例において、独立した刺激機能14(
図1A)は、患者の神経へ電気刺激を送ることに適切である少なくとも1つの刺激プロトコル、例えば、
図3B-3Eとともに前に説明して図示した刺激プロトコルの1つ、を提供する。
【0132】
これを踏まえて、刺激プロトコル要素280のアレイパラメータ282は適用できる刺激プロトコル、例として挙げられるがこれらに限定されない
図3B-3Eとともに図示された刺激プロトコル、のアレイを提供する。
【0133】
複数の実施例において、ローテーションパラメータ284を介して、刺激プロトコル280は患者へ治療の神経刺激を送ることを可能とする同時に、アレイパラメータ282から取得可能な異なる刺激プロトコルの間にローテーションする。複数の実施例において、このようなローテーションは、特定な日または長期間をベースに特定な患者に対して最適に運転する刺激プロトコルを識別することを可能とする。しかしながら、複数の実施例において、異なる刺激プロトコルを介するローテーションは、全体の刺激パターンにおいて大きな程度の変異性を提供するように、特定な日または長期間をベースに維持され、よって、ある患者の呼吸行動がずっと不規則である時に、および/または、患者の呼吸行動の検出がずっと不確実である時に、ロバストな治療処方を提供する。
【0134】
複数の実施例において、ローテーションパラメータ284は、自動パラメータ286とともに作用し、治療管理部16(
図1B)に設定された目標を達成するように異なる刺激プロトコルの間に自動的にローテーションする。複数の実施例において、自動パラメータ286を介して、治療管理部16(
図1B)は特定な患者に適切な少なくとも1つの刺激プロトコルを自動的に選択する。複数の実施例において、特定な患者に対してどの(1つまたは複数の)刺激プロトコルが最適であるという自動的な選択は、患者の検出した呼吸波形に基づくものである。
【0135】
複数の実施例において、
図5に示されたスタティックパラメータ290を介して、ユーザまたは操作員が異なる刺激プロトコルまたは選択された刺激プロトコルを影響するパラメータを選択するまで、およびそれでないと限って、治療管理部16(
図1B)は単一の刺激プロトコルを選択して無期限に維持することを可能とする。複数の実施例において、ローテーションパラメータ284の動作中にわたって、特に有効な刺激プロトコルが識別される場合、治療管理部16(
図1B)は刺激プロトコルの自動的なローテーションを停止し、スタティックパラメータ290によりその単一で「特に有効な」刺激プロトコルを行う。
【0136】
複数の実施例において、刺激プロトコル要素280はカスタムパラメータ291を含み、カスタムパラメータ291は、選択された刺激プロトコルを調整すること、または、呼吸サイクルの持続時間、(1つまたは複数の)刺激期間の持続時間、非刺激期間の持続時間、刺激サイクルの持続時間、および/または複数の刺激パラメータ250(
図4)において識別された他のパラメータを選択することにより、カスタム刺激プロトコルを作成することを可能とする。
【0137】
複数の実施例において、刺激プロトコル要素280を介して患者に対して取得可能な刺激プロトコルの範囲は、医師または医師プログラマの裁量に基づいて選択されるおよび/またはバインドされる。
【0138】
図6は本開示の一例に係る、電源部品320のブロック図である。複数の実施例において、電力要素320は外部電源322および/またはオンボード電源324を有するようにIPG35、50(
図2A-2B)を提供する。
【0139】
複数の実施例において、(本開示の一例に係る)少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムは検出機能とともに動作するまたは検出機能を組み入れる。これを踏まえて、複数の実施例において、本開示の一例に係ると、
図1Aに示されたように、このようなシステムは検出要素330を備える。検出要素は呼吸情報を受信するおよび/または呼吸情報を取得する。
【0140】
複数の実施例において、検出要素330はオンボード検出要素332を備え、オンボード検出要素332は様々な手段で物理的にIPG35(
図2A)またはIPG50(
図2B)に組み入れられ、例えば、オンボード検出要素332とIPG35、50の他の要素との間の通信はIPGのケースまたはハウジングの中に発生する。複数の実施例において、オンボード検出要素332は内部部品、例えば加速度計、を備え、また、複数の実施例において、オンボード検出要素332は表面部品を備え、表面部品は例えばIPG35、50のケースまたはハウジングの外表面であって単独な検出要素または他の検出要素と協働する検出要素のように動作する。
【0141】
複数の実施例において、検出要素330は、身体に埋め込んで物理的にIPG35、50から離れているセンサーから信号を受信するように、埋め込み検出入力部334を備え、有線または無線の通信経路を介して、検出入力部334はIPG35、50と通信状態になる、または/および、検出入力部334はIPG35、50に接続する。
【0142】
複数の実施例において、検出要素330は、患者の身体の外部にあるセンサーから信号を受信するように、外部検出入力部336を備え、検出入力部336は無線通信経路を介してIPG35、50と通信状態になる。
【0143】
複数の実施例において、検出要素330は、物理的に具現化されたセンサーを備えないが、代わりに、検出要素330から離れて検出要素330から独立したセンサーを介して検出された情報を受信するように検出入力部を備え、このようなセンサーは検出要素330と通信状態になる。
【0144】
複数の実施例において、検出要素330は検出入力部と物理的に具現化されたセンサーとも備えてもよい。
【0145】
これらの様々な検出要素および入力を介して、検出要素330は、睡眠呼吸障害を治療するのに適切な情報を収集するために、少なくとも1つの生理学的なセンサーから信号を受信し追跡する。複数の実施例において、この情報は呼吸情報を含み、呼吸情報の例としては、患者が寝ているか起きているかにも関わらず患者の呼吸状況の判断、および他の呼吸関連指標などが挙げられるがこれらに限定されない。複数の実施例において、受信された生理学的な情報の種類、および/または。具現化された生理学的なセンサーの種類について、1つの検出要素/入力332、334、336(
図7A)は、圧力検出、血液酸素化検出、音響検出、姿勢検出、動き/動作検出、差圧検出、心電図(ECG)検出、またはインピーダンス検出、を含んでもよいが、これらに限らない。このような検出種類を介して、システムは、胸部インピーダンス(thoracic impedance)、呼吸圧(respiratory pressure)、横隔膜基準(diaphragm-based)パラメータ、心電モニタリング、気道モニタリング、いびきなどを測定する。呼吸関連行動に関する情報を含むこの呼吸情報の収集は、単一のセンサーを介して実行されてもよく、信頼性のあって正確な信号を提供する様々な生理学的なセンサーのいかなる組み合わせを介して実行されてもよい。複数の実施例において、検出要素によって受信可能および/または取得可能な呼吸情報の少なくとも1種類である呼吸努力を示すように、これらの様々な呼吸関連行動の測定は、単独で考慮されてもよく、または組み合わせられてともに考慮されてもよい。
【0146】
複数の実施例において、治療管理部16(
図1B)は、検出要素330の検出部品をデフォルトである休眠モード(すなわち、電力が切れるまたは低電力)に維持し、および定期的に1つまたはその以上の得られる検出要素を起動して患者のデータを収集する。データを収集した後、検出要素は停止され、よって、その休眠モードを再開する。複数の実施例において、収集した患者データは治療効果を評価するように利用され、治療効果は例えば無呼吸が発生する数、強度、および/または頻度である。このようなデータを収集した後、治療管理部16(
図1B)は(1つまたは複数の)検出要素を停止し、よって、当該検出要素を休眠モードに戻させる。
【0147】
複数の実施例において、収集した患者データは、呼吸期間を測定し、当該呼吸器官の持続時間を確認するように利用され、および吸気フェズと呼吸フェズとの比較的な持続時間(または絶対的な持続時間)を判断するまたは確認するように利用される。この情報は現在の刺激プロトコルをアクセスするように利用され、および刺激プロトコルに対する調整は保証されるかを、または、異なる刺激プロトコルが適用されるべきかを、潜在的に判断するように利用される。例えば、複数の実施例において、一時的に起動された検出要素から収集した患者データは、特定な刺激プロトコルの実行に関する基準呼吸サイクルを較正するように利用される。
【0148】
図7Bは本開示の一例に係る、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システム340の概略図である。1つの実施例において、システム340は、少なくとも1つの検出要素を介して呼吸情報を検出する検出機能をさらに含む以外、(少なくとも
図2Aとともに前述した)システム20と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。複数の実施例において、この検出機能は検出要素330(
図7A)を介して実行される。
【0149】
複数の実施例において、システム340は追加のリード線137を備え、追加のリード線137は、例えば呼吸努力、呼吸圧などの呼吸情報を検出するように、(IPG35に電気結合してIPG35から延びている)患者22に置かれた少なくとも1つのセンサー部341を含む。複数の実施例において、この情報は識別特徴および追跡特徴ならびに検出した呼吸波形のパラメータを含む。
【0150】
複数の実施例において、センサー部341は圧力センサーである。複数の実施例において、圧力センサーは患者の胸部における圧力を探知する。複数の実施例において、検出した圧力は胸部の圧力と心臓の圧力(例えば、血流)の組み合わせであってもよい。センサー部341を介して、治療管理部16(
図1B)は、この圧力検出情報を分析し、患者の呼吸パターンを識別して追跡して評価するように構成されている。
【0151】
複数の実施例において、呼吸センサー部341は生体インピーダンスセンサーを備える、または、1対の生体インピーダンスセンサーを形成する。複数の実施例において、呼吸センサー部341は胸部内以外の部分に位置されている、複数の実施例において、センサー部341は、他の電極(例えば刺激電極)とともにまたはIPG35、50(
図2A-2B、7B)の導電性外装ハウジングとともにインピーダンスを検出するように利用される。複数の実施例において、
図7Bに示されるように、経胸生体インピーダンス信号と心電図(ECG)信号と、または他の呼吸関連信号を測定するために、追加のセンサー347、348、349は胸郭の領域のまわりに分散される。複数の実施例において、センサー部341は省略されてセンサー347、348、349が実行される。
【0152】
複数の実施例において、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するためのシステム340は、閉塞性睡眠時無呼吸と診断された患者に治療解決策を提供する完全に埋め込み可能なシステムである。しかしながら、様々な実施例において識別されたように、複数の実施例において、システムは部分的に埋め込み可能ないくつかの部品(例えば、電源、検出要素、または制御回路)を有し、これらの部品は少なくとも部分的にまたは完全に患者の身体の外部にある。
【0153】
複数の実施例において、前述した少なくとも部分的に埋め込み可能なシステム80(
図2D)は、胸でない位置を有することおよび
図2Dとともに前述したシステム80が特有の属性以外、少なくとも
図4-7Bとともに前に説明して図示したものと実質的に同様な特性を少なくともいくつか含む。
【0154】
複数の実施例において、検出要素330(
図7A)と関連のセンサー機制(
図7B)を介して収集した呼吸情報および/または他の生理学的情報は、様々な治療パラメータの識別、追跡、評価などに利用される。したがって、複数の実施例において、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムは治療モニタリング要素350を含み、
図8に示されるように、治療モニタリング要素350は複数の治療パラメータを含む。複数の実施例において、これらのパラメータは、無呼吸イベントを識別して追跡して評価するパラメータ352、および/または、無呼吸重症度を処理して追跡する指数354を含み、指数354は例えばAHIまたは他の指数である。指数パラメータ354は探知した無呼吸の頻度、強度、持続時間などを判断し、患者に睡眠呼吸障害の相対的な重症度を指定する。
【0155】
複数の実施例において、モニタリング要素350の他の治療パラメータは、治療処方の前に、治療処方の間に、または治療処方の後に患者の分当たりの換気を追跡するように、分当たりの換気パラメータ356を含む。複数の実施例において、モニタリング要素350の1つの治療パラメータは、治療処方の前に、治療処方の間に、または治療処方の後に患者の1回の換気量(tidal volume)を追跡するように、1回の換気量パラメータ357を含む。
【0156】
複数の実施例において、モニタリング要素350の1つの治療パラメータは身体位置パラメータ358を含む。複数の実施例において、モニタリング要素350の1つの治療パラメータは姿勢パラメータ358を含む。身体位置パラメータ358と姿勢パラメータ359は、ともにまたは個別で、患者の身体位置と患者の姿勢を判断し追跡する。他の用途について、このような情報は、治療を起動または停止し、治療処方(例えば、刺激プロトコル)を選択し、および/または、治療処方を調整するように利用されてもよい。理解されるべきなのは、これらの例示なパラメータは網羅的でなく、互いに分別で実行されてもよく様々な組み合わせで実行されてもよいことである。
【0157】
複数の実施例において、治療モニタリング要素350のいかなる1つまたは複数のパラメータ352、354、356、357、358、359を介して取得したこの情報は、IPG35、50および刺激電極45を介して適用される刺激を始め、終了し、選択しおよび/または調整するように利用される。例えば、無呼吸イベントの数および/または強度が重症度閾値に達するまたは超えると判断する時、治療管理部16(
図1B)は制御部56(
図2C)を利用して気道を開放するように気道開存性関連神経への刺激の応用を始め、よって、関連する睡眠呼吸障害行動を抑える。しかしながら、理解されるべきなのは、少なくとも複数の実施例において、この配置は、刺激信号を呼吸波形の特徴(例えば、吸気フェズ、呼気フェズなど)に対して同期的にさせることを含まない(または当該ことに依存しない)ことである。むしろ、少なくとも
図1Aとともに示したように、いままで
図1-8とともに前述した実施例において、このような刺激はこのような同期から独立して適用される。
【0158】
複数の実施例において、治療モニタリング要素350は、複数の刺激プロトコルから1つを選択すること、および/または、特定な患者に所定時間期間または長期間ベースに対して(1つまたは複数の)特定な刺激プロトコルの治療効果を評価することに利用される。
【0159】
今開示の少なくとも複数の実施例での少なくともこの状況および/または他の状況において、治療効果は睡眠呼吸障害を緩和することに対応してもよく、いくつかの例において、治療効果は重症度閾値、例えば無呼吸低呼吸指数(AHI)および/または他の採点機制、を介して測定される。複数の実施例において、治療効果は、センサー信号品質に対して、例えば、本開示の少なくとも複数の実施例において説明したセンサー信号品質指標を介して、測定または評価をされてもよい。
【0160】
図9は本開示の一例に係る、制御部360を概略的に示すブロック図である。複数の実施例において、制御部360は制御器362とメモリー370とを含む。複数の実施例において、治療管理部371はメモリー370に記憶され、複数の実施例において、治療管理部371は、少なくとも
図1-8とともに前述した治療管理部16(
図1B)と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含む。
【0161】
一般的には、制御部360の制御器362は少なくとも1つのプロセッサ364と関連のメモリーとを備え、プロセッサ364と関連のメモリーは、メモリー370と通信状態になり、システムの少なくともいくつかの部品および本開示に渡って説明される部品の動作を管理する制御信号を生成する。複数の実施例において、生成された制御信号は治療管理部371を利用して刺激システムの動作を管理して睡眠呼吸障害を制御することを含んでもよいが、これに限らない。複数の実施例において、制御部360は、制御部56(
図2C)としてIPG35、50、84(
図2A、2B、2C)に存在し、および/または、IPG35、50、84とアクセス可能である。複数の実施例において、刺激要素12(
図1A)の複数の態様は、制御部360を介して少なくとも部分的に実行され、および/または、制御部360と通信状態になり、また、刺激要素12の複数の態様は、治療管理部371とともにメモリー370に記憶されるまたは治療管理部371の一部としてメモリー370に記憶される。
【0162】
特に、ユーザインターフェース396、400(
図11A、11B)を介して受信したコマンドおよび/または機械可読指令(ソフトウェアを含む)に応じて、または当該コマンドおよび/または機械可読指令(ソフトウェアを含む)基づいて、本開示の少なくとも複数の前述した実施例および/または後述する実施例にしたがって、制御器362は制御信号を生成して神経刺激プロトコルを実行して睡眠呼吸障害を制御する。複数の実施例において、制御器362は汎用コンピュータにて実施されるが、他の実施例において、制御器362は本開示に渡って説明される少なくとも複数の部品、例えばIPG35、50、84または埋め込み可能なパルス発生器35、50、84と動作可能に結合された外部部品、にて実施される。この出願の目的のために、制御器362に関連して、「プロセッサ」という文言は、メモリーに収納された一連の機械可読指令を実行する、現に発展されたまたはこれから発展されるプロセッサ(または処理リソース)と意味すべきである。複数の実施例において、一連の機械可読指令の実行、例えば、制御部360のメモリー370に記憶された治療管理部371を介して提供される当該実行は、プロセッサを行動させ、例えば、本開示の少なくとも複数の実施例において一般的に説明されたように、または、本開示の少なくとも複数の実施例と一致するように、制御器362を動作させて刺激プロトコルを実行する。機械可読指令はプロセッサに実行されるように、当該指令がメモリー370として存在するリードオンリメモリー(ROM)、大容量記憶装置、または他の永続的記憶装置(例えば、非一時的有形媒体または非揮発性有形媒体)において記憶された場所から、ランダムアクセスメモリー(RAM)にロードされてもよい。複数の実施例において、メモリー370はコンビューター可読有形媒体を備え、コンビューター可読有形媒体は制御器362のプロセッサにより実行可能な機械可読指令の非揮発性記憶装置を提供する。他の実施例において、ハードウェアにより実現されている回路(hard wired circuitry)は機械可読指令の代わりに利用されてまたは機械可読指令と共同に利用されて、前述機能を実行してもよい。例えば、制御器362は少なくとも1つの特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)の一部として実施されてもよい。少なくとも複数の実施例において、制御器362はハードウェアとのいかなる特定な組み合わせおよび機械可読指令に限らず、制御器362により実行される機械可読指令のためのいかなる特定なソースにも限らない。
【0163】
複数の実施例において、
図11Aに示されたユーザインターフェース396はユーザインターフェースまたは他の表示を備え、当該ユーザインターフェースまたは他の表示は、少なくともいくつかの様々な部品、機能、特性の同時の表示、活性化および/または動作に提供し、また、刺激要素12(
図1A)、治療管理部16(
図1B)、制御部360(
図9)、IPG35、50、84(
図2A、2B、2D)および本開示に渡って説明される関連の要素に提供する。複数の実施例において、ユーザインターフェース396の少なくとも複数の部分または態様はグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して提供され、入力と表示とを含んでもよい。
【0164】
複数の実施例において、ユーザインターフェース396は、
図11Bにおいて概略的に描かれたユーザインターフェース400に示された少なくとも複数の部品を含む。
【0165】
図11Bに示されるように、ユーザインターフェース400はいくつかの様々部品、機能、要素および特性を含み、当該部品、機能、要素および特性は、説明したおよび少なくとも刺激プロトコル要素280(
図5)、490(
図16A)、治療モニタリング要素350(
図8)、刺激パラメータ250(
図4)、刺激プロトコル要素450(
図12における独立した機能454と呼吸関連機能456とを含む)、自動プロトコル選択部470(
図14)および刺激プロトコル選択500(
図15B)とともに示されたようなものである。
【0166】
図10は本開示の一例に係る、制御部360が実行される方式を概略的に示す
図380である。複数の実施例において、制御部360は埋め込み可能なパルス発生器385の内部で完全に実行されまたは埋め込み可能なパルス発生器385により完全に実行され、埋め込み可能なパルス発生器385は少なくとも
図1-9とともに前述したパルス発生器(IPG)35、50、84と実質に同様な特性および属性の少なくともいくつかを有する。複数の実施例において、制御部360は遠隔制御390(例えば、プログラマ)の内部で完全に実行されまたは遠隔制御390により完全に実行され、遠隔制御390は患者の身体の外部にあって、例えば患者制御392および/または医師制御394である。複数の実施例において、制御部360はパルス発生器385に部分的に実行されて遠隔制御390(患者制御392と医師制御394との少なくとも1つ)に部分的に実行される。
【0167】
複数の実施例において、制御部360とともに、ユーザインターフェース(
図11Aにおける符号396、
図11Bにおける符号400)は遠隔制御器390に実行される。
【0168】
図12は本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素450のブロック図である。
図12に示されるように、刺激プロトコル要素450は独立した刺激機能454と呼吸関連機能456とを含む。複数の実施例において、独立した刺激機能454は、
図1-11Bとともに前述した、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの一部とする刺激要素12(
図1A)および/または治療管理部16(
図1B)と関連する独立した刺激機能14と実質に同様な特性の少なくともいくつかを含む。また、
図13は本開示の一例に係る、呼吸関連機能456のブロック図である。
【0169】
呼吸関連刺激機能456に関する特性および属性を説明する後、独立した刺激機能454と呼吸関連刺激機能456との関連および相対動作について説明する。
【0170】
図13に示されるように、複数の実施例において、呼吸関連機能456は同期パラメータ460と、同期特徴パラメータ462と、安定性パラメータ464とを含む。
【0171】
複数の実施例において、同期パラメータ460を介して、呼吸関連機能456は刺激プロトコルを実行し、当該刺激プロトコルにおいて、(治療期間における)それぞれの神経刺激期間は、患者の呼吸波形の同期特徴によりトリガーされおよび/または患者の呼吸波形の同期特徴に対して同期されている。例えば、複数の実施例において、呼吸関連機能456はそれぞれの刺激期間を発生させ、患者の呼吸サイクル(例えば、
図3Bの符号204A)の吸気フェズ(例えば、
図3Bの符号162)に対して実質的に同期に起こすため、刺激は吸気に対して同期していると考えられる。
【0172】
複数の実施例において、同期特徴パラメータ462により、だれかは刺激が同期している特徴を選択してもよい(または治療管理部が自動的に選択してもよい)。複数の実施例において、パラメータ462を介して、呼吸関連刺激機能456は神経刺激期間を発生させ、呼吸フェズと吸気フェズの始まり(すなわち、開始)との間の接点または移行部に対して同期される。複数の実施例において、刺激が同期されるべき特徴は吸気ピーク、呼気ピーク、または呼気停止であってもよい。
【0173】
複数の実施例において、呼吸関連刺激機能456(
図13)の安定性パラメータ464は検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータを追跡して判断し、呼吸波形(例えば、センサー信号品質)の相対的な安定性を判断し、よって、治療管理部(
図9における符号371)の呼吸行動の信頼性のあって正確なしるしを提供する。信頼性のある安定な呼吸波形がないと、呼吸関連機能456は実行できない。この場合、信頼性のある安定な呼吸波形が取得可能(例えば、センサー信号が十分な品質を有する)であり、当該呼吸波形により、刺激がトリガーできるおよび/または刺激が呼吸波形の特徴に対して同期できると、安定性パラメータ464を介して制御部360が判断するまで、独立した刺激機能454は実行される。
【0174】
安定性パラメータ464を介して、
図2Cの制御部56(
図9における制御部360)は、呼吸波形が呼吸波形の特徴(例えば、吸気フェズ)に対して同期な刺激のサポートに十分に安定であるか(例えば、センサー信号品質が十分か)を判断する。複数の実施例において、安定性パラメータ464は、例えば、ピーク間の振幅、呼吸数、センサー信号の周波数コンテンツ(frequency content)、信号モルフォロジー(signal morphology)、および、吸気、呼気、および呼気フェズに関するデューティサイクル、または、これらのパラメータからの様々な組み合わせのようなパラメータを識別して追跡する。複数の実施例において、少なくとも1つのパラメータはこれらの識別したパラメータの統計上の安定性を備える。複数の実施例において、このような統計上の安定性の判断は、患者の既知のいい状況または患者に対して既知のいい状況の変化ベースラインに関連して実行されてもよい。複数の実施例において、既知のいい状態は閉塞性睡眠時無呼吸が存在しない呼吸期間に対応する。複数の実施例において、統計上の安定性の判断は統計上の良否の独立した閾値に関連して実行されてもよい。
【0175】
複数の実施例において、吸気デューティサイクルは呼吸期間の持続時間に対する吸気の持続時間の比率と定義される。
【0176】
複数の実施例において、十分な利得が信号に適用されて分析が可能になってから、上に示した波形信号安定性または信号パラメータは評価されてもよい。例えば、仮にピーク間の振幅が小さくてセンサー信号品質が低い場合、信号品質分析が実行できるかを判断するように、信号利得は増加されてもよい。複数の実施例において、検出した信号はプロセスに制御され、当該プロセスにおいて、センサーは生理学的な信号を取得し、利得は、当該生理学的な信号に対して品質分析に先に適用され、そして、検出した呼吸波形に対して刺激プロトコルの同期のために潜在的に利用される。複数の実施例において、自動的な利得制御機制は利用され、信号が確実に分析できるほど利得が安定しているかを判断する。
【0177】
複数の実施例において、治療管理部16、371(
図1B、
図9)を介して、呼吸関連刺激機能456は停止されてもよく、よって、治療は完全に独立した刺激機能14(
図2A)、454(
図12)を介して選択的に適用される。もちろん、前述した複数の実施例において、呼吸関連刺激機能456は、神経刺激を適用する単独の機制である独立した刺激機能14、454と併存しない。
【0178】
図14は、本開示の一例に係る、独立した刺激プロトコル454(
図12)と呼吸関連刺激プロトコル456(
図12)との関係、および、独立した刺激プロトコル454(
図12)と呼吸関連刺激プロトコル456(
図12)との間からの自動的な選択を概略的に示す
図470である。複数の実施例において、
図470における刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様は、方法として実施されてもよく、また、複数の実施例において、
図470における刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様は、
図11B-13とともに前述した治療管理部の刺激プロトコル管理部の動作可能な態様として実施されてもよい。
【0179】
複数の実施例において、少なくとも部分的に埋め込み可能なシステムの動作は、それぞれの刺激プロトコル454、456の協力的な配置または相補的な配置を提供することを介して実行される。複数の実施例において、
図14における符号472に示されるように、独立した刺激プロトコル454は所定時間期間に適用される。所定時間期間は少なくとも確立されるべき安定な呼吸期間に対する時間の量に対応し、確立されるべき安定な呼吸期間は気道開存性関連神経への独立した刺激に基づいて確保されることができる。複数の実施例において、第1所定時間期間は安定な状態を確立するに十分な期間に対応し、その期間において、フィルタリングが確立され、吸気および呼気が確実に探知され、信号利得制御も実現される。
【0180】
複数の実施例において、少なくとも第1所定時間期間に渡る第1独立した刺激プロトコルの動作はテストモードではなく、刺激システムの操作上の適正さを診断するまたは評価するのに用いられる。むしろ、第1独立した刺激プロトコルは、安定な呼吸行動および安定な呼吸波形を達成するように、少なくとも治療刺激を適用すべき所定時間期間に渡って動作する。
【0181】
複数の実施例において、独立した刺激を介して(1つまたは複数の)刺激プロトコルを適用することにより、安定な呼吸波形が達成され、よって、符号472での独立した刺激が符号478での呼吸関連機能の活性化の前に利用されていない場合よりも、符号478での呼吸関連刺激における動作に移行できる可能性が増える。
【0182】
図14をさらに参照すると、検出した呼吸波形のモニタリングに基づいて、間隔を繰り返す時に、符号474では呼吸波形が呼吸関連刺激の活性化をサポートするに十分に安定であるかが問われる。符号474での問いに対する答えが「NO」という場合、経路476は符号742での独立した刺激の連続動作に向けられる。しかしながら、符号474での問いに対する答えが「YES」という場合、経路477は
図14における符号478での呼吸関連刺激の動作の始めに向けられる。符号478での呼吸関連刺激の動作に渡って、符号474での問いは定期的に実行される。(符号474での)問いに対する答えが「NO」という場合、少なくとも所定時間期間に渡る動作が経路476を介して
図14における符号472での独立した刺激に戻る(すなわち、復帰する)ように、
図14における符号478での呼吸関連刺激n(
図12における符号456)の動作は終了される。
【0183】
少なくともこの実施例に対して、理解されるべきなのは、安定な呼吸波形は確立されていない場合において、動作は、呼吸関連刺激478において動作することに転換せずに、符号472での独立した刺激にとどまることである。
【0184】
複数の実施例において、呼吸信号検出品質(すなわち、センサー信号品質指標)を表すモニタリングパラメータにより、符号474での問いは一般的には連続的に実行され、モニタリングパラメータは、例えば、ピーク間の振幅、吸気デューティサイクル、吸気数などであってもよいが、これらに限らない。1つまたはさらに多くのこれらのパラメータがセンサー信号品質指標を満たさない場合、(符号474での)問いに対する答えは「NO」となる。センサー信号品質指標を満たす場合、符号474での問いに対する答えは「YES」となる。
【0185】
複数の実施例において、信号品質指標を満たすこと(例えば、問いに対する答えが「YES」である)は、閾値より高く平均的なピーク間の振幅とする第1パラメータを介して定義されてもよく、当該平均値は先の2つの呼吸サイクルから計算される。複数の実施例において、信号品質指標を満たすこと(例えば、問いに対する答えが「YES」である)は、変異性が閾値により低いピーク間の振幅とする第2パラメータを介して定義されてもよく、当該閾値は先の60秒間で計算される平均値を参照する。複数の実施例において、信号品質指標を満たすこと(例えば、問いに対する答えが「YES」である)は、閾値より低い呼吸持続時間変異性とする第3パラメータを介して定義されてもよく、当該閾値は先の60秒間で計算される平均値を参照する。複数の実施例において、信号品質指標を満たすこと(例えば、問いに対する答えが「YES」である)は閾値より高い平均的な吸気フェズ持続時間とする第4パラメータを介して定義されてもよく、当該平均値は先の2つの呼吸サイクルから計算される。複数の実施例において、信号品質指標を満たすこと(例えば、問いに対する答えが「YES」である)は、第1パラメータ、第2パラメータ、第3パラメータ、第4パラメータのそれぞれからなる様々な組み合わせを介して定義されてもよくが、定義に用いられる組み合わせはこの4つのパラメータのすべてからなる組み合わせに限らない。
【0186】
図15Aは本開示の一例に係る、刺激プロトコル要素490のブロック図である。複数の実施例において、刺激プロトコル要素490は、少なくとも
図12-14とともに前述した刺激プロトコル要素450と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを含み、さらに少なくとも
図15Aに示された特性を含む。
【0187】
図15Aに示されるように、突発の行為と持続した行為をとって安定な呼吸パターンを達成するように、刺激プロトコル要素490はオーバーライド(override)機能492を含む。例えば、複数の実施例において、一連の解決不可/難治の呼吸イベント(例えば、持続性の無呼吸)を含む持続性の睡眠呼吸障害が観測され、当該呼吸イベントは独立した刺激機能454または呼吸関連機能456を介する刺激にかかわらず発生する。複数の実施例において、オーバーライド機能492は安定な呼吸パターンが探知されていなかった時に所定時間期間、例えば5分間または10分間、に対して活性化される。複数の実施例において、所定時間期間は5分間より短く、例えば、5分間が経つ前に特定数の無呼吸(例えば3つの無呼吸)が探知される場合である。
【0188】
オーバーライド機能492の活性化の時、独立した刺激機能454を介してまたは呼吸関連機能456456を介して刺激が適用されていた治療は、終了され、または、連続刺激機能494(
図15A)を介して動作が転換され、連続刺激機能494において、神経刺激が所定時間期間に渡って連続的に(100%のデューティサイクルで)適用される。前述したように、複数の実施例において、連続刺激は比較的に短い時間枠において起きる一連の刺激パルスを指す。例えば、複数の実施例において、1秒ごとに少なくとも有限個数(例えば、5、10など)の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、連続刺激は1秒ごとに少なくとも20個の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、連続刺激は1秒ごとに少なくとも30個の刺激パルスに対応する。複数の実施例において、秒ごとにある刺激パルスの個数は制御部(例えば、
図2Cにおける要素56)を介して操作員により選択可能である。複数の実施例において、このような連続刺激に渡って、一連の刺激パルスにおける各刺激パルスは個別の再充電パルスに続く一次刺激パルスを含み、個別の再充電パルスは次の一次刺激パルスが来る前に非刺激フェズに順次に続く。
【0189】
複数の実施例において、オーバーライド機能492は「他」の機能を介して実行され、「他」の機能において神経刺激は適用され、当該神経刺激は、連続的でないが、独立した刺激機能454(
図12)または呼吸関連機能456(
図12)の1つの刺激プロトコルを介して実行される刺激より実質的に高い強度と持続時間を有する。
【0190】
複数の実施例において、オーバーライド機能492を介する動作は、少なくとも1の期限まで維持され、および/または、(1つの実施例において)呼吸サイクルの数および/または重症度閾値により測定されるように、治療管理部が(検出した呼吸波形を介して)少なくとも1つの呼吸サイクルに睡眠呼吸障害行動の無呼吸が存在することを探知するまで維持される。複数の実施例において、期限は100秒であり、例えば約20呼吸である。しかしながら、複数の実施例において、期限はさらに低くてもよく、例えば30-40秒である。複数の実施例において、連続刺激は、連続する少なくとも3つの呼吸サイクルに探知した睡眠呼吸障害行動が存在していないまで適用され、すなわち、成功な吸気が少なくとも3つの呼吸サイクルに起こるまで適用され、または、成功な吸気が連続刺激の特定な患者に対して連続する呼吸サイクルの複数の操作員選択可能な量(例えば、2、4)の呼吸サイクルに起こるまで適用される。
【0191】
複数の実施例において、連続刺激は所定最大期間を超えない。複数の実施例において、所定最大期間は少なくとも120秒である。複数の実施例において、所定最大期間は操作員により選択可能であり、120秒より長いまたは短い数値、例えば、130秒、110秒、90秒などを有してもよい。一般的には、所定最大期間は時間切れの時間に対応し、時間切れの時間になると、刺激された筋肉の疲労が完全またはほぼ完全である。
【0192】
複数の実施例において、探知した睡眠呼吸障害行動が前記重症度閾値に達するまたは超えると判断される場合、治療管理部は、独立した刺激モードおよび呼吸関連刺激モードのそれぞれにおいて動作を終了し、刺激期間と非刺激期間が少なくとも3対1の比となる刺激プロトコルを含む第3モードにおいて動作を始め、刺激期間は少なくとも4つの呼吸サイクルの持続時間と同様な持続時間、または少なくとも4つの呼吸サイクルの持続時間より長い持続時間を有する。
【0193】
複数の実施例において、刺激期間の持続時間は約30秒であり、非刺激期間の持続時間は約10秒である。複数の実施例において、刺激期間の持続時間は約30秒であり、非刺激期間の持続時間は約5秒である。
【0194】
安定な呼吸期間が既に確立されたと判断する場合、オーバーライド機能492における動作が終了し、少なくとも
図12-14とともに前述した記載と同様に、動作は独立した刺激機能454(
図12)を介して再開する。
【0195】
図15Bは本開示の一例に係る、刺激プロトコルを選択する態様を概略的に示す図形500である。複数の実施例において、図形500で示されているように、刺激プロトコルを選択する少なくとも複数の態様は方法として実施されてもよいが、複数の実施例において、図形550で示されているように、刺激プロトコルを選択する少なくとも複数の態様は、少なくとも
図1-15Aとともに説明した治療管理部16に関する刺激プロトコル制御の追加的な様態として実施されてもよい。
【0196】
符号502に示されるように、呼吸情報は、治療期間に渡って定期的に検出されてもよく、刺激と同期しない。言い換えると、少なくとも複数の例において、この定期的な検出は、検出した呼吸情報に対して刺激を同期することと関係ないまたは同期させない。むしろ、このような定期的に検出した呼吸情報の他の用途において、このような定期的な検出は刺激の効果を向上させるためおよび/または評価するために利用されてもよい。
【0197】
図15Bにおける符号504に示されるように、(呼吸サイクルのサンプルにおいて)検出した呼吸サイクルの持続時間が持続時間変異性指標よりばらつきの少ない場合に、この患者に対する基準呼吸サイクルの持続時間と異なる持続時間を有する繰り返す刺激サイクルを適用する。この配置は、刺激サイクルの持続時間と呼吸サイクルの持続時間との間に意図的なずれまたは偏差を導き、意図的なずれまたは偏差は大部分の時間で(刺激サイクルの)少なくとも複数の刺激期間と患者の呼吸サイクルの実際の吸気フェズとの重なりを確保することができる。
【0198】
複数の実施例において、持続時間変異性指標は検出した呼吸サイクルの持続時間の変異性の目安を確立する。変異性は、観測期間に渡る持続時間における変化の周波数により測定されてもよく、および/または、観測期間に渡るこのような持続時間における変化の大きさにより測定されてもよい。観測期間に関してさらなる詳細は下で説明する。
【0199】
複数の実施例において、持続時間変異性指標はいくつの因子に基づき、当該因子は典型的な安定な呼吸期間の持続時間(例えば、3-6秒、患者による)と、無呼吸の最小持続時間(例えば、10秒)と、および/または、刺激パラメータにおける変化の後の観測期間(例えば、5秒)とを含むが、これらに限らない。複数の実施例において、観測時間は5分より長くてもよいが、複数の実施例において、観測時間は5分よく短くてもよく、例えば、5分間が経つ前に特定数の無呼吸(例えば3つの無呼吸)が探知される場合である。複数の実施例において、持続時間変異性指標は、1秒より短い呼吸期間の標準偏差および少なくとも4分のサンプル期間にさらに基づく。
【0200】
図15Bにおける符号504をさらに参照すると、複数の実施例において、この配置は呼吸サイクル204A-204Hのシリーズ202を介して表される。さらに、複数の実施例において、刺激サイクルの持続時間(4つの刺激期間に1つの非刺激期間)は、基準呼吸の持続時間(R)より短いので、繰り返す刺激サイクルは基準呼吸サイクルの持続時間(R)と異なる持続時間を有す。
【0201】
この配置は、刺激プロトコルがいつに一般的に活性化されるかを問わず、有限個数(例えば2、3、4)より少ない呼吸サイクルがそれぞれの呼吸フェズの吸気フェズ162とかなり一致した刺激期間を有せずに発生することを確保する。この現象の発生は、少なくとも部分的には、刺激サイクルの持続時間と呼吸サイクルの持続時間との間に十分に大きな差があって、刺激期間と非刺激期間との相対的な割合に起因する。
【0202】
複数の実施例において、他の例示の刺激プロトコルは実行に利用される。例えば、少なくとも
図3C、3Dに関して説明された例示の刺激プロトコル220、230は利用されてもよい。刺激プロトコル220、230は基準呼吸サイクルの持続時間(R)より長い持続時間を有する刺激サイクルを含むことが示され、当該基準呼吸サイクルは
図3C、3Dの説明文229、239のそれぞれに示されるようである。
【0203】
図15Bにおける符号506に示されるように、(呼吸サイクルのサンプルにおいて)検出した呼吸サイクルの持続時間が持続時間変異性指標よりばらつきの多い場合に、基準呼吸サイクルの持続時間と一致した持続時間を有する繰り返す刺激サイクルは適用される。この例において、患者の呼吸サイクルの持続時間の固有変異性は刺激サイクルの持続時間に関するずれまたは偏差を導くために利用されてもよく、そうすれば大部分の時間で少なくとも複数の刺激期間と患者の呼吸サイクルの生の吸気フェズと重なることを確保することができる。
【0204】
複数の実施例において、基準呼吸サイクルは、早い時点で取得した患者特有の平均呼吸サイクルにより定義される。複数の実施例において、基準呼吸サイクルは、データベースから取得した複数の患者の平均呼吸サイクルより定義される。
【0205】
複数の実施例において、この配置は
図3Eにおける刺激プロトコル240を介して実装され、刺激プロトコル240において、呼吸波形は呼吸サイクル245A-245Mのシリーズ244を介して表現される。したがって、
図3Eは、呼吸サイクルの持続時間(R1)が既に(それの基本/安定な呼吸サイクルの持続時間Rに関して)閾値より多く変化する状況を示す。複数の実施例において、閾値は持続時間において5%で変化(増加または減少)するRを含む。この例において、呼吸サイクル245A-245Mが6と1/2時間ユニットの持続時間R1を有するが持続時間Rが6時間ユニットと同様であるので、持続時間R1は持続時間Rから約8%の変化を表現する。理解されるべきなのは、もちろん、5%より多いまたは少ない他の数値でも閾値として利用できることである。
【0206】
図3Eに少なくとも図示された呼吸サイクルのシリーズに対して一定である持続時間R1が存在するとはいえ、理解されるべきなのは、持続時間R1は続く呼吸サイクルにおいて異なる数値(例えば、より長いまたはより短い)を有してもよく、持続時間R1は先の呼吸サイクルにおいて既に異なる数値(例えば、より長いまたはより短い)を有していてもよいことである。したがって、少なくとも
図15Bの方法に関しては、持続時間R1は無期限にスタティックであるように見るべきでなく、代わりに、持続時間R1は一時の1つの概観で特定な値を有するように見るべきである。
【0207】
さらに理解されるべきなのは、呼吸サイクルの持続時間における変化は、(増加の代わりに)減少として存在してもよく、呼吸サイクルの持続時間におけるその変化は永久的でないが、ベースラインに復帰する前にまたはほかのRでない持続時間に変わる前に、いくらかの有限個数の呼吸サイクルを持続してもよいことである。
【0208】
図3Eの実施例において、刺激サイクルの持続時間(4つの刺激期間に2つの非刺激期間)は呼吸サイクルの持続時間(R1)より短いが、基準呼吸サイクルの持続時間(R)と同様な刺激サイクルの持続時間を有する(少なくとも複数の実施例において基準呼吸サイクルは履歴的なベースラインに基づくものである)。
【0209】
この配置を利用すると、基準の持続時間Rに対して、(周期的な検出により取得され)サンプリングされた呼吸サイクルの持続時間(R1)は既に変化し、治療管理部16は基準呼吸サイクルの持続時間と一致した持続時間を有する刺激サイクルを利用し、当該基準呼吸サイクルにも前述した意図的なずれまたは偏差を導く。
【0210】
この配置は、刺激プロトコルがいつに一般的に活性化されるかを問わず、有限個数より少ない呼吸サイクルがそれぞれの呼吸フェズの吸気フェズとかなり一致した刺激期間を有せずに発生することを確保する。この現象の発生は、少なくとも部分的には、刺激サイクルの持続時間と呼吸サイクルの持続時間との間に十分に大きな差があって、刺激期間と非刺激期間との相対的な割合に起因する。
【0211】
したがって、ブロック506に表現されるように、周期的に検出した呼吸サイクルの持続時間が持続時間変異性指標よりも大きく変化する時、治療管理部は、意図的に刺激サイクルの持続時間を、周期的に検出した呼吸サイクルによって発見される変化した持続時間R1と、一致させないようにすることにより、呼吸サイクルの吸気フェズと一致した刺激の適切なレベルを確保する。
【0212】
図3Eに少なくとも図示された呼吸サイクルのシリーズに対して一定である持続時間R1が存在するとはいえ、理解されるべきなのは、持続時間R1は続く呼吸サイクルにおいて異なる数値(例えば、より長いまたはより短い)を有してもよく、持続時間R1は先の呼吸サイクルにおいて既に異なる数値(例えば、より長いまたはより短い)を有していてもよいことである。したがって、少なくとも
図15Bの方法に関しては、持続時間R1は無期限にスタティックであるように見るべきでなく、代わりに、持続時間R1は一時の1つの概観で特定な値を有するように見るべきである。
【0213】
図15Cは本開示の一例に係る、刺激プロトコル選択要素520を概略的に示すブロック図である。複数の実施例において、刺激プロトコル選択部要素520は第1機能522と第2機能524との間の選択を含んで、当該選択を可能とする。複数の実施例において、要素520を介する第1機能522と第2機能524との間の選択は
図15Bにおけるブロック502の態様とともに実行されてもよい。複数の実施例において、第1機能は
図15Bにおけるブロック504とともに説明された刺激選択のいくつかの態様を介して実行されてもよく、また、第2機能522は
図15Bにおけるブロック506とともに説明された刺激選択のいくつかの態様を介して実行されてもよい。
【0214】
図15Dは本開示の一例に係る、独立した刺激プロトコル454(
図12)と呼吸関連刺激プロトコル456(
図12)との間の慣例および自動的な選択を概略的に示す図形550である。複数の実施例において、図形550における刺激プロトコル選択551の少なくとも複数の態様は方法として実施されてもよいが、複数の実施例において、図形550における刺激プロトコル選択の少なくとも複数の態様は、
図11B-13とともに前述した治療管理部の刺激プロトコル管理部の動作可能な態様として実施されてもよい。
【0215】
複数の実施例において、少なくとも部分的に埋め込み可能な刺激システムの動作は、それぞれの刺激プロトコル454、456(少なくとも
図11B-13)の協力的な配置または相補的な配置を提供することを介して実行される。したがって、
図15Dにおける符号552に示されるように、動作は呼吸関連刺激プロトコルにおいて開始する。
【0216】
図15Dをさらに参照すると、検出した呼吸波形のモニタリングに基づいて、間隔を繰り返す時に、符号554では、符号552における呼吸波形が呼吸関連刺激の連続動作をサポートするに十分に安定であるかが問われる。符号554での問いに対する答えが「YES」という場合、経路556は呼吸関連刺激における連続動作をさせる。しかしながら、符号554での問いに対する答えが「NO」という場合、経路557は
図15Dの符号558において少なくとも所定時間期間に渡る呼吸関連刺激の動作の始めに向けられる。第1所定時間期間は少なくとも
図14とともに前述した方式と実質的に同様な方式で定義され、符号558における独立した刺激機能はテストモードではない。むしろ、(符号558における)独立した刺激は、安定な呼吸行動および安定な呼吸波形を達成するように、少なくとも所定時間期間に渡って動作し治療刺激を適用する。
【0217】
少なくとも所定時間期間に渡る符号558での独立した刺激の動作において、符号554での問いは定期的に実行される。(符号554での)問いに対する答えが「YES」という場合、動作が経路556を介して
図15Dにおける符号552での呼吸関連刺激にもとるように、
図15Dにおける符号558での独立した刺激の動作は終了する。少なくともこの実施例において、理解されるべきなのは、安定な呼吸波形は確立されていない場合において、動作は、符号552での呼吸関連刺激に復帰せずに、符号558での独立した刺激にとどまることである。
【0218】
複数の実施例において、呼吸信号検出品質(すなわち、センサー信号品質指標)を表すモニタリングパラメータにより、問い554は実行され、モニタリングパラメータは、例えば、ピーク間の振幅、吸気デューティサイクル、吸気数などであってもよいが、これらに限らない。
【0219】
図16Aは本開示の一例に係る、神経刺激プロトコル641を概略的に示す図形640である。
【0220】
1つの態様において、図形640では刺激プロトコルに対する典型な呼吸波形を省略しているが、それは、複数の実施例において、独立した刺激機能14(
図1A)に基づく動作は検出した呼吸波形が取得可能であるかまたは確実に安定であるかに関係なく行われるからである。したがって、図形640は、下にさらに説明と示すように、通常の呼吸パターンの吸気フェズと呼気フェズに対する刺激期間の代わりに、所定時間期間に対する刺激期間を示す。
【0221】
図16Aにしめされるように、神経刺激プロトコル641は時間枠(T)において行う刺激セグメント642と非刺激セグメント648、649(すなわち、休み期間)を含む。この配置において、
図16Aに示されるように、時間枠Tは、8時間ユニットのシリーズを備え、各時間ユニットが持続時間tを有する。複数の実施例において、2つの連続の時間ユニットとの組み合わせは、一般的に呼吸サイクルの持続時間と対応する持続時間Rを有する。1つの態様において、1時間ユニットの持続時間(t)は1/2の持続時間Rを備える。
【0222】
図形640に示されるように、刺激プロトコル641は連続刺激セグメント642と非刺激セグメント648、649の繰り返す列を含む。各刺激セグメント642は3時間ユニットの持続時間を有し、各非刺激セグメント648は2時間ユニットの持続時間を有し、各非刺激セグメント649は1時間ユニットの持続時間を有する。このパターンは「3:SK2:3:SK1」のように説明文645により表現され、SKは、刺激をスキップすることを示すように「スキップ」を表現する。
【0223】
図形640にさらに示されるように、この刺激パターン(3:SK2:3:SK1)は一連の時間枠Tを渡って繰り返す(各時間枠Tが8時間ユニットを含む)ように、各時間枠Tにおいて発生する刺激の時間ユニットの個数は識別される。例えば、第1時間枠が計8時間ユニットのうちの刺激の6時間ユニットを含み、続く3時間枠Tが計8時間ユニットのうちの刺激の5時間ユニットを含み、2つの「刺激の6時間ユニット」との時間枠Tが続き、また3つの「刺激の5時間ユニット」との時間枠Tが続く。これを踏まえて、最初の12の連続の時間枠に対して、刺激の時間ユニットのパターンは6:5:5:5:6:6:5:5:5と表現されてもよい。
【0224】
刺激プロトコル641を介して、神経刺激の治療処方は適用され、当該適用において、呼吸サイクルの予想の吸気フェズと一致する刺激期間が存在していない4つの連続する呼吸サイクルの期間は発生しない。この刺激プロトコルにおいて、刺激期間の持続時間は非刺激期間の持続時間を超える。
【0225】
図16Bは本開示の一例に係る、刺激プロトコル650を概略的に示す図形651である。複数の実施例において、プロトコル650は少なくとも
図3B-3Eとともに前述した刺激プロトコルと実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかを表す。一般的には、刺激プロトコル650を介して、独立した刺激機能14は刺激要素12(
図1A)および/または治療管理部16(
図1B)を介して非同期的な神経刺激を実行し、非同期的な神経刺激は潜在的な睡眠呼吸障害にかかわらず安定な呼吸を促進する。
【0226】
図16Bに示されるように、刺激プロトコル650は刺激サイクルに基づいて動作し、当該刺激サイクルにおいて、各刺激サイクルの持続時間(D)は基準呼吸サイクル654A、654Bの持続時間(R)より短い。さらに、複数の実施例において、刺激サイクルは基準呼吸サイクル654A、654Bの持続時間(R)よりかなり短い(少なくとも半分又はその以下)持続時間(D)を有する。これらの実施例の1つにおいて、刺激サイクルの持続時間(D)は基準呼吸サイクル654A、654Bの持続時間(R)より30%短い。これらの実施例の1つにおいて、刺激サイクルの持続時間(D)は基準呼吸サイクル654A、654Bの持続時間(R)より20%短い。このような例の1つにおいて、
図16Bに示されるように、刺激サイクルの持続時間(D)は約1秒であり、基準呼吸サイクルの持続時間(R)は約6秒である。
【0227】
刺激プロトコル650の実行の複数の実施例において、所定の刺激サイクルに刺激期間(例えば、652A、652Bなど)と非刺激期間(例えば、658A、658Bなど)は、(各刺激サイクルに渡って)80%の刺激デューティサイクルを形成するように、4対1の比となる。このような実施例において、各刺激サイクルは約1時間ユニットを持続し、当該約1時間ユニットは4つの「1/5」時間ユニットの連続刺激期間と続く1つの「1/5」時間ユニットの非刺激期間とを含み、刺激プロトコル650を介する神経刺激が実行される時にこの刺激サイクルは連続的に繰り返す。したがって、複数の実施例において、刺激サイクル全体の持続時間(例えば、4つの「1/5」時間ユニットの連続刺激期間と1つの「1/5」時間ユニットの非刺激期間)は1時間ユニットであり、刺激サイクル全体の持続時間はこの実施例において6時間ユニットである呼吸サイクルの持続時間Rよりかなり短い。
【0228】
しかしながら、理解されるべきなのは、複数の実施例において、刺激期間の持続時間は離散個数(例えば、4)の分数の時間ユニット(例えば、「1/5」時間ユニット)と一致することを必要とせず、非刺激期間の持続時間は離散個数(例えば、1)の分数の時間ユニット(例えば、「1/5」時間ユニット)と一致することを必要としないことである。
【0229】
複数の実施例において、
図16Bに示されるように、基準呼吸サイクル(例えば、654A、654Bなど)の持続時間(R)は6時間ユニットより長いまたは短いように選択されてもよい。複数の実施例において、(例えば符号652Aのような刺激期間と例えば符号658Aのような非刺激期間とを含む)各刺激サイクルの持続時間(D)は1時間ユニットより長いまたは短いように選択されてもよい。
【0230】
図16Bにおいて、刺激期間652Aの第1端653は呼吸サイクル654Aの吸気フェズ162の開始と一致しているように示される。しかしながら、理解されるべきなのは、呼吸サイクル652Aの開始653は吸気フェズ162に対して同期的でないことである。むしろ、刺激期間652Aの開始653が吸気フェズ162の開始と一致するように示されているのは、基準呼吸サイクル654A、654Bなどに対して刺激プロトコル210を簡単に並列で図示するためである。したがって、理解されるべきなのは、刺激は(刺激プロトコル650に基づいて)治療期間に渡って始まり、刺激期間652Aの開始は
図16Bに示された呼吸サイクル(例えば654A)の違うところと一致してもよいことである。
【0231】
図16Bにさらに示されるように、1つの態様において、それぞれの非刺激期間(例えば、658A、658Bなど)はそれぞれの呼吸刺激期間(例えば、652A、652Bなど)の持続時間よりかなり短い(例えば、少なくとも半分以下)持続時間を有する。1つの態様において、それぞれの刺激期間(例えば、652A、652Bなど)の持続時間もそれぞれの基準呼吸サイクル(例えば、654A、654Bなど)の持続時間(R)よりかなり短い(例えば、少なくとも30%以下)。複数の実施例において、刺激プロトコル650において、各刺激期間(例えば、652A、652Bなど)の持続時間(D)は
個々の呼吸サイクル(例えば、654A)の吸気フェズ162の持続時間(I)よりかなり短いため、複数の異なる刺激期間は1つの吸気フェズ162に渡って発生する。したがって、この配置を利用すると、いくつかの刺激サイクルは1つの基準呼吸サイクルにおいて繰り返される。
【0232】
複数の実施例において、基準呼吸サイクルの吸気フェズ162において前の刺激期間(例えば、652A)に比べると異なる場所に位置するように、刺激サイクルの比較的に短い持続時間は引き続く刺激期間(例えば、652B)を起こすため、刺激パターンは、
呼吸サイクルの特徴から独立している(すなわち、呼吸サイクルの特徴に対して同期的でない)と思われる。むしろ、刺激プロトコル650の非同期の本質は、刺激期間652C-652Fが呼吸サイクル654Aの呼気フェズ170に渡って発生することを介して表現され、それは、同様な刺激サイクルは刺激期間が基準呼吸サイクルの異なる部分に対してどこに位置するかに関わらず繰り返されるからである。
【0233】
したがって、刺激は呼吸波形の特徴(例えば、吸気)に対して同期していないとして、刺激プロトコル650は一連の呼吸サイクルに対してどこから開始しても、刺激期間の短い持続時間(D)は(呼吸サイクルのより長い持続期間に対して)、刺激プロトコル650が適用される治療期間の一部を渡って、2つの刺激期間(例えば、652A、652B)の少なくとも一部がそれぞれの基準呼吸サイクルの吸気フェズ162とかなり(少なくとも大部分)重なることを確保する。
【0234】
複数の実施例において、治療管理部16(
図1B)を介して、臨床医は、刺激が終了する前におよび/または異なる刺激プロトコルが適用される前に、いくらの呼吸サイクルに渡って刺激プロトコル650が適用されるべきかという指標を設定してもよい。複数の実施例において、指標は所定量の時間および/または特定の患者に対する所定量の呼吸サイクルに基づくものである。
【0235】
理解されるべきなのは、各呼吸サイクル(204A-206H)の各吸気フェズ162は
図3Bにその理想的な形で示され、吸気フェズ162が少なくとも部分的にそれぞれの非刺激期間の1つ(例えば、218D)と一致しているようないくつかの例において、吸気フェズは
図3Bに示された理想化された形状に比べると不規則な形状を有することがある。
【0236】
したがって、刺激プロトコル650を介して、治療管理部16(
図1B)の独立した刺激機能14は睡眠呼吸障害にかかわらず安定な呼吸を達成するように非同期的な神経刺激を利用する。
【0237】
複数の実施例において、刺激プロトコル650(および前述した同様なプロトコル)は、激しくない刺激プロトコルを介して制御下になっていない持続性の睡眠呼吸障害とのタイプを克服するのに役に立つように、オーバーライド機能492の「他」の機能496(
図15A)を介して実行される。したがって、刺激プロトコル650は連続でないが強度が激しい刺激を提供し、提供される刺激の強度は、少なくとも
図3B-3Eとともに前に示された独立した刺激機能454(
図12)または呼吸関連機能456(
図12)の1つの刺激プロトコルを介して適用される刺激の強度よりも実質的に激しい。
【0238】
しかしながら、連続刺激パターン、例えばオーバーライド機能492の連続機能494(
図15A)を介して提供されたもの、と違って、刺激プロトコル650は、刺激期間において標的神経および/または筋肉をある程度に休ませるように、全体の80%である刺激デューティサイクルを達成しながら、非刺激期間を定常的に提供する。この配置において、複数の刺激期間は繰り返す基準呼吸サイクルの各吸気フェズに渡って発生できるため、与えられた吸気フェズの少なくとも大部分に渡って刺激が発生しない吸気フェズはない。1つの態様において、このような配置は、「他」のオーバーライド機能の実行に対してさらによい患者快適さまたは耐性に貢献し、および/または、いかなる潜在的な神経または筋肉の疲労を減らすのに貢献する。
【0239】
複数の実施例において、刺激プロトコル650の変化は基準呼吸サイクルの持続時間(R)よりかなり短い刺激サイクルの持続時間(D)において実行され、刺激デューティサイクルは(80%でなく)約60%または70%である。このような配置において、複数の刺激期間も繰り返す基準呼吸サイクルの各吸気フェズに渡って発生するため、与えられた吸気フェズの少なくとも大部分に渡って刺激が発生しない吸気フェズはないが、多くの非刺激が取得可能である。1つの態様において、示された80%の刺激デューティサイクルを有する刺激プロトコル650という実施例と比べると、(刺激サイクルの比較的に短い持続時間を有する)このような配置は特定な患者に対して多くの快適さおよび/または潜在的な筋肉疲労の少なさを提供することができる。
【0240】
本開示に記載された他の例示的な刺激プロトコルのように、刺激プロトコル650は操作員により様々なパラメータ、機能を介して変更されてもよく、少なくとも
図4-5とともに前述した部品はユーザインターフェース(
図11Aにおける符号396、
図11Bにおける符号400)とともに制御部(
図2Cにおける符号56、
図9における符号360、
図10における符号380)を介して選択されおよび/または調節されてもよい。
【0241】
図17Aは本開示の一例に係る、睡眠呼吸障害を治療する神経刺激の方法701を概略的に示すフロー図形700である。複数の実施例において、方法701は
図1-16Bとともに前に説明して示された部品、要素、システムなどを利用するように行われる。複数の実施例において、方法701は
図1-16Bとともに前に説明して示された部品、要素、システムなど以外の部品、要素、システムなどを利用するように行われる。
【0242】
図17Aに示されるように、符号705において、方法701は、刺激サイクルの第1刺激プロトコルに基づいて気道開存性関連神経へ非同期的に刺激することを含み、刺激サイクルは刺激期間と非刺激期間とを含む。
【0243】
図17Bは本開示の一例に係る、睡眠呼吸障害を治療する神経刺激の方法721を概略的に示すフロー図形720である。複数の実施例において、方法721は
図1-16Bとともに前に説明して示された部品、要素、システムなどを利用するように行われる。複数の実施例において、方法721は
図1-16Bとともに前に説明して示された部品、要素、システムなど以外の部品、要素、システムなどを利用するように行われる。
【0244】
図17Bに示されるように、符号724に示されるように、
図17Aの方法701とともに、方法721は治療管理部を介して神経刺激を行うことを含み、治療管理部は、
図17Aの独立した刺激モード/機能と、検出した呼吸波形の特徴と同期的に気道開存性関連神経へ刺激する第2刺激モードとの間の自動的な転換可能動作を提供する。この配置を利用すると、治療管理部は、第1モードにおいて少なくとも第1所定時間期間に渡って動作し(726)、検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータがセンサー信号品質指標を満たす場合、動作を第2モードに転換する(728)。検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータがセンサー信号品質指標を満たさない場合、少なくとも第1所定時間期間に渡って動作を第1モードに復帰する(730)。この実施例において、第1モードは動作のデフォルトモードとして動く。
【0245】
複数の実施例において、センサー信号品質指標はシステムが高度な信頼度をもって確実に呼吸期間の標的部分に刺激を送る能力を表す。複数の実施例において、システムは閉塞性イベント(例えば、無呼吸/低呼吸)を少なくとも10秒を持続すると定義してもよく、前述した高度の信頼性は、連続の呼吸サイクルにおいて呼吸期間の目標部分を2回ミスしないことに対応してもよい。
【0246】
複数の実施例において、センサー信号品質指標は、刺激中または刺激されていないという患者のリアルタイムの状態を表してもよい。複数の実施例において、センサー信号品質指標はセンサーノイズを表してもよく、センサーノイズにより、センサー信号が患者のリアルタイムの状態をどのように関係つけているかを表す。
【0247】
しかしながら、複数の実施例において、第2モードは動作のデフォルトモードとして動いてもよい。したがって、
図17Cに示されるように、符号774に示されるように、
図17Aの方法701とともに、方法771は治療管理部を介して神経刺激を行うことを含み、治療管理部は、
図17Aの独立した刺激モード/機能と、検出した呼吸波形の特徴と同期的に気道開存性関連神経へ刺激する第2刺激モードとの間の自動的な転換可能動作を提供する。この配置を利用すると、治療管理部は、第2モードにおいて動作し(776)、検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータがセンサー信号品質指標を満たさない場合、少なくとも第1所定時間期間に渡って動作を第1モードに転換する(778)。符号780において、検出した呼吸波形の少なくとも1つのパラメータがセンサー信号品質指標を満たす場合、動作を第2モードに復帰する。
【0248】
複数の実施例において、少なくとも
図17Bおよび
図17Cに関して、第1刺激モードと第2刺激モードとの間の転換は自動的に行われる。
【0249】
図17Bと
図17Cとともに第1モードまたは第2モードの選択に関して、複数の実施例において、治療管理部800は、ユーザに第1モードまたは第2モードをデフォルトモードとして選択させるように、(
図18に示されるように)デフォルトモード選択部機能802を含む。複数の実施例において、治療管理部800は、少なくとも
図1-17Cとともに前述した治療管理部16(
図1B)およびほかの治療管理部の例示と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかも備える。
【0250】
図17Bと
図17Cとともに第1モードまたは第2モードの選択に関して、複数の実施例において、治療管理部850は、2つの異なる刺激モードとの間に選択的に転換させるように、(
図19に示されるように)手動転換機能852を含む。1つの態様において、このような選択的な転換は、操作員が特定の患者に対して刺激プロトコルのパラメータを調整する時に、治療管理部の操作員滴定に渡って実行されてもよい。複数の実施例において、治療管理部850は、少なくとも
図1-17Cとともに前述した治療管理部16(
図1B)およびほかの治療管理部の例示と実質的に同様な特性および属性の少なくともいくつかも備える。したがって、本開示の少なくとも複数の実施例は、神経刺激の効果を向上させて睡眠呼吸障害を治療するようにロバストな機制を提供する。
【0251】
具体的な実施例を図示し説明してきたが、種々の代替的及び/又は等価的な実施形態が本開示の範囲から逸脱することなく示され且つ記載された特定の実施例と置き換えられてもよいことは当業者によって理解されるだろう。この出願は、本明細書に記載された特定の実施例の任意の改良又は変形を網羅することを意図する。