(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】熱収縮性筒状ラベル及び筒状ラベル付き容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 3/04 20060101AFI20240412BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G09F3/04 C
B65B53/00 C
(21)【出願番号】P 2023076247
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2018184346の分割
【原出願日】2018-09-28
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新後 浩司
(72)【発明者】
【氏名】西田 隼也
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-076173(JP,A)
【文献】特開2004-258115(JP,A)
【文献】特開2017-032847(JP,A)
【文献】特開2011-098783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0260951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00- 5/04
B65B 53/00-55/24
B65D 23/00-25/56
B65D 65/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルであって、
熱収縮性フィルムから形成され且つ周方向に熱収縮可能な未収縮筒状ラベルを有し、
前記未収縮筒状ラベルには、複数の未収縮凹部と複数の未収縮不切り部が縦方向に交互に配置された擬似ミシン目が形成されており、
前記擬似ミシン目が、底部分を左部と右部に分け且つ前記ラベルを貫通する境界線が形成され、前記左部と右部が前記境界線を界面として当接されている未収縮凹部を含む、熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルであって、
熱収縮性フィルムから形成され且つ周方向に熱収縮可能な未収縮筒状ラベルを有し、
前記未収縮筒状ラベルには、複数の未収縮凹部と複数の未収縮不切り部が縦方向に交互に配置された擬似ミシン目が形成されており、
前記擬似ミシン目が、底部分を左部と右部に分け且つ前記ラベルを貫通しない境界線が形成され、前記未収縮筒状ラベルを熱収縮させた際に前記境界線に沿って前記左部と右部に分離可能な未収縮凹部を含む、熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
前記未収縮凹部が、断面視でV字状の凹みである、請求項1または2に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
前記境界線が、前記未収縮筒状ラベルの肉厚の1/5倍~1/2倍の深さで厚み方向に延在している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項5】
前記未収縮不切り部の縦方向長さが、0.2mm~0.6mmである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱収縮性筒状ラベルを容器に被せ、加熱して熱収縮させることによって、
複数の孔部と不切り部が交互に配置されて縦方向に延びるミシン目であって、前記孔部を形成する周縁部が、前記孔部の重心を通り且つ縦方向で向かい合う第1縁部及び第2縁部と、前記孔部の重心を通り且つ周方向で向かい合う第3縁部及び第4縁部と、を有し、前記第3縁部及び第4縁部の各肉厚が、前記第1縁部及び第2縁部の各肉厚よりも大きく、前記第3縁部及び第4縁部が、湾曲しつつ外側又は内側に突出されているミシン目を有する熱収縮性筒状ラベルが容器に装着された筒状ラベル付き容器を得る、ラベル付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性筒状ラベル及びそれが装着された筒状ラベル付き容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な容器に、熱収縮性筒状ラベルが装着されている。熱収縮性筒状ラベルは、加熱することによって収縮し、容器に密着装着できるラベルであり、シュリンクフィルムやシュリンクチューブなどとも呼ばれている。
熱収縮性筒状ラベルと容器を分離するために、通常、熱収縮性筒状ラベルには、ミシン目が形成されている。
例えば、特許文献1には、線状に並んだ略円形状の貫通孔又は薄膜面部である凹陥の列と、前記凹陥の列に沿ってその両側に連続又は断続して延在する堤状厚肉部とを有する切取り線(ミシン目)が形成された熱収縮性筒状ラベルが開示されている。
かかる熱収縮性筒状ラベルが熱収縮装着されたラベル付き容器にあっては、熱収縮性筒状ラベルの上端部を摘んで引き出すことにより、前記切り取り線に沿って綺麗にラベルを破断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
従来の筒状ラベル付き容器は、熱収縮性筒状ラベルの上端部又は下端部を摘んで引き出すことにより、ミシン目に沿ってラベルを破断できるものである。
しかしながら、熱収縮性筒状ラベルは容器に密着しているので、端部を指先で摘むことが困難な場合がある。
この点、熱収縮性筒状ラベルの外面に指を押し当て、指をずらすことによって熱収縮性筒状ラベルが破断すれば、熱収縮性筒状ラベルと容器を容易に分離できる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱収縮性筒状ラベルの上端部又は下端部を摘んで引き出して破断するだけでなく、熱収縮性筒状ラベルの外面に指を押し当て、指をずらすことによって破断する熱収縮性筒状ラベル及びそれが装着されている筒状ラベル付き容器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様に係る熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルであって、熱収縮性フィルムから形成され且つ周方向に熱収縮可能な未収縮筒状ラベルを有し、前記未収縮筒状ラベルには、複数の未収縮凹部と複数の未収縮不切り部が縦方向に交互に配置された擬似ミシン目が形成されており、前記擬似ミシン目が、底部分を左部と右部に分け且つ前記ラベルを貫通する境界線が形成され、前記左部と右部が前記境界線を界面として当接されている未収縮凹部を含む。
もう1つの態様に係る熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルであって、熱収縮性フィルムから形成され且つ周方向に熱収縮可能な未収縮筒状ラベルを有し、前記未収縮筒状ラベルには、複数の未収縮凹部と複数の未収縮不切り部が縦方向に交互に配置された擬似ミシン目が形成されており、前記擬似ミシン目が、底部分を左部と右部に分け且つ前記ラベルを貫通しない境界線が形成され、前記未収縮筒状ラベルを熱収縮させた際に前記境界線に沿って前記左部と右部に分離可能な未収縮凹部を含む。
【0007】
1つの好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記未収縮凹部が、断面視でV字状の凹みである。
もう1つの好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記境界線が、前記未収縮筒状ラベルの肉厚の1/5倍~1/2倍の深さで厚み方向に延在している。
もう1つの好ましい熱収縮性筒状ラベルは、前記未収縮不切り部の縦方向長さが、0.2mm~0.6mmである。
【0008】
別の局面によれば、筒状ラベル付き容器の製造方法を提供する。
その製造方法の1つの態様は、上記いずれかの熱収縮性筒状ラベルを容器に被せ、加熱して熱収縮させる。これによって、複数の孔部と不切り部が交互に配置されて縦方向に延びるミシン目であって、前記孔部を形成する周縁部が、前記孔部の重心を通り且つ縦方向で向かい合う第1縁部及び第2縁部と、前記孔部の重心を通り且つ周方向で向かい合う第3縁部及び第4縁部と、を有し、前記第3縁部及び第4縁部の各肉厚が、前記第1縁部及び第2縁部の各肉厚よりも大きく、前記第3縁部及び第4縁部が、湾曲しつつ外側又は内側に突出されているミシン目を有する熱収縮性筒状ラベルが容器に装着された筒状ラベル付き容器を製造できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筒状ラベル付き容器は、熱収縮性筒状ラベルの外面に指を押し当て、指をずらすことによって、ミシン目に沿って熱収縮性筒状ラベルを簡単に破断させることができる。かかる筒状ラベル付き容器は、熱収縮性筒状ラベルの開封性に優れ、お年寄りや子供などでも簡易に熱収縮性筒状ラベルを容器から分離できる。本発明の熱収縮性筒状ラベルは、容器に熱収縮装着させることにより、前記効果を有する筒状ラベル付き容器を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つの実施形態に係る筒状ラベル付き容器の正面図。
【
図3】
図2のIII-III線で切断し且つ更に拡大した断面図。
【
図4】
図2のIV-IV線で切断し且つ更に拡大した断面図。
【
図5】
図2のV-V線で切断し且つ更に拡大した断面図。
【
図6】第1乃至第4縁部及び連設縁部の位置関係を説明するための参考図。
【
図7】容器装着前の熱収縮性筒状ラベルを示す正面図。
【
図8】
図7のVIII-VIII線で切断した断面図。
【
図10】
図9のX-X線で切断し且つ更に拡大した断面図。
【
図11】筒状ラベル付き容器の熱収縮性筒状ラベルを開封した状態を示す正面図。
【
図12】変形例に係る筒状ラベル付き容器の正面図。
【
図13】孔部を形成する周縁部(第3縁部及び第4縁部)の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、縦方向は、熱収縮性筒状ラベルを筒状に開いた状態で、その軸方向を指し、横方向は、前記縦方向と直交する方向を指す。横方向は、熱収縮性筒状ラベルを筒状に開いた状態で、その周方向(主熱収縮方向)に相当する。
「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
なお、各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0012】
[筒状ラベル付き容器]
図1において、本発明の筒状ラベル付き容器1は、容器2と、前記容器2に熱収縮により装着され且つミシン目4を有する熱収縮性筒状ラベル3と、を有する。
本発明の筒状ラベル付き容器1は、熱収縮性筒状ラベル3の外面に指を押し当て、指をずらすことによって熱収縮性筒状ラベル3を破断(開封)できる。以下、このような方法で熱収縮性筒状ラベル3を破断させて開封することを「スライド開封」という場合がある。
【0013】
主熱収縮方向である周方向に熱収縮することによって装着された熱収縮性筒状ラベル3は、容器2の外面に密着されている。
容器2は、内容物を収納する胴部21と、注出口を開閉するキャップ部22と、を有する。
容器2に入れられている内容物は、特に限定されず、ジュースやサイダーなどの飲料、食用油や醤油などの調味料、液体洗剤や詰替え用シャンプーなどのサニタリー品、消毒用アルコールなどの医薬品、化粧品などが挙げられる。
容器2の胴部21の外形は、特に限定されず、略円柱状、略楕円柱状、略四角柱状や略三角柱状などの略多角柱状、略円錐状や略三角錐状などの略錐状、略円錐台状や略四角錐台状などの略錐台状、略瓢箪形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた立体形状などでもよい。本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。例えば、四角などの多角に付加された「略」は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、円や楕円に付加された略は、円弧の一部が膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
また、容器2の材質は、特に限定されず、合成樹脂、ガラス、陶器、金属などが挙げられる。
図示例では、炭酸飲料が充填された略円柱状の合成樹脂製胴部を有する容器2を表している。
【0014】
熱収縮性筒状ラベル3は、容器2の胴部21の一部分又は全部に装着されている。図示例では、容器2の胴部21から肩部23にかけて熱収縮性筒状ラベル3が装着されている。
なお、特に図示しないが、熱収縮性筒状ラベル3が胴部21からキャップ部22まで装着されていてもよい(このような装着形態は、フルシュリンクとも呼ばれる)。
【0015】
また、必要に応じて、熱収縮性筒状ラベル3と容器2の間に、接着剤9が介在されていてもよい。接着剤9は、通常、熱収縮性筒状ラベル3と容器2の間の一部分に設けられる。接着剤9が熱収縮性筒状ラベル3の内面の全部に設けられていると、スライド開封困難となる。なお、本明細書において、接着剤9は、粘着剤も含まれる。
接着剤9は、溶剤揮発型などの乾燥型でもよいが、後述するように熱収縮性筒状ラベル3を容器2に装着する際の加熱によって接着でき且つ室内保管時に接着性を示さないことから、感熱接着剤が好ましい。感熱接着剤は、室温(23℃)で接着性を示さず、加熱することによって接着性を発現する接着剤である。感熱接着剤は、従来公知のものを用いることができる。
【0016】
炭酸飲料を入れた胴部21を有する容器2は、キャップ部22を開栓すると内圧が下がり、その結果、僅かに膨張していた胴部21が縮むので、装着された熱収縮性筒状ラベル3が回転する可能性がある。この点、前記接着剤9を設けることにより、熱収縮性筒状ラベル3の回転を防止できる。よって、ここでの接着剤9は、熱収縮性筒状ラベル3の回り止め手段に相当する。
前記接着剤9は、ミシン目4から離れて設けられていることが好ましい。接着剤9がミシン目4に近すぎると、熱収縮性筒状ラベル3の外面に指を押し当ててずらそうとしても、そのずれに起因する引き裂き力が十分に作用しないおそれがあるからである。このような観点から、接着剤9は、接着剤9とミシン目4との間隔が2cm以上、好ましくは3cm~5cmとなるように配置されていることが好ましい。前記接着剤9とミシン目4の間隔は、接着剤9の縁とミシン目4との間の横方向長さを指し、縦方向において前記長さが異なる場合には、その最小値をいう。
【0017】
熱収縮性筒状ラベル3は、その面内にミシン目4を有する。
ミシン目4は、複数の孔部と不切り部が交互に配置されて所定方向に延びる線からなり、例えば、縦方向に延設されている。ミシン目4は、熱収縮性筒状ラベル3の上縁から下縁まで設けられていてもよく、或いは、上縁又は下縁から縦方向中途部まで設けられていてもよく、或いは、上縁領域及び/又は下縁領域に部分的に設けられていてもよく、或いは、縦方向中途部の一部分に設けられていてもよい。また、ミシン目4と切り込み線(図示せず)が組合わされていてもよい。上縁3aから下縁3bまで熱収縮性筒状ラベル3を容易に切り裂くことができることから、ミシン目4は、
図1に示すように、熱収縮性筒状ラベル3の上縁3aから下縁3bまで連続して設けられていることが好ましい。
なお、後述するように、容器装着前の熱収縮性筒状ラベルにあっては、ミシン目の全体が縦方向と平行に延線されているが、筒状ラベル付き容器1にあっては、装着された熱収縮性筒状ラベル3が容器2の外形に応じて変形するので、部分的に縦方向に対して傾斜して延設されることがある。例えば、図示例のように、容器2の胴部21から肩部23にかけて熱収縮性筒状ラベル3が装着されている場合には、胴部21よりも縮径している肩部23に対応するミシン目4は若干傾斜しながら延線される。
ミシン目4は、横方向に間隔を開けて2本設けられている。ただし、ミシン目4は、少なくとも1本設けられていればよく、3本以上設けられていてもよい。
2本のミシン目4が設けられる場合、その間隔(横方向における間隔)は特に限定されないが、例えば、5mm~50mmである。
【0018】
また、ミシン目4は、熱収縮性筒状ラベル3のシール部31の近くに設けられていることが好ましい。シール部31は、二重フィルム部分であって少しの段差を有するので、シール部31に指を押し当てると指が滑り難くなり、スライド開封の際の引き裂き力がミシン目4に十分に作用するからである。このような観点から、ミシン目4は、シール部31の横方向中心点から横方向に2cm~5cm離れた範囲内に設けられていることが好ましい。
【0019】
図2は、熱収縮性筒状ラベル3のミシン目4の状態を判り易くするために、その一部分(
図1のII-II’で挟まれた箇所)を拡大した正面図であり、
図3及び
図4は、ミシン目4の孔部41を横断し、
図2よりもさらに拡大した断面図であり、
図5は、ミシン目4の孔部41を縦断し、
図2よりもさらに拡大した断面図である。なお、
図2乃至
図5において、第3縁部及びこれに連設する連設縁部と、第4縁部及びこれに連設する連設縁部と、が左右線対称に表されているが、熱収縮性筒状ラベル3は精密機器ではないので、実際にはこれらが全く同じ形状(線対称形)となっていることは稀で、左右で形状が若干相違していることに留意されたい。複数の孔部についても同様に、実際には全く同じ形状となることは稀である。
【0020】
図2乃至
図5を参照して、本発明においては、ミシン目4の孔部41を形成する周縁部が、孔部41の重心を通り且つミシン目4の延線方向で向かい合う第1縁部51及び第2縁部52と、前記孔部41の重心を通り且つ前記延線方向と直交する方向で向かい合う第3縁部53及び第4縁部54と、を有し、第3縁部53及び第4縁部54の各肉厚が、第1縁部51及び第2縁部52の各肉厚よりも大きく、第3縁部53及び第4縁部54が、湾曲しつつ外側又は内側に突出されていることを特徴とする。
孔部41の重心は、熱収縮性筒状ラベルの外面に対して鉛直方向から見たときの孔部41の正面視形状(例えば、
図2のような正面視形状)を基準にした重心をいう。
【0021】
本実施形態では、孔部41と不切り部42が交互に配置されることによって画成される線の延びる方向(すなわち、ミシン目4の延線方向)は、縦方向であり、ミシン目4の延線方向と直交する方向は、横方向である。
また、ミシン目4の孔部41は、熱収縮性筒状ラベル3の内外に貫通する空間をいう。孔部41を形成する周縁部は、その孔部41を画成しているラベル部分である。換言すると、無端環状の周縁部で囲われた範囲に、孔部41が存在する。
孔部41の正面視形状は、略楕円状又は略円形状であり、好ましくは、
図2に示すように、略楕円状である。孔部41が正面視略楕円状である場合、その長軸が、縦方向(ミシン目4の延線方向)に存在していてもよく、横方向(延線方向と直交する方向)に存在していてもよい。好ましくは、図示例のように、正面視略楕円状の孔部41の長軸は、縦方向に存在する。
【0022】
図2を参照して、ミシン目4の孔部41の縦方向長さL41(延設方向長さ)は、例えば、0.1mm~3.0mmであり、好ましくは、0.1mm~1.0mmである。不切り部42の縦方向長さL42(延設方向長さ)は、例えば、0.08mm~1.5mmであり、好ましくは、0.1mm~0.5mmである。ミシン目4の孔部41の縦方向長さL41は、不切り部42の縦方向長さL42よりも大きいことが好ましい。
孔部41の長さが大きすぎ且つ不切り部42の長さが小さすぎると、ミシン目4から熱収縮性筒状ラベル3が不用意に破断するおそれがあり、孔部41の長さが小さすぎ且つ不切り部42の長さが大きすぎると、スライド開封を容易にできないおそれがある。
ミシン目4の孔部41の横方向長さW41(延設方向と直交する方向の長さ)は、特に限定されず、例えば、0.1mm~3.0mmである。
【0023】
孔部41を形成する周縁部は、第1縁部51、第2縁部52、第3縁部53、第4縁部54及び4つの連設縁部55から構成される。換言すると、第1縁部51、第2縁部52、第3縁部53、第4縁部54及び4つの連設縁部55は、それぞれ周縁部の一部分であり、それらの縁部51,52,53,54,55が連続して周縁部を構成する。
図6は、第1縁部51、第2縁部52、第3縁部53、第4縁部54及び4つの連設縁部55の位置関係を明らかにするために、参考的に表した孔部の拡大正面図である。
図6を参照して、第1縁部51と第2縁部52は、孔部41の重心Oを通り且つ縦方向(ミシン目4の延線方向)の仮想線Xを引いたときに、その仮想線Xが交わる点を含む縁部である。第1縁部51と第2縁部52は、縦方向で向かい合っている。なお、
図6に、第1縁部51と第2縁部52に、網掛けを付している。第3縁部53と第4縁部54は、孔部41の重心Oを通り且つ横方向(延線方向と直交する方向)の仮想線Yを引いたときに、その仮想線Yが交わる点を含む縁部である。第3縁部53と第4縁部54は、横方向で向かい合っている。なお、
図6に、第3縁部53と第4縁部54に、斜線を付している。連設縁部55は、4箇所である。1つの連設縁部55は、第1縁部51と第3縁部53のそれぞれに連続した縁部、もう1つの連設縁部55は、第1縁部51と第4縁部54のそれぞれに連続した縁部、もう1つの連設縁部55は、第2縁部52と第3縁部53のそれぞれに連続した縁部、もう1つの連設縁部55は、第2縁部52と第4縁部54のそれぞれに連続した縁部である。
【0024】
図2乃至
図5に戻り、第3縁部53の肉厚T53及び第4縁部54の肉厚T54は、第1縁部51の肉厚T51及び第2縁部52の肉厚よりも大きい。なお、前記各肉厚は、各縁部の肉厚が最大となっている箇所の値をいう。各連設縁部55の肉厚は、第3縁部53及び第4縁部54に向かうに従って漸増し、反対に、第1縁部51及び第2縁部52に向かうに従って漸減している。従って、周縁部の中で、第3縁部53及び第4縁部54の肉厚が最も大きく、第1縁部51及び第2縁部52の肉厚が最も小さい。
なお、「漸減」は、次第に小さくなることを意味し、「漸増」は、次第に大きくなることを意味する。
第3縁部53の肉厚及び第4縁部54の肉厚は、それぞれ独立して、不切り部42の肉厚(熱収縮性フィルムの肉厚に略等しい)の1.1倍~2.0倍であり、好ましくは、1.5倍~1.8倍である。第1縁部51の肉厚及び第2縁部52の肉厚は、不切り部42の肉厚と略同じ又はそれよりも僅かに大きい程度であることが好ましく、それぞれ独立して、不切り部42の肉厚の1倍~1.1倍であり、好ましくは1.01倍~1.05倍である。第1乃至第4縁部54が前記厚み差を有することにより、スライド開封の際にミシン目4に沿って熱収縮性筒状ラベル3を引き裂くことができる。
なお、前記不切り部42の肉厚は、不切り部42の縦方向中点における肉厚を採用するものとする。また、後述するように第3縁部53及び第4縁部54は湾曲しているので、第3縁部53の肉厚T53及び第4縁部54の肉厚T54は、その湾曲に従い、
図3に示すような箇所の肉厚とする。
【0025】
図3を参照して、第3縁部53及び第4縁部54の先端外形は、概ね弧状に形成されている。特に、第3縁部53及び第4縁部54の各先端下部53b,54bの外形は、弧状に形成され、第3縁部53及び第4縁部54の各先端上部53a,54aの外形は、やや山型に尖った部分を有しつつ全体として弧状に形成されている。
【0026】
詳しくは、第3縁部53の内面及び第4縁部54の内面は、それぞれ断面視弧状に形成されている。前記第3縁部53の内面は、第3縁部53の内側基部53d(熱収縮性筒状ラベルの平滑な内面と第3縁部53の境界部分)から先端下部53bまでの面を指し、第4縁部54の内面は、第4縁部54の内側基部54d(熱収縮性筒状ラベルの平滑な内面と第4縁部54の境界部分)から先端下部54bまでの面を指す。
第3縁部53の外面及び第4縁部54の外面も、断面視弧状に形成されている。前記第3縁部53の外面は、第3縁部53の外側基部53c(熱収縮性筒状ラベルの平滑な外面と第3縁部53の境界部分)から先端上部53aまでの面を指し、第4縁部54の外面は、第4縁部54の外側基部54c(熱収縮性筒状ラベルの平滑な外面と第4縁部54の境界部分)から先端上部54aまでの面を指す。
第3縁部53及び第4縁部54の各内面の曲がり度合いは、第3縁部53及び第4縁部54の各外面の曲がり度合いよりも小さくなっている。また、第3縁部53の厚み面(先端上部53aと先端下部53bの間の面)及び第4縁部54の厚み面(先端上部54aと先端下部54bの間の面)は、孔部側に膨らんだ弧状に形成されている。
【0027】
ただし、第3縁部53及び第4縁部54の先端下部53b,54b及び先端上部53a,54aが弧状に形成されていることを条件として、例えば、
図13(a)に示すように、第3縁部53の厚み面(先端上部53aと先端下部53bの間の面)及び第4縁部54の厚み面(先端上部54aと先端下部54bの間の面)が、断面視直線傾斜状に形成されれていてもよく、或いは、
図13(b)に示すように、第3縁部53の厚み面及び第4縁部54の厚み面が、孔部と反対側に膨らんだ弧状に形成されていてもよい。
【0028】
図5を参照して、第1縁部51及び第2縁部52の各先端下部51b,52bの外形は、直角状に形成され、第1縁部51及び第2縁部52の各先端上部51a,52aの外形は、直角状に形成されている。各連設縁部55の外形は、第3縁部53及び第4縁部54に向かうに従って第3縁部53及び第4縁部54の形状に変化していき、反対に、第1縁部51及び第2縁部52に向かうに従って第1縁部51及び第2縁部52の形状に変化していく。
【0029】
図3乃至
図5を参照して、第3縁部53及び第4縁部54は、湾曲しつつ外側に突出されている。外側は、熱収縮性筒状ラベル3の容器接触面とは反対側を指す。他方、第1縁部51及び第2縁部52は、湾曲及び突出することなく、不切り部42と同一レベルにある。同一レベルとは、不切り部42の厚み方向中点を通り且つ不切り部42の外面と平行な仮想直線を引いたときに、第1縁部51及び第2縁部52の厚み方向中点がほぼ交わることをいう。なお、前記仮想直線は、湾曲しつつ突出されている第3縁部53及び第4縁部54の厚み方向中点には交わらない。
このように第3縁部53及び第4縁部54が湾曲しつつ外側に突出されていることにより、スライド開封時に、第3縁部53及び第4縁部54にて破断せず、第1縁部51及び第2縁部52にて破断するようになる。
また、各連設縁部55も、湾曲しつつ第3縁部53及び第4縁部54と同じ側(図示例の場合、外側)に突出されている。第3縁部53及び第4縁部54と第1縁部51及び第2縁部52に連設されている各連設縁部55は、その湾曲度合い及び突出量が前記第1縁部51及び第2縁部52に向かうに従って漸減されている。
【0030】
[筒状ラベル付き容器の製法]
本発明の筒状ラベル付き容器1は、熱収縮性筒状ラベルを容器に外嵌し、加熱して熱収縮させることによって得られる。
容器2としては、上述のようなものが挙げられる。
熱収縮性筒状ラベルは、例えば、下記のようなものが用いられる。なお、この製法欄で説明する熱収縮性筒状ラベルは、容器装着前の状態、つまり熱収縮させる前のものである。以下、容器装着前の熱収縮性筒状ラベルを「未収縮筒状ラベル」という。
【0031】
未収縮筒状ラベル7は、
図7及び
図8に示すように、熱収縮性フィルム77の一方向(主熱収縮方向)を周方向として筒状にし、その一方の側端部78を他方の側端部79に重ね合わせて接着することにより、シール部71が形成された筒状体である。側端部78と側端部79の接着方法としては、溶剤接着、接着剤による接着、テープ貼りなどが挙げられる。
なお、
図7及び
図8では、未収縮筒状ラベル7を扁平状に折り畳んだ状態を表している。扁平状の未収縮筒状ラベル7は、容器に装着する直前に筒状に開かれる。
熱収縮性フィルム77は、例えば70℃~100℃のような所望温度に加熱されると、少なくとも一方向(主たる熱収縮方向)に熱収縮する性質を有する。かかる性質を本明細書で熱収縮性という。また、熱収縮性フィルム77は、他方向(他方向は、フィルム面内で前記一方向に直交する方向)にも若干熱収縮又は熱伸張するものでもよい。熱収縮性フィルム77の熱収縮率(未収縮筒状ラベル7の熱収縮率に略等しい)は、特に限定されず、例えば、90℃に加熱した際の一方向における熱収縮率は、20%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。なお、熱収縮性フィルム77が他方向にも若干熱収縮又は熱伸張する場合、その90℃に加熱した際の他方向における熱収縮率は、例えば、-3%~15%である。前記他方向の熱収縮率のマイナスは、熱伸張を意味する。
熱収縮率は、加熱前(標準状態(23℃、1気圧、50%RH雰囲気下)で24時間保存)のフィルムの長さ(元の長さ)と、90℃温水中に10秒間浸漬して取り出した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)と、をそれぞれ標準状態下で計測し、下記式に代入して求められる。なお、各フィルムの長さは、標準状態下で計測する。
熱収縮率(%)=[{(一方向(又は他方向)の元の長さ)-(一方向(又は他方向)の浸漬後の長さ)}/(一方向(又は他方向)の元の長さ)]×100。
【0032】
熱収縮性フィルム77は、特に限定されず、代表的には、熱可塑性合成樹脂フィルムが挙げられる。
例えば、熱収縮性フィルム77としては、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からから選ばれる1種単独、又は2種以上の混合物などを含むフィルムを用いることができる。熱収縮性フィルム77として、2種以上のフィルムが積層され且つ一体化された積層フィルムなどを用いてもよい。フィルムは公知の製法で製膜し、延伸し、熱エージング処理することにより熱収縮性を付与できる。
熱収縮性フィルム77の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~100μmであり、好ましくは、15μm~80μmであり、より好ましくは、20μm~50μmである。
熱収縮性フィルム77は、透明又は不透明のいずれでもよいが、内面側にデザイン印刷層が設けられる場合には、透明なものが用いられる。前記熱収縮性フィルム77における透明は、有色透明又は無色透明を含む。好ましくは、無色透明の熱収縮性フィルム77が用いられる。
なお、特に図示しないが、熱収縮性フィルム77には、所望のデザインが表されたデザイン印刷層;遮光性を付与するための遮光印刷層;熱収縮性フィルム77の外面に設けられる表面保護印刷層;熱収縮性フィルム77の内面に設けられる滑り印刷層;などの各種の機能層が設けられていてもよい。
これらの印刷層のうち少なくとも1つが設けられる場合、その印刷層を熱収縮性フィルム77の内面に設けることが好ましく、特に、少なくとも擬似ミシン目が形成された領域の内面に設けることがより好ましい。印刷層を熱収縮性フィルム77の内面のうち擬似ミシン目形成領域に少なくとも設けることによって、熱収縮性フィルム77の厚み方向において、熱収縮性フィルム77は、内側よりも外側に僅かに収縮し易くなる。このため、上記のような外側に湾曲した第3縁部53及び第4縁部54を形成し易くなる。
【0033】
未収縮筒状ラベル7の周長は、例えば、容器の装着部位の最大周長×1.03倍~最大周長×1.3倍であり、好ましくは前記最大周長×1.05倍~最大周長×1.2倍である。
未収縮筒状ラベル7の内面には、容器に部分接着させるための接着剤97が設けられている。なお、この接着剤97は、容器に設けてもよい。容器と未収縮筒状ラベル7の間に介在して両者を接着する接着剤97は、容器及び未収縮筒状ラベル7の少なくともいずれか一方の所定位置に設ければよい。
【0034】
未収縮筒状ラベル7には、擬似ミシン目8が形成されている。擬似ミシン目8は、未収縮筒状ラベル7の上縁7aから下縁7bにまで縦方向に延びて設けられている。擬似ミシン目8の本数は、特に限定されず、少なくとも1本設けられる。図示例では、擬似ミシン目8は2本設けられている。
擬似ミシン目8は、複数の未収縮凹部81と未収縮不切り部82が交互に配置されて所定方向(延線方向)に延びる線からなる。
未収縮凹部81は、
図9及び
図10に示すように、未収縮筒状ラベル7に貫通しない凹みである。図示例では、未収縮凹部81は、外側に開口している。未収縮凹部81は、例えば、断面視で略V字状の凹みである。V字状の未収縮凹部81の開口度合いは、未収縮筒状ラベル7の外面側から内面側に向けて次第に小さくなっている。
未収縮凹部81の底部分には、未収縮筒状ラベル7の左部7c及び右部7dに分ける境界線Zが形成されている。この境界線Zは、概ね未収縮筒状ラベル7の肉厚の1/5倍~1/2倍程度で厚み方向に延在している。
左部7cと右部7dは、(1)境界線Zで切断され且つ境界線Zを界面として当接している、或いは、(2)境界線Zにおいて切断されていないが、右部7d及び左部7cを構成するフィルム材料(主として上記合成樹脂)が材料破壊を起して非常に脆くなり、少しの力で境界線Zに沿って分離できる状態となっている。
このような未収縮凹部81は、例えば、ダイカット、カッターなどの機械的切断手段を用いて形成できる。
【0035】
未収縮凹部81及び未収縮不切り部82の長さは、上記ミシン目4の孔部41及び不切り部42の寸法を考慮して設定される。
例えば、未収縮凹部81の縦方向長さ(延設方向長さ)は、例えば、0.1mm~2.0mmであり、好ましくは、0.1mm~1.0mmである。未収縮不切り部82の縦方向長さ(延設方向長さ)は、例えば、0.1mm~2.0mmであり、好ましくは、0.2mm~0.6mmである。また、未収縮凹部81の横方向長さ(延設方向と直交する方向の長さ)は、例えば、0.05mm~0.2mmである。
【0036】
上記未収縮筒状ラベル7を筒状に開き、容器2の外側に被せ、例えば70℃~100℃に加熱し、未収縮筒状ラベル7を十分に熱収縮させることによって、
図1乃至
図5に示すような筒状ラベル付き容器1が得られる。
未収縮筒状ラベル7が主として横方向(周方向)に収縮すると、未収縮凹部81(外側に開口した未収縮凹部81)が拡張し、その未収縮凹部81が変化することによって、
図2乃至
図5に示すような孔部41が形成される。
良好な孔部41を形成するために、未収縮筒状ラベル7を横方向に少なくとも熱収縮率5%以上熱収縮させることが好ましい。容器の装着部位の最大周長を考慮して、未収縮筒状ラベル7の周長を設定することにより、前記最大周長部位において熱収縮率5%以上に熱収縮させることができ、全体に亘って良好な孔部41を有するミシン目4が得られる。
【0037】
[筒状ラベル付き容器の使用]
本発明の筒状ラベル付き容器1は、内容物を消費した後には、通常廃棄される。
リサイクルの観点から、熱収縮性筒状ラベル3と容器2を分離することが望ましい。本発明の筒状ラベル付き容器1は、
図11に示すように、熱収縮性筒状ラベル3の外面に片方の指を押し当て、熱収縮性筒状ラベル3を伴いながらその面に沿って横方向又は横斜め方向に指をずらすと、熱収縮性筒状ラベル3がミシン目4に沿って極めて簡単に破断する。
【0038】
熱収縮性筒状ラベル3を伴うようにしながら指をスライドさせると、熱収縮性筒状ラベル3の面内に引き裂き力(剪断力)が加わる。上記のように孔部41の第3縁部53及び第4縁部54の各肉厚が、第1縁部51及び第2縁部52の各肉厚よりも大きいので、第1縁部51及び第2縁部52の方が切断され易い。これに加えて、第3縁部53及び第4縁部54が湾曲しつつ突出されているので、引き裂き力が第3縁部53及び第4縁部54にスポット的に集中し難くなり、その分、第1縁部51及び第2縁部52に引き裂き力が集中するようになる。このため、第3縁部53及び第4縁部54に亀裂が生じない一方で、第1縁部51及び第2縁部52から亀裂が生じ、これが不切り部42を切断して隣接する孔部41の第1縁部51及び第2縁部52に連鎖的に生じるので、ミシン目4に沿って簡単に破断するようになる。
さらに、第1縁部51及び第2縁部52の各肉厚が、それぞれ不切り部42の肉厚と略同じとされているので、第1縁部51及び第2縁部52から生じた亀裂に起因して、不切り部42が縦方向(延線方向)に裂け易くなる。
また、第3縁部53と第1縁部51などの間には、各連設縁部55が連設されており、この連設縁部55も湾曲しつつ突出されているので、第3縁部53及び第4縁部54と同様に、連設縁部55から亀裂が生じ難くなっている。
【0039】
なお、本実施形態では、熱収縮性筒状ラベル3が接着剤9を介して容器2に部分接着されているので、熱収縮性筒状ラベル3が空回りすることがなく、従って、片方の手の指で容易にスライド開封できる。もちろん、片方の手の指ともう片方の手の指を、ミシン目4を挟んで押し当てて、両指を相反する方向にずらしてもミシン目4に沿って熱収縮性筒状ラベル3が極めて簡単に破断する。
【0040】
[変形例]
上記実施形態では、回り止め手段として、熱収縮性筒状ラベル3を接着剤9にて容器2に部分接着しているが、例えば、
図12に示すように、一部分に突部を有する容器2に熱収縮性筒状ラベル3を装着した筒状ラベル付き容器1であってもよい。
図示例の筒状ラベル付き容器1は、胴部21及びキャップ部22を有する容器2と、容器2の少なくともキャップ部22に装着された熱収縮性筒状ラベル3と、を有する。キャップ部22の一部分には、例えば、指掛け用の舌部24が径外方向に突出されており、この部分的に突出された舌部24が、突部に相当する。
熱収縮性筒状ラベル3は、容器2の突部に装着された部分が非円形となり、一方、容器2の突部以外に装着された部分が略円形となっている。突部に装着された部分を有するので、熱収縮性筒状ラベル3が空回りすることがない。この変形例では、容器2の突部が回り止め手段に相当する。
【0041】
なお、容器2の装着部位(熱収縮性筒状ラベル3を装着する部分)が横断面略円形状の場合には、空回りのおそれがあるが、装着部位が横断面略四角形状などの非円形状の場合には、熱収縮性筒状ラベル3が空回りし難く、その場合には、回り止め手段を具備させる必要性はなくなる。また、上述のように、本発明の筒状ラベル付き容器1は、両方の指でスライド開封すれば、ミシン目4に沿って簡単に破断するので、装着部位が横断面略円形状の場合でも、回り止め手段を具備させなくてもよい。
【0042】
なお、上記実施形態では、ミシン目4の第3縁部53及び第4縁部54並びに各連設縁部55は、外側に突出されているが、これに限定されず、内側に突出されていてもよい。内側は、外側とは反対側であって、熱収縮性筒状ラベル3の容器接触面側を指す。内側に湾曲しながら突出された第3縁部53及び第4縁部54並びに各連設縁部55は、上記実施形態とは反対に、未収縮凹部81を内側に開口させた未収縮筒状ラベル7を容器に熱収縮装着することによって得られる。
もっとも、内側に突出させた場合、経時的に第3縁部53及び第4縁部54並びに各連設縁部55の突出量が低下するおそれがあるので、外側に突出させることが好ましい。
【0043】
また、熱収縮性筒状ラベル3の外面に、指の滑りを抑制する、滑り止め処理面を設けてもよい。滑り止め処理面は、熱収縮性筒状ラベル3の外面のうち、指が当てられる箇所に少なくとも設けることが好ましい。指が当てられる箇所は、例えば、ミシン目4から横方向に2cm~5cm程度離れた範囲であって少なくとも指先同大範囲である。
滑り止め処理面は、熱収縮性筒状ラベルの他の外面(滑り止め印刷層が無い部分)に比べて摩擦力が大きくなった面をいう。滑り止め処理面としては、熱収縮性筒状ラベルの外面の所定範囲にマット印刷層や微粘着層などを設けることによって形成できる。また、熱収縮性フィルムの種類によっては、そのフィルムの外面そのものを滑り止めとすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 筒状ラベル付き容器
2 容器
3 熱収縮性筒状ラベル
4 ミシン目
41 ミシン目の孔部
42 ミシン目の不切り部
51 第1縁部
52 第2縁部
53 第3縁部
54 第4縁部
55 連設縁部