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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】スライドレール機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/45 20170101AFI20240412BHJP
【FI】
A47B88/45
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023093347
(22)【出願日】2023-06-06
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】112103213
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 石龍
(72)【発明者】
【氏名】趙 乙▲しゅえん▼
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-298938(JP,A)
【文献】特開2000-282736(JP,A)
【文献】特開2000-291307(JP,A)
【文献】特開2019-132104(JP,A)
【文献】特開平06-154053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットに構成されるスライドレール機構であって、該キャビネットは、互いに反対にある第1の側及び第2の側を有する壁を有し、当該スライドレール機構は、
前記壁の第1の側に配置される第1のスライドレールアセンブリであって、該第1のスライドレールアセンブリは第1のレール及び第2のレールを含み、該第2のレールは該第1のレールに対して長手方向に移動可能である、第1のスライドレールアセンブリと、
前記壁の第2の側に配置される第2のスライドレールアセンブリであって、該第2のスライドレールアセンブリは第3のレール及び第4のレールを含み、該第4のレールは該第3のレールに対して前記長手方向に移動可能である、第2のスライドレールアセンブリと、
前記壁に可動に取り付けられる作動部材であって、該作動部材は第1の部分、第2の部分及び該第1の部分と該第2の部分との間に接続される中間部分を含み、該中間部分は前記壁にわたって横方向に配置されている、作動部材と、
を含み、
前記第2のレールは前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレール内に戻るように構成され、前記第4のレールは前記第2のスライドレールアセンブリの第3のレール内に戻るように構成され、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して作動方向に動かされると、前記作動部材は前記第2のレールによって駆動されて、第1のモードから第2のモードに切り替わり、前記第4のレールが前記第2のスライドレールアセンブリの第3レールに対して前記作動方向に移動するのを防止する、スライドレール機構。
【請求項2】
前記第1のスライドレールアセンブリは、前記第1のレールに可動に取り付けられる第1の駆動部材をさらに含み、
前記第2のスライドレールアセンブリは、前記第3のレールに可動に取り付けられる第1の駆動部材をさらに含み、
記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して前記作動方向に動かされると、前記第2のレールは、前記第1のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材を駆動して前記作動部材の第1の部分に当接させ、前記作動部材を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるため、前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材は前記作動部材の第2の部分によってブロックされ、前記第4のレールは前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材によってブロックされ、前記第4のレールが前記第2のスライドレールアセンブリの第3のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止され、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記第2のレールは第1の駆動部を含み、前記第4のレールは第1の駆動部を含み、
前記作動部材の第1の部分は前記壁の第1の側に位置し、前記作動部材の第2の部分は前記壁の第2の側に位置し、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して前記作動方向に動かされると、前記第2のレールの第1の駆動部は、前記第1のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材を駆動して前記作動部材の第1の部分に当接させ、前記作動部材を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるため、前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材は前記作動部材の第2の部分によってブロックされ、前記第4のレールの第1の駆動部は前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材によってブロックされ、前記第4のレールが前記第2のスライドレールアセンブリの第3のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止される、請求項2に記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記作動部材の第1の部分は第1のガイド面を有し、前記作動部材の第2の部分は第2のガイド面を有し、
前記作動部材は接続部材を介して前記壁に接続され、前記スライドレール機構は、前記壁の第1の側に配置される第3のスライドレールアセンブリをさらに含み、該第3のスライドレールアセンブリと前記第1のスライドレールアセンブリとの間に予め定義された高さが存在し、
前記第3のスライドレールアセンブリは第5のレール及び第6のレールを含み、該第6のレールは該第5のレールに対して前記長手方向に移動可能である、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項5】
前記第1のスライドレールアセンブリは、前記第1のレールに可動に取り付けられる第2の駆動部材をさらに含み、前記第3のスライドレールアセンブリは、前記第5のレールに可動に取り付けられる第1の駆動部材をさらに含み、前記第1のスライドレールアセンブリの第2の駆動部材と前記第3のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材との間にロッド部材が配置され、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して前記作動方向に動かされると、前記第1のスライドレールアセンブリの第2の駆動部材は前記第1のスライドレールアセンブリの第2のレールによってブロックされ、前記第6のレールの第1の駆動部は前記第3のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材によってブロックされ、前記第3のスライドレールアセンブリの第6のレールが前記第5のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止される、請求項4のスライドレール機構。
【請求項6】
前記第1のスライドレールアセンブリは、前記第1のレールと前記第2のレールとの間に可動に取り付けられる中間レールをさらに含み、前記第2のスライドレールアセンブリは、前記第3のレールと前記第4のレールとの間に可動に取り付けられる中間レールをさらに含む、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項7】
前記第1のスライドレールアセンブリの第2のレールは第1の引き出しを保持するように構成され、前記第2のスライドレールアセンブリの第4のレールは第2の引き出しを保持するように構成され、前記第3のスライドレールアセンブリの第6のレールは第3の引き出しを保持するように構成されている、請求項4に記載のスライドレール機構。
【請求項8】
互いに反対にある第1の側及び第2の側を有する壁に構成されるスライドレール機構であって、当該スライドレール機構は、
前記壁の第1の側に配置される第1のスライドレールアセンブリであって、該第1のスライドレールアセンブリは第1のレール及び第2のレールを含み、該第2のレールは該第1のレールに対して長手方向に可動である、第1のスライドレールアセンブリと、
前記壁の第2の側に配置される第2のスライドレールアセンブリであって、該第2のスライドレールアセンブリは第3のレール及び第4のレールを含み、該第4のレールは該第3のレールに対して前記長手方向に可動である、第2のスライドレールアセンブリと、
前記壁に可動に取り付けられる作動部材と、
を含み、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して作動方向に動かされると、前記作動部材は前記第2のレールによって駆動されて第1のモードから第2のモードに切り替わり、前記第4のレールが前記第2のスライドレールアセンブリの第3のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止され、
当該スライドレール機構は、前記壁の第1の側に配置される第3のスライドレールアセンブリをさらに含み、該第3のスライドレールアセンブリは第5のレール及び第6のレールを含み、該第6のレールは該第5のレールに対して前記長手方向に可動であり、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して前記作動方向に動かされると、前記第6のレールはリンク機構によってブロックされて、前記第6のレールが前記第3のスライドレールアセンブリの第5のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止される、スライドレール機構。
【請求項9】
前記第1のスライドレールアセンブリは、前記第1のレールに可動に取り付けられる第1の駆動部材をさらに含み、前記第2のスライドレールアセンブリは、前記第3のレールに可動に取り付けられる第1の駆動部材をさらに含み、前記作動部材は第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第2のレールが前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して前記作動方向に動かされると、前記第2のレールは、前記第1のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材を駆動して前記作動部材の第1の部分に当接させ、前記作動部材を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えるため、前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材は前記作動部材の第2の部分によってブロックされ、前記第4のレールは前記第2のスライドレールアセンブリの第1の駆動部材によってブロックされ、前記第2のスライドレールアセンブリの第4のレールが前記第3のレールに対して前記作動方向に移動するのが防止され、
前記作動部材は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に接続される中間部分をさらに含み、該中間部分は前記壁にわたって横方向に配置される、請求項8に記載のスライドレール機構。
【請求項10】
前記作動部材の第1の部分は第1のガイド面を有し、前記作動部材の第2の部分は第2のガイド面を有し、前記リンク機構の配置方向は、前記壁の高さ方向と実質的に同じであり、前記リンク機構は2つの駆動部材及びロッド部材を含み、該ロッド部材は該2つの駆動部材の間に配置され、該2つの駆動部材のうちの1つは前記第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに可動に取り付けられ、該2つの駆動部材のうちの他方の駆動部材は前記第3のスライドレールアセンブリの第5のレールに可動に取り付けられる、請求項8に記載のスライドレール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレールシステムに関し、具体的には、複数のスライドレールアセンブリを含み、各操作においてスライドレールアセンブリのうちの1つのみを引っぱって開くスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7520576号には、いくつかの可動引き出しを備える垂直キャビネットに適用される傾斜防止リンク機構が開示されている。垂直キャビネットは、ファイルキャビネット本体、伸縮スライドレール及び2つ以上の引き出しを含む。伸縮スライドレールはファイルキャビネット本体の内壁に取り付けられる。引き出しは伸縮スライドレールを介してファイルキャビネット本体の内側に垂直に取り付けられ、一方の引き出しを引いて開けると、他方の引き出しはファイルキャビネット本体から引き出すことができない。
【0003】
しかしながら、米国特許第7520576号のリンク機構は、垂直に設置された2つ以上のスライドレール(又は関連する引き出し)のみに適している。市場競争及び異なる操作要求を満たすリンク製品の設計は、制度設計業界において重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5988778号明細書
【文献】米国特許第6296332号明細書
【文献】米国特許第6550876号明細書
【文献】米国特許第7320507号明細書
【文献】米国特許第7823992号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記の欠点を解決するために、複数のスライドレールアセンブリを含み、各操作で1つのスライドレールアセンブリのみを引き開くスライドレール機構を提供する。
【0006】
本願の発明によれば、スライドレール機構はキャビネットに構成され、該キャビネットは、互いに反対にある第1の側及び第2の側を有する壁を有する。スライドレール機構は第1のスライドレールアセンブリ、第2のスライドレールアセンブリ及び作動部材を含む。
第1のスライドレールアセンブリは壁の第1の側に配置される。第1のスライドレールアセンブリは第1のレール及び第2のレールを含み、該第2のレールは該第1のレールに対して長手方向に移動可能である。第2のスライドレールアセンブリは壁の第2の側に配置される。第2のスライドレールアセンブリは第3のレール及び第4のレールを含む。第4のレールは第3のレールに対して前記長手方向に移動可能である。作動部材は壁に可動に取り付けられる。第2のレールは第1のスライドレールアセンブリの第1のレール内に戻るように構成され、第4のレールは第2のスライドレールアセンブリの第3のレール内に戻るように構成されている。第2のレールが第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して作動方向に動かされると、作動部材は第2のレールによって駆動されて、第1のモードから第2のモードに切り替わり、第4のレールが第2のスライドレールアセンブリの第3レールに対して作動方向に移動するのを防止する。
【0007】
本願の別の発明によれば、スライドレール機構は互いに反対にある第1の側及び第2の側を有する壁に構成される。スライドレール機構は第1のスライドレールアセンブリ、第2のスライドレールアセンブリ及び作動部材を含む。第1のスライドレールアセンブリは壁の第1の側に配置される。第1のスライドレールアセンブリは第1のレール及び第2のレールを含む。該第2のレールは該第1のレールに対して長手方向に可動である。第2のスライドレールアセンブリは壁の第2の側に配置される。第2のスライドレールアセンブリは第3のレール及び第4のレールを含む。第4のレールは該第3のレールに対して長手方向に可動である。作動部材は壁に可動に取り付けられる。第2のレールが第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して作動方向に動かされると、作動部材は第2のレールによって駆動されて第1のモードから第2のモードに切り替わり、第4のレールが第2のスライドレールアセンブリの第3のレールに対して作動方向に移動するのが防止される。スライドレール機構は、壁の第1の側に配置される第3のスライドレールアセンブリをさらに含み、該第3のスライドレールアセンブリは第5のレール及び第6のレールを含み、該第6のレールは該第5のレールに対して長手方向に可動である。第2のレールが第1のスライドレールアセンブリの第1のレールに対して作動方向に動かされると、第6のレールはリンク機構によってブロックされて、第6のレールが第3のスライドレールアセンブリの第5のレールに対して作動方向に移動するのが防止される。
【0008】
本発明のこれらの及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の下記の詳細な説明を読んだ後に当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本願の一実施形態に係るキャビネット及び複数の引き出しを備えた家具の図である。
図2図2は、本願の一実施形態に係るキャビネットの壁の第1の側に配置された複数のスライドレールアセンブリの図である。
図3図3は、本願の一実施形態に係るキャビネットの壁の第2の側に配置された複数のスライドレールアセンブリの図である。
図4図4は、本願の一実施形態に係る作動部材の図である。
図5図5は、本願の一実施形態に係る、キャビネットの壁の第1の側に配置された複数のスライドレールアセンブリが引っ込められた状態にある図である。
図6図6は、図5に示す領域Aの拡大図である。
図7図7は、本願の一実施形態に係る、キャビネットの壁の第2の側に配置された複数のスライドレールアセンブリが引っ込められた状態にある図である。
図8図8は、図7に示す領域Aの拡大図である。
図9図9は、本願の一実施形態に係る、キャビネットの壁の第1の側に配置された第1のスライドレールアセンブリの第2のレールが第1のレールに対して移動可能であり、キャビネットの壁の第1の側に配置された第3のスライドレールアセンブリが引っ込められた状態にある図である。
図10図10は、図9に示す領域Aの拡大図である。
図11図11は、本願の一実施形態に係る、キャビネットの壁の第2の側に配置された第2スライドレールアセンブリ及び第4のスライドレールアセンブリが引っ込められた状態にある図である。
図12図12は、図11に示す領域Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照されたい。本願の実施形態では、家具20はキャビネット22を含むことができ、キャビネット22は複数の引き出しを有することができる。例えば、キャビネット22は少なくとも第1の引き出し24a及び第2の引き出し24bを含むことができ、さらに第3の引き出し24c及び第4の引き出し24dを含むことできることが好ましい。複数の引き出しはキャビネット22の内部に収容できる。第1の引き出し24a及び第2の引き出し24bは、第1の横列として設定できる(又は第1の横方向列として定義できる)。第3の引き出し24c及び第4の引き出し24dは、第2の横列として設定できる(又は第2の横方向列として定義できる)。第1の引き出し24a及び第3の引き出し24cは第1の直立列として設定できる。第2の引き出し24b及び第4の引き出し24dは第2の直立列として設定できる。
【0011】
図2及び図3を参照されたい。キャビネット22はスライドレール機構を含むことができ、スライドレール機構は、第1の引き出し24a、第2の引き出し24b、第3の引き出し24c及び第4の引き出し24dをそれぞれ保持するように構成された第1のスライドレールアセンブリ26、第2のスライドレールアセンブリ28、第3のスライドレールアセンブリ30及び第4のスライドレールアセンブリ32等の複数のスライドレールアセンブリを含むことができる。第1のスライドレールアセンブリ26、第2のスライドレールアセンブリ28、第3のスライドレールアセンブリ30及び第4のスライドレールアセンブリ32のそれぞれは、互いに対して長手方向に可動な少なくとも2つのスライドレールを含むことができる。この実施形態では、長手方向はX軸方向として定義できるか又はスライドレールの長さ方向又は移動方向として解釈することもできる。横方向はY軸方向として定義することもできるか又はスライドレールの横軸方向として解釈することもできる。垂直方向はZ軸方向として定義することができるか又はスライドレールの高さ方向として解釈できる。
【0012】
なお、第1のスライドレールアセンブリ26、第2のスライドレールアセンブリ28、第3のスライドレールアセンブリ30及び第4のスライドレールアセンブリ32は、一対の2つのスライドレールとして設計され、対応する引き出しの左側及び右側にそれぞれ取り付けることができる。しかしながら、第1のスライドレールアセンブリ26、第2のスライドレールアセンブリ28、第3のスライドレールアセンブリ30及び第4のスライドレールアセンブリ32等の前述の一対の2つのスライドレールの一部は、実施形態の理解を容易にするために図2及び図3に示してある。
【0013】
キャビネット22は、第1の側壁34、第2の側壁36及び中間壁(以下の説明では壁38という)等の複数の壁を含むことができる。壁38は、第1の側壁34と第2の側壁36との間に位置することができる。キャビネット22は、第1の側壁34と壁38との間に位置し、第1の引き出し24a及び第3の引き出し24cを収容するように構成された第1の空間K1を有することができ、第2の側壁36と壁38との間に位置し、第2の引き出し24b及び第4の引き出し24dを収容するように構成された第2の空間K2をさらに有することができる。壁38は、互いに反対にある第1の側S1及び第2の側S2を有することができる。
【0014】
図2図4を参照されたい。スライドレール機構は、壁38に可動に取り付けられた作動部材40を含むことができる。この実施形態では、作動部材40は接続部材42を介して壁38に接続できる。作動部材40と壁38との接続は上記の実施形態に限定されず、設計要求に依存する。他の可能な実施形態では、作動部材40は、回転可能又は枢動可能な構造部材を介して壁38に接続され得る。さらに、作動部材40は、キャビネット22の壁38の上部、キャビネット22の前端付近に位置することが好ましく、作動部材40の位置は上記の実施形態に限定されず、設計要求に依存する。
【0015】
作動部材40は、第1の部分44及び第2の部分46を含むことができることが好ましく、中間部分48をさらに含むことが好ましい。中間部分48は、第1の部分44と第2の部分46との間に接続でき、壁38にわたって横方向に配置できる。
【0016】
第1の部分44及び第2の部分46は、中間部分48の側面から90度屈曲される等、中間部分48の両側からそれぞれ屈曲できることが好ましい。中間部分48と、第1の部分44及び第2の部分46のそれぞれとの間の挟角の実際の値は、設計要求に依存し得る。
【0017】
作動部材40の第1の部分44は第1のガイド面50を有することができ、作動部材40の第2の部分46は第2のガイド面52を有することができることが好ましい(図4に図示)。
【0018】
図4に示すように、作動部材40は第1の端部40a(前端等)及び第2の端部40b(後端等)を有することができることが好ましい。作動部材40の第1の部分44の第1の端部40aは第1の高さH1を有することができる。作動部材40の第1の部分44の第2の端部40bは第2の高さH2を有することができる。第2の高さH2は第1の高さH1より大きくてもよい。第1の高さH1と第2の高さH2との高低差により、第1のガイド面50を形成できる。加えて、作動部材40の第2の部分46の第1の端部40aは第3の高さH3を有することができ、作動部材40の第2の部分46の第2の端部40bは第4の高さH4を有することができる。第2のガイド面52は、第3の高さH3と第4の高さH4との高低差により形成できる。
【0019】
図5図8を参照されたい。第1のスライドレールアセンブリ26及び第3のスライドレールアセンブリ30は壁38の第1の側S1に配置できる。これは、第1のスライドレールアセンブリ26及び第3のスライドレールアセンブリ30は壁38の同じ側に配置されることを意味する(図5及び図6に図示)。第2のスライドレールアセンブリ28及び第4のスライドレールアセンブリ32は壁38の第2の側S2に配置できる(図7及び図8に図示)。
【0020】
さらに、第1のスライドレールアセンブリ26は第1のレール54及び第2のレール56を含むことができる。第2のレール56は、第1のレール54に対して長手方向に移動できる(図5及び図6に図示)。第2のスライドレールアセンブリ28は第3のレール58及び第4のレール60を含むことができる。第4のレール60は、第3のレール58に対して長手方向に移動できる(図7及び図8に図示)。
【0021】
第3のスライドレールアセンブリ30と第1のスライドレールアセンブリ26との間には、図5に示すZ軸方向等に予め定義された高さが存在し得る。第3のスライドレールアセンブリ30は第5のレール62及び第6のレール64を含むことができ、第6のレール64は、第5のレール62に対して長手方向に移動できる(図5に図示)。第4のスライドレールアセンブリ32は第7のレール66及び第8のレール68を含むことができる。第8のレール68は、第7のレール66に対して長手方向に移動できる(図7に図示)。
【0022】
第1のスライドレールアセンブリ26の第1のレール54及び第3のスライドレールアセンブリ30の第5のレール62は、壁38の第1の側S1に取り付ける(固定等)ことができることが好ましい(図5及び図6に図示)。第2のスライドレールアセンブリ28の第3のレール58及び第4のスライドレールアセンブリ32の第7のレール66は、壁38の第2の側S2に取り付ける(固定等)ことができる(図7及び図8に図示)。
【0023】
第1のスライドレールアセンブリ26、第2のスライドレールアセンブリ28、第3のスライドレールアセンブリ30及び第4のスライドレールアセンブリ32のそれぞれは、中間レールを含むことができることが好ましい。例えば、第1のスライドレールアセンブリ26の中間レール70は第1のレール54と第2のレール56との間に可動に取り付けることができ、第2のスライドレールアセンブリ28の中間レール72は第3のレール58と第4のレール60との間に可動に取り付けることができ、第3のスライドレールアセンブリ30の中間レール74は第5のレール62と第6のレール64との間に可動に取り付けることができ、第4のスライドレールアセンブリ32の中間レール76は第7のレール66と第8のレール68との間に可動に取り付けることができる。
【0024】
上述したように、第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56、第2のスライドレールアセンブリ28の第4のレール60、第3のスライドレールアセンブリ30の第6のレール64及び第4のスライドレールアセンブリ32の第8のレール68は、それぞれ第1の引き出し24a、第2の引き出し24b、第3の引き出し24c及び第4の引き出し24dを保持するように構成できることが好ましい。
【0025】
第2のレール56は第1のスライドレールアセンブリ26の第1のレール54内に戻ることができ、第4のレール60は第2のスライドレールアセンブリ28の第3のレール58内に戻ることができる。第6のレール64は第3のスライドレールアセンブリ30の第5のレール62に戻ることができ、第8のレール68は第4のスライドレールアセンブリ32の第7のレール66に戻ることができる。
【0026】
図5図8に示し、図9図12にさらに示すように、第1のスライドレールアセンブリ26の第1のレール54に対して第2のレール56が(図5及び図6に示す実施形態等の)引っ込め位置から作動方向Dに動かされると、第2のレール56は作動部材40を駆動して、枢動又は揺動により(例えば、図5図8に示す実施形態等の)第1のモードJ1から(例えば、図9図12に示す実施形態等の)第2のモードJ2に切り替えて、第2のスライドレールアセンブリ28の第4のレール60が第3のレール58に対して作動方向D(例えば、図11及び図12に示す実施形態等)に移動するのを防止できる。
【0027】
第1のスライドレールアセンブリ26は、第1のレール54に可動に取り付けられた第1の駆動部材78(図5及び図6に示す実施形態又は図9及び図10に示す実施形態等の)をさらに含むことが好ましい。第1のレール54は、第1の壁55a(上壁等)及び第2の壁55b(下壁等)を含むことができる。第1の壁55aは、第1の駆動部材78が通過する第1の孔Q1を有することができる。第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78は、(図6又は図10に示す)少なくとも1つの第1のガイド構造79を含むことができ、少なくとも1つの第1のガイド構造79は円弧面又は傾斜面であり得る。同様に、第2のスライドレールアセンブリ28は、第3のレール58に可動に取り付けられた第1の駆動部材80(図7及び図8に示す実施形態又は図11及び図12に示す実施形態等)をさらに含むことができる。第2のスライドレールアセンブリ28の第1の駆動部材80は(図8又は図12に示す)少なくとも1つの第1のガイド構造81を含むことができ、少なくとも1つの第1のガイド構造81は円弧面又は傾斜面であり得る。
【0028】
第1のスライドレールアセンブリ26の第1のレール54に対して第2のレール56が作動方向Dに動かされると、第2のレール56は、第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78を駆動して、作動部材40の(図6及び図10に示す)に第1の部分44に当接させて、作動部材40を(図6に示す)第1のモードJ1から(図10に示す)第2のモードJ2に切り替えることができる。したがって、第2のスライドレールアセンブリ28の第1の駆動部材80は作動部材40の(図11及び図12に示す)第2の部分46によってブロックでき、第4のレール60を第2のスライドレールアセンブリ28の第1の駆動部材80によりブロックできるため、第2のスライドレールアセンブリ28の第4のレール60が第3のレール58に対して作動方向Dに移動するのを防止できる(図11及び図12に示す)。
【0029】
第2のレール56は第1の駆動部82を含むことができ、第1の駆動部82は(図6及び図10に示す)ガイド部84を含むことができ、第4のレール60は(図8及び図12に示す)第1の駆動部86を含むことができ、作動部材40の第1の部分44は壁38の第1の側S1に位置し(図5及び図6に示す実施形態又は図9及び図10に示す実施形態等)、作動部材40の第2の部分46は壁38の第2の側S2に位置することができる(図7及び図8に示す実施形態又は図11及び図12に示す実施形態等)ことが好ましい。
【0030】
第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56が第1のレール54に対して引っ込め位置から作動方向Dに動かされると、第2のレール56の第1の駆動部82(又は関連するガイド部84)が第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78を駆動でき(図10に示す)、第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78の第1のガイド構造79は作動部材40の第1の部分44の第1のガイド面50に当接できるため(図10に示す)、作動部材40が(図5図8に示す)第1のモードJ1から(図9図12に示す)第2モードJ2に切り替わることができる。したがって、第2のスライドレールアセンブリ28の第1の駆動部材80は、作動部材40の第2の部分46の第2のガイド面52によってブロックされ(図11及び図12に示す)、第4のレール60の第1の駆動部86は、第2のスライドレールアセンブリ28の第1の駆動部材80によってブロックされるため(図12に示す)、第2のスライドレールアセンブリ28の第4のレール60が第3のレール58に対して作動方向Dに移動するのを防止できる(図11及び図12に示す)。
【0031】
第1のスライドレールアセンブリ26は、第1のレール54に可動に取り付けられた第2の駆動部材88をさらに含むことができ、例えば、第1のレール54の第2の壁55bは、第2の駆動部材88が通過する第2の穴Q2を有することができる。加えて、第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78及び第2の駆動部材88は、第1の制約部90及び第2の制約部92をそれぞれ含むことができる。第1の制約部90は第1のレール54の第1の壁55aの内面に当接でき、第2の制約部92は第1のレール54の第2の壁55bの内面に当接できるため、第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78及び第2の駆動部材88は、第1のレール54に対して極端な位置に移動できる(図9及び図10に示す)。同様に、第3のスライドレールアセンブリ30は、第5のレール62に可動に取り付けられた第1の駆動部材94をさらに含むことができる。第3のスライドレールアセンブリ30の第1の駆動部材94及び第5のレール62の構造構成は、第1のスライドレールアセンブリ26の第1の駆動部材78及び第1のレール54の構造構成と実質的に同じであり得るため、簡略化のためにここでは詳細な説明を省略する。さらに、第1のスライドレールアセンブリ26の第2の駆動部材88と第3のスライドレールアセンブリ30の第1の駆動部材94との間にロッド部材96を配置できる(図9及び図10に示す)。例えば、ロッド部材96は、第1のスライドレールアセンブリ26の第2の駆動部材88と第3のスライドレールアセンブリ30の第1の駆動部材94との間に接続できる。
【0032】
第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56が第1のレール54に対して作動方向Dに動かされた場合、本願のスライドレール機構は、第6のレール64をブロックし、それにより第3のスライドレールアセンブリ30の第6のレール64が第5のレール62に対して作動方向Dに移動するのを防止するためにリンク機構を利用できる。1つの可能な実施形態では、リンク機構の構成方向は、壁38の高さ方向Hと実質的に同じであり得る。リンク機構は、第1のスライドレールアセンブリ26の第2の駆動部材88、第3のスライドレールアセンブリ30の第1の駆動部材94及びロッド部材96を含むことができる。
【0033】
さらに、第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56が第1のレール54に対して作動方向Dに動かされた場合、第1のスライドレールアセンブリ26の第2の駆動部材88は第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56(又は中間レール70)によってブロックされるため、第1のスライドレールアセンブリ26の第2の駆動部材88は高さ方向Hに動かすことができず、第6のレール64の第1の駆動部98は第3のスライドレールアセンブリ30の第1の駆動部材94によってブロックされるため、第3のスライドレールアセンブリ30の第6のレール64が第5のレール62に対して作動方向Dに移動するのを防止できる(図9及び図10に示す)。第6のレール64の第1の駆動部98の構造構成は、第1のレール54の第1の駆動部82の構造構成と実質的に同じであり得るか又は第4のレール60の第1の駆動部86の構造構成と実質的に同じであり得るため、簡略化のためにここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
したがって、本願の実施形態におけるスライドレール機構は以下の特徴を提供できる。
【0035】
1.キャビネット22の壁38の第1の側S1に配置された第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56(及び関連する第1の引き出し24a)が第1のレール54(又は関連するキャビネット22)に対して引き出される場合、キャビネット22の壁38の第2の側S2に配置された第2のスライドレールアセンブリ28の第4のレール60(及び関連する第2の引き出し24b)が第3のレール58(又は関連するキャビネット22)に対して引き出されるのを防止するために作動部材40を利用できるため、スライドレール機構は横方向又は横軸方向に隣接する引き出しをロックすることができる。
【0036】
2.キャビネット22の壁38の第1の側S1に配置された第1のスライドレールアセンブリ26の第2のレール56(及び関連する第1の引き出し24a)が第1のレール54(又は関連するキャビネット22)に対して引き出される場合、キャビネット22の壁38の第1の側S1に配置された第3のスライドレールアセンブリ30の第6のレール64(及び関連する第3の引き出し24c)が第5のレール62(又は関連するキャビネット22)に対して引き出されるのを防止するために作動部材40を利用できるため、スライドレール機構は高さ方向又は垂直方向に隣接する引き出しをロックできることが好ましい。
【0037】
当業者であれば、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法に対して多くの修正及び変更が行われ得ることを容易に気付くであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求項の範囲によってのみ制限されると解釈すべきである。
【要約】
【課題】 改善されたスライドレール機構を提供すること。
【解決手段】 スライドレール機構はキャビネットに構成される。キャビネットは、第1側と、該第1の側の反対側の第2の側とを有する壁を含む。スライドレール機構は、第1のスライドレールアセンブリ、第2のスライドレールアセンブリ及び作動部材を含む。第1のスライドレールアセンブリの第2のレールが第1のレールに対して開けられると、第2のレールは作動部材を駆動して、第2のスライドレールアセンブリの第4のレールが第3のレールに対して開くのを防止できる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12