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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240412BHJP
   B65D 65/34 20060101ALI20240412BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D65/34
B65D75/62 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023185940
(22)【出願日】2023-10-30
(62)【分割の表示】P 2019181711の分割
【原出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2023184614
(43)【公開日】2023-12-28
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3144906(JP,U)
【文献】特開2004-142764(JP,A)
【文献】特開2010-111415(JP,A)
【文献】特開2012-001217(JP,A)
【文献】実開昭58-059764(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/34
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、
一方のシートは、
少なくとも、第1方向又は第1方向と直交する第2方向に引き裂き方向性を有し、
両端点がシートの他端に向かう形状であって内側にシートの一端側に凸となる遊離片を形成する第1の切込線と、
第1の切込線のうち遊離片の両側縁(第1の切込線の両端点を除く)から遊離片の外側にかつ第2方向に延び、端点において第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない第2の切込線と、
シートの内面に配置され、遊離片からシートの他端側に延びる開封用条体とを備える
食品用包装袋。
【請求項2】
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、
一方のシートは、
少なくとも、第1方向又は第1方向と直交する第2方向に引き裂き方向性を有し、
両端点がシートの他端に向かう形状であって内側にシートの一端側に凸となる遊離片を形成する第1の切込線と、
第1の切込線のうち遊離片の先端縁から遊離片の外側にかつ第1方向に延び、端点において第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない第2の切込線と、
シートの内面に配置され、遊離片からシートの他端側に延びる開封用条体とを備える
食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)又はこれに類似する形状で、所定の厚み又は幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、図23に示すものが一般的である。
【0003】
食品用包装袋1’は、袋本体10’と、ヘッダ部15’とを備える。袋本体10’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止され、他端側が開口部13’となるものである。ヘッダ部15’は、頂部接合部11’から突出する各シート2’,3’の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0004】
ここで、特許文献1に記載された食品用包装袋1’は、袋本体10’のうち、頂部接合部11’に近接した箇所における第2のシート3’に、X字状の切込線32’が形成され、また、第2のシート3’の内面に、切込線32’の下側の逆V字状の部分で形成される遊離片から第2のシート3’の他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体5’が接合され、そして、第2のシート3’の外面に、切込線32’を覆うように、被覆片6’が接合される構成からなる開封手段を備える。
【0005】
食品用包装袋1’により包装された食品を食する際には、図24(a)に示すように、被覆片6’を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5’が引っ張られて第2のシート3’に縦方向に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を露出させることができる。そして、食品包装体をさらに大きく開封したい場合は、第2段階の開封操作として、図24(b)に示すように、分断された第2のシート3’を分断端部38’から左右に開くようにする。そうすると、第2のシート3’は、切込線32’の上側のV字状の部分の端点を起点として、左右方向に引き裂かれる。これにより、分断開放部を大きく開いて食品を大きく露出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-142764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、切込線32’の上側のV字状の部分は、斜線で構成されるため、端点において、左右方向に対して斜めに交差する成分を有する。このため、左右の開封操作によって、第2のシート3’の引き裂きが頂部接合部11に誘導されることがある。この場合、第2のシート3’の引き裂きが頂部接合部11で抵抗となって止まってしまい、それ以上、開封できないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、適切かつ確実に左右に幅広に開封することができる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食品用包装袋は、
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、
一方のシートは、
少なくとも、第1方向又は第1方向と直交する第2方向に引き裂き方向性を有し、
両端点がシートの他端に向かう形状であって内側にシートの一端側に凸となる遊離片を形成する第1の切込線と、
第1の切込線のうち遊離片の両側縁(第1の切込線の両端点を除く)から遊離片の外側にかつ第2方向に延び、端点において第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない第2の切込線と、
シートの内面に配置され、遊離片からシートの他端側に延びる開封用条体とを備える
食品用包装袋である。
【0010】
また、本発明に係る食品用包装袋は、
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、
一方のシートは、
少なくとも、第1方向又は第1方向と直交する第2方向に引き裂き方向性を有し、
両端点がシートの他端に向かう形状であって内側にシートの一端側に凸となる遊離片を形成する第1の切込線と、
第1の切込線のうち遊離片の先端縁から遊離片の外側にかつ第1方向に延び、端点において第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない第2の切込線と、
シートの内面に配置され、遊離片からシートの他端側に延びる開封用条体とを備える
食品用包装袋である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係る食品用包装袋によれば、左右の開封に関与する第2の切込線が、端点において、第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない切込線であるため、シートの引き裂きが途中で止まってしまうことがなく、適切かつ確実に左右に幅広に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装袋の正面図である。
図3図3は、同食品用包装袋の背面図である。
図4図4(a)は、同食品用包装袋を構成する第2のシートの正面図である。図4(b)は、図4(a)の開封起点部の拡大図である。
図5図5(a)は、被覆片が接合された状態の開封起点部の拡大図である。図5(b)は、図5(a)のA-A線断面図である。
図6図6(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。図6(b)は、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。
図7図7(a)及び(b)は、同食品包装体をさらに開封する様子の斜視図である。
図8図8は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に切込線を形成する工程の説明図である。
図9図9は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
図10図10(a)及び(b)は、図9の工程を実施する装置構成の説明図である。
図11図11は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、開封用条体の一端部を切込線から第2のシート原反の反対面側に突出させる工程の説明図である。
図12図12は、図11の反対面側から見た説明図である。
図13図13(a)~(c)は、図11の工程を実施する装置構成の説明図である。
図14図14(a)~(c)は、図11の工程を実施する別の装置構成の説明図である。
図15図15は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第1及び第2のシート原反を重ね合わせて接合する工程の説明図である。
図16図16は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、最終的に食品用包装袋が完成するまでの各工程の説明図である。
図17図17は、他の実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図18図18は、同食品用包装袋の正面図である。
図19図19は、同食品用包装袋の背面図である。
図20図20(a)は、被覆片が接合された状態の開封起点部の拡大図である。図20(b)は、図20(a)のA-A線断面図である。
図21図21(a)~(f)は、それぞれ別の実施形態に係る食品用包装袋の開封起点部の拡大図である。
図22図22(a)~(e)は、それぞれさらに別の実施形態に係る食品用包装袋の開封起点部の拡大図である。
図23図23は、従来の食品用包装袋の背面図である。
図24図24(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図であって、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。図24(b)は、同食品包装体をさらに開封する様子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る食品用包装袋の一実施形態として、サンドイッチの包装に用いられる食品用包装袋について、図1図16を参酌して説明する。
【0014】
図1図3に示すように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、袋本体10と、ヘッダ部15とを備える。袋本体10は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11と両側縁の側部接合部12,12により三方が封止され、他端側が開口部13となるものである。ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。なお、第1のシートは、表シートともいい、第2のシートは、裏シートともいう。
【0015】
第1のシート2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のヒートシール性を有するプラスチックシートからなる。本実施形態においては、第1のシート2は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のシートである。これにより、第1のシート2は、第1方向(長手方向、図1及び図2では上下方向)及び第1方向と直交する第2方向(幅方向、図1及び図2では左右方向)に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。第1のシート2は、胴部20と、先端部21(上記突出片)とを備えて構成される。胴部20は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21は、胴部20の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0016】
第2のシート3も、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のヒートシール性を有するプラスチックシートからなる。本実施形態においては、第2のシート3も、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のシートである。これにより、第2のシート3も、第1方向及び第2方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。第2のシート3は、胴部30と、先端部31(上記突出片)とを備えて構成される。胴部30は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部31は、胴部30の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0017】
本実施形態においては、胴部20,30は、台形状であり、先端部21,31は、矩形状である。このため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、第1方向に対して直交する直線状である。言い換えれば、胴部20,30の一端は、第2方向と平行な直線状である。胴部20,30の両側縁は、第1方向に対して傾斜する直線状である。先端部21,31の両側縁は、第1方向と平行な直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14により欠如している。これにより、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0018】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿って第1及び第2のシート2,3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(縦辺)をヒートシールすることにより形成される。本実施形態においては、頂部接合部11は、ヒートシールバーを用いた溶着により形成され、第1方向に所定の幅を有する帯状シールである。側部接合部12は、溶断により形成される線シールである。具体的には、頂部接合部11は、数ミリ以上の幅を有する。側部接合部12の幅は、1mm以下である。
【0019】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となる。袋本体10における第1のシート2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部40)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着し、その動きに追従する。このため、第1のシート2は汚れず、外観は損なわれない。
【0020】
図4にも示すように、第2のシート3には、第1の切込線32及び第2の切込線34が形成される。そして、第2のシート3には、第1の切込線32の形成により、第1の遊離片33が形成され、第2の切込線34の形成により、第2の遊離片35が形成される。第1の切込線32及び第2の切込線34は、袋本体10における第2のシート3であって、頂部接合部11に近接した箇所に形成される。
【0021】
第1の切込線32は、両端点32a,32aが頂部接合部11から離間する形状である。すなわち、第1の切込線32は、第2のシート3の他端に向かう形状である。第1の遊離片33は、第1の切込線32を外形線とし、両端点32a,32a間を固定端とし、第2のシート3の一端側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成するものである。本実施形態においては、第1の切込線32は、角度が180°の円弧状に形成される。これにより、第1の遊離片33は、第2方向に沿った先端縁33aと、第1方向に沿った左右一対の側縁33b,33bとを備え、第2のシート3の一端側に凸となり、第2のシート3の他端への指向性を有する円弧片となる。
【0022】
第2の切込線34は、第1の切込線32と頂部接合部11との間に形成される。第2の切込線34は、両端点34a,34aが頂部接合部11に接近する形状である。すなわち、第2の切込線34は、第2のシート3の一端に向かう形状である。第2の遊離片35は、第2の切込線34を外形線とし、両端点34a,34a間を固定端とし、第2のシート3の他端側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成するものである。本実施形態においては、第2の切込線34は、角度が180°の円弧状に形成される。これにより、第2の遊離片35は、第2方向に沿った先端縁と、第1方向に沿った左右一対の側縁とを備え、第2のシート3の他端側に凸となり、第2のシート3の一端への指向性を有する円弧片となる。
【0023】
第1の切込線32及び第2の切込線34は、先端縁同士が互いに接するように形成される。そして、第2のシート3には、第1の切込線32及び第2の切込線34の左側の部分の形成により、第3の遊離片36が形成されるとともに、第1の切込線32及び第2の切込線34の右側の部分の形成により、第4の遊離片37が形成される。これにより、第1の切込線32及び第2の切込線34の先端縁を中心として、第1方向に、第1の遊離片33及び第2の遊離片35が対向するように形成されるとともに、第2方向に、第3の遊離片36及び第4の遊離片37が対向するように形成される。
【0024】
第2のシート3の内面には、第1の遊離片33から第2のシート3の他端側にかけて、開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、たとえば、第2のシート3の第2方向中央部にて第1方向に沿って設けられる。開封用条体5は、第2のシート3の内面に、ヒートシール、接着等により接合される(接合部50)。一例として、開封用条体5は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の内面に接合される。開封用条体5は、たとえば、カットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体5は、幅が5mm以上、又は10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のヒートシール性を有するプラスチックシートを細く切断したものである。
【0025】
開封用条体5の一端部5aは、第2のシート3には接合されていない。開封用条体5の一端部5aは、第1の切込線32から第2のシート3の外面側に突出し、開封用の摘み片となる。これにより、開封用条体5の一端部5aを摘んで引き下ろすと、開封用条体5が引っ張られ、第1の遊離片33を開封起点部とし、所定の幅で第2のシート3が切断され、第2のシート3に分断開放部が形成される。開封用条体5の一端部5aの突出量は、短いと、摘まみにくい。逆に、長いと、折れやすくなり、製造装置の搬送性に支障を来す懸念がある。このため、開封用条体5の一端部5aの突出量は、5mm以上、又は10mm以上、又は15mm以上であって、25mm以下、又は20mm以下の範囲となるように、設定される。本実施形態においては、開封用条体5の一端部5aの突出量は、一端部5aが第2の遊離片35の領域内に収まり、第2の遊離片35からはみ出さないように、設定される。
【0026】
図4(b)に示すように、開封用条体5は、第1の遊離片33にも接合され、第1の遊離片33と一体化される。しかし、開封用条体5は、第1の遊離片33の先端縁33aまでは接合されない。このため、接合部50の先端縁50aと第1の遊離片33の先端縁33aとの間には、幅G1の非接合部が介在する。非接合部が設けられなかったり、幅G1が小さいと、食品用包装袋1の製造装置の精度等(シート原反の蛇行等)の影響により、接合が第1の切込線32を踏み越えてなされる懸念がある。この場合、開封用条体5の一端部5aがロックし、一端部5aを第1の切込線32から第2のシート3の外面側に突出させることができなくなる。逆に、幅G1が大きいと、第1の遊離片33を摘むことができるようになり、ここを摘んで開封しようとする誤開封操作がなされる懸念がある。この場合は当然、開封用条体5が使われず、第2のシート3だけが引っ張られ、適切に開封することが不可能である。このため、非接合部の幅G1は、製造誤差に対する振れ幅として、1mm以上、又は1.5mm以上であって、5mm以下、又は3mm以下、又は2mm以下の範囲となるように、設定される。
【0027】
開封用条体5の幅は、第1の遊離片33の固定端の幅(すなわち、第1の切込線32の両端点32a,32a間の間隔)よりも小さい。このため、開封用条体5の各側縁5bと第1の遊離片33の各側縁33b又は第1の切込線32の各端点32aとの間には、幅G2の間隙部が介在する。間隙部が設けられなかったり、幅G2が小さいと、開封用条体5の一端部5aが第1の切込線32に引っ掛かり、一端部5aを第1の切込線32から第2のシート3の外面側に突出させることができなくなる懸念がある。また、食品用包装袋1の製造装置の精度等(貼着位置ずれ等)の影響により、開封用条体5が第1の切込線32に引っ掛かり、しわが寄り、製品不良となる懸念がある。このため、間隙部の幅G2は、製造誤差に対する振れ幅として、1mm以上、又は1.5mm以上となるように、設定される。
【0028】
図5に示すように、第2のシート3の外面には、第2のシート3の外面側から第1の切込線32及び第1の遊離片33、そして、第2の切込線34及び第2の遊離片35を覆って封止することで、切込線32,34及び遊離片33,35を介して異物等が内部に侵入するのを防止するための封止材として、被覆片6が設けられる。
【0029】
被覆片6は、切込線32,34及び遊離片33,35を内包することができる大きさの形状を有する本体部60と、本体部60から第2のシート3の一端側に突出する摘み部61とを備える。本実施形態においては、被覆片6、本体部60及び摘み部61は、それぞれ矩形状である。
【0030】
被覆片6は、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のヒートシール性を有するプラスチックシートを所定の形状に切断したものである。本体部60は、切込線32,34及び遊離片33,35を覆うように第2のシート3の外面にヒートシールにより接合される(接合部62)。本実施形態においては、被覆片6は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のシートである。一例として、被覆片6は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の外面に接合される。
【0031】
接合部62は、面シール(べたシール)である。本実施形態においては、接合部62は、被覆片6の形状に伴い、矩形状である。ただし、摘み部61を摘まんで被覆片6を第2のシート3から剥がす際の剥離性向上の観点から、接合部62のうち、摘み部61側の端縁62aは、凹凸形状となっている。本実施形態においては、接合部62の端縁62aは、半円弧が連続する波形である。
【0032】
被覆片6は、開封起点部に設けられ、開封用条体5の一端部5aが接合されることで、開封操作片としても機能する。このため、被覆片6は、本体部60と第2のシート3とは剥離可能であるが、本体部60と第1の遊離片33及び開封用条体5の一端部5aとは剥離困難となるような適切なシール強度で、第2のシート3に接合される。
【0033】
第1の切込線32及び第2の切込線34が、袋本体10のうち、頂部接合部11に近接した箇所に形成される関係で、被覆片6の本体部60は、袋本体10のうち、頂部接合部11に近接した箇所に接合される。このため、被覆片6の摘み部61は、頂部接合部11と重なり、ヘッダ部15に進出する。
【0034】
食品の包装に際しては、開口部13を開き、食品を袋本体10内に挿入した後、開口部13の余分なシート片(食品の底面からはみ出るシート片)を適宜折り畳み、開口部13を閉塞し、ラベル又はテープを貼着し、開口部13を封止する。これにより、図6(a)に示す食品包装体が完成する。この食品包装体において、被覆片6の摘み部61は、自由端となって、食品包装体の背面において、頂部接合部11付近から上方に突出する。
【0035】
食品を食する際には、図6(b)に示すように、第1段階の開封操作として、被覆片6の摘み部61を摘んで引く。被覆片6の本体部60は、第1の遊離片33及び開封用条体5の一端部5aと接合されている。このため、被覆片6の摘み部61を摘んで引くと、開封用条体5が引っ張られて第2のシート3に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を露出させることができる。このとき、被覆片6の摘み部61は、ヘッダ部15の外面から若干浮いて離間し、摘まみやすくなっている。又は、ヘッダ部15を反らせることで、被覆片6の摘み部61は、ヘッダ部15から十分に離間し、さらに摘まみやすくなる。このため、開封操作を円滑に行うことができる。
【0036】
食品包装体をさらに大きく開封したい場合は、第2段階の開封操作として、図7に示すように、分断された第2のシート3を分断端部38から左右に開くようにする。分断された第2のシート3の分断端部38を摘まんで、第2方向に引っ張れば、第2のシート3に第2方向の引き裂き方向性があるため、第2のシート3は、第2の切込線34の端点34aを起点として、頂部接合部11と平行に第2方向に引き裂かれる。これにより、分断開放部を大きく開いて食品を大きく露出させることができる。なお、開封は、図7(a)に示すように、一方側だけを開封してもよいし、同図(b)に示すように、他方側だけを開封してもよい。もちろん、両方を観音開きのように開封してもよい。
【0037】
本実施形態に係る食品用包装袋は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係る食品用包装袋の製造方法について説明する。
【0038】
製造工程は、大きく分けると、図8ないし図14に示すように、開封用条体5の一端部5aが第2のシート3の外面側に突出し、開封用の摘み片となる開封手段を備える第2のシート原反3Xを製造する工程と、図15及び図16に示すように、第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xから食品用包装袋1を製造する工程とを備える。
【0039】
なお、台形状を有するこの種の食品包装袋1は、その形状から、シート原反2X,3Xの搬送方向に対し、横向きでかつ向きが交互に反対となるように製造される。すなわち、シート原反2X,3Xの搬送方向(MD)と直交する幅方向(TD)の一方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の他方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1と、幅方向の他方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の一方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1とが、交互に製造される。そこで、以下の説明及び図面においては、前者の食品用包装袋1に係る構成には、便宜上、「一方の」との語を付すとともに、符号の後に「A」を付し、また、後者の食品用包装袋1に係る構成には、「他方の」との語を付すとともに、符号の後に「B」を付す。なお、この形態においては、シート原反2X,3Xの幅方向と食品用包装袋1(シート2,3)の第1方向とが一致し、シート原反2X,3Xの搬送方向と食品用包装袋1(シート2,3)の第2方向とが一致する。
【0040】
第2のシート原反3Xを製造する工程は、包装用シートの製造方法又は包装用シート原反の製造方法の一実施形態である。同工程は、i)図8に示すように、第2のシート原反3Xに第1の切込線32及び第2の切込線34を形成する工程、より詳しくは、第2のシート原反3Xに、第1の切込線32及び第2の切込線34を形成するとともに、第1の切込線32の形成により、第1の遊離片33を形成するとともに、第2の切込線34の形成により、第2の遊離片35を形成する工程(第1工程)、ii)図9及び図10に示すように、第2のシート原反3Xの内面に、開封用条体5の一端部5aよりも内側の部分が第1の遊離片33上に重なるように、開封用条体5を配置し、第1の遊離片33から開封用条体5の他端側の所定範囲で、開封用条体5を第2のシート原反3Xの内面に接合する工程(第2工程)、iii)図11ないし図14に示すように、第1の遊離片33に向けて外力を加えることにより、より詳しくは、第1の遊離片33における開封用条体5の部分に向けて外力を加えることにより、開封用条体5の一端部5aを、第1の遊離片33が形成する開口を介して第2のシート原反3Xの反対面(外面)側に移動させ、第1の切込線32から第2のシート原反3Xの反対面側に突出させる工程(第3工程)、からなる。
【0041】
第1の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、搬送経路上に配置された、一方の切込線32A,34A用の切込機構(図示せず)と、他方の切込線32B,34B用の切込機構(図示せず)とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、図8に示すように、一方の切込線32A,34Bと他方の切込線32B,34Bとがそれぞれ形成される。
【0042】
切込機構は、一例として、受けローラと工具とを備える。この切込機構は、工具を受けローラに往復動させ、工具の表面に設けられたノッチ刃を受けローラに当接させることにより、第2のシート原反3Xに切込線32,34を形成する。ただし、切込機構は、かかる構成に限定されるものではない。切込機構は、第2のシート原反3Xに切込線32,34を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。また、切込機構は、第1の切込線32及び第2の切込線34を同時に形成するのではなく、別々に形成するものであってもよい。
【0043】
第2の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、図9及び図10に示すように、搬送経路上に配置された、一方の開封用条体5A用の切断・搬送・接合機構100,101と、他方の開封用条体5B用の切断・搬送・接合機構100,101とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、一方の開封用条体5Aと他方の開封用条体5Bとがそれぞれ、開封用条体のシート原反5Xから分離され、搬送され、第2のシート原反3Xの内面に配置され、接合(接合部50A,50B)される。
【0044】
切断機構100は、一例として、一対の切断刃を備える。この切断機構100は、ロール体から第2のシート原反3Xの搬送方向に沿って繰り出された開封用条体のシート原反5Xを所定幅で切断し、開封用条体5を形成する。ただし、切断機構は、かかる構成に限定されるものではない。切断機構は、所定幅の開封用条体5を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0045】
搬送・接合機構101は、一例として、保持バー102と、接合バー103とを備える。保持バー102は、開封用条体5を長手方向に沿って吸引することにより保持し、開封用条体5を切断位置から第2のシート原反3Xへの配置位置へと搬送するものである。接合バー103は、開封用条体5の、第2のシート原反3Xへの配置位置において、第2のシート原反3Xの反対面側に配置されるものである。接合バー103は、たとえば、ヒートシールバーである。この搬送・接合機構101は、切断により形成された開封用条体5を、保持バー102で保持し、保持バー102の移動(図10の例では、昇降)により搬送し、第2のシート原反3Xの内面に配置し、しかる後、保持バー102と接合バー103とで第2のシート原反3X及びこの内面に配置された開封用条体5を挟んでヒートシールすることにより、接合部50を形成する。
【0046】
ここで、接合バー103は、一端側が保持バー102よりも短くなっている。このため、保持バー102で保持されるが、接合バー103との間に挟まれない開封用条体5の部分は、第2のシート原反3Xに接合されず、一端部5a及び一端部5aに隣接する非接合部となる。
【0047】
ただし、搬送・接合機構は、これらの構成に限定されるものではない。搬送・接合機構は、開封用条体5を、一端部5a及び非接合部を残しつつ、第2のシート原反3Xの内面に接合することができるもの、すなわち、第1の遊離片33から開封用条体5の他端側の所定範囲で、開封用条体5を第2のシート原反3Xの内面に接合することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0048】
第3の工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、図11図14に示すように、搬送経路上に配置された、一方の開封用条体5A用の外力付加機構104,105と、他方の開封用条体5B用の外力付加機構104,105とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、一方の開封用条体5Aの一端部5aと他方の開封用条体5Bの一端部5aとがそれぞれ、第2のシート原反3Xの反対面側に押し出される。
【0049】
外力付加機構は、一例として、エアノズル104(図13)を備える。この外力付加機構は、第1の遊離片33及び第1の遊離片33における開封用条体5の部分に向けてエアを吹き付けることにより、第1の遊離片33を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させる。又は、外力付加機構は、一例として、昇降動作するロッド105(図14)を備える。この外力付加機構は、第1の遊離片33及び第1の遊離片33における開封用条体5の部分にロッド105の先端を当て、さらにロッド105を押し込むことにより、第1の遊離片33を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させる。
【0050】
ただし、外力付加機構は、これらの構成に限定されるものではない。外力付加機構は、開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させることができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。たとえば、第2のシート原反3Xの反対面側に、吸引機構又は吸着機構を配置し、反対面側から第1の遊離片33を吸引又は吸着し、開封用条体5の一端部5aを第2のシート原反3Xの反対面側に移動させるようにしてもよい。
【0051】
第2のシート原反3Xは、以上のようにして製造される。そして、第2のシート原反3Xは、一旦ロール状に巻回された後、製袋装置にセットされる。又は、第2のシート原反3Xは、製袋装置によって製造されることで、引き続き搬送され、次に、第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xから食品用包装袋1を製造する工程に移行する。
【0052】
第2のシート原反3Xに被覆片6を接合する工程を除き、食品用包装袋1を製造する工程は、たとえば特開2005-219319号公報に記載されたとおりであり、従来から用いられている方法である。このため、ここでは、多くを説明しない。同工程は、図15及び図16に示すように、第1のシート原反2Xと第2のシート原反3Xを内面同士が対向するように重ね合わせ、この状態で間欠的に搬送しつつ、iv)頂部接合部11を形成する工程(第4工程)、v)第2のシート原反3Xの外面に、切込線32,34及び遊離片33,35を覆うように、被覆片6を配置し、接合する工程(第5工程)、vi)側部接合部12を形成しつつ、食品用包装袋1を個別に分離する工程(第6工程)、vii)切欠部14を形成する工程(第7工程)、からなる。
【0053】
第5工程では、第2のシート原反3Xが間欠的に搬送される。そして、搬送経路上に配置された、一方の被覆片6A用の切断・搬送・接合機構(図示せず)と、他方の被覆片6B用の切断・搬送・接合機構(図示せず)とが、第2のシート原反3Xの間欠搬送に同期して作動することにより、被覆片6が被覆片原反から分離され、搬送されて、図16に示すように、第2のシート原反3Xの外面に配置され、接合(接合部62)される。ここで、被覆片6は、上述のように、一例として、内面に塗布したコート剤(パートコート剤)の作用により第2のシート原反3Xに接合するものである。このため、接合箇所で第1及び第2のシート原反2X,3Xを固着させてしまうことなく、被覆片6を第2のシート原反3Xに接合することができる。
【0054】
以上の工程を経て、食品用包装袋1が完成する。なお、第1のシート原反2Xの内面に内シート4を接合する工程は、図示していないが、第1のシート原反2Xと第2のシート原反3Xを重ね合わせる前に行われる。
【0055】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、開封用条体5の一端部5aが食品用包装材1の外面側に突出して(被覆片6を介しての)開封用の摘み片となる開封手段を簡潔な構成及び簡潔な方法で実現することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る食品用包装材1においては、第1段階の開封操作の開封起点部となる第1の切込線32と、第2段階の開封操作の開封起点部となる第2の切込線34とを被覆片6で覆って封止する。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、開封手段に高い密封性を付与することができ、ここから異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた食品包装体とすることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る食品用包装材1においては、被覆片6は、ヒートシールにより第2のシート3に接合される。このため、被覆片6は、第1の遊離片33及び開封用条体5の一端部5aと強固に接合される。これにより、被覆片6の開封操作によって、食品包装体を確実に開封することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る食品用包装材1においては、開封用条体5の一端部5aが第2のシート3の外面側に突出し、被覆片6を介してこの一端部5aを摘んで開封するものであり、すなわち、開封用条体5を実質的に直接引っ張って開封するものである。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、第1段階の開封操作によって、食品包装体を適切かつ確実に開封することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る食品用包装材1においては、第2段階の開封操作の開封起点部となる第2の切込線34は、各端点34aにおいて、第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない切込線である。より詳しくは、第2の切込線34は、半円弧であることから、第2の切込線34の各端点34aにおける接線は、第1方向と平行の線であり、第2方向と垂直の線であり、第2方向に対して斜めに交差する方向の線ではない。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、第2段階の開封操作によって、第2のシート3の引き裂きが頂部接合部11に誘導されにくく、第2のシート3が頂部接合部11と平行に引き裂かれやすいため、食品包装体を適切かつ確実に左右に幅広に開封することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る食品用包装材1においては、切込線32,34が、袋本体10のうち、頂部接合部11に近接した箇所に形成される。切込線32,34の形成位置が頂部接合部11から離れるほど、第2段階の開封操作によって開封できない領域が増えるが、切込線32,34の形成位置が頂部接合部11に近づくほど、この領域が狭くなり、食品の取り出しやすさが向上する。この場合、被覆片6の摘み部61は、頂部接合部11と重なり、頂部接合部11を超えてヘッダ部15に進出する配置となる。このため、被覆片6の摘み部61は、ヘッダ部15の外面から若干浮いて離間し、摘まみやすくなる。又は、ヘッダ部15を反らせることで、被覆片6の摘み部61は、ヘッダ部15から十分に離間し、さらに摘まみやすくなる。このため、開封操作を円滑に行うことができる。
【0061】
なお、本発明に係る食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
たとえば、上記実施形態においては、開封用条体5の一端部5aが、第1の切込線32から突出し、被覆片6に接合されることにより、被覆片6の開封操作を介して、開封用条体5を直接的に開封操作するようにしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図17図20に示すように、開封用条体5が第1の切込線32から突出せず、被覆片6の開封操作を介して第1の遊離片33を開封操作することで、開封用条体5を間接的に開封操作するようにしてもよい。
【0063】
また、切込線及び遊離片の形状や構造は、上記実施形態のものに限定されない。第2の切込線が、第1の切込線から遊離片の外側に延び、かつ、端点において、第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない切込線である限りにおいて、切込線及び遊離片の形状や構造は、種々のものを採用することができる。一例として、図21及び図22に示すものが採用可能である。
【0064】
図21(a)に示すものは、遊離片33が矩形状を呈するものである。また、図21(a)及び図21(b)に示すものは、一対の第2の切込線34,34が第1の切込線32の端点32a,32aから第2方向に延びる形態である。
【0065】
図21(c)及び図21(d)に示すものは、一対の第2の切込線34,34が第1の遊離片33の側縁33b,33bから第2方向に延びる形態である。
【0066】
図21(e)及び図21(f)に示すものは、一つの第2の切込線34が第1の遊離片33の先端縁33aから第1方向に延びる形態である。
【0067】
図22(a)~(c)に示すものは、一対の第2の切込線34,34が第1の遊離片33の先端縁33aから斜め方向に延び、かつ、端部が屈曲して第2方向に延びる形態である。第1の切込線32の中間点よりも一方側の部分と第2の切込線34の中間点よりも他方側の部分、第1の切込線32の中間点よりも他方側の部分と第2の切込線34の中間点よりも一方側の部分は、それぞれ連続しており、全体としてX字状を呈する。
【0068】
図22(d)に示すものは、一対の第2の切込線34,34が第1の遊離片33の先端縁33aから第2方向に延びる形態である。
【0069】
図22(e)に示すものは、一対の第2の切込線34,34が矩形状の第1の遊離片33の両角部から第1方向に延びる形態である。全体としてH字状を呈する。
【0070】
また、切込線は、全切線に限定されない。切込線は、外力が加えられると、引き裂かれるものであればよい。たとえば、切込線は、半切線(ハーフカット)やミシン目であってもよい。
【0071】
また、開封用条体は、一つの部材からなるものに限定されない。たとえば、開封用条体は、別体である本体部と一端部とを一体に接合したものであってもよい。
【0072】
また、開封手段は、第2のシートではなく、第1のシートに設けるようにしてもよい。
【0073】
また、被覆片は、ヒートシールによりシートに接合されるものに限定されない。たとえば、被覆片は、内面に粘着面ないし接着面を備え、シートに剥離自在に粘着ないし接着するもの、いわゆるラベルであってもよい。
【0074】
また、食品用包装袋において、ヘッダ部は必須ではない。たとえば、ヘッダ部がなく、袋本体のみで構成される食品用包装袋であってもよい。
【0075】
また、「台形状」、「長方形状」、「矩形状」、「円弧」、「半円弧」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「一致」、「平行」といった形状、部位又は状態を表す用語は、本発明において、そのもののほか、それに近い、又は、類する、という意味の「略」の概念も含むものである。
【0076】
また、包装対象の食品は、サンドイッチに限定されない。食品は、食品用包装袋に収容できる形であればよい。たとえば、食品は、パン、ケーキ、おにぎり等の米飯加工食品等であってもよい。このように、食品の種類は限定されない。
【0077】
また、シートは、単一のプラスチックシートからなるものに限定されない。たとえば、シートは、紙又は紙質シート等、その他の材質のシートであってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシートを端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシートを順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシートを用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシートではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、シート2は、ポリプロピレンのシートである。ここで、ポリプロピレンのシートとは、純度100%のポリプロピレンのシートはもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシートも含む概念である。
【0079】
ところで、本発明に係る食品用包装材は、第1の切込線から遊離片の外側に延び、かつ、端点において、第2方向に対して斜めに交差する方向の成分を有さない第2の切込線を備えることを特徴としている。しかし、上記実施形態においては、この第2の切込線の有無に関わらない別の発明を認定することができる。その内容は以下のとおりである。
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)又はこれに類似する形状で、所定の厚み又は幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品を包装するための従来の食品用包装袋において、開封手段は、シートに、逆U字状の切込線が形成されるとともに、切込線を外形線とする開封用の摘み片が形成され、シートの内面に、摘み片からシートの他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体が接合される構造が一般的である。
しかしながら、食品用包装袋の製造装置の精度等(接合条件のバラツキ等)の影響により、シートと開封用条体が十分に接合されない場合がある。そのような食品用包装袋においては、開封時に摘み片を引き下ろす際、摘み片又はそれに続くシートの部分が開封用条体から剥離し、シートだけが引っ張られ、適切に開封することができない、という問題が生じ得る。
この問題を解決する観点からいえば、登録実用新案第3072028号公報に記載された食品用包装袋は、開封用条体の一端部がシートの外面側に突出し、この一端部を摘んで開封するものであり、開封用条体を直接引っ張って開封するため、適切かつ確実に開封することができる。この点で、この文献に記載された食品用包装袋は、従来の食品用包装袋よりも優れているといえる。
しかしながら、上記文献に記載された食品用包装袋は、シートにどのような加工を施すことで、開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させることができるようにしているのか不明である。また、上記文献に記載された食品用包装袋は、どのような方法で、開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させるのかが不明である。このため、大量に消費される食品用包装袋を量産することは不可能である。
そこで、かかる事情に鑑み、開封用条体の一端部が突出し、開封用の摘み片となる開封手段を備えるものであって、量産性に優れた食品用包装袋及び包装用シートの製造方法が必要となる。
この食品用包装袋の別の発明は、
「一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止され、他端側が開口部となる袋本体を備え、
一方のシートは、
袋本体の所定部位において、切込線の形成により形成される遊離片であって、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、
シートの内面に配置され、遊離片からシートの他端側に延びる開封用条体であって、一端部が切込線からシートの外面側に突出する開封用条体と、
シートの外面に配置され、シートの外面側から切込線及び遊離片(必要に応じて開封用条体の一端部も)を覆ってシートに接合される被覆片とを備える
食品用包装袋。」である。
また、包装用シートの製造方法の発明は、
「シートの一面に、所定方向に延びる開封用条体を備える包装用シートの製造方法において、
シートに、切込線を形成するとともに、切込線の形成により、曲げると開いて開口を形成する遊離片を形成する工程と、
シートの一面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるように、開封用条体を配置し、遊離片から開封用条体の他端側の所定範囲で、開封用条体をシートに接合する工程と、
遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシートの他面側に移動させ、切込線からシートの他面側に突出させる工程と、
シートの他面に、切込線及び遊離片(必要に応じて開封用条体の一端部も)を覆うように、被覆片を配置し、被覆片をシートに接合する工程とを備える
包装用シートの製造方法。」である。
【0080】
なお、包装用シートの製造方法の発明も、食品用包装袋の別の発明と同様、上記実施形態に限定されるものではない。包装用シートの製造方法の発明も、食品用包装袋の別の発明と同様、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0081】
たとえば、包装用シートは、特定の包装形態に用いるものに限定されない。包装用シートは、おにぎりと海苔シートを分離した状態で包装する食品用包装材における外側シートや、ピロー包装用シートや、平袋、ガゼット袋等の一般的な袋に用いられるシート等、各種の包装形態に用いられる全てのものを対象とする。
【0082】
また、包装対象は、食品に限定されない。包装対象は、食品以外の被包装物であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1A,1B…食品用包装袋、10…袋本体、11,11A,11B…頂部接合部、12,12A,12B…側部接合部、13…開口部、14,14A…切欠部、15…ヘッダ部、2…第1のシート(表シート)、2X…第1のシート原反、20…胴部、21…先端部、3…第2のシート(裏シート)、3X…第2のシート原反、30…胴部、31…先端部、32,32A,32B…第1の切込線、32a…端点、33,33A,33B…第1の遊離片、33a…先端縁、33b…側縁、34,34A,34B…第2の切込線、34a…端点、35,35A,35B…第2の遊離片、36…第3の遊離片、37…第4の遊離片、38…分断端部、4…内シート、40…接合部、5,5A,5B…開封用条体、5X…開封用条体のシート原反、5a…一端部(摘み片)、5b…側縁、50,50A,50B…接合部、50a…先端縁、6,6A,6B…被覆片、60…本体部、61,61A,61B…摘み部、62,62A,62B…接合部、62a…端縁、100…切断機構、101…搬送・接合機構、102…保持バー、103…接合バー、104…エアノズル(外力付加機構)、105…ロッド(外力付加機構)、L1…開封用条体5及び第1の遊離片33の幅方向の中心線、L2…接合部50の幅方向の中心線、G1…接合部50の先端縁50aと第1の遊離片33の先端縁33aとの間隔(非接合部の幅)、G2…開封用条体5の側縁5bと第1の切込線32の端点32aとの間隔(間隙部の幅)、S1…中心線L1と中心線L2とのずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24