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特許7471511管状物体の長さを決定するための内部検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】管状物体の長さを決定するための内部検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20240412BHJP
   G01B 11/12 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G01B5/02
G01B11/12 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023507547
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2021071182
(87)【国際公開番号】W WO2022028989
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】20189459.9
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリング エ シルヴァ,ルカス
(72)【発明者】
【氏名】ペティ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブロディ,アラステア
(72)【発明者】
【氏名】ウィルバート,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】メディロス,ネスター
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/118912(WO,A1)
【文献】特表2019-527368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/02
G01B 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状物体(4)の長さを決定するための内部検査装置(2,90)であって、前記内部検査装置(2,90)は、軸(16)を有する本体(14)と、第1の位置決めセンサ(76)と、前記第1の位置決めセンサ(76)から軸方向に離間している第2の位置決めセンサ(74)と、を備え、前記第1の位置決めセンサ(76)は、前記第1の位置決めセンサ(76)が前記管状物体(4)の内側に位置するかどうかを決定するように構成され、且つ前記第2の位置決めセンサ(74)は、前記第2の位置決めセンサ(74)が前記管状物体(4)の内側に位置するかどうかを決定するように構成され、前記内部検査装置(2,90)は、前記管状物体(4)の内側における前記内部検査装置(2,90)の第1の位置と第2の位置との間の変位を測定するための変位センサをさらに備え、前記内部検査装置(2,90)は、前記変位センサが測定した距離と所定の長さとを加算して前記管状物体(4)の長さを計算するように配置された電子機器(15)をさらに含む、内部検査装置(2,90)。
【請求項2】
前記管状物体(4)の内側で前記内部検査装置(2,90)を変位させるためのアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項3】
前記第1の位置決めセンサ(74)および/または前記第2の位置決めセンサ(76)は、半径方向に向けて配置された距離センサを含む、請求項1または2に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項4】
前記第1の位置決めセンサ(76)および前記第2の位置決めセンサ(74)は、光学センサ、巨大磁気抵抗センサ、およびホール効果センサの中から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項5】
前記内部検査装置(2,90)は、細長くなっており、前記第1の位置決めセンサ(74)は、細長い前記内部検査装置の一方の端部(8)側に位置し、前記第2の位置決めセンサ(76)は、細長い前記内部検査装置の他方の端部(10)側に位置し、前記所定の長さは、前記第1の位置決めセンサ(74)と前記第2の位置決めセンサ(76)との間の距離である、請求項1~4のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項6】
前記管状物体(4)の内径を計量するための計量装置(78)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項7】
前記計量装置(78)は、レーザ三角測量センサ(88,92,94)と、軸(16)方向を中心に枢動するプレート(82)と、を含む、請求項6に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項8】
前記計量装置(78)は、前記プレート(82)上に取り付けられた傾斜ミラー(86)を含む、請求項7に記載の内部検査装置(2)。
【請求項9】
前記レーザ三角測量センサ(92,94)は、前記プレート(82)上に取り付けられ、前記計量装置(78)は、前記プレート(82)上に取り付けられた追加的なレーザ三角測量センサ(94,92)を含み、2つの前記レーザ三角測量センサ(92,94)は、互いに対向するように配置される、請求項7に記載の内部検査装置(90)。
【請求項10】
前記レーザ三角測量センサ(92,94)は、レーザラインエミッタを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項11】
前記変位センサは、長さエンコーダ(72)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項12】
前記管状物体(4)の内側で前記内部検査装置(2,90)を変位させるための少なくとも1つの回転要素(68)をさらに含み、前記回転要素(68)は、前記管状物体(4)の内面に接触するように意図されており、前記長さエンコーダ(72)は、前記回転要素(68)に連結される、請求項11に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項13】
アーム(40,42,44,46,48,50)と、滑動部分(36,38)と、弾性要素(64,66)と、をさらに含み、前記アーム(40,42,44,46,48,50)は、軸方向に対して垂直な方向を中心に枢動することができ、前記回転要素(68)は、前記アーム(40,42,44,46,48,50)の端部に取り付けられ、前記滑動部分(36,38)は、前記軸方向に沿って並進移動可能で、前記アーム(40,42,44,46,48,50)に機械的に連結され、前記弾性要素(64,66)は、前記アーム(40,42,44,46,48,50)に半径方向外向きに動く傾向をもたらす位置に向けて前記滑動部分(36,38)を引き寄せるように配置される、請求項12に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項14】
前記第1の位置は、前記第1の位置決めセンサ(76)によって画定され、前記第2の位置は、前記第2の位置決めセンサ(74)によって画定される、請求項1~13のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項15】
前記第1の位置決めセンサ(76)は、前記第1の位置決めセンサ(76)が前記管状物体(4)の内面を検出し始めたときに前記第1の位置を画定し、前記第2の位置決めセンサ(74)は、前記第2の位置決めセンサ(74)が前記管状物体(4)の内面を検出し終えたときに前記第2の位置を画定する、請求項14に記載の内部検査装置(2,90)。
【請求項16】
管状物体(4)の内部検査方法であって、請求項1~15のいずれか1項に記載の内部検査装置(2,90)を前記管状物体(4)の内側で変位させ、第1の位置決めセンサ(76)を用いて第1の位置を画定し、第2の位置決めセンサ(74)を用いて第2の位置を画定し、変位センサを用いて距離を測定し、前記変位センサが測定した前記距離と所定の長さとを加算して、前記管状物体(4)の長さを算出する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状物体の内部パラメータを決定するための内部検査および/または測定装置の技術分野、より詳細には油田における管状物体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
管状物体の内部空間が特定の寸法を有する機器の通過を許容するかどうかを評価して管状物体が適切に製造されていることを確認するために、管状物体にゲージ(caliber)を通過させることが知られている。
【0003】
また、管状物体に沿った異なる位置で管状物体の内径を測定するために、個別の作業を実施する場合もある。
【0004】
さらに、管状物体の長さを測定するために、さらに別の機器が使用される場合がある。管の長さを正確に知ることは、例えば油井およびガス井における機器のより良好な設置およびより良好な位置決めに繋がる。管状物体の長さを測定する既知の方法は、典型的には、管状物体の一端から他端まで作動する金属テープまたはレーザ装置に依存している。
【0005】
このような解決策では、管状物体の多数のパラメータを測定することができるようになるが、測定精度が最適ではない。すなわち、既知の方法による長さの典型的な測定精度は、せいぜい15mmである。この精度の改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した欠点を克服することを目的とする。
【0007】
より具体的には、本発明は、管状物体の内部パラメータの測定精度を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、管状物体の長さを決定するための内部検査装置が提供される。当該装置は、第1の位置決めセンサと、第1の位置決めセンサから軸方向に離間している第2の位置決めセンサと、を含む。第1の位置決めセンサは、第1の位置決めセンサが管状物体(4)の内側に位置するかどうかを決定するように構成され、且つ/または第2の位置決めセンサは、第2の位置決めセンサが管状物体(4)の内側に位置するかどうかを決定するように構成される。また、当該装置は、管状物体の内側における内部検査装置の第1の位置と第2の位置との間の変位を測定する変位センサを含む。さらに、内部検査装置は、変位センサが測定した距離と所定の長さとを加算して管状物体の長さを計算するように配置された電子機器を含む。
【0009】
このような内部検査装置では、先行技術の装置では15mmの公差範囲内で長さを決定することができるのに対して、管状物体の長さを約±3mmまで、より良好な精度で決定することができる。
【0010】
また、管状物体の内側で内部検査装置を変位させるためのアクチュエータが設けられてもよい。
【0011】
一実施形態において、第1の位置決めセンサおよび/または第2の位置決めセンサは、半径方向に向けて配置された距離センサを含む。このような特徴は、管の軸に対して斜めに向けられたセンサを提供する場合よりも装置への実装が容易であるために好ましい。管の軸に対して斜めに向けて配置されたセンサの場合、変位センサが測定した距離に加える長さを計算するために、管状物体の内部寸法を考慮する必要がある。
【0012】
一実施形態において、内部検査装置は、細長くなっており、第1の位置決めセンサは、細長い内部検査装置の一方の端部側に位置し、第2の位置決めセンサは、細長い検査装置の他方の端部側に位置する。ここで、所定の長さは、第1の位置決めセンサと第2の位置決めセンサとの間の距離である。第1の位置決めセンサおよび第2の位置決めセンサは、内部検査装置のそれぞれの端部に近接して配置されてもよい。
【0013】
このように設計された内部検査装置によって、管状物体の長さの測定精度を最大限に高めることができる。
【0014】
また、管状物体の内径を計量するための計量装置が設けられてもよい。
【0015】
別の実施形態において、計量装置は、レーザ三角測量センサと、軸方向を中心に枢動するプレートと、を含む。
【0016】
好ましくは、計量装置は、プレート上に取り付けられた傾斜ミラーを含む。
【0017】
このようなセンサによって、過剰なコストをかけることなく、管状物体の内径を正確に決定することができる。
【0018】
別の実施形態において、レーザ三角測量センサは、プレート上に取り付けられ、計量装置は、プレート上に取り付けられた別のレーザ三角測量センサを好ましくは含む。これらのレーザ三角測量センサは、互いに対向するように配置される。
【0019】
このような計量装置によって、内径をより正確に決定することができる。
【0020】
好ましくは、三角測量センサは、レーザラインエミッタを含む。
【0021】
このようなレーザセンサによって、内径をより正確に決定することができる。
【0022】
同じ内部検査装置を使用して2つの測定を同時に行うことができるため、管状物体の内部検査を担当する作業者の作業をより容易且つより迅速に行うことができる。
【0023】
別の実施形態において、変位センサは、長さエンコーダを含む。長さエンコーダは、光学式の長さエンコーダであってもよい。
【0024】
また、管状物体の内側で内部検査装置を変位させるための少なくとも1つの回転要素が設けられてもよい。少なくとも1つの回転要素は、管状物体の内面に接触するように意図されており、長さエンコーダは、回転要素に連結される。
【0025】
したがって、管状物体の内側で内部検査装置を変位させるためのアクチュエータと、その変位を測定する変位センサとが、いずれも比較的安価に提供される。
【0026】
また、アームと、滑動部分と、弾性要素と、が設けられてもよい。アームは、軸方向に対して垂直な方向を中心に枢動可能である。回転要素は、アームの端部に取り付けられる。滑動部分は、軸方向に沿って並進移動可能で、アームに機械的に連結される。弾性要素は、アームに半径方向外向きに動く傾向をもたらす位置に向けて滑動部分を引き寄せるように配置される。
【0027】
この配置により、当該装置は、異なる種類の管状物体に容易に適応することができ、特に当該装置は、様々な公称内径に適応することができる。
【0028】
別の実施形態において、変位センサは、第1の位置決めセンサが管状物体の内側にあることを検出し始める第1の位置と、第2の位置決めセンサが管状物体の外側にあることを検出し始める第2の位置との間の距離を測定するように構成される。換言すれば、第1の位置決めセンサは、第1の位置決めセンサが管状物体の内面を検出し始めたときに第1の位置を画定し、第2の位置決めセンサは、第2の位置決めセンサが管状物体の内面を検出し終えたときに第2の位置を画定する。
【0029】
これにより、管状物体の検査中に、内部検査装置が部分的または全体的に管状物体の内側にあることを知ることができる。
【0030】
好ましくは、第1の位置は、第1の位置決めセンサによって画定され、第2の位置は、第2の位置決めセンサによって画定される。
【0031】
別の実施形態において、第1の位置決めセンサは、第1の位置決めセンサが管状物体の内面を検出し始めたときに第1の位置を画定し、第2の位置決めセンサは、第2の位置決めセンサが管状物体の内面を検出し終えたときに第2の位置を画定する。
【0032】
本発明の別の態様によれば、管状物体の内部検査方法が提供される。ここで、上述したように定義した内部検査装置を管状物体の内側で変位させ、第1の位置決めセンサを用いて第1の位置を画定し、第2の位置決めセンサを用いて第2の位置を画定し、変位センサを用いて距離を測定し、変位センサが測定した距離と所定の長さとを加算して、管状物体の長さを測定する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明およびその利点は、非限定的に例示する特定の実施形態の以下の詳細な説明および添付の図面を参照してより明確になるであろう。
図1】本発明の一態様による内部検査装置の側面図である。
図2】本発明の別の態様による内部検査方法を示すフローチャートである。
図3A図2に示す方法のステップにある図1の内部検査装置を示す図である。
図3B図2に示す方法のステップにある図1の内部検査装置を示す図である。
図3C図2に示す方法のステップにある図1の内部検査装置を示す図である。
図3D図2に示す方法のステップにある図1の内部検査装置を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態による内部検査装置の計量装置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、内部検査装置2が模式的に示されている。内部検査装置2は、管状物体4の内部検査を実現することを目的としている(図3A図3D)。これは、例えば、管状物体4の真円度および通過性の制御、管状物体4の長さLの測定、または管状物体4の内径dの測定などを含む。
【0035】
内部検査装置2は、主要部分6を含む。主要部分6は、細長くなっており、両側に端部8および10を有する。
【0036】
ここで、主要部分6に関する正規直交の基底ベクトル12が定義されている。基底12は、ベクトルX、ベクトルY、およびベクトルZからなる。ベクトルXは、主要部分6の長手方向と平行である。
【0037】
本願において、「円筒形」およびそれが変形された用語は、一般的な定義に従うものであることに留意されたい。すなわち、円筒面は、所与の線に平行なすべての線上、および所与の線に平行でない平面内の固定平面曲線を通るすべての線上のすべての点からなる面である。
【0038】
主要部分6は、本体14を含む。本体14は、内部検査装置のアクチュエータを制御するのに必要な電子機器15を収容する。本体14は、軸16を中心に回転し、直径d14を有する円筒である。
【0039】
本願において、「軸方向」、「半径方向」、「接線方向」、およびそれらが変形された用語は、軸16に対するものであることに留意されたい。
【0040】
本体14は、複数(例えば6つ)の取り付け部分18を含む。取り付け部分18は、管状物体4の内側でドリフト作業を実現するように意図された円筒形のマンドレル(図示せず)を取り付けることを目的としている。取り付け部分18を介して本体14に取り付けられた円筒形のマンドレルによって、管状物体4の真円度および/または通過性が制御され得る。「通過性」の診断において、特性が十分に決定された較正体が、端部から端部まで、またはより単純に1つまたは管セグメント上で、管内を通過できることを確認することができる。
【0041】
主要部分6は、本体14に取り付けられた複数(例えば3つ)の構造ロッド20と、複数(例えば3つ)の構造ロッド21と、を含む。構造ロッド20および21は、ベクトルXの方向に沿って円筒形である。図に示す実施形態において、構造ロッド20および21は、同じ直径d20を有する回転する円筒である。円筒形のロッド20および円筒形のロッド21は、本体14の両側にそれぞれ配置される。
【0042】
主要部分6は、構造ロッド20に固定された2つの構造プレート22および24を含む。構造プレート22は、端部8に近接して配置される。構造プレート24は、構造プレート22と本体14との間に軸方向に配置される。主要部分6は、2つの構造プレート26および28を含む。構造プレート28は、端部10に近接して配置される。構造プレート26は、構造プレート28と本体14との間に軸方向に配置される。プレート22、24、26、および28は、軸16を中心に回転し、直径d14を有する円筒である。
【0043】
端部8に近接して、内部検査装置2は、バッテリ30を含む。バッテリ30は、電子機器15に電気エネルギーを供給するように、本体14と電気的に連結される。
【0044】
主要部分6は、2つの円筒形のロッド32および34を含む。ロッド32および34は、軸16を中心に回転する2つの円筒を形成し、同じ直径d32を有する。円筒形のロッド32は、構造プレート24に取り付けられた第1の端部と、本体14に取り付けられた第2の端部と、を含む。円筒形のロッド34は、本体14に取り付けられた第1の端部と、構造プレート26に取り付けられた第2の端部と、を含む。
【0045】
内部検査装置2は、円筒形のロッド32および34上にそれぞれ取り付けられた2つのスリーブ36および38を含む。スリーブ36および38は、それぞれのロッド32および34に対してベクトルXの方向に並進移動可能である。
【0046】
内部検査装置2は、複数(例えば6つ)の枢動アーム40、42、44、46、48、および50を含む。枢動アーム44は、図1において枢動アーム40および32によって隠されており、枢動アーム50は、図1において枢動アーム46および48によって隠されている。
【0047】
枢動アーム40、42、および44は、端部8に近接する本体14の端部に機械的に連結される。より具体的には、各枢動アーム40、42、および44は、本体14を基準として、接線軸を中心に枢動することができる。枢動アーム46、48、および50は、端部10に近接する本体14の端部に機械的に連結される。より具体的には、各枢動アーム46、48、および50は、本体14を基準として、接線軸を中心に枢動することができる。枢動アーム40、42、および44のそれぞれの枢動動作の接線軸は、互いとの間に120°の角度をなし、枢動アーム46、48、および50のそれぞれの枢動動作の接線軸は、互いとの間に120°の角度をなす。
【0048】
内部検査装置2は、6つの接続ロッド52、54、56、58、60、および62を含む。接続ロッド56および52は、図1において枢動アーム44および50と同じ理由で隠されている。接続ロッド52、54、および56は、スリーブ36に機械的に連結された端部を有する。接続ロッド52、54、および56の他方の端部は、枢動アーム40、42、および44にそれぞれ連結される。接続ロッド58、60、および62は、スリーブ38に機械的に連結された端部を有する。接続ロッド58、60、および62の他方の端部は、枢動アーム46、48、および50にそれぞれ連結される。
【0049】
内部検査装置2は、2つのばね64および66を含む。ばね64は、構造プレート24とスリーブ36との間で円筒形のロッド32上に取り付けられる。ばね66は、構造プレート26とスリーブ38との間で円筒形のロッド34上に取り付けられる。ばね64および66は、圧縮状態で働くように構成される。したがって、ばね64および66は、本体14に向けてスリーブ36および38をそれぞれ押して、枢動アーム40、42、44、46、48、および50を半径方向外向きに展開させることができる。したがって、内部検査装置は、管状物体の実質的に中央に配置されてもよい。
【0050】
各枢動アーム40、42、44、46、48、および50は、本体14に取り付けられた端部の反対側の端部において、ホイール68を含む。ホイール68は、ボールまたはローラなどの任意の回転要素、または滑動要素に置き換えられてもよい。ホイール68は、管状物体4の内面と半径方向に接触するように意図されている。この配置により、ばね64および66がスリーブ36および38を本体14に向けて押すときに、ホイール68が半径方向外向きに移動される。
【0051】
内部検査装置2は、2つの電気モータ70を含む。電気モータ70は、枢動アーム46および48上にそれぞれ取り付けられる。電気モータ70は、対応する枢動アーム46および48のホイール68に機械的に結合される。この配置により、電気モータ70は、枢動アーム46および48のホイール68を駆動することができる。このように、管状物体4の内側で内部検査装置2を変位させるためのアクチュエータが設けられる。
【0052】
内部検査装置2は、長さエンコーダ72を含む。長さエンコーダ72は、光学エンコーダであり、枢動アーム46上に取り付けられる。長さエンコーダ72は、対応する枢動アーム46のホイール68に機械的に結合される。より具体的には、既知の方法で、長さエンコーダ72は、ホイール68の回転を測定することができ、エンコーダ機器は、この回転を管状物体4の内側における内部検査装置2の変位に変換させることができる。
【0053】
内部検査装置2は、構造プレート22および28にそれぞれ取り付けられた2つの位置決めセンサ74および76を含む。2つの位置決めセンサ74および76は、互いから軸方向に離間している。2つの位置決めセンサ74および76は、それらがそれぞれ管状物体4の内側にあるかどうかを決定するように構成される。図に示す実施形態において、位置決めセンサ74および76は、距離センサであり、例えばレーザ距離センサである。より具体的には、レーザ距離センサ74および76は、半径方向に向けて配置される。換言すれば、レーザ距離センサ74および76は、半径方向に向けてレーザビーム77を照射し、レーザビーム77の反射を検出する。したがって、レーザセンサ74および76が管状物体4の内側にある場合、レーザセンサ74および76は、レーザセンサ74および76と管状物体4の内面との間の距離を測定することができる。レーザセンサ74および76が管状物体4の外側にある場合、レーザセンサ74および76は、レーザセンサ74および76が管状物体4内にあるときよりもはるかに遅れてくるレーザビームの反射を検出するか、レーザビームの反射をまったく検出しない。換言すれば、レーザ距離センサ74または76が管状物体6の外側にある場合、レーザセンサ74および76は、有意な測定値を検出しない。それゆえ、位置決めセンサ74は、位置決めセンサが管状物体の内側にあるかどうかを検出して、端部8が管状物体4の内側にあるかどうかを決定することができ、位置決めセンサ76は、端部10が管状物体4の内側にあるかどうかを決定することができる。
【0054】
さらに、内部検査装置2は、計量装置78を含んでもよい。計量装置78は、端部10に近接して配置される。
【0055】
計量装置78は、電気モータ80と、主要部分6に対して軸16を中心に、電気モータ80によって回転駆動されるプレート82と、を含む。エンコーダ84は、プレート82の角度位置の測定値を恒久的に有することを可能にする。エンコーダ84は、回転型エンコーダであってもよい。エンコーダ84は、回転型光学エンコーダであってもよい。
【0056】
計量装置78は、傾斜ミラー86を含む。ミラー86は、プレート82によって支持される。すなわち、ミラー86は、実質的に平面であり、軸16に対して約45°の角度をなす。
【0057】
計量装置78は、軸16に沿ってレーザビームを照射することができるレーザ三角測量センサ88を備える。レーザビームは、ミラー86で反射するので、半径方向に向けられる。次いで、レーザビームは、管状物体4の円筒内面で反射し、ミラー86に戻り、軸16に沿って向けられ、レーザ三角測量センサ88によって検出されてもよい。この配置により、軸16と、管状物体4の内面におけるレーザビームの反射点との間の距離を測定することができる。このように、内径dを正確に決定することができる。
【0058】
図に示す実施形態において、レーザセンサ74、76および88は、レーザラインエミッタである。したがって、これらのセンサによる距離測定の精度をさらに向上させることができる。
【0059】
変形例において、位置決めセンサの1つを計量装置78で置き換えてもよい。
【0060】
ここで、図2を参照して、管状物体4の内部検査方法を説明する。
【0061】
図3Aに示すように、内部検査は、管状物体4の端部の隣に内部検査装置2が配置された状態で開始される。
【0062】
内部検査方法は、第1のステップE00を含む。ここで、例えば作業者によって、内部検査装置2が管状物体4の内側に挿入される。より具体的には、図3Bに示すように、端部10が管状物体4に挿入される。また、本発明の範囲から逸脱することなく、端部8から内部検査装置2を挿入することができる。当該方法のこの段階において、位置決めセンサ76の出力値out76は、直径dに実質的に等しく、すなわち、図に示す実施例にでは0.9*d~1.1*dの範囲である。その一方で、位置決めセンサ74の出力値out74は、直径dに実質的に等しくない。ステップE00中に、直径dに関する予測値が作業者によって電子機器15に入力されてもよい。また、ステップE00中に、作業者は、内部検査装置2が管状物体4の内側で移動するように、電気モータ70を制御する。図に示す実施形態において、内部検査装置の前進速度は、0.1m/s~0.3m/sの範囲である。
【0063】
さらに、当該方法は、テストステップE01を含む。ここで、電子機器15は、出力値out76が依然として直径dに実質的に対応しているかどうかを制御する。ステップE01において、出力値out76がもはや直径dに実質的に対応していない場合、エラーステップE10が実施されて当該方法が停止される。それ以外の場合、別のテストステップE02が実施される。
【0064】
ステップE02において、電子機器15は、出力値out74が直径dに実質的に対応するようになったかどうかを制御する。出力値out74が0.9*d~1.1*dの範囲外のままである限り、ステップE02が実施され続ける。出力値out74が、直径dに実質的に対応するようになる(図3Cに示すような状態になる)とすぐに、ステップE03が実施される。
【0065】
ステップE03において、電子機器15は、ホイール68の角回転に対応する距離を測定するために、長さエンコーダ72を使用し始める。その一方で、電子機器15は、直径dを決定するために、計量装置78を使用し始める。
【0066】
さらに、当該方法は、テストステップE04において、出力値out76が直径dに実質的に等しいかどうかを検出するステップを含む。出力値out76が直径dに実質的に等しいままである限り、ステップE04が実施され続ける。出力値out76が0.9*dを下回るか1.1*dを上回るようになるとすぐに、ステップE04が終了してステップE05が実施される。
【0067】
ステップE05において、電子機器15は、長さエンコーダ72を制御して、ホイール68の回転に対応する距離の測定を停止させる。ステップE05における内部検査装置2の位置が図3Dに示されている。
【0068】
さらに、当該方法は、ステップE06において、管状物体4の長さに対応する距離Lを算出するステップを含む。より具体的には、ステップE06において、電子機器15は、ステップE03~E05中に長さエンコーダ72が測定した距離d72を収集する。次いで、電子機器15は、メモリに以前に格納された所定の長さlを収集する。より具体的には、所定の長さlは、位置決めセンサ74および76の間の軸方向のオフセットに等しい。次いで、電子機器15は、距離d72と長さlとを加算して、長さLを算出する。
【0069】
これは、L=d72+lによって示される。
【0070】
したがって、管状物体4の長さLを±3mmの精度で得ることができる。さらに、内部検査装置2によって、管状物体4の内径dを正確に測定することができ、管状物体4の真円度および通過性を制御することができ、これらのすべての操作を、管状物体4を内部検査装置2が1度通るだけで実施することができる。本発明の範囲から逸脱することなく、直径dを測定するために位置決めセンサ76を使用することができ、および/または端部10が管状物体4内にあるかどうかを決定するために計量装置を使用することができる。つまり、位置決めセンサ76を有さない代替的な内部検査装置、または計量装置78を有さない代替的な内部検査装置が設けられてもよい。
【0071】
ここで、図4を参照すると、本発明の第2の実施形態による内部検査装置90が示されている。上記と同じ要素には、同じ参照符号が付してある。
【0072】
内部検査装置90は、計量装置78がレーザ三角測量センサ88および傾斜ミラー86の代わりにプレート82に固定されたレーザ三角測量センサ92を含むという点で、内部検査装置2とは異なる。レーザセンサ92は、半径方向に向けられたレーザビーム96を照射するように配置される。したがって、内部検査装置90は、直径dを測定するための代替的な配置を提供する。
【0073】
図4に示す実施形態において、内部検査装置90は、1つの補助的なレーザ三角測量センサ94を含む。レーザセンサ94が照射したレーザビーム96は、レーザセンサ92が照射したレーザビームの方向とは反対方向の半径方向に向けられる。したがって、直径dの測定は、さらに正確に行われるようになる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4