IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友理工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサ付きシート 図1
  • 特許-センサ付きシート 図2
  • 特許-センサ付きシート 図3
  • 特許-センサ付きシート 図4
  • 特許-センサ付きシート 図5
  • 特許-センサ付きシート 図6
  • 特許-センサ付きシート 図7
  • 特許-センサ付きシート 図8
  • 特許-センサ付きシート 図9
  • 特許-センサ付きシート 図10
  • 特許-センサ付きシート 図11
  • 特許-センサ付きシート 図12
  • 特許-センサ付きシート 図13
  • 特許-センサ付きシート 図14
  • 特許-センサ付きシート 図15
  • 特許-センサ付きシート 図16
  • 特許-センサ付きシート 図17
  • 特許-センサ付きシート 図18
  • 特許-センサ付きシート 図19
  • 特許-センサ付きシート 図20
  • 特許-センサ付きシート 図21
  • 特許-センサ付きシート 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】センサ付きシート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20240412BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240412BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240412BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240412BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
A61B5/11
A61B5/113
B60N2/90
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2024504361
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2022040439
(87)【国際公開番号】W WO2023166787
(87)【国際公開日】2023-09-07
【審査請求日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2022033077
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕和
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】村山 勝
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-34710(JP,A)
【文献】特開2005-199936(JP,A)
【文献】特開2020-174692(JP,A)
【文献】特開2020-32870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
A61B 5/11
A61B 5/113
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け座面(11a)を有する取り付け部材(11)と、
前記取り付け部材の前記取り付け座面に取り付けられるシートクッション(10)であって、着座者から圧力をうける受圧面(12a)の裏側に位置する反受圧面(12b)において前記取り付け部材側に開口する収容凹部(80)を有する第一クッション(12)と、前記第一クッションの前記収容凹部内に収容されて前記第一クッションに積層される第二クッション(15)と、を有する前記シートクッションと、
前記第一クッションの前記収容凹部のうち前記収容凹部の開口する方向と反対側に位置する第一押圧面(82b)と、前記第二クッションのうち前記取り付け部材と反対側に位置する第二押圧面(15a)と、の間に配置され、前記着座者による着座状態において前記シートクッションの前記受圧面から前記第一クッションを介して伝達される圧力に応じた物理量を検出することによって前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出するとともに、可撓性を有するセンサ(3)と、を備え、
前記シートクッションが前記取り付け部材の前記取り付け座面に取り付けられ、且つ、前記着座者が前記シートクッションに着座する前の未着座状態において、前記第一クッションと前記第二クッションは、前記第一クッションと前記第二クッションが積層された積層方向に予圧縮されており、前記センサは、前記第一クッションと前記第二クッションの圧縮反力により予圧縮が付与されている、センサ付きシート(1)。
【請求項2】
前記第二クッションの弾性率は前記第一クッションの弾性率と異なっている、請求項1に記載のセンサ付きシート。
【請求項3】
前記シートクッションが前記取り付け部材に取り付けられる前の状態において、前記積層方向について、前記第二クッションの厚さ寸法と前記センサの厚さ寸法との和(b)は、前記第一クッションの前記収容凹部の前記積層方向の深さ寸法(a)よりも大きく設定されている、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項4】
前記未着座状態において、前記第一クッションの反受圧面と、前記第二クッションのうち前記取り付け座面に対向する面(15b)と、が面一になっている、請求項3に記載のセンサ付きシート。
【請求項5】
前記取り付け部材は、
前記取り付け座面のうち前記第二クッションに対応する位置に、前記第二クッションに向けて突出する押圧凸部(111b)を備える、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項6】
前記第一クッションの前記収容凹部の内側面と、前記第二クッションの外側面との間には、隙間が形成されている、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項7】
前記センサは、
前記第一クッションの前記第一押圧面と前記第二クッションの前記第二押圧面との間に配された状態で、前記第二クッションと反対側に位置するとともに、前記第一クッションの前記第一押圧面から直接的にまたは間接的に圧力を受ける圧力検出面(31)を備え、
前記第一クッションは、
前記収容凹部の底部(82)から前記センサに向かって突出し、前記未着座状態において前記圧力検出面に接触して予圧縮される凸部(82a)を備え、前記凸部の先端部が前記第一押圧面とされており、前記圧力検出面に対する予圧縮量が前記圧力検出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項8】
前記第一クッションは、さらに、
前記収容凹部の底部に形成され、前記凸部の周縁に沿って形成され、前記凸部の外側面と、前記収容凹部の内側面とを隔てる凹溝(82c)を備える、請求項7に記載のセンサ付きシート。
【請求項9】
前記第一クッションと前記センサとの間、または前記第二クッションと前記センサとの間に、弾性変形可能な弾性層(90)を備える、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項10】
前記シートクッションが前記取り付け部材に取り付けられる前の状態において、前記積層方向について、前記第二クッションの厚さ寸法、前記センサの厚さ寸法、および前記弾性層の厚さ寸法の和(b)は、前記第一クッションの前記収容凹部の前記積層方向の深さ寸法(a)よりも大きく設定されている、請求項9に記載のセンサ付きシート。
【請求項11】
前記弾性層は前記第一クッションと前記センサとの間に配されており、
前記センサは、前記第一クッションの前記第一押圧面と前記第二クッションの前記第二押圧面との間に配された状態で、前記第二クッションと反対側に位置するとともに、前記第一クッションの前記第一押圧面から直接的にまたは間接的に圧力を受ける圧力検出面(31)を備え、
前記弾性層は前記圧力検出面と接触しており、前記弾性層の面積は前記圧力検出面の面積と同等以下とされており、前記未着座状態において、前記圧力検出面に対する予圧縮量が前記圧力検出面の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項12】
前記第一クッションは、前記第一クッションよりも伸縮しにくい材料からなる表皮(13)に覆われている、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項13】
前記センサは、
第一面(36a)と第二面(36b)を有する絶縁性の絶縁体シート(36)と、
前記絶縁体シートの前記第一面に積層されるとともに第一電極層(34)を有する第一電極シート(32)と、
前記第一電極シートを覆う絶縁性の第一フィルムシート(30)と、
前記絶縁体シートの前記第二面に積層されるとともに第二電極層(39)を有する第二電極シート(37)と、
前記第二電極シートを覆う絶縁性の第二フィルムシート(41)と、を備え、
前記センサが前記収容凹部内に配された状態で、前記第一フィルムシートは前記第一押圧面の近傍に配され、前記第二フィルムシートは前記第二押圧面の近傍に配されており、
前記センサは、弾性変形可能なセンサ弾性層(91)を備える請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項14】
前記センサ弾性層は、前記第一電極シートと前記第一フィルムシートとの間、または、前記第二電極シートと前記第二フィルムシートとの間の少なくとも一方に配されている、請求項13に記載のセンサ付きシート。
【請求項15】
前記センサ弾性層は前記絶縁体シートである、請求項13に記載のセンサ付きシート。
【請求項16】
前記第一電極シートは、
絶縁性の第一本体部(32a)と、
前記第一本体部のうち前記絶縁体シートの前記第一面に対向する面に積層された前記第一電極層と、
前記第一本体部のうち第一電極層と反対側の面に積層された第一シールド層(33)と、を備え、
前記第二電極シートは、
絶縁性の第二本体部(37a)と、
前記第二本体部のうち前記絶縁体シートの前記第二面に対向する面に積層された前記第二電極層と、
前記第二本体部のうち第二電極層と反対側の面に積層された第二シールド層(38)と、を備える、請求項13に記載のセンサ付きシート。
【請求項17】
前記センサ付きシートは、さらに、
前記第一クッションおよび前記第二クッションに対して前記積層方向に空気を流通させる送風装置(420)を備え、
前記第一クッションは、
前記第一クッションを前記積層方向に貫通する第一送風通路(460)を備え、
前記第二クッションは、
前記第二クッションを前記積層方向に貫通する第二送風通路(450)を備え、
前記第一送風通路と、前記第二送風通路とは、前記積層方向に重なる位置に形成されており、
前記センサは、
前記積層方向の投影において前記第一送風通路および前記第二送風通路と重なる位置に、前記センサを貫通する通風貫通孔(405a)を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のセンサ付きシート。
【請求項18】
前記センサは、
前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出する複数の検出領域(404,404a,404b,404c,404d)を有しており、
前記複数の検出領域は互いに間隔を空けて配置されており、
前記通風貫通孔は、前記複数の検出領域のうち隣り合う検出領域の間に形成されている、請求項17に記載のセンサ付きシート。
【請求項19】
前記第一クッションは、前記第一クッションよりも伸縮しにくい材料からなる表皮(413)に覆われており、
前記第一クッションには、前記表皮を吊り込むための第一吊込み貫通孔(461b)が、前記積層方向に貫通して形成されており、
前記第二クッションには、前記積層方向の投影において、前記第一吊込み貫通孔と重なる位置に、前記表皮を吊り込むための第二吊込み貫通孔(451)が、前記積層方向に貫通して形成されており、
前記第一吊込み貫通孔および前記第二吊込み貫通孔の内部には、吊り込まれた前記表皮を支持する支持材(421)が配置されており、
前記通風貫通孔(405b、405c)は、前記積層方向の投影において、前記第一吊込み貫通孔および前記第二吊込み貫通孔に重なる位置に形成されている、請求項17に記載のセンサ付きシート。
【請求項20】
前記支持材は前記積層方向に長尺な形状に形成されており、前記支持材の一方の端部は前記表皮に固定されており、前記支持材の他方の端部は前記取り付け部材に固定されており、
前記表皮が前記支持材によって前記取り付け部材に向かって引っ張られることにより、前記第一クッションと前記第二クッションが前記積層方向に予圧縮されている、請求項19に記載のセンサ付きシート。
【請求項21】
前記センサ付きシートは、さらに、
複数の前記センサ(503a,503b)と、
前記積層方向について前記複数の前記センサと重なる位置に配置された複数の前記第二クッション(515a,515b)と、を備える、請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項22】
複数の前記第二クッションの少なくとも一つの第二クッションの弾性率は、他のいずれか一つの第二クッションの弾性率と異なっている、請求項21に記載のセンサ付きシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートにセンサを配置し、着座者の着座状態(着座姿勢など)や着座者の生体情報(呼吸、脈動、心拍など)を取得する構成が記載されている。特許文献1においては、センサは、シートフレームに取り付けられた状態で、シートフレームとシートクッションとの間に挟まれて配置されている。このセンサは、例えば、電磁波を水平方向に対する所定の照射角度で上方(着座している着座者)に向けて照射し、この反射波を受信して検波することで、着座者の脈動や呼吸に伴って発生する体表面変位を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6409466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、センサとして、着座者がシートに着座した際にシートに加わる圧力を検知する感圧センサを用いることが考えられる。
【0005】
しかしながら、感圧センサをシートフレームに配置した場合、着座者の臀部とセンサとの距離が離れてしまうので、着座者の生体信号の強度が小さくなるという課題がある。
【0006】
また、センサをフレームに配置した場合、車両からの振動ノイズが、フレームからセンサに直接伝達されてしまうという課題がある。
【0007】
本開示は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、検出される生体信号の強度が向上するとともに、ノイズが低減されたセンサ付きシートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、
取り付け座面を有する取り付け部材と、
前記取り付け部材の前記取り付け座面に取り付けられるシートクッションであって、着座者から圧力をうける受圧面の裏側に位置する反受圧面において前記取り付け部材側に開口する収容凹部を有する第一クッションと、前記第一クッションの前記収容凹部内に収容されて前記第一クッションに積層される第二クッションと、を有する前記シートクッションと、
前記第一クッションの前記収容凹部のうち前記収容凹部の開口する方向と反対側に位置する第一押圧面と、前記第二クッションのうち前記取り付け部材と反対側に位置する第二押圧面と、の間に配置され、前記着座者による着座状態において前記シートクッションの前記受圧面から前記第一クッションを介して伝達される圧力に応じた物理量を検出することによって前記着座者の着座状態または前記着座者の生体情報を検出するとともに、可撓性を有するセンサと、を備え、
前記シートクッションが前記取り付け部材の前記取り付け座面に取り付けられ、且つ、前記着座者が前記シートクッションに着座する前の未着座状態において、前記第一クッションと前記第二クッションは、前記第一クッションと前記第二クッションが積層された積層方向に予圧縮されており、前記センサは、前記第一クッションと前記第二クッションの圧縮反力により予圧縮が付与されている、センサ付きシートにある。
【発明の効果】
【0009】
センサは第一クッションに設けられた収容凹部内に収容されているので、取り付け部材に取り付けられている場合に比べて、第一クッションの受圧面に近い位置に配されている。これにより、着座者から発せられた生体信号が第一クッションによって減衰することが抑制されるので、センサが受ける生体信号の強度を向上させることができる。
【0010】
また、センサと、取り付け部材との間には、第二クッションが介在しているので、車両からの振動ノイズを、第二クッションによって減衰させることができる。
【0011】
センサは可撓性を有するので、着座者がシートクッションに着座したことによってシートクッションが変形したとき、センサもシートクッションの変形に追従して変形する。これにより、着座者からの圧力と異なるノイズの発生を抑制することができる。
【0012】
また、センサには、第一クッションおよび第二クッションの圧縮反力による予圧縮が付与されているので、着座者がシートクッションに着座した際に、着座者からシートクッションに付与される力が小さいとしても、この力はセンサに伝達されることが可能となる。この結果、センサの感度を向上させることができる。
【0013】
以上より、センサ付きシートにおいて、検出される生体信号の強度が向上するとともに、ノイズが低減される。
【0014】
なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1のセンサ付きシートの断面図である。
図2】実施形態1のセンサ付きシートを構成するセンサの分解斜視図である。
図3】実施形態1のセンサの断面図である。
図4】実施形態1の第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられる前の状態を示す部分断面図である。
図5】実施形態1の第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられ、さらに座面シートフレームに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
図6】実施形態2のセンサ付きシートにおいて、第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられる前の状態を示す部分断面図である。
図7】実施形態2の第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられ、さらに座面シートフレームに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
図8】実施形態3のセンサ付きシートにおいて、第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられる前の状態を示す部分断面図である。
図9】実施形態3の第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられ、さらに座面シートフレームに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
図10】実施形態4のセンサ付きシートにおいて、第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられる前の状態を示す部分断面図である。
図11】実施形態4の第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられ、さらに座面シートフレームに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
図12】実施形態5のセンサ付きシートを構成するセンサの断面図である。
図13】実施形態6のセンサ付きシートを構成するセンサの断面図である。
図14】実施形態7のセンサ付きシートにおいて、第一座面シートクッションと、第二座面シートクッションとが組付けられ、さらに座面シートフレームに取り付けられた状態を示す部分断面図である。
図15】実施形態8のセンサ付きシートを構成するセンサの断面図である。
図16】実施形態9のセンサ付きシートの断面図であり、図19のXVI-XVI線断面図である。
図17】実施形態9のセンサ付きシートを構成するセンサと、第二座面シートクッションとを示す平面図である。
図18】実施形態9のセンサ付きシートを構成する第一座面シートクッションを示す平面図である。
図19】実施形態9のセンサ付きシートを示す平面図である。
図20】実施形態9のセンサ付きシートを構成するセンサの、検出領域の断面図である。
図21】実施形態9のセンサ付きシートの断面図であり、図19のXXI-XXI線断面図である。
図22】実施形態10のセンサ付きシートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
1-1.センサ付きシート1の全体構成
センサ付きシート1の全体構成について図1を参照して説明する。センサ付きシート1は、例えば、自動車や鉄道車両などの車両用シート、医療検査用シートなどに適用される。センサ付きシート1は、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出するために用いられる。検出対象である着座者の着座状態は、例えば、着座姿勢、着座姿勢の変化などを含む。検出対象である着座者の生体情報は、着座者の呼吸、脈動、心拍などを含む。
【0017】
例えば、センサ付きシート1が車両用シートのうち運転座席に適用される場合には、センサ付きシート1は、運転時における運転者による着座状態や運転者の生体情報を検出するために用いられる。
【0018】
センサ付きシート1は、図1に示すように、フレーム部8と、クッション部9と、センサ3とを備える。本形態のセンサ付きシート1は、ヘッドレスト2cを備える。ただし、ヘッドレスト2cは省略してもよい。
【0019】
フレーム部8は、座面シートフレーム11(取り付け部材の一例)と、背面シートフレーム21と、を備える。クッション部9は、座面シートフレーム11に取り付けられる座面シートクッション10(シートクッションの一例)と、背面シートフレーム21に取り付けられる背面シートクッション22と、を備える。座面シートクッション10は、第一座面シートクッション12(第一クッションの一例)および第二座面シートクッション15(第二クッションの一例)と、を備える。
【0020】
座面シートフレーム11は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されており、車両に取り付けられる。座面シートフレーム11は、板状をなす板状部を有する。板状部は、板面が上下方向を向くように車両に取り付けられている。板状部の上面は、第一座面シートクッション12が取り付けられる取り付け座面11aとされる。座面シートフレーム11のうち板状部と異なる部分は棒状、柱状等、任意の形状に形成される。
【0021】
第一座面シートクッション12は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。第一座面シートクッション12は、座面シートフレーム11の上面に形成された取り付け座面11aに載置された状態で取り付けられる。第一座面シートクッション12の上面が、着座者の臀部により圧力を受ける面(受圧面)12aとなる。第一座面シートクッション12の下面、すなわち受圧面12aの裏側の面である反受圧面12bは、座面シートフレーム11の取り付け座面11aに対向する。
【0022】
第一座面シートクッション12は、反受圧面12bにおいて座面シートフレーム11側に向けて、下方に開口する収容凹部80を有する。収容凹部80の断面形状は、多角形状、円形状、長円形状等、任意の形状とすることができる。本形態の収容凹部80の断面形状は四角形状とされる。収容凹部80のうち、収容凹部80の開口する方向と反対側に位置する部分は収容凹部80の底部82とされる。
【0023】
収容凹部80内には、第二座面シートクッション15が収容されている。第二座面シートクッション15は、座面シートフレーム11の取り付け座面11aに取り付けられている。第二座面シートクッション15のうち、座面シートフレーム11の取り付け座面11aと対向する面は取り付け面15bとされる。第一座面シートクッション12と、第二座面シートクッション15とが座面シートフレーム11に取り付けられた状態で、第一座面シートクッション12の反受圧面12bと、第二座面シートクッション15の取り付け面15bとは、面一になっている。また、第一座面シートクッション12と、第二座面シートクッション15とが座面シートフレーム11に取り付けられた状態で、収容凹部80の内側面と、第二座面シートクッション15の外側面との間には隙間が形成されている。第二座面シートクッション15の上面(座面シートフレームと反対側に位置する面)は、センサ3を下方から押圧する第二押圧面15aとされる。
【0024】
第一座面シートクッション12の表面には、座面表皮部材13(表皮の一例)が積層されている。座面表皮部材13は、第一座面シートクッション12の少なくとも受圧面12aを被覆する。座面表皮部材13は、布、革など、第一座面シートクッション12よりも伸縮しにくい材料により形成されている。
【0025】
背面シートフレーム21は、例えば、金属や硬質樹脂などの硬質材料により形成されている。背面シートフレーム21は、板状、棒状などに形成される。例えば、シート本体2にリクライニング機能を設ける場合には、背面シートフレーム21は、座面シートフレーム11に揺動可能に支持される。もちろん、背面シートフレーム21は、座面シートフレーム11に一体的に固定されるようにしても良い。
【0026】
背面シートクッション22は、発泡樹脂などの弾性材料により形成される。背面シートクッション22は、背面シートフレーム21の前方面に積層して取り付けられる。背面シートクッション22の前方面が、着座者の背部により圧力を受ける面(受圧面)となる。つまり、背面シートクッション22の後方面である反受圧面が、背面シートフレーム21に対向する。
【0027】
背面シートクッション22の表面には、背面表皮部材23が積層されている。背面表皮部材23は、背面シートクッション22を被覆する。背面表皮部材23は、背面シートクッション22の少なくとも受圧面を被覆する。背面表皮部材23は、布、革などの材料により形成されている。
【0028】
ヘッドレスト2cは、シート背面部2bの上端に配置される。ヘッドレスト2cは、クッション25および表皮部材26を備える。ここで、図1においては、第一座面シートクッション12と背面シートクッション22とを別体としたが、一体としても良い。また、背面シートクッション22とヘッドレスト2cとを別体としたが、一体としても良い。
【0029】
センサ3は、第一座面シートクッション12の収容凹部80内に形成された第一押圧面82bと、第二座面シートクッション15の第二押圧面15aと、の間に配置される。第一押圧面82bは、後述する凸部82aに設けられている。ここで、着座者がシート本体2に着座することにより、着座者の臀部から第一座面シートクッション12の受圧面12aに圧力が付与され、当該圧力が第一座面シートクッション12を介して第一座面シートクッション12の第一押圧面82bに伝達される。そして、第一座面シートクッション12の第一押圧面82bからセンサ3が圧力を受ける。つまり、センサ3は、着座者による着座状態において、第一座面シートクッション12の受圧面12aから第一座面シートクッション12を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。そして、センサ3は、検出した物理量に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出する。
【0030】
ここで、センサ3は、シート座面部2aに配置したが、シート背面部2bに配置しても良い。この場合、センサ3は、背面シートフレーム21と背面シートクッション22との間に配置される。そして、センサ3は、着座者による着座状態において、背面シートクッション22の受圧面12aから背面シートクッション22を介して伝達される圧力に応じた物理量を検出する。そして、センサ3は、検出した物理量に基づいて、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出することができる。
【0031】
1-2.センサ3の構成
センサ3の構成について、図2および図3を参照して説明する。図2および図3は、センサ3単体、すなわち、シート本体2に組付ける前のセンサ3を示す。
【0032】
センサ3は、可撓性を有する扁平なシート状に形成されている。センサ3は、第一面36aおよび第二面36bを有する絶縁体シート36と、絶縁体シート36の第一面36aに積層される第一電極シート32と、第一電極シート32を覆う第一フィルムシート30と、絶縁体シート36の第二面36bに積層される第二電極シート37と、第二電極シート37を覆う第二フィルムシート41と、を備える。以下において、積層方向とは、特に断らない限り、センサ3を構成する、第一フィルムシート30、第一電極シート32、絶縁体シート36、第二電極シート37および第二フィルムシート41の積層方向として用いる。
【0033】
絶縁体シート36は、絶縁性を有するとともに、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。絶縁体シート36は、例えば、矩形状に形成される。絶縁体シート36を構成する材料は特に限定されないが、樹脂、またはエラストマーから構成されてもよい。樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系が例示される。エラストマーとしては、ウレタン系、アクリル系、エステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系が例示される。絶縁体シート36がエラストマー製である場合には、絶縁体シート36は弾性変形可能とされる。
【0034】
第一電極シート32は、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。第一電極シート32は、例えば、矩形状をなす第一本体部32aと、当該矩形状の一辺から1箇所延在する第一耳部32bと、を備える。第一電極シート32は、絶縁体シート36の第一面36aと対向する面(図2の下面)に配置された第一電極層34を備える。第一電極層34は、絶縁体シート36の第一面36aと第二面36bにそれぞれ配される、一対の電極の一方を構成する。本形態においては、第一電極層34は、1枚の電極により構成されている。第一耳部32bには、第一電極層34と電気的に接続されるとともに、外部回路と電気的に接続される第一端子部35が設けられている。
【0035】
第一フィルムシート30は、絶縁性があって、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。第一フィルムシート30は、公知の樹脂、またはエラストマーから構成される。第一フィルムシート30は、例えば、矩形状に形成されている。第一フィルムシート30は、第一電極シート32のうち絶縁体シート36と反対側の面を覆っている。これにより、第一電極シート32に応力が加えられたときに、第一電極シート32を保護するようになっている。第一フィルムシート30を構成する材料としては、絶縁体シート36を構成する材料と同じであってもよいし、また、異なっていてもよい。第一フィルムシート30を構成する材料が硬質材料である場合には、第一電極シート32を保護することができる。第一フィルムシート30のうち、第一電極シート32と反対側の面は、第一座面シートクッション12からの圧力をうける圧力検出面31とされる。
【0036】
第二電極シート37は、第一電極シート32とは別体に構成されており、第一電極シート32の裏面に対向して配置される。第二電極シート37は、矩形状をなす第二本体部37aと、当該矩形状の一辺から1箇所延在する第二耳部37bと、を備える。第二電極シート37と第一電極シート32との間には絶縁体シート36が介在している。第二電極シート37は、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。第二電極シート37は、絶縁体シート36の第二面36bと対向する面(図2の上面)に配置された第二電極層39を備える。第二電極層39は、第一電極シート32を構成する第一電極層34に対して距離を隔てて対向して配置される。つまり、第一電極層34と第二電極層39とは、積層方向の投影において、重なるように配置されている。第二電極層39は、静電センサまたは圧電センサにおける一対の電極の他方を構成する。
【0037】
また、本形態においては、第二電極層39は、複数の電極群により構成されており、複数の電極群を構成する各電極が、第一電極シート32を構成する1枚の第一電極層34に対向するように層方向に配列される。本形態においては、図2に示すように、例えば、第二電極層39は、4行×4列に配列された16個の第二電極により構成される。ただし、第二電極層39を構成する第二電極群の数は、任意に設定できる。また、第二電極シート37は、第二電極層39の他に、プリントパターンを備える。第二耳部37bには、第二電極層39と電気的に接続されるとともに、外部回路と電気的に接続される第二端子部40が設けられている。
【0038】
第二フィルムシート41は、絶縁性であって、可撓性を有しており、シート状(膜状)に形成されている。第二フィルムシート41は、樹脂、またはエラストマーから構成される。第二フィルムシート41は、例えば、矩形状に形成されている。第二フィルムシート41は、第二電極シート37のうち絶縁体シート36と反対側の面を覆っている。これにより、第二電極シート37に応力が加えられたときに第二電極シート37を保護するようになっている。第二フィルムシート41を構成する材料としては、絶縁体シート36を構成する材料と同じであってもよいし、また、異なっていてもよい。第二フィルムシート41を構成する材料が硬質材料である場合には、第二電極シート37を保護することができる。
【0039】
なお、第一電極層34および第二電極層39は、それぞれ1枚の電極により構成されるようにしても良い。また、第一電極層34および第二電極層39が、それぞれ複数の電極により構成されるようにしても良い。例えば、第一電極層34を構成する複数の電極と第二電極層39を構成する複数の電極との対向位置が、1列に配列するように構成されていてもよいし、マトリックス状に配列するように構成されていてもよい。
【0040】
1-3.第一座面シートクッション12および第二座面シートクッション15の構成
第一座面シートクッション12および第二座面シートクッション15の構成について図4および図5を参照して説明する。図4は、第一座面シートクッション12に、センサ3および第二座面シートクッション15が組付けられる前の状態を示すものであり、図5は、第一座面シートクッション12に、センサ3および第二座面シートクッション15が組付けられた後の状態を示すものである。
【0041】
第一座面シートクッション12は、反受圧面12bに形成された収容凹部80を備える。収容凹部80は、第一座面シートクッション12の受圧面12aとは反対側、すなわち座面シートフレーム11側に開口する。収容凹部80は、センサ3を収容する。
【0042】
収容凹部80の開口部の形状は、センサ3の外形状よりも大きく形成されている。収容凹部80の開口部の形状は限定されないが、例えば、センサ3の外形状よりも大きな矩形状に形成される。また、収容凹部80の内周壁81も、矩形状に形成される。内周壁81は、センサ3の外周面の形状に対応するとともに、センサ3の外形状よりも大きく形成される。
【0043】
収容凹部80の底部82は、凸部82a、および、凹溝82cを有する。凸部82aは、底部82の中央付近に形成される。凸部82aは、収容凹部80の底部82から、収容凹部80の開口に向かって突出する。つまり、凸部82aは、底部82から座面シートフレーム11側に突出する。また、凸部82aの外側面と、収容凹部80の内側面との間には、隙間が形成されている。
【0044】
本形態においては、凸部82aは、単一の弾性率を有する弾性材料により構成される。凸部82aは、第一座面シートクッション12を構成する弾性材料により形成される。つまり、凸部82aの弾性率は、第一座面シートクッション12を構成する他の部位の弾性率に等しい。
【0045】
凹溝82cは、凸部82aの周縁に沿って形成される。つまり、凹溝82cは、収容凹部80の内側面と凸部82aとの境界部分を構成し、凸部82aの周縁全周に亘って形成される。
【0046】
第二座面シートクッション15は、全体として直方体形状をなしている。第二座面シートクッション15は、座面シートフレーム11に取り付けられる取り付け面15bと、取り付け面15bと反対側に位置する第二押圧面15aと、を有する。第二押圧面15aには、センサ3が積層された状態で固定されている。センサ3は、第二押圧面15aに接着、熱融着等の公知の手法により固定されている。
【0047】
第一座面シートクッション12と、第二座面シートクッション15とは、センサ3において定義された積層方向に沿って積層されている。
【0048】
第二座面シートクッション15は、第一座面シートクッション12と同じ材料により形成されてもよいし、また、異なる材料により形成されてもよい。また、第二座面シートクッション15の弾性率と、第一座面シートクッション12の弾性率は、同じであってもよいし、また、異なっていてもよい。後に詳述するが、第二座面シートクッション15の弾性率を、第一座面シートクッション12の弾性率と異ならせることにより、センサ3に加えられる圧力を調節することができる。
【0049】
第一座面シートクッション12の弾性率と、第二座面シートクッション15の弾性率とを異ならせる手段としては、例えば、第一座面シートクッション12を形成する材料と、第二座面シートクッション15を形成する材料とを異ならせてもよいし、また、第一座面シートクッション12の空隙率と、第二座面シートクッション15の空隙率とを異ならせてもよい。また、第一座面シートクッション12、および第二座面シートクッション15に添加されるフィラーにつき、フィラーの種類や、フィラーの添加量を、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とで異ならせてもよい。上記のように、任意の手段により、第一座面シートクッション12の弾性率と、第二座面シートクッション15の弾性率とを異ならせることができる。
【0050】
第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容された状態で、センサ3は、凸部82aの第一押圧面82bと、第二座面シートクッション15の第二押圧面15aとの間に挟まれた状態になっている。第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容された状態では、凸部82aは、収容凹部80の凸部82aは、センサ3に向かって突出するようになっている。凸部82aは、センサ3の圧力検出面31に直接的に圧力を与えるようになっている。センサ3の面積は、第一押圧面82bの面積、および第二押圧面15aの面積よりも小さく設定されている。
【0051】
第二座面シートクッション15のうち第二押圧面15aを有する端部の形状、及び取り付け面15bを構成する端部の形状は、収容凹部80の凸部82aの形状と実質的に同じに設定されている。実質的に同じとは、同じである場合を含むとともに、同じでなくとも実質的に同一であると認定しうる場合も含む。以下、同様とする。第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容された状態で、第二座面シートクッション15の外側面と、収容凹部80の内側面との間には、隙間を有するようになっている。
【0052】
収容凹部80と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態における、収容凹部80,および第二座面シートクッション15の各種寸法について図4を参照して説明する。収容凹部80の開口の幅寸法はcである。凸部82aの幅寸法、および第二座面シートクッション15の幅寸法はdである。第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15との積層方向について、収容凹部80の反受圧面12bから凸部82aの先端部までの深さ寸法は、aである。また、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法との和は、bである。
【0053】
第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態においては、
a < b
とされている。換言すると、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15との積層方向について、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法との和bは、収容凹部80の反受圧面12bから凸部82aの先端部までの深さ寸法aよりも大きく設定されている。
【0054】
また、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態において、
c > d
とされている。換言すると、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態において、第二座面シートクッション15の幅寸法dは、収容凹部80の開口の幅寸法cよりも小さく設定されている。
【0055】
次に、第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態における、収容凹部80,および第二座面シートクッション15の各種寸法について図5を参照して説明する。
【0056】
第二座面シートクッション15は、凸部82aと、座面シートフレーム11との間に挟まれることにより、収縮する。この結果、第二座面シートクッション15の厚さ寸法とセンサ3の厚さ寸法の和は、第一座面シートクッション12の反受圧面12bから凸部82aの第一押圧面82bまでの深さ寸法aと同じになっている。これにより、センサ3の圧力検出面31には、凸部82aの第一押圧面82b、および第二座面シートクッション15の第二押圧面15aによって予圧縮される。この時の予圧縮量は、第一座面シートクッション12の弾発力と、第二座面シートクッション15の弾発力に基づく。
【0057】
一方、座面シートフレーム11に対する予圧縮量は、例えば、第一座面シートクッション12の自重による程度である。このため、凸部82aによるセンサ3の圧力検出面31に対する予圧縮量は、第一座面シートクッション12による座面シートフレーム(圧力検出面31の周囲に相当)に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。従って、第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態において、センサ3の圧力検出面31は、凸部82aから、第一座面シートクッション12の自重に比べて大きな圧力を受けている。
【0058】
図5に示すように、第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態においても、
c > d
とされており、第二座面シートクッション15幅寸法dは、収容凹部80の開口の幅寸法よりも小さく設定されている。つまり、第二座面シートクッション15の外側面と、収容凹部80の内側面との間には隙間が形成されている。
【0059】
1-4.センサ付きシート1の詳細構成
センサ付きシート1の詳細構成として、主として、センサ3と収容凹部80との組付状態について、図5を参照して説明する。図5には、着座者がシート本体2に着座していない状態を示す。従って、以下においては、着座者がシート本体2に着座していない状態について説明する。
【0060】
座面シートフレーム11に第一座面シートクッション12が固定される。従って、第一座面シートクッション12の反受圧面12bにおける収容凹部80の周囲が、座面シートフレーム11に対して僅かに予圧縮された状態で、座面シートフレーム11に接触する。
【0061】
センサ3は、第一座面シートクッション12の第一押圧面82bと、第二座面シートクッション15の第二押圧面15aとの間に配置されている。第二座面シートクッション15は座面シートフレーム11に取り付けられる。
【0062】
さらに、センサ3は、第一座面シートクッション12の収容凹部80に収容される。収容凹部80の凸部82aの先端面が、センサ3の圧力検出面31と接触する。つまり、センサ3の圧力検出面31は、第一座面シートクッション12における凸部82aから圧力を受ける。なお、センサ3は、圧力検出面31が受けた圧力に応じた物理量を検出する。
【0063】
さらに、上記したように、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とが取り付けられる前の状態においては、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法との和bは、収容凹部80の反受圧面12bから凸部82aの先端部までの深さ寸法aよりも大きく設定されている。第二座面シートクッション15が収容凹部80内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態においては、第二座面シートクッション15の厚さ寸法とセンサ3の厚さ寸法の和は、第一座面シートクッションの反受圧面12bから凸部82aの第一押圧面82bまでの深さ寸法aと同じになっていることから、凸部82aは、センサ3の圧力検出面31に対して予圧縮されている。特に、凸部82aによるセンサ3の圧力検出面31に対する予圧縮量は、第一座面シートクッション12による座面シートフレーム11(圧力検出面31の周囲に相当)に対する予圧縮量よりも十分に大きく設定されている。従って、センサ3の圧力検出面31は、凸部82aから、第一座面シートクッション12の自重に比べて大きな圧力を受けている。
【0064】
第一座面シートクッション12の収容凹部80内に第二座面シートクッション15を収容し、且つ第二座面シートクッション15に何も荷重を加えていない状態では、第二座面シートクッション15は、第一座面シートクッション12の反受圧面12bから突出した状態になっている。第二座面シートクッション15が第一座面シートクッション12から突出した状態の座面シートクッション10を、座面シートフレーム11の取り付け座面11aに取り付けることにより、未着座状態において、第一座面シートクッション12の反受圧面12bと、第二座面シートクッション15のうち取り付け座面11aに対向する取り付け面15bとを、面一にすることができる。これにより、第二座面シートクッション15を確実に圧縮させることができるので、第一座面シートクッション12および第二座面シートクッション15を確実に予圧縮させることができる。
【0065】
1-5.センサ3の動作
センサ3の検出対象は、着座者の着座状態、例えば、着座姿勢の変化などである。着座者の着座姿勢の変化によって第一座面シートクッション12の変形状態が変わることによって、センサ3が、第一座面シートクッション12を介して伝達された圧力を受ける。具体的には、着座姿勢の変化によって、センサ3が第一座面シートクッション12の凸部82aから受ける圧力が変化する。つまり、センサ3は、変化した圧力に応じた物理量を検出し、この物理量に基づいて、着座者の着座姿勢の変化を検出する。
【0066】
また、センサ3の他の検出対象は、着座者の生体情報、例えば、呼吸、脈動、心拍などである。呼吸、脈動、心拍によって、着座者の皮膚表面に微小な振動が生じる。当該微小な振動によって、センサ3が、第一座面シートクッション12を介して伝達された圧力を受ける。具体的には、当該微小な振動によって、センサ3が第一座面シートクッション12の凸部82aから受ける圧力が変化する。つまり、センサ3は、変化した圧力に応じた物理量を出力し、この物理量に基づいて、着座者の生体情報を検出する。
【0067】
1-6.センサ3の配置による作用
センサ3は、座面シートフレーム11と第一座面シートクッション12の反受圧面12bとの間に配置されている。つまり、センサ3は、座面シートフレーム11に配置されている。従って、センサ3は、第一座面シートクッション12の中に配置される場合に比べて、安定した位置決めが可能となる。
【0068】
センサ3は第一座面シートクッション12に設けられた収容凹部80内に収容されているので、座面シートフレーム11に取り付けられている場合に比べて、第一座面シートクッション12の受圧面12aに近い位置に配されている。これにより、着座者から発せられた生体信号が第一座面シートクッション12によって減衰することが抑制されるので、センサ3が受ける生体信号の強度を向上させることができる。
【0069】
また、センサ3と、座面シートフレーム11との間には、第二座面シートクッション15が介在しているので、車両からの振動ノイズを、第二座面シートクッション15によって減衰させることができる。
【0070】
また、センサ3には、第一座面シートクッション12および第二座面シートクッション15の圧縮反力による予圧縮が付与されているので、着座者がシート本体2に着座した際に、着座者から座面シートクッション10に付与される力が小さいとしても、この力はセンサ3に伝達されることが可能となる。この結果、センサ3の感度を向上させることができる。
【0071】
1-7.センサが可撓性を有することによる作用
センサ3は可撓性を有するので、着座者が第一座面シートクッション12に着座したことによって第一座面シートクッション12が変形したとき、センサ3も第一座面シートクッション12の変形に追従して変形する。これにより、着座者からの圧力と異なるノイズの発生を抑制することができる。
【0072】
1-8.凸部82aの予圧縮による作用
センサ付きシート1において、センサ3による作用について説明する。上述したように、着座者がシート本体2に着座していない未着座状態において、第一座面シートクッション12は、センサ3の圧力検出面31に対する予圧縮量が、圧力検出面31の周囲(例えば、座面シートフレーム11)に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0073】
従って、未着座状態において、既に、第一座面シートクッション12における凸部82aには、他の部位に比べて大きな応力が生じている。凸部82aは、センサ3の圧力検出面31の法線方向に予圧縮されている。従って、第一座面シートクッション12においては、凸部82aにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82aから第一座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、センサ3には、未着座状態において、既に凸部82aから圧力を受けていることになる。
【0074】
続いて、着座者がシート本体2に着座する場合を考える。着座者がシート本体2に着座することによって、着座者の臀部から第一座面シートクッション12に力が付与される。そうすると、第一座面シートクッション12が着座者の臀部および体重に応じて変形する。そして、着座状態においては、未着座状態に比べて、第一座面シートクッション12に生じる応力の大きさは変化する。ただし、着座状態においても、第一座面シートクッション12においては、凸部82aにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82aから第一座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。
【0075】
ここで、センサ3の検出対象の1つは、着座者の着座状態、例えば、着座姿勢の変化などである。また、センサ3の他の検出対象は、着座者の生体情報、例えば、呼吸、脈動、心拍などである。
【0076】
そして、センサ3の圧力検出面31が、第一座面シートクッション12の凸部82aから圧力を受けることにより、センサ3が、着座者の着座状態や生体情報を検出する。しかし、第一座面シートクッション12は、着座者から付与される力を吸収する。そのため、着座者の着座状態の変化や生体が発する振動によって、第一座面シートクッション12の受圧面12aに力が付与されたとしても、第一座面シートクッション12が全てを吸収してしまうと、センサ3が着座者の着座状態や生体情報を検出することができない。
【0077】
しかし、上述したように、センサ3の圧力検出面31には、未着座状態において、第一座面シートクッション12による予圧縮が付与されている。ただし、第一座面シートクッション12は、未着座状態において、センサ3の圧力検出面31の周囲(座面シートフレーム11)に対しても予圧縮を付与している。そして、第一座面シートクッション12は、未着座状態において、センサ3の圧力検出面31に対する予圧縮量が、圧力検出面31の周囲に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。
【0078】
このように、センサ3の圧力検出面31に対する予圧縮量が周囲よりも大きく設定されることで、着座者がシート本体2に着座した際に、着座者から第一座面シートクッション12に付与される力が極めて小さいとしても、当該力が、センサ3の圧力検出面31に伝達される。従って、センサ3の圧力検出面31は、第一座面シートクッション12に付与される微小な圧力の変化を検出できる。
【0079】
つまり、着座者の着座状態が極めて僅かに変化した程度であったとしても、センサ3の圧力検出面31は、当該変化に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の着座状態を検出することができる。また、呼吸、脈動、心拍などの生体が発する振動に伴って、着座者から第一座面シートクッション12に付与される力の大きさは微小である。このような場合であっても、センサ3の圧力検出面31は、当該生体が発する振動に伴って伝達される微小な圧力変化を検出することができる。従って、高精度に、着座者の生体情報を検出することができる。
【0080】
特に、上述したように、未着座状態において、第一座面シートクッション12においては、凸部82aにおいて最も大きな応力が生じており、凸部82aから第一座面シートクッション12の受圧面12aまでの範囲において他の部位に比べて大きな応力が生じている。そのため、未着座状態において応力が生じている領域は、他の領域に比べて、力の伝達感度が高くなる。
【0081】
従って、第一座面シートクッション12の受圧面12aに付与される力が微小であったとしても、微小な力が、第一座面シートクッション12の受圧面12aから凸部82aを介してセンサ3の圧力検出面31に至る範囲を、高感度に伝達される。その結果、高精度に、着座者の着座状態や生体情報を検出することができる。
【0082】
また、着座者が着座する受圧面12aを有する第一座面シートクッション12については、着座者の座り心地を考慮した弾性率が設定されることが好ましい。一方、センサ3に付与される予圧縮量を考慮した場合には、座り心地が考慮された第一座面シートクッション12の弾性率が最適であるとは限らない。このような場合には、第二座面シートクッション15の弾性率を第一座面シートクッション12の弾性率と異ならせることにより、センサ3に付与される予圧縮量を適切に調節することができる。これにより、センサ3の感度を向上させることができる。
【0083】
第一クッションは、収容凹部80の底部82に形成され、凸部82aの周縁に沿って形成され、凸部82aの外側面と、収容凹部80の内側面とを隔てる凹溝82cを備える。
【0084】
凸部82aの外側面と収容凹部80の内側面とが凹溝82cによって隔てられているので、着座者から第一クッションの受圧面12aに加えられた力が凸部82aからセンサ3に伝えられる際に、凸部82aの外側面と収容凹部80の内側面とが摺接することによって摩擦力が生じることを抑制できる。これにより、着座者から第一座面シートクッション12の受圧面12aに加えられた力が摩擦によって減衰することが抑制されるので、センサ3の感度を向上させることができる。
【0085】
また、第一座面シートクッション12が座面表皮部材13によって覆われていることにより、第一座面シートクッション12が外方に膨出するように変形することが抑制される。これにより、予圧縮された第一座面シートクッション12が外方に膨出することによって予圧縮量が減少してしまうことが抑制される。この結果、第一座面シートクッション12が座面表皮部材13によって覆われていない場合に比べて、センサ3の感度が低下することが抑制される。
【0086】
(実施形態2)
実施形態のセンサ付きシート1について、図6および図7を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1の第一座面シートクッション112は、凸部82aを有しない点で、実施形態1と相違する。収容凹部180の底面は、センサ3を押圧する第一押圧面182bとされる。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0087】
図6に示すように、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法は、aである。また、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法との和は、bである。
【0088】
本形態においては、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態においては、
a < b
とされている。換言すると、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法との和bは、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法aよりも大きく設定されている。
【0089】
次に、第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態における、収容凹部180,および第二座面シートクッション15の各種寸法について図7を参照して説明する。
【0090】
第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態においては、第一座面シートクッション112の反受圧面12bと、第二座面シートクッション15の取り付け面15bと、座面シートフレーム11の取り付け座面11aとは面一になっている。これにより、第二座面シートクッション15は、センサ3に対して予圧縮を付与することができるようになっている。
【0091】
(実施形態3)
次に、本形態の実施形態3のセンサ付きシート1について、図8及び図9を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1は、第一座面シートクッション112と、センサ3との間に弾性変形可能な弾性層90を備える点で、実施形態2と相違する。
【0092】
センサ3の圧力検出面42には、弾性層90が積層されている。弾性層90は、弾性変形可能な樹脂、またはエラストマー等によって形成されており、任意の材料を選択することができる。弾性層90の弾性率は、第一座面シートクッション112の弾性率と同じでもよいし、また、異なっていてもよい。また、弾性層90の弾性率は、第二座面シートクッション15の弾性率と同じでもよいし、また、異なっていてもよい。弾性層90を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系が例示される。エラストマーとしては、ウレタン系、アクリル系、エステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系が例示される。
【0093】
図8に示すように、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法は、aである。また、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法と、弾性層90の厚さ寸法の和は、bである。
【0094】
本形態においては、第一座面シートクッション12と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態においては、
a < b
とされている。換言すると、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法と、弾性層90の厚さ寸法の和bは、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法aよりも大きく設定されている。
【0095】
次に、第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態における、収容凹部180,および第二座面シートクッション15の各種寸法について図9を参照して説明する。
【0096】
第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態においては、第一座面シートクッション112の反受圧面12bと、第二座面シートクッション15の取り付け面15bと、座面シートフレーム11の取り付け座面11aとは面一になっている。これにより、第二座面シートクッション15は、センサ3に対して予圧縮を付与することができるようになっている。
【0097】
第一座面シートクッション112とセンサ3との間に弾性層90が設けられているので、弾性層90を構成する材料、弾性層90の弾性率、弾性層90の厚さ寸法等を変更することにより、第一座面シートクッション112からセンサ3に付与される予圧縮量を調節することができる。これにより、センサ3の感度を調節することができる。
【0098】
また、本形態においては、弾性層90の面積は、センサ3の圧力検出面31の面積と同等以下とされている。これにより、第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態において、圧力検出面31に対する予圧縮量が、座面シートフレーム11(圧力検出面の周囲)に対する予圧縮量よりも大きく設定されている。これにより、着座者がシート1に着座した際に着座者から第一座面シートクッション112に付与される力が微小であったとしても、微小な力が、第一座面シートクッション112の受圧面12aから弾性層90を介してセンサ3の圧力検出面31に至る範囲を、高感度に伝達される。その結果、高精度に、着座者の着座状態や生体情報を検出することができる。
【0099】
(実施形態4)
次に、本形態の実施形態4のセンサ付きシート1について、図10及び図11を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1は、センサ3と、第二座面シートクッション15との間に弾性変形可能な弾性層90を備える点で、実施形態2と相違する。
【0100】
第二座面シートクッション15の第二押圧面15aには、弾性層90が積層されている。本形態の弾性層90は実施形態3と同一なので、重複する説明を省略する。
【0101】
図10に示すように、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法は、aである。また、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、弾性層90の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法の和は、bである。
【0102】
本形態においては、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15とが組付けられる前の状態においては、
a < b
とされている。換言すると、第一座面シートクッション112と第二座面シートクッション15との積層方向について、第二座面シートクッション15の厚さ寸法と、弾性層90の厚さ寸法と、センサ3の厚さ寸法の和bは、収容凹部180の反受圧面12bから第一押圧面182bまでの深さ寸法aよりも大きく設定されている。
【0103】
次に、第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態における、収容凹部180,および第二座面シートクッション15の各種寸法について図11を参照して説明する。
【0104】
第二座面シートクッション15が収容凹部180内に収容され、さらに、座面シートフレーム11に取り付けられた状態においては、第一座面シートクッション112の反受圧面12bと、第二座面シートクッション15の取り付け面15bと、座面シートフレーム11の取り付け座面11aとは面一になっている。これにより、第二座面シートクッション15は、センサ3に対して予圧縮を付与することができるようになっている。
【0105】
第二座面シートクッション15とセンサ3との間に弾性層90が設けられているので、弾性層90を構成する材料、弾性層90の弾性率、弾性層90の厚さ寸法等を変更することにより、第二座面シートクッション15からセンサ3に付与される予圧縮量を調節することができる。これにより、センサ3の感度を調節することができる。
【0106】
ただし、第一座面シートクッション112と、センサ3との間に弾性層が配され、且つ、第二座面シートクッション15と、センサ3との間に、さらに弾性層90が配される構成としてもよい。
【0107】
(実施形態5)
次に、実施形態5のセンサ付きシート1について図12を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1のセンサ103は、第一フィルムシート30と、第一電極シート32との間にセンサ弾性層91を備える点で、実施形態1と相違する。
【0108】
図12に示すように、本形態のセンサ103は、第一フィルムシート30と、第一電極シート32との間に、弾性変形可能なセンサ弾性層91を有する。センサ弾性層91は矩形状をなしており、第一フィルムシート30および第一電極シート32の面積と実質的に同じに設定されている。本形態のセンサ弾性層91を構成する材料は実施形態3の弾性層90と同一なので、重複する説明を省略する。
【0109】
センサ103がセンサ弾性層91を備えることにより、第一座面シートクッション12及び第二座面シートクッション15から付与された予圧縮量を、センサ103において微調整することができる。これにより、センサ103の感度を微調整することができる。
【0110】
また、センサ弾性層91が、第一フィルムシート30と第一電極シート32との間に配されていることにより、第一座面シートクッション12から付加される予圧縮量を調節できる。
【0111】
(実施形態6)
次に、実施形態6のセンサ付きシート1について図13を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1のセンサ203は、第二フィルムシート41と、第二電極シート37との間にセンサ弾性層91を備える点で、実施形態1と相違する。
【0112】
図13に示すように、本形態のセンサ203は、第二フィルムシート41と、第二電極シート37との間に、弾性変形可能なセンサ弾性層91を有する。センサ弾性層91は矩形状をなしており、第二フィルムシート41および第二電極シート37の面積と実質的に同じに設定されている。本形態のセンサ弾性層91を構成する材料は実施形態3の弾性層90と同一なので、重複する説明を省略する。
【0113】
センサ弾性層91が、第二フィルムシート41と第二電極シート37との間に配されていることにより、車両からの振動ノイズを低減させることができる。
【0114】
なお、絶縁体シート36を弾性変形可能な材料で形成することにより、絶縁体シート36をセンサ弾性層としてもよい。この場合には、部品点数を増加させることなく、センサ3の感度を微調整することができる。
【0115】
(実施形態7)
次に、実施形態7のセンサ付きシート1について、図14を参照して説明する。本形態のセンサ付きシート1は、座面シートフレーム111が押圧凸部111bを備える点で実施形態2と相違する。
【0116】
図14に示すように、座面シートフレーム111の取り付け座面111aには、第二座面シートクッション15に向かって突出する押圧凸部111bが形成されている。
【0117】
座面シートフレーム111の取り付け座面111aに第一座面シートクッション112および第二座面シートクッション15を取り付けると、取り付け座面111aに設けられた押圧凸部112bが、第二座面シートクッション15を押圧する。これにより、第二座面シートクッション15を確実に予圧縮させることができる。この結果、センサ3の感度を向上させることができる。
【0118】
(実施形態8)
次に、実施形態8のセンサ303について図15を参照して説明する。本形態のセンサ303は、第一シールド層33、および第二シールド層38を備える。
【0119】
本形態の第一電極シート32は、絶縁性のシートからなる第一本体部32aのうち、絶縁体シート36の第一面36aと対向する面(図15の下面)に配置された第一電極層34を備える。さらに、第一電極シート32のうち第一電極層34が形成された面と反対側の面には、第一シールド層33が積層されている。第一シールド層33は、導電性を有する金属箔、導電布、導電性フィルム等により形成されている。詳細には図示しないが、第一シールド層33は接地されている。
【0120】
本形態の第二電極シート37は、絶縁性のシートからなる第二本体部37aのうち、絶縁体シート36の第二面36bと対向する面(図15の下面)に配置された第二電極層39を備える。さらに、第二電極シート37のうち第二電極層39が形成された面と反対側の面には、第二シールド層38が形成されている。第二シールド層38は、導電性を有する金属箔、導電布、導電性フィルム等により形成されている。詳細には図示しないが、第二シールド層38は接地されている。
【0121】
本形態のセンサ303は、第一シールド層33、および第二シールド層38によって、センサ303の上方および下方からの電磁的なノイズから保護される。
【0122】
(実施形態9)
9-1.センサ付きシートの通風構造
次に、図16図19を参照して、実施形態9のセンサ付きシート401について説明する。図16に、本形態のセンサ付きシート401を示す。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、および左右方向は、着座者がシート401に座った状態において、着座者から見た上下方向、前後方向および左右方向を意味する。
【0123】
図16に示すように、座面シートフレーム411は送風装置420を備える。本形態では、座面シートフレーム411のうち取り付け座面411aと反対側の面に送風装置420が取り付けられているが、送風装置420の取り付け箇所は特に限定されず、取り付け座面411aに送風装置420が取り付けられても良い。
【0124】
送風装置420は、図16における下方から上方に向けて送風する構成となっている。これにより、送風装置420は、座面シートフレーム411から、第二座面シートクッション415、第一座面シートクッション412、および座面表皮部材413に空気を流通させる。送風装置420としては、例えば、モータ、およびファンを有する公知の構成を採用することができる。
【0125】
座面シートフレーム411は、座面シートフレーム411の厚さ方向(図16の上下方向)に貫通するフレーム貫通孔440を有する。送風装置420により、フレーム貫通孔440内を空気が流通可能に構成されている。
【0126】
図16に示すように、第二座面シートクッション415には、第一座面シートクッション412と第二座面シートクッション415とが積層する方向(図16の上下方向。以下、積層方向という。)について、フレーム貫通孔440に重なる位置に、第二座面シートクッション415を積層方向に貫通する第二送風通路450を備える。第二座面シートクッション415は、1つの第二送風通路450を備えてもよく、また、2つ以上の第二送風通路450を備えてもよい。図17に示すように、本形態では、第二座面シートクッション415には、9つの第二送風通路450が形成されている。第二送風通路450は、第二座面シートクッション415を積層方向に貫通している(図16参照)。
【0127】
図17に示すように、センサ403は、積層方向の投影において、第二送風通路450と重なる位置に、センサ403を積層方向に貫通する通風貫通孔405を有する。通風貫通孔405の内形状は、第二送風通路450の内形状と同じでも良いし、異なっていても良い。本形態の通風貫通孔405は長孔形状に形成されている。ただし、通風貫通孔405の形状は特に限定されず、円形状、長方形状等の任意の形状を選択できる。
【0128】
図16に示すように、第一座面シートクッション412には、積層方向について、第二送風通路450に重なる位置に、第一座面シートクッション412を積層方向に貫通する第一送風通路460を備える。第一送風通路460は、第一座面シートクッション412を積層方向に貫通している。上記の通風貫通孔405は、積層方向の投影において、第一送風通路460および第二送風通路450に重なる位置に形成されている。
【0129】
図18に示すように、本形態では、第一座面シートクッション412には、9つの第一送風通路460が形成されている。第一送風通路460は、第一座面シートクッション412を積層方向に貫通している。図17および図18に示すように、第一送風通路460と、第二送風通路450とは、積層方向について、整合する位置に形成されている。ただし、第一送風通路460と、第二送風通路450とは、積層方向に整合する位置に形成されていなくても、概ね重なる位置に形成されていても良い。第一座面シートクッション412は、発泡材料からなるので複数の細孔を有する。この細孔内を空気が流通可能なので、第一送風通路460と、第二送風通路450とが、積層方向について整合していなくても、第一送風通路460と第二送風通路450との間を空気が流通可能な構成となっている。
【0130】
図19に示すように、座面表皮部材413は、積層方向について座面表皮部材413を貫通する表皮材貫通孔470を備える。本形態では、複数の表皮材貫通孔470が間隔を空けて形成される構成としても良い。表皮材貫通孔470の内径寸法は、第一送風通路460の内径寸法よりも小さく設定されている。
【0131】
表皮材貫通孔470は、積層方向について、第一座面シートクッション412の第一送風通路460と重なる位置に形成されていても良い。これにより、空気は、表皮材貫通孔470を通って、座面表皮部材413の上方に到達することができる。
【0132】
また、表皮材貫通孔470は、積層方向について、第一座面シートクッション412の第一送風通路460の近傍に形成されている場合には、第一送風通路460と重ならない位置に形成されていても良い。上記したように、第一座面シートクッション412は発泡樹脂などにより形成されている。これにより第一座面シートクッション412は複数の細孔を有している。このため、第一送風通路460まで空気が流通されると、空気は、複数の細孔を通って座面表皮部材413にまで到達することができる。この結果、表皮材貫通孔470が第一座面シートクッション412の第一送風通路460の近傍に形成されている場合、空気は細孔内を流通することで表皮材貫通孔470まで到達し、表皮材貫通孔470を通って座面表皮部材413の上方に到達することができる。
【0133】
図19に示すように、複数の表皮材貫通孔470が、座面表皮部材413のうち、後述する中央吊込み溝471bよりも後方の領域であって、且つ、2つの側部吊込み溝471aの間の領域に形成されている。換言すると、複数の表皮材貫通孔470は、背面シートクッション22寄りの位置であって、着座者の臀部に対応する領域に形成されている。ただし、表皮材貫通孔470は、着座者の臀部に対応する位置と異なる位置に形成されていてもよい。表皮材貫通孔470の内形状は、円形状でもよいし、長方形状等の多角形状でもよく、任意の形状を適宜に選択できる。
【0134】
9-2.センサ403の構造
次に、本形態のセンサ403の構造について、図17図19および図20を参照して説明する。図17に示すように、本形態のセンサ403は、上方から見て四角形状に形成されている。ただし、センサ403の形状は任意の形状を適宜に選択できる。センサ403は、複数(本形態では4つ)の検出領域404を備える。検出領域404は、着座者の着座状態または着座者の生体情報を検出する。ただし、検出領域404の個数は4つに限定されず、2つ~3つ、または5つ以上でも良い。
【0135】
本形態の検出領域404は、上方から見て四角形状に形成されている。ただし、検出領域404の形状は、四角形状に限られず、三角形や五角形等の多角形状等、任意の形状を適宜に選択できる。4つの検出領域404は、四角形状に形成されたセンサ403の四隅に、互いに間隔を空けて配置されている。
【0136】
センサ403のうち、複数の検出領域404の間の領域には、図示しない導電パターンが形成されている。導電パターンにより、検出領域404と、センサ403の外部とが電気的に接続される。
【0137】
図17に示すように、4つの検出領域404は、センサ403の左後部に配置されて着座者の左臀部の状態を検出する左後部検出領域404aと、センサ403の右後部に配置されて着座者の右臀部の状態を検出する右後部検出領域404bと、センサ403の左前部に配置されて着座者の左腿部の状態を検出する左前部検出領域404cと、センサ403の右前部に配置されて着座者の右腿部の状態を検出する右前部検出領域404dと、を備える。以下の説明において、4つの検出領域404に共通する構成については、4つの検出領域404を区別しないで、検出領域404として説明する場合がある。
【0138】
センサ403は、左後部検出領域404aと、右後部検出領域404bとの間に、後側通風貫通孔405aを備える。また、センサ403は、左前部検出領域404cと、左後部検出領域404aとの間に、左側通風貫通孔405bを備える。また、センサ403は右前部検出領域404dと、右後部検出領域404bとの間に、右側通風貫通孔405cを備える。
【0139】
図19に示すように、後側通風貫通孔405aは、積層方向について、表皮材貫通孔470と重なる位置に配置されている。
【0140】
一方、左側通風貫通孔405bと、右側通風貫通孔405cは、積層方向について、表皮材貫通孔470と重ならない位置に配置されるとともに、表皮材貫通孔470の近傍に配置されている。
【0141】
なお、上記した導電パターンは、後側通風貫通孔405a、左側通風貫通孔405b、および右側通風貫通孔405cが形成されている部分を回避して形成されている。
【0142】
図20に、一の検出領域404の断面構造を示す。本形態では、4つの検出領域404は同一の構成を有する。検出領域404には、絶縁性の第二フィルムシート441と、第二電極シート437と、絶縁性の絶縁体シート436と、第一電極シート432と、絶縁性の第一フィルムシート430と、が積層されている。
【0143】
第二電極シート437は絶縁性の第二本体部437aを有する。第二本体部437aのうち第二フィルムシート441側の面に、導電性の第二シールド層438が積層されている。第二本体部437aのうち絶縁体シート436側の面に、導電性を有する第二電極層439が積層されている。第二電極層439は複数の電極群により構成されている。
【0144】
第一電極シート432は絶縁性の第一本体部432aを有する。第一本体部432aのうち第一フィルムシート430側の面に、導電性の第一シールド層433が積層されている。第一本体部432aのうち絶縁体シート436側の面に、導電性を有する第一電極層434が積層されている。第一電極層434は1つの電極により構成されている。
【0145】
ただし、検出領域404の構成は上記の構成に限られず、任意の構成を適宜に選択できる。
【0146】
9-3.座面表皮部材413の吊り込み構造
つぎに、座面表皮部材413の吊り込み構造について、図17図18図19および図21を参照して説明する。図19に示すように、座面表皮部材413の上面には、左右方向の両側部寄りの部分に、前後方向にのびる2つの側部吊込み溝471aが形成されている。側部吊込み溝471aは、座面表皮部材413の後端部から前端部まで延びて形成されている。側部吊込み溝471aにおいては、座面表皮部材413の端部が、第一座面シートクッション412側に折り込まれている。
【0147】
図19に示すように、座面表皮部材413の上面には、前後方向の略中央付近であって、2つの側部吊込み溝471a同士を連結する中央吊込み溝471bが形成されている。図21に示すように、中央吊込み溝471bにおいては、座面表皮部材413の端部が、第一座面シートクッション412側に折り込まれている。
【0148】
図18に示すように、第一座面シートクッション412の上面には、2つの側部吊込み溝471a、および中央吊込み溝471bに対応する位置に、座面表皮部材413の折り込まれた端部を収容するための、2つの側部収容溝462a、および中央収容溝462bが形成されている。
【0149】
2つの側部収容溝462aには、それぞれ、前後方向に間隔を空けて、座面表皮部材413の端部を吊り込むための2つの第一吊込み貫通孔461aが、第一座面クッションを積層方向(上下方向)に貫通して形成されている。側部収容溝462aに形成された第一吊込み貫通孔461aは、前後方向に細長い長円形状に形成されている。側部収容溝462aに形成される第一吊込み貫通孔461aの個数は、1つ、または3つ以上であっても良い。
【0150】
また、中央収容溝462bには、左右方向に間隔を空けて、座面表皮部材413の端部を吊り込むための2つの第一吊込み貫通孔461bが、第一座面クッションを積層方向(上下方向)に貫通して形成されている。中央収容溝462bに形成された第一吊込み貫通孔461bは、左右方向に細長い長円形状に形成されている。中央収容溝462bに形成される第一吊込み貫通孔461bの個数は、1つ、または3つ以上であっても良い。
【0151】
ただし、第一吊込み貫通孔461a,461bの形状は長孔形状に限定されず、円形状、長方形状等、任意の形状を適宜に選択できる。
【0152】
図21に示すように、第一吊込み貫通孔461b内には、座面表皮部材413の端部が上方から挿入されている。
【0153】
図18に示すように、中央収容溝462bに形成された第一吊込み貫通孔461bは、積層方向の投影において、センサ403の左側通風貫通孔405bおよび右側通風貫通孔405cに重なる位置に形成されている。
【0154】
図21に示すように、第二座面シートクッション415には、積層方向の投影において、第一吊込み貫通孔461bと重なる位置に、表皮を吊り込むための第二吊込み貫通孔451が、第二座面クッションを積層方向(上下方向)に貫通して形成されている。第二吊込み貫通孔451には、後述する支持材421が挿通されている。
【0155】
図17に示すように、第二吊込み貫通孔451は、左右方向に細長い長孔形状に形成されている。ただし、第二吊込み貫通孔451の形状は、長孔形状に限定されず、円形状、長方形状等、任意の形状を適宜に選択できる。
【0156】
図21に示すように、座面シートフレーム411は、積層方向の投影において、第二吊込み貫通孔451に重なる位置に、積層方向に座面シートフレーム411を貫通するフレーム貫通孔440を有する。送風装置420により、フレーム貫通孔440内を空気が流通可能に構成されている。
【0157】
図21を参照して、座面表皮部材413の吊り込み構造について説明する。第一座面シートクッション412の第一吊込み貫通孔461b内に折り込まれた座面表皮部材413の端部には、表皮側係止部材421aが固定されている。表皮側係止部材421aは、座面表皮部材413の端部と、支持材421の一方の端部とを固定している。表皮側係止部材421aの形状は特に限定されず、リング状、フック状等、任意の形状を選択できる。
【0158】
支持材421は、積層方向に長尺な形状に形成されている。支持材421は、金属棒材、金属板材、金属ワイヤー、合成樹脂材、合成樹脂製ワイヤー等、特に限定されない。本形態では、支持材421として金属ワイヤーが用いられている。
【0159】
図21に示すように、支持材421は、センサ403の通風貫通孔405、および第二座面シートクッション415の第二吊込み貫通孔451に挿通されている。支持材421の他方の端部にはフレーム側係止部材421bが固定されている。フレーム側係止部材421bの形状は特に限定されず、リング状、フック状等、任意の形状を選択できる。フレーム側係止部材421bは、座面シートフレーム411のフレーム貫通孔440内に挿入されて、フレーム貫通孔440内において、座面シートフレーム411に固定されている。
【0160】
9-4.本形態の作用効果
本形態のセンサ403は、通風貫通孔405を有する。これにより、第一座面シートクッション412と第二座面シートクッション415との間にセンサ403が配置されている場合であっても、通風貫通孔405を介して、第一座面シートクッション412と第二座面シートクッション415との間に空気を流通させることができる。この結果、送風装置420によって、空気を、フレーム貫通孔440、第二送風通路450、通風貫通孔405、第一送風通路460、および表皮材貫通孔470を通って、着座者の臀部に送風することができる。これにより、着座者の臀部と、座面表皮部材413との間が、着座者の発汗により蒸れることを抑制できる。
【0161】
本形態によれば、座面表皮部材413の端部に取り付けられた支持材421を、センサ403に形成された通風貫通孔405に挿通することにより、座面シートフレーム411に支持材421を固定することができる。これにより、第一座面シートクッション412と第二座面シートクッション415との間にセンサ403が配置されている場合であっても、座面表皮部材413の端部を第一座面シートクッション412内に吊り込むことができる。これにより、座面表皮部材413の位置ずれを抑制するとともに、座面表皮部材413の意匠性を向上させることができる。
【0162】
また、座面表皮部材413が支持材421を介して座面シートフレーム411に吊り込まれた状態で固定されているので、座面表皮部材413が第一座面シートクッション412および第二座面シートクッション415に向けて引っ張り込まれた状態になっている。これにより、第一座面シートクッション412および第二座面シートクッション415に挟まれたセンサ403に、予圧縮が付与される。この結果、センサ403の感度を向上させることができる。
【0163】
また、センサ403の通風貫通孔405が、第一座面シートクッション412の第一吊込み貫通孔461bと、第二座面シートクッション415の第二吊込み貫通孔451とに、積層方向の投影において重なる位置に形成されているので、送風装置420によって、空気を、第二座面シートクッション415側から、第一座面シートクッション412側に流通させることができる。これにより、着座者の臀部と、座面表皮部材413との間が蒸れることを抑制できる。
【0164】
また、本形態によれば、通風貫通孔405は、空気を流通させる機能と、支持材421を挿通する機能を兼ねるので、センサ403に設ける貫通孔の個数を削減できる。これにより、センサ403に形成される導電パターンの設計の自由度を向上させることができる。
【0165】
(実施形態10)
次に、図22を参照して実施形態9のセンサ付きシート501について説明する。本形態のセンサ付きシート501は、前側に配置された前側センサ503aと、後側に配置された後側センサ503bと、を有する。前側センサ503aと、後側センサ503bとは、前後方向に間隔を空けて配置されている。ただし、センサの個数は2個に限定されず、3個以上であってもよい。
【0166】
前側センサ503aの下方には、前側第二座面シートクッション515a(第二クッションの一例)が配置されている。また、後側センサ503bの下方には、後側第二座面シートクッション515b(第二クッションの一例)が配置されている。ただし、センサの下方の位置に第二クッションが配置されていればよいので、第二クッションの個数は2個に限定されず、3個以上であってもよい。
【0167】
前側第二座面シートクッション515aの弾性率と、後側第二座面シートクッション515bの弾性率は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。前側第二座面シートクッション515aの弾性率と、後側第二座面シートクッション515bの弾性率とを異ならせることにより、前側センサ503aに付与する予圧縮と、後側センサ503bに付与する予圧縮とを異ならせることができる。これにより、前側センサ503aと後側センサ503bの感度を調節することができる。
【0168】
前側第二座面シートクッション515aの材質と、後側座面シートクッションの材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。前側第二座面シートクッション515aの材質と、後側第二座面シートクッション515bの材質とが同じである場合には、例えば、発泡率を異ならせることにより、弾性率を異ならせることができる。
【0169】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22