(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】接続部材及び温室用カーテン開閉装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20240415BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A01G9/24 J
A01G9/14 M
(21)【出願番号】P 2020070107
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】星野 隆
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3191860(JP,U)
【文献】特開2001-148946(JP,A)
【文献】特開平10-136797(JP,A)
【文献】実開平05-007061(JP,U)
【文献】登録実用新案第3206911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 - 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室内に配設されるカーテンに連結される先導部材と、前記先導部材を移動させるための駆動ワイヤとを有する温室用カーテン開閉装置に用いられ、前記先導部材と前記駆動ワイヤとを接続する接続部材であって、
前記先導部材に対向する第1プレート部と、平面視で前記第1プレート部に隣接する部位に設けられる第1ワイヤ連結部とを有する第1部材と、
前記第1プレート部に対向する第2プレート部と、平面視で前記第2プレート部に隣接し、前記第1ワイヤ連結部との間で前記駆動ワイヤを挟持する第2ワイヤ連結部とを有するを第2部材と、
前記先導部材に係合可能であると共に、前記第1プレート部及び前記第2プレート部を貫通して配設され、外面に雄ねじ部が形成されている軸部を有する係合用軸部材と、
前記係合用軸部材の雄ねじ部に螺合されるナット部材と、
前記第2プレート部と前記ナット部材との間であって、前記係合用軸部材の周囲に配設されるコイルスプリングと
を有し、
前記第1部材及び前記第2部材が共に合成樹脂製であり、
外縁が前記コイルスプリングの外周よりも外側とな
り、かつ、前記第2ワイヤ連結部が形成されている部位を被覆可能な大きさを備えた金属製プレートが、前記第2プレート部及び前記コイルスプリング間に配設されており、
前記ナット部材を前記雄ねじ部に螺合して前記コイルスプリングを圧縮して前記金属製プレートに押圧力を作用させ、前記第1ワイヤ連結部及び前記第2ワイヤ連結部間で前記駆動ワイヤを挟持し、前記駆動ワイヤは、走行中、前記先導部材が停止しても前記コイルスプリングの押圧力に抗して前記第1ワイヤ連結部及び前記第2ワイヤ連結部間を摺動することを特徴とする接続部材。
【請求項2】
前記第1部材は、平面視で前記第1プレート部に隣接する位置に、前記先導部材への取り付け時の姿勢で、前記第1プレート部よりも下方に位置する第1隣接部を有し、
前記第2部材は、平面視で前記第2プレート部に隣接する位置であって前記第1隣接部に重なる位置に第2隣接部を有し、
前記第1ワイヤ連結部が、前記第1隣接部に形成された溝からなり、前記第2ワイヤ連結部が、前記第1ワイヤ連結部を構成する溝に対向する位置に前記第2隣接部に形成された溝からなり、
前記金属製プレートが、前記第2部材の前記第2プレート部を被覆する部位から前記第2隣接部に沿って略垂直に折れ曲がり、さらに、略垂直に外方に折れ曲がって前記第2隣接部を被覆する断面略Z字型である請求項
1記載の接続部材。
【請求項3】
前記係合用軸部材の前記軸部に、外方に突出し、前記ナット部材の螺合時のストッパとなるフランジ部が設けられている請求項1
又は2記載の接続部材。
【請求項4】
温室内に配設されるカーテンに連結される先導部材と、前記先導部材を移動させるための駆動ワイヤとを有し、前記先導部材を移動させ、前記カーテンを温室内で展開又は寄せ集めする温室用カーテン開閉装置であって、
前記先導部材と前記駆動ワイヤとを接続する接続部材として、請求項1~
3のいずれか1に記載の接続部材が用いられていることを特徴とする温室用カーテン開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室内において所定高さに配置されるカーテンを開閉して、温室内上方空間を仕切り、保温効果、遮光効果などを得るために用いられる温室用カーテン開閉装置に用いられる接続部材及び該接続部材を有する温室用カーテン開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラスチックフィルム等からなる保温用、遮光用のカーテンを、温室内の上方空間に配置し、これを開閉することにより、室内温度等を調整する温室用カーテン開閉装置が開示されている。カーテンは、通常、基端縁が固定され、その反対側の端縁(先端縁)に先導部材が連結され、カーテンの開閉方向に沿って配設した駆動ワイヤをこの先導部材に接続して、駆動ワイヤの走行によって先導部材を移動させてカーテンを開閉する。すなわち、カーテンを閉じる際には、先導部材でカーテンを牽引して展開し、カーテンを開ける際には、逆方向に先導部材を移動して、カーテンを押すように寄せ集めて開放する。
【0003】
ここで、先導部材は、所定の長さを有しており、駆動ワイヤは所定間隔毎に設けられている。そして、各駆動ワイヤと先導部材とが接続部材を介して接続される。しかしながら、カーテンを開閉する際、先導部材は所定の長さを有しているため、摩擦等により必ずしも一直線状態を維持したまま移動するとは限らず、端縁付近よりも中央付近が遅れるなど、湾曲や蛇行を伴いながら移動する場合がある(特許文献1の
図6参照)。このような場合において、いずれかの接続部材が移動方向終点に先行して到達した時点で先導部材の移動が停止すると、他の接続部材は移動方向終点に到達できず、到達できなかった接続部材付近ではカーテンが移動途中で止まってしまい、開閉が不完全になる。例えば、遮光カーテンの開放方向の終点において、先導部材が部分的に終点に到達していない場合には、その分、温室内の日陰面積が増す。そこで、特許文献1では、接続部材(特許文献1の「クリップ」に相当)としてコイルスプリングを使用して駆動ワイヤと弾性的に接続し、先行して移動方向終点に到達した接続部材が存在する場合、先導部材が一直線状になり、すなわち全ての接続部材が移動方向終点に到達するまで、先行した接続部材において当該接続部材が止まっているにも拘わらず駆動ワイヤがコイルスプリングの弾性力に抗して走行し続ける構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている接続部材(クリップ)は、当該文献には具体的には示されていないが、駆動ワイヤを挟む2つの部材(特許文献1の「第1の把持部」及び「第2の把持部」に相当)は、通常、合成樹脂製である。そのため、経年劣化による亀裂等が生じやすい。亀裂等が生じると、2つの部材間で駆動ワイヤを挟んで保持する力の低下が急激に進行する。また、駆動ワイヤを挟持する際にナット部材を締め付けすぎて第1の把持部や第2の把持部に損傷を来す場合もある。従って、接続部材の取り付け時において、電気ドリルを用いてナット部材を締め付けたりすることが困難で、取り付け作業の効率化を阻害する要因の一つにもなっていた。その一方、これら2つの部材を金属製とすると重量が嵩み、先導部材の動きに影響したり、製造コストが高くなったりする。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、駆動ワイヤを挟む合成樹脂製の部材の経年劣化による亀裂等を抑制できると共に、亀裂等が生じた場合でも、駆動ワイヤを保持する力の低下を抑制し、さらに、取り付け作業の短縮化も達成できる接続部材及び該接続部材を有する温室用カーテン開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明では、温室内に配設されるカーテンに連結される先導部材と、前記先導部材を移動させるための駆動ワイヤとを有する温室用カーテン開閉装置に用いられ、前記先導部材と前記駆動ワイヤとを接続する接続部材であって、
前記先導部材に対向する第1プレート部と、平面視で前記第1プレート部に隣接する部位に設けられる第1ワイヤ連結部とを有する第1部材と、
前記第1プレート部に対向する第2プレート部と、平面視で前記第2プレート部に隣接し、前記第1ワイヤ連結部との間で前記駆動ワイヤを挟持する第2ワイヤ連結部とを有するを第2部材と、
前記先導部材に係合可能であると共に、前記第1プレート部及び前記第2プレート部を貫通して配設され、外面に雄ねじ部が形成されている軸部を有する係合用軸部材と、
前記係合用軸部材の雄ねじ部に螺合されるナット部材と、
前記第2プレート部と前記ナット部材との間であって、前記係合用軸部材の周囲に配設されるコイルスプリングと
を有し、
前記第1部材及び前記第2部材が共に合成樹脂製であり、
外縁が前記コイルスプリングの外周よりも外側となる大きさを備えた金属製プレートが、前記第2プレート部及び前記コイルスプリング間に配設されており、
前記ナット部材を前記雄ねじ部に螺合して前記コイルスプリングを圧縮して前記金属製プレートに押圧力を作用させ、前記第1ワイヤ連結部及び前記第2ワイヤ連結部間で前記駆動ワイヤを挟持し、前記駆動ワイヤは、走行中、前記先導部材が停止しても前記コイルスプリングの押圧力に抗して前記第1ワイヤ連結部及び前記第2ワイヤ連結部間を摺動することを特徴とする接続部材を提供する。
【0008】
前記金属製プレートは、前記第2ワイヤ連結部が形成されている部位を被覆可能な大きさを有することが好ましい。
【0009】
前記第1部材は、平面視で前記第1プレート部に隣接する位置に、前記先導部材への取り付け時の姿勢で、前記第1プレート部よりも下方に位置する第1隣接部を有し、
前記第2部材は、平面視で前記第2プレート部に隣接する位置であって前記第1隣接部に重なる位置に第2隣接部を有し、
前記第1ワイヤ連結部が、前記第1隣接部に形成された溝からなり、前記第2ワイヤ連結部が、前記第1ワイヤ連結部を構成する溝に対向する位置に前記第2隣接部に形成された溝からなり、
前記金属製プレートが、前記第2部材の前記第2プレート部を被覆する部位から前記第2隣接部に沿って略垂直に折れ曲がり、さらに、略垂直に外方に折れ曲がって前記第2隣接部を被覆する断面略Z字型であることが好ましい。
【0010】
前記係合用軸部材の前記軸部に、外方に突出し、前記ナット部材の螺合時のストッパとなるフランジ部が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、温室内に配設されるカーテンに連結される先導部材と、前記先導部材を移動させるための駆動ワイヤとを有し、前記先導部材を移動させ、前記カーテンを温室内で展開又は寄せ集めする温室用カーテン開閉装置であって、
前記先導部材と前記駆動ワイヤとを接続する接続部材として、前記の接続部材が用いられていることを特徴とする温室用カーテン開閉装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、第2部材の第2プレート部における係合用軸部材の貫通孔の周囲であって、外縁がコイルスプリングの外周よりも外側となる大きさを備えた金属製プレートが設けられている。コイルスプリングは、ナット部材により圧縮量が調整され、その弾性反力により、金属製プレートに所定の押圧力を常時作用させている。第1部材及び第2部材はいずれも合成樹脂製であり、経年劣化による亀裂等が生じやすい。特に、第2部材は、第1部材を挟んで先導部材の反対側に位置しているため、先導部材の直接の陰になる第1部材よりも劣化しやすい。しかしながら、本発明によれば、コイルスプリングが直接押圧している部位が金属製プレートであるため、仮に、合成樹脂製の第1部材や第2部材に経年劣化による亀裂等が生じた場合でも押圧力の低下が抑制され、押圧力の低下に伴う駆動ワイヤの保持力の低下を抑制できる。
【0013】
また、係合用軸部材の軸部には、フランジ部が形成されている。このため、電機ドリルを使用してもナット部材は最大でこのフランジ部に当接するまでしか螺合することができず、ナット部材を締め込み過ぎることがない。よって、電気ドリルを使用した作業が可能となり、取り付け時の作業効率を高めることができる。また、合成樹脂製である第2部材が上記の金属製プレートにより被覆されているため、金属製プレートで被覆しない場合と比較すれば劣化の進行が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一の実施形態に係る温室用カーテン開閉装置の概略全体構成を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態の温室用カーテン開閉装置のカーテンの開閉の様子を模式的に示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の一の実施形態に係る接続部材を先導部材に係合させた状態を示した斜視図である。
【
図4】
図4は、上記実施形態に係る接続部材を一部を切り欠いて示した側面図である。
【
図6】
図6(a)は、上記実施形態に係る接続部材の第1部材側から見た平面図であり、
図6(b)は、第1部材の下面側から見た底面図であり、
図6(c)は、第2部材の上面側から見た平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態に係る接続部材を一部を切り欠いて示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
図1~
図6は、本発明の一の実施形態に係る温室用カーテン開閉装置1000に用いられる接続部材1を説明するための図である。なお、温室用カーテン開閉装置1000は、
図1及び
図2に示したように、温室内に配設されるカーテン2000に連結される先導部材100と、先導部材を移動させるための駆動ワイヤ200等を有している。カーテン2000は、駆動ワイヤ200の走行方向と平行に張られた棚線3000上に配設され、下面が支持される。原動機201が駆動することにより駆動シャフト202が回転し、該駆動シャフト202に巻き掛けられた駆動ワイヤ200が所定方向に走行するようになっている。
図1及び
図2の例では、駆動ワイヤ200の走行方向に沿って、4枚のカーテン2000が配設され、それぞれの先端縁2100に先導部材100が取り付けられている。温室内には、パイプや鋼材等からなる桟部材1100が、駆動ワイヤ200の走行方向に直交する方向に長手方向を沿わせ、かつ、該温室駆動ワイヤ200の走行方向に沿って所定間隔毎に複数本配設されている。各カーテン部2000は、隣接する桟部材1100,1100間に、基端縁2200を一方の桟部材1100側に固定して配設され、それらの間で展開又は寄せ集められる。
【0016】
接続部材1は、駆動ワイヤ200と先導部材100とを接続するために設けられ、接続部材1によって両者が接続されることで、先導部材100が移動し、各カーテン2000が温室内において隣接する桟部材1100,1100間で展開又は寄せ集めされる。ここで、展開動作する場合、
図1及び
図2に示したように、各カーテン2000は、それぞれの先導部材100が、展開方向の先に位置する桟部材1100に接近していく。このとき、桟部材1100に先導部材100が長手方向に沿って一直線の姿勢で到達すればよいが、上記のように部分的に遅れなどが生じる。その際において、本実施形態の接続部材1は、桟部材1100に到達した順に、接続部材1及びその部位の先導部材100の移動が停止する一方で、当該接続部材1に挟持された駆動ワイヤ200はその場にとどまらず、後述する第1ワイヤ連結部12b及び第2ワイヤ連結部22b1間を摺動し続ける。
【0017】
本実施形態の接続部材1は、
図3~
図6に示したように、第1部材10及び第2部材20を有して構成される。第1部材10及び第2部材20は、積層されて配設され、第1部材10が先導部材100側に位置するように配設される。
第1部材10は、合成樹脂製であり、全体として断面略Z字型に成型され、第1プレート部11及び第1隣接部12を有している。第1プレート部11は、先導部材100の配設方向すなわちカーテン2000の幅方向に沿って所定の幅(W1)とそれに直交する所定の奥行き(D1)とを有する略平板状に形成されている。平面視で該第1プレート部11の幅方向に隣接した位置に、先導部材100への取り付け時において先導部材100とは反対側の下方に突出するように第1プレート部11の一端縁から略直角方向に延びる略垂直部12aが形成されていると共に、略垂直部12aから外方に略直角方向に延びる略水平部12bが形成されており、この略垂直部12a及び略水平部12bを含む部位が第1隣接部12となっている。
【0018】
先導部材100への取り付け時において上側となる第1プレート部11の上面11aには、取り付け金具110が配設され、この取り付け金具110を介して先導部材100に取り付けられる。
【0019】
第2部材20も第1部材10と同様に合成樹脂製で全体として断面略Z字型に成形され、第2プレート部21及び第2隣接部22を有している。第2プレート部21は先導部材100の配設方向すなわちカーテンの幅方向に沿って所定の幅(W2)とそれに直交する所定の奥行き(D2)とを有する略平板状に形成されている。平面視で該第2プレート部21の幅方向に隣接した位置に、該第2プレート部21の一端縁から下方に略直角方向に延びる略垂直部22aが形成されていると共に、略垂直部22aから外方に略直角方向に延びる略水平部22bが形成されており、この略垂直部22a及び略水平部22bを含む部位が第2隣接部22となっている。
【0020】
第2部材20は、先導部材100への取り付け時において上側となる第2プレート部21の上面21aが、第1部材10の第1プレート部11の下面11bに対向するように積層される。また、下方に突出している第1部材10の第1隣接部12及び第2部材10の第2隣接部22における略垂直部12a,22a同士並びに略水平部12b,22b同士がそれぞれ対向するように積層される(
図4及び
図5参照)。
【0021】
ここで、第1部材10における第1隣接部12の略水平部12bと、第2部材20における第2隣接部22の略水平部22bとの対向する位置のそれぞれに、
図4~
図6に示したように、先導部材100の長手方向に略直交する奥行き方向に沿って溝が刻設されている。第1隣接部12の略水平部12bに形成された溝が第1ワイヤ連結部12b1となり、第2隣接部22の略水平部22bに形成された溝が第2ワイヤ連結部22b1となっている。この溝からなる第1ワイヤ連結部12b1及び第2ワイヤ連結部22b1間に、駆動ワイヤ200が挟持される(
図3参照)。また、2つの略水平部12b,22bは、いずれも、第1プレート部11及び第2プレート部21の奥行き(D1,D2)よりも、奥行き方向に沿った長さが長く、平面視で、第1プレート部11及び第2プレート部21の奥行き(D1,D2)の長さの両側に突出する長さを有しており、駆動ワイヤ200との接触面積が大きくなるように形成されている。
【0022】
第1プレート部11及び第2プレート部21には、それぞれ平面視で略中央部に、貫通孔11c,21cが形成されている。この貫通孔11c,12cには係合用軸部材30が挿入配設される。係合用軸部材30は、軸部31と、該軸部31の一端に設けられ、先導部材100の長手方向に沿って形成された係合用溝部100aに係合可能な係合用頭部32とを有している。係合用頭部32は、例えば、略平行四辺形に形成されており、対向間隔が相対的に狭い対向2辺を、係合用溝部100aに沿わせてその内方に侵入させ、略90度回転させることで、対向間隔の幅の広い対向2辺が該係合用溝部100aに係合される構造になっている。
【0023】
第1プレート部11における第1隣接部12と幅方向反対側に位置する端縁にはヒンジ用係合部13が設けられており、第2プレート部21における第2隣接部22と幅方向反対側に位置する端縁にはヒンジ用係合部13と係合するヒンジ用被係合部23が設けられている。第1部材10及び第2部材20を積層させる際には、このヒンジ用係合部13とヒンジ用被係合部23を係合させ、ヒンジ用係合部13を中心として、第1隣接部12及び第2隣接部22側を接近させるように回転させれば、第1ワイヤ連結部12b1及び第2ワイヤ連結部12b1が安定して対向位置となるように設けれている。
【0024】
係合用軸部材30は、軸部31に、その長手方向の他端31c寄りに、外方に突出するフランジ部31aが形成されていると共に、該フランジ部31aから他端31c側に雄ねじ部31bが形成されている。軸部31は、その他端31c側より第1プレート部11の貫通孔11c及び第2プレート部21の貫通孔21cを貫通して配設される。第2プレート部21の貫通孔21cを貫通して、先導部材100に取り付けた姿勢において下方に突出している軸部31の周囲にコイルスプリング33が装填されると共に、さらにナット部材34が螺合されて締結されるが、この点についはさらに後述する。
【0025】
ここで、本実施形態では、第2部材20の第2プレート部21の下面21b側に積層される金属製プレート40が配設されている。この金属製プレート40は、係合用軸部材30が貫通する貫通孔41aを有すると共に、少なくとも、外縁の位置が、コイルスプリング33の外径よりも外側となる大きさを有している。このため、上記のように、第1プレート部11の貫通孔11cより挿入され、第2プレート部21の貫通孔21cから突出する係合用軸部材30の軸部31は、本実施形態では、さらに金属製プレート40の貫通孔41aを経て下方に突出することになる(
図4及び
図5参照)。
【0026】
金属製プレート40は、本実施形態では、断面略Z字型に形成されており、第2プレート部21の下面21b、第2隣接部22の略垂直部22aの表面22a1及び略水平部22bの表面22b2のそれぞれを被覆するように、ベースプレート部41、略垂直プレート部42及び略水平プレート部43を有している。そして、ベースプレート部41の略中央部に上記の貫通孔41aが形成されている。
【0027】
上記のように、第1部材10及び第2部材20は、ヒンジ用係合部13にヒンジ用被係合部23を係合させて積層されるが、金属製プレート40は、第2部材20の第2プレート部21の下面21bに積層され、ベースプレート部41の貫通孔41aを第2プレート部21に形成されている貫通孔21cに連通するように配置される。第1部材10、第2部材20及び金属製プレート40をこのように積層した状態で、係合用軸部材30の軸部31が、第1部材10の貫通孔11c側から、第2部材20の貫通孔21cを経由して金属製プレート40の貫通孔41aから突出するように挿通される。このとき、係合用軸部材30のフランジ部31aは、金属製プレート40の貫通孔41aの外方であって、金属製プレート40の貫通孔41aから所定距離離間した位置となるように、該係合用軸部材30における形成位置が規定されている。
【0028】
コイルスプリング33は、金属製プレート40の貫通孔41aから突出している軸部31回りに装填され、一端は金属製プレート40の貫通孔41aの周縁部に接するように配置される。コイルスプリング33をかかる位置に配置したならば、ナット部材34を雄ねじ部31bに螺合させる。ナット部材34を締め付けていくと、コイルスプリング33は圧縮され、その反力によって、ナット部材34に対して、金属製プレート40を第2部材20側に押し付ける。
【0029】
金属製プレート40は、略Z字型に形成されているため、ベースプレート部41が第2プレート部21に押し付けられ、略垂直プレート部42を介してベースプレート部41と一体になっている略水平プレート部43が、第2隣接部22の略水平部22bに押し付けられる。一方、第1部材10は先導部材100に固定されている。この結果、第2隣接部22は第1隣接部12に押し付けられ、第2ワイヤ連結部22b1及び第1ワイヤ連結部12b1間の駆動ワイヤ200は、上下方向から所定の力で挟み付けられることになる。
【0030】
このように、駆動ワイヤ200は、ナット部材34によって圧縮されたコイルスプリング33の弾性反力により、第1ワイヤ連結部12b1及び第2ワイヤ連結部22b1間に挟持されるが、コイルスプリング33の力は、金属製プレート40を介して作用する構造である。仮に、金属製プレート40を配設しない構造とした場合、コイルスプリング33の力は合成樹脂製である第2部材20に直接及ぶ。そのため、ナット部材34の締め付け量を大きくした場合、コイルスプリング33の力によって第2部材20が損傷を来す可能性がある。しかしながら、本実施形態ではコイルスプリング33の力を直接受けるのが金属製プレート40であるため、合成樹脂製のものと比較すると遙かに大きな力に耐えられる。従って、ナット部材34の締結に電気ドリルを用いることによって、予定より締め付け量が大きくなった場合でも、第2部材20や第1部材10に割れ等の損傷が生じることは低減される。従来、金属製プレート40を用いない構造では、電気ドリルを使用しての締結作業を行い難かったが、本実施形態によれば、電気ドリルによる作業が可能となり、作業効率が増す。
【0031】
本実施形態によれば、取り付け金具110を介して、先導部材100の係合用溝部100aに、係合用軸部材30の係合用頭部32を係合させて、第1部材10を先導部材100に固定する。次に、第1ワイヤ連結部12b1及び第2ワイヤ連結部22b1間に駆動ワイヤ200を挟む。次に、金属製プレート40を第2部材20に上記のように積層し、貫通孔41aから突出している係合用軸部材30の軸部31回りにコイルスプリング33を装填し、ナット部材34を雄ねじ部31bに螺合する。このとき、電気ドリルを用いることで容易に作業できることは上記のとおりである。
【0032】
駆動ワイヤ200は、
図1に示したように、先導部材100の長手方向に沿って所定間隔毎に設けられており、各駆動ワイヤ200に本実施形態の接続部材1を取り付けて先導部材100に接続する。このようにして取り付けたならば、原動機201を駆動する。それにより、駆動シャフト202が回転し、駆動シャフト202に巻き掛けられた駆動ワイヤ200がいずれかの方向に走行する。先導部材100は駆動ワイヤ200の走行方向に沿って移動し、先導部材100に取り付けられたカーテン2000が開閉される。このとき、カーテン2000や先導部材100にかかる負荷によって、先導部材100が蛇行して移動する場合がある。桟部材1100に当接して先導部材100の移動が停止する場合、蛇行した先導部材100は部分的に桟部材1100への当接タイミングがずれるが、先に当接した部位に近い接続部材1では、駆動ワイヤ200を挟持している第2ワイヤ連結部22b1及び第1ワイヤ連結部12b1間による挟持力は、コイルスプリング33によって付与されているため、先導部材100の移動が部分的に停止しても、駆動ワイヤ200がカーテン2000の開閉方向に走行し続けようとする。そのため、当該駆動ワイヤ200は、コイルスプリング33の弾性反力に抗して第2ワイヤ連結部22b1及び第1ワイヤ連結部12b1間を摺動する。従って、先導部材100が長手方向に蛇行していても、カーテン2000は、幅方向の全ての部位が開閉方向の終点に至るまで、該先導部材100は確実に移動することになる。
【0033】
本実施形態の接続部材1によれば、さらに、金属製プレート40を介してコイルスプリング33の弾性反力が作用するように構成されている。金属製プレート40を介さずにコイルスプリング33を直接合成樹脂製の第2部材20に当接した場合、コイルスプリング33の力が第2部材20に常に直接作用しているため、経年劣化により第2部材20に亀裂等が生じやすく、また、その場合、コイルスプリング33の力による第1ワイヤ連結部12b1と第2ワイヤ連結部22b1とによる駆動ワイヤ200の挟持力が弱くなってしまう。これに対し、本実施形態によれば、合成樹脂製の第1部材10や第2部材20に経年劣化によって亀裂等が生じても、コイルスプリング33の力は金属製プレート40を介して、ベースプレート部41が面接触する第2プレート部21を第1プレート部11方向に押し付けるため、コイルスプリング33の力による上記の駆動ワイヤ200の挟持力の低下を抑制できる。しかも、本実施形態では、金属製プレート40が、第2プレート部21だけでなく、略水平プレート部43が第2ワイヤ連結部22b1が形成されている第2隣接部22の略水平部22bを押圧する構成である。よって、コイルスプリング33の弾性反力は、略水平プレート部43が略水平部22bを第1隣接部12の略水平部12b方向に押圧する力として直接作用する。そのため、第2部材20等に生じる亀裂の位置に拘わらず、駆動ワイヤ200の挟持力をより確実に保持できる。
【0034】
本実施形態では金属製プレート40が略Z字型で、ベースプレート部41、略垂直プレート部42及び略水平プレート部43が、第2部材20の第2プレート部21の下面21b、第2隣接部22の略垂直部22aの表面22a1及び略水平部22bの表面22b2のそれぞれを被覆している。このため、第2部材20の露出範囲が狭くなり、合成樹脂製の第2部材20の経年劣化の抑制にも貢献できる。
【0035】
上記実施形態では、係合用軸部材30として、ナット部材34の締結量の最終的なストッパとなるフランジ部31aを係合用軸部材30に一体に設けている。これにより、ナット部材34の締結量のストッパを別途配設する必要がなく、構造の簡素化、コストの低減、作業の高効率化に貢献できる。しかしながら、
図7及び
図8に示したように、フランジ部が形成されていない係合用軸部材300を用い、その周囲に、ベースプレート部41の貫通孔41aから突出している軸部310よりも短い筒状部材311を装着する構成としてもよい。筒状部材311から突出している部位の雄ねじ部310aにナット部材34を螺合させた場合には、該筒状部材311の端縁311aに接触することで締結量が規制されることになる。
【0036】
また、
図7及び
図8の態様では、金属製プレート400として所定面積の1枚の平板部材から構成としている。この場合も、コイルスプリング33の力は1枚の平板部材からなる金属製プレート400に直接的に作用するため、上記のような第2部材20に亀裂等が生じた際の挟持力の低下抑制等の作用、効果を奏する。しかしながら、上記の断面略Z字型の金属製プレート40の場合、第2隣接部22を直接押圧する作用を有している。このため、第2部材20における亀裂等の位置に拘わらず、第2部材20への押圧力(第1ワイヤ連結部12b1及び第2ワイヤ連結部22b1間の挟持力)をより確実かつより長期間維持することができる点で好ましいことは上記のとおりである。
【符号の説明】
【0037】
1 接続部材
10 第1部材
11 第1プレート部
12 第1隣接部
12a 略垂直部
12b 略水平部
12b1 第1ワイヤ連結部
20 第2部材
21 第2プレート部
22 第2隣接部
22a 略垂直部
22b 略水平部
22b1 第2ワイヤ連結部
30,300 係合用軸部材
31 軸部
31a フランジ部
31b 雄ねじ部
32 係合用頭部
33 コイルスプリング
34 ナット部材
40,400 金属製プレート
41 ベースプレート部
42 略垂直プレート部
43 略水平プレート部
100 先導部材
200 駆動ワイヤ
1000 温室用カーテン開閉装置
1100 桟部材
2000 カーテン
2100 先端縁
2200 基端縁
3000 棚線