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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】送風殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61L9/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020085275
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178061
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500235618
【氏名又は名称】アルゴ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】内山 世紀
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-170242(JP,U)
【文献】国際公開第2019/131124(WO,A1)
【文献】特開2014-100206(JP,A)
【文献】特開2017-014386(JP,A)
【文献】特開2018-162898(JP,A)
【文献】特開平07-194684(JP,A)
【文献】特開2002-065818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
C09K 3/00
3/20-3/32
A61M36/10-36/14
A61N 5/00-5/10
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風殺菌装置であって、
内部に紫外線ランプが配置され、少なくとも側面を囲うように構成された紫外線反射筒と、
前記紫外線反射筒に外気を取り込むための送風ファンと、
前記紫外線反射筒および前記送風ファンを収納するとともに、外気取込口および空気吹出口を有する外側筐体とを備え、
前記紫外線反射筒は、内部に取り込まれた空気の流れを制御し、且つ、前記紫外線ランプから照射される紫外線を反射するための板を少なくとも2枚配置しており、
前記外側筐体は、内側において、前記紫外線反射筒の紫外線ランプから照射される紫外線を吸収する紫外線吸収材を、前記空気吹出口の近傍に有し、
前記紫外線ランプは、2枚の板の間に配置されていることを特徴とする送風殺菌装置。
【請求項2】
前記紫外線吸収材は、前記紫外線ランプから照射される紫外線を80%以上吸収することを特徴とする請求項1に記載の送風殺菌装置。
【請求項3】
前記紫外線反射筒の内面は、アルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の送風殺菌装置。
【請求項4】
前記紫外線反射筒の内面は、200nmから280nmの波長の紫外線を70%以上反射することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項5】
前記板は、200nmから280nmの波長の紫外線を75%以上反射することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項6】
前記板は、送風された空気が通るための貫通孔を有していることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項7】
前記板は、前記紫外線ランプを装着及び脱着可能なように、前記紫外線ランプの直径より大きい切れ込みを有していることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項8】
前記紫外線吸収材は、前記外気取込口の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項9】
前記紫外線吸収材は、紫外線吸収塗料により形成されていることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項10】
前記紫外線ランプは、フッ素フィルムでカバーされていることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【請求項11】
前記板は、ウイルスを物理的に破壊するよう、水平に設けられていることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の送風殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風殺菌装置に関し、より特定的には、吸い込んだ空気を紫外線によって殺菌し、清浄化(滅菌化)された空気を排出する送風殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に空気を清浄化する方法としては、空気清浄機が使用されている。空気清浄機は、ファンによって空気を吸い込み、フィルターで濾過し、清浄された空気を排出するものである。しかしながら、フィルターで濾過するだけでは、ウイルスや細菌を効果的に殺菌することはできない。そのため、細菌やウイルスを殺菌するために紫外線ランプが内蔵された殺菌空気清浄機(特許文献1)が知られている。
【0003】
紫外線を細菌に照射した場合、細菌細胞内のDNAに作用して、水和現象、分解などの光化学反応を引き起こし死滅させる効果を有することが知られている。また、ウイルスに対しても核酸(DNAあるいはRNA)に損傷を与えることで不活化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3223623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の殺菌空気清浄機は、外気取込口や空気吹出口から紫外線が漏れやすい構造のため、安全性の面において問題が生じていた。紫外線が漏れた場合、人間の眼球や皮膚等への損傷が生じる。また、室内の使用時においては、紫外線の当たったところの壁紙・カーテン・調度品に対して変退色を起こすことが懸念される。そのため、紫外線を照射する機器は、卓上や床上に置くことは避けられており、天井や壁面の高い所に取り付けるなどの対策を行い、漏れた紫外線が影響を与えないようにしなければならなかった。
【0006】
本発明は、かかる従来発明における課題に鑑みてされたものであり、本発明の目的は、紫外線の漏れをより確実に防止し、且つ、手軽に使用できる送風殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。
【0008】
本発明の送風殺菌装置は、送風殺菌装置であって、内部に紫外線ランプが配置され、少なくとも側面を囲うように構成された紫外線反射筒と、前記紫外線反射筒に外気を取り込むための送風ファンと、前記紫外線反射筒および前記送風ファンを収納するとともに、外気取込口および空気吹出口を有する外側筐体とを備え、前記紫外線反射筒は、内部に取り込まれた空気の流れを制御し、且つ、前記紫外線ランプから照射される紫外線を反射するための板を少なくとも2枚配置しており、前記外側筐体は、内側において、前記紫外線反射筒の紫外線ランプから照射される紫外線を吸収する紫外線吸収材を、前記空気吹出口の近傍に有することを特徴とする送風殺菌装置。
かかる構成により、安全にかつ手軽に空気を殺菌することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記紫外線吸収材は、前記紫外線ランプから照射される紫外線を80%以上吸収することを特徴とする。
かかる構成により、より確実に紫外線の漏れを防止することができる。
【0010】
また、好ましくは、前記紫外線反射筒の内面は、アルミニウムで形成されていることを特徴とする。
かかる構成により、吸い込んだ空気をより確実に殺菌することができる。これは、紫外線ランプから照射された紫外線が紫外線反射筒内で反射し、殺菌効果を高めているためである。
【0011】
また、好ましくは、前記紫外線反射筒の内面は、200nmから280nmの波長の紫外線を70%以上反射することを特徴とする。
かかる構成により、より確実に吸い込んだ空気を殺菌することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記板は、200nmから280nmの波長の紫外線を75%以上反射することを特徴とする。
かかる構成により、より確実に吸い込んだ空気を殺菌することができる。これは、紫外線ランプから照射された紫外線が板で反射し、殺菌効果を高めているためである。
【0013】
また、好ましくは、前記板は、送風された空気が通るための貫通孔を有していることを特徴とする。
かかる構成により、送風ファンからの空気量をより確実に調節することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記板は、前記紫外線ランプを装着及び脱着可能なように、前記紫外線ランプの直径より大きい切れ込みを有していることを特徴とする。
かかる構成により、紫外線ランプの取り外しが容易となる。また、空気は当該切れ込みの箇所を通るため、より確実に吸い込んだ空気を殺菌することができる。これは、吸い込んだ空気の流路を絞り込み、紫外線ランプ近傍を通過させることで、殺菌効果を向上させることができるためである。
【0015】
また、好ましくは、前記紫外線吸収材は、前記外気取込口の近傍に配置されていることを特徴とする。
かかる構成により、紫外線ランプから照射された紫外線が外部に漏れることをより確実に防止することができる。
【0016】
また、好ましくは、前記紫外線吸収材は、紫外線吸収塗料であることを特徴とする。
かかる構成により、簡易に紫外線吸収材を配置することができる。
【0017】
また、好ましくは、前記紫外線ランプは、フッ素フィルムでカバーされていることを特徴とする。
かかる構成により、紫外線ランプが破損した場合において、紫外線ランプの飛散を防止することができる。
【0018】
また、好ましくは、前記板は、ウイルスを物理的に破壊するよう、水平に設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、より確実に吸い込んだ空気を殺菌することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、安全にかつ手軽に空気を殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の外側筐体100を取り外したことを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の断面を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の紫外線反射筒200の内部構造を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の紫外線反射筒200の構成部品を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る紫外線殺菌装置の紫外線反射筒300の内部構造を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る紫外線殺菌装置の円筒形反射筒400を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10を示す図である。送風殺菌装置10は、外気取込口110から外気の空気を取り込み、紫外線で殺菌し、空気吹出口120から殺菌した空気を排出する構造をしている。なお、本発明における紫外線は、特別な表記がない限り、深紫外線、UV―C、殺菌線又は200nmから280nmのことを指す。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の外側筐体100を取り外したことを示す図である。送風殺菌装置10は、外側筐体100と、筐体基板140と、紫外線反射筒200とを備えており、紫外線反射筒200は、外側筐体100に覆われている。また、詳細は後述するが、外側筐体100の内面には、紫外線を吸収する紫外線吸収材130が配置しているため、紫外線が外に漏れにくい構造となっている。なお、吸い込んだ空気は、紫外線反射筒200内で殺菌している。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の断面を示す図であり、図4は、本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の紫外線反射筒200の内部構造を示す斜視図である。紫外線反射筒200は、紫外線ランプ210と、送風ファン220と、板250と、を備えており、送風ファン220を駆動させることにより、外気取込口110から取り込んだ空気を紫外線反射筒200内に送り込むことができる構造となっている。送風ファン220によって送り込まれた空気の流れは、板250によって制御されており、制御された空気は、紫外線ランプ210から照射される紫外線によって殺菌される。紫外線反射筒200の上方は開口しているため、そこから、殺菌された空気が排出され、空気吹出口120を通って外部に送風される。なお、本発明の送風殺菌装置10は、送風ファン220から送風された空気が紫外線ランプ210に近いところを通過するような構造をしている。具体的には、紫外線反射筒200内の中央付近に紫外線ランプ210を設け、空気の通り道を板250によって絞っている。これにより、殺菌性能を向上させている。これは、紫外線ランプ210に近いほど、紫外線照射強度が高いため、殺菌能力が向上するためである。
【0025】
本発明における紫外線ランプ210は、波長帯域が253.7nmの波長を含む紫外線を照射している。これは、波長帯域253.7nmの紫外線がウイルスや細菌を殺菌するのに適しているからである。また、紫外線ランプ210の紫外線放射強度は、8.6μW/sec/cmである。
【0026】
紫外線反射筒200内の体積は、0.000576m程度であり、送風ファン220からの風量としては、0.00566m/secである。したがって、紫外線反射筒200内を通過する空気の滞在時間は約0.1秒程度であり、その間に空気を殺菌している。なお、0.1秒という数値は、紫外線反射筒200内の体積を送風ファン220からの風量で割って算出した。
【0027】
送風ファン220の風量を制御することにより、殺菌レベルを制御することができる。これは、取り込んだ空気が紫外線反射筒200内に留まっている時間が長いほど、紫外線にさらされている時間が長くなるためである。そのため、風量の調節機能を設けてもよい。
【0028】
送風ファン220によって紫外線反射筒200内に空気を送り込み、送り込んだ空気が排出される際、空気の圧縮と伸張が発生する。このときの圧縮と伸張により細菌などの微生物に損傷を与えることができる。また、送風ファン220によって空気を取り込む際、空気が圧縮されているため、細菌などの微生物の密度も高くなっている。そのため、効率的に紫外線によって殺菌できる。また、細菌などの微生物は、空気の流れによって攪乱されるため、満遍なく紫外線に照射される。そのため、より確実に殺菌することができる。
【0029】
紫外線反射筒200内の内面は、200nmから280nmの波長の紫外線を70%以上反射するアルミニウムで形成されている。これにより、殺菌効果を向上させている。これは、反射した紫外線を再利用できためである。つまり、紫外線反射筒200内では、紫外線の反射が繰り返され、殺菌効果が増す構造となっている。200nmから280nmの波長の紫外線の反射率が70%以上であれば、アルミニウム以外のものでも構わない。例えば、ステンレス等でも構わない。これは、200nmから280nmの波長の紫外線を70%以上反射するのであれば、照射された紫外線の反射にも殺菌効果が認められるため、効果的に殺菌することができるためである。なお、空気中に漂う微細な浮遊物(ウイルス、細菌、ほこり等)は紫外線の透過性が低いため、紫外線を遮り、影部分を生じさせてしまうが、紫外線反射筒200の内面は、紫外線ランプ210から照射された紫外線を全周位的に反射しているので、影部分の発生を消去している。これにより、紫外線がウイルスや細菌に満遍なく照射されるので、より確実に殺菌することができる。
【0030】
紫外線ランプ210は、紫外線反射筒200の中心付近に位置しており、紫外線反射筒200内を通過する空気と紫外線ランプ210との距離が狭められている。そのため、紫外線ランプ210からの紫外線の減衰が少なく、より確実に殺菌することができる。
【0031】
紫外線ランプ210は、破損した際に、紫外線ランプ210が飛散しないように、フッ素フィルムによってカバーすると好適である。フッ素フィルムは、紫外線照射による劣化が少ないので好適である。なお、フッ素フィルムに限らず、別の素材でカバーしても構わない。
【0032】
紫外線反射筒200の上方は、開口しているため、紫外線ランプ210から照射された紫外線が外側筐体100の内面を反射して空気吹出口120から漏れる可能性がある。そのため、外側筐体100の内面には、紫外線吸収材130が配置されている。具体的には、紫外線吸収材130は、空気吹出口120の近傍に設けられている。これは、空気吹出口120から紫外線が漏れる可能性が高いためである。また、送風ファン220が設置されているとはいえ、下方も同様に開口しているため、紫外線が外気取込口11から漏れる可能性がある。そのため、外気取込口110の近傍にも紫外線吸収材130が設置されている。
【0033】
紫外線吸収材130は、外気取込口110及び空気吹出口120の近傍以外に設けても良い。具体的には、外側筐体100の内面の上面、筐体基板140、外側筐体100の内面の上側1/3の側面、外側筐体100の内面の下側1/3の側面等に設けてもよい。特に、外側筐体100の内面の上面に紫外線吸収材130を設けると、紫外線の漏出をより確実に防止できるため好ましい。
【0034】
紫外線吸収材130は、紫外線ランプ210から照射された紫外線を95%以上吸収する材料で構成されている。なお、紫外線吸収材130は、紫外線ランプ210から照射された紫外線を80%以上吸収する材料であれば、紫外線の漏れをほぼ防止することができる。紫外線が漏れるのは、反射した紫外線が、さらに反射した場合等である。そのため、紫外線吸収材130が紫外線を80%以上吸収すると、紫外線の漏れをほぼ防止することができる。なお、本発明で使用している紫外線を95%以上吸収する紫外線吸収材130の場合、一度目の反射で95%以上吸収でき、2度目の反射でさらに95%以上吸収できるため、0.25%以下にすることができる。
【0035】
紫外線吸収材130としては、紫外線吸収塗料等を塗布した金属板でも構わないし、直接、紫外線吸収塗料を塗布して形成しても構わない。紫外線吸収塗料の顔料としては、カーボンブラック等が好ましい。また、マジックやスプレー、墨汁、カッティングシート等で紫外線吸収材130を形成しても構わない。マジックの場合の吸収率は95.04%であり、スプレーの場合の吸収率は、94.46%であり、墨汁の場合の吸収率は、95.44%であり、カッティングシートの場合の吸収率は、94.48%吸収であった。
【0036】
送風ファン220は、紫外線反射筒200の下部に配置されており、上側に向かって送風している。上側に向かって送風された空気の流れは、板250によって制御されている。送風された空気は、板250に設けられた切れ込み251を通って移動している。
【0037】
なお、送風ファン220が高速で回転している際、ウイルスを物理的に破壊している。ウイルスは、物理的な衝撃でも破壊されるためである。また、送風ファン220からの送風を板250に衝突させることにより、ウイルスを物理的に破壊している。この場合、板250は、水平に設けられていると、送風ファン220からの風によってウイルスを破壊しやすくなる。
【0038】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る送風殺菌装置10の紫外線反射筒200の構成部品を示す図である。紫外線反射筒200は分解することができ、第1筐体230、第2筐体240、板250、ランプソケット260を備えている。板250は一番上と、一番下の少なくとも2枚あれば、紫外線ランプ210を取り付けることができる。なお、図5には、紫外線ランプ210は記載していない。
【0039】
第1筐体230の中央付近には、板250が1枚取り付けられており、第2筐体240の一番上の箇所と、一番下の箇所には、板250が取り付けられている。なお、一番上の箇所に取り付けられた板250と、一番下の箇所に取り付けられた板250には、ランプソケット260が配置される。ランプソケット260には紫外線ランプ210が取りつけることができる。
【0040】
第1筐体230に取り付けられた板250には、紫外線ランプ210の直径より大きい切れ込み251があり、その箇所に紫外線ランプ210が嵌る構造となっている。なお、切れ込み251は、紫外線ランプ210の近傍に位置するため、ここを空気が通過する際、強力に殺菌される。これは、空気と紫外線ランプ210との距離が近いほど、エネルギー値の紫外線が照射されるためである。これによって、短い滞留時間でも十分な殺菌効果が得られる。紫外線ランプ210と送風される空気との距離は、10mm~20mmの範囲と考えられる。
【0041】
第1筐体230に取り付けられた板250は、200nmから280nmの波長の紫外線を75%以上反射するアルミニウムで形成されている。アルミニウムは、紫外線の反射率が高いためである。紫外線の反射率が高いと、反射した紫外線によって効率的にウイルスや細菌を殺菌することができる。なお、200nmから280nmの波長の紫外線の反射率が75%以上であれば、アルミニウム以外のものでも構わない。例えば、ステンレス等でも構わない。これは、200nmから280nmの波長の紫外線を75%以上反射するのであれば、照射された紫外線の反射にも殺菌効果が認められるため、効果的に殺菌することができるためである。
【0042】
第2筐体240の一番上の箇所と、一番下の箇所には、板250が配置されている。なお、第1筐体230と第2筐体240とは、対向するように組み合わせるものである。そのため、第1筐体230と第2筐体240とを組み合わせた際、第1筐体230に取り付けられた板250と、第2筐体240によって紫外線ランプ210がしっかりと固定される。
【0043】
第2筐体240の一番上の箇所に取り付けられた板250と、一番下の箇所に取り付けられた板250の内側面、つまり、紫外線ランプ210からの紫外線を直接受ける面は、200nmから280nmの波長の紫外線を75%以上反射するアルミニウムで形成されている。これにより、紫外線ランプ210から照射された紫外線を内側に向けて反射している。つまり、紫外線反射筒200内に吸い込まれたウイルスや細菌は、全周及び上下方向、つまり、360度方向から紫外線が照射されることになる。360度方向から紫外線が照射されるため、影部分が発生しないので、より確実に殺菌することができる。一方、内側面の反対外の面である外側面には、紫外線を80%以上吸収する塗膜が形成されている。これにより、反射した紫外線が外に漏れるのを防止している。
【0044】
本発明の送風殺菌装置10には、埃などを集塵するフィルターなどを別途、設けていても構わない。
【0045】
次に、本発明の実施形態に係る送風殺菌装置10の殺菌能力を検討する。
上述した事項より、紫外線ランプ210の紫外線放射強度:8.6μW/sec/cm(距離:1mで測定時)
紫外線反射筒200内を通過する空気の滞在時間:約0.1秒
紫外線ランプ210から送風される空気への照射距離:10mmとすると、紫外線の線量は、86J/mとなる。なお、当該数値は、反射された紫外線を含めていないため、実際は、これ以上の数値になると考えられる。
一般的なデータによると、インフルエンザウイルスを99.99%殺菌するための紫外線量は66J/mである。他には、大腸菌(空気中)を99.99%殺菌するための紫外線量は27.6J/mである。
以上を考慮すると、本発明の送風殺菌装置10はインフルエンザウイルス、大腸菌(空気中)を99.99%殺菌することができるため、十分な殺菌能力を有すると言える。
【0046】
<第2の実施形態>
本発明の実施形態に係る送風殺菌装置と同一の構成については、同一の参照符号を付すことによって、詳細な説明は省略する。本実施形態では、主に、本発明の実施形態と異なる構成について説明する。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る紫外線殺菌装置の紫外線反射筒300の内部構造を示す図である。紫外線反射筒300の板250は、貫通孔252を有している。板250に貫通孔252を設けることで、空気の通過量を多くすることができる。これにより、より確実に空気の通過量を制御することができる。
【0048】
<第3の実施形態>
本発明の実施形態に係る送風殺菌装置と同一の構成については、同一の参照符号を付すことによって、詳細な説明は省略する。本実施形態では、主に、本発明の実施形態と異なる構成について説明する。
【0049】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る紫外線殺菌装置の円筒形反射筒400を示す図である。円筒形反射筒400は、送風殺菌装置10の紫外線反射筒200に相当する部材である。円筒形反射筒400の内面は、200nmから280nmの波長の紫外線を70%以上反射するアルミニウムで形成されている。
【0050】
円筒形反射筒400の内面には、UVCを照射する複数のLED410が配置されており、LED410から照射する紫外線によって、取り込んだ空気を殺菌することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る送風殺菌装置は、より確実に清浄化された空気を排出することが可能である。そのため、病院等で使用すると特に有用である。
【符号の説明】
【0052】
10 送風殺菌装置
100 外側筐体
110 外気取込口
120 空気吹出口
130 紫外線吸収材
140 筐体基板
200 紫外線反射筒
210 紫外線ランプ
220 送風ファン
230 第1筐体
240 第2筐体
250 板
251 切れ込み
252 貫通孔
260 ランプソケット
300 紫外線反射筒
400 円筒形反射筒
410 LED

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7