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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/20 20140101AFI20240415BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20240415BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20240415BHJP
【FI】
H02S30/20
H02S20/30 A
H02S20/30 D
H02S20/32
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020157667
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051273
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】392019857
【氏名又は名称】株式会社アクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】水越 裕治
(72)【発明者】
【氏名】今井 美里
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 浩明
(72)【発明者】
【氏名】澤守 忠
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102966(JP,A)
【文献】特開2007-019444(JP,A)
【文献】特開2013-225635(JP,A)
【文献】特開2011-035317(JP,A)
【文献】特開2010-147440(JP,A)
【文献】特開平10-125945(JP,A)
【文献】実開昭55-077868(JP,U)
【文献】特開2012-039812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141721(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1893067(KR,B1)
【文献】特開2014-049312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸回りの旋回手段を有する箱型の発電部を備え、
前記発電部は天井側に配置した天井パネル部と、側面側に配置し垂直方向の回動手段を有する側面パネル部とを有し、
前記側面パネル部は裏面側にスライド構造からなる少なくとも2つ以上の展開パネル部を有し、
前記2つ以上の展開パネル部は1つのチェーン駆動により前記側面パネル部の裏面側に収納された収納状態と、前記側面パネル部から両側にスライドした展開状態に切り替え可能になっていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記旋回手段は旋回用モーターによるチェーン伝達構造を有することを特徴とする請求項に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記回動手段は回動用モーターによるチェーン伝達構造を有することを特徴とする請求項に記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルによる発電装置に関し、特に強風時等の環境変化に対応しやすく、コストの低減と軽量化に優れる輸送可能な太陽光発電装置に係る。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルを利用した太陽光発電システムは、広く知られている。
例えば、太陽の方位角や高度の変化に太陽光パネルを追尾する太陽追尾型太陽光発電システム(特許文献1)や、強風時に風圧に対して安全となる姿勢に太陽光パネルを退避する強風退避型太陽光発電システム(特許文献2)等がある。
しかし、これらに開示する太陽光発電装置は、複雑なシステムであったり、大型の設備にならざるを得なかった。
そこで、本発明者らは、コンパクトな構造でありながら発電効率が高く、輸送してそのまま使用することが可能な太陽光発電装置として、発電に供しない時には太陽光パネル(天井パネルと側面パネルと)がコンテナ形状に収納可能な太陽光発電装置を先に提案している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-74037号公報
【文献】特開2011-165898号公報
【文献】特開2020-102966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コンパクトな構造かつ発電効率が高く、輸送可能な太陽光発電装置であって、強風時等の環境変化に対応しやすく、よりコストの低減と軽量化に優れる太陽光発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る太陽光発電装置は、鉛直軸回りの旋回手段を有する箱型の発電部を備え、前記発電部は天井側に配置した天井パネル部と、側面側に配置し垂直方向の回動手段を有する側面パネル部とを有し、前記側面パネル部は裏面側にスライド構造からなる展開パネル部を有することを特徴とする。
ここで、箱型とは、収納状態で天井パネル部の両側から側面パネル部が垂下し、側面パネル部の裏面側に展開パネル部が収納可能な形状をいう。
このように、展開パネル部を側面パネル部の裏面側にスライド構造により配置したため、コンパクトであり、軽量化を図ることができる。
【0006】
本発明において、前記側面パネル部は少なくとも2つ以上の展開パネル部を有し、前記2つ以上の展開パネル部は1つのチェーン駆動により前記側面パネル部の裏面側に収納された収納状態と、前記側面パネル部から両側にスライドした展開状態に切り替え可能になっていることが好ましい。
このように、1つの展開用モーターの駆動によって2つの展開パネル部を離間方向にスライド展開でき、強風時等にはスライド収納できれば、展開パネル部のそれぞれに駆動モーターを設けるよりもコストの低減と軽量化が可能になる。
【0007】
本発明において、前記旋回手段は旋回用モーターによるチェーン伝達構造であってよく、より具体的には、旋回用モーターと、旋回用モーターの駆動により回転する旋回用小スプロケットと、旋回用小スプロケットの回転により旋回用チェーンを介して回転する旋回用大スプロケットとを有することが好ましい。
また、本発明において、前記回動手段は回動用モーターによるチェーン伝達構造であってよく、より具体的には、回動用モーターと、回動用モーターの駆動により回転する回動用小スプロケットと、回動用小スプロケットの回転により回動用チェーンを介して回転する回動用大スプロケットとを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る太陽光発電装置は、発電部が収納時に箱型でコンパクトな構造でありながら、発電時には展開手段にて展開パネル部をスライド展開し、回動手段にて側面パネル部と展開パネル部を回動して太陽の高度に追尾させ、かつ鉛直軸回りの旋回手段にて太陽の方位角に追尾させることができるため、発電効率が高い。
また、強風時等には展開手段にて展開パネル部をスライド収納でき、かつ回動手段にて側面パネル部と展開パネル部を箱型に退避可能であるため、強風時等の安全性を確保し易い。
さらに、本発明における太陽光発電装置が、1つの展開用モーターとチェーンで2つの展開パネル部を同時にスライド収納又はスライド展開できるようにすると、部品数を減らすことができ、コンパクトで軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る太陽光発電装置の構造例を示し、(a)は発電部を収納した状態を、(b)は側面パネル部、展開パネル部が回動、展開した状態を示す。
図2】太陽光発電装置の内部構造例を示す。
図3】旋回手段の駆動構造例を示す。
図4】回動手段の駆動構造例を示す。
図5】展開手段の駆動構造例を示し、(a)は収納状態を、(b)は展開状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る太陽光発電装置10の構成例を以下、図に基づいて説明する。
【0011】
図1(a)は、収納状態で箱型の発電部を有し、2トントラック等に積載可能なサイズの太陽光発電装置10であって、太陽光追尾型の例を示す。
発電部は、天井パネル部13、天井パネル部13の前後両側の側面パネル部14,15及び側面パネル部14,15の裏面側に重なるようにスライド収納可能な展開パネル部16,17から構成される。
天井パネル部13は、長方形状のフレーム枠12の上面に、側面パネル部14,15は、フレーム枠12の前後両側に回動軸40,41を介して配設され、フレーム枠12はベース部11に対して旋回制御可能に支持されている。
フレーム枠12は、GPS等により太陽の方位角に追尾するように旋回するとともに、図1(b)に示すように、太陽の高度に追尾するように側面パネル部14,15を垂直方向に回動する。
展開パネル部16,17は、側面パネル部14,15の回動に合せて垂直方向に回動可能であり、側面パネル部14,15の裏面側から外側へスライド展開可能である。
本実施例においては、天井パネル部13が複数の太陽電池を配設した天井パネル部13a、13bの2つを備えるとともに、側面パネル部14,15が側面パネル部(14a、14b)、(15a、15b)の2セットを、さらに展開パネル部16,17が展開パネル部(16a、16b)、(17a、17b)の2セットを備えた例である。
また、本実施例のように、天井パネル部13の左右両側にも回動軸を介して補助パネル部13c、13dを配設し、補助パネル回動用モーター18、19の駆動により補助パネル部13c、13dが垂直方向に回動可能であってもよい。
【0012】
太陽光発電装置10の内部構造例を、図2に示す。
本発明においてベース部11は、ベース枠11aの下側に固定されたベース台11bから四方向(例えば、前後左右方向)にスライド延長及び収納可能なベース脚11cと、ベース枠11aの上側に固定されたリング状の旋回用ベース11dを有する。
ベース枠11aは、四角状の枠内にさらに十字に枠を形成してあり、十字の重なり部に上方へ延在する旋回支柱11eを設けてある。
太陽光発電装置10をトラックに積載等する際には、ベース脚11cをコンパクト化でき、パネル展開して発電等する際にはベース脚11cを延長することで、太陽光発電装置10を安定設置できる。
【0013】
フレーム枠12の下側には、タイヤ部12aを複数箇所、本実施例においてはタイヤ部12aを6箇所に設けてあり、このタイヤ部12aがベース部11の旋回用ベース11dを走行することで、フレーム枠12が鉛直軸回りに旋回可能になる。
フレーム枠12を旋回するために、駆動源として旋回用モーター20をフレーム枠12に固定している。
旋回手段をより詳細に説明するため、フレーム枠12を部分的に省略した図3を示す。
旋回手段は、旋回用モーター20と、その下方で旋回用モーター20の駆動により動力が伝達されて回転する旋回用小スプロケット21と、この旋回用小スプロケット21と旋回用チェーン22で連結した旋回用大スプロケット23からなる。
これにより、比較的小さい出力のモーターでよく、構造が簡単で軽量化される。
旋回用大スプロケット23は、ベース部11の旋回支柱11eに軸支され、旋回用大スプロケット23が旋回支柱11eを軸に回転することで、フレーム枠12が旋回用大スプロケット23の回転と逆回転となる方向に、旋回用ベース11dを走行する。
本実施例においては、旋回用ベース11dの内周面に沿って同心円状に複数のドグを有する一方、フレーム枠12から垂下した固定部24aを介して近接センサー24を設けることで、旋回角度を検出し、それを制御する例になっている。
【0014】
図4は、図1に示す保護カバー30、31を取り外すことで露出する回動用モーター32,33、回動用小スプロケット34、35、回動用チェーン36,37及び回動用大スプロケット38,39の構造例を示す。
回動用大スプロケット38,39は回動軸40,41を介して側面パネル部14,15と連結されている。
回動用モーター32,33は、フレーム枠12の上部に固定され、その駆動によって回動用小スプロケット34、35を回転させ、そのトルクを回動用チェーン36,37が伝達することで回動用大スプロケット38,39が回転する。
このように、回動用チェーン36,37と回動用モーター32,33にて、側面パネル部14,15の垂直方向の回動角が回動制御でき、構造が簡単である。
【0015】
図5は、側面パネル部14と展開パネル部16の裏面側の構造例を示し、図5(a)は収納状態を、図5(b)はスライド展開状態を示す。
フレーム枠12の一方に固定された1つの展開用モーター50に連結したスプロケットとフレーム枠12の他方に設けた従動スプロケットの間に、1つの展開用チェーン51が張設されている。
例えば、図5(a)に示すように、展開用チェーン51にブラケット52,53を介して展開パネル部16a、16bが支持されている。
これにより、展開用チェーン51が左右一対のブラケット52,53を離間する方向に作動すると、図5(b)に示すように左右の展開パネル部16a、16bが側面パネル部14a、14bの外側にスライド展開する。
また、逆方向に展開用チェーン51が作動することで、展開パネル部16a、16bを側面パネル部14a、14bの裏面側に重なるようにスライド収納する。
なお、側面パネル部15と展開パネル部17の展開手段についても、同様である。
【符号の説明】
【0016】
10 太陽光発電装置
13 天井パネル部
14 側面パネル部
15 側面パネル部
16 展開パネル部
17 展開パネル部
図1
図2
図3
図4
図5