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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】介護用具
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/053 20060101AFI20240415BHJP
   A61G 5/14 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61G7/053
A61G5/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020551156
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2019039588
(87)【国際公開番号】W WO2020075694
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018191049
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514011941
【氏名又は名称】株式会社東海技研工業
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】安江 宏
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-313527(JP,A)
【文献】登録実用新案第3034536(JP,U)
【文献】登録実用新案第3136449(JP,U)
【文献】特開2009-207858(JP,A)
【文献】特開2002-238952(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0048041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00- 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置箇所に対し上方に延伸した支部と、
前記支部を前記設置箇所に設置するための基部と、
前記支部の前記基部とは略反対端部側に、被介護者が使用する際に前記被介護者の正面に対して前記被介護者側に斜め上方に向かって設けられ、被介護者が身体を引っ張り揚げるために把持する把持部と、
前記把持部の、前記支部の前記基部とは略反対端部の上方の端部から前記基部に向かい、かつ、前記被介護者が使用する際に前記被介護者の正面に対して前記被介護者側に斜め上方に向かって、さらに、前記被介護者が前記把持部を把持した際に前記被介護者の前腕部分が接触するように、前記把持部の下方に設けられた前腕支持部と、
を備えたことを特徴とする介護用具。
【請求項2】
請求項1に記載の介護用具において、
前記被介護者が、前記把持部を把持して身体を引っ張り上げる際に、前記把持部を把持する手とは異なる側の手で把持して身体を支えるために、前記把持部において、前記前腕支持部とは反対端部に補助把持部を備えていることを特徴とする介護用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介護者などの使用者が自立できるようにするための介護用具及びそれを用いた移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッドのサイドフレームに着脱可能に取り付けられる基枠の一側端部に垂直部と水平部とからなるL字型アームの垂直部下端を接合して手摺本体を側面視で一側開口のコ字型に構成し、L字型アームの水平部先端には取っ手を固着し、さらに手摺本体には、その側面視中央空間部を塞ぐような立設状態と当該手摺本体の上部側において略水平に保持される状態とに適宜変更可能な枠体が設けられた手摺装置がある。
【0003】
この手摺装置は、ベッドの側部に取り付けられて、身体障害者や老人等(以下、被介護者とも呼ぶ)が寝ている状態から姿勢変更する際に取っ手部を手で引っ張る手掛かりとなるとともに、布団等の落下防止用柵や布団収納用棚としても利用できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-290007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の手摺装置では、被介護者が取っ手を引っ張ることにより、ベッドに寝た状態から上半身を起こすことは可能であるが座った状態から立ち上がることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、被介護者が介護者の補助を必要とすることなく、座った状態から立ち上がることを可能とする介護用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
<適用例1>
適用例1に記載の介護用具(1)は、設置箇所(7)に対し上方に延伸した支部(10)と、
前記支部(10)を前記設置箇所(7)に設置するための基部(20)と、
前記支部(10)の前記基部(20)とは略反対端部側に、被介護者(5)が使用する際に前記被介護者(5)の正面に対して前記被介護者(5)側に斜め上方に向かって設けられ、被介護者(5)が身体を引っ張り揚げるために把持する把持部(30)と、
前記把持部(30)の、前記支部(10)の前記基部(20)とは略反対端部の上方の端部から前記基部(20)に向かい、かつ、前記被介護者(5)が使用する際に前記被介護者(5)の正面に対して前記被介護者(5)側に斜め上方に向かって、さらに、前記被介護者(5)が前記把持部(30)を把持した際に前記被介護者(5)の前腕部分が接触するように、前記把持部(30)の下方に設けられた前腕支持部(40)と、
を備えたことを要旨とする。
【0009】
このような介護用具(1)では、基部(20)から設置箇所(7)に対し上方に延伸した支部(10)の、基部(20)とは略反対端部側に、被介護者(5)が使用する際に被介護者(5)の正面に対して被介護者(5)側に向かって斜め上方に向かって把持部(30)が設けられている。したがって、被介護者(5)が把持部(30)を把持した状態で自身の身体を把持部(30)の方向へ引っ張り上げることができる。
【0010】
一般に介護者が、腕力を補助するための補助具を用いて身体を動かしたり支えたりする場合、腕で押す力よりも引っ張る力の方が強い。したがって被介護者(5)が把持部(30)を把持して身体を引っ張り上げることにより、被介護者(5)が介護者の補助を必要とすることなく、座った状態から立ち上がることができる。
【0011】
さらに、適用例1に記載の介護用具(1)は、
前記把持部(30)の、前記支部(10)の前記基部(20)とは略反対端部の上方の端部から前記基部(20)に向かい、かつ、前記被介護者(5)が使用する際に前記被介護者(5)の正面に対して前記被介護者(5)側に斜め上方に向かって、さらに、前記被介護者(5)が前記把持部(30)を把持した際に前記被介護者(5)の前腕部分が接触するように、前記把持部(30)の下方に設けられた前腕支持部(40)と、を備えている。
【0012】
このような介護用具(1)では、被介護者(5)が把持部(30)を把持して身体を引っ張り上げる場合に、被介護者(5)の前腕が前腕支持部(40)に接触する。つまり、被介護者(5)が身体を引っ張り上げる際に、前腕支持部(40)に接触する前腕部分が支えとなって、前腕部分が安定した状態で引っ張り上げることができるため、より楽に立ち上がり動作を行うことができる。
【0013】
<適用例
適用例に記載の介護用具(1)は、
適用例1に記載の介護用具(1)において、
前記被介護者(5)が、前記把持部(30)を把持して身体を引っ張り上げる際に、前記把持部(30)を把持する手とは異なる側の手で把持して身体を支えるために、前記把持部(30)において、前記前腕支持部(40)とは反対端部に補助把持部(70)を備えていることを要旨とする。
このような介護用具(1)では、被介護者(5)が把持部(30)を把持して身体を引っ張り上げる際に、反対側の手で補助把持部(70)によって身体を支えることができるので、より楽に、かつ、安全に身体を引っ張り上げて立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】介護用具の概略の構成を示す図である。
図2】介護用具の使用方法を説明するための図である。
図3】第2実施形態における介護用具の概略の構成を示す図である。
図4】第3実施形態における介護用具を使用した手押し車の概略の構成を示す図である。
図5】手押し車に介護用具を取り付けた場合における使用状態を示す図である。
図6】その他の実施形態における介護用具の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0018】
[第1実施形態]
(介護用具の構成)
図1に基づき、介護用具1の構成について説明する。図1は、介護用具1の概略の構成を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図、図1(C)は平面図である。
【0019】
図1に示すように、介護用具1は、支部10、基部20、把持部30、前腕支持部40及び補助把持部70を備えている。
支部10は、被介護者5の居室などの床面である設置箇所7に対し上方に延伸した部分であり、2本のステンレスなどの直線状の金属パイプを曲げ加工して得られる2本の支柱11a,11bを備えている。
【0020】
基部20は、支部10を設置箇所7に設置するための部分であり、底板21、2本のパイプ22a,22b、第1補強部材23及び3本の補強部材24a,24b,24cを備えている。
【0021】
底板21は、ステンレスなどの金属板を円形に形成した板材である。また、底板21の略中央部分の2箇所にパイプ22a,22bを溶接などで固定してある。2本のパイプ22a,22bの位置は、図1(C)に示すように、円形の底板21の中心に対して、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる際に鉛直下方に力が掛かる位置と点対称になる位置近傍となっている。
【0022】
2本のパイプ22a,22bをこの位置にすることにより、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる際に介護用具1が転倒しないようになっている。
また、支柱11a,11bの先端部分及びパイプ22a,22bには、側面にピン孔が設けてあり、2箇所のパイプ22a,22bの内側に支部10の2本の支柱11a,11bの先端部を差し込み、ピン孔に図示しないピンを差し込むことにより、基部20に支部10を固定する。
【0023】
第1補強部材23及び第2補強部材24a,24b,24cは、底板21を補強するための部材である。
第1補強部材23は、円形の底板21の中心に対して、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる際に鉛直下方に力が掛かる位置側の円周方向に、円周の約3分の1程度の範囲に配置され、底板21の強度を高めている。
【0024】
第2補強部材24a,24b,24cは、円形の底板21の中心に対して、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる際に鉛直下方に力が掛かる位置側の半円内で中心を通って、半径方向に配置され、底板21の強度を高めている。
【0025】
把持部30は、被介護者5が把持する部分であり、支部10の、基部20とは略反対端部に設けられている。
把持部30は、支部10の支柱11aと共通の1本の金属パイプを曲げ加工して形成したものであり、1本の直線状の金属パイプの一端から所定の長さを直線のまま支部10の支柱11aとする。
【0026】
そして、図1(A)に示すように、金属パイプを斜め(図1(A)中右斜め上方)に曲げ、さらに、湾曲部を持たせて逆方向(図1(A)中左斜め上方)に曲げ、残りの部分を直線状のままとする。この直線部分が把持部30となる。
【0027】
前腕支持部40は、被介護者5が把持部30を把持した際に被介護者5の前腕部外側部分が接触するように、把持部30下側に設けられている。
前腕支持部40は、支部10の支柱11bと共通の1本の金属パイプを曲げ加工して形成したものであり、1本の直線状の金属パイプの一端から所定の長さを直線のまま支部10の支柱11bとする。
【0028】
補助把持部70は、被介護者5が、把持部30を把持して身体を引っ張り上げる際に、把持部30を把持する手とは異なる側の手で把持して身体を支えるための部分である。
補助把持部70は、把持部30と同様に、支柱11aと共通の1本の金属パイプを曲げ加工して形成したものである。図1(A)に示すように、金属パイプを斜め(図1(A)中右斜め上方)に曲げ、さらに、湾曲部を持たせて逆方向(図1(A)中左斜め上方)に曲げ、残りの部分を直線状のままとし、この湾曲部分が補助把持部70となる。
【0029】
そして、図1(A)に示すように、金属パイプを斜め(図1(A)中左斜め上方)に曲げる。ここで、図1(C)に示すように、残りの部分を外側に湾曲させ、さらに残りの部分を、逆方向(図1(A)中右斜め上方)に曲げ、残りの部分を直線状のまま残す。
【0030】
そして、把持部30の端部(支柱11aの反対端)及び前腕支持部40の端部(支柱11bの反対端)をL字管15に差し込んで溶接や接着などで固定する。
【0031】
(介護用具の使用方法)
次に、図2に基づき介護用具1の使用方法について説明する。図2は、介護用具1の使用方法を説明するための図であり、図2(A)は、右腕で身体を引き上げる場合の図、図2(B)は、左腕で身体を引き上げる場合の図である。右腕での介護用具1の使用方法を下記(ア)~(エ)に示す。なお、左腕で介護用具1を使用する場合は、図2(A)を図2(B)読み替えるとともに、右腕、右手をそれぞれ左腕、左手と読み替えればよい。
【0032】
(ア)図2(A)に示すように、被介護者5がベッド8に上半身を起こして着座した状態で、ベッド8の近傍に置いてある介護用具1の把持部30の直線部分を右手で把持する。(イ)被介護者5が右腕の前腕の肘に近い部分を前腕支持部40の湾曲部分の内側に当接させる。
【0033】
(ウ)この状態で、被介護者5は、把持部30を把持したまま右腕に力を入れ、身体を引っ張り上げる。
(エ)被介護者5は、身体を引っ張り上げる際に、補助把持部70を左手で把持して身体を支えて身体を安定させる。
【0034】
(介護用具の特徴)
以上に説明した介護用具1で、一般に介護者が腕で押す力よりも強い引っ張る力を利用して、被介護者5が介護者の補助を必要とすることなく、座った状態から立ち上がることができる。
【0035】
また、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる場合に、被介護者5の前腕外側の肘の近傍部分が前腕支持部40に当接する。したがって、被介護者5が身体を引っ張り上げる際に、前腕支持部40に当接する前腕外側が支えとなって、前腕部が外側にぶれない状態で引っ張り上げることができるため、より楽に立ち上がり動作を行うことができる。
【0036】
さらに、介護用具1は、設置箇所7に置かれた円板状の底板21の略中央部に支部10が固定されているため、安定した設置状態となる。したがって、被介護者5が把持部30を把持して身体を引っ張り上げる場合に介護用具1が倒れることがなく安全なものとなる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、図3に基づき第2実施形態について説明する。図3は、介護用具2の概略の構成を示す図である。なお、第2実施形態において第1実施形態と共通する箇所は同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図3に示すように介護用具2では、支部10を1本の支柱12で構成し、その先端に、金属パイプをリング状に形成した部材を取り付ける。このリング状部材の上部が把持部30となり、下部が前腕支持部40となる。また、把持部30と前腕支持部40の間で、把持部30の下方部分が補助把持部70となる。
【0039】
このような、介護用具2においても第1実施形態における介護用具1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、図4及び図5に基づき、第3実施形態について説明する。図4は、介護用具3を使用する対象となる移動体(手押し車50)の概略の構成を示す図であり、図5は手押し車50に介護用具3を取り付けた場合における使用状態を示す図である。
【0041】
なお、第3実施形態は、第1実施形態における介護用具1の基部20を変更した介護用具3を用いる手押し車50に係る実施形態であるため、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、移動体としての手押し車50は、いわゆるシルバーカーであり、4個の車輪51a,51b,51c,51d、チューブ52a,52b、ステー53a,53b、ハンドル54a,54b、座席55、背もたれ56及び収納部57を備えている。
【0043】
車輪51a~51dは、ハブ、スポーク及びリングと、リング外周に設けられたゴム製のタイヤを備えており、また、図示しないブレーキを備えている。
チューブ52a,52bは、アルミなどの金属製の部材であり、チューブ52aの両端部に車輪51a,51bが装着されており、チューブ52bの両端部には車輪51c,51dが装着されている。
【0044】
ステー53a,53bは、アルミなどの金属製の部材であり、ステー53aの下端がチューブ52aの上部面に固定され、ステー53bの下端がチューブ52bの上部面に固定されている。また、ステー53a,53bの先端には、それぞれハンドル54a,54bが装着されている。
【0045】
ハンドル54a,54bは、被介護者5などが把持する部分であり、金属パイプなどの表面に樹脂成形したグリップを装着して、把持しやすくなっている。また、ハンドル54a,54bには、車輪51a~51dに備えられているブレーキを作動させるためのブレーキグリップ54c,54dが設けられている。なお、ハンドル54a、54bが補助把持部70となる。
【0046】
座席55は、被介護者5が座る部分であり、帆布生地などを座布団状にし、内部にスポンジ状の樹脂を内蔵したものである。
背もたれ56は、被介護者5が座席55に座ったときに背中を支持して、座位状態で身体を安定させる部分であり、帆布生地などをベルト状に形成してステー53aとステー53bとの間に渡したものである。
【0047】
また、背もたれ56には、支部10の支柱13を挿通して支持するための挿通孔60が設けられている。この挿通孔60は、背もたれ56の表面中央部に帆布生地をベルト状に取り付ける(縫い付ける)ことによって形成している。
【0048】
収納部57は、被介護者5が収納したい物を収納するための部分であり、帆布生地を袋状に形成しステー53aとステー53bとの間に渡すとともに上部の一辺を座席55の後端辺に固定してある。
【0049】
次に、図5に基づき、介護用具3を取り付けた手押し車50の使用方法について説明する。
図5に示すように、介護用具3は、支部10の支柱13の先端が基部20となっており、支柱13の先端を小型の板状になるように形成してある。また、支柱13を背もたれ56の挿通孔60に挿通し、基部20が設置箇所7である床面に接触するようにしてある。
【0050】
このように、介護用具3を手押し車50に取り付けた状態で、被介護者5は、座席55に座り、背もたれ56に背中を付けた状態で、左手で把持部30を把持して、左腕に力を入れて、身体を引っ張り上げる。この際、右手で補助把持部70としてのハンドル54aを把持して、身体を支えることにより、より安定して身体を引っ張り上げることができる。
【0051】
このようにして、手押し車50などの移動体においても被介護者5が介護者の補助を必要とすることなく、座った状態から立ち上がることを可能となる。
【0052】
[その他の実施形態]
(1)上記第1実施形態では、2本の金属パイプを曲げ加工して支柱11a,11b、把持部30及び前腕支持部40を形成してL字管15で接合していたが、2本の金属パイプではなくすべての部分(支柱11a,11b、把持部30、前腕支持部40)を1本の金属パイプを曲げ加工して形成するようにしてもよい。
【0053】
(2)また、支部10を2本の金属パイプではなく1本の金属パイプや板材で形成し、その先端に金属パイプなどを曲げ加工して把持部30及び前腕支持部40を形成した部材を溶接などで固定するようにしてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、把持部30と前腕支持部40とを、金属パイプを曲げ加工又は接合により一体となるように形成していたが、図6に示すように、支部10に把持部30と前腕支持部40とを別々の部材(金属パイプや板材など)として取り付けるようにしてもよい。
【0055】
(4)上記実施形態では、前腕支持部40に前腕の外側を接触させていたが、被介護者5の使用方法(使い方の好みや体勢など)によっては、前腕の他の部分を接触させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3… 介護用具 5… 被介護者 7… 設置箇所 8… ベッド 10… 支部 11a,11b,12… 支柱 15… L字管 20… 基部 21、23… 底板 22a,22b… パイプ 30… 把持部 40… 前腕支持部 50… 移動体(手押し車) 51a,51b,51c,51d… 車輪 52a,52b… チューブ 53a,53b… ステー 54a,54b… ハンドル 54c,54d… ブレーキグリップ 55… 座席 56… 背もたれ 57… 収納部 60… 挿通孔(設置部) 70… 補助把持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6