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特許7471672標的患者の臓器内の異常なパターンの位置を特定するためのコンピューティングシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】標的患者の臓器内の異常なパターンの位置を特定するためのコンピューティングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/361 20210101AFI20240415BHJP
   A61B 5/327 20210101ALI20240415BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240415BHJP
【FI】
A61B5/361
A61B5/327
A61B5/33 100
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079633
(22)【出願日】2022-05-13
(62)【分割の表示】P 2018527085の分割
【原出願日】2016-12-22
(65)【公開番号】P2022116067
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】62/271,113
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/389,245
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506138351
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クラメン,デイビッド,イー.
(72)【発明者】
【氏名】マカロック,アンドリュー,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィロンコ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ゴードン
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0216438(US,A1)
【文献】特開2015-163199(JP,A)
【文献】特表2012-508079(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0216432(US,A1)
【文献】特表2007-517633(JP,A)
【文献】特表2014-530074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0216434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/318-5/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓のコンピューターモデルの患者に特異的なライブラリに基づいて、標的患者の不整脈の位置を特定するためのコンピューティングシステムによって実行される方法であって、前記方法は、
複数の患者の各々について、
不整脈の源の位置を含む前記患者の心臓の特徴にアクセスし、ここで、当該特徴は標的患者に由来するものではない工程と、
前記患者の心臓の特徴に基づいて、前記患者の心臓の患者に特異的なコンピューターモデルを生成し、ここで、患者に特異的なコンピューターモデルは、前記患者の心臓を表現する三次元メッシュを含むものである工程と、
前記三次元メッシュにマッピングされた電気的な活性化の源のマップを生成するために、前記患者の心臓の電気的な活性化をシミュレートする工程と、
前記患者の心臓の患者に特異的なコンピューターモデルを用いて、前記患者の心臓の電気的な活性化の表現を生成する工程と、
前記患者の電気的な活性化の表現を前記患者に特異的なライブラリに記憶する工程と、および、
標的患者の心臓の電気的な活性化の表現と、前記患者に特異的なライブラリに記憶された電気的な活性化の表現との適合に基づき、複数の患者のうちの一人ではない標的患者の不整脈の可能性のある源の位置を特定する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記位置は心臓のローターと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置は心臓のフォーカルソースと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一部の患者について、可能性のある不整脈の異なる源の位置に基づいて、前記患者の心臓の電気的な活性化の複数の表現を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者の前記心臓の電気的な活性化の表現は心電図である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者に特異的なライブラリはクラウドベースのシステムに記憶される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
クラウドベースのシステムへのゲートウェイを介して前記クラウドベースのシステムに提供される標的患者の前記心臓の電気的な活性化の表現に基づいて、前記標的患者の不整脈の位置を特定する工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気的な活性化の表現と、同じ不整脈の源の位置を有する患者から収集された電気的な活性化の表現とを比較することによって、不整脈の源の位置に基づいて生成されたコンピューターモデルを使用して生成される電気的な活性化の表現の精度を検証する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
標的患者の心臓内の不整脈の可能性のある源の位置を特定するためのコンピューティングシステムであって、前記コンピューティングシステムは、
1つ以上のプロセッサと、
命令を記憶する1つ以上のメモリと、
を含み、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行される場合、
不整脈の源の位置を含む、前記標的患者の心臓に特異的ではない心臓の特徴に基づいて心臓の電気的な活性化のシミュレートに基づいて生成された心電図であって、心臓内の不整脈の源の位置と関連する心電図を含むライブラリにアクセスすること、
前記標的患者の心電図を受信すること、
前記標的患者の心電図と適合する1つ以上の心電図を求めてライブラリを検索すること、および、
適合する心電図に関連する源の位置を、前記標的患者の心臓内の不整脈の可能性のある源の位置として指定すること、
を含む操作を引き起こす、コンピューティングシステム。
【請求項10】
前記ライブラリの心電図は、心臓の特徴のセットに基づいてシミュレートより生成されるコンピューターモデルに由来する、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記コンピューターモデルは、患者に特異的なコンピューターモデルを含む、請求項10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記コンピューターモデルは、患者に非特異的なコンピューターモデルを含む、請求項10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記ライブラリは、各心電図について、前記心電図が生成されるコンピューターモデルを含み、ここで、コンピューターモデルは前記ライブラリに記憶され、各心電図は、前記心電図が生成される前記コンピューターモデルに関連し、
前記命令は源の位置でコンピューターモデルを生成するために、シミュレートをする命令をさらに含む、請求項10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記ライブラリはクラウドベースのシステムに記憶される、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記ライブラリはクラウドベースのシステムに記憶され、前記命令は、前記クラウドベースのシステムへのゲートウェイを介して前記クラウドベースのシステムに提供される前記標的患者の心電図を受信するための命令をさらに含む、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項16】
前記命令は、アブレーション処置を誘導するために、指定された可能性のある源の位置の指示を出力するための命令をさらに含む、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項17】
前記位置は心臓のローターに関連する、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項18】
前記位置は心臓のフォーカルソースに関連する、請求項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項19】
標的患者の心臓内の異常なパターンの可能性のある位置を特定するための1つ以上のコンピューティングシステムによって実行される方法であって、前記方法は、
前記心臓の電気的な活性化の表現を含むライブラリにアクセスする工程であって、前記表現は、前記心臓の電気的な活性化のシミュレートと、前記心臓内の異常なパターンの位置に基づいて生成されたものであり、前記表現は、前記標的患者の心臓に基づいて生成された表現は含んでいないものである工程と、
前記標的患者の心臓の電気的な活性化の表現を受信する工程と、
前記標的患者の電気的な活性化の表現と適合する1つ以上の電気的な活性化の表現を求めて前記ライブラリを検索する工程と、および、
適合する電気的な活性化の表現と関連する前記位置を、前記標的患者の異常なパターンの可能性のある位置として指定する工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
前記電気的な活性化の表現は心電図であり、および前記異常なパターンは不整脈である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電気的な活性化の表現は、前記心臓の特徴のセットに基づいてシミュレートより生成されるコンピューターモデルに由来する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ライブラリはクラウドベースのシステムに記憶され、前記クラウドベースのシステムへのゲートウェイを介して前記標的患者の心臓の電気的な活性化の表現を受信する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
医療処置を誘導するために指定された可能性のある源の位置の指示を出力する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記医療処置は、アブレーション処置である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記心臓内の異常なパターンの除去の効果を示すために前記可能性のある位置に基づかないコンピューターモデルを生成しコンピューターモデルに基づいて前記心臓の電気的な活性化シミュレートする工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記コンピューターモデルは複数のコンピューターモデルから生成される複合モデルである、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,113号「COMPUTATIONAL LOCALIZATION OF VENTRICULAR FIBRILLATION SOURCES」の優先権、加えて2016年12月22日出願の米国仮特許出願第15/389,245号「COMPUTATIONAL LOCALIZATION OF FIBRILLATION SOURCES」の優先権を主張するものであり、これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載される主題は、細動源のコンピューターによる局在化、より具体的には、心室細動(VF)及び/又は心房細動(AF)の源の特定に関連する。
【背景技術】
【0003】
心室細動(VF)と心房細動(AF)は、症状、病的状態(失神又は卒中)、及び死亡を引き起こす場合がある。電気的なフォーカルソース(electrical focal sources)を再発させる安定した電気ローター、及び他の機構は、VF/AFの持続し及び/又は臨床的に有意なエピソード(episodes)の重要な誘発因子(drivers)である。VF/AFを処置するために、治療上のアブレーション、高周波(RF)、極低温、超音波、及び/又は外部照射源を使用して、これらの機構を標的とし及び/又は排除することができる。非侵襲的な方法を使用してVF及び/又はAFの維持機構をマッピングする能力は、そのような不整脈の管理において重要な利点をもたらす。
【0004】
VF/AFの維持機構(例えば、ローター又はフォーカルソース)の位置を確実に特定する現行の方法は、現在は最適以下である。これらは頻繁に、侵襲的な処置、即ち、高価な64の電極のバスケットカテーテルの挿入、及び/又は、除細動器パッドの配置に干渉し得る、高価で、獲得/製造が困難で、且つ扱いにくい体表面ベストを用いた不整脈のマッピングを必要とする。それ故、そのような処置は高価であり、時間を浪費し、患者にとって潜在的に危険なものである。従って、あまり高価でなく及び/又はあまり侵襲的ではない処置を用いる、細動源の存在及び/又は位置を特定する方法は、臨床的に有意な利点をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
幾つかの態様において、方法、コンピュータープログラム製品、及びシステムが提供される。実施において、細動源のコンピューターによる局在化のためのシステムが提供される。該システムは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はメモリを含む(又は、さもなくば利用する)ことができ、これらは、患者の心臓の電気的な活性化の表現の生成、及び、心臓の少なくとも1つの一致した表現を特定するために相関性に基づいた、生成された表現と心臓の1以上の記憶された表現との比較を含む操作を実行するように構成され得る。操作は更に、少なくとも1つの一致した表現に基づいた患者の心臓のコンピューターモデルの生成を含み、コンピューターモデルは、患者の心臓の1つ以上の細動源の例示を含んでいる。加えて、操作は、ユーザーインターフェースを介した、コンピューターモデルの少なくとも一部の表示を含み得る。
【0006】
幾つかの態様において、生成された表現及び/又は1つ以上の記憶された表現は、三次元データ(例えば、3Dモデルであり得る)を含み得る。幾つかの態様において、生成された表現及び/又は1つ以上の記憶された表現は、ベクトル心電図を含み得る。表現の比較は、1つ以上の記憶された表現の各々について、生成された表現と記憶された表現との相関係数の判定を含み、少なくとも1つの一致した表現は、最も高い相関係数を持つ記憶された表現として特定され得る。
【0007】
幾つかの変形において、操作は更に、異なる形状、幾何学的形状、繊維配向、瘢痕、細動源のタイプ、及び細動源の位置を含む複数のコンピューターによる心臓モデルの生成を含み得る。操作はまた、フィルタ処理したセットを特定するための患者の心臓の形状又は瘢痕に基づいた複数のコンピューターによる心臓モデルのフィルタ処理、及び/又はフィルタ処理したセットに基づく比較のための1つ以上の記憶された表現の選択を含み得る。様々な実装において、フィルタ処理は、コンピューター断層撮影画像データ、核磁気共鳴画像データ、心エコー検査データ、X線データ、蛍光透視データなどに基づき得る。
【0008】
幾つかの変形において、コンピューターモデルは、左心房、右心房、左心室、及び右心室の1つ以上を含み、及び/又は、1つ以上の細動源は、左心房、右心房、左心室、及び右心室の1つ以上にマッピングすることができる。1つ以上の細動源は、ローター又はフォーカルソース、或いは、心室細動又は心房細動の他の幾つかの源を含み得る。幾つかの変形において、コンピューターモデルは、心臓の三次元メッシュ、及び/又は、三次元メッシュにマッピングされた心臓の電気的な活性化の有限状態の細動源のマップを含む。
【0009】
幾つかの変形において、操作は更に、患者の心臓に基づいた心電図プロットの生成、及び/又は、心電図プロットに基づいたベクトル心電図の生成を含み得る。幾つかの変形において、操作は更に、(オリジナルの)コンピューターモデルに基づいた患者の心臓の第2のコンピューターモデルの生成を含み、第2のコンピューターモデルは、1つ以上の細動源よりも少ない細動源の数を含むように生成される。コンピューターモデルと第2のコンピューターモデルの対照比較はユーザーインターフェースを介して表示され得る。幾つかの態様において、第2のコンピューターモデルは、コンピューターモデルから1つ以上の細動源のうち1つを除去することにより生成され得る。幾つかの変形において、操作は更に、コンピューターモデルと第2のコンピューターモデルとの間の細動の変化の判定を含み得る。
【0010】
現行の主題の実装は、本記載と一致するシステム及び方法を含み得、これらは、記載されるような1つ以上の特徴、同様に、1つ以上の機械(例えばコンピューターなど)に本明細書に記載される操作を結果として行わせるために操作可能な、明白に具体化された機械可読媒体を含む物品を含む。同様に、1つ以上のプロセッサ、及び1つ以上のプロセッサに繋がれる1つ以上のメモリを含み得るコンピューターシステムも記載される。コンピューター可読記憶媒体を含み得るメモリは、1つ以上のプロセッサに本明細書に記載される操作の1つ以上を実行させる1つ以上のプログラムを含み、コードし、記憶するといった場合がある。現行の主題の1つ以上の実装と一致する、コンピューターで実施される方法は、単一のコンピューティングシステム又は多数のコンピューティングシステムに存在する、1つ以上のデータ処理装置により実施され得る。そのような多数のコンピューティングシステムは、1つ以上の接続を介して接続され、且つデータ及び/又はコマンド或いは他の命令などを交換することができ、前記接続は、多数のコンピューティングシステムの1つ以上の間の直接接続を介したネットワーク(例えば、インターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、有線ネットワークなど)上での接続を含むが、これに限定されない。
【0011】
本明細書に記載される主題の1つ以上の変形の詳細は、以下の添付図面と記載において説明される。本明細書に記載される主題の他の特徴と利点は、記載と図面、及び特許請求の範囲から明白となる。現在開示された主題の特定の特徴は、企業資源のソフトウェアシステム又は他のビジネス用ソフトソリューション或いはアーキテクチャーに関連した例示目的のために説明されているが、このような特徴は限定的ではないことを意図されていることは、容易に理解されるべきである。本開示の後の請求項は、保護された主題の範囲を定めるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書の一部に組み込まれ且つそれを構築する添付図面は、本明細書に開示された主題の特定の態様を示し、且つ、記載と共に、開示された実装に関連した原理の幾つかの説明を補助するものである。
図1】幾つかの例示的な実装に係る、細動源のコンピューターによる局在化のためのシステムのブロック図を表す。
図2A】幾つかの例示的な実装に係る、患者の右心房における活性化時間のマップを表す。
図2B】幾つかの例示的な実装に係る、患者の左心房における活性化時間のマップを表す。
図2C】幾つかの例示的な実装に係る、VFの細動源のマップを表す。
図2D】幾つかの例示的な実装に係る、AFの細動源のマップを表す。
図3A】幾つかの例示的な実装に係る、右心室における電気ローターの両室のコンピューターモデルを表す。
図3B】幾つかの例示的な実装に係る、特定されたローターを含む両室のコンピューターモデルを表す。
図4A】幾つかの例示的な実装に係る、コンピューターモデルから計算された心電図(EKG)データのグラフを表す。
図4B】幾つかの例示的な実装に係る、コンピューターモデルから計算されたベクトル心電図(VCG)を表す。
図5A】幾つかの例示的な実装に係る、患者の左心室におけるVF中の心臓の活性化の心臓内の等時性マップを表す。
図5B】幾つかの例示的な実装に係る、心臓内の電圧に応じた患者の生体構造内のVF源の位置を表す。
図6A】幾つかの例示的な実装に係る、ヒトVFの間のEKGの読み取りのグラフを表す。
図6B】幾つかの例示的な実装に係る、記録されたEKGデータから導き出されるVCGを表す。
図7A】幾つかの例示的な実装に係る、様々な時点でのVFを伴う両室のコンピューターモデルを表す。
図7B】幾つかの例示的な実装に係る、ある時間間隔にわたるコンピューター処理されたEKGの追跡のグラフを表す。
図7C】幾つかの例示的な実装に係る、ある時間間隔にわたるコンピューター処理されたVCGの追跡を表す。
図8A】幾つかの例示的な実装に係る、右心房と左心房のコンピューターモデルを表す。
図8B】幾つかの例示的な実装に係る、特定されたローターを維持するシミュレートされた病気の基質を伴う右心房と左心房のコンピューターモデルを表す。
図9】幾つかの例示的な実装に係る、一例のコンピューティング装置のブロック図を表す。
図10】幾つかの例示的な実装に係る、細動源のコンピューターによる局在化の方法の例を表す。
図11】幾つかの例示的な実装に係る、アブレーションの効果と心臓の細動の後のリスクを計算する方法の例を表す。
図12】幾つかの例示的な実装に係る、同じ解剖学的位置でのローターのシミュレートされたVCG及び測定されたヒトVCGを表す。
【0013】
実施の際に、同様の参照番号は同様の構造、特徴、又は要素を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述のように、あまり高価でなく及び/又はあまり侵襲的ではない手順/方法により細動源の存在及び/又は位置を特定することが望ましい場合もある。従って、心室細動(VF)又は心房細動(AF)を持つ患者におけるローター又はフォーカルソース(総体的に本明細書では「細動機構」と称される)の存在及び/又は位置を特定するための非侵襲的なシステムと方法が、記載される。幾つかの実装において、容易に利用可能な12の主な心電図(EKG)センサーデバイスは、大いに特定化され且つ高価である20以上の電極を使用して、外科的移植及び/又は外部心電図(「EKG」又は「ECG」)ベストを必要とする、使い捨ての64の電極のバスケットカテーテルの代わりに、患者の皮膚の表面に適用することができる。
【0015】
図1は、記載された主題と一致する特徴が実施され得るシステム(100)の機能的なブロック図を示す。例示されるように、システム(100)は、1つ以上のユーザーアクセスデバイス(140)及び/又は1つ以上のセンサーデバイス(150A-D)(総体的にセンサーデバイス(150)と称される)との通信が可能なコンピューティングシステム(110)を含み得る。幾つかの態様において、コンピューティングシステム(100)は、通信のために1つ以上のインターフェース(118)を利用することができる。システム(100)におけるデバイス間の通信は、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、ZigBee、WiFi、それらの幾つかの組み合わせなどのような無線接続の使用など、直通通信の使用を通じて行われ得る。付加的に又は代替的に、システム(100)におけるデバイス間の通信は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)などのハードワイヤード接続(hard wired connection)の使用を介して行われ得る。通信は付加的に又は代替的に、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット、それらの幾つかの組み合わせなどを含み得るネットワーク(160)などの上で間接通信を介して行われ得る。
【0016】
ネットワーク(160)上の通信は、基地局、Node B、進化型Node B(eNB)、アクセスノード(AN)、ホットスポットなどのネットワークアクセスデバイス(165)を利用することができる。幾つかの態様において、ユーザーアクセスデバイス(140)の何れかは、パーソナルコンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップ、作業端末、携帯電話、デジタルメディアデバイス、スマートフォン、スマートウォッチ、PDA(携帯情報端末)、タブレット、ハードウェア/ソフトウェアサーバー、センサー、センサーデバイス、端末、アクセスターミナル(AT)、移動局、ユーザー装置(UE)、サブスクライバユニットなどを含み得る。幾つかの態様において、センサーデバイス(150)の何れかは、EKGセンサーデバイス、ベクトル心電図(VCG)センサーデバイス、心臓撮像デバイスなどを含み得る。幾つかの実装において、心臓撮像デバイスは、コンピューター断層撮影(CT又はCAT)スキャンデバイス、核磁気共鳴画像(MRI)スキャンデバイス、セスタミビスキャンデバイス、タリウムスキャンデバイス、マルチゲート収集(multi-gated acquisition)スキャンデバイス、X線デバイス、心エコー検査デバイス、蛍光透視法デバイスなどを含み得る。様々な実装において、データ(例えば、心臓撮像データ)が提供され、及び/又はそれぞれのデバイス(例えば、心臓撮像デバイス)は提示されない場合もある。コンピューティングシステム(110)、ユーザーアクセスデバイス(140)、及び/又はセンサーデバイス(150)の中の有線又は無線通信は、様々なプロトコル及び/又はアクセス技術(例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、WiFi及び/又はBluetoothなどのIEEEにより開発された技術、ロング・ターム・エヴォリューション(LTE)及び/又はCDMA2000などの第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)又は3GPP2により開発された技術)に従って行われる場合がある。
【0017】
例示されたシステム(100)の少なくとも一部は、記憶データ、モデル、アルゴリズムなどと対話するハードウェア及び/又はソフトウェアを含み、及び/又は、データを受信、送信、定義、生成、及び/又は更新し得る。例示されるように、コンピューティングシステム(110)はプロセッサ(190)を含み、これは、コンピューティングシステム(110)の操作を管理/制御するために使用され得る。更に例示されるように、コンピューティングシステム(110)は、コアソフトウェア(112)及び/又は1つ以上のソフトウェアモジュール(114)を含み得る。コアソフトウェア(112)は、高レベルのプログラミングソフトウェアシステムの1つ以上の特徴を提供することができる。ソフトウェアモジュール(114)は、更に特定化された機能性を提供することができる。例えば、コアソフトウェア(112)及び/又はソフトウェアモジュール(114)は、センサーによる管理及び/又はデータ処理の機能性を含み得る。幾つかの態様において、コアソフトウェア(112)又は他の同様のソフトウェア/ハードウェアは、データベース(120)などのデータベース層にアクセス可能であり得る。データベース(120)はあらゆる種類のデータを記憶することができる、該データには潜在的に、センサーデバイス(150)から検索されたデータ、コンピューターモデル、EKGデータ、VCGデータ、機械学習アルゴリズム、データ変換アルゴリズム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
例えば、例示されるように、データベース(120)は、モデルライブラリ(192)、患者に特異的なモデル(194)、患者データライブラリ(195)、VCGライブラリ(196)、データ変換アルゴリズム(197)、及び/又は機械学習アルゴリズム(198)を含み得る。モデルライブラリ(192)は、心臓、心臓の一部、他の臓器などの複数のコンピューターモデルを保持することができる。モデルライブラリ(192)におけるコンピューターモデルは、高解像度(例えば、約500,000より大きな自由度)の有限要素モデルであり得る。コンピューターモデルの少なくとも一部は、Fenton-Karma、Bueno-Cherry-Fenton、ten Tussher-Noble、或いはシミュレートされたVF又はAFの間のヒトの心室又は心房の活動電位の同様の詳細なイオンモデルをそれぞれ組み込むことにより生成され得る。
【0019】
患者に特異的なモデル(194)は、モデルライブラリ(192)のモデルと同様のコンピューターモデルを含み得るが、患者に特異的なモデル(194)のモデルは実際の患者のデータに基づいて生成され得る。例えば、例示されるように、心臓内センサーデバイス(150A)は、患者(130A)の心臓の内部からデータを記録するために適用され得る。同時に(又は略同時に)、EKGセンサー(150B)は、EKG読み取りを記録するために患者(130A)の外部に適用され得る。これらの読み取りの組み合わせに基づいて、1つ以上の患者に特異的なモデル(194)を生成して記憶することができる。幾つかの実装において、患者に特異的なモデル(194)は付加的に又は代替的に、CTスキャンデータ、MRIスキャンデータ、セスタミビスキャンデータ、タリウムスキャンデータ、マルチゲート収集スキャンデータ、蛍光透視データ、X線データ、心エコー検査データ、及び/又は、患者(130N)の心臓の形状や瘢痕などを特定するために使用され得る他の心臓の画像化データに基づき得る。
【0020】
VCGライブラリ(196)は、モデルライブラリ(192)及び/又は患者に特異的なモデル(194)のコンピューターモデルに関するVCGデータを含み得る。例えば、VCGモデルは、モデルライブラリ(192)のコンピューターモデルに基づいて(例えば、各モデルに関連したEKGデータに基づいて)シミュレートされ得る。幾つかの実装において、VCGモデルは、心臓又はその幾つかの部分における電気活性の三次元追跡(three-dimensional tracing)を含み得る。幾つかの態様において、VCGデータは、時間空間的なVCGデータを含み得る。VCGライブラリ(196)のVCGデータは、患者データから構築されたVCGが一致し得る診断テンプレートとして役立ち得る。例えば、このVCGライブラリデータは、患者内のVF/AF源の位置を特定するために患者のVCGデータと比較することができる。例えば、例示されるように、EKGセンサーデバイス(150D)は患者(130N)からEKGデータを得ることができる。このEKGデータを使用してVCGデータを生成することができ、生成されたVCGデータは、VCGライブラリ(196)のVCGデータと比較することができる。これらのデータセットの中の相関性のレベルに基づいて、本明細書に記載されるようにVF/AF源を特定することができる。幾つかの実装において、VCGライブラリ(196)のVCGデータは、患者(130N)の心臓の物理的特徴(例えば、形状、瘢痕など)に基づいた比較のために(予め)フィルタ処理することができ、これは、CTスキャンデバイス、MRIスキャンデバイス、心エコー検査デバイスなどを含み得る心臓撮像デバイス(150C)を介して得られたデータに基づいて判定され得る。幾つかの実装において、VCGライブラリ(196)内のデータは付加的に/代替的にモデルライブラリ(192)内に記憶され得る。例えば、心臓のコンピューターモデルはそれぞれ、VCGデータを含むか、或いはそれに関連付けられ得る。
【0021】
幾つかの実装において、モデルライブラリ(192)内のコンピューターモデルは、患者に特異的なモデル(194)に基づいて生成及び/又は検証され得る。例えば、VCGライブラリ(196)のVCGは、それらを、患者に特異的なモデル(194)から得ることができるヒトVCGと比較することにより検証され得る。例えば、図12は、同じ心室の位置から、ヒトのローター(1210)とシミュレートされたローター(1250)に基づいて生成されたVCG(1220)、(1260)の比較を示す。幾つかの態様において、ヒトのローター(1210)は患者におけるVF源であり得る。例示されるように、ローターは、左心室内の中間の心室の後外側の位置にあり、及び/又は心内膜から見た時に反時計回りの方向に回転し得る。対応する第1のVCG(1220)は、VFの特定のサイクルにわたり、この患者のための臨床的VCGループを示す。
【0022】
幾つかの態様において、第2のVCG(1260)はシミュレートされたVCGループを示し、これは、(例えばVFの同じサイクルにわたり)臨床的VCG(1220)に非常に接近している。第2のVCG(1260)はVCGライブラリ(196)内に記憶され及び/又はそこから検索され得る。対応するコンピューターでシミュレートされたローター(1250)は、VCG(1260)のデータにより示されたVF源をシミュレートすることができる。例示されるように、VF源のローター(1250)の位置は、左心室内の中間の心室の後外側の位置に位置付けられており、及び/又は心内膜から見た時に反時計回りの方向に回転し得る。例示されるように、VCG(1220)(1260)はタイミング情報に基づいて暗くなる(shaded)。
【0023】
図1に戻ると、幾つかの態様において、患者に特異的なモデル(194)のVCGは、VFが誘発された患者から得られる並列電極の侵襲的な心臓内の記録を用いて特定される既知のローター及びフォーカルソースの位置と共に、患者データライブラリ(195)から提供され及び/又はその中に記憶され得る既存のヒトのデータセットから構築され得る。
【0024】
幾つかの態様において、患者に特異的なモデル(194)のロバストネスは、モデルライブラリ(192)の精度及び/又は値を増大することができ、これにより、患者(130)内のVF/AF源を特定する尤度及び/又は患者(130)の心臓内のVF/AF源の特定の位置を判定する精度が増大される。機械学習アルゴリズム(198)は、EKGセンサーデータ、CTスキャンデータ、VCGなどの受信に基づいて患者内のVF/AFを検出するためのアルゴリズムを生成するために、患者に特異的なモデル(194)に基づいて訓練され得る。例えば、関連づけられたEKGデータとVCGは、VF/AFの機構と部位(loci)を特定する機械学習アルゴリズムを訓練するために使用され得る。幾つかの例の実施形態において、VF/AFローターの存在と位置を予測するための診断基準を導き出すためのアルゴリズムが提供され得る。この目的のために、自動化された診断ツールは、統計的な分類及び/又は機械学習技術を使用してVF/AFの機構と位置を特定するために、VF/AFを持つ患者の表面EKGから算出されたVCGを診断テンプレート(例えば、VCGライブラリ(196))と自動的に比較するように提供され得る。
【0025】
幾つかの実装において、データ変換アルゴリズム(197)は、統計的な分類及び/又は機械学習技術を使用して、胸部の寸法、肺の幾何学的形状、筋肉組織の範囲、体脂肪の構成、及び/又は表面電極測定に影響を及ぼし得る他の要因における患者間の差を説明するために、患者(130A)から測定されたEKG及び/又はVCGデータを標準化するように使用され得る。
【0026】
幾つかの実装において、モデルライブラリ(192)、患者特異的なモデル(194)、VCGライブラリ(196)、機械学習アルゴリズム(198)、データ変換アルゴリズム(197)、及び/又は患者データライブラリ(195)は、VF/AF機構に特異的であり得る。例えば、モデルライブラリ(192)と患者に特異的なモデル(194)は、ローターのためのモデル、及びフォーカルソースのための別個のモデルを含み得る。従って、VCGライブラリ(196)は、ローターに基づくVCG、及びフォーカルソースに基づく別個のVCGを含み得る。ローターとフォーカルソースがVCGの内で様々な方法により具現化すると、モデル/VCGの別個のセットを使用して、機構、加えてその位置を特定することができる。
【0027】
幾つかの態様において、コアソフトウェア(112)は、1つ以上のセンサーデバイス(150)やユーザーアクセスデバイス(140)などを介してユーザー又はコンピューターシステムにより開始される命令、データ、又はクエリの受信に応じて、データベース(120)からメモリ(116)(例えばメインメモリ)へと情報をロードするように構成され得る。データベース(120)はコンピューティングシステム内に位置しているものとして例示されるが、様々な実装において、データベース(120)の少なくとも一部はコンピューティングシステム(110)と離れている場合がある。
【0028】
幾つかの態様において、ソフトウェアモジュール(114)の1つ以上は、メモリ(116)に記憶されたデータ、データベース(120)に記憶されたデータ、及び/又はコンピューティングシステム(110)にアクセス可能なデータを利用するように構成され得る。幾つかの態様において、コンピューティングシステム(110)は、コンピューティングシステム(110)では利用可能で無い場合もある付加的な機能又はサービスを提供することができる、外部ソフトウェアを利用可能な場合もある。幾つかの態様において、外部ソフトウェアはクラウドサービスを含み得る。幾つかの態様において、コンピューティングシステム(110)はゲートウェイを統合、又はさもなくば設けることができ、これを介してユーザーは外部ソフトウェアにより提供される機能にアクセスすることができる。幾つかの実装において、データベース(120)及び/又はそのコンテンツは1つ以上のサーバーにわたって位置付けられ、及び/又は、コンピューティングシステム(110)、ユーザーアクセスデバイス(140)、及び/又はセンサーデバイス(150)の中の通信はネットワーク(160)上で行われ得る。
【0029】
幾つかの態様において、データベース(120)は、ハードウェアサーバーの中に、又は複数のハードウェアサーバーにわたって物理的に記憶され得る。幾つかの態様において、システム(100)は、クラウドベースのシステム及び/又はデータ処理システムとして実装され得る。
【0030】
図2Aは、幾つかの例示的な実装に係る、患者の右心房(210)における(影の付いたスケール(shaded scale)に応じてミリ秒での)細動源の活性化マップ(200)を表す。例示されるように、右心房(210)のより長い及び/又は維持された活性化は、源(220)の周囲で回転し得る。この源(220)は、AFの源、より具体的にはローターと見なされ得る。幾つかの態様において、ローターは、実際には少なくとも部分的に回転式であるAFの形成中心(例えば、活性化時間の持続時間が最大である領域)と見なされ得る。右心房(210)が例示且つ記載されているが、ローターは心臓の任意の室内に存在し得る。
【0031】
図2Bは、幾つかの例示的な実装に係る、患者の左心房(260)における(影の付いたスケール(shaded scale)に応じてミリ秒での)細動源の活性化マップ(250)を表す。例示されるように、左心房(260)のより長い及び/又は維持された活性化は、源(270)から生じ得る。この源(270)は、AFの源、より具体的にはフォーカルソースと見なされ得る。幾つかの態様において、フォーカルソースは、AFが遠位に生成される形成中心(例えば、活性化時間の最大持続時間が生じる領域)と見なされ得る。左心房(270)が例示且つ記載されているが、フォーカルソースは心臓の任意の室内に存在し得る。
【0032】
図2Cは、幾つかの例示的な実装に係る、VFの細動源のマップ(280)を表す。幾つかの態様において、細動源のマップ(280)は、本明細書に記載されるコンピューターアルゴリズムの産物であり得る。例示されるように、VFを維持する心臓内の領域は、VF源(285)が心室の特定領域に位置するVFサイクルのパーセントに応じて暗くなる。
【0033】
図2Dは、幾つかの例示的な実装に係る、AFの細動源のマップ(290)を表す。幾つかの態様において、細動源のマップ(290)は、本明細書に記載されるコンピューターアルゴリズムの産物であり得る。例示されるように、AFを維持する心臓内の領域は、AF源(295)が心房の特定領域に位置するAFサイクルのパーセントに応じて暗くなる。
【0034】
VF/AFの源(220)、(270)、(285)、及び(295)の位置の特定は、その位置の知識が外科的処置の誘導、及び医療専門家が必要とする当て推量の量の最小化を助けることができるため、有益となり得る。例えば、AFを有する患者において、個々のローター(例えば、図2Aに例示されるように)又はフォーカルソース(例えば、図2Bに例示されるように)は、アブレーションのために標的とされ得る。加えて、源は、そのような源(例えば、図2Cと2Dに例示されるような)から生じるサイクル/時間のパーセンテージに応じて優先され得る。その後、アブレーションは、源ではない組織に送達されるのではなく、臨床的不整脈を持続させる領域に送達され得る。順に、源(220)(270)の位置は特異的に標的とされ得るので、処置の成功の可能性が高まる場合がある。加えて、手術中の他の臓器、神経、骨、筋肉への損傷のリスクの低下、回復時間の減少、及び/又は瘢痕の最小化が生じ得る。
【0035】
心不全は、心室の形状、繊維配向、イオンチャネル発現の再形成の変化、及び/又は同様に他の条件/変化を含む及び/又はそれらに基づき得る複合疾患である。故に、心臓のコンピューターモデルは、例えば、図1のコンピューティングシステム(110)に従い、特定の患者の条件/変化に基づいてVF/AFの源/位置を特定するために、生成され、修正され、表示され、又はさもなくば利用され得る。
【0036】
心臓(又はその部分)のコンピューターモデルは、心臓を表す撮像情報(例えば、三次元)、及び/又は心臓の電気生理現象を表す電気データに基づいて生成され得る。コンピューターモデルの少なくとも幾つかは、コンピューターモデルを生成するために使用されるデータ、及びコンピューターモデルに関連して使用されるパラメーター/メトリクスが、条件/変化を考慮に入れて、与えられた患者に対し特異的であり得るという意味で、患者に特異的であり得る。しかし、患者に特異的なモデルを生成するのに必要な時間、労力、コスト、及び侵襲的処置は、禁止される場合もある。例えば、心臓の内部から電気的性質を測定するために、心臓内の記録カテーテル又はデバイスの位置決めが必要とされ得る。従って、コンピューターモデルの少なくとも幾つかは、特定の患者の心臓を表わさないという意味で、通常のモデルかもしれない。これらコンピューターモデルは、患者に特異的なモデル又は他の患者に特異的なデータ、ヒトの心臓の測定された/既知の特徴などに基づいて、手作業で生成され得る。その後、例えば、図1のコンピューティングシステム(110)において注記されるように、生成されたモデルはより特異的な患者の構成へと「変換」され得る。
【0037】
通常のモデルは、付加的な通常のモデルを生成するために修正され得る。例えば、(例えば、患者から得られる患者に特異的なモデル又は他のデータとの比較を通じて)十分に正確なものとして検証された通常のモデルに基づいて、心臓の形状及び/又は心臓内の瘢痕の位置は、変更され得る。心臓の形状及び/又は瘢痕はVF/AFに影響を及ぼしかねないため、様々な心臓の形状/瘢痕を持つ付加的なモデルを持つことで、VF/AFの源を位置特定する際に付加的な精度を提供することができる。幾つかの実装において、何千ものコンピューターモデルが、モデルライブラリ(192)内に生成及び/又は記憶され得る。これら生成技術の何れかは、手動であり、少なくとも部分的に自動であり、及び/又は機械学習に基づき得る。幾つかの態様において、コンピューターモデルは不整脈の有限要素コンピューターモデルと見なされ得る。
【0038】
患者の心臓の電気的性質の測定が生成及び/又は受信され得る。例えば、コンピューティングシステム(100)は、患者のEKGデータを受信及び/又は記録し得る。幾つかの実装において、EKGデータは、患者の(例えば、胸、腕、脚、頭部などの表面上の)多数の身体の位置からの心臓の電気的機能の連続的で動的な信号を記録する、12の主なEKGなどのEKGセンサーデバイスから得られる場合がある。加えて、コンピューティングシステム(100)は、患者の心臓内のデータを受信及び/又は記録し得る。幾つかの実装において、心臓内のデータは、心臓の少なくとも1つの室内にある操縦可能なマッピングカテーテル及び/又はアブレーションカテーテル(例えば、VFについては左心室及び/又は右心室にあるアブレーションカテーテル、或いは心房細動については左心房及び/又は右心房内のアブレーションカテーテル)から、或いは、患者の心臓内からの心臓の電気機能の連続的な動的信号を記録する、心臓の少なくとも1つの室内にある64の電極バスケットカテーテルなどの1つ以上のバスケットカテーテル(例えば、VFについては左心室及び右心室にあるもの、又はAFについては左心房及び右心房にあるもの)から、得ることができる。
【0039】
幾つかの態様において、心臓内のデータは、コンピューティングシステム(100)が、患者の心臓の内部と外部からの心臓の電気機能を表すデータへのアクセスを持つように、EKGデータと(例えば一時的に)一致され得る。心臓内データとEKGデータとの関係に基づいて、VF/AF源(例えばローター又はフォーカルソース)を特定するために、パターンが特定され、及び/又は相関性が定められ得る。幾つかの実装において、心臓内データとEKGデータは、患者の心臓が興奮している時、及び/又は患者の心臓がリラックス状態にある時に測定することができる。一例示的な実装において、心臓の電気活性は、心臓の活性化と表面EKG記録及び/又は算出されたVCGとの関係を築くために、1つ以上の位置での心臓内の慣例的なペーシングから記録され得る。別の実装において、VF/AFは患者内で誘発することができ、この時間中の電気データを測定/記録することができる。このデータは、VF/AFの間に患者の心臓がどのように作用するかを実証するため、VF/AF源を特定するためにベースラインデータ及び他の患者のデータと比較され得る。
【0040】
患者の心臓(例えば左心房、右心房、左心室、及び/又は右心室)の画像データが受信され得る。例えば、コンピューティングシステムは、臨床的心臓CTスキャンデバイス、2D又は3D心エコー検査デバイス、心筋血流スキャンデバイス、MRIデバイス、陽電子照射断層撮影デバイス、X線デバイス、蛍光透視デバイス、及び/又は、心臓(及び/又はその一部)の画像を生成又は提供可能な他のデバイスから得られた心臓画像(又はその一部)を含む画像データを受信及び/又は記録し得る。心臓の3D解剖学的モデルを心臓内データ及び/又はEKGデータと組み合わせるために、データ処理装置は、心臓内データ及び/又はEKGデータが心臓の(例えば、その心室又は心房の領域の)適切な配向で整列されるように、データを記録(例えば、整列)し得る。
【0041】
患者の電気活性上のデータを含む4次元(4D)の患者に特異的なコンピューターモデルが生成され得る。例えば、コンピューティングシステム(110)は、電気活性データから追加のダイナミクスと共に受信された3Dデータに基づいて、4Dモデルを生成し得る。4Dコンピューターモデルは、経時的に心臓(又はその一部)の形態と生体構造の3D表現を提供し、及び、時間の異なるEKGデータ及び/又は心臓内データなどの心臓(又はその一部)の時間の異なる電気的ダイナミクスを提供することができる。電気的なダイナミクスは、心筋を介する活性化の活性化パターン及び/又は電気的軌道を含み得る。電気的なダイナミクスは、電気的な再分極/回復のパターン(例えば、シーケンス)を含み得る。このモデルはまた、個々の患者において測定され又はシミュレートされ得る、灌流又は梗塞の地理的分布などの付加的/代替的な態様を含み得る。
【0042】
幾つかの実装において、コンピューターモデルは、患者の心臓の3Dの両室の幾何学的形状、ヒトの心臓の繊維構造、部分的及び/又は完全な脚ブロックなどの心筋虚血、梗塞、解剖学的(及び/又は機能的な)電気伝導度の欠如の存在により引き起こされた異種の伝導度の領域などに重ねられ及び/又は記録されるEKGデータを含み得る。このモデルは有限要素メッシュを使用して生成され得る。(心室の生体構造を含み得る)心臓の患者に特異的な有限要素メッシュは、臨床的CTデータ、灌流画像、MRIデータ、及び/又は他のタイプの画像データなどの画像データから生成され得る。
【0043】
コンピューターモデルはまた、心臓の繊維構造を含み得る。心臓の繊維構造は、例えば、解剖学的なモデルに対してDT-MR測定を記録するために対数-Euclideanの補間法のフレームワークを使用して経験的に推定され得る。再構築された拡散テンソルは、ローカルファイバー、シート、及びシート正常軸(sheet-normal axes)を挿入するために対応する解剖学的なメッシュにおいて、対数変換された構成要素の領域として適合され得る。結果として生じるモデルにおけるファイバーの配向は、大変形の微分同相写像を介して患者へとマッピングされ、且つ、ファイバーの配向に対する心室の形状の差異の効果を説明するためにテンプレートと標的の患者の心室の幾何学的形状との間の3D変形勾配に基づいて再配向され得る。結果として生じるファイバー-シートのモデルは、(例えば約7:1のファイバー-シートの異方性比を有し得る)横方向に等方性又は直向性の心室の電気伝導度の局所的な基礎を形成する。
【0044】
コンピューターモデルはまた、心筋虚血、梗塞の領域、及び/又は、他の領域も含み得る。このような場合、心筋虚血又は梗塞の領域は、例えば、圧迫と休息中に得られた灌流画像及び/又はセスタミビ灌流画像から特定され得る。心筋虚血又は梗塞の境界領域は、心臓の生成された解剖学的メッシュ上で境界を定められ得る。例えば、患者は、中隔後部梗塞、及び下壁梗塞を患う場合もある。これらの領域は、通常の組織及び梗塞の組織の2進数フィールドとしてコンピューターモデルに記録され得る。
【0045】
コンピューターモデルはまた、境界域及び/又は梗塞または虚血の領域における伝導性と同様に、筋繊維及び横方向の配向における左心室及び右心室の心臓内かバルク心筋の組織の電気伝導性などの、心筋の電気伝導度特性を含み得る。電位は、心不全中に生じるチャネル動力学における変化を適応するために調節されるヒト心室のミオサイトのモデルにより説明されうる。活動電位の伝搬は、モノドメインまたはバイドメインの反応拡散数学的フレームワーク(reaction-diffusion mathematical framework)においてモデル化されうる。心室のドメインの電気伝導度は、左心室および右心室の心内膜下領域(例えば、心室腔に横に隣接する3mmまで)、梗塞領域、および残りのバルク心筋に区分化され得る。心臓内の領域における伝導度は、明確にモデル化されていない場合には、プルキンエシステムの高速伝導を説明するためにバルク心筋の伝導度の例えば約10倍まで変動することができる。梗塞または虚血の領域において、伝導度は等方性であってもよく、かつ、伝導度は、バルク心筋において約10%から90%の間で変動することができる。
【0046】
図3Aは幾つかの例示的な実装に係る、左心室および右心室(310)の両室のコンピューターモデル(300)を表す。コンピューターモデル(300)は、異なる場所にある心筋電位の模擬心筋電圧マップ(320a-d)(まとめて細動マッピング(fibrillatory mapping)(320)と称す)を有する、左心室(310)の一連の有限状態として示されている。しかし、本明細書に記載されているように、コンピューターモデル(300)は、VFを示すパターンに従って、左心室(310)の表面の周りで/横切って動く細動源マッピング(fibrillatory source mapping)(320)を(例えば、第4の次元として)有する、左および右の心室(310)の3次元モデルでありうる。いくつかの態様において、細動源マッピング(320)は代表的な、心臓内、EKG及び/又はVCG、のデータであることができる。
【0047】
幾つかの態様において、VF源は、細動源マッピング(320)に基づいて特定することができる。例えば、細動源マッピング(320)に基づいて、コンピューティングシステム(110)は、VFを示す電圧が、催不整脈性基質の特定の点/領域の周りを回転することを判定でき、これは、図3Bの白い部位を介して示されるハイライトされた源(330)によって示されるように、この場合にはローターとして(あるいは、例えば他の場合には前壁活性化(focal activation)として)特定され得る。 幾つかの態様において、源(330)は疾患にかかった心臓の基質の位置でありうる。
【0048】
幾つかの実装において、コンピューターモデル(300)はユーザーインターフェースを介して表示することができ、(例えば、細動マッピング(320)の動き、および/または、源(330)のVF/AFサイクル/サイズの強度/パーセンテージを示す)アニメーションを含みうる。いくつかの態様において、コンピューターモデル(300)は4Dモデルであり得、及び/又は、細動源マッピング(320)は4次元と見なすことができる。左心室(310)および細動源マッピング(320)の4つの状態のみが示されているが、任意の数の状態が可能である(例えば、無限大にまで)。幾つかの実装において、源(330)についての情報(例えば位置、特定の位置での活性化の周波数/パーセンテージ、機構等)は、記憶され、及び/又は、ユーザーに表示されうる。
【0049】
判定された細動源の位置において様々なレベルの粒度(granularity)が可能である。例えば、幾つかの実装において、細動機構(例えばローターまたはフォーカルソース)、心臓の特定の室(例えば左または右の心房または心室)、及び/又は、細動源の領域(例えば前方のLV)を特定することができる。しかし、幾つかの実装において、特定の位置が特定されてもよく、これは、観察される細動源が特定の時間量を費やす場所または発する場所に基づいて推定することができる。VF/AFの源の位置を特定する精度は、観察されたVCGパターンの感度、VCGパターンのライブラリが生成されるコンピューターモデルのロバストネス、及び/又は、機械学習方法の力に基づきうる。
【0050】
上記のとおり、コンピューターモデルはEKGデータに基づくことができ、及び/又は、EKGデータを含みうる。図4Aは、幾つかの例示的な実装に係る、コンピューターモデルから計算されたEKGデータのグラフ(410)を表す。幾つかの態様において、このEKGデータは、12誘導EKGセンサーデバイスの使用を通じて生成されうる。本明細書の例は、心内膜および/またはEKGデータを参照するが、データは、追加的または代替的に、VCGデータなどの他のタイプの電気データを含むことができる。例えば、図4Bは、いくつかの例示的な実装による、側方の視点からのVCG追跡を有するVCGモデル(420)と、上方の視点からの追跡を有するVCGモデル(430)とを示す。いくつかの態様において、VCG追跡の内部に配置された黒い心臓モデルは、俯瞰のためのものにすぎず、VCG追跡(420)、(430)の一部を形成しないことがある。幾つかの実装において、VCGモデル(420)、(430)はEKGデータに基づいて生成されうる。
【0051】
上記のとおり、VCGモデル(420)、(430)は、VF/AFの多数の実際の両室のコンピューターモデル(例えば、モデルライブラリ(192)中のコンピューターモデルおよび/または患者特異的モデル(194))から構築された時間空間的なVCGモデルでありうる。幾つかの実装において、モデルライブラリ(192)は、異なる解剖学上の内側肺底区からのローター/フォーカルソースをシミュレートするモデルを含んでいてもよい。より多くの、またはより少ない位置が可能であり、いくつかの態様では、シミュレートされた位置は、潜在的な源の位置の大部分を包含することができる。
【0052】
幾つかの態様において、VCGデータの座標軸、及び/又は、対応するコンピューターモデルの座標軸は、図1のデータ変換アルゴリズム(197)に関して前述されたように、互いに正確に位置合わせされるまで回転しうる。
【0053】
図5Aは、幾つかの例示的な実装に係る、VF中の患者の左心室(510)における細動マップ(500)を表す。図2Aの細動源マップ(200)と同様に、細動マップ(500)は源(520)においてVFローターを示すことができる。例えば、図5Bは、幾つかの例示的な実装に係るローターの細動源のマップ(550)を表す。幾つかの態様において、このマップ(550)は患者(560)の後部の図でありえる。細動源のマップ(550)の断面図(570)において示されるように、患者の左心室において、瘢痕組織(580)、境界域組織(585)、及び/又は正常組織(590)の領域が存在しうる。幾つかの態様において、瘢痕組織(580)/境界域組織(585)はVFを持続することができ、それ故、患者(560)の将来的な不整脈の可能性を低減するため、アブレーション及び/又は外部放射線治療のために特定されるべきである。いくつかの態様において、この瘢痕組織(580)及び/又は境界域組織(585)は催不整脈性心臓基質と見なすことができる。
【0054】
患者内のVF/AFの源を特定するために、本明細書に記載されているコンピューターモデルを患者から得られたデータと比較することができる。幾つかの態様において、患者は、自分がVF/AFを有していることを知っているかもしれないが、それらのVF/AFの源の位置を知らない。この点について、患者はVF/AFの正確な起源(例えば、患者のVF/AF、および/または心臓死の危険性が、どれほど悪いのか)、植え込み型除細動器(ICD)が有益かどうか、アブレーションまたは手術が将来の不整脈を予防するために有益であるかどうか、手術のリスクは何か、などを知りたがる場合がある。本明細書に記載されている主題を使用して、患者は、患者の質問および懸念によりよく対処するために、患者の非侵襲的測定を行い、測定データをコンピューティング装置に提供し、データを受信する医師のところに行くことができる。
【0055】
幾つかの実装において、非侵襲的測定は12誘導EKGセンサーの使用などを通じて、患者からEKGデータを得ることを含みうる。例えば、図6Aは幾つかの例の実装に係る、VFの間のEKGの読み取りのグラフ(610)を表す。幾つかの態様において、EKGデータは誘導されたVF/AFの間に得られる。EKGの読み取りに基づいて、VCGモデル及び/又は追跡を、患者のために生成しうる。例えば、図6Bは、幾つかの例示的な実装に係る、側方の視点からのVCGモデル(620)と上方の視点からのVCGモデル(630)とを表す。いくつかの態様において、黒い心臓モデルは、配向のためにのみ提供され、VCGモデル(620)、(630)またはVCG追跡の一部を形成しない。幾つかの実装において、VCGモデル(620)、(630)は、EKGの読み取りを使用することなく生成されうる。
【0056】
例えば、VCGモデル(620)、(630)が患者について得られると、これらを例えばVCGライブラリ(196)において記憶されたVCGモデルと比較しうる。患者由来のVCGモデル(620)、(630)と、シミュレート/記憶されたVCGモデルとの間で計算された類似性に基づいて、VF/AF源を特定することができる。幾つかの態様において、類似性を1つ以上(例えば2)の直交平面において測定することができる。幾つかの実装において、ピアソンの相関性または同様の比較アルゴリズムを、VCGを比較するために使用することができる。相関係数に基づいて、VF/AF源を患者内で特定することができる。
【0057】
患者は1より多くのVF/AF源を有することがあるので、複数の比較を行うことができる。例えば、VCGは、患者から一連の時間間隔にわたって得ることができる。いくつかの態様において、VCGは時間間隔ごとに生成することができ、これは各VFサイクル(約200msの持続時間であり得る)ごとに1msの持続時間でありうる。VFサイクルVCGの各々は、どのVCGが患者のものと最も相関しているかを特定するために、記憶されたVFサイクルVCGと比較することができる。モデルライブラリ(192)からの対応するコンピューターモデルは、最も高度な相関性を有しているVCGならどれでも、それらに基づいて特定することができる。本明細書に記載の、VF源のタイプ、位置、回転方向(もしあれば)などを含むが、これらに限定されない、特定されたコンピューターモデルに関連するデータは、特定の時間間隔中の患者の心臓の典型とみなされうる。特定されたコンピューターモデルの少なくとも一部に基づいて、推定されたコンピューターモデルは、患者について生成することができる。幾つかの実装において、モデルライブラリ(192)から得られた対象のコンピューターモデルのサブセットは、患者の心臓の形状、瘢痕の位置、伝導特性など(例えば、CT、MRI、エコー、X線、蛍光透視法、または他の画像化データによる測定されるようなもの)に基づいて特定することができる。コンピューターモデルの特定されたセットは、患者との比較のために選択されたVCGである可能性がある、VCGライブラリ(196)からのVCGと相関することができる。
【0058】
異なるローター位置は有意に異なるVCGループを作成できる。それゆえ、患者由来VCGの生成とVF/AF源についての既知/推定のパターンとの比較は、患者のVF/AF源を特定する正確な方法になりえる。
【0059】
幾つかの実装において、VF/AF源の位置を例証するための、図2Cの細動源マップ(280)及び/又は図2Dの細動源マップ(290)などの細動源マップを生成することができる。例えば、VCGの比較に基づいて、VF/AF源が1つ以上の位置でどのくらいの時間を費やしているかについての判定を行うことができる。この時間的/割合的情報は、細動源マップを生成するために使用することができ、および/または、このマップを心臓画像化データに重ね合わせることができる。細動源マップで心臓画像化データ(例えば3Dモデル)を表示することで、医療従事者が、VF/AF源についての追加の特徴を特定することができ、及び/又は、将来の不整脈の負担を軽減するために、高周波、極低温、超音波、またはレーザーアブレーション、外部ビーム照射、血管再生、遺伝子移入療法、または他の介入処置のための源位置を標的にすることができる。
【0060】
幾つかの実装において、追加のコンピューターモデルを、患者由来VCGの記憶されたVCGとの比較に基づいて生成することができる。例えば、1つ以上のモデルを、患者内で特定されたVF/AF源に最も類似するモデルライブラリ(192)から特定することができる。これらの1つ以上のモデルを組み合わせて複合モデルを生成することができ、これは患者のすべてのVF/AF源を表すデータを含むことができる。複合モデルを使用することにより、各VF/AF源の除去が患者にとって有益であるかどうかを判定するために複合モデルと比較されうる新しいモデルを生成するために、1つのVF/AF源を除去することができる(例えば、除去はシミュレートされる)。複合モデルと新しいモデルの間で示されたVF/AFにおける変化が、閾値/パーセンテージ未満である場合、VF/AF源の除去が患者にとって有益ではないことがあると判定されうる。閾値/パーセンテージは患者、医療従事者、及び/又は、他の要因に応じて変動しうる。
【0061】
上記の測定/比較は患者の左心室について行われるが、同様の方法で、患者の右心室に関して測定/比較を実行することができる。例えば、図7Aは、幾つかの例示的な実装に係る、右心室(710)のコンピューターモデル(700)を表す。例証されるように、コンピューターモデル(700)は、右心室(710)における心臓の電気的な活性化のマッピングを形成しうる、一連の有限状態として示される複数の心筋電圧マップ(710a-d)を含むことができる。
【0062】
コンピューターモデル(700)はEKGデータに基づくことができ、及び/又は、EKGデータを生成するために使用することができる。例えば、図7Bは、幾つかの例示的な実装に係る、コンピューターモデルから生成されたEKGの読み取りのグラフ(730)を表す。EKG読み取りを作成するプロセスは、各期間についてコンピューターモデルの電気ダイポールからのVCGをまず計算することによって行うことができる。その後、EKG追跡を計算することができる。例えば、図7Cは、幾つかの例示的な実装に係る、心臓モデルから生成されるVCGモデル(740)、(750)を表す。側方の視点からのVCGモデル(740)及び/又は垂直的な視点からのVCGモデル(750)などの1つ以上のVCGモデルがコンピューターモデルから計算される。EKG追跡は、その後、このデータから導きだされうる。重要なことに、VCGモデル(740)、(750)は、本明細書に記載されているように、患者からのVCGデータとの比較および一致を可能にする。例証されるように、VCGモデル(740)、(750)はタイミング情報に基づいて暗くなる。
【0063】
上記の測定/比較は患者のVF中の左心室および右心室について行われるが、同様の方法で、AF中の患者の右心房または左心房に関して測定/比較を実行することができる。例えば、図8Aは、幾つかの例示的な実装に係る、左心房と右心房(810)のコンピューターモデル(800)を表す。例証されるように、コンピューターモデル(800)は、心筋の電圧マップ(820a-d)を含むことができ、これは、心臓内、及び/又はEKGデータの典型であり得、及び/又はそれらに基づきうる。コンピューターモデル(800)から、AFの源の位置を特定することができる(白い点)。例えば、図8Bは、幾つかの例示的な実装に係る、(白い点により表わされた)特定されたローター基質(830)を有する右心房(810)のコンピューターモデル(800)を表す。
【0064】
図9は、幾つかの例示的な実装に係る、記載されたデバイス及び/又は構成要素の1つ以上を実施するために使用されうる例示的なコンピューティング装置(900)を示す。例えば、コンピューティング装置(900)の少なくとも一部は、コンピューティングデバイス(110)の少なくとも一部、データベース(120)を提供する装置、外部ソフトウェア(130)、ユーザーアクセスデバイス(140)の一つ以上、センサデバイス(150)の一つ以上、及び/又は、アクセスデバイス(165)を提供する装置、を実装するために使用されてもよい。コンピューティング装置(900)は、本明細書に記載されているプロセスの1つ以上を実行しうる。
【0065】
例証されるように、コンピューティング装置(900)は、本明細書に記載されたものと一致する操作を実施する命令を実行するためのプロセッサ(910)などの1つ以上のプロセッサを含むことができる。装置(900)は、実行可能命令及び/又は情報を記憶するためにメモリ(920)を含みうる。メモリ(920)はソリッドステートメモリ、ソリッドステートディスクドライブ、磁気ディスクドライブまたは他の情報記憶装置を含みうる。幾つかの態様において、メモリ(920)は、データベース(例えばデータベース(120)またはデータの他の幾つかの構成)の少なくとも一部のためのストレージを提供しうる。装置(900)は、図1のネットワーク(160)など、有線ネットワークまたはワイヤレスネットワークへのネットワークインターフェース(940)を含みうる。ワイヤレスネットワークはWiFi、WiMaxおよびセルラーネットワーク(2G/3G/4G/5G)及び/又は他のワイヤレスネットワークを含みうる。無線通信を有効化するために、ネットワークインターフェース(940)は、例えば、アンテナ(980)など1本以上のアンテナを利用してもよい。
【0066】
装置(900)は、ユーザーインタフェース(950)などの1つ以上のユーザーインターフェースを含んでもよい。ユーザーインターフェース(950)は、キーボード、マウス、あるいは他のインターフェースなどの、ハードウェアまたはソフトウェアのインターフェースを含み得、そのうちのいくつかはディスプレイ(930)に統合されたタッチスクリーンを含む場合もある。ディスプレイ(930)は、販売促進の提供または現在の在庫などの情報を表示する、ユーザーにプロンプトを提供する、および/またはユーザーの入力を受信するなどのために使用されてもよい。様々な実装では、ユーザーインターフェース(950)は1つ以上の周辺機器を含み得る、および/またはユーザーインターフェース(950)はこれらの周辺機器と通信するように構成されてもよい。
【0067】
いくつかの態様では、ユーザーインターフェース(950)は、本明細書に記載のセンサーの1つ以上を含んでもよく、および/または本明細書に記載のセンサーの1つ以上に対してインターフェースを含んでもよい。これらのセンサーの操作は、センサーモジュール(960)によって少なくとも部分的に制御される場合もある。装置(900)はさらに、入出力フィルタ(970)を含んでもよく、それはセンサーまたは他のユーザーインターフェースから受信した、ネットワークインターフェースによって受信および/または伝達された等の情報をフィルタ処理することができる。例えば、センサーを介して検知された信号は、適切な信号処理のためにフィルタ(970)を通過し得る。そしてフィルタ処理されたデータは次に、(例えば、ネットワークインターフェース(940)によって結果または指示を伝達する前に)認証および処理のために、マイクロコントローラーセンサーモジュール(960)および/またはプロセッサ(910)に通されてもよい。装置(900)は、電源(990)などの1つ以上の電源の使用によって電力を供給されてもよい。例示されるように、装置(900)のコンポーネントの1つ以上は、システムバス(999)を介して通信してもよい、および/または電力を受信してもよい。いくつかの態様では、装置(900)は、サーバーの少なくとも一部、またはサーバーの少なくとも一部を利用する装置と見なされる場合もある。
【0068】
図10は、いくつかの例示的な実装に従って、細動源のコンピューターによる局在化のための方法のフローチャートを例示する。様々な実装では、方法(1000)(あるいはその少なくとも一部)は、1つ以上のコンピューティングデバイス(110)、データベース(120)を提供する装置、外部ソフトウェア(130)を提供する装置、1つ以上のユーザーアクセスデバイス(140)、1つ以上のセンサーデバイス(150)、アクセスデバイス(165)、コンピューティングデバイス(900)、他の関連する装置、および/またはそれらのいくつかの部分によって実行される場合もある。
【0069】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば様々な形状、瘢痕、および細動源を持つ心臓モデルを生成し得る操作ブロック(1010)から開始することができる。付加的にあるいは代替的に、幾何学的形状、繊維配向、細動源タイプ、および/または細動源の位置などの他の態様を使用することができる。
【0070】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば心臓モデルに基づいたベクトル心電図プロットを生成し得る操作ブロック(1020)に進むことができる。例えば、モデルVCGを計算するために、および/または包括的なVCGライブラリを生成するために、心臓モデルを使用することができる。
【0071】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば患者の心臓の形状および/または瘢痕に基づいて心臓モデルをフィルタ処理し得る操作ブロック(1030)へと進むことができる。いくつかの態様では、フィルタ処理は、コンピューター断層撮影画像データ、核磁気共鳴画像データ、心エコー検査データ、X線データ、蛍光透視データなどに基づき得る。
【0072】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば患者の心臓に基づいてベクトル心電図プロットを生成し得る操作ブロック(1040)に進むことができる。
【0073】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば患者のベクトル心電図プロットを心臓モデルのベクトル心電図プロットと比較し得る操作ブロック(1050)に進むことができる。ベクトル心電図プロットは、VCGライブラリなどから取得することができる。いくつかの実装では、VCGライブラリのベクトル心電図プロットのサブセットを、フィルタ処理された心臓モデルに基づいて選択することができる。その比較には、記憶されたVCGの各々に関して、生成されたVCGと記憶されたVCGとの間の相関係数の判定を含み得、および少なくとも1つのマッチングしたVCGは、最も高い相関係数を有する記憶されたVCGとして特定され得る。
【0074】
方法(1000)は、装置(900)が、例えば患者の心臓内の細動源のマッピングを生成し得る操作ブロック(1060)に進むことができる。いくつかの実装では、コンピューターモデルは、心臓の形をした3次元のメッシュ、およびメッシュにマッピングされた心臓の電気的活動の有限状態の細動源マップを含み得る。いくつかの実装では、方法(1000)は、患者の心臓に基づいて心電図プロットを生成する工程、および/または心電図プロットに基づいて患者の心臓の電気的活動の画像を生成する工程を含み得る。
【0075】
方法(1000)は、装置(900)が、例えばユーザーインターフェース(例えばユーザーインターフェース(950))によりマッピングを表示し得る操作ブロック(1070)へと進むことができる。マッピングは、心臓モデルの使用により表示可能であり、それは1つ以上の左心房、右心房、心室、あるいは右心室を含み得る。該モデルは、2次元、3次元、4次元、および/またはアニメーションで有り得る。いくつかの態様では、表示は、高周波、極低温、超音波、レーザー、外部ビーム放射などを使用したアブレーション処置の誘導を可能にし得る。
【0076】
いくつかの実装では、方法(1000)は、1つ以上の記憶されたコンピューターモデルに基づいて複数のベクトル心電図プロットを生成する工程、および/または、複数のベクトル心電図プロットに基づいて1つ以上の心電図プロットを生成する工程を含み得る。
【0077】
方法(1000)の性能、および/またはその一部は、向上した精度、低下した侵入性、および/または低下したコストでの、VF/AF源の特定を可能にし得る。
【0078】
図11は、(例えば図12の例に似た)いくつかの例示的な実装に従って、細動源のコンピューターによる局在化のための方法のフローチャートを例示する。様々な実装では、方法(1000)(あるいはその少なくとも一部)を、1つ以上のコンピューティングデバイス(110)、データベース(120)を提供する装置、外部ソフトウェア(130)を提供する装置、1つ以上のユーザーアクセスデバイス(140)、1つ以上のセンサーデバイス(150)、アクセスデバイス(165)、コンピューティング装置(900)、他の関連する装置、および/またはそれらのいくつかの部分によって実行してもよい。
【0079】
方法(1100)は、装置(900)が、例えば患者の心臓内の細動源を判定し得る操作ブロック(1110)から開始することができる。いくつかの実装では、細動源の特定は、図10の方法(1000)に関して説明された特定手順に似ている場合もある。
【0080】
方法(1100)は、装置(900)が、例えば患者の心臓の形状、瘢痕、および/または細動源に基づいて心臓モデルを生成し得る操作ブロック(1120)に進むことができる。
【0081】
方法(1100)は、装置(900)が、例えば少なくとも1つの細動源が除去された別の心臓モデルを生成し得る操作ブロック(1130)に進むことができる。いくつかの態様では、もとのコンピューターモデルから1つ以上の細動源のうちの1つを取り除くことによって、コンピューターモデルを生成することができる。
【0082】
方法(1100)は、装置(900)が、例えば他の心臓モデルの細動における変化を判定し得る操作ブロック(1140)に進むことができる。
【0083】
評価すべき追加の源がある場合、方法(1100)は操作ブロック(1130)に戻ることができる。例えば、VF/AFの3つの源が特定された場合、方法(1100)は次に、個々の源の除去を単独で、あるいは任意の数の他の2つの源の組み合わせ(例えば7つの特有の評価)で評価し得る。この手順を通じて、ユーザー(例えば医学の専門家)は、VF/AF源を取り除くための最良の手順を見極めることができる。
【0084】
方法(1100)は、装置(900)が、例えばユーザーインターフェース(例えばユーザーインターフェース(950))により心臓モデルの少なくとも一部を表示し得る操作ブロック(1150)に進むことができる。心臓モデルは、左心房、右心房、心室、あるいは右心室の1つ以上を含み得る。該モデルは、2次元、3次元、4次元、および/またはアニメーションで有り得る。いくつかの態様では、VF/AF源を有する、および有さないモデルの対照比較を提供することができる。いくつかの態様では、方法(1100)は、新しいコンピューターモデルともとのコンピューターモデルとの間の細動の変化の判定を含み得る。いくつかの態様では、対照比較を表示することは、アブレーションの予測的な結果のデータ、および/または最適化されたアブレーション方略の選択を提供することにより、標的化された心室細動または心室細動アブレーション治療を可能にし得る。
【0085】
方法(1100)および/またはその一部の性能は、個々のVF/AF源それぞれの除去が患者に利益をもたらすか否かを判定することを可能にし得る。例えば、特定の源が除去されているモデルにおけるVF/AFの変化が、閾値の量(例えばパーセンテージ)まで減少しない場合、特定の源を除去する(あるいはその力を減らす)侵襲的手法を回避することができる。
【0086】
いくつかの態様がVFおよびAFに関連して本明細書に記載されるが、他の実装も可能である。例えば、ヒトおよび/または動物内の他の不整脈あるいはパターンを観察することができ、および/またはその源を特定することができる。患者内の異常なパターンの源が特定されると、次に、切開することなく患者の体内をユーザー(例えば医学の専門家)が見ることができるように、それをユーザーに(例えば2次元または3次元モデルで)表示し得る。
【0087】
本明細書に記載の主題の1つ以上の態様あるいは特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現され得る。これらの様々な態様あるいは特徴は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で、実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータープログラムにおける実装を含み得、それは特定あるいは汎用目的のために、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置からデータと命令を受信し、およびそれらへとデータと命令を送信するようにつなげられる。プログラマブルシステムまたはコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバーを含んでもよい。クライアントとサーバーは、一般的に互いから離れており、および典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピューター上で実行され、互いにクライアント-サーバー関係を有するコンピュータープログラムによって生じる。
【0088】
これらのコンピュータープログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、あるいはコードと呼ぶこともでき、これはプログラマブルプロセッサに対する機械語命令を含み、ハイレベルの手続き型言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械語で実行可能である。本明細書において使用されるように、用語「機械可読媒体」は、例えば、磁性ディスク、光ディスク、メモリ、およびプログラム可能論理回路(PLD)などの、コンピュータープログラム製品、装置、および/またはデバイスを指し、機械可読信号として機械語命令を受信する機械可読媒体を含む、プログラマブルプロセッサへの機械語命令および/またはデータの提供に使用される。用語「機械可読信号」は、プログラマブルプロセッサに機械語命令および/またはデータを提供するために使用される信号を指す。機械可読媒体は、例えば、非一時的なソリッドステートメモリ、または磁気ハードドライブ、または任意の等価な記憶媒体などであり、そのような機械語命令を非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、代替的にあるいは付加的に、例えば、プロセッサキャッシュ、または1つ以上の物理プロセッサコアに関連する他のランダムアクセスメモリなどであり、そのような機械語命令を一時的方法で記憶することができる。
【0089】
ユーザーとの対話を提供するために、本明細書に記載の主題の1つ以上の態様あるいは特徴は、例えば、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)モニターなどの、ユーザーに情報を表示するためのディスプレイデバイス、および、ユーザーがコンピューターに入力するための、キーボードおよび、例えばマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイス、を有するコンピューターで実行可能である。他の種類のデバイスを同様に、ユーザーとの対話を提供するために使用することができる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、例えば、視覚的なフィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどの、あらゆる形態の感覚フィードバックで有り得る;および、ユーザーからの入力は、音響入力、音声入力、触覚入力などを含む、あらゆる形態で受信される場合もある。他の可能な入力デバイスは、タッチスクリーン、または、シングルまたはマルチポイントの抵抗性または容量性トラックパッド、音声認識ハードウェアおよびソフトウェア、光学スキャナー、光学ポインター、デジタル画像キャプチャーデバイス、および関連する解釈ソフトウェアなどの、他のタッチセンスデバイスを含む。
【0090】
本明細書に記載された主題は、望ましい構成に応じて、システム、装置、方法、および/または商品に包含され得る。先の記載において明示された実装は、本明細書に記載の主題と一致する実装を全て表すわけではない。代わりに、それらは記載された主題に関連する態様と一致するいくつかの実例でしかない。少数のバリエーションを先に詳細に記載したが、他の変更または追加が可能である。特に、さらなる特徴および/またはバリエーションを、本明細書に明示されたものに追加して設けることも可能である。例えば、上述の実装は、開示された特徴の様々な組み合わせ、および部分的組み合せ、および/または、上記に開示されたいくつかのさらなる特徴の組み合わせ、および部分的組み合わせを対象とし得る。
【0091】
上記の詳細な説明および特許請求の範囲には、「~の少なくとも1つ」あるいは「~の1つ以上」などのフレーズが、要素または特徴の予備的リストに続いて現われる場合もある。用語「および/または」はさらに、2つ以上の要素または特徴のリストに現われる場合もある。そのようなフレーズは、使用される文脈によって暗黙にあるいは明確に矛盾することがなければ、個別にリストされた要素あるいは特徴、あるいは他の詳述された要素あるいは特徴と組み合わせられた詳述された要素あるいは特徴の、あらゆるものを意味するように意図されている。例えば、フレーズ「AおよびBの少なくとも1つ」;「AおよびBの1つ以上」;および「Aおよび/またはB」は、それぞれが「Aのみ、Bのみ、またはAとB共に」を意味するように意図される。類似の解釈はさらに、3つ以上の項目を含むリスト向けに意図される。例えば、フレーズ「A、BおよびCの少なくとも1つ」;「A、BおよびCのうちの1つ以上」;および、「A、B、および/またはC」は、それぞれが、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB共に、AとC共に、BとC共に、あるいはAとBとC共に」を意味するように意図されている。上記および特許請求の範囲における用語「基づいて」の使用は、詳述されていない特徴または要素もまた許容可能となるように、「少なくとも部分的に基づく」を意味するように意図されている。
【0092】
例示された方法は典型的なもののみである。該方法は特有の操作フローを有するものとして例示されているが、2つ以上の操作を1つの操作にまとめてもよく、1つの操作を2つ以上の別個の操作として行ってもよく、例示された操作の1つ以上は様々な実装において存在しなくてもよく、および/または例示されていない追加の操作が該方法の一部であってもよい。さらに、添付の図に描かれた、および/または本明細書に記載の論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序、または連続した順序を必ずしも要求しない。他の実装は、以下の特許請求の範囲の範囲内で有り得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12