(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】地中箱用管体接続ブロック
(51)【国際特許分類】
H02G 9/10 20060101AFI20240415BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240415BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H02G9/10
H02G1/06
E02D29/12 E
(21)【出願番号】P 2022108456
(22)【出願日】2022-07-05
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392035341
【氏名又は名称】共和ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】寺阪 剛
(72)【発明者】
【氏名】菊森 康博
(72)【発明者】
【氏名】中村 謙次
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-194987(JP,A)
【文献】特開2000-78734(JP,A)
【文献】特開2011-234520(JP,A)
【文献】特開平9-144951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/10
H02G 1/06
E02D 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状をなし前後両面を地中箱の壁部の厚み方向に向けて前記壁部内に固定される筐体部と、前記筐体部内で前記壁部の厚み方向に延びて管体の端部が挿入保持される管体接続穴を備えた地中箱用管体接続ブロックであって、
前記筐体部と前記管体接続穴を有する本体部材が合成樹脂で形成されるとともに、
前記管体接続穴を1つ有し、
前記筐体部における側面のうち互いに平行で対をなす一の側面対と、前記一の側面対と直交する他の側面対にそれぞれ、対をなす側面同士で互いに嵌合し得る形状の嵌合構造が形成されるとともに、
2組の嵌合構造のうち少なくとも一方の嵌合構造には、接合する他の地中箱用管体接続ブロックの対向する側面を摺動させての差し込みを可能にする一方、側面同士の離反方向での移動を阻止する抜け止め係合部が形成され、
2つの側面対のうち他方の嵌合構造を有する面を、接合する他の地中箱用管体接続ブロックの対向する側面と接合する連結手段が備えられ、
前記筐体部におけるすべての側面に水分を吸収して膨張する水膨張性シートが設けられた
地中箱用管体接続ブロック。
【請求項2】
大きさ違いの地中箱用管体接続ブロックにおいて、前記嵌合構造の形成位置と嵌合幅の大きさを共通にした
請求項1に記載の地中箱用管体接続ブロック。
【請求項3】
前記連結手段が、対向する側面同士を接合する内装型連結手段、隣接する側面同士を接合する外装型連結手段の少なくともいずれか一方である
請求項1または請求項2に記載の地中箱用管体接続ブロック。
【請求項4】
前記内装型連結手段が対向する側面に嵌合する突起を有した連結ピン部材と前記突起を嵌める嵌合穴である
請求項3に記載の地中箱用管体接続ブロック。
【請求項5】
前記外装型連結手段が隣接する側面に跨って延びる連結板である
請求項3に記載の地中箱用管体接続ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホールやハンドホールのような地中箱の管体を接続する部分を構成する地中箱用管体接続ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
地中箱用管体接続ブロックとして下記特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この地中箱用管体接続ブロックは、厚さ方向に複数の管路挿入孔が形成された直方体または立方体状のブロックであり、ブロックの上面及び一方の側面に厚さ方向と直交する方向に凸型ガイドを有している。一方、下面及び他方の側面に厚さ方向と直交する方向には凸型ガイドが嵌合してスライドできる寸法の凹型ガイドレールが形成されている。
【0004】
このような地中箱用管体接続ブロックは、ブロックの大きさは同一であるが管路挿入孔の大きさや数が異なる多種類のものが用意される。使用に際しては複数の地中箱用管体接続ブロックを、凸型ガイドと凹型ガイドレールを嵌め合わせて積み上げて、地中箱の壁部の開口部に嵌め込む。嵌め込んだブロックの集合体は開口部との間に充填されたモルタルやエポキシ樹脂等で固定される。
【0005】
また、積み上げられたブロック同士の間で止水性を得るため、ブロックの外側面の全周に形成された切欠き部に水膨張性止水材が充填される。
【0006】
特許文献1に開示のブロックのほかに、凸型ガイドと凹型ガイドレールを持つものではなく、コーキング剤を用いて積み上げるタイプのレジンコンクリート製のブロックがある。すなわち、このブロックは、管路挿入孔の大きさや数が異なる多種類のものを予め用意しておき、注文に応じて組み立てて出荷される。
【0007】
このようなブロックは、凸型ガイドと凹型ガイドレールで接合される特許文献1のブロックとは異なり、多様な要求に対応できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、多種類のブロックを用意しなければならず、在庫管理の負担が大きい。しかも、コーキング剤を用いての一体化には通常1日程度の養生が必要であり、時間がかかり緊急注文に対応できない。そればかりか、在庫管理と同様に養生にも場所が必要であった。またブロックはレジンコンクリート製であるので比重が大きく重いため取扱い性や作業性がよくなかった。
【0010】
そこでこの発明は、多様な要求に対応できるうえに、コーキング不要で容易な組立てを可能にすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段は、角筒状をなし前後両面を地中箱の壁部の厚み方向に向けて壁部内に固定される筐体部と、筐体部内で壁部の厚み方向に延びて管体の端部が挿入保持される管体接続穴を備えた地中箱用管体接続ブロックであって、筐体部と管体接続穴を有する本体部材が合成樹脂で形成されるとともに、管体接続穴を1つとした。筐体部における側面のうち互いに平行で対をなす一の側面対と、一の側面対と直交する他の側面対にそれぞれ、対をなす側面同士で互いに嵌合し得る形状の嵌合構造を形成するとともに、これら嵌合構造のうち少なくとも一方の嵌合構造には、接合する他の地中箱用管体接続ブロックの対向する側面を摺動させての差し込みを可能にする一方、側面同士の離反方向での移動を阻止する抜け止め係合部を形成した。また2つの側面対のうち他方の嵌合構造を有する面を、接合する他の地中箱用管体接続ブロックの対向する側面と接合する連結手段を備え、筐体部におけるすべての側面には水分を吸収して膨張する水膨張性シートを設けた。
【0012】
この構成では、必要な大きさの管体接続穴をもつ地中箱用管体接続ブロックを、接続する管体の数と同じ必要数、所望の配置で組み立てて組立て体を得る。組立てに際しては、筐体部の側面同士を嵌合構造によって接合する。2つの側面対のうち一方の嵌合構造を有する側面は、抜け止め係合部によって摺動して係合することで接合される。他方の嵌合構造を有する側面同士は、別体又は一体の連結手段で接合される。接合された側面同士の間は水膨張性シートが膨張して止水がなされる。本体部材は合成樹脂製であるゆえに地中箱用管体接続ブロックは軽量である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、管体接続穴を1つ有する構造、つまり1条タイプのものを組み立てる構成であり、複数の管体接続穴を有するものを製造する必要はなく、より少ない種類の地中箱用管体接続ブロックで、要求に応じて多様な多条の組立て体が得られる。このため、在庫管理の負担を軽減できる。
【0014】
しかも、2組の側面対は嵌合構造を有し、一方の側面対には抜け止め係合部が形成されているので、一方の側面対の接合は容易であり、他方の側面対の接合も連結手段によるのでコーキング剤で結合する場合に比して容易である。そのうえ本体部材は合成樹脂製であるので比重が小さいので地中箱用管体接続ブロックは軽量であって、取扱い性や作業性を向上できる。
【0015】
また筐体部のすべての側面は水膨張性シートを備えているので、接合すれば地中に埋設されたときに自動的に地中箱用管体接続ブロック同士の間での止水性が得られる。このためコーキング剤で結合する場合や別途に水膨張性止水材を充填する場合に比べて、時間の面でも作業性の面でも負担を軽減でき、在庫管理の軽減と相まって一連の作業の簡素化をはかれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図11】大きさの異なる地中箱用管体接続ブロックの斜視図。
【
図12】
図11の地中箱用管体接続ブロックの六面図と断面図。
【
図13】地中箱用管体接続ブロックを接合する一例を示す斜視図。
【
図14】接合された地中箱用管体接続ブロックの平面図。
【
図15】地中箱用管体接続ブロックを上下方向に接合する一例を示す斜視図。
【
図16】上下方向に接合された地中箱用管体接続ブロックの右側側面から見た側面図。
【
図17】連結ピン部材による連結状態を示す断面図。
【
図19】大きさの異なる地中箱用管体接続ブロック同士を接合する一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0018】
図1に、地中箱用管体接続ブロック11(以下、「接続ブロック」という)を備えた地中箱12の一部破断斜視図を示す。この図に示したように、地中箱12は壁部21に貫通形成された開口部22の内側に、複数の接続ブロック11を組み立てて構成した組立て体11aを固定している。
【0019】
組立て体11aは、複数の接続ブロック11を接合して一体化したものであり、予め組み立てられたのち現場に搬入されて地中箱12に固定される。固定は組立て体11aと開口部22との間にエポキシパテ13を充填して行われる。エポキシパテ13のほかにコーキング剤やモルタル、その他の充填剤を使用することもできる。
【0020】
まず概要を説明すると、接続ブロック11は
図2に示したように角筒状に形成されており、その本体部材31に角筒状の外表面を形成する筐体部32と、筐体部32内に形成された管体接続穴33を有している。
【0021】
筐体部32は前後両面を地中箱12の壁部21の厚み方向に向けて固定されるものであり、壁部21に収まるように形成されている。図示例では、筐体部32の前後方向の長さL(
図2参照)は壁部21の厚みt(
図1参照)と同じにした。このため筐体部32の前面32aは壁部21の外側面21aと、後面32bは内側面21bと面一に固定されることになる。なお、筐体部32の前後方向の長さLと壁部21の厚みtは同じでない場合がある。
【0022】
図示例の筐体部32は正面視正方形であり、
図2に示したように周囲には4つの側面34,35,36,37を有している。
【0023】
管体接続穴33は壁部21の厚み方向に延びて管体14の端部14aが挿入保持される部分であり、筐体部32内を貫通している。また、内部には挿入された管体14の端部14aを抜け止めする抜け止めリング71が備えられている。
【0024】
ここで、管体14について簡単に説明する。管体14は電気設備等の電線やケーブルを保護するためのものであり、
図2に示したように、長手方向と直交する方向の断面が四角形の山部41と円形の谷部42を交互に繰り返し有する構造である。管体14の端部14aは円筒状の差し込み部分である。端部14aの先端には、
図3の断面図にも示したように抜け止めのための円環状の返し部43が形成されており、それよりも後退した位置には止水のためのパッキン44が設けられている。四角形状をなす山部41の大きさは筐体部32の大きさに対応している。
【0025】
接続ブロック11について具体的に説明する。接続ブロック11は
図4に示したように、筐体部32と管体接続穴33を有する本体部材31と、管体接続穴33に保持される抜け止めリング71と、筐体部32の外周面に取り付けられる水膨張性シート81で構成されている。本体部材31と抜け止めリング71はすべて合成樹脂製である。本体部材31を構成する合成樹脂としては、例えば高密度ポリエチレンが好適に用いられる。高い強度が必要な場合には、例えばガラス繊維強化ポリプロピレンなどを用いるとよい。
【0026】
本体部材31は前後両面の中心に正面視円形の管体接続穴33を1つ有している。いわば1条タイプである。
【0027】
なお、
図4の本体部材31はその前面32aと上側側面32gと左側側面32fを示している。
【0028】
先に管体接続穴33について説明する。
【0029】
管体接続穴33のうち前面32aから後面32bにかけて延びる前面側部分33aは、管体14の端部14aが挿入される大きさであり、それよりも後面側に位置する後面側部分33bは前面側部分33aよりも小径に形成されている。前面側部分33aと後面側部分33bの境界は抜け止めリング71を受ける段差部33cである。
【0030】
管体接続穴33は正面視円形であるのに対して筐体部32は正面視正方形であるので、前後両面の四隅部分には、管体接続穴33を形成する円筒部38を残して、ぬすみ空間39が形成されている。管体接続穴33の後面側部分33bは前面側部分33aよりも小径であるので、本体部材31の後面32bを示す斜視図である
図5に示したように、後面32bの複数のぬすみ空間39は円筒部38を支えるリブ38aを介して形成されている。ぬすみ空間39の形成は本体部材31の軽量化に資する。
【0031】
なお、
図5は本体部材31の後面32bと下側側面32hと左側側面32fを示している。
【0032】
管体接続穴33のうち段差部33cの前側位置であって一方の対角線上の2位置には、
図4、
図6に示したように円筒部38を径方向に貫通する保持穴47が形成されている。この保持穴47は抜け止めリング71を回転不可な状態で脱落しないように保持するためのものである。
【0033】
管体接続穴33の内周面における保持穴47よりも前面側であって抜け止めリング71の前面に対応する部位には、
図2、
図6、
図7に示したように必要に応じて抜け止めリング71の脱落を防止し引き抜き強度を向上するためのストッパ48が形成される。このストッパ48は径方向内側に張り出す形態であり、抜け止めリング71の前面を受ける受け面48aを有している。ストッパ48は管体接続穴33の径が大きい場合に形成するとよい。
【0034】
抜け止めリング71は、
図4、
図6に示したように、正面視形状が一部に切欠き部72を有した円環状であり、直径上における外周面の2カ所に突片73が形成されている。突片73は本体部材31における管体接続穴33の保持穴47に嵌まる部分であり、切欠き部72を狭めるように縮径変形させることで突片73は保持穴47に嵌められる。抜け止めリング71の内周面には、前面から内径方向斜め後方に向けて延びる複数の爪部74が弾性変形可能に間隔をあけて設けられている。
【0035】
つぎに本体部材31の筐体部32について説明する。
【0036】
筐体部32は前述したように4つの側面34,35,36,37を有している。つまり、互いに平行で対をなす一の側面対と、一の側面対と直交する他の側面対である。いずれかの側面対は垂直方向に広がる右側側面32e又は左側側面32fを形成し、他方の側面対は水平方向に広がる上側側面32g又は下側側面32hを形成することになる。この説明では一の側面対を右側側面32e又は左側側面32fを構成するものとし、他の側面対を上側側面32c又は下側側面32dを構成するものとする。
【0037】
一の側面対と他の側面対には、対をなす側面同士で互いに嵌合し得る形状の嵌合構造51,52が形成されている。嵌合構造51,52は側面の前後方向の中間部において、前面32a又は後面32bと平行に一定幅で延びており、一の側面対に形成される嵌合構造51は他の側面対に形成される嵌合構造52よりも嵌合幅wが広い(
図7、
図8参照)。嵌合構造51,52は凸部51a,52aと凹部51b,52bで形成されている。
【0038】
2組の嵌合構造51,52のうち少なくとも一方の嵌合構造51、この例では一の側面対に形成された嵌合幅wが広い方の嵌合構造51は、抜け止め係合部53を有している。すなわち抜け止め係合部53は、接合する他の接続ブロック11の対向する側面を摺動させての差し込みを可能にする一方、側面同士の離反方向での移動を阻止するものである。抜け止め係合部53は
図8に示したように、凸部51aに形成されたガイド片53aと、凹部51bに形成された溝部53bで構成される。ガイド片53aは凸部51aの嵌合幅方向の両側に長手方向の全体にわたって形成されている。溝部53bは凹部51bの内奥に形成される。
【0039】
これら嵌合構造51,52は側面の前後方向の中間部に形成されている。具体的には、嵌合幅wが広い一方の嵌合構造51は、
図8に示したように嵌合幅wの中間点を側面の前後方向の中間点よりもやや前寄りに設定している。他方の嵌合構造52は、
図7に示したように嵌合幅wの中間点を側面の前後方向の中間点よりもやや後ろ寄りに設定している。
【0040】
そしてすべての側面における嵌合構造51,52より後方側の部位には、一定幅で全周にわたって前面32a及び後面32bと平行に延びる凹溝54が形成されている。この凹溝54は水膨張性シート81を固定する部分である。
【0041】
水膨張性シート81は水分を吸収すると膨張するものであり、例えば、水分を吸収して膨張する水膨張材を不織布内に含有させることで得られる。水膨張材としては、粉粒状のもの、シート状のもの、液状のものなどが適宜使用できるが、繊維状のものを用いると、不織布を構成する繊維との一体性が高まるのでよい。水膨張性シート81は水膨張性の不織布以外のもので構成してもよい。
【0042】
水膨張性シート81は凹溝54の幅に対応した帯状に形成されており、凹溝54に対する固定は粘着剤や両面粘着テープで行われる。
【0043】
また接続ブロック11には、2つの側面対のうち他方の嵌合構造52を有する面を、接合する他の接続ブロック11の対向する側面と接合する連結手段55,56(
図9、
図10参照)が備えられる。すなわち連結手段55,56は、接続ブロック11の上側側面32gと下側側面32hを重ね合わせた状態を保持する。
【0044】
連結手段55,56は、対向する側面同士を接合する内装型連結手段55と、隣接する側面同士を接合する外装型連結手段56の2種類である。内装型連結手段55は内部、つまり互いに接合される側面同士の間に備えられるものであって、外装型連結手段56は外側にあらわれる面に備えられるものである。
【0045】
具体的に説明すると内装型連結手段55は、
図9に示したような連結ピン部材55aと、
図2、
図4に示したような連結ピン部材55aを嵌める嵌合穴55bで構成される。
【0046】
連結ピン部材55aは、四角い板部61の表裏両面の中央に、それぞれ相反する方向に延びる突起62を有している。突起62は先端部に係止爪62aを有し、軸方向の中間部には割溝62bが形成されている。
【0047】
嵌合穴55bは、側面、すなわち
図4、
図5に示したように上側側面32gと下側側面32hに4個ずつ形成されている。嵌合穴55bの形成位置は、側面における四隅に近い位置である。前面32a側の嵌合穴55bは、後面32b側の嵌合穴55bよりも前後方向の中間に寄せて形成されている。前面32a側の嵌合穴55bについては、その周囲に連結ピン部材55aの板部61が嵌る四角い凹所57を有している。
【0048】
外装型連結手段56は、隣接する側面に跨って延びる板状をなす連結板63であって、
図10に示したようにI字型の連結板63(
図10(a))とL字型の連結板63(
図10(b))の2種類がある。I字型の連結板63は面一に並ぶ側面、つまり右側側面32e同士又は左側側面32f同士を連結するものであり、L字型の連結板63は上側側面32g又は下側側面32hと右側側面32e又は左側側面32fを連結するものである。連結板63の両側部には貫通穴64が形成されている。この貫通穴64は留め具としてのねじ部材65を挿入する部分である。
【0049】
このような連結板63を適切に固定できるようにするため、上側側面32g及び下側側面32hの前面32aと後面32bに沿った位置には、連結板63に嵌合対応する一定幅の固定溝58が必要に応じて所望の形状に形成されている。この固定溝58の幅は凹所57の対応する部分の幅と同一又は略同じである。
【0050】
図示例の固定溝58は上側側面32g及び下側側面32hの長手方向の全体にわたって形成され、長手方向の両端には、右側側面32e及び左側側面32fにかけて、固定される連結板63の固定される部分に対応した長さの延長部58aを有している。
【0051】
前述した嵌合穴55bのうち後面側の嵌合穴55bは固定溝58に重ねて形成されている。
【0052】
このような構成の接続ブロック11は、接続する管体14の太さに応じて形成される。このため管体14の太さに対応して本体部材31の大きさも異なることになるが、大きさ違いの接続ブロック11であっても本体部材31の前後方向の長さLは同一である。
【0053】
また大きさ違いの接続ブロック11においても、嵌合構造51,52の形成位置と嵌合幅wの大きさは共通である。固定溝58の幅と形成位置も共通であるが、固定溝58の形成態様や要否は適宜決定される。
【0054】
すなわち、嵌合構造51,52の嵌合幅wは大きさの違いに関わらずすべての接続ブロック11において同じであり、それらの形成位置、つまり前面32aからの距離と後面32bからの距離も同じである(
図7、
図8参照)。
【0055】
図11は接続する管体14の太さが
図2に示した接続ブロック11よりも小さい接続ブロック11の斜視図であり、
図12はその六面とC-C断面を示している。
【0056】
このように前後方向の長さLと嵌合構造51,52の嵌合幅wと形成位置が両者で共通しているので、
図12と
図2の接続ブロック11は、側面の大きさなどの相違から外観が異なるものの、すべての側面34,35,36,37において互いに接合可能である。
【0057】
以上のような構成の接続ブロック11は、次のようにして使用される。
【0058】
接続ブロック11は接続される管体14の大きさに応じて必要数のものが所望の配置で互いに接合されて1つの組立て体11aが形成される。
【0059】
まず、同一大の接続ブロック11を一方の側面対、つまり右側側面32eと左側側面32fで互いに接合する例を説明する。
図13に示したように、一の接続ブロック11における右側側面32eの凸部51aに他の接続ブロック11における左側側面32fの凹部51bを嵌合構造51の長手方向である上下方向に摺動させて係合する。すると
図14に示したように嵌合構造51が嵌合し抜け止め係合部53が係止して、2つの接続ブロック11は一体となる。接続ブロック11は必要な個数、一方の側面対の方向に接合される。この方向の接合には接合手段は不要である。
【0060】
同一大の接続ブロック11を他方の側面対、つまり上側側面32gと下側側面32hで互いに接合する場合には、
図15に示したように内装型連結手段55を利用する。
【0061】
すなわち重ね合わせる接続ブロック11の上側側面32gと下側側面32hとの間に連結ピン部材55aを介装する。例えば連結ピン部材55aの一方の突起62を下側に位置する接続ブロック11の上側側面32gの嵌合穴55bに嵌合して、板部61を凹所57や固定溝58に嵌めて回り止めする。この状態で、その連結ピン部材55aの他方の突起62に、上側に位置する接続ブロック11の下側側面32hの嵌合穴55bを嵌める。使用する連結ピン部材55aの数は、
図15に示したように嵌合穴55bの数に必ずしも対応させる必要はなく、適宜省略できる。
【0062】
図16は上下方向に接合した接続ブロック11の右側側面32eから見た図であり、嵌合構造52が嵌り合って前後方向での位置ずれが防止される。また
図17に示したように接合する対向面(上側側面32gと下側側面32h)同士の間では連結ピン部材55aが上側側面32gと下側側面32hを結合し、嵌合構造52との協働で高い一体性を発揮する。
【0063】
内装型連結手段55に代えて外装型連結手段56で連結することもできるが、内装型連結手段55は側面同士を結合するうえに内部で結合を行うので、一体性の高い良好な結合状態が得られる。
【0064】
このようにして得られた組立て体11aは、
図18に断面図で示したように地中箱12の開口部22にエポキシパテ13を介して嵌め込まれて固定される。固定後、組立て体11aを構成する接続ブロック11のすべての側面に設けた水膨張性シート81は土から浸み込む水分を吸収して
図18に白抜き矢印で示したように膨張する。これによって接続ブロック11同士の間とエポキシパテ13との間で止水がなされる。
【0065】
組立て体11aの構成に際して大きさの異なる接続ブロック11を接合する場合には、部分的には内装型連結手段55を用いることもできるが、例えば
図19に示したように外装型連結手段56を利用する。
【0066】
すなわち、右側側面32e又は左側側面32f同士が面一に並ぶ位置ではI字型の連結板63を使用し、上側側面32g又は下側側面32hと右側側面32e又は左側側面32fが直角に連なる位置ではL字型の連結板63を使用する。連結板63は、延長部58aを含む固定溝58に合わせて当てて、本体部材31に切り込むねじ部材65を貫通穴64から挿入して固定する。
【0067】
図20はL字型の連結板63を用いて固定した右側側面32eから見た側面図であり、
図21はそれを上側側面32gから見た平面図である。また
図22は、I字型の連結板63を用いて固定した左側側面32fから見た側面図である。
図21に示したように連結板63の貫通穴64と本体部材31の嵌合穴55bが重なる部分については、前述したドリル式のねじ部材65に代えてボルト65aを用い、裏面側にナット66を入れて締め付けを行うとよい。
【0068】
これらの図に示すように連結板63は嵌合構造51,52との協働で位置ずれのない強固な固定を行う。
【0069】
以上のように接続ブロック11は、管体接続穴33を1つ有する構造であり、所望の状態に組み合わせて使用される。このため、複数の管体接続穴を有する多様な種類のブロックを用意しておく必要はなく、接続ブロック11の種類は大きさ違いのものだけでよいので、在庫管理の負担を軽減できる。
【0070】
また、2組の嵌合構造51,52のうち一方の嵌合構造51には抜け止め係合部53を形成しているので、接合作業は至って簡単である。他方の嵌合構造52を有する側面の接合には連結手段55,56を用いるので、コーキング剤で結合する場合と比べてはるかに容易である。
【0071】
しかも接続ブロック11は合成樹脂製であるので比重が小さく軽量である。このため、製品管理や運搬等に際しての取扱い性がよく、地中箱12に固定する際の作業性も良好であり、作業の大幅な負担軽減をはかれる。
【0072】
そのうえ、すべての側面34,35,36,37には水膨張性シート81が備えられているので、接続ブロック11は単に接合して地中に埋設されるだけで自動的に必要な部分の止水性が得られる。このためコーキング剤で結合する場合や別途に水膨張性止水材を充填する場合とは異なり、作業時間と作業スぺースの削減が可能であり、在庫管理の軽減と相まって一連の作業を簡素化できる。
【0073】
また、大きさ違いの接続ブロック11において嵌合構造51,52など必要な部位について共通化をはかっているので、多様な組立て体11aの形成は確実に行える。
【0074】
抜け止め係合部53の他に接続ブロック11同士を連結する連結手段として内装型連結手段55と外装型連結手段56を備えているので、これらを必要に応じて自由に利用して一体性の高い所望の組立て体11aを得ることができる。
【0075】
内装型連結手段55は、別部材の連結ピン部材55aを用いる構造であるので、必要な部分のみに使用でき、予めピン状の突起物が形成されている場合と異なり、所望の組立て体11aの構成が柔軟に行える。
【0076】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0077】
例えば備えられる連結手段は内装型か外装型のいずれか一方であってもよい。
【0078】
他方の嵌合構造52にも抜け止め係合部53を形成してもよい。この場合には外装型連結手段56のみ備える。
【0079】
抜け止めリング71は合成樹脂以外の材料を用いて形成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
11…地中箱用管体接続ブロック
12…地中箱
14…管体
14a…端部
21…壁部
31…本体部材
32…筐体部
32a…前面
32b…後面
32e…右側側面
32f…左側側面
32g…上側側面
32h…下側側面
33…管体接続穴
51,52…嵌合構造
53…抜け止め係合部
55…内装型連結手段
55a…連結ピン部材
55b…嵌合穴
56…外装型連結手段
62…突起
63…連結板
81…水膨張性シート