(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】患者に対する心肺蘇生装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20240415BHJP
A61H 31/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
A61M16/00 380
A61M16/00 311
A61M16/00 390
A61H31/00
(21)【出願番号】P 2022502283
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 ES2020070454
(87)【国際公開番号】W WO2021009403
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-20
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】522014954
【氏名又は名称】ディセニョ イ プロダクション デ システマス エレセペ ソシエダ リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フェレロ・リンドラウ,アドルフォ
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130540(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107343977(CN,A)
【文献】特表2018-530413(JP,A)
【文献】米国特許第07124757(US,B2)
【文献】特開2015-157181(JP,A)
【文献】特表2006-528903(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109692099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対する心肺蘇生装置において、
少なくとも1つのプッシュボタン(4)
に接続された揺動要素(3)およびガイド手段(2)を有する患者を支持するためのくさび形の支持ベース(1)と、
相補ガイド手段(6)および相補揺動要素(7)を有し、患者の頭部を支持するための揺動支持部(5)と、
複数の歯付き要素(11)が設けられているアーム(10)からなるマスクホルダ(9)と、
前記マスクホルダ(9)の前記アーム(10)の端部が導入される挿入手段(15)と内側の保持手段とを有する少なくとも2つの横方向支持要素(8)とを備え、
前記マスクホルダ(9)は、換気マスク(14)を結合するための連続した穿孔(13)を備えたコネクタ(12)を有し、
各前記横方向支持要素(8)には、前記揺動支持部(5)に接続するための取り付け手段(16)が設けられ、
前記複数の歯付き要素(11)は、前記横方向支持要素(8)の前記挿入手段(15)に導入され、前記マスクホルダ(9)を垂直に調整することでき、前記プッシュボタン(4)は、作動されると、前記揺動要素(3)をシフトした位置に維持することにより、前記揺動支持部(5)を前記支持ベース(1)に対して自由に移動させることができ、一方、前記プッシュボタン(4)は、待機状態において、患者の首を過伸展するためおよび患者の気道を開くため、前記揺動要素(3)を前記相補揺動要素(7)に結合させておくことにより、前記揺動支持部(5)を前記支持ベース(1)に固定することを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記揺動支持部(5)は、前記横方向支持要素(8)の前記取り付け手段(16)を受け入れるためのノッチ(17)を有することを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記プッシュボタン(4)は、前記支持ベース(1)の前記揺動要素(3)に関連するバネに接続されており、このバネは柔軟なポリマー材料で構成されていることを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記取り付け手段(16)は、前記横方向支持要素(8)を患者の頭部の寸法に適合させるために、前記揺動支持部(5)の内側のアンカー手段に接続される複数の突起部(22)を有することを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
2つのアジャスタ(18)は、前記マスクホルダ(9)の前記アーム(10)が導入される前記挿入手段(15)を有し、各前記アジャスタ(18)は、前記横方向支持要素(8)に設けられた水平溝(23)によって、前記横方向支持要素(8)のそれぞれと関連付けられ、前記アジャスタ(18)は、前記マスクホルダ(9)を水平方向に調整するためのロック手段(19)を有することを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記揺動支持部(5)の一部は、前記揺動支持部(5)に載せた患者の頭部の後頭部領域と一致する領域に、前記領域より小さい断面を有することを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
各前記横方向支持要素(8)は、前記横方向支持要素(8)を前記揺動支持部(5)から切り離すための解除手段(21)を有することを特徴とする患者の心肺蘇生用装置。
【請求項8】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記マスクホルダ(9)の前記アーム(10)は、前記マスクホルダ(9)の正しい垂直方向の位置を確認するための表示手段を有することを特徴とする患者の心肺蘇生に対する装置。
【請求項9】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記横方向支持要素(8)は、前記マスクホルダ(9)の正しい水平方向の位置を確認するための表示手段を有することを特徴とする患者用に対する心肺蘇生装置。
【請求項10】
請求項1に記載の患者に対する心肺蘇生装置において、
前記マスクホルダ(9)は、半硬質の材料で構成されていることを特徴とする患者に対する心肺蘇生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対して酸素療法を伴う心肺蘇生術を行うための装置に関する。
【0002】
本発明の目的は、一人の担当医が酸素療法を伴う心肺蘇生術を実践するための装置を提供することであり、連続して胸骨圧迫を行いながら患者へ酸素を連続的に供給することができるため、第一の担当医が断続的に胸骨圧迫を行う間も、換気マスクを保持する第二の担当医を必要としない。
【0003】
有利なことに、本発明の装置は、既存の機械式または手動式の連続換気装置と組み合わせて使用することが可能であり、迅速かつ容易に組み立てることができ、蘇生操作の間に患者の気道を正しく開くことを確保する。
【背景技術】
【0004】
心肺停止や患者の生命を脅かすような緊急事態には、迅速で効果的な医療介入が必要である。なぜなら、介入時間は患者の生存率に大きく影響するからである。この意味で、5分間以上の肺ガス交換の中断は、重要な器官、特に脳神経に不可逆的な損傷を与える可能性がある。
【0005】
先行技術として、患者に対する心肺蘇生術の練習装置が知られている。これらの装置は、患者の頸部を支える支持ベースと換気マスクから構成されており、適切に使用するためには、通常複数の担当医の協力が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、担当医が一人しかいないような緊急事態はよくあり、効果的な介入にはさらに酸素療法、すなわち酸素の供給が必要であるため、複数の人の協力を必要とする装置では、生命の危機に瀕した緊急事態に必要な確約と信頼を得ることはできない。したがって、緊急時の介入を成功させるためには、複数の人が行動する必要がある。
【0007】
公知の装置は、心肺蘇生術を実践する資格を有する少なくとも2人以上の人または担当医が相互に行動する必要がある構成となっている。この意味で、担当医のうちの1人は、脳や重要な器官への灌流や血液循環を維持するために断続的に胸骨圧迫を行うことを専ら担当し、他の担当医は、気道を開くこと、および酸素療法を行うために酸素供給マスクを患者の顔に当てることを担当する。時には、手動式人工呼吸バッグを使用して酸素療法を確実に行うために、3人目の担当医の存在が必要となることもある。
【0008】
また、既存の装置の配置が複雑であるため、蘇生操作の開始が遅れ、患者の生存と回復の選択肢が著しく損なわれることにも留意すべきである。さらに、このような装置では、蘇生操作中に患者が嘔吐した場合に、迅速な解放と患者の安全な姿勢への配置ができない。
【0009】
他の既存の装置の欠点は、患者の形態的特徴に基づいて頸部を正しく過伸展させることができないため、適切に気道を開くことができない点である。
【0010】
このため、本特許出願人は、担当医が一人で安全かつ効率的に酸素療法を伴う心肺蘇生術を行うための装置であって、設置および取り外しが単純かつ容易であり、患者の特有の寸法に適合する装置を提供する必要性を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
提案する装置は、胸骨圧迫を中断することなく、患者の気道が正しく開くことと患者への連続的な酸素供給を保証でき、一人での医療介入を可能にするため、上記の問題を完全に満足のいく形で解決できる。
【0012】
この意味で、本発明の患者に対する心肺蘇生装置は、患者、具体的には、患者の肩や肩甲骨領域を支持するための支持ベースと、患者の頭部を支持するための揺動支持部とから構成されている。
【0013】
好ましくは、支持ベースは、患者の胸部を持ち上げることが容易になるようにくさび形である。さらに、支持ベースはガイド手段を有し、そのガイド手段に沿って揺動支持部に設けられた相補ガイド手段が通り、揺動支持部が支持ベース上で揺動することを可能にする。揺動支持部が揺動することにより、患者の首を過伸展させるために必要な傾斜が容易になり、患者の気道を開いて酸素の導入を可能にする。
【0014】
支持ベースがくさび形であることにより、患者が支持ベース上に配置された状態で、患者の肩甲骨領域と水平面との間に高低差を生じさせることに注目すべきである。この高低差により、患者の気道を最適に開くために必要な角度で揺動支持部を揺動させることができ、必要に応じて患者の挿管も可能となる。
【0015】
支持ベースは、少なくとも1つのプッシュボタンに接続された揺動要素をさらに備えている。この接続は、好ましくは、柔軟なポリマー製のバネによって行われる。好ましくは、バネにポリマー材料を使用することで、海洋環境などの環境下での腐食が防止され、装置をX線診断装置に使用することができる。
【0016】
支持ベースの揺動要素は、揺動支持部に設けられた相補揺動要素と関連することによって、揺動支持部の位置を固定し、その後方への移動を防止するため、酸素療法を伴う心肺蘇生術を実践する際に、患者の首と頭が気道の開放を容易にするために適切な姿勢となることが保証される。
【0017】
プッシュボタンは、支持ベースの揺動要素と揺動支持部の相補揺動要素をロックおよびロック解除することができ、プッシュボタンが作動すると、揺動要素をシフトした位置に維持することにより、揺動支持部を支持ベースに対して自由に移動させることができ、一方、プッシュボタンが待機状態にあると、支持ベースの揺動要素を揺動支持部の相補揺動要素に結合した状態に維持し、支持ベース上の揺動支持部の位置を固定することができる。
【0018】
このため、装置には2つの異なる配置がある。1つは揺動支持部が揺動している位置、つまり支持ベースにより規定された水平面に対して傾斜している位置であり、もう1つは揺動支持部が支持ベースにより規定された水平面と一致している中立位置である。
【0019】
有利なことに、前述の支持ベースと揺動支持部の構成は、患者の特有の形態学的寸法に基づいてこの操作を行うことができる限りにおいて、医療マニュアルやガイドラインのプロトコルで確立された最適な傾斜度で、患者の首を正しく過伸展させることができる。
【0020】
本発明の装置の目的は、患者の顔の上に換気マスクを結合して保持するために必要な要素で補完される。この意味で、2つの横方向支持要素が、揺動支持部の側面のそれぞれに取り付け手段を介して接続されている。有利なことに、横方向支持要素の取り付け手段によって、患者の頭部の特有の寸法に装置を適合させることが可能になる。オプションとして、揺動支持部は、横方向支持要素の取り付け手段を受け入れるためのノッチを有する。
【0021】
横方向支持要素には、マスクホルダを導入するための挿入手段が設けられている。前述のマスクホルダは、複数の歯付き要素を備えたアームで構成され、アームは、酸素供給のための既存の装置のいずれかに接続される換気マスクを結合するための連続した穿孔を備えたコネクタに取り付けられている。好ましくは、マスクホルダは、寸法に基づいて患者の顔にマスクを正しく結合できる必要な公差を有するように、半硬質材料で構成されている。また、この半硬質素材により、患者の顔面上のマスクの固定位置を維持したまま、胸部圧迫による患者の動きにマスクホルダを適応させることができる。
【0022】
この意味で、マスクホルダのアームの端部、つまりそこに存在する複数の歯付き要素は、横方向支持要素の挿入手段に導入され、マスクホルダは、前述の横方向支持要素に一体的に接続される。また、挿入手段は、マスクホルダのアームの複数の歯付き要素を保持するための保持手段を内部に有しており、患者の寸法に基づいてその位置を垂直方向に調整することが可能である。
【0023】
したがって、マスクホルダ、横方向支持要素、および揺動支持部が接続されていることで、支持ベース上で揺動支持部を揺動させる動作を行う際に、一体的に移動するユニットが得られることになる。
【0024】
有利なことに、患者が嘔吐した場合には、横方向支持要素のいずれかを揺動支持部から独立して切り離すことができる。この操作は、迅速かつ簡単な方法で行われ、患者を解放して横向きに転がすことができ、患者が嘔吐物を吸引するリスクを防ぐことができる。
【0025】
緊急事態が発生した場合、本装置を使用するために、医師は患者を支持ベースに乗せ、頭部を揺動支持部に置く。その後、横方向支持要素が揺動支持部に接続され、患者の寸法に基づいて患者の顔の上に密接に配置される。口咽頭カニューレがある場合は、舌が気道を塞ぐことを防ぐために、当該カニューレを患者の頬腔から導入する。なお、このカニューレは本発明案の一部ではないことに留意すべきである。次に、マスクホルダのアームを横方向支持要素の挿入手段に導入して、患者の顔面上に換気マスクを密閉結合する。
【0026】
最後に、プッシュボタンを作動させたままにすると、支持ベースの揺動要素と揺動支持部の相補揺動要素のロックが解除され、揺動支持部が支持ベースのガイド手段上を自由に移動できるようになる。
【0027】
患者の首の過伸展を行い、患者の気道を開いた後、担当医がプッシュボタンを解除して待機位置にすると、支持ベースのロック手段が揺動支持部の補完的なロック手段に接続され、患者の寸法に基づいてその位置が固定され、それによって揺動支持部の後方への移動が阻止される。
【0028】
マスクホルダ、横方向支持要素、揺動支持部からなるユニットが固定され、患者の首を過伸展させるための位置に固定されると、患者の心肺蘇生のために連続的な胸骨圧迫が開始され、同時に既存の連続換気装置を用いてマスクを通して酸素が患者に供給される。
【0029】
最終的に、本発明の患者に対する心肺蘇生装置は、一人の担当医が酸素療法と伴う連続的な胸骨圧迫による医療介入を行うことができ、患者の気道が正しく開くことと迅速で効果的な介入を保証し、それによって患者の生存率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下の説明を完成させるために、また、本発明の特徴をよりよく理解することを助けるために、一連の図面を前記説明の不可欠な部分として添付するが、例示的かつ非限定的に図示するものである。
【0031】
【
図1】本発明の第1の実施形態による患者に対する心肺蘇生装置の分解正面図。
【
図2】本発明の第1の実施形態による患者に対する心肺蘇生装置の分解背面図。
【
図3】本発明の第2の実施形態による患者に対する心肺蘇生装置の分解正面図。
【
図4】本発明の第2の実施形態による患者に対する心肺蘇生装置の分解背面図。
【
図5】本発明の第2の実施形態による、組み立てられ、中立的な位置にある装置の透視図。
【
図6】本発明の第2の実施形態による、患者の首の過伸展を可能にするために揺動支持部を揺動させた後の、組み立てられた装置の透視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から
図6は、本発明の好ましい2つの実施形態について詳細に示している。
【0033】
この意味で、前述の図に示す患者に対する心肺蘇生装置は、水平面に対して患者の胸部を持ち上げることができるくさび形の支持ベース(1)、患者の頭部を支持するための揺動支持部(5)、揺動支持部(5)に関連する2つの横方向支持要素(8)、および横方向支持要素(8)に接続されるマスクホルダ(9)から構成されている。
【0034】
図1から
図4に示すように、支持ベース(1)は、揺動支持部(5)の相補ガイド手段(6)が通るガイド手段(2)を有するため、揺動支持部(5)が支持ベース(1)上で揺動して移動することができる。さらに、支持ベース(1)は、揺動支持部(5)の相補揺動要素(7)に接続される揺動要素(3)を有するため、位置を固定することができ、後方への移動が防止される。
【0035】
支持ベース(1)の揺動要素(3)は、図に示されていないが、柔軟なポリマーバネによって、1又は複数のプッシュボタン(4)に接続されている。プッシュボタン(4)の作動により、支持ベース(1)の揺動要素(3)が移動し、その結果、揺動支持部(5)の相補揺動要素(7)から切り離され、揺動支持部(5)が支持ベース(1)に対して自由に移動することができるようになる。
【0036】
この支持ベース(1)と揺動支持部(5)の構成は、心肺蘇生装置の2つの異なる配置を提供する。その配置とは、
図5に詳細に示されているように、揺動支持部(5)が支持ベース(1)によって規定された水平面と一直線状の第1の中立位置と、
図6に詳細に示されているように、揺動支持部(5)が揺動し、患者の首を過伸展させ、患者の気道を開くために、支持ベース(1)によって規定された水平面に対して必要な傾きを有する第2の位置である。
【0037】
本発明の装置は、
図1、
図3、
図4に描かれているように、揺動支持部(5)の各側面に設けられたそれぞれのノッチ(17)を介して揺動支持部(5)に接続するための取り付け手段(16)を備えており、2つの横方向支持要素(8)を組み込むことを想定している。
【0038】
さらに、横方向支持要素(8)には、マスクホルダ(9)のアーム(10)を導入するための挿入手段(15)が設けられている。アーム(10)は、複数の歯付き要素(11)を備え、換気マスク(14)を結合するための連続した穿孔(13)を有するコネクタ(12)に取り付けられている。有利なことに、このマスクホルダ(9)は、既存の手動式および機械式補助換気装置ならびにマスクのいずれとも組み合わせて使用することができる。
【0039】
そのため、マスクホルダ(9)のアーム(10)の端部は、横方向支持要素(8)の挿入手段(15)に導入され、マスクホルダ(9)の位置は、患者の寸法に基づいて垂直方向に調整される。歯付き要素(11)は、横方向支持要素(8)に設けられた、
図1~
図6には描かれていない内側保持手段に接続されている。これにより、マスクホルダ(9)は、横方向支持要素(8)、ひいては揺動支持部(5)と関連付けられる。
【0040】
図1および
図2は、本発明による第1の好ましい実施形態を示している。具体的には、
図1は、揺動支持部(5)に横方向支持要素(8)が結合された中立位置にある装置の正面図を示し、一方、
図2は、揺動支持部(5)のノッチ(17)に挿入される前の取り付け手段(16)の詳細を見ることができるように装置の背面図を示している。
図2に示すように、図示された実施形態では、取り付け手段は、揺動支持部(5)の内側のアンカー手段(図には示されていない)に接続される複数の突起部(22)を有する。したがって、患者が支持ベース(1)上に配置されると、取り付け手段(16)は、突起部(22)および内側アンカー手段が存在するので、患者の寸法に基づいて揺動支持部(5)のノッチ(17)に挿入され、横方向支持要素(8)は患者の顔に完全に結合されることになる。
【0041】
図3~
図6は、本発明による第2の好ましい実施形態を示しており、この実施形態では、横方向支持要素(8)が、マスクホルダ(9)の位置を調整するためのアジャスタ(18)を受け入れるための水平溝(23)を有している。
図3および
図4に描かれているように、アジャスタ(18)は、マスクホルダ(9)のアーム(10)を導入するための挿入手段(15)と、マスクホルダ(9)の位置を水平方向に調整するためのロック手段(19)とを提供している。さらに、横方向支持要素(8)には、マスクホルダ(9)を水平に調整するためにロック手段(19)と相補的なキャビティ(20)が設けられている。同様に、
図3および
図4を見ると、この第2の実施形態では、装置には両側にプッシュボタン(4)が組み込まれており、これにより、揺動操作を正確かつ快適に行うことが可能となっている。
【0042】
さらに、
図3~
図6に示す第2の実施形態では、患者が心肺蘇生装置に配置されたときに、揺動支持部(5)は患者の後頭部領域を覆うまで延長されている。揺動支持部(5)の一部は、患者の頭部の後頭部領域と一致する領域に厚さが薄い部分を有しており、横方向支持要素(8)の取り付け手段(16)が揺動支持部(5)のノッチ(17)に導入される範囲が患者の頭部の寸法によって決まるようになっており、これにより、横方向支持要素(8)を患者の寸法に基づいて患者の顔に完全に適合させることが可能になっている。
【0043】
患者が嘔吐した場合、迅速に患者を解放して横向きにするために、本装置では、
図3~
図6に示すように、各横方向支持要素(8)にレバーやプッシュボタンなどの解除手段(21)を設け、装置からの取り外しを可能にしている。
【0044】
装置を構成するさまざまな要素を、患者の頭部の両側に完全に対称的な形で迅速かつ効果的に配置するために、マスクホルダ(9)のアーム(10)には、ピクトグラム、異なる色合いの領域、または英数字コードなどの表示手段が設けられている。そのため、マスクホルダ(9)のアーム(10)を横方向支持要素(8)に導入する際には、一方のアーム(10)の表示手段が他方のアーム(10)の表示手段と対応していることを確認して、マスクホルダ(9)の垂直方向の取り付けが両アーム(10)で同じであることを確認する。
【0045】
同様に、横方向支持要素(8)には、ピクトグラム、異なる色合いの領域、英数字のコードなどの表示手段があり、マスクホルダ(9)の正しい水平方向の位置を確認することができる。