(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】安全シリンジのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61M5/32 510H
(21)【出願番号】P 2022517749
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 US2020052485
(87)【国際公開番号】W WO2021061978
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-22
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518264424
【氏名又は名称】クリーデンス メドシステムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Credence MedSystems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シャンリー,コナー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,スティーヴン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シュルザス,アラン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ティラック,ジェフ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/085462(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/085467(WO,A2)
【文献】国際公開第91/003269(WO,A1)
【文献】特表2007-518523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジアセンブリであって、
シリンジ本体であって、シリンジ内部と、長手方向軸と、近位端および遠位端と、その遠位端に配置された針取付インターフェースとを有するシリンジ本体と、
近位端および遠位端を有する針アセンブリと、
保持バーブを有する保持クリップと、
前記針アセンブリの外径の周りおよび前記シリンジ本体の遠位端に液密シールを提供するために圧縮され
て、前記針アセンブリ、ガスケット、及び前記シリンジ本体の遠位端の間で液体が通過するのを防ぐように構成されたガスケットと、
針ラッチアセンブリであって、
閉状態において前記針アセンブリを保持するとともに、
前記針アセンブリを通して加えられる近位方向の力によって、前記針アセンブリを解放するために開状態に塑性変形するように構成された第1および第2のラッチタブと、
前記ガスケットの圧縮のための平らな表面を提供するように構成されたガスケットバックストップであって、前記ガスケットの圧縮中に前記第1および第2のラッチタブが何れも前記ガスケットに接触しないように、前記第1および第2のラッチタブが前記ガスケットから間隔を置いて配置される、ガスケットバックストップとを備える、針ラッチアセンブリと、
近位内壁(814)と前記シリンジ本体の遠位端との間の針ハブ内の空間に前記針ラッチアセンブリ
及び前記ガスケットを
保持するように構成された近位内壁と、前記保持クリップを受け入れて前記シリンジ本体の遠位端に前記針ハブを密閉構成で保持するように構成されたスロットとを有する針ハブであって、当該密閉構成において、前記ガスケットが前記針ハブ内の空間を満たすまで、前記ガスケットが前記シリンジ本体の遠位端によって前記針ラッチアセンブリ及び前記近位内壁に対して変形され、前記シリンジアセンブリを使用して注入する間に、前記針アセンブリ又は前記針ハブ内の空間に沿って前記針ハブの外部に液体が漏れ出すのを防止する、針ハブとを備え、
前記シリンジアセンブリを使用して注入した後に、
且つ、前記第1および第2のラッチタブが前記開状態に塑性変形して前記針アセンブリを解放した後に、前記針アセンブリが、
前記針ラッチアセンブリに対して長手方向に自由に移動できるように構成されていることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリにおいて、
前記針ラッチアセンブリが、ケージをさらに含み、前記ケージが、
第1の開口部が規定された平らな本体と、
前記平らな本体から直交して延びる第1および第2のアームとを含み、
前記第1および第2のラッチタブが、前記第1および第2のアームからそれぞれ直交して延びて、第2の開口部を規定し、
前記第1の開口部が前記第2の開口部よりも大きく、
前記大きい方の開口部が、前記針アセンブリの通過を可能にするようなサイズおよび形状であり、
前記第2の開口部が、前記第1および第2のラッチタブが変形するまで、前記針アセンブリの通過を阻止するようなサイズおよび形状であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のラッチタブが、塑性変形可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のラッチタブが、2ポンド~3ポンドの近位方向を向く力が加えられたときに塑性変形するように構成されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のラッチタブが対称であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のラッチタブが、前記ケージの内部に留まりながら、針と係合し、かつ針から離脱するように構成されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1の開口部が、前記平らな本体の中心に配置されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第2の開口部が、前記第1の開口部と同軸に配置されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のアームが、弾性的に変形可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のアームが、それぞれ、前記ケージの前記平らな本体と反対側の端部にスタンドオフの第1および第2のペアを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアセンブリにおいて、
前記スタンドオフの第1および第2のペアが、互いに向かって曲がっていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記第1および第2のアームが、軸方向に見たときに、それぞれ円弧状であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項2に記載のアセンブリにおいて、
前記平らな本体、前記第1および第2のアーム、並びに、前記第1および第2のラッチタブが、金属シートから単一部品として、打ち抜かれるか、または切り取られていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載のアセンブリにおいて、
前記針ラッチアセンブリが、
上部フラットディスク状本体であって、
第1の開口部を規定する前記第1および第2のラッチタブと、
前記上部フラットディスク状本体に規定された第2の開口部であって、前記第1の開口部よりも大きい前記第2の開口部とを有する、上部フラットディスク状本体と、
卵形の開口部が規定された下部フラットディスク状本体と、
前記下部フラットディスク状本体に規定された卵形の開口部が、前記上部フラットディスク状本体に規定された第1の開口部および第2の開口部と整列するように、前記上部フラットディスク状本体および前記下部フラットディスク状本体に結合された複数の結合部材とをさらに備え、
前記第2の開口部が、前記針アセンブリの通過を可能にするようなサイズおよび形状であり、
前記第1の開口部が、前記第1および第2のラッチタブが変形するまで、前記針アセンブリの通過を阻止するようなサイズおよび形状であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載のアセンブリにおいて、
前記上部フラットディスク状本体、前記下部フラットディスク状本体および前記複数の結合部材が、金属シートから単一部品として、打ち抜かれるか、または切り取られていることを特徴とするアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して注入システムおよびデバイスに関し、より詳細には、医療環境での注入に関連する注入システムおよびデバイスに関する。さらに詳細には、本発明は、引き込み可能な針を有する安全注入システムおよびデバイス、並びに、それらを製造、組立および使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A(2)に示すような数百万ものシリンジが、医療環境で毎日消費されている。典型的なシリンジ(2)は、管状本体(4)、プランジャ(6)および注射針(8)を含む。
図1Bに示すように、そのようなシリンジ(2)は、患者に流体を注入するだけでなく、薬瓶、バイアル、バッグまたは他の薬剤封入システム(10)などの容器から流体を引き出すか、またはそれら容器内に流体を排出するために利用することもできる。実際、米国などの一部の国では、無菌状態の維持に関する懸念と、規制上の制約により、特定の患者の環境に示すように、シリンジ(2)と一緒に薬瓶(10)を使用した場合、そのような薬瓶は、一人の患者に対してのみ使用され、その後、処分しなければならず、それにより薬瓶や残りの薬剤の廃棄物から多くの医療廃棄物がもたらされ、特定の重要な薬剤の周期的な不足の原因にもなる。
【0003】
図2Aを参照すると、3本のルアー型シリンジ(12)が示されており、それぞれが、遠位側に配置されたルアー継手形状(14)を有し、それらが、
図2Bに示すルアーマニホールドアセンブリ(16)などの同様の継手形状を有する他のデバイスと結合されるようになっている。
図2Bのルアーマニホールドアセンブリは、静脈内注入バッグの使用の有無にかかわらず、患者に液体薬剤を静脈内投与するために使用することができる。
図2Aのシリンジのルアー継手(14)は、「雄」ルアー継手と呼ばれ、
図2Bのルアー継手(18)は、「雌」ルアー継手と呼ばれることもあり、ルアーインターフェースの一方は、ネジ山が形成されて(この場合、その構成を「ルアーロック」構成と称することもある)、両者が相対的な回転により結合され、それが圧縮荷重と組み合わされる場合もある。言い換えれば、ルアーロックの一実施形態では、回転が、場合によっては圧縮とともに、雄継手(14)のネジ山を係合させるために利用され、このネジ山は、雌継手(18)上のフランジと係合して、デバイスを流体封入された結合状態とするように構成されている。別の実施形態では、ネジ山または回転を用いることなく、圧縮を使用してルアー係合を提供するために、テーパ状のインターフェース形状が利用されることもある(そのような構成は、「スリップオン」または「円錐」ルアー構成と称することもある)。そのようなルアー結合は、オペレータにとって比較的安全であると認識されているが、ルアー結合の組立中に薬がこぼれたり、漏れたり、部品が破損したりする危険性がある。
【0004】
一方、針注入構成を使用すると、鋭い針が人や望ましくない構造物に接触したり、刺したりする危険性がある。このような理由から、いわゆる「安全シリンジ」が開発されてきた。安全シリンジ(20)の一実施形態が、
図3に示されており、この実施形態では、管状のシールド部材(22)が、シリンジ本体(4)に対してロック位置から解放されたときに、針(8)を覆うようにバネ付勢されている。安全シリンジ(24)の別の実施形態が、
図4Aおよび
図4Bに示されている。この構成では、シリンジ本体(4)に対してプランジャ(6)が完全に挿入された後、
図4Bに示すように、引き込み可能な針(26)が、管状本体(4)内の安全位置に引き込まれる(28、26)ように構成されている。それ自体に納めるように構成されたそのような形態は、血液の飛び散り/エアロゾル化の問題や、誤作動して作動が早過ぎる可能性のある予め載荷されたエネルギーの安全な貯蔵、バネ圧縮体積内の残留デッドスペースに起因する全用量注射を与える際の精度の喪失、および/または痛みや患者の不安に関連し得る引き込み速度制御の喪失に関連する可能性がある。
【0005】
図5Aおよび
図5Bに示すようなプレフィルドシリンジアセンブリに対する需要の増加により、シリンジ市場がさらに複雑化しており、それらは一般に、シリンジ本体または「薬剤封じ込め送達システム」(34)と、プランジャ先端、プラグまたはストッパ(36)と、ルアー型インターフェースに取り付けられた遠位シールまたはキャップ(35)とを備える(
図5Aは定位置にあるキャップ35を示しているが、
図5Bはルアー型インターフェース14を例示するために、キャップを取り外してある)。液体薬剤は、遠位シールとプランジャ先端(36)の遠位端(37)との間の容積または薬剤リザーバ(40)内にある。プランジャ先端(36)は、標準的なブチルゴム材料を含むことができ、関連するシリンジ本体構造および材料に対する好ましいシールおよび相対運動特性を容易にするために、生体適合性潤滑性コーティング(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)などでコーティングされている。
図5Bのシリンジ本体(34)の近位端は、シリンジ本体(34)の材料と一体的に形成された従来の一体型シリンジフランジ(38)を備える。フランジ(38)は、シリンジ本体(34)から半径方向に延びるように構成されており、シリンジ本体(34)の周囲の全周または円周の一部となるように構成されている。部分的なフランジは、「クリップドフランジ」として知られており、他方のフランジは「フルフランジ」として知られている。フランジは、指でシリンジを把持するために使用され、プランジャを押して注射を行うための支持を提供する。シリンジ本体(34)は、好ましくは、ガラスまたはポリマーのような半透明の材料を含む。チャンバまたはリザーバ(40)内に封じ込められた容積を形成し、針を介した関連流体の排出を補助するために、プランジャ先端(36)をシリンジ本体(34)内に配置することができる。シリンジ本体(34)は、ほぼ円筒形を(すなわち、円形の断面形状を有するプランジャ先端36がシリンジ本体(34)に対してシールを確立するように)規定することができ、または楕円形などの他の断面形状を有するように構成することもできる。
【0006】
このようなアセンブリは、充填、包装および医薬品/薬剤インターフェーシング材料の選択とコンポーネントの使用に関する世界の絶え間なく変化する規制のすべてを満たす余裕のある世界で数少ない製造業者によって標準化され、正確に大量製造される可能性があるため、望ましい。しかしながら、そのような単純な構成では、一般的に、単回使用、安全性、自動無効化および針刺し防止に関する新しい世界基準を満たすことはできない。このため、特定のサプライヤは、1つのソリューションで規格のすべてまたはその少なくとも一部を満たそうとする、より「垂直」ソリューション、例えば、
図5Cに示すようなもの(41)に移行してきており、多くの異なるシナリオでそれらの基準を満たそうとした結果、そのような製品には重大な制限があり(
図3~
図4Bを参照して上述したような制限を含む)、在庫および使用費用が比較的高くなる可能性がある。
【0007】
いくつかの注入システム本体は、環状オレフィンコポリマー(「COC」)または環状オレフィンポリマー(「COP」)などのポリマーを成形することによって形成される。注入システム本体の成形は、許容可能な誤差率で注入システムコンポーネントを製造するための費用対効果の高く高スループットの方法である。例えば、
図6は、成形ポリマーシリンジ本体600への針ハブアセンブリ(図示せず)の結合を容易にするための一体型ルアーコネクタ610および内向きネジ山612を含む成形ポリマーシリンジ本体600を示している。ルアーコネクタ610、内向きのネジ山612、および内向きのネジ山612を有するシリンジ本体600の遠位端は、一緒にルアーナット614を形成する。一体化したルアーナット614は、ルアーナットをシリンジ本体の遠位端に取り付けるステップを不要にする。
【0008】
いくつかの針引き込みシステムは、注入システム本体/シリンジ本体内に針アセンブリが少なくとも部分的に引き込まれるように針ラッチアセンブリが解放されるまで、針ハブ(およびそれに結合された注入システム本体/シリンジ本体)に針アセンブリを解放可能に/一時的に結合する針ラッチアセンブリを含む。針ラッチアセンブリは、典型的には、患者の皮膚を貫通中に0.25ポンド~0.5ポンドの近位方向を向く力が針アセンブリにかかる注入プロセスを通じて、ラッチされたまま静止している。針アセンブリを引き込むと、鋭利な針の遠位端が針ハブまたは注入システム本体/シリンジ本体の内部に移動して、偶発的な針刺し事故が防止される。いくつかの既存の針引き込みシステムは、システムコストと製造/組立の複雑さを増大させる多数の部品を含む。
【0009】
現在利用可能な構成の欠点に対処する針引き込みシステムおよびそのコンポーネントが必要とされている。特に、針ハブに針アセンブリを解放可能に/一時的に結合する機能を保持しながら、部品の数を減らした針ラッチアセンブリが必要とされている。針引き込みシステムのそれらおよび他の制限に対処することにより、費用対効果が高く、製造が容易なデータ引き込みシステムを、より安全な注入システムに組み込むことが可能になる。
【発明の概要】
【0010】
実施形態は、注入システムに関する。特に、実施形態は、コストを削減し、製造/組立を簡素化するために、少数の(例えば、1つまたは2つの)部品を有する針ラッチアセンブリを備えた安全注入システムを対象とする。
【0011】
一実施形態では、シリンジアセンブリが、シリンジ本体、針アセンブリ、保持クリップ、ガスケット、針ラッチおよび針ハブを含む。シリンジ本体は、シリンジ内部と、長手方向軸と、近位端および遠位端と、その遠位端に配置された針取付インターフェースとを有する。針アセンブリは、近位端および遠位端を有する。保持クリップは保持バーブを有する。ガスケットは、圧縮されて、針アセンブリの外径の周りおよびシリンジ本体の遠位端に液密シールを提供するように構成されている。針ラッチアセンブリは、針アセンブリを閉状態に保持するとともに、針アセンブリを解放するために開状態に塑性変形するように構成された第1および第2のラッチタブと、ガスケットの圧縮のための平らな表面を提供するように構成されたガスケットバックストップとを含み、第1および第2のラッチタブは、ガスケットの圧縮中に第1および第2のラッチタブが何れもガスケットに接触しないように、ガスケットから間隔を置いて配置される。針ハブは、シリンジアセンブリを使用して注入する間に、針ラッチアセンブリ、ガスケット、保持クリップおよびシリンジ本体の遠位端を密封構成で保持して、針ハブの外部に液体が漏れ出すのを防止するように構成された複数の内面を有する。針アセンブリは、シリンジアセンブリを使用して注入した後にシリンジ本体内に引き込まれるように構成されている。
【0012】
1または複数の実施形態では、針ラッチアセンブリが、ケージをさらに含み、このケージが、大きい方の開口部が規定された平らな本体と、平らな本体から直交して延びる第1および第2のアームとを含む。第1および第2のラッチタブは、第1および第2のアームからそれぞれ直交して延びて、小さい方の開口部を規定する。大きい方の開口部は、針アセンブリが通過できるようなサイズおよび形状である。小さい方の開口部は、第1および第2のラッチタブが変形するまで、針アセンブリの通過を阻止するようなサイズおよび形状である。
【0013】
1または複数の実施形態では、第1および第2のラッチタブが、塑性変形可能である。第1および第2のラッチタブは、2ポンド~3ポンドの近位方向を向く力が加えられたときに塑性変形するように構成することができる。第1および第2のラッチタブは、対称的であってもよい。大きい方の開口部は、平らな本体の中心に配置することができる。小さい方の開口部は、大きい方の開口部と同軸に配置することができる。第1および第2のラッチタブは、ケージの内部に留まりながら、針と係合し、かつ針から離脱するように構成することができる。
【0014】
1または複数の実施形態では、第1および第2のアームが、弾性的に変形可能である。第1および第2のアームは、それぞれ、ケージの平らな本体とは反対側の端部にスタンドオフの第1および第2のペアを含むことができる。スタンドオフの第1および第2のペアは、互いに対して曲げられていてもよい。第1および第2のアームは、軸方向に見たときに、それぞれ円弧状であってもよい。平らな本体、第1および第2のアーム、並びに、第1および第2のラッチタブは、金属シートから単一部品として、打ち抜かれるか、または切り取られたものであってもよい。
【0015】
1または複数の実施形態では、針ラッチアセンブリが上部フラットディスク状本体を含み、この上部フラットディスク状本体が、小さい方の開口部を規定する第1および第2のラッチタブを有し、この上部フラットディスク状本体には、大きい方の開口部が規定されている。本アセンブリは、卵形の開口部が規定された下部フラットディスク状本体を含む。本アセンブリは、下部フラットディスク状本体に規定された卵形の開口部が、上部フラットディスク状本体に規定された小さい方の開口部および大きい方の開口部と整列するように、上部および下部フラットディスク状本体に結合された複数の結合部材をさらに含む。大きい方の開口部は、針アセンブリが通過できるようなサイズおよび形状である。小さい方の開口部は、ラッチタブが変形するまで、針アセンブリの通過を阻止するようなサイズおよび形状である。
【0016】
別の実施形態では、シリンジアセンブリが、シリンジ本体、針アセンブリ、保持クリップ、ガスケット、針ラッチアセンブリおよび針ハブを含む。シリンジ本体は、シリンジ内部と、長手方向軸と、近位端および遠位端と、その遠位端に配置された針取付インターフェースとを有する。針アセンブリは、近位端および遠位端を有する。保持クリップは、保持バーブを有する。ガスケットは、圧縮されて、針アセンブリの外径の周りおよびシリンジ本体の遠位端に液密シールを提供するように構成されている。針ラッチアセンブリは、小さい方の開口部を規定する第1および第2の対向する変形可能なラッチタブを有するフラットディスク状本体を含み、このフラットディスク状本体には、大きい方の開口部が規定されている。針ハブは、シリンジアセンブリを使用して注入する間に、針ラッチアセンブリ、ガスケット、保持クリップおよびシリンジ本体の遠位端を密封構成で保持して、針ハブの外部に液体が漏れ出すのを防止するように構成された複数の内面を有する。大きい方の開口部は、針アセンブリが通過できるようなサイズおよび形状である。小さい方の開口部は、ラッチタブが変形するまで、針アセンブリの通過を阻止するようなサイズおよび形状である。針アセンブリは、シリンジアセンブリを使用して注入した後にシリンジ本体内に引き込まれるように構成されている。
【0017】
1または複数の実施形態では、第1および第2のラッチタブが、塑性変形可能である。第1および第2のラッチタブは、2ポンド~3ポンドの近位方向を向く力が加えられたときに塑性変形するように構成することができる。第1および第2のラッチタブは、非対称であってもよい。ラッチタブを塑性変形させて、針を引き込みのために解放する力は、意図された針の挿入力の要件に一致するように調整することができる。典型的には、0.25~0.5重量ポンドの力が、皮膚を突き刺し、かつ/または注入深さまで針を挿入するために必要とされる。ラッチタブは、約2~3重量ポンドの針保持力を生成するようなサイズであり、その結果、解放力/穿刺力のマージンは4~12(2/0.5=4~3/0.25=12)となる。皮膚と針との間の摩擦、ストッパーと針との間の摩擦、および/または引き込み機構の摩擦に打ち勝ちながら針の引き込みを確実にするために、針の突刺力を上回る針保持力のマージンが望まれる。例えば、組織が密集している場合、3重量ポンド~5重量ポンドの高い針解放力が望まれる場合がある。一方、組織の密度が低い場合には、1.0~2.0の低い針解放力が望まれることもある。引き込みバネは、針が確実に引き込まれるように、針保持力より大きい針引き込み力を提供するようなサイズである。力の大きい引き込みバネは、典型的には、より迅速な針の引き込みを提供する一方で、力の小さい引き込みバネは、典型的には、より遅い引き込みを提供する。大きい方の開口部は、フラットディスク状本体の中心に対して偏心して配置されるようにしてもよい。小さい方の開口部は、フラットディスク状本体の中心に配置されるようにしてもよい。
【0018】
1または複数の実施形態では、フラットディスク状本体が、金属シートから打ち抜かれるか、または切り取られている。上部および下部フラットディスク状本体および複数の結合部材は、金属シートから単一部品として、打ち抜かれるか、または切り取られるものであってもよい。金属は、打ち抜きによって容易に作成することができ、耐クリープ性があるため、ディスクに適した材料である。代替的には、ディスクは、ポリマーまたはゴム材料から形成することもできる。
【0019】
1または複数の実施形態では、フラットディスク状本体に、「H」字状の開口部も規定されている。フラットディスク状本体には、大きい方の開口部の反対側に側部開口部も規定され、この側部開口部が、「H」字状の開口部およびフラットディスク状本体の外部と繋がっている。フラットディスク状本体は、大きい方の開口部に隣接しかつ側部開口部の反対側に配置された弾性変形可能なセクションも有することができる。フラットディスク状本体は、フラットディスク状本体の平面内において弾性変形可能なセクションで弾性変形して側部開口部を拡大するように構成されるものであってもよい。フラットディスク状本体は、弾性変形可能なセクションでフラットディスク状本体の平面外に弾性変形して側部開口部を拡大するように構成されている。
【0020】
さらに別の実施形態では、シリンジアセンブリが、シリンジ本体、針アセンブリ、保持クリップ、ガスケット、針ラッチアセンブリおよび針ハブを含む。シリンジ本体は、シリンジ内部と、長手方向軸と、近位端および遠位端と、その遠位端に配置された針取付インターフェースとを有する。針アセンブリは、近位端および遠位端を有する。保持クリップは、保持バーブを有する。ガスケットは、針アセンブリの外径の周りおよびシリンジ本体の遠位端に液密シールを提供するために圧縮されるように構成されている。針ラッチアセンブリは、針ハブ内に規定された空間に配置されるようなサイズおよび形状の矩形プリズム保持部分を含む。本アセンブリは、円筒形カラー部分が変形するまで、針アセンブリが通過するのを阻止するようなサイズおよび形状の円筒形カラー部分も含む。本アセンブリは、矩形プリズム保持部分および円筒形カラー部分に結合された結合部分をさらに含む。針ハブは、シリンジアセンブリを使用して注入する間に、針ラッチアセンブリ、ガスケット、保持クリップおよびシリンジ本体の遠位端を密封構成で保持して、針ハブの外部に液体が漏れ出すのを防止するように構成された複数の内面を有する。針アセンブリは、シリンジアセンブリを使用して注入した後にシリンジ本体内に引き込まれるように構成されている。
【0021】
1または複数の実施形態では、矩形プリズム保持部分が、針ハブ内に規定された空間内に矩形プリズム保持部分を保持するようなサイズおよび形状の外側にバイアスされたラッチタブのペアを含む。円筒形カラー部分は、円筒形カラー部分の変形を容易にするために、長手方向の開口部を有する巻かれたシートを含むことができる。円筒状カラー部分は、塑性変形可能であってもよい。円筒形カラー部分は、2ポンド~3ポンドの近位方向を向く力が加えられたときに塑性変形するように構成されるものであってもよい。矩形プリズム保持部分、円筒形カラー部分および結合部分は、金属シートから単一部品として、打ち抜かれるか、または切り取られるものであってもよい。
【0022】
本発明の上述した実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面は、説明のみを目的としている。図面は、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。実施形態の上述した態様および他の態様は、添付図面を参照してさらに詳細に説明されており、それら図面においては、様々な図面中の同じ要素が共通の符号によって示されている。
【0024】
【
図3】
図3は、従来の注入シリンジ構成の様々な態様を示している。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリとともに使用するための成形ポリマー注入システム本体の斜視図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、いくつかの実施形態に係る部分的に組み立てられた安全注入システムの側面図および斜視図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面分解図である。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムのコンポーネントの側面分解図および斜視分解図である。
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの斜視図および上面図である。
【
図13】
図13A~
図13Cは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントが針アセンブリに取り付けられた状態の斜視図および上面図である。
【
図14】
図14Aおよび
図14Bは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントが針アセンブリに取り付けられた状態の斜視図および上面図である。
【
図15】
図15A~
図15Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントが開かれている状態の斜視図および上面図である。
【
図16】
図16A~
図16Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントが開かれている状態の斜視図および上面図である。
【
図17】
図17A~
図17Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの斜視図、上面図および底面図である。
【
図18】
図18Aおよび
図18Bは、いくつかの実施形態に係る針アセンブリに取り付けられた針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの側面図および斜視図である。
【
図19】
図19Aおよび
図19Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面図である。
【
図20】
図20Aおよび
図20Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面分解図である。
【
図21】
図21Aおよび
図21Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムのコンポーネントの側面分解図および斜視分解図である。
【
図23】
図23Aおよび
図23Bは、いくつかの実施形態に係る針アセンブリにラッチおよびラッチ解除された針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの斜視図である。
【
図24】
図24A~
図24Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの斜視図、上面図および底面図である。
【
図25】
図25Aおよび
図25Bは、いくつかの実施形態に係る針アセンブリに取り付けられた針ラッチアセンブリまたはそのコンポーネントの側面図および斜視図である。
【
図26】
図26Aおよび
図26Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面図である。
【
図27】
図27Aおよび
図27Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムの長手方向断面図および斜視断面分解図である。
【
図28】
図28Aおよび
図28Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システムのコンポーネントの側面分解図および斜視分解図である。
【0025】
様々な実施形態の上記および他の利点および目的を得る方法をより良く理解するために、添付の図面を参照しながら、実施形態のより詳細な説明を提供する。なお、図面は一定の縮尺で描かれておらず、同様の構造または機能の要素が、全体を通して同様の符号で示されていることに留意されたい。それらの図面は、特定の例示的な実施形態のみを示しており、よって実施形態の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
例示的な安全注入システム
図7Aおよび
図7Bは、いくつかの実施形態に係る部分的に組み立てられた安全注入システム700を示している。安全注入システム700は、シリンジ本体720に結合された針ハブアセンブリ710を含む。シリンジ本体720は、成形されたポリマーシリンジ本体であってもよい。針ハブアセンブリ710は、針アセンブリ730を含む。
【0027】
図7Aおよび
図7Bには示されていないが、安全注入システム700は、針引き込みシステムを含む。針引き込みシステム(図示せず)は、針アセンブリ730の鋭い遠位先端736を針ハブアセンブリ710および/またはシリンジ本体720内に配置して偶発的な針刺しを防止するために、注入が完了した後に、針アセンブリ730に近位方向を向く力を加えて、針ハブアセンブリ710および/またはシリンジ本体720の内部に少なくとも部分的に針アセンブリ730を引き込む。いくつかの実施形態では、近位方向を向く力が、約2ポンド~約3ポンドである。
【0028】
針ハブアセンブリ710は、ラッチされたラッチ構成において針アセンブリ730を針ハブアセンブリ710に解放可能に結合するように構成された針ラッチアセンブリ(様々な実施形態が示され、以下に説明される)を含む。ラッチ構成において、針ラッチアセンブリ710は、針ハブアセンブリ710およびそれに結合されたシリンジ本体720に対する針アセンブリ730の移動を阻止する。針ラッチアセンブリがラッチ構成からアンラッチ構成に移行すると、針アセンブリ730は、もはや針ハブアセンブリ710に結合されておらず、よって、針ハブアセンブリ710およびシリンジ本体720に対して自由に動くことができる。換言すれば、ラッチされていないアンラッチ構成では、針ラッチアセンブリは、上述したように、針アセンブリ730が針ハブアセンブリ710および/またはシリンジ本体720内に少なくとも部分的に引き込まれることを可能にする。
【0029】
例示的なフラットディスク状の針ラッチアセンブリ
図8A~
図16Dは、様々な実施形態に係る様々なフラットディスク状の針ラッチアセンブリと、針ハブアセンブリおよび安全注入システムへのそれらの組み込みを示している。
【0030】
図8Aおよび
図8Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システム800を示している。
図8Aおよび
図8Bは、組み立てられて、すぐに使用できる構成にある安全注入システム800を示している。安全注入システム800は、シリンジ本体820および針アセンブリ830に結合された針ハブアセンブリ810を含む。シリンジ本体820は、シリンジ内部と、長手方向軸と、近位端および遠位端と、その遠位端に配置された針取付インターフェースとを備える。針ハブアセンブリ810は、針アセンブリ830のノッチ832と解放可能に干渉して、針アセンブリ830を針ハブアセンブリ810に解放可能に結合するように構成された針ラッチアセンブリ840を含む。針ラッチアセンブリ840は、
図12Aおよび
図12Bに示され、以下に述べるように、平らなディスク/リングである。
【0031】
また、安全注入システム800は、シリンジ本体820の遠位端822と針ラッチアセンブリ840の近位側との間に配置された変形可能なシール部材/ガスケット850も含む。変形可能なシール部材850は、エラストマーポリマーディスク/リングの形態を取ることができ、それにより、安全注入システム800が組み立てられたときに、変形可能なシール部材850が、針ラッチアセンブリ840を保持する針ハブアセンブリ810内の空間を満たして流体密封シールを提供することができる。
【0032】
図9Aおよび
図9Bは、安全注入システム800のコンポーネントをより明確に示すために、安全注入システムを2つの分解図で示している。
図9Aおよび
図9Bに示すように、針アセンブリ830は、遠位肩部834を含み、この遠位肩部は、針ハブアセンブリ810の内面に形成された近位肩部812と干渉して、針ハブアセンブリ810に対する針アセンブリ830の遠位方向の移動を制限する。
図8Aおよび
図8Bは、針ハブアセンブリ810に対する針アセンブリ830の遠位方向の移動を制限するために、針アセンブリ830の遠位肩部834が針ハブアセンブリ810の近位肩部812に当接する様子を示している。また、
図9Aおよび
図9Bは、非圧縮/弛緩状態にある変形可能なシール部材850も示している。
図8Aおよび
図8Bは、圧縮/バイアスされた状態にある変形可能なシール部材/ガスケット2450を示している。
【0033】
図10Aおよび
図10Bは、安全注入システム800のコンポーネントをより明確に示すために、安全注入システムをさらに2つの分解図で示している。安全注入システム800は、保持バーブを有する針ハブ保持リング/保持クリップ860も含み、この保持バーブは、組立中に2つの部品が互いに結合された後に、針ハブアセンブリ810がシリンジ本体820に対して遠位方向に動くのを阻止する一方で、針ハブアセンブリ810がシリンジ本体820(例えば、成形されたポリマーシリンジ本体)に対して近位方向に動くことを可能にするように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態に係る安全注入システムの製造/組立の間、針ラッチアセンブリ840が針アセンブリ830のノッチ832内に部分的に配置されて、その近位側で変形可能なシール部材850によって定位置に保持されるまで、針ラッチアセンブリ840および変形可能なシール部材850が、針アセンブリ830上に通される。その後、針ハブ保持リング860が挿入された針ハブアセンブリ810は、針アセンブリ830の遠位肩部834が針ハブアセンブリ810の近位肩部812に突き当たるまで、針アセンブリの遠位端836の上に通される。針アセンブリ830は、その遠位肩部834が針ハブアセンブリ810の近位肩部812に突き当たるときに、針ラッチアセンブリ840が針ハブアセンブリ810の近位内壁814に突き当たるように構成されている。次いで、シリンジ本体820が、針アセンブリ830の近位端の上に通されて、シリンジ本体820の遠位端822が変形可能なシール部材850の近位側に突き当たるまで、遠位方向に進められる。シリンジ本体820の遠位端822は、針ラッチアセンブリ840を保持する針ハブアセンブリ810の空間を埋めて流体密封シールを提供するまで、変形可能なシール部材850を圧縮する。その後、安全注入システムの他の部分(例えば、ストッパ部材、プランジャ部材など)がシリンジ本体822に追加され、安全注入システムの製造/組立が完了する。
【0035】
上述した安全注入システムの製造/組立方法は、特定の順序の様々な動作を含むが、いくつかの他の実施形態に係る方法は、異なる順序の動作を含むことができる。
【0036】
図11Aおよび
図11Bは、いくつかの実施形態に係る針アセンブリ830を示している。針アセンブリ830は、針ラッチアセンブリ(図示せず;
図8Aを参照)と相互作用するためのノッチ832と、針ハブアセンブリ810(図示せず;
図8Aを参照)の内部の近位肩部と相互作用するための遠位肩部834と、鋭い遠位端836とを含む。
【0037】
図12Aおよび
図12Bは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリ840を示している。針ラッチアセンブリ840は、フラットディスク状の本体である。針ラッチアセンブリ840は、第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842を含む。第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842は非対称であり、それらの対向するエッジは、フラットディスク状本体のほぼ中心に位置する小さい方の開口部843を部分的に規定している。針ラッチアセンブリ840は、第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842によって部分的に規定された「H」字状の開口部844も含む。
【0038】
「H」字状の開口部844の長い脚の一方の中央付近には、より大きい開口部845が形成されている。この大きい方の開口部845は、フラットディスク状本体の中心に対して偏心して配置されている。大きい方の開口部845は、針アセンブリ830が通過できるようなサイズおよび形状である(
図13Aを参照)。一方、小さい方の開口部843は、針アセンブリ830が長手方向に通過するのを阻止するようなサイズおよび形状である(
図14Aを参照)。このため、
図13Aから
図14Bに示すような製造/組立の間、針アセンブリ830を、大きい方の開口部845を通して挿入して(
図13A)、小さい方の開口部843にスライドさせることができ、小さい方の開口部は、針アセンブリ830のノッチ832を針アセンブリ830の長手方向軸に直交する方向に向かうのを許容するようなサイズおよび形状を有する。針アセンブリ830が大きい方の開口部845から小さい方の開口部843にスライドされた後、第1および第2の対向する変形可能タブ841、842が変形するまで、針アセンブリ830は長手方向への移動が阻止される。
【0039】
第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842は、予め設定された大きさの力がタブ841、842に近位方向に加えられたときに塑性変形するように構成されている。いくつかの実施形態では、予め設定された大きさの力が、約2ポンド~約3ポンドである。この予め設定された大きさの力は、注入中に患者の皮膚を穿刺するときに針アセンブリ830にかかる力の大きさ(0.25ポンド~0.5ポンド)よりもほぼ一桁大きい。第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842が塑性変形した後、針アセンブリ830は、針ラッチアセンブリ840に対して長手方向に自由に動くことができる。
【0040】
針ラッチアセンブリ840は、金属シートからディスク状本体を打ち抜くか、かつ/または切り取ることによって形成することができる。様々な開口部(すなわち、小さい方の開口部843、大きい方の開口部845および「H」字状の開口部844)は、第1および第2の対向する変形可能なタブ841、842を形成するために、ディスク状本体を打ち抜くか、ディスク状本体に切り込みを入れることもできる。このため、針ラッチアセンブリ840は、単一構造体として形成することができ、それにより、製造/組立の複雑さを最小限に抑えることができる。
【0041】
図15A~
図15Dは、いくつかの他の実施形態に係る平らなディスク状の針ラッチアセンブリ1540を示している。針ラッチアセンブリ1540は、
図12Aおよび
図12Bに示す針ラッチアセンブリ840と類似している。例えば、針ラッチアセンブリ1540は、第1および第2の対向する変形可能なタブ1541、1542、大小の開口部1545、1543、および「H」字状の開口部1544を有する。第1の相違点は、針ラッチアセンブリ1540が、ディスク状本体の大きい方の開口部1545とは反対側に側部開口部1546を含むことである。側部開口部1546は、「H」字状の開口部およびディスク状本体の外部と繋がっている。第2の相違点は、針ラッチアセンブリ1540が、大きい方の開口部1545に隣接する、側部開口部1546の反対側にある弾性変形可能なセクション1547を含むことである。
【0042】
側部開口部1546および弾性変形可能なセクション1547は、ディスク状本体の平面内で弾性変形可能なセクション1547を弾性変形させて側部開口部1546’のサイズを大きくすることにより、針ラッチアセンブリ1540を開くことができる(
図15Cおよび
図15Dを参照)。側部開口部1546’のサイズを大きくすることで、製造/組立中に、拡大した側部開口部1546’を通して針アセンブリ(図示せず)上に針ラッチアセンブリ1540をスライドさせることができる。
【0043】
代替的には、針ラッチアセンブリ1540は、弾性変形可能なセクション1547をディスク状本体の平面外に弾性変形させて側部開口部1546’のサイズを大きくすることによって開くことができる(
図16Cおよび
図16Dを参照)。側部開口部1546’のサイズを大きくすることで、製造/組立中に、拡大した側部開口部1546’を通して針アセンブリ(図示せず)上に針ラッチアセンブリ1540をスライドさせることができる。
【0044】
針ラッチアセンブリ1540は、金属シートからディスク状本体を打ち抜くか、かつ/または切り取ることによって形成することができる。様々な開口部(すなわち、大小の開口部1545、1543、「H」字状の開口部1544および側部開口部1546)は、第1および第2の対向する変形可能なタブ1541、1542を形成するために、ディスク状本体を打ち抜くか、ディスク状本体に切り込みを入れることもできる。このため、針ラッチアセンブリ1540は、単一構造体として形成することができ、それにより製造/組立の複雑さを最小限に抑えることができる。
【0045】
例示的な3Dディスク状の針ラッチアセンブリ
図17A~
図21Bは、三次元(「3D」)ディスク状の針ラッチアセンブリ1740と、様々な実施形態に係る針ハブアセンブリおよび安全注入システムへのその組み込みとを示している。
【0046】
図17A~
図17Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリ1740を示している。針ラッチアセンブリ1740は、上部フラットディスク状本体1770と、下部フラットディスク状本体1772と、上部および下部フラットディスク状本体1770、1772に結合された複数(例えば、4つ)の結合部材1774とを含む3Dディスク状の針ラッチアセンブリである。結合部材1774は、針ラッチアセンブリ1740が3Dディスク形状を有するように、上下のフラットディスク状本体1770、1772の間に空間1776を提供する。下部フラットディスク状本体1772は、変形可能なシール部材/ガスケット1750(
図19Aおよび
図19Bを参照)の圧縮のための平らな表面を提供するように構成された下向きのガスケットバックスタップ面1773を含む。
【0047】
上面フラットディスク状本体1770は、
図12Aおよび
図12Bに示す針ラッチアセンブリ840と同一である。このため、上部フラットディスク状本体1770は、フラットディスク状本体である。上部フラットディスク状本体1770は、第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742を含む。第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742は非対称であり、それらの対向するエッジは、フラットディスク状本体のほぼ中心に位置する小さい方の開口部1743を部分的に規定する。また、上部フラットディスク状本体1770は、第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742によって部分的に規定される「H」字状の開口部1744も含む。
【0048】
「H」字状の開口部1744の長い脚の一方の中央付近には、大きい方の開口部1745が形成されている。大きい方の開口部1745は、フラットディスク状本体の中心に対して偏心して配置されている。大きい方の開口部1745は、針アセンブリ(図示せず)が通過できるようなサイズおよび形状である。一方、小さい方の開口部1743は、針アセンブリ(図示せず)が長手方向に通過するのを阻止するようなサイズおよび形状である。
【0049】
第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742は、予め設定された大きさの力がタブ1741、1742に近位方向に加えられたときに、塑性変形するように構成されている。いくつかの実施形態では、予め設定された大きさの力が、約2ポンド~約3ポンドである。この予め設定された大きさの力は、注入中に患者の皮膚を穿刺するときに針アセンブリ1730に加わる力の大きさ(0.25ポンド~0.5ポンド)よりもほぼ一桁大きい。第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742が塑性変形した後、針アセンブリ1730は、上部フラットディスク状本体1770に対して長手方向に自由に動くことができる。
【0050】
下部フラットディスク状本体1772は、卵形の開口部1780を有する。上部および下部フラットディスク状本体1770、1772が複数の結合部材1774に結合されるとき、卵形の開口部1780は、上部フラットディスク状本体1770に規定される小さい方の開口部1743および大きい方の開口部1745の両方と整列する。このため、下部フラットディスク状本体1772に規定された卵形の開口部1780は、針ラッチアセンブリ1740を介して針アセンブリ(図示せず)を挿入することを可能にする。
【0051】
図18Aおよび
図18Bは、近位側に変形可能なシール部材/ガスケット1750を有する針アセンブリ1730に取り付けられた針ラッチアセンブリ1740を示している。
図18Aに示すように、複数の結合部材1774により形成された空間1776は、変形可能なシール部材1750が上部フラットディスク状本体1770と接触するのを防止する。このため、シール部材1750は、上部フラットディスク状本体1770の第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742の塑性変形を妨げることはない。
【0052】
図19Aおよび
図19Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システム1700を示している。
図19Aおよび
図19Bは、組み立てられてすぐに使用できる構成にある安全注入システム1700を示している。
図19Aおよび
図19Bは、
図8Aおよび
図8Bと同様の図面を提供し、同様のコンポーネントには、対応する符号が付されている。2つの安全注入システム1700、800間の1つの相違点は、安全注入システム1700が3D針ラッチアセンブリ1740を含み、よって、より大きな3D針ラッチアセンブリ1740を収容するより大きな空間を針ハブアセンブリ1710の内部に含むということである。
【0053】
図20Aおよび
図20Bは、
図9Aおよび
図9Bと同様の2つの分解図で安全注入システム1700を示しており、同様のコンポーネントには対応する符号が付されている。
図21Aおよび
図21Bは、
図10Aおよび
図10Bと同様の2つの更なる分解図で安全注入システム1700を示しており、同様のコンポーネントには対応する符号が付されている。安全注入システム1700、800間の相違点は、安全注入システム800が平らな針ラッチアセンブリ840を有するのに対して、安全注入システム1700が3D針ラッチアセンブリ1740を有することである。3D針ラッチアセンブリ1740は、安全注入システム1700の針ハブアセンブリ1710において、より大きな空間を必要とする。しかしながら、3D針ラッチアセンブリ1740の空間1776は、シール部材1750が上部フラットディスク状本体1770の第1および第2の対向する変形可能なタブ1741、1742の塑性変形に干渉するのを防ぐため、3D針ラッチアセンブリ1740はラッチ解除にさらに堅実さを提供する。
【0054】
図20A~
図21Bは、非圧縮/弛緩状態にある変形可能なシール部材1750を示している。
図19Aおよび
図19Bは、圧縮/バイアスされた状態にある変形可能なシール部材1750を示している。
【0055】
針ラッチアセンブリ1740は、上部および下部ディスク状本体1770、1772および結合部材1774を、金属シートから打ち抜くか、かつ/または切り取ることによって形成することができる。その後、上下のディスク状本体1770、1772および結合部材1774を折り曲げて接合(例えば、溶接)することにより、3D針ラッチアセンブリ1740が形成される。様々な開口部(すなわち、小さい方の開口部1743、大きい方の開口部1745および「H」字状の開口部1744)は、第1および第2の対向する変形可能タブ1741、1742を形成するために、上部ディスク状本体を打ち抜くか、上部ディスク状本体に切り込みを入れることもできる。卵形の開口部1780は、さらに、下部ディスク状本体を打ち抜くか、下部ディスク状本体に切り込みを入れることができる。このため、針ラッチアセンブリ1740は単一構造体として形成することができ、それにより製造/組み立ての複雑さを最小限に抑えることができる。
【0056】
カラーを有する例示的な針ラッチアセンブリ
図22A~
図22Cは、様々な実施形態に係る針カラー2260を有する3D針ラッチアセンブリ2240を示している。針ラッチアセンブリ2240は、矩形プリズム保持部分2250と、円筒形針カラー部分2260と、円筒形針カラー部分2260を矩形プリズム保持部分2250に結合する結合部分2270とを含む。
【0057】
矩形プリズム保持部分2250は、針ハブアセンブリ(図示せず)内に規定されたチャンバ内にしっかりと配置されるようなサイズおよび形状である。矩形プリズム保持部分2250は、外向きにバイアスされたタブ2252のペアも含み、これらタブは、保持部分2250が針ハブアセンブリのチャンバ内に挿入されることを可能にするが、保持部分2250が針ハブアセンブリのチャンバから取り外されるのを防止する。矩形プリズム保持部分2250は、ストリップ(例えば、金属)の自由端が出会うまで、ストリップの2つの端部の各々を直角に2回折り曲げて形成された矩形の箱である。
【0058】
円筒形針カラー部分2260は、シート(例えば、金属)2を、その2つの自由端がほぼ出会うまで巻いて、長手方向の開口部2262を有する円筒を形成することによって形成される。円筒形針カラー部分2260は、塑性変形可能である。このため、円筒形針カラー部分2260は、長手方向の開口部2262で塑性的に開いて、針アセンブリ2230に圧着させることができる(
図23A)。円筒形針カラー部分2260が針アセンブリ2230に圧着/結合されると、針アセンブリ2230は、針ラッチアセンブリ2240に対して長手方向に移動することが抑制される。円筒形針カラー部分2260に(針アセンブリ2230を介して)予め設定された大きさの近位方向を向く力を加えると、長手方向の開口部2262が拡大することによって円筒形針カラー部分2260が塑性変形し、針アセンブリ2230が針ラッチアセンブリ2240から離脱する(
図23B)。いくつかの実施形態では、近位方向を向く力が、約2ポンド~約3ポンドである。
図23Aおよび
図23Bは、ノッチを有する針アセンブリ2230を示しているが、針ラッチアセンブリ2240は、ノッチのない針アセンブリでも同様に機能するであろう。
【0059】
針ラッチアセンブリ2240は、矩形プリズム保持部分2250、円筒形針カラー部分2260および結合部材2270を金属シートから打ち抜くか、かつ/または切り取ることによって形成することができる。その後、矩形プリズム保持部分2250、円筒形針カラー部分2260および結合部材2270の様々なコンポーネントを必要に応じて折り畳み、接合(例えば、溶接)して、針ラッチアセンブリ2240を形成する。このため、針ラッチアセンブリ2240は、単一構造体として形成することができ、それにより製造/組立の複雑さを最小限に抑えることができる。
【0060】
フローティングタブを有する例示的な三次元針ラッチアセンブリ
図24A~
図28Bは、「フローティングタブ」2441を有する3D針ラッチアセンブリ2440と、様々な実施形態に係る針ハブアセンブリおよび安全注入システムへのその組み込みとを示している。
【0061】
図24A~
図24Dは、いくつかの実施形態に係る針ラッチアセンブリ2440を示している。針ラッチアセンブリ2440は、平らな矩形状本体2472と、第1および第2のアーム2474と、平らな矩形状本体2472とは反対側の第1および第2のアーム2474のそれぞれの端部に形成されたスタンドオフ2470の第1および第2のペアとを含む3D針ラッチアセンブリである。平らな矩形状本体2472、第1および第2のアーム2474、並びに、スタンドオフ2470の第1および第2のペアは、平らな矩形状本体2472およびスタンドオフ2470の第1および第2のペアが反対側の端部に配置されたケージを規定する。第1および第2のアーム2474は、互いに向かって曲がる、それぞれの円弧状の軸方向断面を有し、対応する円形チャンバ内に配置されたときに、針ラッチアセンブリ2440が回転可能となるように、第1および第2のアーム2474が円筒の一部を形成するようになっている(
図26Aおよび
図26Bを参照)。
【0062】
平らな矩形状本体2472は、針ハブアセンブリ2410(
図26Aおよび
図26Bを参照)内の内部肩部と干渉して、針ハブアセンブリ2410に対する針ラッチアセンブリ2440の遠位方向の移動を制限するように構成され得る。平らな矩形状本体2472は、変形可能なシール部材/ガスケット2450(
図26Aおよび
図26B参照)の圧縮のための平らな表面を提供するように構成された底向きのガスケットバックスタップ面2473でもある。
図27Aおよび
図27Bに示すように、針アセンブリ2430は、針ハブアセンブリ2410に対する針アセンブリ2430の遠位方向の移動も制限するために針ハブアセンブリ2410の内面に形成された近位肩部2412に干渉する遠位肩部2434を含む。
図26Aおよび
図26Bは、針ハブアセンブリ2410に対する針アセンブリ2430の遠位方向の移動を制限するために、針アセンブリ2430の遠位肩部2434が針ハブアセンブリ2410の近位肩部2412に当接する様子を示している。
【0063】
第1および第2のアーム2474は、平らな矩形状本体2472の平面に対して直交している。第1および第2のアーム2474が平らな矩形状本体2472の平面に結合されるところに形成されるそれぞれのヒンジは、弾性的に変形可能である。その結果、針ラッチアセンブリ2440が、針ラッチアセンブリ2440の直径よりも僅かに小さい直径を有する対応する円形チャンバ(
図26Aおよび
図26Bを参照)内に配置されたとき、第1および第2のアーム2474は、円形チャンバ内に針ラッチアセンブリ2440を保持するために半径方向外側にバイアスされ得る。また、第1および第2のアーム2474は、組立中に、それらによって規定された小さい方の開口部2443を通して針アセンブリ2430の挿入を可能にするために開くことができる。組立後、円形チャンバは、第1および第2のアーム2474が開くのを阻止する。
【0064】
第1および第2のアーム2474は、組立前の状態では弾性的に変形可能であるが、組立状態では変形可能ではない。そのため、安全注入システム2400の組立中に針ラッチアセンブリ2440が針アセンブリ2430に取り付けられるときに、第1および第2のアーム2474は弾性的に変形して小さい方の開口部2443を開く。注入が完了した後、第1および第2のアーム2474は、針アセンブリ2440を解放するために変形することはできない。しかしながら、十分な近位方向を向く引き込み力が加えられると、第1および第2のタブ2441は、シリンジ本体2420内に針アセンブリ2430を引き込むために、本明細書に記載のように、自由に塑性変形して、針アセンブリ2440を針ラッチアセンブリ2440から解放することができる。
【0065】
図24Cに示すように、第1および第2のタブ2441は、それぞれ第1および第2のアーム2474から互いに向けて直交するように延びている。第1および第2のタブ2441はほぼ対称であり、それらの対向するエッジは、小さい方の開口部2443を部分的に規定し、この開口部は、第1および第2のタブ2441が互いに向かって延びる平面のほぼ中心に位置している。平らな矩形状本体2472は、そのほぼ中心に大きい方の開口部2445を規定している。小さい方の開口部および大きい方の開口部は、針ラッチアセンブリ2440が取り付けられる針アセンブリ2430の軸に沿って位置合わせされている/実質的に同軸である(
図26Aおよび
図26Bを参照)。
【0066】
第1および第2のタブ2441は、予め設定された大きさの力がタブ2441に近位方向に加えられると塑性変形するように構成されている。いくつかの実施形態では、予め設定された大きさ力が、約2ポンド~約3ポンドである。この予め設定された大きさの力は、注入中に患者の皮膚を穿刺するときに針アセンブリ2430に加わる力の大きさ(0.25ポンド~0.5ポンド)よりもほぼ一桁大きい値である。第1および第2のタブ2441が塑性変形した後、針アセンブリ2430は、針ラッチアセンブリ2440に対して長手方向に自由に動くことができる。
【0067】
図24Cおよび
図27Aに示すように、スタンドオフ2470の第1および第2のペアは、互いに向けて曲げられている。このように、スタンドオフ2470は、安全注入システム2400の組立中に、針ラッチアセンブリ2440を、針ハブアセンブリ2410に形成されたチャンバへの面取りされた開口部内に案内する。
【0068】
上述したように、平らな矩形状本体2472、第1および第2のアーム2474、およびスタンドオフ2470の第1および第2のペアは、平らな矩形状本体2472およびスタンドオフ2470の第1および第2のペアが反対側の端部に配置されたケージを規定している。
図24Cに示すように、第1および第2のタブ2441は、ケージによって規定された空間2476において、平らな矩形状本体2472とスタンドオフ2470の第1および第2のペアとの間でそれぞれの第1および第2のアーム2470から直交して延びる。このため、第1および第2のタブ2441は、ケージの内部に留まったまま、針アセンブリ2430と係合し、針アセンブリから離脱するように構成されている(
図26Aおよび
図26Bを参照)。第1および第2のタブ2441は、空間2476に配置されているため、「フローティングタブ」と呼ばれる。そのため、針ハブアセンブリ2410の内部および変形可能なシール部材2450は、第1および第2のタブ2441およびそれらと針アセンブリ2430の相互作用に干渉することはない。ケージの内部にフローティングタブ2441を保護することにより、針保持力を、しばしば変動する安全注入システム2400の組立中に針ラッチアセンブリ2440に加わる力から独立させることができる。また、ケージの内部にフローティングタブ2441を保護することにより、針保持力を、変形可能なシール部材2450の幾何学的形状や、アセンブリ内の様々な部品の公差からも独立させることができる。実際に、平らな矩形状本体2472、第1および第2のアーム2474およびスタンドオフ2470の第1および第2のペアによって形成されたケージは、組立中に針ハブアセンブリ2410および変形可能なシール部材2450からの圧縮力を反応除去/吸収する。
【0069】
図25Aおよび
図25Bは、近位側に変形可能なシール部材2450を有する針アセンブリ2430に取り付けられた針ラッチアセンブリ2440を示している。
図25Aに示すように、ケージ内の空間2476は、変形可能なシーリング部材2450が第1および第2のタブ2441と接触するのを防止する。このため、シール部材2450は、第1および第2のタブ2441の塑性変形を妨げることはない。
【0070】
図26Aおよび
図26Bは、いくつかの実施形態に係る安全注入システム2400を示している。
図26Aおよび
図26Bは、組み立てられて、使用準備が整った構成の安全注入システム2400を示している。
図26Aおよび
図26Bは、
図8Aおよび
図8Bと同様の図面を提供し、同様のコンポーネントには、対応する符号が付されている。2つの安全注入システム2400、800の1つの相違点は、安全注入システム2400が3D針ラッチアセンブリ2440を含み、よって、より大きな3D針ラッチアセンブリ2440を収容するより大きなチャンバを針ハブアセンブリ2410の内部に含むということである。
【0071】
図26Aに示すように、ケージ内の空間2476は、針ハブアセンブリ2410の近位内壁2414が第1および第2タブ2441と接触するのを防止する。このため、針ハブアセンブリ2410は、第1および第2のタブ2441の塑性変形を妨げることはない。
【0072】
図27Aおよび
図27Bは、
図9Aおよび
図9Bと同様の2つの分解図で安全注入システム2400を示しており、同様のコンポーネントには対応する符号が付されている。
図28Aおよび
図28Bは、
図10Aおよび
図10Bと同様の2つの更なる分解図で安全注入システム2400を示しており、同様のコンポーネントには対応する符号が付されている。安全注入システム2400、800の違いは、安全注入システム800が平らな針ラッチアセンブリ840を有するのに対して、安全注入システム2400が3D針ラッチアセンブリ2440を有することである。3D針ラッチアセンブリ2440は、安全注入システム2400の針ハブアセンブリ2410に、より大きなチャンバを必要とする。しかしながら、3D針ラッチアセンブリ2440の空間2476は、シール部材2450および針ハブアセンブリ2410が、上部フラットディスク状本体2470における第1および第2のタブ2441の塑性変形に干渉するのを防ぐため、3次元針ラッチアセンブリ2440は、ラッチ解除にさらに堅実さを提供する。
【0073】
図27A~
図28Bは、非圧縮/弛緩状態にある変形可能なシール部材2450を示している。
図26Aおよび
図26Bは、圧縮/バイアスされた状態にある変形可能なシール部材2450を示している。
【0074】
針ラッチアセンブリ2440は、平らな矩形状本体2472、第1および第2のアーム2474、スタンドオフ2470の第1および第2のペア、および第1および第2のタブ2441を、金属シートから打ち抜くか、かつ/または切り取ることによって形成することができる。その後、第1および第2のタブ2441、スタンドオフ2470の第1および第2のペア、および第1および第2のアームを折り/曲げ、3D針ラッチアセンブリ2440を形成する。小さい方の開口部2443および大きい方の開口部2445は、平らな矩形状本体2472を打ち抜くか、平らな矩形状本体に切り込みを入れることができる。このため、針ラッチアセンブリ2440は、単一構造体として形成することができ、それにより製造/組立の複雑さを最小限に抑えることができる。
【0075】
本明細書に開示の針ラッチアセンブリ840、1540、1740、2240はすべて、金属シートから打ち抜くか、かつ/または切り取り、必要に応じて折り畳みかつ/または接合(例えば、溶接)することにより、針ラッチアセンブリ840、1540、1740、2240を形成することができる。これにより、製造/組立の複雑さが最小限に抑えられ、製造/組立プロセスが自動化により適したものとなる。針ラッチアセンブリ840、1540、1740、2240は、2ポンド~3ポンドの近位方向を向く力を加えることでラッチを解除するように構成されており、その力は、注入中に患者の皮膚を穿刺するときに針アセンブリ830に加わる力の大きさ(0.25ポンド~0.5ポンド)よりもほぼ1桁以上大きくなっている。また、針ラッチアセンブリ840、1540、1740、2240は、部品の数も減らし、それにより、針のラッチ解除の堅実さを高め、より堅実な針引き込み式の安全注入システムおよび方法を提供する。
【0076】
本発明の様々な例示的な実施形態が本明細書に記載されている。これらの例は、非限定的な意味で参照される。これらは、本発明のより広範に適用可能な態様を例示するために提供されている。本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載の発明に様々な変更を加えることができ、均等物に置き換えることができる。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス行為またはステップを、本発明の目的、趣旨または範囲に適合させるために、多くの変更を加えることができる。さらに、当業者によって理解されるように、本明細書に記載および例示された個々のバリエーションの各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態の何れかの特徴から容易に分離され、またはそれらの特徴と組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。そのような変更はすべて、本開示に関連する特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0077】
対象となる診断処置または介入処置を実行するために説明したデバイスの何れかが、そのような介入を実行する際に使用するためにパッケージ化された組合せで提供されるものであってもよい。それらの供給「キット」は、使用説明書をさらに含み、そのような目的のために一般的に採用されるような無菌トレイまたは容器にパッケージ化されるものであってもよい。
【0078】
本発明は、対象のデバイスを用いて実行され得る方法を含む。その方法は、そのような好適なデバイスを提供する行為を含むことができる。そのような提供は、エンドユーザによって実行されるものであってもよい。すなわち、「提供する」という行為は、エンドユーザが、対象となる方法において、必要なデバイスを提供するために、取得、アクセス、アプローチ、配置、セットアップ、起動、電源投入またはその他の行為を行うことを単に必要とするだけである。本明細書に記載の方法は、論理的に可能な任意の順序で、あるいは記載された事象の順序で、記載された事象を実行することができる。
【0079】
本発明の例示的な態様は、材料の選択および製造に関する詳細とともに、上述されている。本発明の他の詳細に関しては、それらは、先に引用した特許および刊行物に関連して理解され得るだけでなく、当技術分野の当業者には一般的に知られているか、または理解され得るものである。例えば、当技術分野の当業者であれば、1または複数の潤滑性コーティング(例えば、ポリビニルピロリドン系組成物などの親水性ポリマー、テトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、PTFE、親水性ゲルまたはシリコーン)を、必要に応じて、移動可能に結合された部分の比較的大きな境界面など、デバイスの様々な部分に関連して使用することができ、それにより例えば、器具の他の部分または近くの組織構造物に対するそのような対象の低摩擦操作または前進を容易にすることができることを理解するであろう。一般的にまたは論理的に採用される追加の行為に関して、本発明の方法に基づく態様についても同様のことが当てはまるであろう。
【0080】
さらに、本発明は、様々な特徴を任意に組み込んだいくつかの例を参照して説明してきたが、本発明の各バリエーションに関して企図されるように記載または開示されたものに限定されるものではない。本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載の発明に様々な変更を加えることができ、(本明細書に記載されているか、または簡潔にするために含まれていないかにかかわらず)均等物に置き換えることができる。さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のすべての介在値と、記載した範囲内の他の記載した値または介在値が、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。
【0081】
また、記載した本発明のバリエーションの任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のうちの任意の1または複数の特徴と組み合わせて記載および主張され得ることが企図される。単数の項目への言及は、同じ項目が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書およびこれに関連する特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含む。言い換えれば、冠詞の使用は、本開示に関連する特許請求の範囲と同様に、上記説明における主題項目の「少なくとも1つ」を可能にする。そのような請求項は、任意の要素を除外するように起草される場合があることに留意されたい。このため、この記述は、請求項の要素の列挙に関連して、「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する先の記載、または「否定的な」限定を使用するための先の記載として機能することを意図している。
【0082】
そのような排他的な用語を使用することなく、本開示に関連する請求項における「含む」という用語は、所与の数の要素がそのような請求項に列挙されているかどうか、または特徴の追加がそのような請求項に記載された要素の性質を変化させるとみなされるかどうかにかかわらず、任意の追加要素を含むことを可能にするものとする。本明細書で具体的に規定されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、請求項の有効性を維持しつつ、可能な限り広く一般的に理解される意味を与えるものとする。
【0083】
本発明の幅は、提供された実施例および/または主題の明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示に関連する請求項の文言の範囲によってのみ限定されるものである。