IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メティスモーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7471689アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法
<>
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図1
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図2
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図3
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図4
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図5
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図6
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図7
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図8
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図9
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図10
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図11
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図12
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図13
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図14
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図15
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図16
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図17
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図18
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図19
  • 特許-アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
F15B11/02 F
F15B11/02 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022549036
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020053954
(87)【国際公開番号】W WO2021160289
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】519205132
【氏名又は名称】メティスモーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MetisMotion GmbH
【住所又は居所原語表記】Paulsdorfferstr. 36, Eingang C, 81549 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク バッハマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ツェルス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マクラナハン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック フレーゼ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0368515(US,A1)
【文献】特開平07-119625(JP,A)
【文献】特開平09-032721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
F04B 1/00- 7/06
F04B 9/00-15/08
F04B 23/00-23/14;53/00-53/22
F04B 43/00-47/14
F04B 49/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ装置(10)であって、
-流体によって負荷可能であり、これにより少なくとも1つの保持位置へと移動可能である少なくとも1つの被駆動エレメント(12)と、
-アクチュエータ(34)であって、前記アクチュエータ(34)の駆動制御によりポンプモードで動作可能であり、前記ポンプモードでは、前記アクチュエータ(34)の少なくとも1つの部分(T)が、前記アクチュエータ(34)の駆動制御により、第1の方向(36)と、前記第1の方向(36)とは逆向きの第2の方向(38)とで交互に可動であり、これによって、前記被駆動エレメント(12)を流体によって負荷するために、流体を前記被駆動エレメント(12)に圧送可能である、アクチュエータ(34)と、
-前記被駆動エレメント(12)によって流体を導出することができる少なくとも1つの導出通路(32)と、
-2つの弁エレメント(78,80)を有した弁装置(76)であって、前記2つの弁エレメントは互いに対して可動であり、これにより前記弁装置(76)は、前記導出通路(32)を遮断する少なくとも1つの閉鎖状態(S)であって、前記導出通路(32)の遮断状態で、前記被駆動エレメント(12)を流体によって保持位置に保持することができる閉鎖状態(S)と、前記導出通路(32)を解放する少なくとも1つの開放状態(O)との間で調節可能であり、前記開放状態(O)では、前記弁エレメント(78,80)が、前記導出通路(32)を介した前記被駆動エレメント(12)による流体の導出を許容し、これにより前記保持位置から少なくとも1つの回避位置への前記被駆動エレメント(12)の移動を許容する、弁装置(76)と、
を備えたアクチュエータ装置(10)において、
・前記第1の方向(36)への前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記弁エレメント(78,80)のうちの第1の弁エレメントが第1の操作方向(36)へと移動可能であり、これにより、第2の弁エレメント(80)に向かって移動可能であり、これにより前記弁装置(76)は閉鎖状態(S)へと調節可能であり、
・前記第2の方向(38)への前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記第1の弁エレメント(78)を、前記第1の操作方向(36)とは逆の第2の操作方向(38)で、前記第2の弁エレメント(80)から離れるように動かすことができ、これにより前記弁装置(76)は開放状態(O)へと調節可能であり、
・前記アクチュエータ装置(10)は、前記ポンプモードでは、前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)を、前記第1の方向(36)と前記第2の方向(38)とに交互に動かし、この場合、前記ポンプモードでは、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)へ調節された後、前記弁装置(76)は、前記ポンプモードで生じる、前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)への交互の前記少なくとも1つの部分(T)の交互の運動にもかかわらず、前記閉鎖状態(S)に留まり、これにより前記ポンプモードでは流体を前記被駆動エレメント(12)へと圧送可能であるように構成されており、
・前記アクチュエータ装置(10)は、前記ポンプモードとは異なり、前記ポンプモードに続く開放モードで動作可能であり、前記開放モードでは、前記第2の方向(38)で行われる前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記第2の操作方向(38)で前記第2の弁エレメント(80)から離れるように前記第1の弁エレメント(78)が運動し、これにより、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)から前記開放状態(O)へと調節される、
アクチュエータ装置(10)。
【請求項2】
減衰器装置(92,93)であって、該減衰器装置(92,93)は、前記ポンプモードの開始のために行われる、前記第1の方向(36)での前記少なくとも1つの部分(T)の運動時に、前記第1の弁エレメント(78)の、前記第1の操作方向(36)での前記第2の弁エレメント(80)に向かう運動を許容し、これにより前記開放状態(O)から前記閉鎖状態(S)への前記弁装置(76)の調節を許容し、次いで行われる、前記第2の方向(38)での前記少なくとも1つの部分(T)の運動時に、前記弁装置(76)を前記開放状態(O)に調節する、前記第1の弁エレメント(78)の、前記第2の弁エレメント(80)から離れる前記第2の操作方向(38)への運動を阻止し、これにより前記弁装置(76)は前記閉鎖状態(S)に保持され、これにより前記ポンプモードでは、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)に留まる間に、前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)は交互に前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)に可動である、減衰器装置(92,93)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項3】
前記減衰器装置(92,93)は、前記ポンプモードで、前記弁装置(76)の前記開放状態(O)への調節を生じさせる、前記第1の弁エレメント(78)の、前記第2の弁エレメント(80)から離れる前記第2の操作方向(38)への運動を阻止し、これにより前記弁装置(76)を前記閉鎖状態(S)に保持し、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)に留まる間に、前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)は、およびこれにより前記弁エレメント(78,80)は交互に前記第1の操作方向(36)および前記第2の操作方向(38)に可動であることを特徴とする、請求項2記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項4】
前記減衰器装置(92,93)は、前記開放モードで、前記第1の操作方向(36)および/または前記第2の操作方向(38)に沿って行われる、前記閉鎖状態(S)から前記開放状態(O)への前記弁装置(76)の調節を生じさせる、前記弁エレメント(78,80)間の相対運動を許容するように構成されていることを特徴とする、請求項2または3記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項5】
少なくとも1つのストッパ(72)が設けられており、前記弁エレメント(78,80)および前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)は、前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)に沿って、前記ストッパ(72)に対して可動であることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項6】
前記減衰器装置(92,93)は、前記第1の弁エレメント(78)と共に可動である第1の減衰器エレメント(94)と、前記第1の減衰器エレメント(94)に対して可動である第2の減衰器エレメント(96)とを有しており、前記第1の減衰器エレメント(94)および前記第2の減衰器エレメント(96)は、前記少なくとも1つの部分(T)の前記第1の方向(36)への運動により生じる、前記弁装置(76)の前記開放状態(O)から前記閉鎖状態(S)への調節のために、かつ前記ポンプモードの開始のために行われる、前記第1の弁エレメント(78)の前記第1の操作方向(36)での前記第2の弁エレメント(80)に向かう運動の際に、互いに対して可動であることを特徴とする、請求項記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項7】
前記第1の減衰器エレメント(94)は、前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)で前記ストッパ(72)に対して可動であり、前記ストッパ(72)によって、前記第2の方向(38)での前記第2の減衰器エレメント(96)の運動を制限することができ、これにより、前記少なくとも1つの部分(T)の前記第1の方向(36)への運動により生じる、前記弁装置(76)の前記開放状態(O)から前記閉鎖状態(S)への調節のために、かつ前記ポンプモードの開始のために行われる、前記第1の弁エレメント(78)の前記第1の操作方向(36)での前記第2の弁エレメント(80)に向かう運動の際に、前記第1の方向(36)での前記第2の減衰器エレメント(96)の運動が行われない間に、前記第1の減衰器エレメント(94)は前記第1の方向(36)で前記第2の減衰器エレメント(96)に対して可動であることを特徴とする、請求項記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項8】
戻しエレメント(110)が設けられており、該戻しエレメントによって、前記第1の減衰器エレメント(94)および前記第2の減衰器エレメント(96)は、前記第1の方向(36)および/または前記第2の方向(38)に沿って互いに対して可動であり、これにより前記戻しエレメント(110)によって、前記第1の操作方向(36)および/または前記第2の操作方向(38)に沿って生じる、前記閉鎖状態(S)から前記開放状態(O)への前記弁装置(76)の調節を行わせる前記弁エレメント(78,80)間の相対運動を生じさせることができることを特徴とする、請求項6または7記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項9】
前記戻しエレメント(110)は、一方では前記第1の減衰器エレメント(94)に、他方では前記第2の減衰器エレメント(96)に連結されていることを特徴とする、請求項8記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項10】
前記第1の減衰器エレメント(94)および前記第2の減衰器エレメント(96)は、2つの減衰器チャンバ(98,100)を画定しており、前記減衰器チャンバには、該減衰器チャンバ(98,100)内に導入可能であり、該減衰器チャンバ(98,100)から導出可能であるそれぞれ1種の減衰媒体が収容されていることを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項11】
前記減衰媒体は流体であることを特徴とする、請求項10記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項12】
駆動エレメント(41)が設けられており、該駆動エレメントは、第1の駆動部分(40)と、第2の駆動部分(42)と、前記第1の駆動部分(40)および前記第2の駆動部分(42)によって画定された少なくとも1つの駆動チャンバ(46)とを有しており、前記ポンプモードでは、前記第1の駆動部分(40)は、交互に前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)で前記第2の駆動部分(42)に対して、前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)によって、これにより前記駆動チャンバ(46)から前記被駆動エレメント(12)へと流体を圧送可能であり、前記駆動チャンバ(46)内へと圧送可能であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項13】
流体を前記駆動チャンバ(46)内へと導入可能である逆止弁(58)が設けられていることを特徴とする、請求項12記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項14】
戻し装置(74)が設けられており、該戻し装置によって、前記第1の駆動部分(40)は、前記第2の方向(38)で前記第2の駆動部分(42)に対して可動であることを特徴とする、請求項12または13記載のアクチュエータ装置(10)。
【請求項15】
アクチュエータ装置(10)を動作させるための方法であって、前記アクチュエータ装置(10)は、
-流体によって負荷可能であり、これにより少なくとも1つの保持位置へと移動可能である少なくとも1つの被駆動エレメント(12)と、
-アクチュエータ(34)であって、該アクチュエータ(34)は駆動制御され、これによりポンプモードで動作され、前記ポンプモードでは、前記アクチュエータ(34)の少なくとも1つの部分(T)が、前記アクチュエータ(34)の駆動制御により、第1の方向(36)と、前記第1の方向(36)とは逆向きの第2の方向(38)とに交互に動かされ、これによって、前記被駆動エレメント(12)を流体によって負荷するために、流体が前記被駆動エレメント(12)に圧送される、アクチュエータ(34)と、
-前記被駆動エレメント(12)によって流体を導出することができる少なくとも1つの導出通路(32)と、
-2つの弁エレメント(78,80)を有した弁装置(76)であって、前記2つの弁エレメントは互いに対して可動であり、これにより前記弁装置(76)は、前記導出通路(32)を遮断する少なくとも1つの閉鎖状態(S)であって、前記導出通路(32)の遮断状態で、前記被駆動エレメント(12)を流体によって保持位置に保持することができる閉鎖状態(S)と、前記導出通路(32)を解放する少なくとも1つの開放状態(O)との間で調節可能であり、前記開放状態(O)では、前記弁エレメント(78,80)が、前記導出通路(32)を介した前記被駆動エレメント(12)による流体の導出を許容し、これにより前記保持位置から少なくとも1つの回避位置への前記被駆動エレメント(12)の移動を許容する、弁装置(76)と、
を有しており、
・前記第1の方向(36)への前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記弁エレメント(78,80)のうちの第1の弁エレメントが、第1の操作方向(36)へと移動可能であり、これにより、第2の弁エレメント(80)に向かって移動可能であり、これにより前記弁装置(76)は前記閉鎖状態(S)へと調節可能であり、
・前記第2の方向(38)への前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記第1の弁エレメント(78)を、前記第1の操作方向(36)とは逆の第2の操作方向(38)で、前記第2の弁エレメント(80)から離れるように動かすことができ、これにより前記弁装置(76)は開放状態(O)へと調節可能であり、
・前記アクチュエータ装置(10)は、前記ポンプモードでは、前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)を、前記第1の方向(36)と前記第2の方向(38)とに交互に動かし、この場合、前記ポンプモードでは、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)へ調節された後、前記弁装置(76)は、前記ポンプモードで生じる、前記第1の方向(36)および前記第2の方向(38)への前記少なくとも1つの部分(T)の交互の運動にもかかわらず、前記閉鎖状態(S)に留まり、これにより前記ポンプモードでは流体は前記被駆動エレメント(12)へと圧送され、
・前記アクチュエータ装置(10)は、前記ポンプモードとは異なり、前記ポンプモードに続く開放モードで動作され、前記開放モードでは、前記第2の方向(38)で行われる前記アクチュエータ(34)の前記少なくとも1つの部分(T)の運動により、前記第2の操作方向(38)で前記第2の弁エレメント(80)から離れるように前記第1の弁エレメント(78)が運動し、これにより、前記弁装置(76)が前記閉鎖状態(S)から前記開放状態(O)へと調節される、
アクチュエータ装置(10)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法は、一般的な従来技術により既に十分に知られている。このようなアクチュエータ装置は、駆動エレメントと被駆動エレメントとを含み得る。駆動エレメントの運動により、例えば、被駆動エレメントの運動を生じさせることができ、これにより例えば、被駆動エレメントの運動により、駆動エレメントに対して付加的に、かつ被駆動エレメントに対して付加的に設けられた少なくとも1つの別の構成エレメントを動かすことができる。駆動エレメントと被駆動エレメントとの間には、特に流体的な、極めて特に液圧的な変速部を設けることができる。例えば、駆動エレメントを動かすために、第1の力を駆動エレメントに加え、その結果として、被駆動エレメントが、第1の力よりも小さなまたは大きな第2の力を、構成エレメントを動かすために提供するということが、変速部により可能である。代替的にまたは付加的に、被駆動エレメントを動かすために駆動エレメントが動かされると、被駆動エレメントは、駆動エレメントよりも速くまたは遅く動かされるということが考えられる。これにより、アクチュエータ装置は、必要に応じて様々な使用例のために利用することができる。
【0003】
被駆動エレメントの運動により、およびその結果生じる構成エレメントの運動により、被駆動エレメントまたは構成エレメントを、第1の位置から、第1の位置とは異なる第2の位置へと動かすことができ、特に第2の位置に保持することができる。被駆動エレメントまたは構成エレメントを第2の位置に保持するために、例えば被駆動エレメントに保持力が加えられるか、または被駆動エレメントが構成エレメントに保持力を加える。この場合、第2の位置から第1の位置へのまたは第1の位置の方向への構成エレメントまたは被駆動エレメントの迅速な運動を許容することが望ましいと考えられる。このためには、保持力の付与または提供をできるだけ迅速に、つまり短時間で終了することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、アクチュエータ装置ならびにこのようなアクチュエータ装置を動作させる方法を提供し、これにより、アクチュエータ装置によって少なくとも1つの構成エレメントを特に有利に動かすことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するアクチュエータ装置ならびに請求項15の特徴を有する方法によって解決される。本発明の好適なさらなる構成を有する有利な構成は、その他の請求項に記載されている。
【0006】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つの被駆動エレメントを有するアクチュエータ装置に関する。被駆動エレメントは、流体、特に気体または液体、特にできるだけまたは少なくとも実質的に非圧縮性の液体によって負荷可能であり、かつこれにより少なくとも1つの保持位置へと移動可能である。換言すると、被駆動エレメントを流体で負荷することにより、例えば被駆動エレメントを、出発位置から、出発位置とは異なる保持位置へと、特に並進的にかつ/または所定の運動方向で移動させることができる。被駆動エレメントは、例えば被駆動ピストンであってよく、この被駆動ピストンは、例えば並進運動可能に被駆動ケーシング、特に被駆動シリンダ内に収容されている。被駆動ピストンを流体で負荷することにより、被駆動ピストンを、特に並進的にかつ/または所定の運動方向で、被駆動シリンダに対して、特に出発位置から保持位置へ移動させることができる。そのために、例えば流体が、被駆動シリンダ内に、特に部分的に被駆動シリンダによってかつ部分的に被駆動ピストンによって画定される被駆動チャンバ内に導入される。さらに、被駆動エレメントが、ベローズまたは空気ばねベローズの壁、特に底面であることが考えられる。例えば、流体はベローズに導入され、これにより、被駆動エレメントは、特に並進的にかつ/または所定の運動方向で、特にベローズの別の壁、特に別の側壁に対して移動する。これにより、ベローズが例えば変位する。
【0007】
アクチュエータ装置は、好適には電気的に動作可能な少なくとも1つのアクチュエータをさらに有している。アクチュエータは、アクチュエータの駆動制御によりポンプモードで動作可能である。アクチュエータの駆動制御とは、特に、アクチュエータが電気的に動作可能である場合に、電気エネルギ、特に電流または電圧がアクチュエータに印加されることであると理解されてよい。これは、特に、アクチュエータに電気エネルギまたは電圧が供給されることであると理解されてよい。アクチュエータは例えば線形のアクチュエータである。特に、アクチュエータは、例えばピエゾアクチュエータのように固体アクチュエータであってよい。さらにアクチュエータが、別の固体アクチュエータとして、例えばソレノイドまたはポリマーアクチュエータとして構成されていることも考えられる。ポンプモードでは、アクチュエータの少なくとも1つの部分が、アクチュエータの駆動制御により、第1の方向と、この第1の方向とは逆向きの第2の方向とで交互に、特に並進的に可動であり、これによって、被駆動エレメントを流体で負荷するために、流体を被駆動エレメントに圧送可能であり、特に被駆動チャンバ内に圧送可能である。アクチュエータの部分は、例えば、ランナとも称される可動子であってよく、この可動子は、例えば、アクチュエータの駆動制御によって往復運動する。アクチュエータが例えば固体アクチュエータ、特にピエゾアクチュエータであるならば、例えば、アクチュエータの駆動制御によって、アクチュエータが交互に膨張または伸長、および圧縮または短縮する。アクチュエータが膨張または伸長すると、例えば少なくともアクチュエータの部分が第1の方向に移動し、アクチュエータの長さが短縮されると、例えば少なくともアクチュエータの部分が第2の方向に移動する。
【0008】
さらに、アクチュエータ装置は、少なくとも1つの導出通路を有しており、この導出通路を介して流体が、特に被駆動エレメントが流体で負荷された後に、被駆動エレメントによって導出可能となる。例えば、特に流体が被駆動チャンバ内に導入され、ひいては被駆動エレメントが流体で負荷された後に、流体を、導出通路により被駆動チャンバから導出し、ひいては被駆動エレメントによって導出することができる。このために、例えば導出通路は、被駆動チャンバに流体接続されている。
【0009】
アクチュエータ装置は弁装置をさらに有しており、弁装置は、互いに対して可動である2つの弁エレメントを有し、これにより、弁装置は、少なくとも1つの閉鎖状態と少なくとも1つの開放状態との間で調節可能または切替え可能である。特に、弁エレメントは、例えば並進的に互いに対して動くことができ、これにより、弁装置を閉鎖状態と開放状態との間で調節しまたは切り替えることができる。閉鎖状態において、導出通路は弁装置により、特に流体的に遮断されており、これにより、閉鎖状態では、流体が導出管路を通って流れることができなくなるか、または閉鎖状態において流体は、特に導出通路によって、被駆動チャンバからまたは被駆動エレメントによって導出不可能であるかまたは導出されない。したがって、閉鎖状態では、導出通路の遮断状態で、被駆動エレメントを流体によって保持位置に保持することができる。換言すれば、例えばポンプモードでは、弁装置がその閉鎖状態にある間に、流体がアクチュエータにより、特に被駆動チャンバ内にポンピングされ、これにより弁装置が閉鎖状態にある間に、被駆動エレメントに流体が負荷され、これにより、アクチュエータによって生じる流体の進行するポンピングにより、被駆動エレメントは、特に漸次、保持位置へと動かされる。これに続いて、弁装置がまだ閉鎖状態にあるときに、例えばポンピングが終了されると、被駆動エレメントは、アクチュエータにより事前にポンピングされた、被駆動チャンバ内にあるか、または被駆動エレメントを負荷する流体により保持位置に保持される。なぜならば、例えば導出通路が弁装置により遮断され、これにより被駆動チャンバからのまたは被駆動エレメントによる流体の導出が阻止されるからである。再び換言すれば、例えば、被駆動エレメントが流体によって負荷されるように、流体をアクチュエータによりポンピングすることによって、流体が駆動力を被駆動エレメントに加え、この被駆動エレメントは、特に、例えば被駆動エレメントに作用する、移動力とは逆向きの反力に抗して、被駆動力により保持位置へと移動可能であるかまたは移動する。このとき導出通路は弁装置によって閉鎖されているので、ポンピングが終了した後で、ポンピングが行われない間、被駆動エレメントは流体によって、反力に抗して保持位置に保持される。再び換言すると、反力によっては、被駆動エレメントが保持位置から出発位置へと、または出発位置の方向へと移動することはなく、反力によって、流体が被駆動チャンバから流出するか、または導出通路を介して被駆動エレメントによって導出されることはない。
【0010】
しかしながら、開放状態では弁装置は導出通路を解放するので、開放状態では導出通路は解放されている。つまり、弁エレメントひいては弁装置は、開放状態において、導出通路を介した被駆動エレメントによるまたは被駆動チャンバからの流体の導出を許容し、これにより開放状態において、弁エレメントは、保持位置から、保持位置とは異なる少なくとも1つの回避位置への被駆動エレメントの運動を許容する。保持位置から回避位置への被駆動エレメントの運動中に、被駆動エレメントは、例えば出発位置へまたは出発位置の方向に移動するので、例えば回避位置は出発位置であるか、または回避位置は保持位置と出発位置との間にある。
【0011】
したがって、例えばポンピングが終了し、弁装置が特に所定の期間にわたりまだ閉鎖状態に保持されるならば、この期間中、被駆動エレメントの運動は行われないか、またはこの期間中、被駆動エレメントは保持位置に位置していて、この保持位置で、所定の期間中、流体により被駆動エレメントが保持される。例えば、この期間後に、弁装置が閉鎖状態から開放状態へと調節されると、流体は導出通路を介して被駆動エレメントによって導出可能となるので、例えば反力によって、被駆動エレメントが保持位置から回避位置へと移動する。例えば、最初に被駆動チャンバ内に収容される流体の少なくとも一部は、保持位置から回避位置に移動する被駆動エレメントによって、導出通路を介して作業チャンバから外に出され、特に押し出される。
【0012】
したがって、閉鎖状態への調整により、被駆動エレメントを保持位置に移動させ、保持位置に保持することができる。開放状態への調整により、保持位置から回避位置への被駆動エレメントの運動を許容することができる。それというのも、これにより例えば流体が導出通路を介して被駆動チャンバから導出されるか、または被駆動エレメントによって導出されて、もはや被駆動エレメントを反力に抗して保持位置で保持することができないからである。
【0013】
この場合、アクチュエータ装置は、第1の方向でのアクチュエータの部分の運動により、弁エレメントのうちの第1の弁エレメントが第1の操作方向へと、特に並進的に移動可能であり、これにより、第2の弁エレメントに向かって移動可能であり、これにより弁装置は、特に開放状態から閉鎖状態へと調節可能であるように形成されている。例えば、第1の操作方向は第1の方向に一致し、または第1の操作方向は、第1の方向に対して平行に延在している。さらに、第1の操作方向が、第1の方向に対して傾斜してまたは垂直に延在していることも、または第1の操作方向が第1の方向とは逆であることも考えられる。
【0014】
例えば、アクチュエータの部分は、第1の弁エレメントと少なくとも間接的に、特に直接的に、かつ少なくとも一時的に、特に常時、運動連結されており、その結果、アクチュエータの部分が第1の方向に移動すると、第1の弁エレメントは第1の操作方向に動かされる。さらに、アクチュエータの部分が、第1の方向への運動中、少なくとも一時的に第1の弁エレメントに、第1の方向で少なくとも間接的に支持されているまたは支持可能であり、これにより、アクチュエータの部分が第1の方向へ移動すると、第1の弁エレメントが第1の操作方向に、特に第1の方向に移動することが考えられる。これにより、例えば開放状態から出発して、第1の弁エレメントを第2の弁エレメントに向かって動かすことができ、これにより、弁装置は開放状態から閉鎖状態へ調節可能であるまたは調節される。例えば、開放状態では、弁エレメントは互いに離間しており、これにより、例えば流体が弁エレメントの間を通って流れることができ、またはこれにより、例えば弁装置もしくは弁エレメントを配置することができる導出通路が解放されている。閉鎖状態では、弁エレメントは例えば、特に直接に互いに当接しているので、弁エレメントは互いにシールされており、その結果、導出通路を遮断している。換言すると、例えば閉鎖状態では、流体が弁エレメント間を通流することはできず、これにより例えば閉鎖状態では、弁エレメントにより導出通路が流体的に遮断されている。
【0015】
アクチュエータ装置はさらに、第2の方向でのアクチュエータの部分の運動により、第1の操作方向とは逆の第2の操作方向への、第2の弁エレメントから離れるような第1の弁エレメントの運動が生じ、これにより弁装置は、特に閉鎖状態から開放状態へと調節可能であるように形成されている。第2の操作方向は、例えば第2の方向に一致するか、または第2の方向に対して平行に延在している。さらに、第2の操作方向が、第2の方向に対して傾斜してまたは垂直に延在している、または第2の戻し方向とは逆であることも考えられる。特に操作方向は、互いに平行にかつ互いに逆向きに延在している。換言すると、アクチュエータの部分が第2の方向に移動すると、これにより、第2の操作方向への第2の弁エレメントの運動が生ぜしめられるかまたは許容され、これにより、第2の弁エレメントは、第1の弁エレメントから離れる方向に移動する。これにより、弁装置が開放される。第2の方向へのアクチュエータ部分の運動により、第2の操作方向への第1の弁エレメントの運動を第2の弁エレメントから離れる方向で生じさせることができるという特徴は、特に、例えば第2の方向へのアクチュエータの部分の運動により、第2の操作方向および第2の弁エレメントから離れる方向への第1の弁エレメントの運動が許容されることを、または特に第1の操作方向および/または第2の操作方向へ第1の弁エレメントがアクチュエータの部分と共に一緒に動くことができるように、第2の操作方向への第2の弁エレメントから離れる方向への第1の弁エレメントの運動が作動させられることを意味する。特に操作装置は、例えばばねのように設けられていてよく、このばねによって、例えば、第2の方向で行われる、アクチュエータの部分の運動の結果、第1の弁エレメントは第2の運動方向で可動である。例えば、第1の弁エレメントがアクチュエータの部分と特に堅固に運動連結されており、これにより例えば、アクチュエータの部分が第1の速度でかつ/または第1の距離を第1の方向でまたは第2の方向で動かされる場合、これにより第1の弁エレメントは第2の速度でかつ/または第2の距離を第1の操作方向でもしくは第2の操作方向で一緒に動かされ、この場合、第2の速度は第1の速度に相当し、かつ/またはこの場合第2の距離は第1の距離に相当することが考えられる。
【0016】
アクチュエータ装置は、ポンプモードでは、アクチュエータの部分を、第1の方向と第2の方向とに交互に動かし、この場合、ポンプモードでは、弁装置が閉鎖状態へ特に最初に調節された後、弁装置は、ポンプモードで生じる、第1の方向および第2の方向への交互の第1の部分の運動にもかかわらず、閉鎖状態に留まり、これによりポンプモードでは、流体が、被駆動エレメントへ圧送可能であるかまたは圧送されるように構成されている。換言すると、少なくともアクチュエータの部分は、ポンプモードにおいて、第1の方向と第2の方向とに交互に動かされ、この場合、ポンプモードでは、特に開放状態から閉鎖状態へ弁装置が最初に調節された後、この弁装置は、ポンプモードで生じる第1の部分の交互の運動にもかかわらず、例えば上述したように、第1の弁エレメントがアクチュエータの部分に運動連結されていても、留まる。したがって、例えば、第1の弁エレメントがアクチュエータの部分と共に交互に第1の方向および第2の方向に往復運動するにもかかわらず、弁装置は閉鎖状態に留まり、または例えば弁エレメントが互いに当接した状態に留まるので、導出通路は遮断され、遮断状態に留まり、これによりポンプモードでは、流体は被駆動エレメントへ、特に被駆動チャンバ内に圧送可能であり、特に被駆動エレメントはポンプモードでは、かつポンプモードによって、特に出発位置から保持位置へと可動であり、または動かされる。
【0017】
アクチュエータ装置は、この場合、ポンプモードとは異なる、例えばポンプモードに続く開放モードで動作可能であって、開放モードでは、第2の方向で行われるアクチュエータの部分の運動により、第2の操作方向で第2の弁エレメントから離れるように第1の弁エレメントを運動させ、これにより、弁装置は閉鎖状態から開放状態へと調節される。換言すると、開放モードにより、弁装置は開放し、ひいては、被駆動エレメントは、例えば反力を回避し、その結果、保持位置から回避位置へと移動することができるかまたは移動する。特に、ポンプモードでは、弁エレメント間の相対運動は行われないので、ポンプモードでは、弁装置は閉鎖状態に留まる。
【0018】
アクチュエータ装置によって、一方では、ポンプモードにおいて、被駆動エレメントを、特に出発位置から保持位置へと、特に、例えば流体によって発生させることができるかまたは発生する、アクチュエータの部分と被駆動エレメントとの間の変速を介して、移動させることができる。ポンピングまたはポンプモードが終了すると、弁装置が閉鎖状態に維持される間に、流体によって被駆動エレメントを保持位置に保持することができる。他方では、アクチュエータ装置は、弁装置を閉鎖状態から開放状態へと特に迅速に、特にアクチュエータの相応の駆動制御のみによって、またはアクチュエータの駆動制御の変更によって、調節することができる。したがって、例えばアクチュエータが第1の形式で駆動制御されると、ポンプモードが生じる。次いでアクチュエータが、例えば第1の形式とは異なる第2の形式で駆動制御されると、ポンプモードから開放モードへと変更され、弁装置の開放を特に迅速に生じさせることができる。したがって、例えば最初に弁装置が閉じられると、これに基づきまず、被駆動エレメントが流体によって保持位置に保持され、次いで、例えば、これにより特に迅速に、保持位置から回避位置へのアクチュエータの移動が行われるべきである状況に到り、これにより特に迅速に、閉鎖状態から開放状態への弁装置の調節を行うことができる。例えば、弁装置は、少なくとも実質的に一定の電圧がアクチュエータにかけられるように、またはアクチュエータに少なくとも実質的に一定にもしくは継続的に特に十分高い電圧が供給されるように、閉鎖状態に保持される。ポンプモードは、例えば、第1の電圧、および第1の電圧よりも低い、ゼロであってもよい第2の電圧が交互にアクチュエータにかけられるように、アクチュエータを駆動制御するように、生ぜしめられる。第1の電圧と第2の電圧とが十分高速で切り替えられるならば、弁装置が閉鎖状態に留まる間、または保持される間に、ポンプモードを生じさせることができる。例えば、保持位置で被駆動エレメントを保持するためにアクチュエータに少なくとも実質的に継続的に加えられる電圧が減じられ、これに続いてアクチュエータが再び、ポンプモードが生じるように駆動制御されることがなければ、これにより弁装置を特に迅速に開放することができる。
【0019】
例えばポンプモードおよび開放モードを特に有利に実現することができるようにするために、1つの有利な構成では、アクチュエータ装置は、例えば少なくとも第1の弁エレメントに連結されていて、かつ好適には非線形の減衰器として形成されている減衰器装置を有している。非線形の減衰器とは、例えば以下のように理解されてよい。すなわち、例えば減衰器に第1の操作力が加えられると、これにより、例えば減衰器は、長さが短縮され、または圧潰されもしくは圧縮される。例えば減衰器に、第1の操作力とは逆向きの第2の操作力が加えられると、これにより例えば減衰器は、延長され、すなわち伸長されまたは膨張する。減衰器装置は例えば特に、例えば第1の操作力が第2の操作力に数値的に相当している場合に、減衰器が第1の速度で短縮され、第1の速度とは異なる第2の速度で膨張することによって非線形の減衰器となり、またはこの非線形の減衰器は、特に例えば第1の操作力が第2の操作力に数値的に相当している場合に、減衰器が第1の速度で短縮され、第1の速度とは異なる第2の速度で膨張する点において優れている。換言すると、操作力は、数値的には同じであっても、減衰器を短縮または膨張させる速度は異なってくる。これとは異なり、例えば減衰器が同じ速度で膨張して短縮されるべき場合には、第2の操作力が第1の操作力とは異なっており、したがって第1の操作力よりも大きくまたは小さくなければならない。減衰器は、その膨張時に引っ張られ、つまり引張り力が加えられ、この場合、減衰器は、短縮時に圧縮されまたは圧縮力が加えられることが認められる。膨張時にも短縮時にも減衰器は減衰作用を生じさせ、この場合、膨張時における減衰は伸張段階と呼び、かつ短縮時における減衰は圧縮段階と呼ぶ。減衰器は、例えば非線形の減衰器であるので、伸張段階は圧縮段階よりも硬く、または軟らかくなる。換言すると、減衰器の膨張時の減衰は、減衰器の短縮時の減衰よりも強力であるかまたは僅かである。再び換言すると、減衰器は、その非線形性に基づいて、減衰器の膨張時に第1の減衰または第1の減衰作用を提供し、減衰器の短縮時に、第1の減衰とは異なる第2の減衰または第2の減衰作用を提供する。再び換言すると、例えば非線形の減衰器が第1の速度で膨張すると、これは第1の減衰力をもたらす。減衰器が第2の速度で短縮されると、つまり圧縮されると、これは例えば第2の減衰力を生じさせる。減衰器は、この場合、非線形であるので、第1の速度が第2の速度にまたは第2の速度が第1の速度に相当する場合に、第1の減衰力は、特に十分に公知の式
=dv
に関連して、第2の減衰力よりも大きくまたは小さくなる。
【0020】
この場合、Fはそれぞれの減衰力を表し、vは減衰器が膨張または圧縮されるそれぞれの速度を表し、dは減衰器の減衰定数を表す。したがって、減衰器は、例えばその伸張段階のために第1の減衰定数を有しており、かつその圧縮段階のために、第1の減衰定数とは異なる第2の減衰定数を有しており、この第2の減衰定数は、例えば第1の減衰定数よりも大きいかまたは小さい。
【0021】
減衰器装置は、ポンプモードを開始するために行われる、特に最初の第1の方向へのアクチュエータの部分の第1の運動時に、第1の弁エレメントの、第1の操作方向への、第2の弁エレメントに向かう運動を許容し、これにより、減衰器装置は、開放状態から閉鎖状態への弁装置の調節を許容する。これに続く第2の方向へのアクチュエータの部分の運動時に、減衰器装置は、弁装置を開放状態へと調節する、第2の弁エレメントから離れる方向の、第2の操作方向への第1の弁エレメントの運動を、特に少なくとも一時的に阻止し、これにより、減衰器装置は、弁装置を閉鎖状態に保持する。これにより、ポンプモードでは、アクチュエータの部分は、交互に第1の方向と第2の方向とに可動である一方、弁装置は、閉鎖状態に留まる。この実施形態により、弁装置を、特に簡単にかつ、特にアクチュエータの相応の駆動制御によってのみまたはアクチュエータの駆動制御の相応の変更によってのみ、開閉することができ、すなわち開放状態と閉鎖状態との間で切り替えることができる。
【0022】
この場合、減衰器装置は、ポンプモードで、弁装置の開放状態への調節を生じさせる、第1の弁エレメントの、第2の弁エレメントから離れる第2の操作方向への運動を阻止し、これにより弁装置を閉鎖状態に保持し、弁装置が閉鎖状態に留まる間に、かつ好ましくは、弁エレメント間の相対運動が行われない間に、アクチュエータの部分は、これにより弁エレメントは特に一緒に、交互に第1の方向および第2の方向に可動であるならば、特に有利であることが示された。換言すると、減衰器装置は、特に非線形の減衰器の形態であり、この場合、特に伸長段階に関して、圧縮段階に関するよりも例えば剛性が高いので、例えばポンプモードでは、減衰器装置と弁エレメントとは、アクチュエータの部分と共にブロックとして往復運動し、この場合に弁エレメント間の相対運動が行われることはなく、つまり弁装置は、閉鎖状態から開放状態へ調節されることがない。
【0023】
さらなる実施形態は、減衰器装置が、開放モードで、第1の操作方向および/または第2の操作方向に沿って行われる、閉鎖状態から開放状態への弁装置の調節を生じさせる、弁エレメント間の相対運動を許容するように構成されている点において優れている。例えば、被駆動エレメントを保持位置に保持するためにアクチュエータに印加される電圧が、十分に緩慢に降下されると、またはポンプモードを生じさせるアクチュエータの駆動制御が行われないように降下されると、例えば非線形の減衰器には、その硬いまたは剛性の高い伸張段階にもかかわらず弛緩し、その結果、弁エレメント同士が互いに離れるように運動するような弁エレメント間の相対運動が生じるために十分な時間が与えられるか、またはこれにより弁装置が開放される。このことは、例えば、アクチュエータの駆動制御が、またはアクチュエータへの電気エネルギ、特に電圧または電流の供給が行われないことにより、または長期間行われない場合に生じる。
【0024】
本発明の特に有利なさらなる実施形態では、アクチュエータはストッパを有しており、弁エレメントおよびアクチュエータの部分は、第1の方向および第2の方向に沿って、ストッパに対して可動である。ストッパによって、弁装置の特に迅速な開放を特に簡単に生じさせることができる。
【0025】
さらなる実施形態は、減衰器装置が、第1の弁エレメントと共に可動である、特に弁エレメントに堅固に連結された第1の減衰器エレメントと、第1の減衰器エレメントに対して、特に並進的に可動である第2の減衰器エレメントとを有している点において優れている。減衰器の膨張および圧縮の際には、減衰器エレメントは、例えば互いに対して、特に並進的に、特に減衰器エレメントの一方が他方の減衰器エレメント内に入るように、またはその逆であるように、動かされる。減衰器エレメントは、好ましくは、アクチュエータの部分の第1の方向への運動により生じる、弁装置の開放状態から閉鎖状態への調節のために、かつポンプモードの開始のために行われる、第1の弁エレメントの第1の操作方向での第2の弁エレメントに向かう運動の際に、互いに対して可動であり、特に互いに内外に可動である。
【0026】
さらなる実施形態は、減衰器エレメントが、第1の方向および第2の方向でストッパに対して、特に並進的に可動であり、ストッパによって、第2の方向での第2の減衰器エレメントの運動を制限することができ、これにより、アクチュエータの部分の第1の方向への運動により生じる、弁装置の開放状態から閉鎖状態への調節のために、かつポンプモードの開始のために行われる、第1の弁エレメントの第1の操作方向での第2の弁エレメントに向かう運動の際に、第1の方向での第2の減衰器エレメントの運動が行われない間に、第1の減衰器エレメントは第1の方向で第2の減衰器エレメントに対して、特に並進的に可動である点において優れている。これにより、減衰器エレメントは、ポンプモードと開放モードとを、特に簡単かつ有利に迅速に切替えできるようにするために、その運動に関して有利に影響を受けることができる。
【0027】
本発明の特に有利なさらなる実施形態では、アクチュエータ装置は、特に少なくとも間接的に減衰器エレメントに連結された戻しエレメントを有しており、この戻しエレメントは例えば特に機械的なばねとして形成されていてよい。戻しエレメントによって、減衰器エレメントは、第1の方向および/または第2の方向に沿って互いに対して可動であり、これにより戻しエレメントによって、第1の操作方向および/または第2の操作方向に沿って生じる、閉鎖状態から開放状態への弁装置の調節を行わせる、弁エレメント間の上述した相対運動を生じさせることができる。
【0028】
この場合、戻しエレメントは一方では第1の減衰器エレメントに、他方では第2の減衰器エレメントに、特に堅固にかつ/または直接に連結されているならば特に有利であることが示された。
【0029】
本発明のさらなる構成では、減衰器エレメントが、特に互いに対向する2つの減衰器チャンバを画定しており、この減衰器チャンバには、減衰チャンバ内に導入可能であり減衰チャンバから導出可能である減衰媒体が、特に減衰流体が収容されていることが想定されている。特に減衰流体は、減衰器チャンバ間で溢流することができ、したがって、一方の減衰器チャンバから他方の減衰器チャンバへと、またはその逆に流れることができる。
【0030】
この場合、特に有利には、開放モードとポンプモードとの間で切り替えることができるように、本発明のさらなる構成では、減衰器媒体が流体であることが想定されている。
【0031】
さらなる実施形態は、第1の駆動部分と、第2の駆動部分と、これらの駆動部分によって画定された駆動チャンバとを有している駆動エレメントの点で優れている。被駆動エレメントについての前述のおよび後述の説明は、問題なく駆動エレメントにも当てはめることができる。したがって、例えば駆動部分は、駆動ピストン、またはベローズもしくは空気ばねベローズの壁、特に底面であってよく、この場合、例えば第2の駆動部分は、駆動ケーシング、特に駆動シリンダ、またはベローズもしくは空気ばねベローズの別の壁、特に側壁であってよい。ポンプモードでは、第1の駆動部分は、交互に第1の方向および第2の方向で第2の駆動部分に対して、第2の弁エレメントと共に、可動であってまたは動かされ、これにより駆動チャンバから被駆動エレメントへと流体を圧送可能であり、駆動チャンバ内へと圧送可能である。
【0032】
さらなる実施形態は、例えば特に機械的なばねとして形成されていてよい戻し装置の点で優れている。この戻し装置によって、第1の駆動部分、および第2の弁エレメントは、第2の方向で第2の駆動部分に対して可動である。
【0033】
戻し装置が、第1の駆動部分および第2の弁エレメントと共に可動であるストッパエレメントに連結されており、このストッパエレメントは第2の方向で少なくとも間接的に第2の減衰器エレメントと、戻しエレメントとに支持可能であり、特にこれにより、第2の方向で第2の減衰器エレメントに対して、かつ戻しエレメントに対して行われる、第2の弁エレメントおよび第1の駆動部分の運動が、ストッパエレメントによって制限可能であり、または阻止可能であるならばさらに特に有利であることが示された。
【0034】
アクチュエータ装置が、減衰媒体によって貫流可能な通路と、この通路内に配置された逆止弁とを有しており、この逆止弁は、第1の流れ方向で通路を通る、減衰器チャンバ内に延びる減衰媒体の流れを許容し、第1の流れ方向とは逆の第2の流れ方向で、減衰器チャンバから出る減衰媒体の流れのための通路を遮断するならば、さらに特に有利であることが示された。
【0035】
本発明の第2の態様は、アクチュエータ装置を、特に本発明の第1の態様によるアクチュエータ装置を動作させる方法に関する。本発明の第1の態様の利点および有利な構成は、本発明の第2の態様の利点および有利な構成とみなすことができ、逆も同様である。本発明の第2の態様では、アクチュエータ装置は、流体によって負荷可能であり、これにより少なくとも1つの保持位置へと移動可能である少なくとも1つの被駆動エレメントを有している。
【0036】
アクチュエータ装置は、アクチュエータであって、駆動制御され、これによりポンプモードで動作され、ポンプモードでは、アクチュエータの少なくとも1つの部分が、アクチュエータの駆動制御により、第1の方向と、第1の方向とは逆向きの第2の方向とに交互に動かされ、これによって、被駆動エレメントを流体によって負荷するために流体が被駆動エレメントに圧送される、アクチュエータをさらに有している。
【0037】
アクチュエータ装置は、被駆動エレメントによって流体を導出することができる少なくとも1つの導出通路をさらに有している。
【0038】
アクチュエータ装置は、2つの弁エレメントを有した弁装置であって、2つの弁エレメントは互いに対して可動であり、これにより弁装置は、導出通路を遮断する少なくとも1つの閉鎖位置であって、導出通路の遮断状態で、被駆動エレメントを流体によって保持位置に保持することができる閉鎖位置と、導出通路を解放する少なくとも1つの開放位置との間で調節可能であり、開放位置では、弁エレメントが、導出通路を介した被駆動エレメントによる流体の導出を許容し、これにより保持位置から、保持位置とは異なる少なくとも1つの回避位置への被駆動エレメントの移動を許容する、弁装置をさらに有している。
【0039】
第1の方向へのアクチュエータの部分の運動により、弁エレメントのうちの第1の弁エレメントが、第1の操作方向へと移動可能であり、これにより、第2の弁エレメントに向かって移動可能であり、これにより弁装置は閉鎖状態へと調節可能である。第2の方向へのアクチュエータの部分の運動により、第1の弁エレメントを、第1の操作方向とは逆の第2の操作方向で、第2の弁エレメントから離れるように動かすことができ、これにより弁装置は開放状態へと調節可能である。ポンプモードでは、アクチュエータ装置は、アクチュエータの部分を、第1の方向と第2の方向とに交互に動かし、この場合、ポンプモードでは、弁装置が閉鎖状態へ特に最初に調節された後、弁装置は、ポンプモードで生じる、第1の方向および第2の方向へのアクチュエータの部分の交互の運動にもかかわらず、閉鎖状態に留まり、これによりポンプモードでは流体は被駆動エレメントへと圧送される。さらに、アクチュエータ装置は、ポンプモードとは異なる、ポンプモードに続く開放モードで動作され、開放モードでは、第2の方向で行われるアクチュエータの部分の運動により、第2の操作方向で第2の弁エレメントから離れるように第1の弁エレメントが運動し、これにより、弁装置は閉鎖状態から開放状態へと調節される。
【0040】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、以下の好ましい実施例の説明および図面から明らかである。詳細な説明において上述した特徴および特徴の組合せ、ならびに以下に図面の説明において述べられる特徴および/または図面においてのみ示された特徴および特徴の組合せは、それぞれ提供された組合せにおいてのみならず、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せにおいてまたは単独でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明によるアクチュエータ装置の第1の実施形態を示す概略図である。
図2図1のアクチュエータ装置の部分的な概略図である。
図3図1のアクチュエータ装置の別の概略図である。
図4図1のアクチュエータ装置の別の概略図である。
図5図1のアクチュエータ装置の別の概略図である。
図6図1のアクチュエータ装置の別の概略図である。
図7図1のアクチュエータ装置の別の概略図である。
図8】アクチュエータ装置の第2の実施形態の概略的な部分断面図である。
図9】アクチュエータ装置の第3の実施形態の概略的な断面図である。
図10】アクチュエータ装置の第3の実施形態の別の概略図である。
図11】アクチュエータ装置の第3の実施形態の別の概略図である。
図12】アクチュエータ装置の第3の実施形態の別の概略図である。
図13】アクチュエータ装置の第3の実施形態の別の概略図である。
図14】アクチュエータ装置の第4の実施形態の概略的な部分断面図である。
図15】アクチュエータ装置のアクチュエータの駆動制御を示すグラフである。
図16】アクチュエータ装置の第5の実施形態の概略図である。
図17】アクチュエータの別の駆動制御を示すグラフである。
図18】アクチュエータの別の駆動制御を示すグラフである。
図19】アクチュエータの別の駆動制御を示すグラフである。
図20】アクチュエータ装置の第6の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図中、同じエレメントまたは機能が同じエレメントには同じ参照符号が付されている。
【0043】
図1は、液圧式のアクチュエータ、特にピエゾ液圧式のアクチュエータとして形成されたアクチュエータ装置10の第1の実施形態を概略図で示している。アクチュエータ装置10は被駆動エレメント12を有しており、この被駆動エレメントは、第1の実施形態では、第1のピストンとして構成されている。第1のピストンは、被駆動ピストンとも呼ばれる。被駆動エレメント12は、例えばシリンダとして形成されたケーシング14内に並進運動可能に収容されており、この場合、ケーシング14は被駆動ケーシングとも呼ばれ、したがって被駆動シリンダとして形成されていてよい。例えば、ピストンとして、または空気ばねベローズまたはベローズの底面として形成された被駆動エレメント12は、図1に双方向矢印16により示した運動方向に沿ってケーシング14に対して並進的に可動である。この場合、被駆動エレメント12およびケーシング14は、それぞれ部分的に被駆動チャンバ18を画定し、被駆動チャンバ18は、被駆動エレメント12によって直接に画定されている。そこで、例えばガスとしてまたは液体として形成された流体が、特に通路20を介して被駆動チャンバ18内に導入されると、これにより被駆動エレメント12は、特に直接に、被駆動チャンバ18内に導入された流体によって負荷される。
【0044】
被駆動エレメント12はピストンロッド22に結合されているので、ピストンロッド22と被駆動エレメント12とは共に、運動方向に沿ってケーシング14に対して並進運動可能である。例えば被駆動エレメント12が、運動方向と一致するかまたは運動方向に対して平行に延びていてかつ図1に矢印24により示された第1の被駆動方向に動かされると、これによりピストンロッド22がケーシング14に対して第1の被駆動方向に動かされ、ケーシング14から少なくとも部分的に外に出るように動かされる。被駆動エレメント12が、図1に矢印26により示された、第1の被駆動方向とは反対方向で、運動方向と一致するかまたは運動方向に対して平行に延びる第2の被駆動方向で、ケーシング14に対して特に並進的に動かされると、これによりピストンロッド22は、ケーシング14に対して第2の被駆動方向に、特に並進的に動かされ、この場合、ピストンロッド22は、少なくとも部分的にケーシング14内に動かされる。
【0045】
この場合、アクチュエータ装置10は、ここでは機械的なばねとして構成されているばねエレメント28を有している。ばねエレメント28は、特に運動方向に沿って、一方では少なくとも間接的に、特に直接的に、ケーシング14に支持され、他方では少なくとも間接的に、特に直接的に、被駆動エレメント12に支持されている。この場合、ばねエレメント28は、第1の実施形態では、被駆動チャンバ18とは反対の側のばねチャンバ30内に配置されており、ばねチャンバは、ケーシング14と被駆動エレメント12とによってそれぞれ部分的に画定されている。被駆動エレメント12が第1の被駆動方向に動かされると、これにより、ばねエレメント28は緊張する。その結果、ばねエレメント28は、反力とも呼ばれるばね力を提供し、特に被駆動チャンバ18からの、特に導出通路32を介した流体の流出が許容される場合に、このばね力により、被駆動エレメント12は、第2の被駆動方向に移動可能であるかまたは動かされる。
【0046】
被駆動エレメント12は、少なくとも間接的に、特にピストンロッド22を介して、図には示されていない構成エレメントに連結されており、特に運動連結されている。例えば、被駆動エレメント12を移動させることにより、構成エレメントを運動させることができる。被駆動チャンバ18への流体のポンピングまたは圧送によって、被駆動エレメント12は、被駆動チャンバ18内にポンピングまたは圧送された流体によって、特に直接に負荷される。これにより、被駆動エレメント12は、例えば図1に示された出発位置から、出発位置とは異なる保持位置へと移動可能であり、または移動される。例えば、保持位置への被駆動エレメント12の運動後に、さらなる流体がもはや被駆動チャンバ18内に圧送されないならば、または保持位置への被駆動エレメント12の移動後に被駆動チャンバ18内への流体のさらなる圧送が行われず、保持位置への被駆動エレメント12の移動後に、被駆動チャンバ18内に収容された流体の導出が、特に導出通路32が遮断されているかまたは遮断されることによって阻止されるならば、被駆動エレメント12は、被駆動チャンバ18内に収容された流体によって、特にばねエレメント28によって提供されるばね力または反力に抗して、保持位置に保持される。保持位置では、例えばばねエレメント28は緊張しているので、ばねエレメント28は、保持位置において上述のばね力または反力を提供する。
【0047】
しかし、次いで例えば導出通路32が解放され、これにより導出通路32を介して、まず被駆動チャンバ18内に収容された流体の少なくとも一部が被駆動チャンバ18から流出して、導出通路32内に流入することが可能であれば、被駆動エレメント12はばね力を回避することができ、これにより被駆動エレメント12は、ばね力により保持位置から、保持位置とは異なる回避位置へと移動可能であるか、または移動する。この回避位置は、例えば出発位置または、特に運動方向に沿って、出発位置と保持位置との間に配置されている回避位置であるので、例えば導出通路32が開放されると、被駆動エレメント12は、反力によって保持位置から出発位置へと、または出発位置の方向に、かつこの場合、例えば回避位置へと移動可能であるかまたは移動する。
【0048】
アクチュエータ装置10は、例えば固体アクチュエータとして、特にピエゾアクチュエータとして形成することができるアクチュエータ34を有している。アクチュエータ34は、特に電気的に駆動制御可能である。換言すると、アクチュエータ34は電気的に動作可能である。アクチュエータ34の電気的な動作または電気的な駆動制御とは、アクチュエータ34に電圧Upiezoが供給可能であるかまたは供給されることを意味する。換言すると、アクチュエータ34に電圧を加え、これによりアクチュエータ34を駆動制御する。特に、アクチュエータ34の駆動制御とは、アクチュエータ34への電圧の印加が変化されることと理解されてよい。これは特に、電圧Upiezoが、第1の値と第2の値との間で変化することであると理解されてよい。第1の値は、好ましくはゼロではない値であり、第2の値は、好ましくは第1の値とは異なる値である。第2の値がゼロではない値であってもよく、または第2の値がゼロであってもよい。アクチュエータ34の駆動制御の終了とは特に、アクチュエータ34に対する電圧の印加が行われないことであると、すなわち、アクチュエータ34への電気エネルギまたは電圧の供給が中断されることであると理解されてよい。
【0049】
アクチュエータ34は、アクチュエータ34の駆動制御によりポンプモードで動作可能であり、ポンプモードでは、アクチュエータ34の少なくとも1つの部分Tが、アクチュエータ34の駆動制御により、矢印36によって示された第1の方向と、この第1の方向とは逆向きの、矢印38によって示された第2の方向とで交互に、特に並進的に可動であり、これによって、被駆動エレメント12を流体によって負荷するために、流体を被駆動エレメント12に圧送可能であり、特に被駆動チャンバ18内に圧送可能である。電圧をアクチュエータ34に印加することにより、例えば、アクチュエータ34の長さが増加し、これにより例えば部分Tが第1の方向に、特に距離Spiezoだけ移動する。例えば、アクチュエータ34への電圧の印加が終了すると、または電圧が減じられると、これによりアクチュエータ34の長さが短縮し、これにより例えば少なくとも部分Tは第2の方向に、特に上述した距離だけ戻る。第1の方向への部分Tの移動により、流体を被駆動チャンバ18内に圧送することができる。アクチュエータ装置10はさらに導出通路32を有しており、この導出通路を介して、被駆動チャンバ18内に最初は収容された流体が少なくとも部分的に被駆動チャンバ18から、したがって被駆動エレメント12によって導出可能である。
【0050】
図1からわかるように、第1の実施形態では、アクチュエータ装置10は圧送装置とも称される駆動エレメント41を有しており、この駆動エレメントは、圧送エレメント40とも称される第1の駆動部分と、第2の駆動部分とも称される圧送ケーシング42とを有している。圧送エレメント40は、図1に矢印44により示した第2の運動方向に沿って圧送ケーシング42に対して並進運動可能である。第1の実施形態では、圧送エレメント40はピストンであり、圧送ケーシング42はケーシング、特にシリンダである。さらに、被駆動エレメント12または圧送エレメント40は、ベローズの第1の壁、特に底面であり、この場合、例えばケーシング14または圧送ケーシング42は、ベローズの第2の壁、特に側壁であると考えることができる。例えば流体がベローズ内に圧送されると、これにより例えば底面は側壁に対して並進的に、特に第1の被駆動方向で動かされる。次いで、例えば流体がベローズから、特に被駆動チャンバ18から導出されると、これにより例えば、側壁に対する底面の運動が第2の被駆動方向で生じる。圧送エレメント40がベローズの第1の壁として、圧送ケーシング42が第2の壁として形成されている場合には特に、同様のことが圧送エレメント40および圧送ケーシング42に対しても当てはまる。
【0051】
圧送エレメント40と圧送ケーシング42とは、それぞれ部分的に、駆動チャンバとも称される圧送チャンバ46を画定しており、この場合、圧送チャンバは、圧送エレメント40によって直接に画定されている。圧送ケーシング42に対する圧送エレメント40の運動により圧送チャンバ46の容積は変化する。例えば、圧送エレメント40が圧送ケーシング42に対して、図1に矢印48によって示された、第2の運動方向に一致するかまたは第2の運動方向に対して平行に延在する第1の圧送方向で、特に並進的に動かされると、これにより圧送チャンバ46の容積は縮小する。例えば圧送エレメント40が、第1の圧送方向とは逆の、図1に矢印50によって示された、第2の運動方向に一致するかまたは第2の運動方向に対して平行に延在する第2の圧送方向で、圧送ケーシング42に対して、特に並進的に動かされると、これにより圧送チャンバ46の容積は増大する。
【0052】
アクチュエータ装置10はさらにリザーバ52を有しており、このリザーバはリザーバチャンバ54を含む。この場合、流体または流体の少なくとも一部は、リザーバチャンバ54内に配置されている。圧送エレメント40が第2の圧送方向で圧送ケーシング42に対して、特に並進的に動かされると、これにより、供給通路とも称される通路56を介して、最初にリザーバチャンバ54内に、ひいてはリザーバ52内に収容された流体の少なくとも一部が、リザーバチャンバ54から吸い出されまたは圧送され、通路56を通って吸い込まれるかまたは圧送され、圧送チャンバ46内に吸い込まれるかまたは圧送される。この場合、通路56内には、リザーバチャンバ54の方向では遮断し、逆方向、ひいては、供給チャンバとも称される圧送チャンバ46の方向では開放する逆止弁58が配置されている。これにより、流体が、不都合にもリザーバチャンバ54の方向で通路56内に流れること、ひいては例えば圧送チャンバ46からリザーバチャンバ54内へと流れることを、逆止弁58によって阻止することができる。
【0053】
第1の実施形態では、リザーバ52は、流体シリンダまたは液圧シリンダとして形成されている。代替的には、リザーバ52が、空気ばねベローズまたはベローズとして形成されていることも考えられる。第1の実施形態では、リザーバ52は、それぞれ部分的にリザーバチャンバ54を画定するリザーバケーシング60とリザーバピストン62とを有している。リザーバピストン62は、図1に双方向矢印64により示したリザーバ方向に沿ってリザーバケーシング60に対して並進運動可能である。リザーバ52はこの場合、ばねエレメント66を有しており、このばねエレメントは、例えば機械的なばねとして構成されている。ばねエレメント66は、例えば収容チャンバ68内に配置されており、この収容チャンバは例えば、特にリザーバ方向に沿ってリザーバチャンバ54の反対側に位置している。この場合、例えば、収容チャンバ68も、リザーバピストン62とリザーバケーシング60とによってそれぞれ部分的に画定されている。ばねエレメント66は、リザーバ方向に沿って、一方では少なくとも間接的に、特に直接的に、リザーバケーシング60に、他方では少なくとも間接的に、特に直接的に、リザーバピストン62に支持されている。ばねエレメント66が緊張していると、ばねエレメント66は、リザーバピストン62にばね力を加え、これにより例えばリザーバチャンバ54内に流体を圧力下で貯蔵することができる。したがって、リザーバ52は例えば圧力アキュムレータであり、この圧力アキュムレータによって、またはこの圧力アキュムレータ内に、流体を圧力下で貯えることができる。
【0054】
流体がリザーバチャンバ54から導出されると、ばねエレメント66は例えば少なくとも部分的に弛緩することができ、これによりリザーバチャンバ54の容積が縮小する。リザーバチャンバ54内に流体が導入されると、リザーバチャンバ54の容積が拡大し、したがってばねエレメント66は緊縮する。
【0055】
圧送エレメント40が、圧送ケーシング42に対して、特に並進的に、第1の圧送方向で動かされると、これにより圧送チャンバ46の容積が縮小し、圧送チャンバ46内に配置されている流体の少なくとも一部が、圧送エレメント40によって圧送チャンバ46から外へ圧送される。逆止弁58が圧送チャンバ46からリザーバチャンバ54への流体の流れを阻止するので、圧送エレメント40によって圧送チャンバ46から外へ圧送される流体は、通路20を通って、通路20によって被駆動チャンバ18内へと案内され、導入される。この場合、通路20内には、圧送チャンバ46の方向では遮断し、逆方向、ひいては被駆動チャンバ18の方向では開放する逆止弁70が配置されている。全体として、例えば通路56は一方では圧送チャンバ46に、他方ではリザーバチャンバ54に流体接続されていることがわかる。通路20は例えば一方では被駆動チャンバ18に、他方では圧送チャンバ46に流体接続されている。圧送エレメント40が第2の圧送方向動かされた場合に、流体が通路20を介して被駆動チャンバ18から外へ圧送されること、特に吸い出されることが逆止弁70によって阻止されるので、圧送エレメント40が第2の圧送方向で動かされた場合には、リザーバチャンバ54から流体の少なくとも一部が外へ圧送されて、圧送チャンバ46内へと圧送される。
【0056】
以下でさらに詳しく説明するように、第1の圧送方向への圧送エレメント40の運動は、第1の方向で行われるアクチュエータ34の部分Tの運動により生じ、第2の圧送方向での圧送エレメント40の運動は、第2の方向で行われるアクチュエータ34の部分Tの運動により生じる。圧送ケーシング42は、例えばベースエレメント72に、特に少なくとも圧送方向に沿って固定されているので、圧送ケーシング42とベースエレメント72との間の相対運動は少なくとも圧送方向に沿って阻止されているか、または行われない。ベースエレメントは、例えばストッパであるかまたはストッパとして機能し、このストッパによって、特に第1および/または第2の方向でのアクチュエータ装置の他の構成部分の運動を少なくとも制限可能または阻止可能である。特にベースエレメントは、例えば特に、アクチュエータ装置10の、ケーシングに対して可動なエレメント、例えば圧送エレメント40を配置することができるケーシングであってよい。
【0057】
この場合、圧送方向に沿って一方ではベースエレメント72に、他方では圧送エレメント40に支持されているばねエレメント74が設けられている。換言すると、例えば、好ましくは機械的なばねであるばねエレメント74は、一方ではベースエレメント72と例えば圧送ケーシング42とに、他方では圧送エレメント40に連結されている。特に、ばねエレメント74の第1の個所S1はベースエレメント72に固定され、ばねエレメント74の第2の個所S2は圧送エレメント40に連結されており、したがって圧送エレメント40と共に圧送方向に沿ってベースエレメント72に対して、かつ圧送ケーシング42に対して、特に並進的に共に可動である。個所S1と個所S2とは、例えばそれぞれ、ばねエレメント74の端部である。したがって例えば、圧送エレメント40が圧送ケーシング42に対して第1の圧送方向で動かされると、ばねエレメント74は緊張し、特に圧縮される。例えば、圧送エレメント40が第2の圧送方向で圧送ケーシング42に対してかつベースエレメント72に対して動かされると、これによりばねエレメント74は少なくとも部分的に弛緩し、特に長くなる。ばねエレメント74の緊張により、ばねエレメント74は例えばばね力を提供し、このばね力によって、例えば圧送エレメント40は、第2の圧送方向で、圧送ケーシング42に対して、ひいてはベースエレメント72に対して可動となる。
【0058】
アクチュエータ装置10は、弁装置76を有していて、この弁は2つの弁エレメント78および80を含む。弁エレメント78および80は、図1に双方向矢印82により示した弁方向に沿って、特に並進的に、互いに対して可動である。この弁方向は、第1の実施形態では、第1の方向および第2の方向と一致し、または第1の方向に対して平行に、かつ第1の方向に対して平行に延びかつ第1の方向とは逆向きの第2の方向に対して平行に、延びている。
【0059】
弁エレメント78および80が互いに対して動くことにより、弁装置76は、図1に示した開放位置Oと、例えば図4に示した閉鎖位置Sとの間で調節可能または切替え可能である。さらに、図1により、導出通路32は、一方では被駆動チャンバ18に、特に通路20の少なくとも一部を介して流体的に接続され、他方ではリザーバチャンバ54に流体接続されていることがわかる。したがって、導出通路32を介して、まずは被駆動チャンバ18内に配置された流体の少なくとも一部が、被駆動チャンバ18から導出すると、被駆動チャンバ18から導出した流体が導出通路32を通って流れ、これにより、被駆動チャンバ18から、ひいては被駆動エレメント12により導出された流体が、導出通路32によって被駆動チャンバ18からリザーバチャンバ54へと、特にリザーバチャンバ54内へと案内される。この場合、弁装置76が導出通路32内に配置されているので、弁装置76は閉鎖状態Sで導出通路32を流体的に遮断する。これにより被駆動エレメント12は、記載したように保持位置へと動かされた後、特に反力に抗して保持位置に保持されることができる。換言すると、状態Sでは、被駆動チャンバ18からの流体の導出は遮断されている。しかしながら、開放状態Oでは、弁装置76が導出通路32を解放するので、導出通路32は開放位置Oで開かれており、被駆動チャンバ18からの流体の少なくとも一部が貫流可能である。換言すると、開放状態Oでは、弁エレメント78および80が、ひいては弁装置76が、導出通路32を介した被駆動チャンバ18からの、ひいては被駆動エレメント12による流体の導出を許容し、これにより弁エレメント78および80は、ひいては弁装置76は、保持位置から回避位置への、被駆動エレメント12の上述した運動を許容する。
【0060】
さらに、アクチュエータ装置10は、例えば開放状態Oを起点として、第1の方向(矢印36)でアクチュエータ34の部分Tが運動することにより、第1の弁エレメント78が、矢印36によって示された第1の操作方向へと移動可能であり、これにより、第2の弁エレメント80に向かって移動可能であり、これにより弁装置76は開放状態Oから閉鎖状態Sへと調節可能であるように形成されている。換言すると、第1の実施形態では、第1の方向は第1の操作方向に一致し、第1の操作方向は第1の方向に一致する。したがって、例えば、弁装置76が最初に開放状態Oにあり、次いでアクチュエータ34の相応の駆動制御により部分Tが第1の方向に動かされると、これにより弁エレメント78は第1の方向で、弁エレメント80に対して動かされ、この場合、弁エレメント80に向かって動かされ、特に、弁エレメント78が弁エレメント80に接触し、したがって弁装置76が閉じられるように、すなわち閉鎖状態Sに移行するように、動かされる。
【0061】
図1により、例えば、弁エレメント80が、例えば弁球として形成された弁エレメント78のための弁座を形成していることがわかる。開放状態Oでは、弁エレメント78および80は互いに離間しているので、弁エレメント78は弁座から離間しており、ひいては弁座上に載着されていない。しかしながら、閉鎖状態Sでは、弁エレメント78および80は、少なくとも間接的に、特に直接に互いに当接しているので、例えば弁エレメント78はその対応する弁座上に載着されている。第1の実施形態では、弁エレメント78は例えば、部分Tが、アクチュエータ34の相応の駆動制御により、第1の距離をかつ/または第1の速度で動かされると、その結果として弁エレメント78が第2の距離をかつ/または第2の速度で動かされ、この場合、第2の距離は第1の距離に相応し、第2の速度は第1の速度に相応するように、部分Tに、特に堅固に連結されている。さらに、第2の弁エレメント80は、特に堅固に圧送エレメント40に連結されているかまたは運動連結されているので、例えば弁エレメント80は、圧送エレメント40と一緒に圧送方向に沿って共に可動である。したがって、例えば第1の方向は第1の圧送方向に一致し、第2の方向は第2の圧送方向に一致する。特に、弁エレメント80と圧送エレメント40とは、例えば、圧送エレメント40が第3の距離をかつ/または第3の速度で動かされると、その結果として弁エレメント80が第4の距離をかつ/または第4の速度で、特に圧送エレメント40と共に動かされ、この場合、第3の速度が第4の速度に相応し、第3の距離が第4の距離に相応するように、互いに連結され、特に運動連結されている。さらに図1からは、リザーバケーシング60とケーシング14とがベースエレメント72に固定されていることがわかる。この場合、部分Tは、第1の方向に沿って、かつ第2の方向に沿って、ベースエレメント72に対して、特に並進的に可動である。さらに図1からは、ばねエレメント74、特に個所S2が、弁エレメント80に特に堅固に連結されており、これにより特に、例えば圧送エレメント40が動かされると、例えば個所S2、圧送エレメント40、および弁エレメント80は共に、同じ速度で同じ距離を動くことができるかまたは動かされることがわかる。アクチュエータ34の部分Tが第2の方向に動かされることにより、第1の弁エレメント78を、第1の操作方向とは逆の、ひいては第1の方向とは逆の第2の操作方向で、第2の弁エレメント80から離れるように動かすことができ、これにより弁装置76は閉鎖状態Sから開放状態Oへと調節可能である。
【0062】
したがって、第2の操作方向は、第2の方向に一致する。換言すると、アクチュエータ34は、アクチュエータ34の長さが短縮され、これにより部分Tがベースエレメント72に対して第2の方向に動かされるように駆動制御され、これにより例えば、弁エレメント80に対する、第2の方向での、ひいては弁エレメント80から離れるような、弁エレメント78の運動を生じさせることができ、これにより例えば、閉鎖状態Sを起点として、弁装置76は開放される、すなわち閉鎖状態Sから開放状態Oへと移行することができる。
【0063】
アクチュエータ装置10は、ポンプモードでは、アクチュエータ34の部分Tを、第1の方向(矢印36)と第2の方向(矢印38)とに交互に動かし、この場合、ポンプモードでは、弁装置76が閉鎖状態Sへ最初に調節された後、弁装置76は、ポンプモードで生じる、第1の方向および第2の方向への交互の部分Tの運動にもかかわらず、閉鎖状態Sに留まり、これによりポンプモードでは、流体は、被駆動チャンバ18へ、ひいては被駆動エレメント12へ圧送可能であるかまたは圧送されるように構成されている。換言すると、弁装置76が閉鎖状態Sにあり、閉鎖状態Sに留まり、特に弁エレメント78および80の間の相対運動が行われない間は、ポンプモードにおいて、部分T、弁エレメント78および80、および圧送エレメント40は一緒にまたは同時に、交互に第1の方向および第2の方向に、ベースエレメント72に対して、ひいては圧送ケーシング42に対して動かされ、これにより、流体は交互にリザーバチャンバ54から通路56を介して圧送チャンバ46内に圧送され、これに続いて圧送チャンバ46から圧送され、これにより圧送チャンバ46から通路20を介して被駆動チャンバ18内に圧送され、ひいては、被駆動エレメント12へと圧送される。そして、(導出通路32内の弁装置76が閉鎖されているので)導出通路32を介した被駆動チャンバ18からの流体の導出は行われない。特に、図1からは、例えば被駆動チャンバ18から導出通路32を通ってリザーバチャンバ54内に流れる流体の流れ方向で、弁装置76は導出通路32内に、この場合、被駆動チャンバ18とリザーバチャンバ54との間に配置されていることがわかる。
【0064】
アクチュエータ装置10は、さらに、ポンプモードとは異なる、例えばポンプモードに続く開放モードで動作可能である。開放モードでは、または開放モードを実現するために、例えば、アクチュエータ34は、第2の方向でベースエレメント72に対して行われる、アクチュエータ34の部分Tの運動が行われるように駆動制御され、これにより、第2の方向で、第2の弁エレメント80から離れるように延びる、第1の弁エレメント78の運動が行われ、これにより、弁装置76は、閉鎖状態Sから開放状態Oへと調節される。したがってポンプモードでは、またはポンプモードにより、弁装置76は開放されて、これにより例えば、被駆動チャンバ18から流体が放出され、その結果、被駆動エレメント12は、反力を回避することができる。
【0065】
アクチュエータ装置10は、例えば、保持モードで動作可能であり、保持モードでは、被駆動チャンバ18への流体の圧送が行われず、弁装置76は閉じられており、これにより保持モードでは、被駆動エレメント12は、被駆動チャンバ18内に収容された流体によって保持位置で保持される。特に、保持モードでは、アクチュエータ34には、少なくとも実質的に継続的に、特に少なくとも実質的に一定の電圧が供給され、これにより弁装置76は、保持モードで、特にアクチュエータ34によって、アクチュエータの部分Tを介してまたはアクチュエータ34への給電によって閉鎖状態に保持される。この場合特に、アクチュエータ装置10によって、特に迅速に、すなわち特に短時間で、保持モードから、リリースモードとも称される開放モードに切り替えることができるので、弁装置76を特に迅速に開くことができ、その結果、被駆動エレメント12は特に迅速に反力を回避することができる。このために、例えば、アクチュエータ34に加えられるまたは加えられた電圧がゼロまで減らされる。これにより、例えば、保持モードで、被駆動エレメント12によって実現される、上述した構成エレメントの保持を解消することができるので、例えばこの構成エレメントは、相応の力を回避することができる。第1の実施形態では、アクチュエータ装置10は、図2に拡大して示された、ハードストップユニットとも称されるストッパユニット84を有している。ストッパユニット84は、第1のストッパ86を有しており、この第1のストッパは、圧送エレメント40と共に、個所S2と共に、特に弁エレメント80と共に、特に第1の方向および第2の方向で、特に直接、すなわち好ましくは変速されることなく、一緒に動くことができる。したがって、例えば弁エレメント80が、第5の速度でかつ/または第5の距離を、第1または第2の方向でベースエレメント72に対して動かされると、これによりストッパ86は、例えば第6の速度でかつ/または第6の距離を第1または第2の方向で、ベースエレメント72に対して動かされるか、または弁エレメント80と共に動かされる。この場合、第5の速度は第6の速度に相当し、かつ/または第5の距離は第6の距離に相当する。ストッパユニット84は、さらに第2のストッパ88と第3のストッパ90とを有しており、これらのストッパは、ストッパ86と同様に、第1の方向および第2の方向で、ベースエレメント72に対して、特に並進的に可動である。ストッパ86,88および90は、当接エレメントとも称される。
【0066】
さらに、第1の実施形態によるアクチュエータ装置10は、非線形の減衰器92の形態の減衰器装置を有している。非線形の減衰器92は、減衰器ピストン94の形の第1の減衰器エレメントと、例えばシリンダとして形成されている減衰器ケーシング96の形の第2の減衰器エレメントとを有している。減衰器ピストン94は、第1の方向および第2の方向で減衰器ケーシング96に対して並進運動可能である。この場合、減衰器エレメントは、それぞれ部分的に、減衰器92の、特に互いに反対の側に位置する2つの減衰器チャンバ98および100を画定しており、減衰器チャンバ98および100は、2つの接続路102および104を介して互いに流体接続されているか、または接続可能である。接続路102と104とは、例えば少なくとも部分的に互いに分離されている。
【0067】
減衰器ピストン94は、第1の弁エレメント78と運動連結されており、ひいては弁エレメント78と共に、特にベースエレメント72に対して第1の方向および第2の方向で、特に並進的に可動である。減衰器ケーシング96は、例えば第1の方向および第2の方向で、ベースエレメント72に対して、特に並進的に共に可動である。さらに、減衰器ケーシング96は、ストッパ88および90に連結されているので、減衰器ケーシング96、ストッパ88、およびストッパ90は、一緒にまたは同時に第1の方向および第2の方向で、ベースエレメント72に対して可動である。この場合、例えば弁エレメント78と部分Tとの共通の可動性に対する前述および後述の詳説を、減衰器ピストン94と弁エレメント78とに、または減衰器ケーシング96とストッパ88および90とにも問題なく当てはめることができ、逆も同様である。例えば、減衰器ピストン94が減衰器ケーシング96に対して第1の方向で並進的に動かされると、これにより、減衰器チャンバ100の容積が縮小され、減衰器チャンバ98の容積は、特に減衰器チャンバ100が縮小される量だけ拡大される。減衰器ピストン94が第2の方向で減衰器ケーシング96に対して並進的に動かされると、これにより、減衰器チャンバ100の容積が拡大され、減衰器チャンバ98の容積は、特に、減衰器チャンバ100の容積が拡大される量だけ縮小される。
【0068】
接続路102内には絞り106が配置されており、この絞りは、例えば調節可能な、またはしかしながら剛性的な絞りとして構成されていてよい。接続路104内には、減衰器チャンバ100の方向で遮断し、減衰器チャンバ98の方向で開放する逆止弁108が配置されている。したがって、逆止弁108は、減衰器チャンバ100から接続路104と逆止弁108とを介して減衰器チャンバ98に到る減衰媒体の流れを可能にする。しかしながら、これとは逆の減衰器チャンバ98から接続路104および逆止弁108を介して減衰器チャンバ100へ向かう、減衰媒体の流れは、逆止弁108によって阻止される。減衰器媒体とも呼ばれる減衰媒体は、例えばガスであり、またはしかしながら、好適には液体、特にオイルである。したがって、例えば減衰器ピストン94が第1の方向で減衰器ケーシング96に対して動かされると、減衰器ピストン94によって、まず減衰器チャンバ100内に収容された減衰器流体が減衰器チャンバ100から圧送され、この場合、減衰媒体は、減衰器チャンバ100から少なくとも大部分または完全に、例えば逆止弁108を開いて、これにより減衰媒体にとっては絞り106よりも小さな流れ抵抗である流れ横断面を解放することにより、接続路104と逆止弁108とを介して減衰器チャンバ98内に流入する。したがって、例えば減衰媒体の第1の量が、接続路104を介して減衰器チャンバ98内に流入し、その間、例えば接続路102を介した減衰器チャンバ98内への減衰媒体の流れは生じず、または第1の量よりも少ない第2の量の減衰媒体が、接続路102を介して、ひいては絞り106を介して減衰器チャンバ98内に流入する。
【0069】
例えば、減衰器ピストン94が第2の方向で減衰器ケーシング96に対して、特に並進的に動かされると、これにより、まず減衰器チャンバ98内に収容された減衰媒体が、減衰器ピストン94により減衰器チャンバ98から圧送され、これにより、減衰器チャンバ98から圧送された減衰媒体は、逆止弁108が、減衰器チャンバ98から減衰器チャンバ100内へ行われる減衰媒体の流れのための接続路104を遮断するので、特にこれに基づいて、特に完全に、接続路102を介して、ひいては絞り106を介して減衰器チャンバ100内に流入する。減衰器ケーシング96に対して行われる第1の方向への減衰器ピストン94の移動により、非線形の減衰器92は圧縮され、すなわち長さが短縮されるかまたは押し潰される。減衰器ケーシング96に対して行われる第2の方向への減衰器ピストン94の移動により、非線形の減衰器92は長さが伸ばされ、すなわち膨張される。減衰器92の圧縮および膨張時に、減衰器チャンバ98と100との間で減衰媒体が溢流することができるので、減衰器92の膨張または圧縮時に行われる減衰器エレメント間のそれぞれの相対運動が、特に減衰媒体によって減衰される。減衰器92の膨張時の減衰は「伸張段階」とも呼ばれ、減衰器92の圧縮時の減衰は「圧縮段階」とも呼ばれる。この場合、圧縮段階が、伸張段階よりも軟らかくまたは剛性が低いことが想定されている。したがって圧縮段階は、第1の減衰定数を有しており、伸張段階は、第2の減衰定数を有している。この場合、第1の減衰定数は、第2の減衰定数よりも小さい。したがって、圧縮段階は、減衰器エレメント間の相対速度が同じ場合に、伸張段階よりも小さな減衰力を提供する。したがって、第1の力によって減衰器92を圧縮するために、例えば第1の力、特に第1の圧縮力が減衰器92に加えられると、これにより、減衰器92の圧縮時に減衰器エレメントが互いに対して並進運動する第1の相対速度が結果として生じる。次いで、第2の力によって減衰器92を膨張させるために、例えば第2の力、特に第2の伸張力が減衰器92に加えられると、これにより、減衰器92の膨張時に減衰器エレメントが互いに相対運動する第2の相対速度が結果として生じる。いまや圧縮段階は、減衰器92の伸張段階よりも強度が弱く、剛性が低く、または軟らかいので、つまり圧縮段階の減衰定数が伸張段階の減衰定数よりも低いので、第2の力が、その数学的値に関して第1の力に相当する場合は、第1の相対速度は、第2の相対速度よりも高い。したがって、減衰器92の圧縮は、減衰器92の膨張よりも強くは減衰されない。ベースエレメント72に対する第1の方向での部分Tの運動は、例えば部分Tの正の変位とも呼ばれる。ベースエレメント72に対する第2の方向での部分Tの運動は、例えばアクチュエータ34または部分Tの負の変位とも呼ばれる。図1から判るように、減衰器ピストン94は、弁エレメント78および部分Tに運動連結されており、これにより例えば、部分Tと弁エレメント78とがベースエレメント72に対して第1の方向で、第7の速度でかつ/または第7の距離を、特に並進的に動かされる場合、減衰器ピストン94は、第1の方向または第2の方向で、ベースエレメント72に対して第8の速度でかつ/または第8の距離を、特に並進的に動かされ、この場合、第7の速度は第8の速度に、第7の距離は第8の距離に相当する。
【0070】
減衰器92には、一方では減衰器ピストン94に、他方では減衰器ケーシング96に連結されているばねエレメント110が配属されている。ばねエレメント110は、例えば機械的なばねとして構成されている。例えば、減衰器ピストン94が第1の方向で減衰器ケーシング96に対して動かされると、減衰器92は圧縮され、これによりばねエレメント110は緊張し、特に圧縮される。減衰器ピストン94が第2の方向で減衰器ケーシング96に対して動かされると、減衰器92は膨張し、これによりばねエレメント110は弛緩し、特に膨張する。特に、ばねエレメント110が緊張すると、ばねエレメント110はばね力を提供し、ばねエレメント110に十分に長い時間が与えられているならば特に、このばね力によって減衰器92は膨張することができる。
【0071】
図2には、3つの間隔s1,s2,s3が示されている。間隔s1は、第1または第2の方向に対して平行に延在しており、ストッパ86と88との間の間隔である。間隔s2も、第1または第2の方向に対して平行に、ひいては間隔s1に対して平行に延在しており、ストッパ86と90との間の間隔である。間隔s3も、第1または第2の方向に対して平行に、ひいては間隔s1およびs2に対して平行に延在しており、ストッパ90とベースエレメント72との間の間隔である。間隔s1が0よりも大きいならば、ストッパ86と88とは、第1または第2の方向に沿って互いに離間していて、すなわち開かれている。しかしながら、間隔s1が0であるならば、ストッパ86と88とは相互に接触しており、これによりストッパ86と88とは閉じられている。同じことは間隔s2にも当てはまる。間隔s2が0よりも大きいならば、ストッパ86と90とは、互いに離間していて、したがって開かれている。間隔s2が0であるならば、ストッパ86と88とは相互に接触しており、これによりこれらのストッパは閉じられている。間隔s3が0よりも大きいならば、ストッパ90は、第4のストッパを成すベースエレメント72から離間していて、これによりストッパ90と、第4のストッパとして機能するベースエレメント72とは開かれている。しかしながら、間隔s3が0であるならば、ストッパ90はベースエレメント72に接触しており、ストッパ90と、第4のストッパとして機能するベースエレメント72とは閉じられている。ストッパ88と90とは、一緒にまたは同時に第1または第2の方向で、ベースエレメント72に対して可動であり、この場合、例えば減衰器ケーシング96と共に可動である。さらに、ストッパ86は、第1または第2の方向でベースエレメント72に対して、かつストッパ88および90に対して可動であり、特に個所S2、弁エレメント80および/または圧送エレメント40と共に可動である。これにより、間隔s1,s2,s3は変化することができるので、間隔s1,s2,s3はそれぞれ値0および0よりも大きい値をとることができる。好ましくは、ばねエレメント110はばねエレメント74よりも強力であるので、例えば、ばねエレメント110は第1のばね定数を、ばねエレメント74は第2のばね定数を有しており、この場合、第1のばね定数は第2のばね定数よりも大きい。
【0072】
図3は、アクチュエータ装置10を、またはアクチュエータ34の作動前の周辺条件を示している。図3によれば、例えばアクチュエータ34の駆動制御またはアクチュエータ34への電圧の供給は行われておらず、弁装置76は例えば開かれている。さらに、好ましくは、間隔s1およびs3は0であるので、ストッパ86と88とは相互に接触しており、ストッパ90とベースエレメント72とは相互に接触している。図3には、アクチュエータ装置10が例えば、第1の時点t0で示されており、この時点では、例えばばねエレメント110および/または減衰器92は、図3にSF2_t0で示されている第1の長さまたは第1の変位を有している。時点t0で、ばねエレメント74はストッパ86をストッパ88に向かって押圧し、これによってストッパ86と88とは互いに接触し、ばねエレメント110がストッパ90をベースエレメント72に向かって押圧するので、間隔s3は0である。ばねエレメント110はばねエレメント74よりも強力であるので、ストッパ90は、ベースエレメント72に接触したままであるか、または間隔s3は0のままである。時点t0では、例えば機械的に制御される弁として構成された弁装置76が開かれており、部分Tは、例えば最大行程の半分だけ変位し、これにより、部分Tは、アクチュエータ34に電圧を供給することによって最大に変位することができる。したがって、例えば、時点t0では、特に部分Tがその最大行程の半分だけ変位するように、アクチュエータ34に電圧が供給されることが想定されている。例えば、アクチュエータ34は、弁装置76の開放よりも最小限だけ大きく、または弁装置76を開くために必要であるよりも最小限だけ大きく、すなわち、特にそれぞれの運動方向に沿って見て弁エレメント78と80との間の距離よりも最小限だけ大きい変位を必要とするかまたは変位を行い、またはアクチュエータ34のこのような変位が行われる。したがって、アクチュエータ34の必要な変位は、論理的には、特に最大行程の少なくとも40%または60%である。これは、開放状態の弁装置76の設定された間隔にのみ依存している。しかしながら有利には、弁装置76の必要な開放は、アクチュエータ34の最大変位のまたはアクチュエータ34の最大行程の少なくとも50%である。何故ならば、さもないと、被駆動チャンバ18から流体が放出される際の弁装置76の開放横断面が小さく、ひいては流出に時間がかかってしまうからである。
【0073】
これは、例えば、部分Tが最小変位と最大変位との間で可動であることを意味しており、この場合、最大変位は最大行程とも呼ばれる。電気エネルギまたは電圧をアクチュエータ34に供給することにより、例えば、部分Tは、最小変位から出発して最大まで変位されてよく、したがって、部分Tの最大変位ぶんだけ変位されてよい。例えば、アクチュエータ34への電圧の供給が遮断されると、部分Tは、ゼロ位置または出発位置とも称されるその最小変位をとることができる。部分Tが、最小変位から出発して最大変位だけ変位する場合、部分Tは、例えば最小変位のところで始まり、最大変位のところで終端する区間を進む。部分Tが最大変位の50%パーセントだけ変位した場合、部分Tは前述した区間の半分のところに位置している。これは例えば、時点t0の場合である。例えば、特に部分Tの、最小の変位から出発した変位は、アクチュエータ34に供給される電圧が大きくなるにつれて大きくなる。例えば、部分Tの最小の変位にするためには、アクチュエータ34に供給される電圧は0である。例えば、部分Tの最大の変位を生じさせるために、電圧はその最大値を有している。部分Tを最大に変位した状態に保持するためには、アクチュエータ34には、少なくとも実質的に継続的に、その変位値を有する電圧が供給される。例えば、部分Tを最大変位の50パーセントだけ変位させるために、例えば、アクチュエータ34に供給される電圧の別の変位値が調節され、この場合、別の変位値は、例えば、好ましくは0よりも大きな第1の変位値の50パーセントである。
【0074】
図4は、時間的に第1の時点t0に続く第2の時点t1におけるアクチュエータ装置10を示している。アクチュエータ34に供給される電圧は、例えば、DCまたはDC電圧とも称される直流電圧である。例えば、アクチュエータ34に例えば時点t0で供給される電圧の、その値または変位値が増加すると、これにより、部分Tは、第1の時点t0を起点としてさらに変位し、これによりアクチュエータ34の所定の長さまたは長さの増大が生じる。換言すると、これにより、部分Tは、第1の方向でベースエレメント72に対して動かされる。これにより、図3および図4を共に参照してわかるように、弁装置76が閉じられ、これにより、弁装置76は、第2の時点t1において閉鎖状態Sとなる。この場合、ばねエレメント110または減衰器92は、時点t0における長さもしくは変位SF2_t0よりも短い第2の変位または第2の長さSF2_t1を有している。換言すると、SF2_t1<SF2_t0である。
【0075】
減衰器92の圧縮段階は、伸張段階よりも軟らかく、または硬さが小さくまたは剛性が低い。換言すると、減衰器92の伸張段階は、圧縮段階よりも硬いか剛性が高い。なぜならば、減衰器92の圧縮時に逆止弁108が開き、減衰器92の膨張時に逆止弁108が閉じられるからである。時点t0から出発して、ベースエレメント72に対して行われる、第1の方向での部分Tの運動により、減衰器92は圧縮され、これにより弁エレメント78は第1の方向でベースエレメント72に対して動かされ、弁エレメント80に向かって動かされ、これにより弁装置76は閉じられる。この間、減衰器92は、圧縮された状態で十分に軟らかく、特にその膨張時よりも軟らかいので、間隔s1およびs3はゼロのままである。
【0076】
図5および図6は、弁装置76が閉じられ、閉鎖状態を維持している間の、被駆動チャンバ18内への流体のポンピングを示している。第2の時点t1における弁装置76の上述した閉鎖後、特にアクチュエータ34へのDC電圧の印加後、ポンプ過程とも称されるポンプモードを開始するために、すなわち生じさせるために、例えば交流電圧(AC電圧)としての電圧がアクチュエータ34に加えられる。すなわち、時点t1から出発して、アクチュエータ34に供給される電圧が、特に、上述した交流電圧の範囲でさらに高められると、部分Tはさらに変位されて、すなわち第1の方向でベースエレメント72に対して動かされる。この場合、弁装置76は閉じられているので、ベースエレメント72に対して行われる、部分Tおよび弁エレメント78の、第1の方向での運動によって、圧送エレメント40、および例えば第2の個所S2も、第1の方向で、特にベースエレメント72に対して動かされる。これにより、圧送チャンバ46の容積は縮小され、または圧送エレメント40によって圧送チャンバ46から流体が圧送されて被駆動チャンバ18内へとポンピングされる。圧送チャンバ46の容積は、駆動容積または圧送容積とも称され、弁装置76を介した部分Tの上述した変位によって縮小される。ベースエレメント72に対して行われる、部分Tおよび弁エレメント78の第1の方向での運動の際に、非線形の減衰器92は特にさらに圧縮される。なぜならばこの減衰器の圧縮段階が軟らかく、ストッパ90が第1の方向に沿ってベースエレメント72に接触しているかまたはベースエレメント72に支持されていることにより、ベースエレメント72に対して第1の方向で行われる減衰器ケーシング96の運動が中断されるかまたは阻止されるからである。その結果、時間的に時点t1に続く、図5に示された第3の時点t2では、SF2_t2で示された、ばねエレメント110または減衰器92のこのような変位または長さが生じ、これはSF2_t2<SF2_t1に当てはまる。この場合、圧送エレメント40は第1の方向でベースエレメント72に対して、かつ減衰器ケーシング96に対して、特に並進的に動かされるので、ストッパ86はストッパ88から離れるように動かされ、これにより、間隔s1は0よりも大きくなり、または時点t2で0よりも大きくなる。換言すると、ストッパ86と88とは時点t2で互いに離間している。
【0077】
アクチュエータ34は、ポンプモードの間、またはポンプモードを実現するために、上述した電圧により、好ましくは交流電圧として形成された電圧により動作され、これにより例えば、アクチュエータ34に供給される電圧の異なる大きさの値が交互に生じ、この場合、好ましくは、値のうちの少なくとも一方は0より大きく、他方の値も0より大きくかつ一方の値とは異なっており、この場合、他方の値は0であってもよいことが想定されるので、部分Tはポンプモード中、ベースエレメント72に対して交互に第1の方向および第2の方向に動かされる。すなわち、流体を被駆動チャンバ18内へと圧送した圧送エレメント40を、第2の方向でまたは第2の圧送方向でベースエレメント72に対して、特に圧送ケーシング42に対して動かして、これにより新たな流体を圧送チャンバ46内に圧送することができるように、特に吸い込むことができるようにするために、アクチュエータ34に供給される電圧が減じられる。これにより、部分Tは、ベースエレメント72に対して第2の方向で動かされる。これはアクチュエータ34の引戻しまたは長さの短縮とも称される。交流電圧によるアクチュエータ34の駆動制御に基づき、アクチュエータ34または部分Tが次に電圧が増大するまでに引き戻されることができる位相は極めて短い。非線形の減衰器は、その膨張時に、ひいては短時間の間のアクチュエータ34の引戻しの際に、極めて剛性が高いので、ばねエレメント110は、この短時間の間に、減衰器92の膨張を全くまたは極めて僅かしか発生させず、これにより、図6に、時点t2に続く時点t3について示したように、弁装置76は閉じられたままであり、かつストッパ90は、特に第2の方向で、ベースエレメント72から離れる方向に動かされ、したがって間隔s3は、0よりも大きくなるかまたは0よりも大きい。このとき、間隔s1は0より大きく、またはストッパ86はストッパ88から離間しており、これにより、ばねエレメント74またはそのばね力が解放され、したがって一方では、流体が、吸込弁として構成されたまたは吸込弁として機能する逆止弁58を介して圧送チャンバ46内に吸い込まれ、他方ではその間、弁装置76は閉じられたままである。特に、図4および図5は、アクチュエータ装置10のそれぞれの状態または位置を示しており、この場合、ポンプモードでは、図5および図6に示した状態または位置は、複数回連続して交互に生じる。これにより、流体は交互に、圧送チャンバ46から被駆動チャンバ18へと圧送され、リザーバチャンバ54から圧送チャンバ46へと圧送される。換言すると、ポンプモードでは、交流電圧として形成された電圧によってアクチュエータ34が駆動制御されることにより、図5および図6に示されたアクチュエータ装置10の状態が交互にかつ相前後して切り替えられ、これにより流体が被駆動チャンバ18内へと圧送される。このために、弁エレメント78および80と、これらと共に圧送エレメント40とが、第1の方向および第2の方向に交互に動かされ、ひいては往復運動し、この場合、減衰器92は、ひいては減衰器エレメントならびにストッパ86,88および90は、少なくとも実質的にブロックとして第1の方向および第2方向でベースエレメント72に対して共に動かされる。非線形の減衰器92の伸張段階は、圧縮段階よりも強力または剛性が高いため、アクチュエータ34の引戻しの際には、減衰器92の膨張は全く生じないかまたは極めて僅かにしか生じないので、弁エレメント78および80は互いに離されないか、または弁装置76が開放されるほどは互いに離されない。したがって、弁装置76は、圧送エレメント40および弁エレメント78および80の往復運動の際には閉じられたままである。この場合、ばねエレメント110または減衰器92は、時点t3において、SF2_t3と示されている長さまたは変位を有している。減衰器92の伸張段階は、圧縮段階よりも剛性が高いかまたは硬いので、アクチュエータ34の引戻しの際には減衰器92の実質的な膨張には到らないので、第3の時点t3については、SF2_t2=SF2_t3またはSF2_t2≒SF2_t3が当てはまる。被駆動チャンバ18への流体の圧送により、被駆動エレメント12は保持位置へと動かされる。例えば被駆動エレメント12のさらなる運動は行われるべきではなく、被駆動エレメント12を保持位置に保持すべき場合には、アクチュエータ34は例えば再び直流電圧によって駆動制御され、これにより弁装置76は閉鎖状態に保持される。
【0078】
例えば、保持位置から回避位置への被駆動エレメント12の運動を可能にするために、そしてこのために弁装置76を開放させるために、例えば、事前に調節された、特に直流電圧として形成された電圧が、特にゆっくりと、特に0になるまで降下される。次いで、ばねエレメント110またはそのばね力により、非線形の減衰器92の引き抜きが可能であるので、減衰器92またはばねエレメント110は、図7に示した、時点t3に続く第5の時点t4で、長さまたは変位SF2_t4を有している。この場合、例えば、SF2_t4>SF2_t3が当てはまる。その結果、流体は、被駆動チャンバ18からリザーバチャンバ54内へと流れることができる。電圧の降下は、代替的に迅速に行われてよい。この場合、ストッパ90は、ベースエレメント72から持ち上げられるが、この場合、弁装置を開放するためには、最初にばねエレメント110は減衰器を引き抜かなければならない(ポンプ周波数よりも「やや」長くかかる)。
【0079】
弁装置76の開放の時間特性は、この場合、特に伸張方向でのまたは伸張段階に関する、非線形の減衰器92の時間特性または減衰特性に依存する。この時間特性または減衰特性は、ポンプモードにおいて、圧送エレメント40および圧送エレメントと共に例えば弁エレメント78および80が交互に第1の方向および第2の方向に動かされる、すなわち往復運動する周波数に合わせられていることが望ましい。これにより流体がポンピングされるので、周波数は、ポンプ周波数とも称される。時間特性は、ポンプ周波数に合わせて調整されていることが望ましい。なぜならば、過度に緩慢なポンピングの場合に、すなわち、ポンプモードにおいて、電圧降下とそれに続く電圧上昇との間に過度に長い時間が存在する場合に、減衰器92が過度に迅速に互いに引き離されるかまたは膨張すると、弁装置76が開放される場合があるからである。図8は、アクチュエータ装置10の第2の実施形態を示している。特に図8からは、アクチュエータ装置10の機械的な実現性が看取可能である。
【0080】
図9図13は、アクチュエータ装置10の第3の実施形態を概略的に示している。第3の実施形態では、駆動ピストンまたは圧送ピストンとも称される圧送エレメント40が、弁装置76を迂回してアクチュエータ34の部分Tに運動結合されており、特に直接に、または、部分Tが第9の速度でかつ/または第9の距離をベースエレメント72に対して第1または第2の方向へ動かされると、これにより圧送エレメント40が第1または第2の方向でベースエレメント72に対して第10の速度でかつ/または第10の距離を動かされ、この第9の距離は第10の距離に、または第9の速度は第10の速度に相当するように、運動結合されている。例えば、第1および第2の実施形態において圧送エレメント40を部分Tによって動かすために、部分Tは、伝達経路を介して部分Tから圧送エレメント40へと伝達される操作力を提供して、特にこれにより圧送エレメント40を第1の圧送方向または第1の方向でベースエレメント72に対して特に並進的に動かす。第1および第2の実施形態では、弁装置76は伝達経路に配置されている。第3の実施形態では、弁装置76は伝達経路の外側に配置されているので、部分Tによって提供される、圧送エレメント40を動かすための操作力は、弁装置76を、すなわち、弁エレメント78および80を迂回し、ひいては、部分Tから圧送エレメント40に到る操作力の経路において、弁エレメント78および80を介してまたはこれらを通過して延在してはいない。
【0081】
さらに、第3の実施形態では、吸込弁として形成されたまたは機能する逆止弁58は、圧送ピストンとして形成された圧送エレメント40内に収容されており、ひいては圧送エレメント40内に組み込まれている。したがって例えば、逆止弁58は、圧送エレメント40と共に、第1または第2の圧送方向で、特にベースエレメント72に対してかつ/または並進的に共に可動である。さらに、通路56の少なくとも一部は、圧送エレメント40を通って、かつ特に、圧送チャンバ46の反対側に位置するかつ/またはそれぞれ部分的に圧送エレメント40と圧送ケーシング42とによって画定されている別のチャンバ112を通って延在している。したがって、流体は、リザーバチャンバ54から圧送チャンバ46へのまたは圧送チャンバ46内へのその経路において、チャンバ112を通り、通路56内に配置された逆止弁58が配置されている圧送エレメント40を通って流れる。さらに、第3の実施形態では、弁エレメント80は、少なくとも第1の方向および第2方向でベースエレメント72に固定されているので、第1の方向および第2方向でベースエレメント72に対して行われる、特に並進的な、弁エレメント80とベースエレメント72との間の相対運動が阻止されることが想定されている。さらに、接続路102および104ひいては絞り106および逆止弁108は、減衰器ピストン94内に配置されており、ひいては減衰器ピストン94と共に、特に減衰器ケーシング96に対して、特に並進的に一緒に可動である。
【0082】
第1の実施形態では、例えばストッパ86と88とは、第1のコンタクトとも称される第1のストッパ対114を形成する。この場合、ストッパ86と88とが互いに離間しているという特徴、または間隔s1が0より大きいという特徴は、ストッパ対114または第1のコンタクトが開放されていることを意味している。第3の実施形態では、ストッパ対114は同じくストッパ86と88とを含む。さらに、第1の実施形態では、ストッパ90とベースエレメント72とが、第2のコンタクトとも称される第2のストッパ対116を形成する。間隔s3が0よりも大きいという特徴、またはストッパ90とベースエレメント72とが互いに離間しているという特徴は、特に、ストッパ対116または第2のコンタクトが開放されていることと理解されてよい。第3の実施形態では、ストッパ対116は、ストッパ90と、当接エレメントとも称されるストッパ118とを含む。ストッパ88と118とは、特に一緒にまたは同時に、ベースエレメント72に対して第1の方向および第2方向で、特に減衰器ピストン94と共に、ひいては例えば減衰器ケーシング96に対して、特に並進的に可動である。第3の実施形態では、減衰器ケーシング96は少なくとも第1の方向および第2方向でベースエレメント72に固定されている。ストッパ90は弁エレメント78に連結されており、この場合、例えば弁エレメント78と一緒にまたは同時に第1の方向および第2方向でベースエレメント72に対して可動である。ストッパ86は、部分Tと圧送エレメント40とに特に運動連結されているので、例えば部分T、圧送エレメント40、およびストッパ86は、第1の方向および第2の方向で、ベースエレメント72に対して特に並進的に可動である。第1の実施形態では、例えばストッパ86と90とは、第3の実施形態では省かれる第3のストッパ対を形成する。特にストッパ88は、プランジャによって形成されており、このプランジャは、弁装置76および非線形の減衰器92を、特にその圧縮に関して操作するために利用され、このために特に、ストッパ88を介して部分Tによって、第1の方向に、特にベースエレメント72に対してかつ/または並進的に可動であり、または動かされる。
【0083】
図10は、アクチュエータ装置10を開放状態で示しているので、例えば図10は、図1または図3に相当する。図10では、例えばアクチュエータ34には電圧をかけられておらず、部分Tは変位しないかまたは最小の変位を行う。さらに、特にばねエレメント110がばねエレメント74よりも強力であるので、第1のコンタクト(ストッパ対114)および第2のコンタクト(ストッパ対116)は閉じられ、放出弁とも称される、または放出弁としても機能する弁装置76は開かれている。これにより、ばねエレメント110はストッパ118をストッパ90に対して押し付け、さらにばねエレメント110はストッパ88をストッパ86に対して押し付ける。その結果、弁エレメント78は、ストッパ90および118を介して、弁エレメント80から離れるように動かされるので、ばねエレメント110は弁装置76を開放状態に保持する。
【0084】
図11は、保持状態とも称される保持モードを示しており、したがって図11では、例えば弁装置76は閉じられていて、特に、部分Tが、その最大行程またはその最大変位の少なくとも実質的に50パーセントとなるように、または弁装置が閉鎖されるかもしくは閉鎖状態に維持されるように、アクチュエータ34に直流電圧としての電圧を供給することにより、アクチュエータ34によって閉鎖状態に保持されている。保持状態または保持モードでは、同様に第1のコンタクトおよび第2のコンタクトが閉じられており、例えば、部分Tの変位により、ばねエレメント110は、図10と比較して幾分圧縮されているので、弁装置76が閉鎖されている間に、ばねエレメント110は第2のコンタクトを閉鎖状態に保持する。
【0085】
図12には、圧送チャンバ46から被駆動チャンバ18への流体のポンピングが示されており、この場合、このために、アクチュエータ34は、交流電圧として形成された電圧によって特に動的に駆動制御され、特に、アクチュエータ34を駆動制御する電圧が交互に相前後して増減されるように駆動制御される。圧送チャンバ46から被駆動チャンバ18への流体の圧送の際にはまたは圧送のためには、第1のコンタクトは閉じられ、第2のコンタクトは開かれている。なぜならば、ばねエレメント110は、非線形の減衰器92により、または、非線形の減衰器92の伸張段階が極めて硬く、特に圧縮段階よりも硬いことにより、動的なモードで第2のコンタクトを閉鎖することができないからであり、または電圧の降下もしくは減少の開始とそれに続く電圧上昇の開始との間の時間が、ばねエレメント110が減衰器92を、弁装置76の開放に到るほどに膨張させることができ、その結果第2のコンタクトを閉鎖することができる時間よりも短いからである。
【0086】
最後に、図13は、リザーバ52から圧送チャンバ46への流体の圧送を示している。このために、動的なポンプモードでは、流体を被駆動チャンバ18へと圧送するために増加された、交流電圧として形成された電圧が減じられ、これにより部分Tと、これと共に圧送エレメント40とが、第2の方向で圧送ケーシング42に対して動かされる。この運動は、ばねエレメント110によって行われるかまたは行うことができる、第2のコンタクトの閉鎖のためにまたは閉鎖保持のために必要な、減衰器92の膨張よりも迅速に行われるので、減衰器92は、弁装置76を閉鎖状態に保持し、第1のコンタクトが開放されるかまたは開放されており、第2のコンタクトも開放されるかまたは開放されている。したがってポンプモードでは、圧送エレメント40とストッパ86とは、部分Tによって、弁装置76の開放が行われないように迅速に、交互に第1の方向および第2方向に動かされ、したがって往復運動する。被駆動チャンバ18に流体を圧送する際には、第1のコンタクトは閉じられ、他方で第2のコンタクトは開放状態に留まり、流体を圧送チャンバ46に圧送する際には、第1のコンタクトおよび第2のコンタクトが開かれ、これにより両コンタクトは同時に開かれている。非線形の減衰器92は、特に、その非線形性または深い嵌合特性により、放出弁が閉鎖され閉鎖が維持されるように、ばねエレメント74および110の過剰な変位を阻止する。
【0087】
図14は、アクチュエータ装置10の第4の実施形態を示している。特に図14は、アクチュエータ装置10の機械的な実現性を示している。流体的にリザーバ52に接続される接続部は、図14では符号120で示されており、流体的に被駆動チャンバ18に接続される接続部は、図14では符号122で示されている。
【0088】
図15は、横軸124に時間が示されているグラフである。図15に示したグラフの縦軸126には、アクチュエータ34に印加される電圧がプロットされている。図15に示したグラフには、アクチュエータ34に供給される電圧を時間に関して示した経過128が記入されている。したがって、経過128は、アクチュエータ34に印加される電圧の時間的推移である。図15には、ポンプモードが行われる第1の期間がP1で表されている。さらに図15には、第1の期間P1に続く第2の期間P2が示されており、この第2の期間では、アクチュエータ装置10が保持モードまたは保持状態にある。さらに図15には、第2の期間P2に続く第3の期間P3が示されており、この第3の期間では、アクチュエータ装置10が開放モードにある。図15からわかるように、流体を被駆動チャンバ18内にポンピングするために、交流電圧としての電圧が迅速に連続して交互に増減される。これに続いて、被駆動エレメント12を保持位置において保持するために、電圧が少なくともほぼ一定に保持される。保持位置から回避位置への被駆動エレメント12の運動を許容するためにまたは引き起こすために、アクチュエータ34に供給される電圧が、期間P3の間、特にゆっくりと減じられ、これにより弁装置76の開放が生じる。
【0089】
図16は、アクチュエータ装置10の第5の実施形態を概略図で示している。第5の実施形態では、減衰器装置は、非線形の減衰器ではなく、線形の減衰器93として形成されている。このことは、減衰器93の圧縮段階と伸張段階とが同じ強度または同じ剛性を有しており、その結果、例えば減衰器93の圧縮段階と伸張段階とが同じ減衰定数を有していることを意味している。なお、第5の実施形態は、第4の実施形態に相当している。
【0090】
図17は、図15に示したグラフを示しているが、この場合、図15または第4の実施形態とは異なり、経過128により認められるように、アクチュエータ34は別の形式で駆動制御される。図17に示したアクチュエータ34の駆動制御により、ポンプモード、保持モード、および開放モードを、非線形の減衰器92を使用せずに、特に線形の減衰器93を使用して実現することができる。このために、図17の経過128からわかるように、動的なポンプモードの間、電圧を、降下させるよりもゆっくりと上昇させ、または上昇させるよりも著しく急速に降下させる。これにより、弁装置76の開放を生じさせるのに十分な時間は、ばねエレメント110に残されていない。したがって、第5の実施の形態でも、特にただ駆動制御のみによって、弁装置76を、特に線形の減衰器93によって閉鎖状態に保持する一方で、ポンプモードの範囲内では、新たな流体を圧送チャンバ46内へ圧送し、特に吸い込むためにアクチュエータ34に供給される電圧が減じられる。駆動制御が、特に第1の実施形態では、少なくとも実質的に正弦波状に行われることが見て取れる。特に第5の実施形態では、駆動制御は、例えば鋸歯状に実施されるが、代替的にパルス幅変調または正弦波状に行われてもよい。
【0091】
図18および図19は、同様に図17のグラフを示しているが、ここでは、経過128によって示されるアクチュエータ34の別の駆動制御が示されている。第1の期間Z1中、弁装置76は開放されており、アクチュエータ34には電圧が供給されず、これにより例えば部分Tはその最小変位をとる。第1の期間Z1に続く第2の期間Z2の間、アクチュエータ34に供給される電圧を、まずは、特にゆっくりと上昇させ、その後、少なくとも実質的に一定に保持され、これにより、部分Tは、ベースエレメント72に対して、第1の方向で、特に所定の位置へと動かされ、弁装置76は閉じられ、部分Tは上述の位置に保持され、弁装置76は閉弁状態に保持される。期間Z2に続く第3の期間Z3の間、上述したポンプモードが行われ、このポンプモードの範囲内では、部分Tと、部分Tと共に圧送エレメント40とが、第1の方向および第2の方向でベースエレメント72に対して動かされる。期間Z3に続く期間Z4の間には、保持モードが行われ、この間、アクチュエータ34に少なくとも実質的に一定の電圧が供給される。これにより、弁装置76は閉鎖状態に保持され、被駆動エレメント12は保持位置に保持される。期間Z4に時間的に続く期間Z5の間に、開放モードが行われ、この開放モードではまたは開放モードの間に、アクチュエータ34に供給される電圧を、特に十分にゆっくりと降下させるかまたは減少させ、これにより、弁装置76の開放が、特にばね部材110によって許容されるかまたは引き起こされる。期間Z5には期間Z6が続いており、この期間Z6の間、例えば期間Z1の間と同様に、弁装置76が再び開放されている。同じことは図19にも当てはまる。
【0092】
最後に、図20は、アクチュエータ装置10の第6の実施形態を示している。この場合、アクチュエータ装置10は、特に弁装置76に対して付加的に設けられたサーボ弁130を有しており、このサーボ弁130は、サーボ放出弁とも称され、例えば電気的に動作可能である。例えばサーボ弁130は、導出通路32内で弁装置76に直列に配置または接続されており、この場合、例えばサーボ弁130は、被駆動チャンバ18からサーボ弁130と弁装置76とを介してリザーバチャンバ54に流入する流体の流れ方向で、弁装置76の上流に配置されている。サーボ弁130は、例えばそれ自体で、第2の開放状態と第2の閉鎖状態との間で電気的に切り替えることができる。特に、例えばサーボ弁130は、少なくとも第2の閉鎖状態から第2の開放状態へ切り替えることができる。これにより、例えば導出通路32を特に迅速に解放することができる。特にこれにより、例えば特に迅速に、特にサーボ弁130の前室132を開放または解放することができるので、被駆動チャンバ18に収容された流体の少なくとも一部を、サーボ弁130の第2の開放位置への切替えにより、前室132内に放出し、ひいては被駆動チャンバ18から導出することができ、または被駆動エレメント12によって導出することができる。弁装置76は、第6の実施形態でも、他の全ての実施形態と同様に、アクチュエータ34により作動され、特に開ループ制御または閉ループ制御される。
【0093】
サーボ弁130は、弁エレメント134と、例えば1barの低い開放圧を例えば有する弁ばね136とを有している。例えば、導出通路32を介して弁エレメント134に作用する流体が、開放圧よりも低い圧力を有している場合は、弁エレメント134は弁ばね136によって閉鎖状態に保持される。弁エレメント134に作用する流体の圧力が開弁圧に相当する場合には、または弁エレメント134に作用する流体の圧力が開弁圧よりも大きい場合には、その結果、弁エレメント134が弁ばね136に抗して開かれ、これによってサーボ弁130は導出通路32または前室132を解放する。換言すると、導出通路32は、被駆動チャンバ18から弁装置76またはサーボ弁130へ流れる流体の流れ方向で、被駆動チャンバ18の下流側かつ前室132の上流側に配置された通路部分T2を有している。第2の閉鎖状態では、弁エレメント134によって通路部分T2が前室132から流体的に分離されているので、流体は被駆動チャンバ18から前室132内へ流入することができない。サーボ弁130が第2の閉鎖状態から第2の開放状態へと調節されることにより、弁エレメント134は、通路部分T2と前室132との間の流体的な接続を解放する。換言すると、前室132が、解放されるかまたは通路部分T2に流体的に接続されるので、通路部分T2を介して、最初に被駆動チャンバ18内に収容された流体の少なくとも一部が被駆動チャンバ18から流出して、前室132内に流入することができる。これは特に、通路部分T2内に収容された特に直接に、弁エレメント134に作用する流体の圧力が、開放圧に相当する場合、または開放圧よりも大きい場合に行われる。
【0094】
サーボ弁130には、サーボ弁130に対して、特に前室132および弁エレメント134に対して平行に配置されているかまたは接続されている絞り138が配属されている。絞り138は、短絡通路140に配置されており、この短絡通路は、各接続個所V1で通路部分T2に流体接続され、接続個所V2で導出通路32の別の通路部分T3に流体接続されている。この場合、例えば、短絡通路140は、導出通路32の構成部分であってよい。接続個所V1は、被駆動チャンバ18から通路部分T2を通ってサーボ弁130へ到り、サーボ弁130を介して弁装置76へと流れる流体の流れ方向で、弁エレメント134の上流側に配置されており、この場合、接続個所V2は、上述した流れ方向に関してサーボ弁130の下流側、特に弁エレメント134の下流側、かつ弁装置76の上流側に配置されている。短絡通路140を通って流れる流体は、サーボ弁130を迂回し、したがってサーボ弁130を通って流れるのではなく、短絡通路140を通ってサーボ弁130を迂回して弁装置76へと流れる。被駆動チャンバ18からリザーバチャンバ54に流れる流体の流れ方向で、弁装置76の下流には、導出通路32の第3の通路部分T4が配置されているので、弁装置76から到来する流体は、通路部分T4を介してリザーバチャンバ54へと案内される。
【0095】
この場合、サーボ弁130は弁ケーシング142を有しており、この弁ケーシング内に、サーボ弁130の弁ピストン144が並進運動可能に収容されている。この場合、弁ピストン144は、図20に双方向矢印146により示したピストン方向に沿って、弁ケーシング142に対して並進運動することができる。この場合、弁ばね136は、ピストン方向に沿って、一方では少なくとも間接的に、特に直接的に、弁ピストン144に支持され、他方では少なくとも間接的に、特に直接的に、弁エレメント134に支持されている。この場合、前室132は、部分的に弁ケーシング142によって、かつ部分的に弁ピストン144によって形成されているかまたは画定されている。さらに、サーボ弁130は、例えば特にピストン方向に沿って前室132の反対側に位置する別の弁チャンバ148を有している。この場合、一方では弁装置76に、他方ではリザーバチャンバ54に流体接続された通路部分T4は、接続個所V3で前室132に流体接続されており、この場合、接続個所V3は、弁装置76から到来してリザーバチャンバ54に向かって流れる流体の流れ方向で、弁装置76の下流側に、かつリザーバチャンバ54の上流側に配置されている。弁ピストン144が相応して弁ケーシング142に対して動かされ、これにより前室132の容積縮小が生じると、同じサイズで弁チャンバ148の容積拡大が生じ、その逆も同様である。
【0096】
全体として、弁装置76は、第6の実施形態でも他の実施形態と同様に、アクチュエータ34により作動され、特に、弁装置76の開閉に関して、特に開ループ制御または閉ループ制御されることがわかる。弁エレメント134は特に、特に通路部分T2における弁エレメント134に作用する流体の圧力が、開放圧よりも小さい場合に、軽く閉じられた状態で保持される。弁装置76が、上述したように、アクチュエータ34により、またはアクチュエータ34の相応の駆動制御により閉じられ、引き続きポンプモードが実施されるならば、絞りに基づき、被駆動側で、例えば前室130と弁チャンバ148との間の小さい圧力差が生じるが、弁エレメント134は、弁ばね136に基づき、特に弁ばね136によって提供される、弁エレメント134に作用するばね力に基づき、閉じられたままである。このことは、様々な液圧横断面を介して実現されてもよい。
【0097】
アクチュエータ34の相応の駆動制御によって弁装置76が開かれると、弁チャンバ148内の圧力は、弁装置76を介して、特に絞り138が短絡通路140内に配置されていることに基づき、通路部分T2内よりも迅速に低下する。その結果、弁エレメント134が開放されるか、またはサーボ弁130が、第2の閉鎖状態から第2の開放状態へと調節される。弁装置76とは対照的に、または弁装置76自体と比較して、サーボ弁130または弁エレメント134は著しく大きな変位を実現することができるので、高い粘度を有する流体が特に迅速に流出することができ、すなわち被駆動チャンバ18から導出することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20