(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】視覚疲労を軽減するための可食性組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240415BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240415BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20240415BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240415BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/12
A23L33/15
(21)【出願番号】P 2022560892
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 CN2021079008
(87)【国際公開番号】W WO2021203878
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】202010277606.5
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515100765
【氏名又は名称】シャンハイ・ライトン・バイオケミカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Lytone Biochemicals Ltd.
【住所又は居所原語表記】8F, No.525, Zhen Ning Road, Chang Ning District, Shanghai 200050,China
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リュー、フアンフアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、イーション
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、ウェイティン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウェイティン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウィリアム・ティー.エイチ.
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533970(JP,A)
【文献】特開2019-099574(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110558468(CN,A)
【文献】国際公開第2019/119672(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042978(US,A1)
【文献】米国特許第8652518(US,B2)
【文献】特開2007-297304(JP,A)
【文献】国際公開第2009/045054(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/133618(WO,A1)
【文献】Can J Ophthalmal,2007年,42,425-438
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAplus/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、
ウコン粉末 1~10部
全コーヒー果実エキス 1~12部
リン脂質複合体 1~20部
DHA 1~15部
ホスファチジルセリン 0.5~5部
ビタミンC 0.1~5部
を含む、可食性組成物。
【請求項2】
全コーヒー
果実エキスの質量を100%とする場合、前記全コーヒー
果実エキス中の効果成分として全クロロゲン酸20%~50%、及びプロアントシアニジン0.5%~5%を含む可食性組成物であって、
前記全クロロゲン酸はネオクロロゲン酸を含み、前記ネオクロロゲン酸は前記全コーヒー果実エキスに占める割合が1%~20%である、請求項1に記載の可食性組成物。
【請求項3】
リン脂質複合体の質量を100%とする場合、前記リン脂質複合体中の効果成分として、ホスファチジルエタノールアミン5%~5.5%、ホスファチジルコリン4%~5.5%、ホスファチジルイノシトール0.5%~1.8%、及びセラミド1.5%~2.5%を含む、請求項1に記載の可食性組成物。
【請求項4】
ウコン粉末、全コーヒー果実エキス、リン脂質複合体、DHA、ホスファチジルセリンおよびビタミンCからなる、請求項1に記載の可食性組成物。
【請求項5】
重量部で、
ウコン粉末 8部
全コーヒー果実エキス 10部
リン脂質複合体 10部
DHA 7部
ホスファチジルセリン 2部
ビタミンC 1部
を含む、請求項1に記載の可食性組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の可食性組成物を含む、視覚疲労改善効果又は緑内障予防効果を有する食
品。
【請求項7】
前記食品が有効量の請求項1に記載の可食性組成物を含む、請求項6に記載の
食品。
【請求項8】
前記食品がアジュバントを更に含む、請求項7に記載の
食品。
【請求項9】
前記アジュバントが、ソルビトール、マルトデキストリン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳の1種または複数種の組み合わせを含む、請求項8に記載の
食品。
【請求項10】
前記食品が錠剤、カプセル剤、粉剤または顆粒剤の形態である、請求項8に記載の
食品。
【請求項11】
総質量を100%とする場合、
ウコン粉末 1%~10%
全コーヒー果実エキス 1%~12%
リン脂質複合体 1%~20%
DHA 1%~15%
ホスファチジルセリン 0.5%~5%
ビタミンC 0.1%~5%
を含む、食品。
【請求項12】
総質量を100%とする場合、
ウコン粉末 8%
全コーヒー果実エキス 10%
リン脂質複合体 10%
DHA 7%
ホスファチジルセリン 2%
ビタミンC 1%
を含む、請求項11に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照による関連引用
本願は、2020年4月10日付で提出した出願番号202010277606.5、発明の名称「視覚疲労を軽減するための可食性組成物」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容全体を援用することにより本願に組み込んでいる。
【0002】
技術分野
本発明は、食品技術分野に属し、視覚疲労を軽減するための可食性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
視覚疲労はよくある眼疾患の一種であって、具体的な症状としては、ドライアイ、痛み、複視、断続的な目のかすみなどがあり、重症の場合、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛、首の筋肉の緊張、肩こりなどの全身症状が起こるため、人々の仕事効率を低下させ、青少年や子供の学習障害につながり、人々の仕事や生活に直接影響を与えてしまう。軽度の視覚疲労は深刻に受け止められないことが多く、視覚疲労症状の悪化につながってしまう。長期にわたって視覚疲労が繰り返し現れてしまうと、ドライアイ、屈折異常、VDT(visual display terminal)症候群、コンピュータビジョン症候群などのさまざまな眼疾患につながる恐れがあり、加齢に伴う眼疾患の発生を悪化させてしまう。
【0004】
現代の栄養学と医学の研究によれば、視覚疲労の原因には主に次の理論が含まれる。
(1) フリーラジカル説:眼球が長時間にわたって探索・注視状態にあると、外眼筋と毛様体筋の代謝が増加し、代謝老廃物(酸素フリーラジカルを含む)の生成・蓄積が増加することを引き起こしてしまい、筋肉細胞の構造的損傷と機能低下をもたらしてしまう。すでに、フリーラジカルがさまざまな網膜疾患を引き起こし、悪化させる可能性を示した研究がある。
(2) 視覚細胞の栄養枯渇説:視覚細胞の過剰な消耗や、必要な栄養素の供給が滞ることは、黄斑と網膜の回復時間を延長させてしまう。視覚細胞の栄養素には、主にルテイン、VA、多価不飽和脂肪酸、VB1、VB2、微量ミネラルが含まれる。
(3) 網膜損傷説:可視光を網膜に集光すると、高酸素圧と高集光が生じるため、脂質過酸化反応が起こりやすくなり、その生成物が網膜色素上皮細胞を呑噬し、網膜損傷を引き起こしてしまう。
(4) 網膜細胞老化説:網膜色素上皮細胞の老化は眼の老化につながり、黄斑色素光学密度(macular pigment optical density、MPOD)の低下などの加齢に伴う眼疾患につながる。
【発明の概要】
【0005】
先行技術に存在する課題に基づいて、本発明は、視覚疲労を効果的に軽減し、緑内障の発生を予防することができる視覚疲労を軽減するための可食性組成物およびその応用を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的は、以下の技術手段により達成される。一態様では、本発明は、重量部で、
ウコン粉末 1~10部、
全コーヒー果実エキス 1~12部、
リン脂質複合体 1~20部、
DHA 1~15部、
ホスファチジルセリン 0.5~5部、
ビタミンC 0.1~5部、
を含む、可食性組成物を提供する。
【0007】
本発明の可食性組成物において、前記リン脂質複合体はホスファチジルセリンを含まない。
【0008】
先行技術において、全コーヒー果実エキスによる視力および視神経の保護への寄与に関する報告はない。発明者は長期にわたる実験において、ウコン粉末、リン脂質複合体、DHA、ホスファチジルセリン及びビタミンCとともに全コーヒー果実エキスを混合して食べると、視覚疲労を軽減する効果があることを独創的に見出した。具体的には、これら6種の原料を上記比率で配合して得られる組成物を食用に用いったところ、被験者は1週間の試食後に明視持続度が改善され、試食前と比べて有意差があり、2週間の試食後、視覚疲労症状の合計点が減少し、試食前と有意差があったことがわかった。それとともに、この研究では、この組成物中の一原料である全コーヒー果実エキスのみ、または全コーヒー果実エキス以外の他の5種の原料からなる組成物のみを食べた際、被験者の明視持続度と視覚疲労症状の合計点に有意差はなかったが、これら6種の原料を組み合わせることによって視覚疲労を軽減するという相乗効果があった。また、被験者は8週間の試食後、視野範囲が明らかに広くなったため、この処方によって緑内障の発生を予防することができることを示した。
【0009】
本発明で使用されるウコン粉末、全コーヒー果実エキス、リン脂質複合体、DHA、ホスファチジルセリンおよびビタミンCなどの原料は、市販品として入手できるし、先行技術に従って調製することもできる。各原料は、関連する業界基準の品質要件を満たす必要がある。
【0010】
いくつかの具体的な態様では、本発明の可食性組成物において、前記ウコン粉末の主な効果成分であるクルクミンの含有量が20%以上であり、例えば、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、さらには90%以上である。本発明の可食性組成物におけるウコン粉末の使用量は、ウコン粉末中のクルクミン含有量のレベルに従って適宜に調整することができる。
【0011】
いくつかの具体的な態様では、本発明の可食性組成物において、前記全コーヒー果実エキスは、全コーヒー果実から抽出された混合物である。例えば、全コーヒー果実抽出物は、コーヒー果実をエタノール水溶液で抽出し、濃縮、乾燥することによって得ることができる。前記全コーヒー果実エキスの質量を100%とする場合、全コーヒー果実エキス中の効果成分は、全クロロゲン酸20%~50%、及びプロアントシアニジン0.5%~5%を含む。ここで、前記全クロロゲン酸はネオクロロゲン酸を含み、前記ネオクロロゲン酸の前記全コーヒー果実エキスに占める割合は1%~20%である。
【0012】
いくつかの具体的な態様では、本発明の可食性組成物において、前記リン脂質複合体の主な効果成分には、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトールおよびセラミドが含まれ、リン脂質複合体の質量を100%とする場合、ホスファチジルエタノールアミンの含有量は5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は1.5%~2.5%であり、リン脂質複合体の残部には大部分のタンパク質などの成分が含まれる。本発明で使用されるリン脂質複合体は、Lecico GmbH社から入手できるし、先行技術に従って自ら調製することもできる。
【0013】
上記の可食性組成物において、好ましくは、該組成物は、ウコン粉末、全コーヒー果実エキス、リン脂質複合体、DHA、ホスファチジルセリンおよびビタミンCからなる。
【0014】
本発明の可食性組成物では、フリーラジカル説と網膜枯渇説によれば、ウコン粉末を添加すると、金属イオンによって媒介される脂質過酸化を抑制し、細胞内のDNAを酸化脂質の損傷から保護することができる。ビタミンCは水晶体にとって重要な栄養素であり、水晶体中の含有量は他の組織中のそれよりもはるかに多い。ビタミンCの摂取が不十分であると水晶体が濁り、重症の場合は白内障を引き起こしてしまう。また、ビタミンCは、フリーラジカルを消去し、過酸化脂質レベルを低下させることができる強力な耐酸化特性を有する。本発明におけるビタミンCの添加は、加齢に伴う眼疾患および視覚障害を効果的に軽減することができる。全コーヒー果実エキスは主に全クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸およびプロシアニジンを含み、過酸化脂質の網膜への損傷を軽減することができる。視覚細胞栄養枯渇説によれば、DHA、リン脂質複合体、およびホスファチジルセリンが、本発明の可食性組成物の処方に補足される。DHAは網膜において最も豊富に含有される多価不飽和脂肪酸の1つであり、視覚細胞の成長に必要な栄養素を提供できる。リン脂質複合体を添加することによって、認知を改善し、記憶力を向上することができる。リン脂質複合体中のホスファチジルコリンは、体内で加水分解され、神経伝達物質アセチルコリンの合成の前駆体であるコリンを生成することができる。アセチルコリンは、脳内の神経細胞間で相互に情報を伝達し、安定した接続を確立し、思考と思考能力を形成する基本的な物質である。十分なホスファチジルコリンの摂取は、より多くの神経伝達物質であるアセチルコリンの形成を助長し、脳をよりエネルギッシュにし、それによって記憶力を高め、知能の向上に寄与する。ホスファチジルセリンは、体内の過剰なストレスホルモンのレベルを下げ、ストレスを軽減し、脳の疲労を和らげ、集中力を高め、注意力と記憶力を改善し、機嫌の悪さを和らげることができる。本発明の具体的な実施例における研究によれば、本発明の6種の原料の組み合わせである組成物は相乗効果を有し、視覚疲労を軽減し、緑内障の発生を予防するのに役立つことが示されている。
【0015】
また、ビルベリーエキス、ブルーベリーエキス、ブドウ種子エキスなどのプロアントシアニジン含有エキスと他の5種の原料を組み合わせた場合よりも、本発明の全コーヒー果実エキスと他の5種の原料との組み合わせの方は、効果が優れている。
【0016】
本発明の具体的な実施形態によれば、好ましくは、該組成物は重量部で、
ウコン粉末 8部、
全コーヒー果実エキス 10部、
リン脂質複合体 10部、
DHA 7部、
ホスファチジルセリン 2部、
ビタミンC 1部、
を含む。
【0017】
別の態様において、本発明はまた、視覚疲労の軽減における上記可食性組成物の応用を提供する。具体的には、視覚疲労を軽減する効果を有する食品の調製における可食性組成物の応用を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明はまた、緑内障の予防における上記可食性組成物の応用を提供する。具体的には、緑内障予防効果を有する食品の調製における可食性組成物応用を提供する。
【0019】
本発明の具体的な実施形態によれば、上記応用において、前記食品は有効量の上記可食性組成物を含み、場合によりアジュバントを含んでもよい。
【0020】
前記アジュバントは、ソルビトール、マルトデキストリン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、および全脂粉乳の1種または複数種の組み合わせなど、食品分野で一般的なアジュバントであっても良いが、これらに限定するものではない。
【0021】
本発明の具体的な実施形態によれば、上記応用において、前記食品は、錠剤、カプセル剤、粉剤または顆粒剤の形態であるが、これらに限定されない。前記錠剤、カプセル剤、粉剤または顆粒剤の調製は、先行技術を参照して行うことができる。
【0022】
別の態様において、本発明は、食品であって、
該食品の総質量を100%とする場合、
ウコン粉末 1%~10%、
全コーヒー果実エキス 1%~12%、
リン脂質複合体 1%~20%、
DHA 1%~15%、
ホスファチジルセリン 0.5%~5%、
ビタミンC 0.1%~5%、
を含む食品をさらに提供する。
【0023】
上記の食品には、6種の栄養素に加え、ソルビトール、マルトデキストリン、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳の1種または複数種の組み合わせなどの食品分野で一般的なアジュバントも含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の具体的な実施形態によれば、好ましくは、該食品の総質量を100%とする場合、
ウコン粉末 8%、
全コーヒー果実エキス 10%、
リン脂質複合体 10%、
DHA 7%、
ホスファチジルセリン 2%、
ビタミンC 1%、
を含む。
【0025】
別の態様において、本発明はまた、視覚疲労の軽減における上記食品の応用を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明はまた、緑内障の予防における上記食品の応用を提供する。
【0027】
本発明により提供される可食性組成物は、視覚疲労を軽減する効果を有する。被験者は1週間の試食後、明視持続度は改善され、試食前と有意差があった。2週間の試食後、視覚疲労症状の合計点が減少し、試食前と有意差があった。被験者は8週間の試食後、視野範囲が明らかに広くなったため、この処方により緑内障の発生を予防できることを示した。本発明の全コーヒー果実エキスと他の5種の原料との組み合わせは、比較的優れた相乗効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における異なる群の組成物を食べた前後の被験者の視野範囲の変化の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術的特徴、目的、および有益な効果をより明確に理解するために、本発明の技術案を以下に詳細に説明するが、本発明の実施可能な範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の実施例中の各原料については、特に断りのない限り、一般の市販品から得たものである。
【0030】
実施例1:
本実施例は、重量部で、
ウコン粉末 8部;
全コーヒー果実エキス 10部;
リン脂質複合体 10部;
DHA 7部;
ホスファチジルセリン 2部;
ビタミンC 1部;
ソルビトール 30部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部、
を含む、視覚疲労を軽減するための可食性組成物を提供した。
【0031】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であり、全コーヒー果実エキスにおいて総クロロゲン酸含有量は約30%~40%であり、ネオクロロゲン酸含有量は約10%~20%であり、プロアントシアニジンの含有量は約1%~5%であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0032】
該組成物の調製方法としては、ウコン粉末、全コーヒー果実エキス(コーヒー果実をエタノール水溶液で抽出し、濃縮、乾燥することによって調製されるもの)、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳を重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0033】
本実施例で調製した組成物を被験者に与えて試食させ(4.8g/日摂取量)、対照群はプラセボ群(他の同様なアジュバント及び含有量を除いて、6種の効果成分及び含有量の差はマルトデキストリンで補った)として、異なる群の試食中に、明視持続度の変化(表1)と視覚疲労症状の合計点の変化(表2)を調査した。結果は次のとおりであった。
【0034】
【0035】
【0036】
表1と表2から、試食前の明視持続度及び視覚疲労症状の合計点に統計的有意性はいずれもなく(P>0.05)、群間で比較可能であることがわかった。8週間試食後、プラセボ群の視力持続度および視覚疲労症状の合計点は、試食前後で比較すると、統計的有意性がなかった(P>0.05)。本実施例1の組成物群では、明視持続度は増加する傾向にあった。1週間試食後では、試食前及びプラセボ群と比較してどちらも有意差(P<0.05)があり、かつ、実施例1の組成物群の方は明視持続度の向上率が10%を超えた。また、実施例1の組成物群は視覚疲労症状の合計点が減少し、試食前とは明らかに異なる(P<0.05)ため、実施例1の組成物群は、視覚疲労の軽減に寄与した。
【0037】
また、緑内障の初期症状は視野範囲の減少であるが、
図1からわかるように、実施例1の組成物を8週間食べた後、被験者の視野範囲が明らかに広くなり、この処方により緑内障の発生を予防できることを示した。
【0038】
実施例2:
本実施例は、重量部で、
ウコン粉末 10部;
全コーヒー果実エキス 12部;
リン脂質複合体 20部;
DHA 15部;
ホスファチジルセリン 5部;
ビタミンC 5部;
ソルビトール 20部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 5部;
全脂粉乳 5部、
を含む、視覚疲労を軽減するための可食性組成物を提供した。
【0039】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であり、全コーヒー果実エキスにおいて総クロロゲン酸含有量は約30%~40%であり、ネオクロロゲン酸含有量は約10%~20%であり、プロアントシアニジンの含有量は約1%~5%であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0040】
該組成物の調製方法としては、ウコン粉末、全コーヒー果実エキス(コーヒー果実をエタノール水溶液で抽出し、濃縮、乾燥することによって調製されるもの)、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳を重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0041】
実施例3:
本実施例は、重量部で、
ウコン粉末 1部;
全コーヒー果実エキス 1部;
リン脂質複合体 1部;
DHA 1部;
ホスファチジルセリン 0.5部;
ビタミンC 0.1部;
ソルビトール 63.4部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部、
を含む、視覚疲労を軽減するための可食性組成物を提供した。
【0042】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であり、全コーヒー果実エキスにおいて総クロロゲン酸含有量は約30%~40%であり、ネオクロロゲン酸含有量は約10%~20%であり、プロアントシアニジンの含有量は約1%~5%であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0043】
該組成物の調製方法としては、ウコン粉末、全コーヒー果実エキス(コーヒー果実をエタノール水溶液で抽出し、濃縮、乾燥することによって調製されるもの)、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳を重量比で称量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0044】
比較例1:
本比較例は、重量部で、
全コーヒー果実エキス 10部;
ソルビトール 30部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部;
マルトデキストリン 28部、
を含む、視覚疲労を軽減するための可食性組成物を提供した。
【0045】
その中、全コーヒー果実エキス中の総クロロゲン酸含有量は約30%~40%であり、ネオクロロゲン酸含有量は約10%~20%であり、プロアントシアニジン含有量は約1%~5%であった。
【0046】
該組成物の調製方法としては、全コーヒー果実エキス(コーヒー果実をエタノール水溶液で抽出し、濃縮および乾燥して調製されるもの)、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳およびマルトデキストリンを重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0047】
比較例2:
本比較例は、重量部で、
ウコン粉末 8部;
リン脂質複合体 10部;
DHA 7部;
ホスファチジルセリン 2部;
ビタミンC 1部;
ソルビトール 30部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部;
マルトデキストリン 10部、
を含む、視覚疲労を軽減するための可食性組成物を提供した。
【0048】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0049】
組成物の調製方法は次のとおりであった:ウコン粉末、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳およびマルトデキストリンを重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0050】
本発明の実施例1と比較して、比較例1は、効果成分である全コーヒー果実エキス1種のみを添加し、効果成分の使用量も同じであった。本発明の実施例1と比較して、比較例2は、効果成分である全コーヒー果実エキスを添加せず、ウコン粉末、リン脂質複合体、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンCの5種の他の効果成分を添加した。実施例1の実験方法に従って、実験結果を以下の表3および表4に示す。
【0051】
【0052】
【0053】
表3および表4から、9週間の試食後、比較例1の組成物群および比較例2の組成物群は、明視持続度および視覚疲労症状の合計点に明らかな変化がなく、プラセボ群と比較しても有意差がなかったことがわかった。
【0054】
このことより、組成物中のすべての効果性原料を配合して食べる場合にのみ視覚疲労を軽減する効果が得られ、原料の一部を使用して視覚疲労を軽減する効果を達成することは困難であることがわかった。
【0055】
比較例3:
本比較例は、全コーヒー果実エキスが市販のブドウ種子エキスに置き換えられているという点で実施例1とは異なる可食性組成物であって、
重量部で、
ウコン粉末 8部;
ブドウ種子エキス 10部;
リン脂質複合体 10部;
DHA 7部;
ホスファチジルセリン 2部;
ビタミンC 1部;
ソルビトール 30部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部、
を含む、可食性組成物を提供した。
【0056】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であり、ブドウ種子エキス中のプロアントシアニジン含有量は90%以上であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0057】
該組成物の調製方法としては、ウコン粉末、ブドウ種子エキス、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳およびマルトデキストリンを重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0058】
比較例4:
本比較例は、全コーヒー果実エキス全体が市販のブルーベリーエキスに置き換えられている点で実施例1とは異なる可食性組成物であって、
重量部で、
ウコン粉末 8部;
ブルーベリーエキス 10部;
リン脂質複合体 10部;
DHA 7部;
ホスファチジルセリン 2部;
ビタミンC 1部;
ソルビトール 30部;
ステアリン酸マグネシウム 3部;
乳糖 20部;
全脂粉乳 9部、
を含む、可食性組成物を提供した。
【0059】
その中、ウコン粉末においてクルクミン含有量は約20%~30%であり、ブルーベリーエキスにおいてアントシアニン含有量は20%以上であった。リン脂質複合体においてホスファチジルエタノールアミンの含有量は約5%~5.5%であり、ホスファチジルコリンの含有量は約4%~5.5%であり、ホスファチジルイノシトールの含有量は約0.5%~1.8%であり、セラミドの含有量は約1.5%~2.5%であった。
【0060】
該組成物の調製方法としては、ウコン粉末、ブルーベリーエキス、リン脂質複合体(Lecico GmbH社から入手)、DHA、ホスファチジルセリン、ビタミンC、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、全脂粉乳およびマルトデキストリンを重量比で秤量して均一に混合し、打錠して、視覚疲労を軽減する可食性組成物を調製した。
【0061】
比較例3と比較例4を本発明の実施例1と比較すると、全コーヒー果実エキスのみがそれぞれブドウ種子エキスとブルーベリーエキスに置き換えられ、各エキスの使用量は同じであった。ブドウ種子エキス中の効果成分であるプロアントシアニジン(含有量≧90%)は、本発明の全コーヒー果実エキス中の効果成分であるプロアントシアニジン(含有量1~5%)よりもはるかに多く、かつ、全コーヒー果実エキス中の効果成分である総クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸を含まない。ブルーベリーエキス中の効果成分はアントシアニン(含有量≧20%)であり、本発明の全コーヒー果実エキスの効果成分とは異なる。実施例1の実験方法に従って、比較例3及び比較例4で調製した組成物を被験者に与えて試食(4.8g/日摂取量)させ、異なる群の試食中に、明視持続度の変化を調べた。結果を表5に示す。
【0062】
【0063】
表5から分かるように、4週間の試食後、比較例3の組成物群と比較例4の組成物群は、明視持続度に明らかな変化はなく、表1と合わせてわかるように、被験者が実施例1の組成物を1週間食べると、明視持続度が明らかに改善された。
【0064】
要約すると、本発明の組成物中のすべての効果性原料を配合して食べる場合にのみ、視覚疲労を軽減する効果が得られ、原料の一部を使用して視覚疲労を軽減する効果を達成することは困難であることがわかった。同時に、ビルベリーエキス、ブルーベリーエキス、ブドウ種子エキスなどのプロアントシアニジンやアントシアニンを含むエキスを他の5種の原料と組み合わせた場合よりも、本発明の全コーヒー果実エキスを他の5種の原料と組み合わせた場合の効果がより優れている。