(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】車止めポール装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023121859
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000131027
【氏名又は名称】株式会社サンポール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山根 令
(72)【発明者】
【氏名】畠中 清
(72)【発明者】
【氏名】大江 卓浩
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-47400(JP,A)
【文献】特開2022-140240(JP,A)
【文献】特開2022-117981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/02
E01F 9/00- 9/70
E01F 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が地中に埋め込まれる筒体を含む車止めポールと、
前記車止めポールの前記筒体内に設けられた細長状の補強装置とを備え、
前記補強装置は外側筒体と、前記外側筒体内に装着された内側筒体とを有し、
前記補強装置は前記外側筒体と前記内側筒体の双方を含む強補強部と、前記強補強部の下方に位置し、前記外側筒体と前記内側筒体の一方のみを含む弱補強部とを有し、
前記強補強部の長さと、前記弱補強部の長さの比は70:30~95:5となっている、車止めポール装置。
【請求項2】
前記外側筒体は長手方向に沿って同一の曲げ剛性を有し、前記内側筒体は長手方向に沿って同一の曲げ剛性を有し、これにより前記強補強部は前記弱補強部より大きな曲げ剛性をもつ、請求項1記載の車止めポール装置。
【請求項3】
前記補強装置は、長手方向の全長に渡って前記車止めポール内に収納され、
前記補強装置の上端は車両の衝突予想点に位置し、
前記補強装置の下端は車両の衝突時の前記車止めポールの折り曲げ予想点に位置する、請求項1または2記載の車止めポール装置。
【請求項4】
前記外側筒体および前記内側筒体はいずれも四角筒体からなる、請求項1または2記載の車止めポール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路、歩道、公園等に設置される車止めポール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路、歩道、公園等において、車両の進入を禁止する目的で車止めポールが設置されている。
【0003】
このような車止めポールは、全体として細長状の円筒体を有し、地中に埋め込まれて設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような車止めポールに対し、車両等が衝突したとき、車止めポールに大きな衝撃が加わることが考えられる。このような場合、車止めポールを補強するため、車止めポール内に補強装置を挿入することが考えられている。しかしながら、車止めポールに車両等が衝突した際、補強装置の端部近傍において車止めポールに過度の力が集中して、車止めポールがこの補強装置の端部近傍において完全に折れ曲がったり、破損あるいは破断することがある。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、地中へ埋め込まれた車止めポールを効果的にかつ簡便に補強することができ、かつ車止めポールに過度の力が加わったとしても、完全に折れ曲がったり、破損あるいは破断することを防ぐことが可能な車止めポール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一部が地中に埋め込まれる筒体を含む車止めポールと、前記車止めポールの前記筒体内に設けられた細長状の補強装置とを備え、前記補強装置は外側筒体と、前記外側筒体内に装着された内側筒体とを有し、前記補強装置は前記外側筒体と前記内側筒体の双方を含む強補強部と、前記強補強部の下方に位置し、前記外側筒体と前記内側筒体の一方のみを含む弱補強部とを有し、前記強補強部の長さと、前記弱補強部の長さの比は70:30~95:5となっている、車止めポール装置である。
【0008】
本開示は、前記外側筒体は長手方向に沿って同一の曲げ剛性を有し、前記内側筒体は長手方向に沿って同一の曲げ剛性を有し、これにより前記強補強部は前記弱補強部より大きな曲げ剛性をもつ、車止めポール装置である。
【0009】
本開示は、前記補強装置は、長手方向の全長に渡って前記車止めポール内に収納され、前記補強装置の上端は車両の衝突予想点に位置し、前記補強装置の下端は車両の衝突時の前記車止めポールの折り曲げ予想点に位置する、車止めポール装置である。
【0010】
本開示は、前記外側筒体および前記内側筒体はいずれも四角筒体からなる、車止めポール装置である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本開示によれば、車止めポールを確実かつ簡便に補強することができ、かつ車止めポールに過度の力が加わったとしても、完全に折れ曲がったり、破損あるいは破断することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は第1の実施の形態による車止めポール装置を示す側断面図。
【
図2】
図2は第1の実施の形態による車止めポール装置を示す斜視図。
【
図4B】
図4Bは補強装置を示す上面図であって便宜上、蓋体を取り外した図。
【
図7】
図7は車止めポール装置に車が衝突した後の車止めポールと補強装置との位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本実施の形態>
以下、図面を参照して本開示による本実施の形態について説明する。
【0014】
図1乃至
図7は本開示による本実施の形態を示す図である。
【0015】
図1乃至
図7に示すように、本実施の形態による車止めポール装置10Aは、地中1Aに埋め込まれるとともに、下端部11aと上端部11bとを有する細長状の円筒体11を含む車止めポール10と、車止めポール10の円筒体11内に設けられた細長状の補強装置20とを備えている。
【0016】
このうち、車止めポール10は全体として鋼製からなり、補強装置20も全体として鋼製からなる。また、車止めポール10は、地中1Aに埋め込まれる円筒体11を含むが、本実施の形態において地中1Aは地表1の下方に形成された各層からなる。すなわち地中1Aは下層から上層に向かって順次配置された地盤2と、地盤2上の路盤3と、路盤3上の舗装4とからなる。
【0017】
そして舗装4の上面が地表1となり、車止めポール10の円筒体11は地中1Aに埋め込まれる。
【0018】
なお地中1A内に埋め込まれた円筒体11の下端部11aは開口し、上端部11bはキャップ11cにより密閉されている。
【0019】
次に
図3A乃至
図5Bにより、円筒体11内に設けられた細長状の補強装置20について述べる。補強装置20は4つの角部21aと4つの面21bを有する正四角筒体からなる外側筒体21と、外側筒体21内に挿着され、4つの角部22aと4つの面22bとを有する正四角筒体からなる内側筒体22とを有する。そして内側筒体22の各角部22aは、外側筒体21の対応する面21bに当接している(
図3Bおよび
図4B参照)。
【0020】
本実施の形態において、内側筒体22の各角部22aは外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接し、この面21bの中央部21cに溶接され固定される。
【0021】
ここで外側筒体21の対応する面21bの中央部21cとは、面21bのうち外側筒体21の角部21a間の中央部をいう。このように内側筒体22の各角部22aが外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接するため、正四角筒体からなる外側筒体21と、正四角筒体からなる内側筒体22は、互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた状態で配置される。
【0022】
このように補強装置20は互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた外側筒体21と内側筒体22とからなり、このことにより補強装置20自体は大きな曲げ剛性をもつことになる。
【0023】
上述のように補強装置20は外側筒体21と、外側筒体21内に設けられた内側筒体22とを有し、下端20aと上端20bを含む。そして補強装置20の下端20aは開口し、補強装置20の上端は蓋体23により密封されている(
図3A参照)。補強装置20の下端20aは開口し、前記円筒体11と共に土砂を内側に取り込みながら地中に埋め込まれる。
【0024】
また
図1に示すように、補強装置20は長手方向に沿って形成された外側筒体21と内側筒体22の双方を含む強補強部31と、この強補強部31の下方に位置し、外側筒体21のみを含む弱補強部32とを有する。
【0025】
本実施の形態において、「上方」、「下方」とは、
図1に示すように車止めポール装置10Aを地中1A内に設置した場合における「上方」、「下方」をいう。
【0026】
また本実施の形態において、補強装置20の強補強部31は外側筒体21と内側筒体22の双方を含み、弱補強部32は外側筒体21のみを含むが、これに限らず、弱補強部32は内側筒体22のみを含んでもよい。すなわち、外側筒体21に対して内側筒体22を下方へ長く延ばし、外側筒体21から内側筒体22を下方へ突出させてもよい。
【0027】
本実施の形態において、補強装置20の強補強部31の長さL1と弱補強部32の長さL2との比は70:30~95:5となっており、好ましくは85:15となっている。
【0028】
上記のように補強装置20の強補強部31は、外側筒体21と内側筒体22とを有するため、四角筒体からなる外側筒体21と四角筒体からなる内側筒体とを含み、後述のように比較的大きな曲げ剛性をもつ。また弱補強部32は四角筒体からなる外側筒体21のみからなるため、後述のように比較的小さな曲げ剛性をもつ。
【0029】
ここで曲げ剛性は、補強装置20の断面二次モーメント×材料のヤング率により規定される。
【0030】
本実施の形態において、補強装置20の外側筒体21は長手方向に沿って同一の断面を有するため、長手方向に沿って同一の曲げ剛性をもつ。同様に内側筒体22も長手方向に沿って同一の断面を有するため、長手方向に沿って同一の曲げ剛性をもつ。
【0031】
このため上記のように補強装置20の強補強部31は比較的大きな曲げ剛性をもち、弱補強部32は比較的小さな曲げ剛性をもつことになる。
【0032】
補強装置20は車止めポール10内に設けられて、車止めポール10を補強するものであるが、補強装置20の強補強部31は大きな曲げ剛性をもって車止めポール10を堅固に補強する。他方、弱補強部32は小さな曲げ剛性をもつため、車止めポール10を柔軟性をもって補強する。
【0033】
本実施の形態において、補強装置20の強補強部31の長さL1と、弱補強部32の長さL2の比は、上述のように85:15が好ましく、具体的には強補強部31の長さL1は700mm~1000mm、弱補強部32の長さL2は50mm~300mmとなっている。
【0034】
図1に示すように、車止めポール装置10Aにおいて、車止めポール10のうち地表1から上方へ突出する部分の長さをL3とし、車止めポール10のうち地中1A内に埋め込まれる部分の長さをL4とした場合、L3≦L4となっている。また補強装置20はその全長に渡って、車止めポール10内に収納されている。
【0035】
また地盤2の土が円筒体11の下端部11aから車止めポール10内に入り込み、車止めポール10内に入り込んだ地盤2の土により補強装置20が支持されている。
【0036】
なお、本実施の形態において、
図7では、車止めポール装置10Aに車両等に衝突した場合を想定して、車止めポール10の衝突予想点37を示している。また車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、車止めポール10は折り曲げ予想点35近傍から折れ曲がると考えられている。
【0037】
本実施の形態によれば、車止めポール装置10Aの車止めポール10内に補強装置20が挿着され、補強装置20はその下端20aが車止めポール10の折り曲げ予想点35近傍にくるよう位置決めされる。このとき、補強装置20の上端20bは衝突予想点37近傍にくる(
図7参照)。
【0038】
図7において、符号36は車止めポール10を地中1Aに埋めた際、地表1に対応する地表予想線である。
【0039】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず車止めポール装置10Aの設置方法について
図6A乃至
図6Cにより説明する。
【0040】
まず、
図6Aに示すように、地表1に補強装置20を立てる。このとき補強装置20の下端20aが地表1に接するようにする。
【0041】
次に補強装置20の外方から車止めポール10を被せて、車止めポール10を円筒体11の下端部11aを介して地表1上に立てる。このとき円筒体11の上端部11bからキャップ11cが取り外されている。
【0042】
その後、車止めポール10内に円筒体11の上端部11bを介して押圧用治具40を挿入する。その後、地表1上に立った車止めポール10に対して、上方から押圧装置(図示せず)により圧力を加え、車止めポール10を地中1A内に打ち込んでいく。地表1を構成する舗装4、および路盤3の状況によって、車止めポール10の打ち込みが困難な場合には、舗装4および路盤3を除去し、地盤2から車止めポール10を打込んでも良い。
【0043】
押圧装置(図示せず)により車止めポール10を地中1A内に打ち込んでいくと、車止めポール10が地中1A内に降下していく。その時、地中1Aの土砂が円筒体11の下端部11aから車止めポール10内に入り込む。
【0044】
このように地中1Aの土砂が円筒体11の下端部11aから車止めポール10内に入り込むことにより、車止めポール10内で補強装置20が土砂に阻まれて車止めポール10内で相対的に上昇する(
図6B参照)。
【0045】
その後、円筒体11の上端部11bと押圧用治具40の上面が押圧装置(図示せず)に当接して、車止めポール10内における補強装置20の相対的な上昇が停止する。このように、円筒体11の上端部11bと押圧用治具40の上面が押圧装置(図示せず)に当接して、押圧用治具40の上面と円筒体11の上端部11bの高さが揃うことにより、車止めポール10内における補強装置20の相対的な上昇移動が停止し、車止めポール10内において補強装置20が長手方向に沿って位置決めされる。
【0046】
さらに車止めポール10と、押圧用治具40を介して補強装置20を地中1A内に打ち込むことにより、補強装置20の下端20aの開口部から地中1Aの土砂が補強装置20内に入り込みながら、車止めポール10を地中1Aの所定位置に配置する(
図6C参照)。
【0047】
次に車止めポール10内から押圧用治具40を抜き取り、車止めポール10の円筒体11の上端部11bにキャップ11cを嵌め込む。
【0048】
このようにして車止めポール10と補強装置20とを有する車止めポール装置10Aが得られる。
【0049】
使用に際して車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した場合、車両等は車止めポール10の上方へ突出する部分のうち衝突予想点37近傍に衝突する(
図7参照)。
【0050】
また
図7に示すように、この車両等の衝突により、車止めポール10の地中1Aに埋め込まれる部分のうち折り曲げ予想点35近傍において、車止めポール10が折れ曲げる。
【0051】
本実施の形態において、車止めポール10の衝突予想点37近傍に補強装置20の上端20bが位置し、車止めポール10の折り曲げ予想点35近傍に補強装置20の下端20aが位置している。一般に、折り曲げ予想点35の位置は地中1Aの強度により変化するが、本実施の形態において、補強装置20を設けることによって、補強装置20の下端20a近傍に折り曲げ予想点35をもってくることができる。
【0052】
このため車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突すると、衝突予想点37より下方に配置され、大きな曲げ剛性をもつ補強装置20の強補強部31により車両等からの衝撃を受け止めることができる。
【0053】
また車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した際、折り曲げ予想点35近傍から車止めポール10が折れ曲がるが、車止めポール10が折れ曲がる折り曲げ予想点35より上方部分に、小さな曲げ剛性をもつ弱補強部32が位置している。すなわち、折り曲げ予想点35より上方部分は車止めポール10の折り曲げが開始される部分であり、車止めポール10のこの部分を曲げ剛性の小さな弱補強部32により柔軟性をもって補強することができる。
【0054】
このことにより、車止めポール10を弱補強部32により、折り曲げ予想点35の上方位置、具体的には弱補強部32と強補強部31との間の境界33から折り曲げ予想点35まで徐々に折り曲げることができる。
【0055】
このことにより、車両等の衝突時に車止めポール10の折り曲げ予想点35に急激な力が集中することはなく、このため車止めポール10に力が集中して車止めポール10が破断したりすることはなく、車止めポール10からの反力により車両等に致命的な衝撃が加わることもない。
【0056】
以上のように本実施の形態によれば、車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した場合に、車止めポール10の衝突予想点37より下方に配置された補強装置20の強補強部31により車両等からの衝撃を受け止めることができる。また車止めポール10の折り曲げ予想点35より上方部分に配置された弱補強部32により柔軟性をもって車止めポール10を補強することができる。このため車両等の衝突時に車止めポール10に急激な力が集中することはなく、車止めポール10が折り曲げ予想点35近傍で破断することを未然に防ぐことができる。
【0057】
また補強装置20の強補強部31の長さL1と、弱補強部32の長さL2の比は70:30~95:5、好ましくは85:15となっている。
【0058】
すなわち上記の数値に対して強補強部31の長さL1が短くなり、かつ弱補強部32の長さL2が長くなると、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の強補強部31により車止めポール10を確実に補強することがむずかしくなる。
【0059】
他方、上記の数値に対して強補強部31の長さL1が長くなり、かつ弱補強部32の長さL2が短くなると、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の弱補強部32により車止めポール10を柔軟性をもって補強することがむずかしくなる。
【0060】
これに対して本実施の形態によれば、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の強補強部31により車止めポール10を確実に補強することができ、かつ補強装置20の弱補強部32により車止めポール10を柔軟性をもって補強することができる。
【0061】
<変形例>
以下、図面を参照して本開示の変形例について説明する。
【0062】
【0063】
図8に示すように、車止めポール装置10Aは、地中1Aに埋め込まれるとともに、下端部11aと上端部11bとを有する細長状の円筒体11を含む車止めポール10と、車止めポール10の円筒体11内に設けられた細長状の補強装置20とを備えている。
【0064】
このうち、車止めポール10は、地中1Aに埋め込まれる円筒体11を含むが、地中1Aは地表1の下方に形成された各層からなる。すなわち地中1Aは下層から上層に向かって順次配置された地盤2と、地盤2上の路盤3と、路盤3上の舗装4とからなる。
【0065】
そして舗装4の上面が地表1となり、車止めポール10の円筒体11は地中1Aに埋め込まれる。そして地中1A内に埋め込まれた円筒体11の一部は、地中1A中に充填されたモルタル部分5に囲まれて補強される(
図8参照)。なお、モルタル部分5に変えてコンクリートを用いてもよい。
【0066】
なお地中1A内に埋め込まれた円筒体11の下端部11aは開口し、上端部11bはキャップ11cにより密閉されている。
【0067】
上述した実施の形態と同様に補強装置20は4つの角部21aと4つの面21bを有する正四角筒体からなる外側筒体21と、外側筒体21内に挿着され、4つの角部22aと4つの面22bとを有する正四角筒体からなる内側筒体22とを有する。そして内側筒体22の各角部22aは、外側筒体21の対応する面21bに当接している(
図3A乃至
図5B参照)。
【0068】
本変形例において、内側筒体22の各角部22aは外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接し、この面21bの中央部21cに溶接され固定される。
【0069】
ここで外側筒体21の対応する面21bの中央部21cとは、面21bのうち外側筒体21の角部21a間の中央部をいう。このように内側筒体22の各角部22aが外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接するため、正四角筒体からなる外側筒体21と、正四角筒体からなる内側筒体22は、互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた状態で配置される。
【0070】
このように補強装置20は互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた外側筒体21と内側筒体22とからなり、このことにより補強装置20自体は大きな曲げ剛性をもつことになる。
【0071】
上述のように補強装置20は外側筒体21と、外側筒体21内に設けられた内側筒体22とを有し、下端20aと上端20bを含む。そして補強装置20の下端20aは開口し、補強装置20の上端は蓋体23により密封されている(
図3A参照)。補強装置20の下端20aは開口し、前記円筒体11と共に土砂を内側に取り込みながら地中に埋め込まれる。
【0072】
また補強装置20は外側筒体21と内側筒体22とを有する強補強部31と、外側筒体21のみからなる弱補強部32とを有している。
【0073】
本変形例において、車止めポール装置10Aの車止めポール10はモルタル部分5により地中1Aへの支持力が補強されており、車止めポール10のうち地表1から上方へ突出する部分の長さをL3とし、車止めポール10のうち地中1A内に埋め込まれる部分の長さをL4とした場合、L3≧L4となっていてもよい。また補強装置20はその全長に渡って、車止めポール10内に収納されている。
【0074】
また補強装置20はその下端20aが車止めポール10の折り曲げ予想点35近傍にくるよう位置決めされる。このとき補強装置20の上端20bは衝突予想点37近傍にくる。
【0075】
本変形例において、車止めポール10はモルタル部分5により地中1Aへの支持力が補強されており、車止めポール10を
図1乃至
図7に示す実施の形態に比べて、地中1Aに深く埋め込む必要はなく、車止めポール10の地中1Aへの埋め込み長さを短くすることができる。このため、地中1A深くに障害物が存在しても、車止めポール10を地中1A内に確実に埋め込むことが可能となる。
【0076】
なお、車止めポール10の衝突予想点37は、
図1乃至
図7に示す実施の形態と同一高さにある。また、補強装置20は強補強部31と弱補強部32とを有するが、
図8において強補強部31の長さをL1とし、弱補強部32の長さをL2とした場合、
L1:L2=70:30~95:5、好ましくはL1:L2=80:20となっている。
【0077】
また、補強装置20の上端20bは蓋体23により密封されている。
【0078】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず車止めポール装置10Aの設置方法について
図8により説明する。
【0079】
まず、地盤2と、路盤3と、舗装4とからなる地中1Aにモルタルが充填される開口5Aを形成する。次に開口5A内に補強装置20を立てる。このとき補強装置20の下端20aが開口5Aの底面5Bに接するようにする。
【0080】
次に補強装置20の外方から車止めポール10を被せて、車止めポール10を円筒体11の下端部11aを介して開口5Aの底面5B上に立てる。このとき円筒体11の上端部11bからキャップ11cが取り外されている。
【0081】
その後、車止めポール10内に円筒体11の上端部11bを介して押圧用治具40(
図6A参照)を挿入する。その後、開口5Aの底面5B上に立った車止めポール10に対して、上方から押圧装置(図示せず)により圧力を加え、車止めポール10を地中1A内に打ち込んでいく。
【0082】
押圧装置(図示せず)により車止めポール10を地中1A内に打ち込んでいくと、車止めポール10が地中1A内に降下していく。その後、地盤2の土が円筒体11の下端部11aから車止めポール10内に入り込む。
【0083】
このように地盤2の土が円筒体11の下端部11aから車止めポール10内に入り込むことにより、車止めポール10内で補強装置20が地盤2の土に阻まれて車止めポール10内で相対的に上昇する。
【0084】
その後、円筒体11の上端部11bと押圧用治具40の上面が押圧装置(図示せず)に当接して、車止めポール10内における補強装置20の相対的な上昇が停止する。このように、円筒体11の上端部11bと押圧用治具40の上面が押圧装置(図示せず)に当接して、押圧用治具40の上面と円筒体11の上端部11bの高さが揃うことにより、車止めポール10内における補強装置20の相対的な上昇移動が停止し、車止めポール10内において補強装置20が長手方向に沿って位置決めされる。
【0085】
さらに車止めポール10と、押圧用治具40を介して補強装置20を地盤2内に打ち込むことにより、補強装置20の下端20aの開口部から地盤2の土が補強装置20内に入り込みながら、車止めポール10を地中1Aの所定位置に配置する(
図8参照)。
【0086】
次に車止めポール10内から押圧用治具40を抜き取り、車止めポール10の円筒体11の上端部11bにキャップ11cを嵌め込む。その後、開口5A内にモルタルを充填してモルタル部分5を形成する。
【0087】
このようにして車止めポール10と補強装置20とを有する車止めポール装置10Aが得られる。
【0088】
使用に際して車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した場合、車両等は車止めポール10の上方へ突出する部分のうち衝突予想点37近傍に衝突する(
図8参照)。
【0089】
またこの車両等の衝突により、車止めポール10の地中1Aに埋め込まれる部分のうち折り曲げ予想点35近傍において、車止めポール10が折れ曲げる。
【0090】
本変形例において、車止めポール10の衝突予想点37近傍に補強装置20の上端20bが位置し、車止めポール10の折り曲げ予想点35近傍に補強装置20の下端20aが位置している。
【0091】
このため車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突すると、衝突予想点37より下方に配置され、大きな曲げ剛性をもつ補強装置20の強補強部31により車両等からの衝撃を受け止めることができる。
【0092】
また車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した際、折り曲げ予想点35近傍から車止めポール10が折れ曲がるが、車止めポール10が折れ曲がる折り曲げ予想点35より上方部分に、小さな曲げ剛性をもつ弱補強部32が位置している。すなわち、折り曲げ予想点35より上方部分は車止めポール10の折り曲げが開始される部分であり、車止めポール10のこの部分を曲げ剛性の小さな弱補強部32により柔軟性をもって補強することができる。
【0093】
このことにより、車止めポール10を弱補強部32により、折り曲げ予想点35の上方位置、具体的には弱補強部32と強補強部31との間の境界33から折り曲げ予想点35まで徐々に折り曲げることができる(
図8参照)。
【0094】
このことにより、車両等の衝突時に車止めポール10の折り曲げ予想点35に急激な力が集中することはなく、このため車止めポール10に力が集中して車止めポール10が破断したりすることはなく、車止めポール10からの反力により車両等に致命的な衝撃が加わることもない。
【0095】
以上のように本変形例によれば、車止めポール装置10Aに対して車両等が衝突した場合に、車止めポール10の衝突予想点37より下方に配置された補強装置20の強補強部31により車両等からの衝撃を受け止めることができる。また車止めポール10の折り曲げ予想点35より上方部分に配置された弱補強部32により柔軟性をもって車止めポール10を補強することができる。このため車両等の衝突時に車止めポール10に急激な力が集中することはなく、車止めポール10が折り曲げ予想点35近傍で破断することを未然に防ぐことができる。
【0096】
また補強装置20の強補強部31の長さL1と、弱補強部32の長さL2の比は70:30~95:5、好ましくは80:20となっている。
【0097】
すなわち上記の数値に対して強補強部31の長さL1が短くなり、かつ弱補強部32の長さL2が長くなると、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の強補強部31により車止めポール10を確実に補強することがむずかしくなる。
【0098】
他方、上記の数値に対して強補強部31の長さL1が長くなり、かつ弱補強部32の長さL2が短くなると、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の弱補強部32により車止めポール10を柔軟性をもって補強することがむずかしくなる。
【0099】
これに対して本変形例によれば、車止めポール装置10Aに車両等が衝突した場合、補強装置20の強補強部31により車止めポール10を確実に補強することができ、かつ補強装置20の弱補強部32により車止めポール10を柔軟性をもって補強することができる。
【0100】
なお上記実施の形態および変形例において、補強装置20の外側筒体21および内側筒体22は、各々全長に渡って同一の断面を有する例を示したが、外側筒体21および内側筒体22は各々全長に渡って異なる断面をもつようにしてもよい。また、車止めポール10が円筒体11からなる例を示したが、これに限らず、車止めポール10を筒体、例えば四角状筒体から構成しても良い。また、車止めポール装置10Aは地中1Aに一本のみ設置しても良く、2本または3本、あるいはそれ以上の車止めポール装置10Aを地中1Aに埋め込み設置しても良く、この場合は、隣接する車止めポール装置10A同士を連結部材(図示せず)で互いに連結しても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 地表
1A 地中
2 地盤
3 路盤
4 舗装
5 モルタル部分
10 車止めポール
10A 車止めポール装置
11 円筒体
11a 下端部
11b 上端部
11c キャップ
20 補強装置
20a 下端
20b 上端
21 外側筒体
21a 角部
21b 面
21c 中央部
22 内側筒体
22a 角部
22b 面
23 蓋体
31 強補強部
32 弱補強部
33 境界
35 折り曲げ予想点
36 地表予想線
37 衝突予想点
40 押圧用治具
【要約】
【課題】車止めポールに過度の力が加わった際に完全に折れ曲がったり破損あるいは破断することを防ぐ。
【解決手段】車止めポール10内に配置された補強装置20は外側筒体21と内側筒体22の双方を有する強補強部31と、外側筒体21のみからなる弱補強部32とを有する。強補強部31の長さL1と、弱補強部32の長さL2との比は70:30~95:5となっている。
【選択図】
図1