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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】トラッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240415BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20240415BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q30/0251
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023197694
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723015099
【氏名又は名称】株式会社リプロネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】藤田 献児
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-063034(JP,A)
【文献】特開2002-197376(JP,A)
【文献】特開2015-219529(JP,A)
【文献】特開2022-036691(JP,A)
【文献】特開2022-095357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0037291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作によってネットワークに接続される複数の端末と、
前記ネットワークを介して前記複数の端末に接続可能なサーバと、
を備え、
前記サーバは、データを記録可能なサーバ記録装置と、前記サーバ記録装置に記録されたデータに基づいて前記ネットワークに仮想空間を形成するサーバ制御装置と、を有し、
前記端末は、前記仮想空間において前記操作者に対応するアバターを操作する端末入力装置と、前記ネットワークを介在させて前記端末入力装置の操作を前記サーバに送信する端末制御装置と、を備え、
前記仮想空間は、複数の仮想店舗を備え、
前記仮想店舗のそれぞれは、第1空間および第2空間を含む複数の空間を有し、
前記サーバ制御装置は、
前記仮想空間において前記アバターを形成し、かつ、前記端末入力装置の操作に応じて前記仮想空間においてアバターを行動させ、
複数の前記仮想店舗のそれぞれにおいて前記空間のそれぞれにおいて複数の取引対象を展示し、
前記仮想店舗における前記アバターの前記取引対象に対する行動を前記サーバ記録装置に記録し、
前記アバターが前記第1空間から前記第2空間に移動する際に、前記第1空間におけるアバターの行動に基づいて予め前記第2空間における前記取引対象の表示を変化させる、トラッキングシステム。
【請求項2】
前記サーバ制御装置は、前記アバターが第1仮想店舗から第2仮想店舗に移動する際に、前記第1仮想店舗における前記アバターの行動に基づいて予め前記第2仮想店舗における前記取引対象の表示を変化させる、請求項1に記載のトラッキングシステム。
【請求項3】
前記アバターの行動は、前記取引対象に近づくことである、請求項1または2に記載のトラッキングシステム。
【請求項4】
前記アバターの行動は、前記取引対象を視ることである、請求項1または2に記載のトラッキングシステム。
【請求項5】
前記アバターの行動は、前記取引対象を手に取ることである、請求項1または2に記載のトラッキングシステム。
【請求項6】
前記第1空間に展示された複数のうち、任意の前記取引対象に関して、
前記アバターが前記取引対象に近づいた場合のポイントと、
前記アバターが前記取引対象を視た場合におけるポイントと、
前記アバターが前記取引対象を手に取った場合のポイントと、
が相互に異なり、
前記サーバ制御装置は、
前記第1空間における当該取引対象に対する前記アバターの行動に基づいて、前記アバターを操作する操作者の当該取引対象に対する興味の数値を前記ポイントに基づいて算出し、
前記第1空間に展示された複数の前記取引対象に対する前記操作者の興味の優劣を前記興味の数値に基づいて算出する、
請求項1または2に記載のトラッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ネットワークに形成されたメタバース(登録商標)と称される仮想空間に、多くの参加者が携帯端末等を用いることによって参加することが可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
そして、仮想空間では、参加者はアバターと称される仮想のキャラクターを操作することにより、他の参加者と交流等をすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“VRイベント「ソードアート・オンライン Synthesis -The Period of Alicization Project-」”、[online]、株式会社カヤック、[令和3年10月12日検索]、インターネット<URL:https://www.kayac.com/service/client/1773>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の仮想空間では、当該仮想空間におけるアバターを操作する複数の操作者がどのような取引対象に興味を持っているかの調査について改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、仮想空間におけるアバターを操作する複数の操作者がどのような取引対象に興味を持っているかの調査を容易にすることができるトラッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るトラッキングシステムは、操作者の操作によってネットワークに接続される複数の端末と、前記ネットワークを介して前記複数の端末に接続可能なサーバと、を備える。前記サーバは、データを記録可能なサーバ記録装置と、前記サーバ記録装置に記録されたデータに基づいて前記ネットワークに仮想空間を形成するサーバ制御装置と、を有する。前記端末は、前記仮想空間において前記操作者に対応するアバターを操作する端末入力装置と、前記ネットワークを介在させて前記端末入力装置の操作を前記サーバに送信する端末制御装置と、を備える。前記仮想空間は、複数の仮想店舗を備える。前記仮想店舗のそれぞれは、第1空間および第2空間を含む複数の空間を有する。前記サーバ制御装置は、前記仮想空間において前記アバターを形成し、かつ、前記端末入力装置の操作に応じて前記仮想空間において前記アバターを行動させ、複数の前記仮想店舗のそれぞれにおいて前記空間のそれぞれにおいて複数の取引対象を展示し、前記仮想店舗における前記アバターの前記取引対象に対する行動を前記サーバ記録装置に記録し、前記アバターが前記第1空間から前記第2空間に移動する際に、前記第1空間における前記アバターの行動に基づいて予め前記第2空間における前記取引対象の表示を変化させる。
【0008】
本発明に係るトラッキングシステムにおいて、前記サーバ制御装置は、前記アバターが第1仮想店舗から第2仮想店舗に移動する際に、前記第1仮想店舗における前記アバターの行動に基づいて予め前記第2仮想店舗における前記取引対象の表示を変化させる。
【0009】
本発明に係るトラッキングシステムにおいて、前記アバターの行動は、前記取引対象に近づくことである。
【0010】
本発明に係るトラッキングシステムにおいて、前記アバターの行動は、前記取引対象を視ることである。
【0011】
本発明に係るトラッキングシステムにおいて、前記アバターの行動は、前記取引対象を手に取ることである。
【0012】
本発明に係るトラッキングシステムにおいて、前記第1空間に展示された複数のうち、任意の前記取引対象に関して、前記アバターが前記取引対象に近づいた場合のポイントと、前記アバターが前記取引対象を視た場合におけるポイントと、前記アバターが前記取引対象を手に取った場合のポイントと、が相互に異なり、前記サーバ制御装置は、前記第1空間における当該取引対象に対する前記アバターの行動に基づいて、前記アバターを操作する操作者の当該取引対象に対する興味の数値を前記ポイントに基づいて算出し、前記第1空間に展示された複数の前記取引対象に対する前記操作者の興味の優劣を前記興味の数値に基づいて算出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトラッキングシステムは、上記構成を有するため、仮想空間におけるアバターを操作する複数の操作者がどのような取引対象に興味を持っているかの調査を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態に係るトラッキングシステムを概念的に説明するブロック図である。
図2図2は、図1に示すトラッキングシステムが備えるサーバを概念的に説明するブロック図である。
図3図3は、図1に示すトラッキングシステムが備える複数の端末のそれぞれを概念的に説明するブロック図である。
図4図4は、第1実施形態の仮想空間において、アバターの移動を概念的に示す図である。
図5図5は、仮想空間におけるアバターの移動を示す平面図である。
図6図6は、仮想空間において、アバターが取引対象の商品を手で持った状態を示す図である。
図7図7は、第1仮想店舗の第1空間の平面図である。
図8図8は、第2実施形態の仮想空間において、アバターの移動を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、以下に図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
まず、第1実施形態に係るトラッキングシステム1の構成について以下に説明する。図1は、本実施形態に係るトラッキングシステム1を概念的に説明するブロック図である。図2は、図1に示すトラッキングシステム1が備えるサーバ2を概念的に説明するブロック図である。図3は、図1に示すトラッキングシステム1が備える複数の端末3のそれぞれを概念的に説明するブロック図である。
【0017】
本実施形態におけるトラッキングシステム1は、図1に示すように、サーバ2と、複数の端末3と、を備える。そして、複数の端末3のそれぞれは、ネットワーク(例えば、インターネット)NT1を介してサーバ2に接続される。
【0018】
サーバ2は、例えば、ワークステーション等の電子計算機である。本実施形態に係るサーバ2は、説明の便宜のため、単独の電子計算機で説明するが、複数のワークステーションが協働して動作するクラウドシステムによって構成されてもよい。また、本実施形態に係るサーバ2は、説明の便宜のため、ECサイト(electronic commerce site)を通じてオンラインショッピングサービスを提供する機能と、ネットワークNT1に仮想空間VSを形成する機能と、を有するもので説明するが、それぞれの機能を有するサーバ2を個別に設けてもよい。
【0019】
サーバ2は、例えば、ネットワークNT1に対して接続線Wを介して接続される。そして、サーバ2は、ネットワークNT1を介して複数の端末3にそれぞれ接続される。サーバ2は、サーバ制御装置21と、サーバ記録装置22と、を備える。
【0020】
サーバ制御装置21は、当該サーバ2の各部を統括的に制御する。また、サーバ制御装置21は、サーバ記録装置22に記録されたデータに基づいてネットワークNT1に仮想空間VSを形成する。より具体的に説明すると、サーバ制御装置22は、当該サーバ2に接続可能な端末3のそれぞれの操作者が視認可能な仮想空間VSを形成する。さらに、サーバ制御装置21は、仮想空間VSにおいてアバター(登録商標)(avatar)AVを形成する。また、サーバ制御装置21は、後述するように、端末3における端末入力装置33の操作に応じて仮想空間VSにおいてアバターAVを行動させる。また、サーバ制御装置21は、後述するように、仮想空間VSにおけるアバターAVの動作をトラッキングし、当該アバターAVの動作のそれぞれを操作者ごとにサーバ記録装置22に記録する。
【0021】
仮想空間VSは、図4に示すように、複数の仮想店舗VShを備える。一例をあげると、仮想空間VSは、第1仮想店舗VSh1と、第2仮想店舗VSh2と、第3仮想店舗VSh3と、を備える。仮想店舗VShは、第1空間SP1および第2空間SP2を含む複数の空間SPを有する。本実施形態に係る仮想空間VSは、例えば、三次元である。より具体的に説明すると、図4に示す仮想空間VSでは、例えば、上下方向であるZ軸方向と、前後方向であるX軸方向と、左右方向であるY軸方向とが相互に直交する。
【0022】
サーバ記録装置22は、サーバ2の各部を作動するプログラム等の各種のデータが格納される。その上、サーバ記録装置22には、サーバ制御装置21によってデータを記録可能である。
【0023】
また、サーバ2は、マウス23a、および、キーボード23b等のサーバ入力装置23と、ディスプレイ24a、および、スピーカ24b等のサーバ出力装置24と、を備える。
【0024】
端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ等の電子計算機である。端末3のそれぞれは、例えば、ネットワークNT1に対して接続線Wを介して接続される。
【0025】
端末3は、端末制御装置31と、端末記録装置32と、を備える。端末制御装置31は、当該端末3の各部を統括的に制御する。端末記録装置32は、端末3の各部を作動するプログラム等の各種のデータが格納される。その上、端末記録装置32には、端末制御装置31によってデータを記録可能である。
【0026】
また、端末3は、例えば、ジョイスティック33a等の端末入力装置33と、スピーカ34a等の端末出力装置34と、ウェアラブルデバイス35a等の端末入出力装置35と、を備える。ウェアラブルデバイス35aは、例えば、HMD(Head Mounted Display)やスマートグラス等である。ウェアラブルデバイス35aには、出力装置であるディスプレイが付属し、かつ、例えば3軸のジャイロセンサーで構成され、入力装置である視線操作装置が付属する。
【0027】
端末3において、例えば、仮想空間VSについてのホームページから仮想空間VSのソフトウェアまたはアプリーケーション(以下、単に「アプリ」と省略する)をダウンロードし、かつ、操作者のメールアドレス、および、操作者のクレジットカードの番号等の所定の情報を端末入力装置33によってホームページの所定欄に入力することによって初期登録が完了する。その後、操作者が仮想空間VSのアプリ等を端末入力装置33で操作すると、当該端末3は、サーバ2に接続され、仮想空間VSにおける操作者のアバターAVの操作が可能になり、ウェアラブルデバイス35aのディスプレイには仮想空間VSが表示される。
【0028】
アバターAVは、操作者が、端末入力装置33によって操作可能であり、仮想空間VSで用いられる操作者の分身となる人物である。端末3を操作する操作者は、例えば、仮想空間VSに出店している複数の仮想店舗VShでのオンラインショッピングサービスを利用する者である。
【0029】
次に、端末入力装置33の操作とアバターAVとの関係について説明する。操作者がジョイスティック33aのレバーを前方へ傾斜させた場合には、仮想空間VSにおいて、アバターAVが前後方向の前方へ進む。操作者がジョイスティック33aのレバーを後方へ傾斜させた場合には、仮想空間VSにおいて、アバターAVが前後方向の後方へ進む。操作者がジョイスティック33aのレバーを右方へ傾斜させた場合には、仮想空間VSにおいて、アバターAVが左右方向の右方へ進む。操作者がジョイスティック33aのレバーを左方へ傾斜させた場合には、仮想空間VSにおいて、アバターAVが左右方向の左方へ進む。
【0030】
また、操作者がジョイスティック33aの第1ボタンを押した状態で、レバーをいずれかの方向に傾斜させた場合には、単に、レバーをいずれかの方向に傾斜させてアバターAVを移動させた場合と比べて、アバターAVの移動速度が速くなる。
【0031】
本実施形態に係るトラッキングシステム1は、仮想空間VSにおけるアバターAVを操作する操作者がどのような対象製品に興味を持っているかの調査を容易にするための構成を有する。そのため、トラッキングシステム1に関するそれらの構成について、図4図7を用いて以下に説明する。
【0032】
図4は、図1に示すトラッキングシステム1のネットワークNT1に形成される仮想空間VSにおいて、アバターAVの移動を概念的に示す図である。図5は、仮想空間VSにおけるアバターAVの移動を示す平面図である。図6は、仮想空間VSにおいて、アバターAVが取引対象Deの商品を手で持った状態を示す図である。図7は、第1仮想店舗VSh1の第1空間SP1の平面図である。
【0033】
図4に示すように、仮想空間VSには、第1仮想店舗VSh1と、第2仮想店舗VSh2と、第3仮想店舗VSh3と、を含む複数の仮想店舗VShがサーバ制御装置21によって形成される。また、本実施形態に示す取引対象Deは、例えば、商品Decである。第1仮想店舗VSh1における第1空間SP1には、例えば、第1取引対象Dec1であるランプと、第2取引対象Dec2であるテントと、第3取引対象Dec3である調理器具とが展示されている。
【0034】
仮想店舗VShのそれぞれは、第1扉D1および第2扉D2を有する。第1扉D1は、仮想空間VSの本体と第1空間SP1との隔壁である。第2扉D2は、第1空間SP1と第2空間SP2との隔壁である。そして、第1扉D1に対してアバターAVが接近した状態で、操作者がジョイスティック33aのレバーを前方へ傾斜させた場合には、アバターAVが第1仮想店舗VSh1の第1空間SP1の内部に入る。
【0035】
そして、アバターAVが仮想店舗VShにおける第1空間SP1にいる状態で、ウェアラブルデバイス35aを装着した操作者は、顔の向く方向を変更(操作)することで、アバターAVの視界が変化する。この場合において、取引対象Deがウェアラブルデバイス35aのディスプレイの中央に位置した場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deを視たものと判断し、当該アバターAVにおける当該取引対象Deのポイントをサーバ記録装置22に記憶する。本実施形態では、アバターAVが取引対象Deを視た場合のポイントは1.0である。また、一例をあげると、ウェアラブルデバイス35aのディスプレイの横方向を5分割し、かつ、縦方向を3分割することによって、ディスプレイを15分割した状態において、15分割されたディスプレイの中央に取引対象Deが位置した場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deを視たものと判断する。なお、本発明に係るトラッキングシステム1において、アバターAVが取引対象Deを視たものとサーバ制御装置21が判断するものはこれに限られない。例えば、端末入力装置33に、操作者の瞳孔を検知して視線の先を判断するセンサーを設け、当該センサーの検知に基づいて、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deを視たものと判断してもよい。
【0036】
また、図5に示す仮想空間VSには、平面視において、取引対象Deに対してアバターAVが接近した第1領域AR1と、第1領域AR1と比較して取引対象DeからアバターAVが離れた第2領域AR2と、が設定される。本実施形態では、取引対象Deに対してアバターAVが第1領域AR1に入った場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deに近づいたものと判断し、当該アバターAVにおける当該対象取引のポイントをサーバ記録装置22に記憶する。また、本実施形態では、アバターAVが取引対象Deに近づいた場合のポイントは2.0である。
【0037】
また、図5に示すように、アバターAVが速度を上げた状態で、第2領域AR2から第1領域AR1に入った場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deに高速で近づいたものと判断し、当該アバターAVにおける当該対象取引のポイントをサーバ記録装置22に記憶する。また、本実施形態では、アバターAVが取引対象Deに高速で近づいた場合のポイントは2.5である。なお、図5において、アバターAVの移動を線mで示していて、太線m1は、アバターAVが通常の速度で移動した場合を示し、細線m2は、アバターAVが通常の速度に対して高速で移動した場合を示す。
【0038】
さらに、取引対象Deに対してアバターAVが第1領域AR1に位置する状態で、操作者がジョイスティック33aの第2ボタンを押した場合には、図6に示すように、アバターAVの第1領域AR1に位置する取引対象Deを、アバターAVが手に取る。本実施形態では、取引対象DeをアバターAVが手に取った場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deを手で取ったと判断し、当該アバターAVにおける当該対象取引のポイントをサーバ記録装置22に記録する。また、本実施形態では、アバターAVが取引対象Deを手で取った場合のポイントは3.0である。なお、本発明に係るトラッキングシステム1において、アバターAVが取引対象Deを手で取ったものとサーバ制御装置21が判断するものはこれに限られない。例えば、ウェアラブルデバイス35aが、ディスプレイに映り込むアバターAVの手を認識できるものである場合には、当該アバターAVの手の先が当該取引対象Deに重なった場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが当該取引対象Deを手で取ったものと判断してもよい。
【0039】
そして、この状態において、操作者がジョイスティック33aのレバーを前方へ傾斜させた場合には、アバターAVが取引対象Deを上下方向の上方へ移動させる。また、この状態において、操作者がジョイスティック33aのレバーを後方へ傾斜させた場合には、アバターAVが取引対象Deを上下方向の下方へ移動させる。さらに、この状態において、操作者がジョイスティック33aのレバーを右方へ傾斜させた場合には、アバターAVが取引対象Deを右回転させる。また、この状態において、操作者がジョイスティック33aのレバーを左方へ傾斜させた場合には、アバターAVが取引対象Deを左回転させる。つまり、取引対象DeをアバターAVが手に持った状態で、操作者がジョイスティック33aのレバーをいずれかの方向へ傾斜させることで、操作者は、取引対象Deを観察することができる。また、ウェアラブルデバイス35aが、ディスプレイに映り込むアバターAVの手を認識できるものである場合には、実際に取引対象Deを手で持ったかのようにアバターAVの手を動かして取引対象Deを視ることができる。
【0040】
そして、アバターAVが取引対象Deを手に取った状態で、操作者がジョイスティック33aの第3ボタンを押した場合には、端末3の操作者は、当該取引対象Deの購入が可能となる(例えば、仮想店舗VShの取引対象Deに対応する実際の店舗の商品がカートに登録された状態となる)。
【0041】
一方、アバターAVが取引対象Deを手に取った状態で、操作者がジョイスティック33aの第4ボタンを押した場合には、アバターAVが取引対象Deを手から離し、第1空間SP1におけるアバターAVの移動が可能になる。
【0042】
サーバ制御装置21は、アバターAVのそれぞれに対して、それぞれの取引対象Deを視たポイントと、当該対象取引に近づいたポイントと、当該取引対象Deを手で取ったポイントと、の総和を、当該操作者の興味の数値とする。そして、サーバ制御装置21は、第1空間SP1に展示された複数の取引対象Deのそれぞれに対するポイントの総和の大小によって、操作者の興味の優劣を算出する。より具体的に説明すると、サーバ制御装置21は、第1空間SP1に展示された複数の取引対象Deのうち、もっともポイントの総和が大きいものが、操作者の最も興味を持った取引対象Deとして判断する。以下、説明を省略するが、サーバ制御装置21は、第1空間SP1に展示された複数の取引対象Deに関するポイントの総和の大小に基づいて、操作者の興味の優劣を算出する。
【0043】
この状態の下、図7に示す第1仮想店舗VSh1の第1空間SP1の内部で、第2扉D2に対してアバターAVが接近した状態で、操作者がジョイスティック33aのレバーを前方に傾斜させた場合には、アバターAVが第1空間SP1の内部から第2空間SP2の内部に入る。
【0044】
ここで、第1空間SP1において、もっともポイントの総和が大きい取引対象Deが、第2取引対象Dec2のテントだったとする。この場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第2空間SP2に展示する取引対象Deを、複数のテントに変化させる。より具体的に説明すると、サーバ制御装置21によって、第2空間SP2には、例えば、相互に形状が異なる第1テントDec21と、第2テントDec22と、第3テントDec23とを展示する。つまり、本実施形態に係るトラッキングシステム1のサーバ制御装置21は、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第1空間SP1におけるアバターAVの行動に基づいて予め第2空間SP2における取引対象Deの表示を変化させる。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態に係るトラッキングシステム1は、操作者の操作によってネットワークNT1に接続される複数の端末3と、ネットワークNT1を介して複数の端末3に接続可能なサーバ2と、を備える。サーバ2は、データを記録可能なサーバ記録装置22と、サーバ記録装置22に記録されたデータに基づいてネットワークNT1に仮想空間VSを形成するサーバ制御装置21と、を有する。端末3は、仮想空間VSにおいて操作者に対応するアバターAVを操作する端末入力装置33と、ネットワークNT1を介在させて端末入力装置33の操作をサーバ2に送信する端末制御装置31と、を備える。仮想空間VSは、複数の仮想店舗VShを備える。仮想店舗VShのそれぞれは、第1空間SP1および第2空間SP2を含む複数の空間を有する。サーバ制御装置21は、仮想空間VSにおいてアバターAVを形成し、かつ、端末入力装置33の操作に応じて仮想空間VSにおいてアバターAVを行動させる。サーバ制御装置21は、複数の仮想店舗VShのそれぞれにおいて空間のそれぞれにおいて複数の取引対象Deを展示する。サーバ制御装置21は、仮想店舗VShにおけるアバターAVの取引対象Deに対する行動をサーバ記録装置22に記録する。サーバ制御装置21は、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第1空間SP1におけるアバターAVの行動に基づいて予め第2空間SP2における取引対象Deの表示を変化させる。これにより、操作者は、自分の興味にあった取引対象Deを観察することができる。その上、本実施形態に係るトラッキングシステム1は、仮想空間VSにおけるアバターAVを操作する複数の操作者がどのような取引対象に興味を持っているかの調査を容易にすることができる。
【0046】
また、トラッキングシステム1において、サーバ制御装置21は、アバターAVが第1仮想店舗VSh1から第2仮想店舗VSh2に移動する際に、第1仮想店舗VSh1におけるアバターAVの行動に基づいて予め第2仮想店舗VSh2の空間SPにおける取引対象Deの表示を変化させる。
【0047】
本実施形態に係るトラッキングシステム1において、アバターAVの行動は、取引対象Deに近づくことである。
【0048】
本実施形態に係るトラッキングシステム1において、アバターAVの行動は、取引対象Deを視ることである。
【0049】
本実施形態に係るトラッキングシステム1において、アバターAVの行動は、取引対象Deを手に取ることである。
【0050】
本実施形態に係るトラッキングシステム1において、第1空間SP1に展示された複数のうち、任意の取引対象Deに関して、アバターAVが取引対象Deに近づいた場合のポイントと、アバターAVが取引対象Deを視た場合におけるポイントと、アバターAVが取引対象Deを手に取った場合のポイントと、が相互に異なる。サーバ制御装置21は、第1空間SP1における当該取引対象Deに対するアバターAVの行動に基づいて、アバターAVを操作する操作者の当該取引対象Deに対する興味の数値をポイントに基づいて算出し、第1空間SP1に展示された複数の取引対象Deに対する操作者の興味の優劣を算出する。
【0051】
また、サーバ2において、サーバ記録装置22に記録された複数の操作者のデータに基づいて、以下のように、サーバ制御装置21は、サーバ出力装置24のディスプレイ24aに表示を行ってもよい。すなわち、サーバ制御装置21は、サーバ出力装置24のディスプレイ24aにおいて、多数の操作者が興味を持った取引対象Deを赤で表示し、少数の操作者が興味を持った取引対象Deを青で表示し、多数と少数の間の人数の操作者が興味を持った取引対象Deを黄色で表示する。このように、操作者の人数に応じて取引対象Deの色を変えて表示することによって、複数の操作者の興味のあるものを調査し、新商品の開発に反映させることもできる。
【0052】
なお、上述した第1実施形態に係るトラッキングシステム1において、アバターの行動に対するそれぞれのポイントの数は、適宜、変更することができる。
【0053】
また、上述した第1実施形態に係るトラッキングシステム1では、操作者の興味に応じて展示される取引対象Deが変わるものを説明した。しかし、本実施形態に係るトラッキングシステム1は、それに限られない。例えば、操作者の興味に応じて、おすすめの商品が表示されてもよい。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明に係るトラッキングシステム1の第2実施形態について、図8を用いて説明する。図8は、第2実施形態に係るトラッキングシステム1のネットワークNT1に形成される仮想空間VSにおいて、アバターAVの移動を概念的に示す図である。
【0055】
なお、以下の第2実施形態に係るトラッキングシステム1において、第1実施形態に係るトラッキングシステム1の構成と異なるものについて説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0056】
本実施形態に示す取引対象Deは、例えば、サービスDesである。第1仮想店舗VSh1の第1空間SP1には、例えば第1取引対象Des1である飲食物の提供場所であるレストランの情報が表示され、第2取引対象Des2である国内旅行の情報が表示され、かつ、第3取引対象Des3である海外旅行の情報が表示される。
【0057】
ここで、第1空間SP1において、もっともポイントの総和が大きい取引対象Deが、第2取引対象Des2の国内旅行の情報だったとする。この場合、サーバ制御装置21は、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第2空間SP2において、第1取引対象Des1の仮想ディスプレイDS1の大きさ、および、第3取引対象Des3の仮想ディスプレイDS3の大きさよりも、第2取引対象Des2の仮想ディスプレイDS2の大きさを大きくする。つまり、操作者が最も興味を持った取引対象Deの仮想ディスプレイDSを最も大きく表示する。つまり、本実施形態に係るトラッキングシステム1のサーバ制御装置21は、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第1空間SP1におけるアバターAVの行動に基づいて予め第2空間SP2における取引対象Deの表示を変化させる。
【0058】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態に係るトラッキングシステム1の端末3は、パーソナルコンピュータ等の電子計算機を説明した。しかし、本実施形態に係る端末3は、それに限られず、例えば、スマートフォンでもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 トラッキングシステム
2 サーバ
3 端末
21 サーバ制御装置
22 サーバ記録装置
23 サーバ入力装置
31 端末制御装置
32 端末記録装置
SP 空間
SP1 第1空間
SP2 第2空間
VS 仮想空間
VSh 仮想店舗

【要約】
【課題】仮想空間におけるアバターを操作する操作者がどのような取引対象に興味を持っているかの調査を容易にする。
【解決手段】トラッキングシステム1は、操作者の操作によってネットワークNT1に接続される複数の端末3と、ネットワークNT1を介して複数の端末3に接続可能なサーバ2と、を備える。サーバ制御装置21は、仮想空間VSにおいてアバターAVを形成し、かつ、端末入力装置33の操作に応じて仮想空間VSにおいてアバターAVを行動させ、複数の仮想店舗VShのそれぞれにおいて空間のそれぞれにおいて複数の取引対象Deを展示し、仮想店舗VShにおけるアバターAVの取引対象Deに対する行動をサーバ記録装置22に記録し、アバターAVが第1空間SP1から第2空間SP2に移動する際に、第1空間SP1におけるアバターAVの行動に基づいて予め第2空間SP2における取引対象Deの表示を変化させる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8