(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】乗客分布予測モデルのトレーニング方法及びシステム、乗客誘導方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240415BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240415BHJP
G06N 5/04 20230101ALI20240415BHJP
B61D 37/00 20060101ALN20240415BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/40
G06N5/04
B61D37/00 G
(21)【出願番号】P 2023517841
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094495
(87)【国際公開番号】W WO2022062432
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】202011029942.4
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518309666
【氏名又は名称】中南大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 輝
(72)【発明者】
【氏名】段 鋳
(72)【発明者】
【氏名】秦 進
(72)【発明者】
【氏名】呉 海平
(72)【発明者】
【氏名】尹 詩
(72)【発明者】
【氏名】陳 超
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094044(JP,A)
【文献】国際公開第2020/119450(WO,A1)
【文献】特表2022-501729(JP,A)
【文献】特表2001-510416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0201092(US,A1)
【文献】特開2016-147620(JP,A)
【文献】特開2020-046939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 5/04
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法であって、
各車両の空間位置座標系を確立し、温湿度センサーとCO
2濃度センサーで構成された収集装置を各車両に取り付け、各収集装置を1つのサンプル収集ポイントとして、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得するステップと、
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO
2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得し、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO
2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成するステップと、
前記サンプリング周期の終点時刻での各車両の乗客位置を記録し、乗客に対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち、各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を取得するステップと、
各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換し、前記二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値及び極小値を計算するステップと、
前記二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ前記度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出するステップであって、前記度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指すステップと、
前記画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトルを構成し、元の特徴ベクトルをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得るステップと、
前記画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得て、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応するステップと、
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて前記分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得るステップであって、前記トレーニングサンプルは各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものであるステップとを含む、ことを特徴とする地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項2】
前記空間位置座標系はルーフ面の横方向中心線をx軸とし、ルーフ面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系であり、又は前記空間位置座標系は地面の横方向中心線をx軸とし、地面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系である、ことを特徴とする請求項1に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項3】
各車両の頂部にはアレイ状に配置された15個の前記収集装置が取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項4】
各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換する具体的なプロセスは以下のとおりであり、
各車両の前記空間位置座標系のx軸方向に沿って車両をW等分割し、各車両の前記空間位置座標系のy軸方向に沿って車両をL等分割し、各車両の空間をW×L個の独立したユニットに変換し、
各前記独立したユニットを1つの画素点として設定し、各前記独立したユニット内の乗客数が画素点の画素値であり、
すべての画素点の画素値を取得し、乗客分布状況をW×L個の画素点で構成される二値化画像に変換する、ことを特徴とする請求項1に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項5】
前記画素点の振幅と勾配方向の計算公式はそれぞれ、
【数37】
G
x(l,w)=I(l+1,w)-I(l-1,w)、 G
y(l,w)=I(l,w+1)-I(l,w-1)であり、
ここで、G(l,w)は画素点の振幅であり、θ(l,w)は画素点の勾配方向であり、G
x(l,w)は画素点の空間位置座標系のx軸方向に沿った勾配振幅であり、G
y(l,w)は画素点の空間位置座標系のy軸方向に沿った勾配振幅であり、I(l+1,w)はl+1行w列目の画素点の画素値であり、I(l-1,w)はl-1行w列目の画素点の画素値であり、l=1,2,3、…、Lであり、w=1,2,3、…、Wであり、wは各車両の空間位置座標系のx軸方向に沿って車両を等分割する数であり、Lは各車両の空間位置座標系のy軸方向に沿って車両を等分割する数である、ことを特徴とする請求項1に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項6】
前記クラスタリングアルゴリズムがOPTICSアルゴリズムであり、且つOPTICSアルゴリズムの初期近傍距離パラメータεを0.2に、初期近傍サンプルパラメータMinPtsを3に設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項7】
前記トレーニングサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO
2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO
2濃度時系列特徴ベクトルを用い、前記温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO
2濃度時系列特徴ベクトルの取得方法は以下のとおりであり、
温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおける温度時系列を2つの温度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の温度トレーニングセット及び該温度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第1トレーニングセットを構成し、他方の温度トレーニングセットが第2トレーニングセットであり、第1トレーニングセットを用いて温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第2トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、温度時系列特徴ベクトルを得、
湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおける湿度時系列を2つの湿度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の湿度トレーニングセット及び該湿度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第3トレーニングセットを構成し、他方の湿度トレーニングセットが第4トレーニングセットであり、第3トレーニングセットを用いて湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第4トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、湿度時系列特徴ベクトルを得、
CO
2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおけるCO
2濃度時系列を2つのCO
2濃度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方のCO
2濃度トレーニングセット及び該CO
2濃度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第5トレーニングセットを構成し、他方のCO
2濃度トレーニングセットが第6トレーニングセットであり、第5トレーニングセットを用いてCO
2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みのCO
2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みのCO
2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第6トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、CO
2濃度時系列特徴ベクトルを得る、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項8】
複数のトレーニングサブシステムを含み、車両のそれぞれが1つのトレーニングサブシステムに対応する地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニングシステムであって、各前記トレーニングサブシステムはいずれも車両の頂部に設けられる複数の収集装置及び制御装置を含み、前記収集装置は温湿度センサーとCO
2濃度センサーを含み、
前記制御装置は、
各車両の空間位置座標系を確立し、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得し、各収集装置を1つのサンプル収集ポイントとすることに用いられる座標系確立ユニットと、
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO
2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得することに用いられる環境データ取得ユニットであって、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO
2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で、各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成する環境データ取得ユニットと、
記録した前記サンプリング周期の終点時刻での各車両の乗客位置に基づいて、乗客の対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち、各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を取得することに用いられる乗客分布取得ユニットと、
各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換し、前記二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値及び極小値を計算し、前記二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ前記度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出することに用いられる画像変換及び特徴抽出ユニットであって、前記度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指す画像変換及び特徴抽出ユニットと、
前記画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトルを構成し、元の特徴ベクトルをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得ることに用いられるクラスタ分類ユニットと、
前記画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得て、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応することに用いられる符号化ユニットと、
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて前記分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得ることに用いられるモデルトレーニングユニットであって、前記トレーニングサンプルは各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものであるモデルトレーニングユニットとを含む、ことを特徴とする地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニングシステム。
【請求項9】
環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法であって、
各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO
2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される環境データサンプルをリアルタイムに取得するステップと、
前記環境データサンプルを対応する車両の請求項1~7のいずれか1項に記載のトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得るステップと、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドするステップとを含む、ことを特徴とする環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法。
【請求項10】
前記環境データサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO
2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO
2濃度時系列特徴ベクトルを用い、前記温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO
2濃度時系列特徴ベクトルの取得方法は以下のとおりであり、
前記温度時系列を請求項7に記載の分類層を除去したトレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルは対応する温度時系列特徴ベクトルであり、
前記湿度時系列を請求項7に記載の分類層を除去したトレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応する湿度時系列特徴ベクトルであり、
前記CO
2濃度時系列を請求項7に記載の分類層を除去したトレーニング済みのCO
2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応するCO
2濃度時系列特徴ベクトルである、ことを特徴とする請求項9に記載の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法。
【請求項11】
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を制御する具体的なプロセスは以下のとおりであり、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて現在の画像クラスタリング結果を得て、現在の画像クラスタリング結果に基づいて現在の画像の対応するクラスタ中心を決定し、
前記クラスタ中心に最も近いS枚の二値化画像を対応するカテゴリの典型的なクラスタ画像と定義し、S枚の前記典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算して、各該カテゴリ下の画素平均画像を得、
各車両の照明灯管のレイアウトに基づいて、各照明灯管に1つの照明領域を割り当て、且つ各照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値を計算し、
前記画素平均画像における画素の最大値が画素閾値よりも大きいと、照明ガイドを起動し、次のステップに進み、そうでない場合、照明ガイドを必要とせず、
前記画素平均画像における画素平均値が画素閾値よりも大きい画素点を抽出し、画素閾値よりも大きい画素点でガイド対象の画素点集合を構成し、
照明灯管の空間位置座標系における座標、ガイド対象の画素点集合における画素点の空間位置座標系における座標、及び照明領域内の画素点の画素平均値に基づいて、照明ガイド係数を計算し、具体的な計算表現式は、
【数38】
であり、
ここで、β
nは照明ガイド係数であり、A
nはn番目の照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値であり、
【数39】
はn番目の照明灯管の空間位置座標系における座標であり、
【数40】
はガイド対象の画素点集合における1番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数41】
はガイド対象の画素点集合における2番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数42】
はガイド対象の画素点集合におけるH番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、Hはガイド対象の画素点集合における画素点の数であり、
β
n値の順に従ってβ
n値に対応する照明領域内の照明灯管の輝度を順次調節し、乗客がβ
n値の小さい照明領域へ流れるようにガイドする、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の地下鉄車両の乗客誘導方法。
【請求項12】
環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導システムであって、
各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO
2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される環境データサンプルをリアルタイムに取得することに用いられるリアルタイムデータ取得ユニットと、
前記環境データサンプルを対応する車両の請求項1~7のいずれか1項に記載のトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得ることに用いられる予測ユニットと、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドすることに用いられる調節及びガイドユニットとを含む、環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導システム。
【請求項13】
前記調節及びガイドユニットは、具体的に、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて現在の画像クラスタリング結果を得て、現在の画像クラスタリング結果に基づいて現在の画像の対応するクラスタ中心を決定し、
前記クラスタ中心に最も近いS枚の二値化画像を対応するカテゴリの典型的なクラスタ画像と定義し、S枚の前記典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算して、各該カテゴリ下の画素平均画像を得、
各車両の照明灯管のレイアウトに基づいて、各照明灯管に1つの照明領域を割り当て、且つ各照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値を計算し、
前記画素平均画像における画素の最大値が画素閾値よりも大きいと、照明ガイドを起動し、次のステップに進み、そうでない場合、照明ガイドを必要とせず、
前記画素平均画像における画素平均値が画素閾値よりも大きい画素点を抽出し、画素閾値よりも大きい画素点でガイド対象の画素点集合を構成し、
照明灯管の空間位置座標系における座標、ガイド対象の画素点集合における画素点の空間位置座標系における座標、及び照明領域内の画素点の画素平均値に基づいて、照明ガイド係数を計算し、具体的な計算表現式は、
【数43】
であり、
ここで、β
nは照明ガイド係数であり、A
nはn番目の照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値であり、
【数44】
はn番目の照明灯管の空間位置座標系における座標であり、
【数45】
はガイド対象の画素点集合における1番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数46】
はガイド対象の画素点集合における2番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数47】
はガイド対象の画素点集合におけるH番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、Hはガイド対象の画素点集合における画素点の数であり、
β
n値の順に従ってβ
n値に対応する照明領域内の照明灯管の輝度を順次調節し、乗客がβ
n値の小さい照明領域へ流れるようにガイドすることに用いられる、ことを特徴とする請求項12に記載の地下鉄車両の乗客誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市軌道交通運行の技術分野に属し、特に地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法及びシステム、環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
中国の軌道交通システムの絶え間ない発展に伴って、軌道交通システムの運行サービスのレベルを向上させることは都市軌道交通の発展を推進するための重要な力となっている。地下鉄乗車中に、乗客が車両の各区域の混雑程度を客観的に感知できないため、一部の区域が混雑しすぎて一部の区域が空いており、地下鉄車両の空間利用率及び乗客の乗車体験に深刻な影響を与えてしまう。従って、車両とプラットホームの乗客の集まり具合をリアルタイムに感知し、乗客が少ない場所に流れるようにガイドし、地下鉄の空間利用率を向上させる必要がある。
【0003】
地下鉄乗客誘導システム及び方法は乗客密度情報の取得と誘導情報の配信の2つのキー技術を含む。現在、乗客密度情報の取得は主に画像検出又は圧力センサーに基づいた方法を用いる。画像検出に基づいた方法は、人が流れている場合、遮断されている場合等に、乗客密度検出の能力を保証することができず、圧力センサーに基づいた方法は、圧力センサーを増設するために地面全体を侵入的に改造する必要があり、例えば、公開番号CN110281979Aの特許出願には、地下鉄車両の床面に圧電センサーを取り付けることにより車両内の乗客密度を検出する方法が提案されている。
【0004】
現在、乗客密度の誘導システム及び方法は主に音声提示又は表示画面による提示の方法を用い、たとえば、登録番号CN107244330Bの特許には、地下鉄車両に隔離バーを増設し、音声提示情報と組み合わせて乗客の規則的な流れをガイドする方法が提案されているが、音声提示が騒々しい乗車環境においては聞き取りにくく、表示画面による提示は乗客に注意を喚起しにくい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、人の流れ、遮蔽状況で乗客密度の検出能力を保証できず、圧電センサが乗客密度を検出するために侵入式改造を行う必要があり、音声提示の対応性が悪く、表示画面による提示が乗客の注意を得にくいという問題を解決するように、乗客分布予測モデルのトレーニング方法及びシステム、乗客誘導方法及びシステムを提供することである。
【0006】
第1態様によれば、地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法を提供し、
各車両の空間位置座標系を確立し、温湿度センサーとCO2濃度センサーで構成された収集装置を各車両に取り付け、各収集装置を1つのサンプル収集ポイントとして、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得するステップであって、前記空間位置座標系はルーフ面又は地面に平行な2次元直交座標系であり、又は前記空間位置座標系はルーフ面又は地面と重なる2次元直交座標系であるステップと、
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得し、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成するステップと、
前記サンプリング周期の終点時刻での各車両の乗客位置を記録し、乗客の対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち、各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を取得するステップと、
各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換し、前記二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値及び極小値を計算するステップと、
前記二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ前記度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出するステップであって、前記度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指すステップと、
前記画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトルを構成し、元の特徴ベクトルをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得るステップと、
前記画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得て、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応するステップと、
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて前記分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得るステップであって、前記トレーニングサンプルは各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものであるステップとを含む。
【0007】
本発明では、乗客密度の変化により車両内の温度、湿度及びCO2濃度分布が変化する特徴を利用して、乗客分布状況のインテリジェントな感知を実現し、画像による乗客分布検出における人の流れや遮断という問題を回避し、且つ圧力センサーによる乗客分布検出における床面の侵入的な改造という難題を回避し、各車両内の乗客分布データを空間位置座標系にマッピングして、乗客分布状況を画素で説明し、画像クラスタリングの方式で乗客分布モードのインテリジェントな分類を実現し、車両内の乗客分布モードの補助や典型的な分布モードの記述が不正確であるという問題を解決する。
【0008】
さらに、前記空間位置座標系はルーフ面の横方向中心線をx軸とし、ルーフ面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系であり、又は前記空間位置座標系は地面の横方向中心線をx軸とし、地面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系である。
【0009】
さらに、各車両の頂部にはアレイ状に配置された15個の前記収集装置が取り付けられる。
【0010】
さらに、各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換する具体的なプロセスは以下のとおりであり、
各車両の前記空間位置座標系のx軸方向に沿って車両をW等分割し、各車両の前記空間位置座標系のy軸方向に沿って車両をL等分割し、各車両の空間をW×L個の独立したユニットに変換し、
各前記独立したユニットを1つの画素点として設定し、各前記独立したユニット内の乗客数が画素点の画素値であり、
すべての画素点の画素値を取得し、乗客分布状況をW×L個の画素点で構成される二値化画像に変換する。
【0011】
好ましくは、Lは3であり、Wは10である。
【0012】
前記画素点の振幅と勾配方向の計算公式はそれぞれ、
【数1】
G
x(l,w)=I(l+1,w)-I(l-1,w)、 G
y(l,w)=I(l,w+1)-I(l,w-1)であり、
ここで、G(l,w)は画素点の振幅であり、θ(l,w)は画素点の勾配方向であり、G
x(l,w)は画素点の空間位置座標系のx軸方向に沿った勾配振幅であり、G
y(l,w)は画素点の空間位置座標系のy軸方向に沿った勾配振幅であり、I(l+1,w)はl+1行w列目の画素点の画素値であり、I(l-1,w)はl-1行w列目の画素点の画素値であり、l=1,2,3、…、Lであり、w=1,2,3、…、Wであり、wは各車両の空間位置座標系のx軸方向に沿って車両を等分割する数であり、Lは各車両の空間位置座標系のy軸方向に沿って車両を等分割する数である。
【0013】
さらに、前記クラスタリングアルゴリズムがOPTICSアルゴリズムであり、且つOPTICSアルゴリズムの初期近傍距離パラメータεを0.2に、初期近傍サンプルパラメータMinPtsを3に設定する。
【0014】
OPTICSアルゴリズムは入力パラメータに対して感度がなく、クラスタリング結果の正確性が向上する。
【0015】
好ましくは、前記分布予測モデルはサポートベクターマシンモデル、関連ベクターマシンモデル又はニューラルネットワークモデルのうちのいずれかである。
【0016】
さらに、前記トレーニングサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルを用い、前記温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルの取得方法は以下のとおりであり、
温度時系列LSTM(Long Short-Term Memory)ニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおける温度時系列を2つの温度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の温度トレーニングセット及び該温度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第1トレーニングセットを構成し、他方の温度トレーニングセットが第2トレーニングセットであり、第1トレーニングセットを用いて温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第2トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、温度時系列特徴ベクトルを得、
湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおける湿度時系列を2つの湿度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の湿度トレーニングセット及び該湿度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第3トレーニングセットを構成し、他方の湿度トレーニングセットが第4トレーニングセットであり、第3トレーニングセットを用いて湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第4トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、湿度時系列特徴ベクトルを得、
CO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、トレーニングサンプルにおけるCO2濃度時系列を2つのCO2濃度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方のCO2濃度トレーニングセット及び該CO2濃度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第5トレーニングセットを構成し、他方のCO2濃度トレーニングセットが第6トレーニングセットであり、第5トレーニングセットを用いてCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第6トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、CO2濃度時系列特徴ベクトルを得る。
【0017】
元の温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の次元が高く、LSTMニューラルネットワークモデルによって対応する特徴ベクトルを抽出し、特徴ベクトルの次元を低下させ、トレーニング及びテストの複雑さを低下させる。
【0018】
第2態様によれば、本発明は、複数のトレーニングサブシステムを含み、車両のそれぞれが1つのトレーニングサブシステムに対応する地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニングシステムをさらに提供し、各前記トレーニングサブシステムはいずれも車両の頂部に設けられる複数の収集装置及び制御装置を含み、前記収集装置は温湿度センサーとCO2濃度センサーを含み、
前記制御装置は、
各車両の空間位置座標系を確立し、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得し、各収集装置をサンプル収集ポイントとすることに用いられる座標系確立ユニットと、
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得することに用いられる環境データ取得ユニットであって、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で、各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成する環境データ取得ユニットと、
記録した前記サンプリング周期の終点時刻での各車両の乗客位置に基づいて、乗客の対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち、各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を取得することに用いられる乗客分布取得ユニットと、
各車両の前記サンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換し、前記二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値及び極小値を計算し、前記二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ前記度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出することに用いられる画像変換及び特徴抽出ユニットであって、前記度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指す画像変換及び特徴抽出ユニットと、
前記画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトルを構成し、元の特徴ベクトルをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得ることに用いられるクラスタ分類ユニットと、
前記画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得て、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応することに用いられる符号化ユニットと、
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて前記分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得ることに用いられるモデルトレーニングユニットであって、前記トレーニングサンプルは各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものであるモデルトレーニングユニットとを含む。
【0019】
第3態様によれば、本発明は環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法をさらに提供し、
各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される環境データサンプルをリアルタイムに取得するステップと、
前記環境データサンプルを対応する車両の第1態様に記載のトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得るステップと、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドするステップとを含む。
【0020】
車両内の照明灯管の輝度を調節する方式で乗客の流れをガイドし、たとえば、乗客分布密度の大きい領域の照明灯管を暗く調節し、乗客分布密度の小さい領域の照明灯管を明るく調節し、乗客が乗客密度の小さい領域(すなわち広々としている領域)に規則的に流れるようにガイドし、車両の騒々しい環境による干渉を回避し、且つ照明ガイドの方式はシンプルで、直接的で、受容性が高いという優位性を有する。
【0021】
さらに、前記環境データサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルを用い、前記温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルの取得方法は以下のとおりであり、
前記温度時系列を第1態様に記載の分類層を除去したトレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルは対応する温度時系列特徴ベクトルであり、
前記湿度時系列を第1態様に記載の分類層を除去したトレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応する湿度時系列特徴ベクトルであり、
前記CO2濃度時系列を第1態様に記載の分類層を除去したトレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応するCO2濃度時系列特徴ベクトルである。
【0022】
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を制御する具体的なプロセスは以下のとおりであり、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて現在の画像クラスタリング結果を得て、現在の画像クラスタリング結果に基づいて現在の画像の対応するクラスタ中心を決定し、
前記クラスタ中心に最も近いS枚の二値化画像を対応するカテゴリの典型的なクラスタ画像と定義し、S枚の前記典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算して、各該カテゴリ下の画素平均画像を得、
各車両の照明灯管のレイアウトに基づいて、各照明灯管に1つの照明領域を割り当て、且つ各照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値を計算し、
前記画素平均画像における画素の最大値が画素閾値よりも大きいと、照明ガイドを起動し、次のステップに進み、そうでない場合、照明ガイドを必要とせず、
前記画素平均画像における画素平均値が画素閾値よりも大きい画素点を抽出し、画素閾値よりも大きい画素点でガイド対象の画素点集合を構成し、
照明灯管の空間位置座標系における座標、ガイド対象の画素点集合における画素点の空間位置座標系における座標、及び照明領域内の画素点の画素平均値に基づいて、照明ガイド係数を計算し、具体的な計算表現式は、
【数2】
であり、
ここで、β
nは照明ガイド係数であり、A
nはn番目の照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値であり、
【数3】
はn番目の照明灯管の空間位置座標系における座標であり、
【数4】
はガイド対象の画素点集合における1番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数5】
はガイド対象の画素点集合における2番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数6】
はガイド対象の画素点集合におけるH番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、Hはガイド対象の画素点集合における画素点の数であり、
β
n値の順に従ってβ
n値に対応する照明領域内の照明灯管の輝度を順次調節し、乗客がβ
n値の小さい照明領域へ流れるようにガイドする。
【0023】
好ましくは、画素閾値は15である。
【0024】
第4態様によれば、本発明は環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導システムをさらに提供し、
各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される環境データサンプルをリアルタイムに取得することに用いられるリアルタイムデータ取得ユニットと、
前記環境データサンプルを対応する車両の第1態様に記載のトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得ることに用いられる予測ユニットと、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドすることに用いられる調節及びガイドユニットとを含む。
【0025】
さらに、前記調節及びガイドユニットは、具体的に、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて現在の画像クラスタリング結果を得て、現在の画像クラスタリング結果に基づいて現在の画像の対応するクラスタ中心を決定し、
前記クラスタ中心に最も近いS枚の二値化画像を対応するカテゴリの典型的なクラスタ画像と定義し、S枚の前記典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算して、各該カテゴリ下の画素平均画像を得、
各車両の照明灯管のレイアウトに基づいて、各照明灯管に1つの照明領域を割り当て、且つ各照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値を計算し、
前記画素平均画像における画素の最大値が画素閾値よりも大きいと、照明ガイドを起動し、次のステップに進み、そうでない場合、照明ガイドを必要とせず、
前記画素平均画像における画素平均値が画素閾値よりも大きい画素点を抽出し、画素閾値よりも大きい画素点でガイド対象の画素点集合を構成し、
照明灯管の空間位置座標系における座標、ガイド対象の画素点集合における画素点の空間位置座標系における座標、及び照明領域内の画素点の画素平均値に基づいて、照明ガイド係数を計算し、具体的な計算表現式は、
【数7】
であり、
ここで、β
nは照明ガイド係数であり、A
nはn番目の照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値であり、
【数8】
はn番目の照明灯管の空間位置座標系における座標であり、
【数9】
はガイド対象の画素点集合における1番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数10】
はガイド対象の画素点集合における2番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数11】
はガイド対象の画素点集合におけるH番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、Hはガイド対象の画素点集合における画素点の数であり、
β
n値の順に従ってβ
n値に対応する照明領域内の照明灯管の輝度を順次調節し、乗客がβ
n値の小さい照明領域へ流れるようにガイドすることに用いられる。
【0026】
従来技術に比べて、本発明に係る乗客分布予測モデルのトレーニング方法及びシステム、乗客誘導方法及びシステムは、乗客密度の変化により車両内の温度、湿度及びCO2濃度分布が変化する特徴を利用して、乗客分布状況のインテリジェントな感知を実現し、画像による乗客分布検出における人の流れや遮断という問題を回避し、且つ圧力センサーによる乗客分布検出における床面の侵入的な改造という難題を回避し、各車両内の乗客分布データを空間位置座標系にマッピングして、乗客分布状況を画素で説明し、画像クラスタリングの方式で乗客分布モードのインテリジェントな分類を実現し、車両内の乗客分布モードの補助や典型的な分布モードの記述が不正確であるという問題を解決し、車両内の照明灯管の輝度を調節する方式で乗客の流れをガイドし、たとえば、乗客分布密度の大きい領域の照明灯管を暗く調節し、乗客分布密度の小さい領域の照明灯管を明るく調節し、乗客が乗客密度の小さい領域(すなわち広々としている領域)に規則的に流れるようにガイドし、車両の騒々しい環境による干渉を回避し、且つ照明ガイドの方式はシンプルで、直接的で、受容性が高いという優位性を有する。
【0027】
本発明の技術解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用される必要のある図面を簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は本発明の1つの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいてその他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例における地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例における環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例における照明灯管のレイアウト及び照明領域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例の図面を参照しつつ、本発明の技術解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働を必要とせずに取得する全てのその他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0030】
図1に示すように、本実施例に係る地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法は、以下を含む。
【0031】
1、 トレーニングサンプルの取得
【0032】
1.1 座標系の確立、収集装置の設置
【0033】
各車両の空間位置座標系を確立し、温湿度センサーとCO2濃度センサーで構成された収集装置を各車両に取り付け、各収集装置を1つのサンプル収集ポイントとして、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得する。空間位置座標系はルーフ面又は地面に平行な2次元直交座標系であり、又は空間位置座標系はルーフ面又は地面と重なる2次元直交座標系である。空間位置座標系は、サンプル収集ポイント、乗客(又は乗客で構成された独立したユニット)の該空間位置座標系へのマッピングを便利にする。
【0034】
本実施例では、空間位置座標系はルーフ面の横方向中心線をx軸とし、ルーフ面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系であり、又は空間位置座標系は地面の横方向中心線をx軸とし、地面の縦方向中心線をy軸とした2次元直交座標系である。
【0035】
地下鉄車両内の乗客分布と環境パラメータとのマッピング関係を取得するために、まず収集装置により元の環境データを収集する。各車両の頂部において3×5のアレイ状に配置された15個の収集装置を取り付け、i番目のサンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標をPi=(xi,yi)に設定し、i=1,2,…oであり、本実施例では、oが15である。
【0036】
1.2 トレーニング入力サンプル(すなわち元の環境データサンプル)の取得
【0037】
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得し、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成する。
【0038】
地下鉄が到着し、遮蔽ドアが開く時刻をサンプリング周期の時間起点0と定義し、乗客の乗り込みが完了し且つ位置がほぼ安定する(すなわち人の流れがない)時刻を収集周期の終点Tと定義し、収集装置により1つのサンプリング周期内のi番目のサンプル収集ポイントの温度時系列
【数12】
、湿度時系列
【数13】
及びCO
2濃度時系列
【数14】
を取得し、ここで、t
0はサンプリングの時間間隔であり、Tはサンプリング周期の持続時間であり、
【数15】
はi番目のサンプル収集ポイントの時刻tでの温度値であり、
【数16】
はi番目のサンプル収集ポイントの時刻tでの湿度値であり、
【数17】
はi番目のサンプル収集ポイントの時刻tでのCO
2濃度値である。現地の当日の平均温度値temp
0、平均湿度値Rh
0を取得し、1つのサンプリング周期内(時刻0~時刻T)で取得した環境データサンプルは、
【数18】
である。
【0039】
1.3 トレーニング出力サンプル(すなわち乗客分布符号)の取得
【0040】
1.31 乗客分布状況の取得
【0041】
他の乗客分布収集方式における遮断等により乗客分布検出の正確性が低いという問題を回避するために、人口統計の方式でサンプリング周期の終点時刻Tでの各車両の乗客位置を記録し、乗客の対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち各車両のサンプリング周期内の乗客分布状況を取得し、具体的に、D={xj,yj,j=1,2,…,N}として表され、ここで、jはj番目の乗客であり、Nは該車両内の乗客数であり、(xj,yj)はj番目の乗客の対応する空間位置座標系における位置座標である。
【0042】
1.32 各車両の乗客分布モードを符号化する
【0043】
乗客分布状況を定量的に説明するために、乗客分布モードを符号化し、具体的な符号化ステップは以下のとおりであり、
【0044】
a.各車両のサンプリング周期内(時刻0~時刻T)の乗客分布状況を二値化画像に変換し、具体的に以下のとおりであり、
a1.各車両の空間位置座標系のx軸方向に沿って車両をW等分割し、各車両の空間位置座標系のy軸方向に沿って車両をL等分割し、各車両の空間をW×L個の独立したユニットに変換する。本実施例では、L=3、W=10である。
a2.各独立したユニットを1つの画素点として設定し、各独立したユニット内の乗客数が画素点の画素値であり、すなわちl行w列目の独立したユニット内の乗客数I(l,w)はl行w列目の画素点の画素値であり、l=1,2,3、…、Lであり、w=1,2,3、…、Wである。
a3.すべての画素点の画素値を取得し、乗客分布状況をW×L個の画素点で構成される二値化画像に変換する。
【0045】
b.二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値I
max及び極小値I
minを計算する。
二値化画像における各画素点の平均値
【数19】
は
【数20】
であり、
二値化画像における各画素点の分散I
SDEは
【数21】
である。
【0046】
c.二値化画像の画素値が異なる方向に沿って変化する特徴を取得するために、二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出し、度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指す。
【0047】
二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向の計算公式はそれぞれ、
【数22】
G
x(l,w)=I(l+1,w)-I(l-1,w) (5)
G
y(l,w)=I(l,w+1)-I(l,w-1) (6)であり、
【0048】
ここで、G(l,w)は画素点の振幅であり、θ(l,w)は画素点の勾配方向であり、Gx(l,w)は画素点の空間位置座標系のx軸方向に沿った勾配振幅であり、Gy(l,w)は画素点の空間位置座標系のy軸方向に沿った勾配振幅であり、I(l+1,w)はl+1行w列目の画素点の画素値であり、I(l-1,w)はl-1行w列目の画素点の画素値である。
【0049】
本実施例では、R=9であり、すなわち、勾配方向が[0,180°]内で9等分割され、[0,20°)、[20,40°)、[40,60°)、[60,80°)、[80,100°)、[100,120°)、[120,140°)、[140,160°)、[160,180°]という9つの勾配方向区間が構築される。各サンプリング周期の時間起点で、各区間の初期度数値が0であり、すなわち、勾配方向の該区間での積算画素値が0であり、初期勾配方向の度数ベクトルがF0={0,0,0,0,0,0,0,0,0}であり、F0は9つの区間の初期度数値がいずれも0であることを表す。勾配方向の度数ベクトルをFl×w={f1,…fr,…f9}に設定し、l×w番目の画素点の勾配方向がr番目の区間にあると、更新後の勾配方向の度数ベクトルがFl×w={f1,…fr+G(l,w),…f9}であり、ここで、l×w=1,2,…L×Wであり、r=1,2,…9である。すべての画素点のトラバーサルを完了した後に取得した最後の勾配方向の度数ベクトルFL×Wは該二値化画像の度数分布特徴である。
【0050】
d.画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトル
【数23】
を構成し、元の特徴ベクトルPをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得る。
【0051】
クラスタリングアルゴリズムを用いて分類することは従来技術である。本実施例では、クラスタリングアルゴリズムがOPTICSアルゴリズムを用いて二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を取得し、OPTICSアルゴリズムの初期近傍距離パラメータεを0.2に、初期近傍サンプルパラメータMinPtsを3に設定する。OPTICSアルゴリズムは従来技術であり、OPTICSアルゴリズムは入力パラメータに対して感度がなく、クラスタリング結果の正確性が向上する。
【0052】
e.画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応する。
【0053】
クラスタリング結果が同一のカテゴリに属する画像は同一のカテゴリの画像であり、同一のカテゴリの画像の対応する乗客分布モードは同一のカテゴリの分布モードであり、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応する。たとえば、画像クラスタリング結果として画像を5つのカテゴリに分割すると、2進符号化に応じて、[1,0,0,0,0]T、[0,1,0,0,0]T、[0,0,1,0,0]T、[0,0,0,1,0]T及び[0,0,0,0,1]Tの5つの乗客分布符号を取得することができる。属するカテゴリにおける画像サンプルの数に応じて降順にソートして、第1カテゴリの乗客分布符号が[1,0,0,0,0]Tであり、第2カテゴリの乗客分布符号が[0,1,0,0,0]Tであり、第3カテゴリの乗客分布符号が[0,0,1,0,0]Tであり、第4カテゴリの乗客分布符号が[0,0,0,1,0]Tであり、第5カテゴリの乗客分布符号が[0,0,0,0,1]Tである。
【0054】
1.4 元の環境データサンプルの処理
【0055】
元の環境データサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の次元が高く、入力するトレーニングサンプルの次元を減少させ、以降のモデルトレーニングとテストの複雑さを減少させるために、LSTMニューラルネットワークモデルを確立することにより特徴ベクトルを抽出し、具体的なプロセスは以下のとおりであり、
【0056】
温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、第1トレーニングセットを用いて温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第2トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、温度時系列特徴ベクトルを得、ステップ1.21における1つのサンプリング周期内の温度時系列を2つの温度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の温度トレーニングセット及び該温度トレーニングセットに対応する乗客分布符号(ステップe)が第1トレーニングセットを構成し、他方の温度トレーニングセットが第2トレーニングセットである。たとえば、1つのサンプリング周期内の温度時系列
【数24】
を5:3で2つの温度トレーニングセットに分割すると、時系列長さが
【数25】
であり、特徴次元がサンプル収集ポイント数oである。湿度時系列とCO
2濃度時系列が類似する。
【0057】
湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、第3トレーニングセットを用いて湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第4トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、湿度時系列特徴ベクトルを得、ステップ1.21における1つのサンプリング周期内の湿度時系列を2つの湿度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方の湿度トレーニングセット及び該湿度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第3トレーニングセットを構成し、他方の湿度トレーニングセットが第4トレーニングセットである。
【0058】
CO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを確立し、第5トレーニングセットを用いてCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルをトレーニングし、トレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルを得、トレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルの分類層を除去し、第6トレーニングセットを入力とし、全結合層が出力したベクトルを出力として、CO2濃度時系列特徴ベクトルを得、ステップ1.21における1つのサンプリング周期内のCO2濃度時系列を2つのCO2濃度トレーニングセットにランダムに分割し、そのうち一方のCO2濃度トレーニングセット及び該CO2濃度トレーニングセットに対応する乗客分布符号が第5トレーニングセットを構成し、他方のCO2濃度トレーニングセットが第6トレーニングセットである。
【0059】
トレーニング入力サンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルを用い、トレーニング入力サンプルにおける新しい環境データサンプルE’を取得する。
【0060】
LSTMニューラルネットワークモデルの確立は従来技術である。本実施例では、LSTMニューラルネットワークモデルの隠れ層のニューロン数が100であり、トレーニング反復の回数が2000である。2、各車両の分布予測モデルを確立し、分布予測モデルをトレーニングする(すなわち、環境データと乗客分布との間のマッピング関係を取得する)。
【0061】
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得、トレーニングサンプルは、ステップ1における該車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの新しい環境データサンプルE’を入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものである。
【0062】
分布予測モデルはサポートベクターマシンモデル、関連ベクターマシンモデル又はニューラルネットワークモデルのうちのいずれかであってもよく、分布予測モデルの確立は従来技術である。
【0063】
本実施例に係る地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニングシステムは、複数のトレーニングサブシステムを含み、車両のそれぞれが1つのトレーニングサブシステムに対応し、各トレーニングサブシステムはいずれも車両の頂部に設けられる複数の収集装置及び制御装置を含み、収集装置は温湿度センサーとCO2濃度センサーを含む。収集装置の設置はステップ1.1における記載を参照する。
【0064】
制御装置については、地下鉄全体が1つの制御装置を共用してもよく、又は車両のそれぞれが1つの制御装置に対応してもよく、地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法に対応し、制御装置は、
各車両の空間位置座標系を確立し、各サンプル収集ポイントの対応する空間位置座標系における取り付け位置座標を取得し、各収集装置を1つのサンプル収集ポイントとすることに用いられる座標系確立ユニットと、
各車両の1つのサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列を取得し、現地の当日の平均温度値と平均湿度値を取得することに用いられる環境データ取得ユニットであって、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で、各車両のサンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを構成する環境データ取得ユニットと、
記録したサンプリング周期の終点時刻での各車両の乗客位置に基づいて、乗客の対応する空間位置座標系における位置座標を取得し、すなわち、各車両のサンプリング周期内の乗客分布状況を取得することに用いられる乗客分布取得ユニットと、
各車両のサンプリング周期内の乗客分布状況を二値化画像に変換し、式(1)と式(2)に従って二値化画像における各画素点の平均値、分散、極大値及び極小値を計算し、式(3)~(6)に従って二値化画像における各画素点の振幅と勾配方向を計算し、すべての画素点の勾配方向を横軸とし、各画素点の対応する画素値を縦軸として、度数分布ヒストグラムを確立し、且つ度数分布ヒストグラムの度数分布特徴を抽出することに用いられる画像変換及び特徴抽出ユニットであって、度数分布特徴とは度数分布ヒストグラムの横軸をR個の区間に等分割し、各区間の対応する画素値で構成される特徴ベクトルを指す画像変換及び特徴抽出ユニットと、
画素点の平均値、極大値、極小値、分散及び度数分布特徴を組み合わせて元の特徴ベクトルを構成し、元の特徴ベクトルをクラスタリングアルゴリズムの入力として、二値化画像をクラスタリングし、画像クラスタリング結果を得ることに用いられるクラスタ分類ユニットと、
画像クラスタリング結果に基づいて乗客分布モードを符号化し、乗客分布符号を得て、カテゴリごとに画像クラスタリング結果のそれぞれが1種の乗客分布モードに対応し、カテゴリごとに乗客分布モードのそれぞれが1つの乗客分布符号に対応することに用いられる符号化ユニットと、
各車両の分布予測モデルを確立し、トレーニングサンプルを用いて分布予測モデルをトレーニングし、トレーニング済みの分布予測モデルを得ることに用いられるモデルトレーニングユニットであって、トレーニングサンプルは各車両の前記サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルを入力とし、対応する乗客分布符号を出力としたものであるモデルトレーニングユニットとを含む。
【0065】
図2に示すように、本実施例に係る環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導方法は、3.1~3.3を含む。
【0066】
3.1 予測サンプルの取得
【0067】
3.11 予測する際に、ステップ1.1で設置された収集装置により各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの環境データサンプルをリアルタイムに取得する。環境データサンプルは各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される。
【0068】
3.12 ステップ3.11の環境データサンプルにおける温度時系列をステップ1.4における分類層を除去したトレーニング済みの温度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応する温度時系列特徴ベクトルである。
【0069】
ステップ3.11の環境データサンプルにおける湿度時系列をステップ1.4における分類層を除去したトレーニング済みの湿度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応する湿度時系列特徴ベクトルである。
【0070】
ステップ3.11の環境データサンプルにおけるCO2濃度時系列をステップ1.4における分類層を除去したトレーニング済みのCO2濃度時系列LSTMニューラルネットワークモデルに入力し、全結合層が出力したベクトルはすなわち対応するCO2濃度時系列特徴ベクトルである。
【0071】
3.13 リアルタイムに取得された環境データサンプルにおける温度時系列、湿度時系列及びCO2濃度時系列の代わりにそれぞれ温度時系列特徴ベクトル、湿度時系列特徴ベクトル及びCO2濃度時系列特徴ベクトルを用い、新しいリアルタイムに取得された環境データサンプルを得る。
【0072】
3.2 予測結果を取得する
【0073】
新しいリアルタイムに取得された環境データサンプルを対応する車両の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得る。
【0074】
3.3 照明ガイド
【0075】
サンプリング周期の終点時刻を時間起点とし、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドし、具体的なプロセスは以下のとおりである。
【0076】
3.31 予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて現在の画像クラスタリング結果(すなわち、現在の乗客分布のカテゴリ)を得て、現在の画像クラスタリング結果に基づいて現在の画像の対応するクラスタ中心を決定する。画像クラスタリング結果はクラスタ中心及びクラスタ中心の周りのサンプルを含む。
【0077】
3.32 クラスタ中心に最も近いS枚の二値化画像を対応するカテゴリの典型的なクラスタ画像と定義し、S枚の典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算して、各該カテゴリ下の画素平均画像を得る。
【0078】
本実施例では、S=10であり、10枚の典型的なクラスタ画像における(l,w)に位置する画素点の画素平均値が
【数26】
であり、I(l,w)
kは第k枚の典型的なクラスタ画像の位置(l,w)での画素値である。10枚の典型的なクラスタ画像における各画素点の画素平均値を計算し、すなわち、10枚の典型的なクラスタ画像の同一位置(又は対応する位置)にある画素点の画素の平均値を求め、典型的なクラスタ画像上の画素点の数は画素平均値に等しい。
【0079】
3.33 各車両の照明灯管のレイアウトに基づいて、近接原則に従って各照明灯管に1つの照明領域を割り当て、
図3に示すように、二重線状の平行配置や8本の長尺状LEDランププレートによる照明は地下鉄列車の典型的な照明方式であり、8本の長尺状LED灯管の輝度を制御して、客室の輝度分布を変更し、乗客の流れをガイドする。
【0080】
各照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値を計算する。隣接する2つの照明領域における照明灯管の中心との距離が同じである点を結ぶ線は該隣接する2つの照明領域の境界線を構成する。
【0081】
3.34 画素平均画像における画素の最大値
【数27】
が画素閾値δよりも大きいと、照明ガイドを起動し、次のステップ3.35(すなわち1つの画素点の画素平均値が画素閾値δよりも大きければ、ガイドを起動する)に進み、そうでない場合、照明ガイドを必要としない。本実施例では、δ=15であり、δよりも大きいと混雑状態を表す。
【0082】
3.35 画素平均画像における画素平均値が画素閾値δよりも大きい画素点を抽出し、画素閾値よりも大きい画素点でガイド対象の画素点集合
【数28】
を構成し、
【数29】
はガイド対象の画素点における1番目の画素点の画素平均値であり、
【数30】
はガイド対象の画素点における2番目の画素点の画素平均値であり、
【数31】
はガイド対象の画素点におけるH番目の画素点の画素平均値であり、Hはガイド対象の画素点集合における画素点の数であり、(l
1,w
1)は、該ガイド対象の画素点における1番目の画素点がl
1行w
1列目の独立したユニットの対応する画素点であること、すなわち該画素点の画素座標を示し、その他の画素点はこれと同様である。
【0083】
3.36 照明灯管の空間位置座標系における座標、ガイド対象の画素点集合における画素点の空間位置座標系における座標、及び照明領域内の画素点の画素平均値に基づいて、照明ガイド係数を計算し、具体的な計算表現式は、
【数32】
である。
【0084】
ここで、β
nは照明ガイド係数であり、A
nはn番目の照明灯管の対応する照明領域内の画素点の画素平均値であり、
【数33】
はn番目の照明灯管の空間位置座標系における座標であり、
【数34】
はガイド対象の画素点集合における1番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数35】
はガイド対象の画素点集合における2番目の画素点の空間位置座標系における座標であり、
【数36】
はガイド対象の画素点集合におけるH番目の画素点の空間位置座標系における座標である。
【0085】
3.37 βn値の順に従ってβn値に対応する照明領域内の照明灯管の輝度を順次調節し、乗客がβn値の小さい照明領域へ流れるようにガイドする。
【0086】
たとえば、βn値を降順にソートし、最大のβn値の対応する照明領域内の照明灯管を最も暗く調節し、最小のβn値の対応する照明領域内の照明灯管を最も明るく調節し、降順にソートされる中間βn値の対応する照明領域内の照明灯管を暗い状態から明るい状態に調節し、車両内の輝度分布を変更することにより乗客の流れをガイドし、このようなガイド方式はシンプルで、直接的で、受容性が高いという優位性を有する。
【0087】
本実施例は環境監視及び照明ガイドに基づいた地下鉄車両の乗客誘導システムをさらに提供し、
各車両の各サンプリング周期内の各サンプル収集ポイントの、各サンプル収集ポイントの取り付け位置座標、該サンプル収集ポイントの対応する温度時系列、湿度時系列、CO2濃度時系列、平均温度値及び平均湿度値で構成される環境データサンプルをリアルタイムに取得することに用いられるリアルタイムデータ取得ユニットと、
環境データサンプルを対応する車両の地下鉄車両の乗客分布予測モデルのトレーニング方法によるトレーニング済みの分布予測モデルに入力し、予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号を得ることに用いられる予測ユニットと、
予測された各車両の対応するサンプリング周期内の乗客分布符号に基づいて対応する車両内の照明灯管の輝度を調節し、乗客の流れをガイドすることに用いられる調節及びガイドユニットとを含む。
【0088】
上記に開示された内容は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明の開示された技術範囲内に容易に想到できる変化や変形は、すべて本発明の保護範囲内に属すべきである。