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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】配送ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/124 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A47G29/124
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024021614
(22)【出願日】2024-02-16
【審査請求日】2024-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524061149
【氏名又は名称】株式会社SUKUMO
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】沖野 浩二
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213418(JP,A)
【文献】特開2021-122344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が収容可能である荷物室を有する箱体と、
昇降可能に構成され、前記箱体の上面に形成された開口を開閉する上扉と、
前記箱体の内部に配置され前記上扉の昇降に連動して揺動する複数のフラップと、
前記上扉に連結され、前記上扉の昇降に合わせて移動する内部フレームと、を備え、
前記複数のフラップのそれぞれは、
前記箱体の水平方向の中央について対称的に配置され、前記箱体の内部の水平方向において対向する両端部に配置された少なくとも一対の回転軸のそれぞれを中心に揺動可能に構成され、
前記上扉が閉状態においては前記回転軸から下方に延びるように配置され、
前記上扉の閉状態から開状態への移動に連動して当該複数のフラップが前記荷物室を閉じ、前記上扉の開状態から閉状態への移動に連動して当該複数のフラップが開くように構成されているとともに
先端に前記内部フレームとの当接部を備え、
前記内部フレームは、
前記箱体の内部において前記複数のフラップの下方に位置し、
前記上扉が閉状態から開状態に移動する際に、前記当接部が表面に当接した状態で端部から中央部に移動可能に下方から支持し、
前記複数のフラップは、
前記内部フレームの昇降によって、前記上扉が閉状態から開状態に移動する際には、前記先端同士が近づくように回動し、前記上扉が開状態から閉状態に移動する際には、前記先端同士が遠ざかるように回動する、
配送ボックス。
【請求項2】
前記上扉が開状態に保持されるロック機構を備え、
前記ロック機構は、
前記上扉が開状態で前記内部フレームを固定し、操作により固定を開放可能に構成された、
請求項1に記載の配送ボックス。
【請求項3】
前記内部フレームは、
前記箱体の内部の前後方向の両端部に配置され左右方向に延びる水平フレームを備え、
前記水平フレームは、
前記複数のフラップの下方に位置し、
前記複数のフラップは、
前記上扉が開状態においては、前記回転軸と前記当接部とが水平方向に並んで位置するように、前記複数のフラップの前記当接部が前記水平フレームに支持される、
請求項2に記載の配送ボックス。
【請求項4】
前記水平フレームは、
左右方向の両端に向かうに従い上方に延びる傾斜面を備える、
請求項3に記載の配送ボックス。
【請求項5】
前記上扉及び前記内部フレームの下降速度を制限する緩衝機構を備える、
請求項1~4の何れか1項に記載の配送ボックス。
【請求項6】
荷物が収容可能である荷物室を有する箱体と、
昇降可能に構成され、前記箱体の上面に形成された開口を開閉する上扉と、
前記箱体の内部に配置され前記上扉の昇降に連動して揺動する複数のフラップと、を備え、
前記複数のフラップのそれぞれは、
前記箱体の水平方向の中央について対称的に配置され、前記箱体の内部の水平方向において対向する両端部に配置された少なくとも一対の回転軸のそれぞれを中心に揺動可能に構成され、
前記上扉が閉状態においては前記回転軸から下方に延びるように配置され、
前記上扉の閉状態から開状態への移動に連動して当該複数のフラップが前記荷物室を閉じ、前記上扉の開状態から閉状態への移動に連動して当該複数のフラップが開くように構成されているとともに、
先端部の荷物が載置される載置面側に突出する突起を備える、
配送ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送ボックス、特に一戸建て住宅の玄関先に設置される配送ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、個人宅への運送において現実的な送料で配送可能な荷物の大きさは、幅方向寸法、奥行き方向寸法及び高さ方向寸法の3辺合計値が最大1800mmとなっており、その寸法内の配送ボックスにおいて、より大きな荷物を複数回にわたって可能な限り多く受け取ることができる配送ボックスが求められている。
【0003】
このような配送ボックスとして、荷物が収容可能である荷物室を有する筐本体と、筐本体の上部に形成された開口を開閉する蓋体と、筐本体内で回動する載置板を備えたものが知られている。配送ボックスは、蓋体を上昇させて開口を開けた状態で載置板の上面に荷物を載置することができる。荷物を載置した状態で載置板を回動させると、載置板に載置されていた荷物が荷物室に落下して荷物室に収容される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-034812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている配送ボックスは、上部の前面に設けられた開口に蓋体が設けられており、荷物が開口から載置板の上に載置される。荷物は、載置板から落下するときに、載置板が下方に回動する側の端部が先に落下し、回転して荷物が縦になり荷物室内でスペースを取ってしまうため、多くの荷物を受け取ることができないという課題があった。
【0006】
配送ボックス内で荷物が回転しながら落下する特許文献1のような形式の場合、配送ボックスの平面形状と略同等の大きさを有する荷物は受け取ることができない。というのも、奥側に傾きながら落下するためのスペースが必要となるからである。そのため、配送ボックスの平面形状よりも小さい荷物しか受け入れることができない。つまり、特許文献1に示すような回転式の配送ボックスでは、受け取れる荷物の大きさが配送ボックスの大きさに比して小さいサイズに制限されてしまうという課題があった。仮に配送ボックスの平面形状と略同等の大きさを有する荷物を受け入れるのであれば、略鉛直下方に荷物が落下する機構が必要となる。
【0007】
本発明の課題は、収納時の荷物の回転を抑え、略鉛直下方に荷物を落下させることが可能な配送ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る配送ボックスによれば、荷物が収容可能である荷物室を有する箱体と、昇降可能に構成され、前記箱体の上面に形成された開口を開閉する上扉と、前記箱体の内部に配置され前記上扉の昇降に連動して揺動する複数のフラップと、を備え、前記複数のフラップのそれぞれは、前記箱体の水平方向の中央について対称的に配置され、前記箱体の内部の水平方向において対向する両端部に配置された少なくとも一対の回転軸のそれぞれを中心に揺動可能に構成され、前記上扉が閉状態においては前記回転軸から下方に延びるように配置され、前記上扉の閉状態から開状態への移動に連動して当該複数のフラップが前記荷物室を閉じ、前記上扉の開状態から閉状態への移動に連動して当該複数のフラップが開くように構成されている。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、箱体は水平方向に対称的な位置に複数のフラップを有しているため、開いてゆく複数のフラップにガイドされながら荷物が箱体の内部を移動するため、荷物が下方に移動する際に傾きが抑えられる。また、上面に開口が形成されており、上扉を上げた開状態においては、複数のフラップにより構成される載置面が配送ボックスの周囲から視認し易いため、荷物は開口部の中央に配置されやすく、複数のフラップが連動して開いた際に荷物の傾きが抑制される。特に複数のフラップにより構成される荷物の載置面が箱体の内部に配置されており、荷物は少なくとも部分的に箱体の上面の開口から内部に入り込んだ状態で載置面に載せられる。このため、荷物は載置面の中央から偏った位置に配置されにくく、複数のフラップが開き荷物が下方に移動する際に傾きが抑えられる。
【0011】
第2の特徴に係る配送ボックスによれば、前記上扉に連結され、前記上扉の昇降に合わせて移動する内部フレームを備え、前記複数のフラップは、先端に前記内部フレームとの当接部を備え、前記内部フレームは、前記箱体の内部において前記複数のフラップの下方に位置し、前記上扉が閉状態から開状態に移動する際に、前記当接部が表面に当接した状態で端部から中央部に移動可能に下方から支持し、前記複数のフラップは、前記内部フレームの昇降によって、前記上扉が閉状態から開状態に移動する際には、先端同士が近づくように回動し、前記上扉が開状態から閉状態に移動する際には、先端同士が遠ざかるように回動する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、複数のフラップは、中央部で開く両開きの構造を有しているため、より確実に荷物の落下時の傾きが抑えられる。
【0013】
第3の特徴に係る配送ボックスによれば、上扉が開状態に保持されるロック機構を備え、前記ロック機構は、前記上扉が開状態で前記内部フレームを固定し、操作により固定を開放可能に構成されたものである。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、ロック機構は、内部フレームを固定し保持できるため、上扉が開状態から自然に降下しない。このため、荷物を複数のフラップにより構成される載置面に載せる作業が容易になる。
【0015】
第4の特徴に係る配送ボックスによれば、前記内部フレームは、前記箱体の内部の前後方向の両端部に配置され左右方向に延びる水平フレームを備え、前記水平フレームは、前記複数のフラップの下方に位置し、前記複数のフラップは、前記上扉が開状態においては、前記回転軸と前記当接部とが水平方向に並んで位置するように、前記複数のフラップの前記当接部が前記水平フレームに支持される。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、複数のフラップは、上扉が開状態において水平面となる載置面を構成するため、荷物を安定的に載置できる。
【0017】
第5の特徴に係る配送ボックスによれば、前記水平フレームは、左右方向の両端に向かうに従い上方に延びる傾斜面を備える。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、上扉を下降させたときに、下方に伸びた状態の複数のフラップが傾斜面に沿って移動するため、複数のフラップが開き切るまで複数のフラップの先端の当接部が内部フレームに当接し、支持された状態を維持できる。これにより、複数のフラップが開き荷物が下方に移動したときに、複数のフラップの間の隙間が、荷物が通過する程度の隙間になるまで、複数のフラップの開く速度を内部フレームの移動によって確実に制御できるため、落下時の荷物の傾きを抑制できる。
【0019】
第6の特徴に係る配送ボックスによれば、前記上扉及び前記内部フレームの下降速度を制限する緩衝機構を備える。
【0020】
第6の特徴に係る発明によれば、内部フレームの移動速度が制限されるため荷物収容時に内部フレームの移動速度が抑えられるため、落下時の荷物の傾きを抑制できる。
【0021】
第7の特徴に係る配送ボックスによれば、前記複数のフラップは、先端部の荷物が載置される載置面側に突出する突起を備える。
【0022】
第7の特徴に係る発明によれば、荷物が収容される過程において、傾きながら落下しようとしたとしても、荷物が突起に引っ掛かることでそのままの姿勢で落下することを防止し、荷物の姿勢が矯正されるため、落下時の荷物の傾きを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、荷物が偏って配置されたとしても、複数のフラップによって荷物の載置面が両側に開く構造となっており、落下時に荷物の傾きを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態1に係る配送ボックス100の上扉10が閉じた状態の斜視図である。
図2図1の配送ボックス100の上扉10を開けた状態の斜視図である。
図3図1の状態の配送ボックス100の内部構造の説明図である。
図4図2の状態の配送ボックス100の内部構造の説明図である。
図5図1の状態のフラップ11の周辺構造の詳細説明図である。
図6図2の状態のフラップ11の周辺構造の詳細説明図である。
図7】実施の形態1に係る配送ボックス100の構造の一例を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係る配送ボックス100が荷物90を荷物室14に収容する過程の説明図である。
図9】実施の形態1に係る配送ボックス100のフラップ11が開き切る前の状態の当接部15周辺の模式図である。
図10】変形例に係る配送ボックス100のフラップ11の周辺構造の斜視図である。
図11】変形例に係る配送ボックス100のフラップ11の先端周辺の拡大断面図である。
図12】変形例に係る配送ボックス100が荷物90を荷物室14に収容する過程の説明図である。(a)は上扉10が最大に引き上げられた開状態で載置面17に荷物90が載置された状態を、(b)及び(c)は上扉10が下降する途中の移行状態を、(d)はフラップ11が荷物90を通過できる程度に開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0026】
実施の形態1.
(配送ボックス100の全体構成)
図1は、実施の形態1に係る配送ボックス100の上扉10が閉じた状態の斜視図である。図2は、図1の配送ボックス100の上扉10を開けた状態の斜視図である。配送ボックス100は、上面に開口部55が形成され内部に荷物90を収容できる箱体50と、開口部55を閉じる上扉10と、箱体50の前面の下部に設けられた取り出し口を閉じる下扉20とを備える。箱体50は、上下方向に長い略直方体であり、内部の空間に荷物90を収容できるように構成されている。上扉10は、箱体50の上部において昇降可能に構成されており、箱体50の上面に設けられた開口部55を開閉するものである。例えば、上扉10は、取っ手10aを掴んで引き上げられる。下扉20は、箱体50の内部に収容された荷物90を取り出すときに使用する扉であり、ユーザーが必要に応じて鍵をかけられるように構成されている。
【0027】
配送ボックス100は、例えば配送業者が荷物90を配送しに来たときに受取人の在・不在に拘らず、配送業者が荷物90を置いていけるようにするためのものであって、受取人が荷物90を直接受け取れない場合であっても、箱体50の中に荷物90を収容することにより、荷物90の盗難・破損等を抑制するためのものである。
【0028】
図2に示すように、配送ボックス100は、上扉10が上方に引き上げられると箱体50の開口部55が見える状態になる。このとき、箱体50の内部の空間は、開口部55の近傍で複数のフラップ11により閉じられており、開口部55からフラップ11の下方にある荷物室14には手を差し込めない。または、複数のフラップ11は、先端同士の間の隙間が在ったとしても、少なくとも荷物室14に収容されている荷物90が取り出せない程度に構成されている。荷物90は、上扉10と箱体50との間の隙間から開口部55内に挿入され、箱体50の内部に設けられた複数のフラップ11の上に載置される。複数のフラップ11の上に載置された荷物90は、上扉10を閉じるとともに下方に移動し、箱体50の下部の荷物室14に収容される。つまり、配送ボックス100は、上扉10が引き上げられた開状態においては、複数のフラップ11により箱体50の内部の空間が閉じられるように構成され、上扉10が下げられた閉状態においては、荷物90が荷物室14に移動するように複数のフラップ11が開くように構成されている。
【0029】
(複数のフラップ11)
図3は、図1の状態の配送ボックス100の内部構造の説明図である。図1のように上扉10が閉じられた状態においては、箱体50の内部に配置された複数のフラップ11(フラップ11a及びフラップ11b)は、箱体50の内部の空間の水平方向であるx方向の側面パネル52及び54に沿って先端が下方に向けられた状態で配置されている。箱体50のx1側の側面パネル54に沿って配置されたフラップ11aは、回転軸16aに回転可能に支持されており、先端が重力に従って下方に位置している。また、箱体50のx2側の側面パネル52に沿って配置されたフラップ11bは、回転軸16bに回転可能に支持されており、先端が重力に従って下方に位置している。つまり、複数のフラップ11a及び11bは、箱体50のx方向において対称的に配置されている。なお、複数のフラップ11a及び11bのそれぞれは、回転軸16a及び16bのそれぞれに回転可能に支持され、自由に回動可能な構成に限定されない。例えば複数のフラップ11a及び11bの先端が側面パネル52及び54側に付勢されているなどの手段により、振動などの影響で複数のフラップ11a及び11bが容易に動かないように構成されていてもよい。
【0030】
図4は、図2の状態の配送ボックス100の内部構造の説明図である。図2及び図4のように上扉10が開かれた状態においては、箱体50の内部に配置された複数のフラップ11a及び11bは、xy平面に平行な面に沿うようにして配置され、載置面17a及び17bが略水平な状態になっている。つまり、複数のフラップ11a及び11bは、上扉10が開状態においては、回転軸16a、16bと先端とが水平方向に並んで位置している。複数のフラップ11a及び11bは、先端のy方向の両端に、例えば回転可能な車輪が設置され、箱体50内を昇降する内部フレーム13に当接し支持されている。複数のフラップ11a及び11bの先端に設けられた車輪は、当接部15と呼ばれる。つまり、フラップ11aは、回転軸16a及び当接部15が当接する内部フレーム13に支持されて、x方向に沿って延びた状態になっている。フラップ11bも同様に、回転軸16b及び当接部15が当接する内部フレーム13に支持されて、x方向に沿って延びた状態になっている。言い換えると、当接部15は、内部フレーム13に支持されて、回転軸16a及び16bと水平方向に並んで位置している。
【0031】
複数のフラップ11a及び11bのそれぞれを支持している一対の回転軸16a及び16bは、箱体50の内部であって、開口部55の近傍に配置されている。また、回転軸16a及び16bは、箱体50の内部において水平方向の左右、すなわちx方向において対向する位置に対となって配置されている。つまり、回転軸16a及び16bは、箱体50の高さ方向(z方向)における位置が実質的に同じになるように配置されている。なお、回転軸16a及び16bは、箱体50の水平方向の前後、すなわちy方向において対向する位置に対となって配置されていてもよい。また、複数のフラップ11が4以上配置されている場合には、回転軸16は左右及び前後方向に一対ずつ配置されていてもよい。少なくとも一対の複数のフラップ11は、水平方向において対称的な位置に対を成すように配置されており、互いに連動して回動するように構成されている。
【0032】
(内部フレーム13及びその周辺構造)
図5は、図1の状態のフラップ11の周辺構造の詳細説明図である。図6は、図2の状態のフラップ11の周辺構造の詳細説明図である。図5及び図6においては、内部フレーム13、フラップ11a及び11b、連結フレーム12及びその周辺構造を示し、その他の上扉10及び箱体50などは二点鎖線を用いて省略して表示している。図5に示すように、上扉10が箱体50の開口部55を閉じている状態においては、連結フレーム12は、箱体50の内部に配置されており、連結フレーム12の下端に接続されている内部フレーム13は、複数のフラップ11a及び11bの先端よりも下方に位置している。連結フレーム12は、上端が上扉10に接続されている。上扉10は、箱体50の開口部55の上に載置されている。図2に示すように、箱体50の上面であって開口部55の周囲には、弾性部材56が配置されており、閉状態において上扉10に当接し、支持している。上扉10が閉状態においては、上扉10は、開口部55において弾性部材56に支持され、接続されている連結フレーム12及び内部フレーム13は、上扉10から下方の箱体50の内部空間に配置されている。
【0033】
内部フレーム13は、箱体50の内面に沿って配置された平面視略矩形形状のフレームである。内部フレーム13は、箱体50の前面及び背面に沿って配置された水平フレーム13aと、水平フレーム13aのx方向の両端同士を接続する接続フレーム13cと、を備える。接続フレーム13cは、y方向の中央部において連結フレーム12の下端が接続されている。内部フレーム13は、y方向に対向する位置に配置された2つの水平フレーム13aと、x方向に対向する位置に配置された2つの接続フレーム13cとによって矩形に構成された枠体であり、枠体の各辺がxy平面に平行な面内に配置されている構造となっている。この枠体は、一体となっており、上扉10及び連結フレーム12とともに昇降する。
【0034】
図6に示すように、上扉10が上方に引き上げられた状態においては、連結フレーム12は、上部が開口部55から上方に突出するように配置されている。内部フレーム13は、上扉10及び連結フレーム12と連動して箱体50の開口部55の近傍まで引き上げられている。
【0035】
内部フレーム13は、y2側に位置する水平フレーム13aにy2方向に向かって突出する係合片18を備えている。係合片18は、上扉10が最も上まで引き上げられた状態で、ロック機構30によって保持される。係合片18がロック機構30によって保持されることにより、内部フレーム13は、箱体50の開口部55の近傍に位置が固定され、併せて連結フレーム12及び上扉10も上に引き上げられた状態に保持される。
【0036】
(連結フレーム12)
図5及び図6に示すように、上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13は、連結フレーム12が箱体50に設置された構造によってガイドされて昇降する。連結フレーム12は、x方向の外側を向いた面にレール12aが設けられている。レール12aは、箱体50に固定されたスライダー19によってガイドされてz方向に移動可能に構成されている。図5及び図6においては、レール12aが溝になっており、その中に嵌め込まれたスライダー19が嵌まっている。連結フレーム12は、箱体50の側面パネル52及び54に固定されたスライダー19がレール12aに嵌まることにより、x方向及びy方向への変位が規制され、z方向にはスライド移動できるように構成されている。なお、連結フレーム12をガイドするレール12a及びスライダー19は、この構造のみに限定されない。例えば、連結フレーム12が移動する際にガイドする構造は、箱体50側に溝が設けられ、そこに連結フレーム12側の構造が嵌りこみz方向にスライドするように構成されていてもよい。また、上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13を昇降させるためのガイドは、連結フレーム12以外の場所に設けられていても良い。つまり、上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13を昇降させるためのガイドが他に設けられていても良い。
【0037】
連結フレーム12は、y1側を向いた面にラック41が設けられている。ラック41は、箱体50の側面パネル52及び54にそれぞれ設けられている緩衝装置40が有するピニオン40aと噛み合っている。緩衝装置40は、少なくとも連結フレーム12が下降するときに自由落下又はそれに近い状態にならないように移動速度を制限する。具体的には、緩衝装置40のピニオン40aは、連結フレーム12が下降する方向に移動する際に回転抵抗が付されており、連結フレーム12の移動速度を制限する。なお、上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13の移動速度を制限する装置は、上記の緩衝装置40の構造に限定されない。例えば、ピニオン40aを連結フレーム12に2つ噛み合わせた構造であっても良いし、油圧による緩衝装置が設けられていても良い。
【0038】
なお、連結フレーム12は、x方向の両端に1つずつ設けられている形態に限定されるものではない。例えば、連結フレーム12は、矩形の内部フレーム13の角部にそれぞれ設けられていても良い。
【0039】
(複数のフラップ11a及び11bの開閉機構)
図7は、実施の形態1に係る配送ボックス100の構造の一例を示す斜視図である。図7においては、箱体50の前面パネル51は省略されており、上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13は、下降途中の状態が示されている。配送ボックス100は、例えば荷物90を届けに来た配送業者が荷物90を箱体50の内部に収容し、受取人が任意のタイミングで施錠された下扉20(図1参照)を開けて荷物室14の荷物90を取り出すことによって、荷物90を受け取るために用いられる。したがって、受取人以外の者は、荷物90を箱体50の内部に入れることはできるが、取り出すことができない。
【0040】
配送ボックス100は、図2に示すような上扉10が開けられた状態において、複数のフラップ11a及び11bにより構成される載置面17a及び17bの上に荷物90が載せられる。図7は、載置面17a及び17bの上に荷物90が載せられた状態から上扉10、連結フレーム12及び内部フレーム13が下降する途中の状態を示している。この状態において荷物90は、内部フレーム13等の下降に伴い開こうとする複数のフラップ11a及び11bの載置面17a及び17bの上を滑りながら、下方に移動している。
【0041】
図8は、実施の形態1に係る配送ボックス100が荷物90を荷物室14に収容する過程の説明図である。図8においては、箱体50の前面パネル51及び側面パネル52及び54の表示は省略されている。図8(a)は、配送ボックス100の上扉10が最大に引き上げられた開状態で載置面17に荷物90が載置された状態を示している。図8(b)は、配送ボックス100の上扉10が下降する途中の移行状態を示している。図8(c)は、配送ボックス100の上扉10が下がりきった閉状態を示している。
【0042】
図8(a)に示す状態において、ロック機構30を解除すると、内部フレーム13は下降を始める。図8(b)に示すように、内部フレーム13が下降を始めると、内部フレーム13によって支持されているフラップ11の先端の当接部15は下方に移動し、回転軸16周りに回転移動する。当接部15が回転軸16周りに移動すると、左右に配置されたフラップ11は、当接部15同士が遠ざかるように移動する。これにより、フラップ11により閉じられていた箱体50の内部空間は、上扉10の下降とともに徐々に開いていく。
【0043】
図8(b)に示すように、左右のフラップ11のそれぞれは、回転軸16から箱体50のx方向の中央部まで延びている。そのため、フラップ11の先端が回転移動すると、中央部の隙間が徐々に広がっていく。また、載置面17は、フラップ11の回転移動により徐々に水平(xy平面と平行な状態)からの傾斜角度が大きくなっていく。載置面17の傾斜角度が大きくなるに従い、荷物90は載置面17を滑りながら徐々に下方に移動していく。
【0044】
左右のフラップ11の先端同士の間の隙間が開いていくと、その隙間が荷物90のx方向の幅よりも大きくなったところで、荷物90は、フラップ11の先端同士の間の隙間をすり抜け、下方に落下する。図8(c)に示すように、内部フレーム13が下がり切ると、フラップ11の先端の当接部15が支持を失い、フラップ11が左右に開ききった状態になるため、荷物90のサイズが載置面17に載せられるものであれば、左右のフラップ11が開くことにより荷物90がフラップ11の間を通過し荷物室14に移動できる。なお、荷物室14には、荷物90の落下による衝撃を防ぐための緩衝材などが配置されていても良い。
【0045】
内部フレーム13は、左右のフラップ11の先端の当接部15を上面に載置した状態で下降することにより、連動して左右のフラップ11を開くことができる。上述した荷物90が箱体50の内部を下方に移動する過程とは逆に、上扉10が閉状態から開状態に移動するときは、図8(c)に示すフラップ11が開ききった状態から、内部フレーム13が上昇するに従い、フラップ11は徐々に閉じていく。これにより、受取人以外の者が上扉10を開いたとしても、上扉10が開くとともに左右のフラップ11は箱体50の内部空間を閉じるため、受取人以外の者は、箱体50の開口部55から荷物室14にある荷物90に触れるのが困難になる。また、上扉10が開状態から閉状態までの間の移行状態においても、フラップ11は少なからず開いているものの上扉10が下がるため、人が箱体50の内部に手を差し入れようとしても、上扉10と箱体50の上面との間が狭く、荷物室14まで届かない。
【0046】
図8(c)などに示すように、内部フレーム13のx方向の両端には、x方向の中央側から外側に向かうに従い上方に延びる傾斜面13bが設けられている。傾斜面13bは、図8(c)の状態から内部フレーム13が上昇したときに当接部15が初めに当接する面である。当接部15は、上昇する内部フレーム13の傾斜面13bに当接することにより、傾斜面13bに沿って内側に移動させられる。このため、上扉10が引き上げられる際において、内部フレーム13とフラップ11とが引っ掛かり、上扉10が開かなくなるのを抑制する効果がある。
【0047】
傾斜面13bは、内部フレーム13の下降時には、フラップ11の当接部15が開き切る直前まで当接し、フラップ11を支持する。そのため、フラップ11は、開き切るまで内部フレーム13の下降速度に連動して回動する。
【0048】
図9は、実施の形態1に係る配送ボックス100のフラップ11が開き切る前の状態の当接部15周辺の模式図である。フラップ11の先端に設けられた当接部15は、図9中の円弧aに沿って移動するため、水平に近い角度で移動する。フラップ11には荷物90による荷重が掛かっているため、フラップ11は開く方向に荷重を受け、その荷重は、内部フレーム13の上面13dで支持している。このとき、内部フレーム13に傾斜面13bが設けられていないと、上面13dと当接部15の移動方向が平行に近いため、当接部15が上面13d上を矢印P方向に滑るおそれがある。当接部15が矢印P方向に滑ると、フラップ11は支持を失い、急に開き、荷物90を落下させることに繋がる。また、フラップ11は、急に開くことにより、側面パネル52又は54などの周辺の構造に衝撃的に衝突するおそれもある。傾斜面13bは、そのような事象を防ぐ効果がある。
【0049】
(フラップ11の変形例)
図10は、実施の形態1に係る配送ボックス100のフラップ11の変形例を示す斜視図である。図10における配送ボックス100は、図2の配送ボックス100のフラップ11の構造を変更したものであり、その他の構造は図2に示したものと同じである。変形例のフラップ11は、先端に突起60が設けられている。
【0050】
図11は、図10に示したフラップ11の先端の周辺の拡大断面図である。図11においてはフラップ11の先端のxz平面に平行な断面における構造を示している。フラップ11の先端は、荷物90が載置される載置面17側に突出する突起60が形成されている。フラップ11の先端は、載置面17を構成する板材の端部をz1側に折り曲げ、断面において円形に形成されている。ただし、突起60の断面形状はこれに限定されるものではなく、載置面17側に突出し、後述するように、フラップ11が開く過程で荷物90が引っ掛かるように構成されていれば、どのような構造であっても良い。例えば、突起60は、別部材をフラップ11の先端の載置面17側に固定して構成してもよい。また、突起60は、フラップ11の先端に設けられているものに限定されず、先端部であれば回転軸16側に設置されていてもよい。
【0051】
図12は、図10に示した配送ボックス100が荷物90を荷物室14に収容する過程の説明図である。図12においては、箱体50のy方向の中央部の断面を示している。図12(a)は、配送ボックス100の上扉10が最大に引き上げられた開状態で載置面17に荷物90が載置された状態を示している。図12(b)及び(c)は、配送ボックス100の上扉10が下降する途中の移行状態を示している。図12(d)は、配送ボックス100のフラップ11が荷物90を通過できる程度に開いた状態を示している。
【0052】
図12(a)に示す状態においては、一例として荷物90が開口部55の中央から若干はずれた位置に載置された場合を示している。変形例に係るフラップ11を備える配送ボックス100は、荷物90が載置面17上に偏って配置されても、フラップ11が開く過程で姿勢が矯正されるため、荷物90が荷物室14に落下する際には傾きが修正されるものである。
【0053】
図12(a)に示す状態において、ロック機構30を解除すると、内部フレーム13は下降を始める。図12(b)に示すように、内部フレーム13が下降を始めると、内部フレーム13によって支持されているフラップ11の先端の当接部15は下方に移動し、回転軸16周りに回転移動する。当接部15が回転軸16周りに移動すると、左右に配置されたフラップ11は、当接部15同士が遠ざかるように移動する。これにより、フラップ11により閉じられていた箱体50の内部空間は、上扉10の下降とともに徐々に開いていく。
【0054】
図12(b)に示すように、載置面17は、フラップ11の回転移動により徐々に水平(xy平面と平行な状態)からの傾斜角度が大きくなっていく。載置面17の傾斜角度が大きくなるに従い、荷物90は載置面17を滑りながら徐々に下方に移動していく。このとき、荷物90は、向かって左下の角が右下の角よりも下方に位置している。これは、図12(a)に示すように、荷物90が当初から右側に偏って配置されたことに起因するものであり、荷物90が載置されたときに中央に配置されれば、この傾きは抑制される。
【0055】
図12(b)の状態から左右のフラップ11の先端同士の間の隙間が開いていくと、荷物90の左下の角が先に突起60に引っ掛かる。一方で、荷物90の右下の角は右側のフラップ11の載置面17上を滑って移動するため、荷物90は、突起60に引っかかった状態が維持される。図12(c)に示すように、左右のフラップ11間の隙間が荷物90のx方向の幅と略同じになると、荷物90は、左右のフラップ11のそれぞれの突起60に引っかかった状態になる。このときには、当初傾いていた荷物90の姿勢は概ね矯正されている。
【0056】
図12(c)の状態から更に左右のフラップ11が開くと、図12(d)に示すように左右のフラップ11の間を荷物90がそのままの姿勢で通過する。荷物90は、図12(a)から(c)までの過程で姿勢が矯正されるため、傾いた状態で荷物室14に落下することが抑制される。
【0057】
このように、仮に落下途中で荷物90が片側に傾いたとしても、傾いた側の荷物90の角部が突起60に引っ掛かり、傾いた状態のまま落下することを防止できるため、収容室内への傾いた状態での落下を抑制することができる。
【0058】
以上に本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、上扉10は、上面に取っ手10aを備え、手動で上昇させるものとして説明したが、上昇するための機構及び閉状態を保持するための機構を備えて、所定の操作により自動で開くように構成してもよい。また、複数のフラップ11は、2枚に限定されず、更に多くのフラップ11を備えていても良い。要するに、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本発明の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明の配送ボックスは、物を収容する設備全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 :上扉
10a :取っ手
11 :フラップ
11a :フラップ
11b :フラップ
12 :連結フレーム
12a :レール
13 :内部フレーム
13a :水平フレーム
13b :傾斜面
13c :接続フレーム
13d :上面
14 :荷物室
15 :当接部
16 :回転軸
16a :回転軸
16b :回転軸
17 :載置面
17a :載置面
17b :載置面
18 :係合片
19 :スライダー
20 :下扉
30 :ロック機構
40 :緩衝装置
40a :ピニオン
41 :ラック
50 :箱体
51 :前面パネル
52 :側面パネル
54 :側面パネル
55 :開口部
56 :弾性部材
60 :突起
90 :荷物
100 :配送ボックス
a :円弧

【要約】
【課題】
収納時の荷物の回転を抑え、略鉛直下方に荷物を落下させることが可能な配送ボックスを提供することを目的とする。
【解決手段】
配送ボックスは、荷物が収容可能である荷物室を有する箱体と、昇降可能に構成され、箱体の上面に形成された開口を開閉する上扉と、箱体の内部に配置され上扉の昇降に連動して揺動する複数のフラップと、を備え、複数のフラップのそれぞれは、箱体の水平方向の中央について対称的に配置され、箱体の内部の水平方向において対向する両端部に配置された少なくとも一対の回転軸のそれぞれを中心に揺動可能に構成され、上扉が閉状態においては回転軸から下方に延びるように配置され、上扉の閉状態から開状態への移動に連動して当該複数のフラップが荷物室を閉じ、上扉の開状態から閉状態への移動に連動して当該複数のフラップが開くように構成されているものである。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12