(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】安全性の向上したパウチ型二次電池及びこれを含むバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/578 20210101AFI20240415BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/512 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240415BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01M50/578
H01M50/531
H01M50/55 301
H01M50/569
H01M50/512
H01M50/105
H01M50/178
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2022558530
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 KR2021007778
(87)【国際公開番号】W WO2022014888
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087180
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ブム・ヘ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・キ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ウォン・カン
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-067846(JP,A)
【文献】特開2008-251437(JP,A)
【文献】特開2019-197661(JP,A)
【文献】特開2012-243556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極リードが突出している電極組立体と、
前記電極組立体を収納する収納部を含むケースと、
前記電極リード上に配置されているガスポケット及び前記ガスポケットの膨張によって移動する電流感知部を含む危険感知装置と、
を含
み、
前記電流感知部は、
前記電極リードと接触する電極リード接触部と、
前記ガスポケットと接し、前記ガスポケットの膨張力を用いて前記電流感知部を移動させるガスポケット接触部と、
を含む、パウチ型二次電池。
【請求項2】
前記電極リード接触部は、前記ガスポケットの膨張によって、前記電極リードから遠ざかる、請求項
1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項3】
前記ガスポケット接触部は前記ガスポケットが膨張する方向に前記ガスポケットと接触する、請求項
1または
2に記載のパウチ型二次電池。
【請求項4】
前記ガスポケット接触部は前記電極リード接触部より大きい断面積を有する、請求項
1から
3のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項5】
前記電流感知部の少なくとも前記電極リード接触部が導体である、請求項
1から
4のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項6】
前記電流感知部の少なくとも前記ガスポケット接触部の外面が絶縁材料からなる、請求項
1から
5のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項7】
前記絶縁材料は接着力を有する材料である、請求項
6に記載のパウチ型二次電池。
【請求項8】
前記電流感知部の一側は電圧測定装置に連結されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項9】
前記ガスポケットと前記収納部とが連結される部分は密封部より弱く密封されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項10】
前記ガスポケットは、前記収納部の内部圧力が設定範囲以上の場合に膨張する、請求項1から
9のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項11】
前記ガスポケットは、一面が前記電極リードと接触し、他面が前記電流感知部と接触している、請求項1から
10のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項12】
前記ガスポケットは、前記電流感知部の両側にそれぞれ一つずつ提供される、請求項1から
11のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項13】
前記ガスポケットは前記電極リードが突出する部位の密封部によって形成されるテラス部上に存在するかまたは少なくとも前記電極リード上に配置される、請求項1から
12のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載のパウチ型二次電池を含む、バッテリーモジュール。
【請求項15】
前記パウチ型二次電池は並列に連結されている、請求項
14に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年07月15日付の韓国特許出願第2020-0087180号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は安全性の向上したパウチ型二次電池及びこれを含むバッテリーモジュールに関する。具体的には、本発明は電極リード上に配置されているガスポケット及び前記ガスポケットの膨張によって移動する電流感知部を含む危険感知装置を含むパウチ型二次電池及びこれを含むバッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電池を使う機器が多様化するのに伴い、高容量及び高密度の電池に対する需要が増加している。特に、アルミニウムラミネートシートの厚さを減らして高容量及び高密度の電池を得ることができるパウチ型二次電池に対する関心が高まっている。
【0004】
パウチ型二次電池は、一般的にアルミニウムラミネートシートを成形して収納部を形成した後、前記収納部に正極、分離膜、及び負極を含む電極組立体を収納する方式で形成される。前記アルミニウムラミネートシートは変形が容易であって多様な形態に製作可能であるので、多様な電子機器に合うパウチ型二次電池を形成することができる。また、アルミニウムラミネートシートは、従来の円筒型二次電池や角型二次電池とは違って軽いので、パウチ型二次電池の重量当たりエネルギー密度を向上させることができる利点がある。
【0005】
しかし、パウチ型二次電池は、充放電過程で内部ガスが発生する場合、電池の誤作動によって電池が発熱及び爆発することがあり、電池ケースの破断が発生する場合、内部の有害ガス及び化学物質の流出の問題が発生し得る。特に、内部短絡の際に発生するガスを排出することができないので、爆発の危険を有している。
【0006】
図1はガスポケットを備えたパウチ型二次電池の平面図である。
【0007】
ガスポケットを備えたパウチ型二次電池は、
図1のように、電極組立体10、前記電極組立体10を収納する収納部21、及び前記収納部21の内部で発生したガスを収納するガスポケット22を備えたケース20を含むことができる。前記のように、ガスポケット22を備えたパウチ型二次電池はガスを収納することができる別途の空間を有しているので、ガスポケット22がないパウチ型二次電池に比べて、ガスによるパウチ型二次電池の損傷を防止することができる。しかし、ガスポケット22が前記パウチ型二次電池の全体体積を増加させ、前記パウチ型二次電池の機能停止や損傷などが発生する前にこれを予め知らせることができない。
【0008】
図2はガス放出誘導部を備えたパウチ型二次電池の平面図である。
【0009】
ガス放出誘導部を備えたパウチ型二次電池は、
図1のパウチ型二次電池と同様に、電極組立体10及び前記電極組立体10を収納する収納部21を備えたケース20を含む。ここで、前記収納部に隣接した前記ケース20の面には、ガス放出を誘導するためのガス放出誘導部23を含んでいる。前記ガス放出誘導部23は前記収納部21と連結されるので、前記収納部21の周辺を密封する密封部の一部が弱い密封力で密封されているか、
図2のように、一部が密封されていない形態を有することがある。
【0010】
その他にも、パウチ型二次電池の安全性向上のために、パウチの外部にヒューズ、保護回路などの安全装置を備えるか、パウチの内部に除去物質を配置するなどの方案が考慮されているが、事故発生の前に電池の内部の有害ガス発生有無を測定して危険発生時点を予測することができるように手助けする装置がないので、パウチ型二次電池の機能異常による問題や事故を予防することができない問題点がある。
【0011】
特許文献1は、電池セルの膨張を感知するためのプローブを含んでいる電池モジュールを提供することを目的として、電池セルの局部的な体積膨張変化を感知して信号を送信するセンシングプローブを備えているが、電池セルの膨張部位によって測定誤差が発生し得る問題点がある。
【0012】
このように、パウチ型二次電池の安全性向上のための改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0040919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明前記のような問題点を解決するためのものであり、パウチ型二次電池が破断される前に収納部の内部のガス量を測定することができるようにすることを目的とする。
【0015】
また、パウチ型二次電池が破断し始める直前に外部にこれを知らせることで、パウチ型二次電池またはこれを含むバッテリーモジュール及びバッテリーパックの安全性を向上させ、バッテリーを使用する機器への安定的なエネルギー供給ができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成するために、本発明によるパウチ型二次電池は、電極リードが突出している電極組立体と、前記電極組立体を収納する収納部を含むケースと、前記電極リード上に配置されているガスポケット及び前記ガスポケットの膨張によって移動する電流感知部を含む危険感知装置とを含む。
【0017】
前記電流感知部は、前記電極リードと接触する電極リード接触部と、前記ガスポケットと接し、前記ガスポケットの膨張力を用いて前記電流感知部を移動させるガスポケット接触部とを含むことができる。
【0018】
また、前記電極リード接触部は、前記ガスポケットの膨張によって、前記電極リードから遠ざかることができる。
【0019】
前記ガスポケット接触部は前記ガスポケットが膨張する方向に前記ガスポケットと接触することができる。
【0020】
前記ガスポケット接触部は前記電極リード接触部より大きい断面積を有することができる。
【0021】
また、前記電流感知部の少なくとも前記電極リード接触部が導体であってもよい。
【0022】
前記電流感知部の少なくともガスポケット接触部の外面が絶縁材料からなることができる。
【0023】
前記絶縁材料は接着力を有する材料であってもよい。
【0024】
前記電流感知部の一側は電圧測定装置に連結され得る。
【0025】
また、前記ガスポケットと前記収納部とが連結される部分は前記密封部より弱く密封され得る。
【0026】
前記ガスポケットは、前記収納部の内部圧力が設定範囲以上の場合に膨張することができる。
【0027】
前記ガスポケットは、一面が前記電極リードと接触し、他面が前記電流感知部と接触し得る。
【0028】
前記ガスポケットは、前記電流感知部の両側にそれぞれ一つずつ提供され得る。
【0029】
前記ガスポケットは前記電極リードが突出する部位の密封部によって形成されるテラス部上に存在するかまたは少なくとも前記電極リード上に配置され得る。
【0030】
本発明は前記パウチ型二次電池のうちのいずれか一つを含むバッテリーモジュールであることができる。
【0031】
前記パウチ型二次電池は並列に連結されることができる。
【0032】
本発明は前述したパウチ型二次電池を含むバッテリーパックであることができる。また前記パウチ型二次電池が装着されたデバイスであることができる。
【0033】
本発明は、前記のような構成のうち互いに相反しない構成を一つまたは二つ以上選んで組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上で説明したように、本発明によるパウチ型二次電池は、収納部の内部のガス発生有無及び発生したガスによるパウチ型二次電池の機能停止または破裂などを事前に防止することができるようにして電池の安全性を向上させる。
【0035】
さらに、収納部の内部で発生したガスの程度を直接的に電気的信号に変更して伝達するので、異常有無を早く判断することができる。
【0036】
また、本発明によるパウチ型二次電池を一つ以上含むバッテリーモジュールの場合、一部のパウチ型二次電池の機能異常を予め認知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】ガスポケットを備えたパウチ型二次電池の平面図である。
【
図2】ガス放出誘導部を備えたパウチ型二次電池の平面図である。
【
図3】本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の平面図である。
【
図5】本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の側断面図である。
【
図6】本発明の第2実施例によるパウチ型二次電池の斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施例によるパウチ型二次電池の平面図である。
【
図8】本発明の第3実施例によるパウチ型二次電池の平面図である。
【
図9】本発明によるパウチ型二次電池の側断面図である。
【
図10】本発明によるパウチ型二次電池の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0039】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使用する。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0040】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0041】
また、本発明の明細書全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0042】
また、本発明の明細書全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0043】
また、すべての数値範囲は、はっきりと除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値とを含む。
【0044】
図3は本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の斜視図であり、
図4は本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の平面図であり、
図5は本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池の側断面図である。
【0045】
図3~
図5に示すように、本発明の第1実施例によるパウチ型二次電池は、電極リード110が突出している電極組立体100、前記電極組立体100を収納する収納部210を含むケース200、及び前記電極リード110上に配置されているガスポケット310及び前記ガスポケット310の膨張によって移動する電流感知部320を含む危険感知装置300を含む。
【0046】
前記電極組立体100は、長シート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型組立体、または長方形の正極及び負極が分離膜を挟んでいる状態で積層される構造を有する単位セルからなるスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型組立体、または単位セルが分離膜を挟んでいる状態で積層され、互いに付着されるラミネーションスタック型組立体などからなることができるが、これに限定されない。
【0047】
前記電極リード110は、前記電極組立体100の正極タブと負極タブとがそれぞれ電気的に連結された後、ケースの外部に露出される構造を有することができ、正極タブ及び負極タブなしに電極リード110が直接電極組立体100とケース200の外部とを連結する構造を有することもできるが、これに限定されない。前記のようなパウチ型二次電池は一般的に知られている構成に相当するので、より詳細な説明は省略する。
【0048】
前記ケース200は、通常、内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造を有する。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、かつ外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち、内部層同士熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性が良いポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル酸ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これらに限定されない。引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが一番好ましい。
【0049】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0050】
そして、金属層の他側面には外部層が備えられる。このような外部層としては、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これに限定されない。
【0051】
前記収納部210は前記ケース200の上部及び下部の両方に形成されることもでき、上部または下部のいずれか一方にのみ形成されることもできる。
【0052】
また、前記ケース200は、収納部210内の物質が外部に排出されないようにするために、前記収納部210の外側面が密封される。ここで、密封されて形成された密封部220は、バッテリーモジュールのエネルギー密度を向上させるために、収納部210の方向に折り曲げられる。ここで、前記密封部220のうち一方向または両方向に電極リード110が突出しているテラス部は前記収納部210から突出している形態として存在する。
【0053】
前記危険感知装置300は前記密封部220のテラス部または前記テラス部に隣接した電極リード110に位置する形態を有することができる。すなわち、前記危険感知装置300は前記テラス部から延びて前記電極リード上に位置する形態も可能であり、前記テラス部の一部に存在する形態及び前記電極リード上に位置する形態のいずれも可能である。
【0054】
前記危険感知装置300の前記ガスポケット310は前記収納部210及び前記密封部220と連結されることができる。すなわち、前記ガスポケット310は前記密封部220より弱い密封力で前記収納部210と連結されることができる。
【0055】
前記ガスポケット310は、前記収納部210の内部圧力が設定範囲以上の場合、前記収納部210と弱い密封力で連結されている部分が損傷を受けることにより、前記ガスポケット310の内部にガスが移動して膨張する形態を有することができる。ここで、前記ガスポケット310は一回の膨張が起こる形態を有することもでき、多数の区域に分割されて二回以上の膨張が起こる形態を有することもできる。
【0056】
前記ガスポケット310は前記電極リード110が突出する部位の密封部220、すなわちテラス部上に存在するか少なくとも前記電極リード110上に配置されることができる。
【0057】
本発明の第1実施例によるガスポケット310は前記密封部220の一部分であることができる。前記ガスポケット310は、
図3及び
図5のように、前記電極組立体100から突出した電極リード110が前記ケース200を貫く部分に形成された密封部220の一部分であることができる。
【0058】
第1実施例によるガスポケット310は、前記密封部220の外側の1/3地点、すなわち前記密封部220を3等分したとき、前記収納部210から一番遠い側に位置することができる。
【0059】
また、前記ガスポケット310は前記ケース200と連結され、前記ケース200に使われたものと同じ材料からなることができる。前記ガスポケット310は、密封力のために、一面は前記電極リードとともにラミネーションされており、他面は前記電流感知部320と接触していることができる。
【0060】
前記ガスポケット310は一つのパウチ型二次電池に少なくとも一つ以上が存在することができる。一例として、前記ガスポケット310は、前記電流感知部320の作動を容易に遂行するために、前記電流感知部320の両側面で前記電流感知部320の移動を手助けすることができる。
【0061】
また、本発明によるパウチ型二次電池は、前記ガスポケット310の他に、一定のガスを収納することができるガス収納部を備えることで、パウチ型二次電池の破断を防止し、一定範囲を超えた場合、前記ガスポケット310によって危険を知らせることができる。また、その反対に、前記ガス収納部の一方向バルブによって前記ガスポケット310が作動した後、前記ガス収納部にパウチ型二次電池の内部で発生したガスを収納することができる。
【0062】
図6は本発明の第2実施例によるパウチ型二次電池の斜視図であり、
図7は本発明の第2実施例によるパウチ型二次電池の平面図である。
【0063】
図6及び
図7に示すように、本発明の第2実施例によるパウチ型二次電池は、前記ガスポケット310が前記密封部220と別になることができる。前記ガスポケット310は、前記電極リード110を密封している密封部220の隣接部、すなわち前記電極リード110の密封力を確保するとともに前記電極リード110に前記ガスポケット310が接することができる距離に位置する。前記ガスポケット310と連結されている前記連結密封部221は他の部分より密封力が弱いので、前記収納部210の内部でガスが発生する場合、前記連結密封部221が先に破壊されて、前記ガスポケット310内にガスが移動できるようになる。
【0064】
前記ガスポケット310は、
図6及び
図7のように、前記電極リード110上に位置するように、一部が曲がっている形態を有することができる。
【0065】
図8は本発明の第3実施例によるパウチ型二次電池の平面図である。
【0066】
図8に示すように、本発明の第3実施例によるパウチ型二次電池は、第1実施例によるパウチ型二次電池と同様に、ガスポケット310が前記密封部220と一体になっている形態を有することができる。
【0067】
第2実施例のように折れているガスポケット310を有する場合のガスの流れや移動を妨げることを克服するために、第3実施例によるガスポケット310は前記電極リード110を覆う単純な形態に形成されることができる。
【0068】
リードを覆っている前記ガスポケット310の余剰部分は密封されておらず、ガスが満たされることができる空間であるパウチの形態に形成されており、前記ガスポケット310が前記密封部220と接している部分は密封力の異なる二つの部分に分けられることができる。前記密封部220と接している部分は、前記密封部220より低い密封力を有する連結密封部221と、前記密封部220と同等な密封力を有する部分である周辺密封部222とからなることができる。
【0069】
前記連結密封部221は、前記電極リード110と前記ケース200との間の密封力に影響を及ぼす前記電極リード110の外郭部を除いた部位に位置することができる。ここで、前記ガスポケット310にガスを円滑に供給しながら前記電極リード110と前記ケース200との間の密封力を維持するために、前記連結密封部221は前記電極リード110を中心に少なくとも二つ以上の部分が形成されることができる。
【0070】
前記連結密封部221の最外殻、すなわち前記密封部から一番遠い地点には、前記収納部210内のガスが一方向にのみ移動するようにするために、一方向バルブを備えることもできる。
【0071】
ガス通路が前記連結密封部221と一体に形成されている場合、前記ガスポケット310において前記ガス通路ではない密封部220である周辺密封部222と前記ガス通路の周辺の密封部とは他の密封部より強く密封されることができる。前記周辺密封部222が他の密封部より強い密封力を有する場合、前記電極リード110の周辺部の密封力が弱くなる問題点を解決することができる。
【0072】
図9は本発明によるパウチ型二次電池の側断面図である。
【0073】
図9に示すように、本発明による電流感知部320は、前記電極リード110と接触する電極リード接触部321、及び前記ガスポケット310と接し、前記ガスポケット310の膨張力を用いて前記電流感知部320を移動させるガスポケット接触部322を含むことができる。
【0074】
前記電極リード接触部321は、前記ガスポケットの膨張によって、前記電極リードから遠くなることができる。このために、前記ガスポケット接触部322は前記ガスポケット310が膨張する方向に前記ガスポケット310と接触する。また、このために、前記ガスポケット接触部322は前記電極リード接触部321より大きな断面を有することができる。すなわち、前記電流感知部320は、前記電極リード接触部321が前記ガスポケット310の間にあり、前記ガスポケット接触部322は前記電極リード接触部321のそばにある前記ガスポケット310と接触する形態を有することができる。このように作動するために、前記電流感知部320は、T字形、コーン形、断面上昇形などの形態を有することができる。
【0075】
前記電流感知部320は、前記電極リード接触部321を介して、電極リード110を通して移動する電流を感知することができる。前記ガスポケット310の膨張によって前記電極リード接触部321は前記電極リード110から分離されれば、前記電極リード接触部321はそれ以上電流を感知することができなくなり、これにより前記収納部21の内部のガス発生有無が分かる。
【0076】
また、前記電流感知部320の一側は電圧測定装置に連結されることにより、前記電極リード接触部321で感知した電流を数値単位または信号に変換することができる。
【0077】
前記電流感知部320が前記のように電極リード110との接触によって電流を測定するためには、導体であることが好ましい。すなわち、前記電流感知部320は、少なくとも前記電極リード接触部321が導体であることが好ましい。前記電流感知部320の全体が導体であることができるが、前記ガスポケット310などのパウチ型二次電池の他の部分に電気が流れないように、前記電流感知部320の外面、すなわち少なくともガスポケット接触部322の外面が絶縁材料で包まれていることができる。
【0078】
ここで、前記絶縁材料は、前記電流感知部320の固定のために、接着力を有する材料であることができる。一例として、前記絶縁材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルフルオリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルポリアミドイミド、エポキシ系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系、熱可塑性ウレタン系または熱可塑性エーテルエステル系からなる群から選択されるいずれか1種以上の物質であることができる。
【0079】
また、本発明による電流感知部320を一つ以上備えることで、密封された部分が多数であるガスポケット310の開放程度によってガス量を測定することもできる。
【0080】
本発明は前述したパウチ型二次電池のうちの少なくとも一つを含むバッテリーモジュールであることができる。ここで、前記バッテリーモジュールはパウチ型二次電池を並列に連結してなることができる。これは、直列に連結されている場合、一つの単位セルで異常が発生したとき、これを認知しやすい一方で、並列に連結されている場合、一つの単位セルの異常を見つけにくいからである。
【0081】
また、本発明は前記のようなパウチ型二次電池を含むバッテリーパックであることができる。
【0082】
図10は本発明によるパウチ型二次電池の製造方法を示す模式図である。
【0083】
本発明によるパウチ型二次電池は、前記ケースに形成されたガスポケット310になる部分と前記電極リード110とを先に接合した後、残りの部分を接合することができる。ここで、前記ガスポケット310になる部分は、接合の後、
図10のように折って空間がないように形成した後、残りの電極リード110との接触部分をさらに溶接することができる。
【0084】
また、本発明は前記パウチ型二次電池を含む電池パック及び前記電池パックを含むデバイスを提供する。前記のような電池パック及びデバイスは当該技術分野に公知となっているので、本明細書ではそれについての具体的な説明を省略する。
【0085】
前記デバイスは、例えば、ノートブック型パソコン、ネットブック型パソコン、タブレット型パソコン、携帯電話、MP3プレーヤー、ウェアラブル電子機器、動力工具(power tool)、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)、電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)、電気ゴルフカート(electric golf cart)、または電力貯蔵用システムであることができるが、これらに限定されないというのは言うまでもない。
【0086】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0087】
10、100 電極組立体
11、110 電極リード
20、200 ケース
21、210 収納部
22、220 密封部
221 連結密封部
222 周辺密封部
23 ガス放出誘導部
300 危険感知装置
310 ガスポケット
320 電流感知部
321 電極リード接触部
322 ガスポケット接触部