(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】高エネルギー密度を有する電極組立体およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20240415BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/136 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240415BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240415BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/131
H01M4/133
H01M4/136
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/587
H01M4/62 Z
(21)【出願番号】P 2022558532
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2022002238
(87)【国際公開番号】W WO2022182047
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0024271
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シュル・キ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・スン・オー
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・チョル・イム
(72)【発明者】
【氏名】チ・ホ・ジョ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115052(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/118834(WO,A1)
【文献】特開2019-046689(JP,A)
【文献】特開平09-147863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極合剤層の全体100重量部に対して、下記化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を含む正極活物質85~95重量部と、下記化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物および下記化学式3で表されるリチウム鉄酸化物のうちの1つ以上を含む正極添加剤0.1~5重量部とを含有する正極合剤層を備える正極、
負極活物質の全体100重量部に対して、黒鉛80~95重量部と、ケイ素(Si)含有粒子1~20重量部とを含む負極合剤層を備える負極、および
前記正極と前記負極との間に介在される分離膜を含み、
[化学式1]
Li
x[Ni
yCo
zMn
wM
1
v]O
2
[化学式2]
Li
pCo
1-qM
2
qO
4
[化学式3]
Li
aFe
1-bM
3
bO
4
前記化学式1~化学式3において、
M
1は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
x、y、z、w、およびvはそれぞれ、1.0≦x≦1.30、0≦y<1、0<z≦0.6、0<w≦0.6、0≦v≦0.2であり、
M
2は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
pおよびqはそれぞれ、5≦p≦7、0≦q≦0.2であり、
M
3は、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、ZnおよびYの中から選択された1種以上であり、
aおよびbはそれぞれ、4≦a≦6、0≦b≦0.5であ
り、
前記正極合剤層は、正極集電体上に第1正極合剤層および第2正極合剤層が順次に積層された2層構造を有し、かつ下記式1の条件を満たし、
[式1]
0.05≦SCM
1st
/SCM
2nd
≦0.9
前記式1において、
SCM
1st
は第1正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示し、
SCM
2nd
は第2正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示し、
前記正極合剤層は下記式2の条件を満たし、
[式2]
2≦D
1st
/D
2nd
≦15
前記式2において、
D
1st
は第1正極合剤層の平均厚さを示し、
D
2nd
は第2正極合剤層の平均厚さを示す、電極組立体。
【請求項2】
前記正極合剤層は100μm~200μmの平均厚さを有する、請求項
1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記正極合剤層は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよび炭素繊維からなる群から選択される1種以上の導電材をさらに含む、請求項1
または2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記導電材は前記正極合剤層100重量部に対して0.1~10重量部で含まれる、請求項
3に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記正極合剤層および前記負極合剤層のうちの一つ以上は、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スルホン化エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スチレンブタジゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選択される1つ以上のバインダーを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記バインダーは、前記正極合剤層または前記負極合剤層の100重量部に対して、0.1~10重量部で含まれる、請求項
5に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記負極合剤層は、負極活物質の全体100重量部に対して、前記ケイ素(Si)含有粒子1~9重量部を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記負極合剤層は、負極活物質の全体100重量部に対して、前記ケイ素(Si)含有粒子11~19重量部を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記ケイ素(Si)含有粒子は、ケイ素(Si)、一酸化ケイ素(SiO)粒子および二酸化ケイ素(SiO
2)粒子のうちの1種以上を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記ケイ素(Si)含有粒子は、炭化ケイ素(SiC)粒子をさらに含む、請求項
9に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記ケイ素(Si)含有粒子の平均粒度(D
50)は0.01μm~10μmである、請求項1から
10のいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の電極組立体を含む、リチウム二次電池。
【請求項13】
請求項
12に記載のリチウム二次電池を含む、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギー密度を有する電極組立体およびそれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【0002】
本出願は2021年02月23日付の韓国特許出願第10-2021-0024271号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、環境問題への関心が高まっており、大気汚染の主な原因の一つであるガソリン車、ディーゼル車などの化石燃料を使用する車両を代替し得る電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに対する研究が多く進められている。このような電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としては、主にニッケル水素金属(Ni‐MH)二次電池が用いられているが、高いエネルギー密度、高い放電電圧および出力安定性のリチウム二次電池に対する研究が活発に行われており、一部は商用化されている。
【0004】
このようなリチウム二次電池の負極材料としては黒鉛が主として用いられているが、黒鉛は単位質量当たりの容量が372mAh/gと小さいため、リチウム二次電池の高容量化が困難である。これにより、リチウム二次電池の高容量化のため、黒鉛よりも高いエネルギー密度を有する非炭素系負極材料として、シリコン、錫およびそれらの酸化物などのように、リチウムと金属間の化合物を形成する負極材料が開発、使用されている。しかし、このような非炭素系負極材料の場合、容量は大きいが初期効率が低くて初期充放電時のリチウムが消耗量が多く、不可逆容量損失が大きいという問題がある。
【0005】
また、リチウム二次電池の正極材料としては、主にリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)が用いられており、その他に層状結晶構造のLiMnO2、スピネル結晶構造のLiMn2O4などのリチウム含有マンガン酸化物と、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)の使用も考慮されている。
【0006】
しかし、上記LiCoO2は、サイクル特性などの諸般物性に優れているので、現在は多く使用されているが、安全性が低く、原料としてのコバルトの資源的な限界により、高価である電気自動車などのような分野の動力源として多量に使用するには、限界がある。また、LiNiO2は、その製造方法に起因する特性上、合理的なコストで実際の量産工程に適用することが困難であり、充放電時に発生するガスにより負極にリチウムプレーティング(Li plating)が誘導されるので、安全性はもちろん充放電容量が低下されるという限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0046496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、高エネルギー密度を有し、安全性が向上されたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の問題を解決するために、
本発明は一実施形態において、
正極合剤層の全体100重量部に対して、下記化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を含む正極活物質85~95重量部と、下記化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物および下記化学式3で表されるリチウム鉄酸化物のうちの何れか1つ以上を含む正極添加剤0.1~5重量部とを含有する正極合剤層を備える正極、
負極活物質の全体100重量部に対して、黒鉛80~95重量部と、ケイ素(Si)含有粒子1~20重量部とを含む負極合剤層を備える負極、および
上記正極と上記負極との間に位置する分離膜を含む、電極組立体を提供する。
【0010】
[化学式1]
Lix[NiyCozMnwM1
v]O2
【0011】
[化学式2]
LipCo1-qM2
qO4
【0012】
[化学式3]
LiaFe1-bM3
bO4
【0013】
上記化学式1~化学式3において、
M1は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
x、y、z、w、vはそれぞれ、1.0≦x≦1.30、0≦y<1、0<z≦0.6、0<w≦0.6、0≦v≦0.2であり、
M2は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
pおよびqはそれぞれ、5≦p≦7、0≦q≦0.2であり、
M3は、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、ZnおよびYから選択される1種以上であり、
aおよびbはそれぞれ、4≦a≦6、0≦b≦0.5である。
【0014】
ここで、上記正極合剤層は、正極集電体上に第1正極合剤層および第2正極合剤層が順次に積層された2層構造を有し、かつ下記式1の条件を満たし得る。
【0015】
[式1]
0.05≦SCM1st/SCM2nd≦0.9
【0016】
上記式1において、
SCM1stは、第1正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示し、
SCM2ndは、第2正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示す。
【0017】
また、上記正極合剤層は、下記式2の条件を満たし得る。
[式2]
2≦D1st/D2nd≦15
上記式2において、
D1stは、第1正極合剤層の平均厚さを表し、
D2ndは、第2正極合剤層の平均厚さを示す。
【0018】
さらに、上記正極合剤層は、100μm~200μmの平均厚さを有し得る。
【0019】
また、上記正極合剤層は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよび炭素繊維からなる群から選択される1種以上の導電材をさらに含むことができ、上記導電材は正極合剤層100重量部に対して0.1~10重量部で含まれ得る。
【0020】
また、、上記正極合剤層および負極合剤層のうちのいずれか一つ以上は、フッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スルホン化エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スチレンブタジゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選択される何れか1つ以上のバインダーを含み得る。
【0021】
また、上記バインダーは、正極合剤層または負極合剤層100重量部に対して、0.1~10重量部で含まれ得る。
【0022】
さらに、上記負極合剤層は、負極活物質の全体100重量部に対して、ケイ素(Si)含有粒子1~9重量部を含むか、あるいは11~19重量部を含み得る。
【0023】
また、上記負極合剤層に含有されたケイ素(Si)含有粒子は、ケイ素(Si)粒子、一酸化ケイ素(SiO)および二酸化ケイ素(SiO2)粒子のうちの1種以上を含むことができ、場合によっては炭化ケイ素(SiC)粒子をさらに含み得る。
【0024】
それに併せて、上記ケイ素(Si)含有粒子は、0.01μm~10μmの平均粒度を有することができる。
【0025】
また、本発明は、一実施形態において、上記電極組立体を含むリチウム二次電池を提供する。
【0026】
さらに、本発明は、一実施形態において、上記リチウム二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電極組立体は、正極合剤層に特定の正極活物質と正極添加剤を含有する正極、および負極合剤層に特定の含量のケイ素(Si)含有粒子が混入された黒鉛を含有する負極を備えているので、電池充放電時のガス発生量が低減されるのみならず充放電後にも電極の抵抗変化率が低い。そのため、それを含むリチウム二次電池は、高エネルギー密度と長寿命を有し、急速充電効率が良いという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0029】
<電極組立体>
本発明は一実施形態において、
正極合剤層の全体100重量部に対して、下記化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を含む正極活物質85~95重量部と、下記化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物および下記化学式3で表されるリチウム鉄酸化物のうちのいずれか1つ以上を含む正極添加剤0.1~5重量部とを含有する正極合剤層を備える正極、
負極活物質の全体100重量部に対して、黒鉛80~95重量部と、ケイ素(Si)含有粒子1~20重量部とを含む負極合剤層を備える負極、および
上記正極と上記負極との間に位置する分離膜を含む電極組立体を提供する。
[化学式1]
Lix[NiyCozMnwM1
v]O2
[化学式2]
LipCo1-qM2
qO4
[化学式3]
LiaFe1-bM3
bO4
【0030】
上記化学式1~化学式3において、
M1は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
x、y、z、w、vはそれぞれ、1.0≦x≦1.30、0≦y<1、0<z≦0.6、0<w≦0.6、0≦v≦0.2であり、
M2は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
pおよびqはそれぞれ、5≦p≦7、0≦q≦0.2であり、
M3は、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、ZnおよびYから選択される1種以上であり、
aおよびbはそれぞれ、4≦a≦6、0≦b≦0.5である。
【0031】
本発明に係る電極組立体は、正極、負極および上記正極と上記負極との間に介在された分離膜を含む構造を有する。ここで、上記正極は、正極集電体上に正極合剤層が位置する形態を有し、上記正極合剤層は、活性を示す正極活物質と不可逆容量を付与する正極添加剤を含む。具体的には、上記正極合剤層は、可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な正極活物質として、下記化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を含む。
【0032】
[化学式1]
Lix[NiyCozMnwM1
v]O2
【0033】
上記化学式1において、
M1は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
x、y、z、w、およびvはそれぞれ、1.0≦x≦1.30、0≦y<1、0<z≦0.6、0<w≦0.6、0≦v≦0.2である。
【0034】
上記化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物は、リチウムとニッケルを含む複合金属酸化物であって、LiCoO2、LiCo0.5Zn0.5O2、LiCo0.7Zn0.3O2、LiNiO2、LiNi0.5Co0.5O2、LiNi0.6Co0.4O2 、LiNi1/3Co1/3Al1/3O2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、およびLiNi0.7Co0.1Mn0.1Al0.1O2からなる群から選択される1種以上の化合物を含み得る。
【0035】
一つの例として、上記正極活物質は、化学式1で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物として、LiCoO2、LiCo0.7Zn0.3O2、LiNi0.5Co0.5O2またはLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2をそれぞれ単独で使用するか、または併用し得る。
【0036】
また、上記正極活物質の含量は、正極合剤層100重量部に対して85~95重量部であってもよく、具体的には88~95重量部、90~95重量部、86~90重量部、または92~95重量部であり得る。
【0037】
さらに、上記正極合剤層は、化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物と下記化学式3で表されるリチウム鉄酸化物のうちの何れか一つ以上を含む正極添加剤を含む。
[化学式2]
LipCo1-qM2
qO4
[化学式3]
LiaFe1-bM3
bO4
【0038】
上記化学式2および化学式3において、
M2は、W、Cu、Fe、V、Cr、Ti、Zr、Zn、Al、In、Ta、Y、La、Sr、Ga、Sc、Gd、Sm、Ca、Ce、Nb、Mg、B、およびMoからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、
pおよびqはそれぞれ、5≦p≦7、0≦q≦0.2であり、
M3は、Al、Mg、Ni、Co、Mn、Ti、Ga、Cu、V、Nb、Zr、Ce、In、ZnおよびYのうちから選択された1種以上であり、
aおよびbはそれぞれ、4≦a≦6、0≦b≦0.5である。
【0039】
上記正極添加剤は、過量のリチウムを含有するので、初期充電時の負極における不可逆的な化学的物理的反応によって生じたリチウム消費に対して、リチウムを提供し得る。これにより、電池の充電容量が増加し、不可逆容量が減少して寿命特性が改善され得る。
【0040】
本発明は、このような正極添加剤として、化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物および下記化学式3で表されるリチウム鉄酸化物のうちのいずれか1つ以上を含む。ここで、化学式2で表されるリチウムコバルト酸化物は、LiCoO4、LiCo0.5Zn0.5O4、Li6Co0.7Zn0.3O4などを含むことができ、化学式3で表されるリチウム鉄酸化物は、Li2FeSiO4、Li5FeO4、Li6FeO4などを含み得る。
【0041】
また、上記正極添加剤の含量は、正極合剤層の全体100重量部に対して0.1~5重量部であってもよく、具体的には0.1~3重量部、または1~3重量部であり得る。これに併せて、上記リチウムコバルト酸化物とリチウム鉄酸化物を併用する場合、リチウム鉄酸化物の含量は、リチウムニッケルコバルト酸化物100重量部に対して、50~200重量部であり得る。本発明は、正極添加剤の含量を上記のように調整することで、電池の初期充電容量を最大にしながら、後の充放電時に発生されるガス量を低減させることができる。
【0042】
さらに、上記正極添加剤は表面にコーティング層を含むことができ、上記コーティング層は炭素コーティング層または伝導性高分子層であり得る。上記炭素コーティング層は、正極添加剤の製造時に表面に残留する有機溶媒を炭化するか、あるいはグルコース、スクロース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、デンプン、マンノース、リボース、アルドヘキソース、ケトヘキソースまたはこれらの混合物を別途で処理した後に炭化して形成することができ、場合によっては製造された正極添加剤を黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などの炭素素材を混合して熱処理することで形成し得る。
【0043】
また、上記伝導性高分子層は、正極添加剤100重量部に対して、伝導性高分子、例えばポリアニリン(polyaniline)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリピロール(polypyrrole)、またはこれらの共重合体などを1~10重量部で混合し、乾燥して形成し得る。
【0044】
さらに、上記コーティング層の平均厚さは20nm以下であり、具体的には5nm~15nmまたは7nm~12nmであり得る。
【0045】
本発明は、正極添加剤の表面に上述したような炭素層および/または伝導性高分子層を導入することで、正極添加剤の電気伝導度を向上させることができる。
【0046】
さらに、上記正極合剤層は、正極活物質と正極添加剤の他に、導電材とバインダーをさらに含み得る。
【0047】
上記導電材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよび炭素繊維からなる群から選択される1種以上を含み得る。例えば、上記導電材はアセチレンブラックを含み得る。
【0048】
また、上記導電材の含量は、正極合剤層全体100重量部に対して0.1~10重量部であり、具体的には0.1~8重量部、0.1~5重量部、0.1~3重量部または2~6重量部であり得る。本発明は、導電材の含量を上記のような範囲に制御することで、低い含量の導電材により電極の抵抗が増加して充電容量が低下されることを防止することができ、過量の導電材により正極活物質と正極添加剤の含量が低下して充電容量が低下されるか、あるいは正極合剤層のローディング量の増加により急速充電特性が低下するという問題を防止し得る。
【0049】
さらに、上記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体への結合に助力する成分であって、電極の電気的物性を低下させない範囲で適宜適用され得る。具体的には、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF‐co‐HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スルホン化エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー、スチレンブタジエンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み得る。
【0050】
一つ例として、上記バインダーは、フッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマーおよび/またはポリフッ化ビニリデンであり得る。
【0051】
上記バインダーの含量は、正極合剤層の全体100重量部に対して0.1~10重量部であり、具体的には0.1~8重量部、0.1~5重量部、0.1~3重量部、または2~6重量部であり得る。本発明は、正極合剤層に含有されたバインダーの含量を上記範囲に制御することで、低い含量のバインダーにより合剤層の接着力が低下されるか、あるいは過量のバインダーにより電極の電気的物性が低下されることを防止し得る。
【0052】
ひいては、上記正極合剤層は、正極集電体上に第1正極合剤層および第2正極合剤層が順次に積層された2層の構造を有することができ、この場合に下記式1の条件を満たすことができる。
【0053】
[式1]
0.05≦SCM1st/SCM2nd≦0.9
上記式1において、
SCM1stは、第1正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示し、
SCM2ndは、第2正極合剤層に含有された正極添加剤の含量を示す。
【0054】
上記式1は、第1正極合剤層と第2正極合剤層にそれぞれ含有された正極添加剤の割合を示したものであって、第2正極合剤層に含有された正極添加剤の含量、すなわち、化学式3で表されるリチウムコバルト酸化物の含量が第1正極合剤層に含有された正極添加剤の含量より多いことを意味する。本発明に係る正極合剤層は、上記式1を0.05~0.9(例えば、0.05≦SCM1st/SCM2nd≦0.9)で満たすことができ、具体的には0.1~0.9(例えば、0.1≦SCM1st/SCM2nd≦0.9)、0.2 ~0.8(例えば、0.2≦SCM1st/SCM2nd≦0.8)、0.3~0.7(例えば、0.3≦SCM1st/SCM2nd≦0.7)、または0.4~0.8(例えば、0.4≦SCM1st/SCM2nd≦0.8)で満たすことができる。本発明に係る正極合剤層は、上記式1の条件を満たすことで、初期充電時の正極添加剤の不可逆的反応の効率をより向上させることができる。
【0055】
また、上記正極合剤層は、100μm~200μmの平均厚さを有することができ、具体的には、100μm~180μm、100μm~150μm、120μm~200μm、140μm~200μmまたは140μm~160μmの平均厚さを有し得る。
【0056】
さらに、上記正極合剤層は、2層の構造を有する場合、下記式2の条件を満たすことができる。
【0057】
[式2]
2≦D1st/D2nd≦15
上記式2において、
D1stは第1正極合剤層の平均厚さを表し、
D2ndは第2正極合剤層の平均厚さを示す。
【0058】
上記式2は、第1正極合剤層の平均厚さと第2正極合剤層の平均厚さの割合を示したものであって、第1正極合剤層の平均厚さが第2正極合剤層の平均厚さより厚いことを意味する。本発明に係る正極合剤層は、上記式2を2~15(例えば、2≦D1st/D2nd≦5)で満たすことができ、具体的には2~13(例えば、2≦D1st/D2nd≦13)、2 ~10(例えば、2≦D1st/D2nd≦10)、2~8(例えば、2≦D1st/D2nd≦8)、5~10(例えば、5≦D1st/D2nd≦10)、4~7(例えば、 4≦D1st/D2nd≦7)又は2~5(例えば、2≦D1st/D2nd≦5)で満たすことができる。本発明に係る正極合剤層は、上記式(2)の条件を満たすことにより、初期充填時の正極添加剤の不可逆的反応効率をより向上させることができる。
【0059】
一つの例として、上記正極合剤層は、式1の条件を0.4~0.6(例えば、0.4≦SCM1st/SCM2nd≦0.6)で満たし、式2の条件を2~4(例えば、2≦D1st/D2nd≦4)で満たし得る。この場合、正極集電体に相接する第1正極合剤層は少量の正極添加剤が均一に分散された形態で厚く形成され、第1正極合剤層上に位置する第2合剤層は多量の正極添加剤が均一に分散された形態で薄く形成された構造を有することができ、このような構造によって初期充電時に高い充電容量と不可逆容量を同時に具現し得る。
【0060】
また、上記正極は正極集電体として当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有するものを用いることができる。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素などを用いることができ、アルミニウムやステンレススチールの場合、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを用いることもできる。また、上記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。また、正極集電体の平均厚さは、製造される正極の導電性と総厚さを考えて3~500μmで好適に適用され得る。
【0061】
さらに、上記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥およびプレッシングして製造され、必要に応じては正極合剤層に含まれる導電材、バインダーなどを選択的にさらに含み得る。
【0062】
ここで、上記負極活物質は黒鉛とケイ素(Si)含有粒子を共に含むことができ、上記黒鉛は層状結晶を有する天然黒鉛と等方形構造を有する人造黒鉛のうちのいずれか一つ以上を含み得る。
【0063】
また、上記ケイ素(Si)含有粒子は、金属成分としてケイ素(Si)を主成分として含む粒子であって、ケイ素(Si)粒子、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)粒子、またはこれらの粒子が混合されたものを含み得る。場合によっては、上記ケイ素(Si)含有粒子は、ケイ素(Si)粒子、一酸化ケイ素(SiO)および/または二酸化ケイ素(SiO2)粒子と共に炭化ケイ素(SiC)粒子をさらに含んだものを意味することができ、この場合は、炭化ケイ素(SiC)粒子の含量はケイ素(Si)含有粒子の全体100重量部に対して0.1~20重量部であり得る。
【0064】
また、上記粒子は、開放された形態の気孔を含む多孔質構造を有することができ、平均粒径(D50)が0.01μm~10μmであってもよい。例えば、上記ケイ素(Si)含有粒子の平均粒度(D50)は0.01μm~8μm、0.01μm~6μm、0.01μm~4μm、0.01μm~2μm、0.1μm~6μm、0.1μm~2μm、0.1μm~0.9μm、1μm~8μm、2μm~6μm、2μm~4μm、1μm~3μm、または0.05μm~0.9μmであってもよい。本発明は、ケイ素(Si)含有粒子の平均粒度(D50)を上記範囲に調整することで、充電時のケイ素(Si)含有粒子の膨張率を低くし、電池の劣化を改善し得る。
【0065】
また、上記ケイ素(Si)含有粒子は、結晶質粒子と非晶質粒子とが混合された形態を有することができ、上記非晶質粒子の割合は、ケイ素(Si)含有粒子全体100重量部に対して50~100重量部、具体的には50~90重量部、60~80重量部または85~100重量部であり得る。本発明は、ケイ素(Si)含有粒子に含まれた非晶質粒子の割合を上記のような範囲に制御することで、電極の電気的物性を低下させない範囲で熱的安定性と柔軟性を向上させることができる。
【0066】
また、上記負極活物質は、全体100重量部に対して黒鉛80~95重量部、およびケイ素(Si)含有粒子1~20重量部で含み得る。より具体的に、上記負極活物質は、全体100重量部に対して黒鉛を85~95重量部、90~95重量部、88~92重量部、又は92~94重量部で含むことでき、ケイ素(Si)含有粒子を1~9重量部、3~7重量部、11~19重量部、または13~17重量部で含むことができる。本発明は、負極活物質に含まれた黒鉛とケイ素(Si)含有粒子の含量を上記のような範囲に調整することで、電池の初期充放電時のリチウム消費量と不可逆容量損失を減らしながら単位質量当たりの充電容量を向上させることができる。
【0067】
一方、上記負極合剤層は、負極集電体上に第1負極合剤層および第2負極合剤層が順次に積層された2層の構造を有することができ、上記第1負極合剤層と第2負極合剤層は黒鉛とケイ素(Si)含有粒子が均一に混合された形態でそれぞれ形成されるか、あるいは各層が黒鉛層およびケイ素(Si)混合層(すなわち、黒鉛とケイ素(Si)含有粒子とが混合された層)から構成され得る。ここで、上記第1負極合剤層および第2負極合剤層として、それぞれ黒鉛層およびケイ素(Si)混合層が用いられる場合、黒鉛層が負極集電体とケイ素混合層との間に位置することで、最上層に位置するケイ素(Si)混合層が電解液および/または電解質と接触する面積を増加させることができ、それによってリチウムイオンの拡散を向上させることができる。
【0068】
また、上記第1負極合剤層および第2負極合剤層として、それぞれケイ素(Si)混合層および黒鉛層が用いられる場合は、ケイ素(Si)混合層が負極集電体と相接することになるが、この場合は、ケイ素(Si)混合層が負極集電体と黒鉛層との間に位置することで、負極活物質のローディング量と負極合剤層の平均厚さを減らすことができ、充電時のリチウムイオンがケイ素(Si)混合層に捕獲されることを改善することができ、ケイ素(Si)含有粒子の体積膨張を抑制して電池の寿命をより向上させることができる。
【0069】
さらに、上記負極合剤層は、100μm~200μmの平均厚さを有することができ、具体的には、100μm~180μm、100μm~150μm、120μm~200μm、140μm~200μm又は140μm~160μmの平均厚さを有し得る。
【0070】
また、上記負極は、当該電池に化学的変化を誘発せずに高い導電性を有する負極集電体を含み得る。例えば、上記負極集電体として、銅、ステンレススチール、ニッケル、チタン、焼成炭素などを用いることができ、銅やステンレススチールの場合カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理されたものを用いることもできる。また、上記負極集電体は、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質との結合力を強化することもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。さらに、上記負極集電体の平均厚さは、製造される負極の導電性と総厚さを考えて3~500μmで好適に適用され得る。
【0071】
ひいては、上記分離膜は正極と負極との間に介在され、高いイオン透過性と機械的強度を有する絶縁性の薄膜が使用される。分離膜は、当業界で通常的に使用されるものであれば特に制限されない。具体的には、耐化学性および疎水性のポリプロピレン、ガラス繊維またはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用され得る。場合によっては、上記シートや不織布のような多孔性高分子基材に無機物粒子/有機物粒子が有機バインダー高分子によりコーティングされた複合分離膜が使用されることもあり得る。電解質としてポリマーなどの固体電解質が用いられる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。さらに、上記分離膜の気孔の直径は平均0.01~10μmであり、厚さは平均5~300μmであり得る。
【0072】
一方、上記電極組立体はゼリーロール状に巻取されて円筒形電池、角型電池又はパウチ型電池に収容されるか、又は折り畳み又はスタック&折り畳み形態でパウチ型電池に収容され得るが、これに限定されない。
【0073】
<リチウム二次電池>
また、本発明は、一実施形態において、上記電極組立体を含むリチウム二次電池を提供する。
【0074】
本発明に係るリチウム二次電池は、上記電極組立体にリチウム塩含有の電解液が含浸されている構造を有し得る。
【0075】
ここで、上記リチウム塩含有の電解液は、電解液とリチウム塩からなることができ、上記電解液としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用され得る。
【0076】
上記非水系有機溶媒としては、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリジノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ‐ブチロラクトン、1,2‐ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2‐メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、ピロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用され得る。
【0077】
上記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエージテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含むポリマーなどが使用され得る。
【0078】
上記無機固体電解質としては、例えば、Li3N、LiI、Li5Ni2、Li3N‐LiI‐LiOH、LiSiO4、LiSiO4‐LiI‐LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4‐LiI‐LiOH、Li3PO4‐Li2S‐SiS2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用され得る。
【0079】
上記リチウム塩は、非水系電解質に溶解され易い物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、(CF3SO2)NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4‐フェニルボロン酸リチウム、イミドなどが使用され得る。
【0080】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、 亜リン酸トリエチル、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどを添加されることもあり得る。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含むこともでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭素ガスをさらに含むこともでき、FEC(Fluoro‐Ethylene carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含むこともできる。
【0081】
<電池モジュール>
さらに、本発明は、一実施形態において、上述した二次電池を単位電池として含む電池モジュールを提供し、上記電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0082】
上記電池パックは、高温安定性および長いサイクル特性と高いレート特性などが要求される中大型デバイスの電源として使用され得る。中大型デバイスの具体的な例としては、電気的モーターによって動力を受けて動く電動工具(power tool)、電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug‐in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車、電気自転車(E‐bike)、電動スクーター(E‐scooter)を含む電気二輪車、電気ゴルフカート(electric golf cart)、電力貯蔵用システム等が挙げられる。より具体的にはハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)が挙げられるが、これに限定されない。
【0083】
以下、本発明を実施例および実験例により、さらに詳しく説明する。
【0084】
ただし、下記実施例および実験例は本発明を例示するのみのものであり、本発明の内容が下記実施例および実験例に限定されるものではない。
【0085】
実施例1~4および比較例1~4、電極組立体の製造
ホモミキサー(homo mixer)にN‐メチルピロリドン溶媒を注入する。次に、第1正極合剤層および第2正極合剤層を構成するために、正極活物質であるLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、導電材であるカーボンブラック、バインダーであるPVdF、および正極添加剤であるLi6CoO4を下記表1に示すように秤量して、それぞれ別々に投入する。次に、3、000rpmで60分間を混合して第1正極合剤層形成用スラリーと第2正極合剤層形成用スラリーをそれぞれ用意した。
【0086】
また、負極活物質である天然黒鉛およびケイ素(Si)含有粒子と、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)を用意し、正極合剤層形成用スラリーを製造する方法と同じ方法で第1負極合剤層用形成用スラリーと第2負極合剤層形成用スラリーをそれぞれ用意した。このとき、負極合剤層の製造時に用いられる黒鉛は天然黒鉛であり、ケイ素(Si)含有粒子は0.9~1.1μmの平均粒度を有するものを用いた。
【0087】
用意された第1正極合剤層形成用スラリーをアルミニウム集電体の一面に塗布する。続けてその上に第2正極合剤層形成用スラリーを塗布した後、100℃で乾燥し、圧延して正極を製造した。ここで、正極合剤層の総厚さは130μmであり、製造された正極の総厚さは約200μmであった。
【0088】
また、用意された第1負極合剤層形成用スラリーを銅集電体の一面に塗布し、続けてその上に第2負極合剤層形成用スラリーを塗布した後、100℃で乾燥し、圧延して負極を製造した。ここで、負極合剤層の総厚さは150μmであり、製造された負極の総厚さは約180μmであった。
【0089】
その次に、製造された正極と負極との間に多孔質ポリエチレン(PE)フィルムからなる分離膜(厚さ:約16μm)を介在し、電解液としてE2DVCを注入してフルセル(full cell)形態のセルを作製した。
【0090】
ここで、「E2DVC」とは、カーボネート系電解液の一種であって、
エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1:1(体積比)の混合物に、リチウムヘキサフルオロホスフェート( LiPF6、1.0M)およびビニルカーボネート(VC、2重量%)を混合した溶液を意味する。
【0091】
【0092】
実験例
本発明によって製造された電極組立体の性能を評価するために、下記の実験を行った。
【0093】
ア)ガス放出量の測定
実施例2と比較例1~4で用意されたセルに対して、25℃で0.1C/0.1C条件で1回の充放電を実施してフォーメーションを行いながら、発生されるガス量と成分をそれぞれ分析し、その結果を下記表2に示した。
【0094】
【0095】
上記表2に示すように、本発明によって製造された実施例の電極組立体は、電池の初期充放電時のガス発生量が103mL/g以下に低減されると表れた。
【0096】
このような結果から、本発明に係る電極組立体は、初期充放電時のガス発生量が低減されるので、電池の安定性および効率が向上されることが分かる。
【0097】
イ)電気的性能の評価
実施例と比較例で作製されたセルに対して、25℃の温度で0.05Cの充電電流で充電終止電圧で4.2~4.25Vまで充電し、0.02Vで電流密度が0.01Cになるまで充電した。その後、0.05Cの放電電流で終止電圧2Vまで放電させ、電極の抵抗と単位質量当たりの充放電容量を測定した後、測定された充放電容量と下記式3および式4に従って初期効率および容量維持率を算出した。1番目のサイクル以降には0.5Cの電流で充放電して400サイクルを繰り返し行った後、電極の抵抗を測定して抵抗変化量を算出し、下記式3に従って400回充放電後の容量維持率を算出した。その結果は下記表3に示した。
【0098】
[式3]
初期効率(%)=(1サイクルでの放電容量/1サイクルでの充電容量)×100
【0099】
[式4]
容量維持率(%)=(400サイクルでの放電容量/1サイクルでの放電容量)×100
【0100】
【0101】
上記表3に示したように、本発明に従って製造された実施例の電極組立体は、電池の性能を向上させる効果があることが分かる。
【0102】
具体的には、実施例の電極組立体は初期充放電容量と効率が高く、400サイクルの充放電後にも充放電容量を高い割合で維持することが示された。
【0103】
このような結果から、本発明に係る電極組立体は、正極合剤層に特定の正極活物質と正極添加剤を含有する正極と、負極合剤層に特定の含量のケイ素(Si)含有粒子が混入された黒鉛を含有する負極を備えて、電池充放電時のガス発生量が低減されるのみならず、充放電後にも電極の抵抗変化率が低いので、それを含むリチウム二次電池は高エネルギー密度と長寿命を有し、急速充電効率が良いという利点がある。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施例を参照しながら説明したが、当該技術分野の熟練した当業者又は当該技術分野に通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更し得ることが理解できるだろう。
【0105】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。