(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】二次電池、二次電池製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/133 20210101AFI20240415BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240415BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20240415BHJP
【FI】
H01M50/133
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/531
H01M50/557
(21)【出願番号】P 2023509585
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2021011211
(87)【国際公開番号】W WO2022050616
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0114123
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100240
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ピル・ファン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホ・ナ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ホ・ベ
(72)【発明者】
【氏名】クァン・ポ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ポム・イ
(72)【発明者】
【氏名】シン・チョル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ス・テク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ミン・ハン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-229889(JP,A)
【文献】国際公開第2011/089965(WO,A1)
【文献】特開2008-198484(JP,A)
【文献】特開2004-095401(JP,A)
【文献】特開昭62-061268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極タブを備えた電極組立体と、
前記電極タブに結合される電極リードと、
前記電極リードの先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体を収容する収容部、及び前記収容部を密封するシール部を備えた電池ケースと、
前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードに備えられるリードフィルムとを含み、
前記電極リードが引き出された前記シール部は、前記収容部と連結される連結シール領域と、前記連結シール領域の反対側に位置する先端シール領域と、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間に備えられる補強シール領域とを含み、
前記補強シール領域は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部に備えられ、前記シール部の内部に凹んで形成される圧着面と、前記連結シール領域と圧着面との間及び前記先端シール領域と前記圧着面との間のシール部に備えられ、前記圧着面より厚く形成される隆起面とを含み、
前記電池ケースは、内側から外側方向に樹脂層、金属層及び絶縁層が順次積層される構造を有し、
前記隆起面の樹脂層は、前記圧着面の樹脂層より厚く形成される、二次電池。
【請求項2】
前記隆起面の樹脂層は、前記補強シール領域を形成する際に前記隆起面が前記圧着面より小さく圧着されることにより、前記圧着面の樹脂層より厚く形成される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記補強シール領域は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面にのみ形成される、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記圧着面及び前記隆起面は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着面及び隆起面の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、
前記圧着面及び隆起面の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記圧着面の幅は、3mm~5mmに形成される、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記圧着面の底面から前記隆起面の上端面までの高さは、30μm~50μmに形成される、請求項4または5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電極リードに位置する前記先端シール領域の厚さは、前記補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記圧着面は、前記電極リードの長さ方向に2つ以上備えられ、
前記隆起面は、2つ以上の前記圧着面の間にさらに備えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記補強シール領域は、前記シール部の上部表面及び下部表面にそれぞれ形成され、
前記シール部の上部表面及び下部表面にそれぞれ形成された前記補強シール領域の圧着面及び隆起面は、対称又は非対称に形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
電極タブを備えた電極組立体と、前記電極タブに結合される電極リードと、前記電極リードの先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体を収容する収容部、及び前記収容部を密封するシール部を備えた電池ケースと、前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードに備えられるリードフィルムとを含む二次電池を製造する二次電池製造装置であって、
前記電極リードが位置する前記シール部を圧着してシールする加圧部材を含み、
前記加圧部材は、前記収容部と連結される前記シール部の表面を圧着して連結シール領域を形成する連結シール部と、前記連結シール領域の反対側に位置する前記シール部の表面を圧着して先端シール領域を形成する先端シール部と、前記連結シール部と前記先端シール部との間に位置する前記シール部の表面を圧着して圧着面及び隆起面からなる補強シール領域を形成する補強シール部とを含み、
前記補強シール部は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部を圧着して前記シール部の内部に凹む圧着面を形成する圧着突起と、前記圧着突起と前記連結シール部との間及び前記圧着突起と前記先端シール部との間のシール部を前記圧着面より小さく凹むように圧着して前記圧着面より厚い隆起面を形成する圧着溝とを含み、
前記先端シール部は、前記電池ケースから見たとき前記圧着突起より小さく突出することによって、前記先端シール領域の厚さを前記補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成する、二次電池製造装置。
【請求項11】
前記加圧部材は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面のみを圧着してシールする、請求項10に記載の二次電池製造装置。
【請求項12】
前記圧着突起及び前記圧着溝は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着突起及び前記圧着溝の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、
前記圧着突起及び前記圧着溝の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される、請求項11に記載の二次電池製造装置。
【請求項13】
電極タブが備えられた電極組立体を準備する準備ステップと、
前記電極組立体の電極タブに電極リードを結合する結合ステップと、
前記電極リードの先端を外部に引き出した状態で電極組立体を電池ケースの収容部に収容し、前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードにリードフィルムを貼り付ける収容ステップと、
前記電極リードが引き出された前記電池ケースのシール部を圧着して密封するシールステップとを含み、
前記シールステップは、
前記収容部と連結される前記シール部の表面を圧着して連結シール領域を形成する連結シール工程と、
前記連結シール領域の反対側に位置する前記シール部の表面を圧着して先端シール領域を形成する先端シール工程と、
前記連結シール領域と前記先端シール領域との間の前記シール部の表面を圧着して圧着面及び隆起面からなる補強シール領域を形成する補強シール工程とを含み、
前記補強シール工程は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部を凹むように圧着して圧着面を形成する作業と、前記圧着面と前記連結シール領域との間及び前記圧着面と前記先端シール領域との間のシール部を前記圧着面より小さく凹むように圧着して前記圧着面より厚い隆起面を形成する作業とを含み、
前記収容ステップにおいて、電池ケースは、内側から外側方向に樹脂層、金属層及び絶縁層が順次積層される構造を有し、
前記シールステップにおいて、前記隆起面の樹脂層は、前記圧着面の樹脂層より厚い厚さを有する、二次電池製造方法。
【請求項14】
前記補強シール領域は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面にのみ形成される、請求項13に記載の二次電池製造方法。
【請求項15】
前記圧着面及び前記隆起面は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着面及び隆起面の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、
前記圧着面及び隆起面の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される、請求項14に記載の二次電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月7日付けの韓国特許出願第10-2020-0114123号及び2021年7月29日付けの韓国特許出願第10-2021-0100240号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容が本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、二次電池、二次電池製造装置及び製造方法に関し、特に、電極リードと電池ケースのシール部との間のシール力を強化した二次電池、二次電池製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、二次電池(secondary battery)とは、充電が不可能な一次電池とは異なり、充電及び放電が可能な電池をいい、このような二次電池は、スマートフォン、ノートブックコンピュータ及びカムコーダなどの先端電子機器の分野において広く用いられている。
【0004】
前記二次電池は、電極組立体が金属缶に内蔵される缶型二次電池と、電極組立体がパウチに内蔵されるパウチ型二次電池とに分類される。また、前記パウチ型二次電池は、電極タブを備えた電極組立体と、前記電極タブに結合される電極リードと、前記電極リードの先端が外部に引き出された状態で電極組立体を収容する電池ケースとを含む。さらに、前記電池ケースは、電極組立体を収容する収容部と、前記収容部の縁面に沿って形成されるシール部とを含む。
【0005】
一方、二次電池は、高容量及び高出力化の方向に開発が進んでおり、これにより、二次電池内部のガス発生量が大きく増加している。
【0006】
しかし、従来の二次電池は、高容量及び高出力化がなされているが、電池ケースのシール力は強化されていない。特に、電極リードが位置する電池ケースのシール部は、他のシール部に比べてシール力が弱く、これにより、ガスによりベント(vent)が起こり爆発や火災が発生するという問題があった。
【0007】
一方、電池ケースのシール部のシール力を高めるために、シール部全体をメッシュタイプに圧着してもよいが、メッシュタイプに圧着されたシール部は、引張強度が弱いため、剥離したり破れたりしやすいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するために発明されたものであり、本発明は、電極リードが位置する電池ケースのシール部に縞模様状にパターンシールされた補強シール領域を含むことにより、前記電極リードと前記シール部との間のシール力を大きく強化することができ、これにより、電極リードが位置する前記電池ケースのシール部のベントを防止することができる二次電池、二次電池製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、電極リードが位置する前記電池ケースのシール部の先端に先端シール領域を含むことにより、シール部の先端の引張強度を十分に確保することができ、これにより、シール部が剥離したり破れたりすることを防止することができ、その結果、二次電池の安全性を高めることができる二次電池、二次電池製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の二次電池は、電極タブを備えた電極組立体と、前記電極タブに結合される電極リードと、前記電極リードの先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体を収容する収容部、及び前記収容部を密封するシール部を備えた電池ケースと、前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードに備えられるリードフィルムとを含み、前記電極リードが引き出された前記シール部は、前記収容部と連結される連結シール領域と、前記連結シール領域の反対側に位置する先端シール領域と、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間に備えられる補強シール領域とを含み、前記補強シール領域は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部に備えられ、前記シール部の内部に凹んで形成される圧着面と、前記連結シール領域と圧着面との間及び前記先端シール領域と前記圧着面との間のシール部に備えられ、前記圧着面より厚く形成される隆起面とを含み、前記電池ケースは、内側から外側方向に樹脂層、金属層及び絶縁層が順次積層される構造を有し、前記隆起面の樹脂層は、前記圧着面の樹脂層より厚く形成されてもよい。
【0011】
前記隆起面の樹脂層は、前記補強シール領域を形成する際に前記隆起面が前記圧着面より小さく圧着されることにより、前記圧着面の樹脂層より厚く形成されてもよい。
【0012】
前記補強シール領域は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面にのみ形成されてもよい。
【0013】
前記圧着面及び前記隆起面は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着面及び隆起面の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、前記圧着面及び隆起面の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成されてもよい。
【0014】
前記圧着面の幅は、3mm~5mmに形成されてもよい。
【0015】
前記圧着面の底面から前記隆起面の上端面までの高さは、30μm~50μmに形成されてもよい。
【0016】
前記電極リードに位置する前記先端シール領域の厚さは、前記補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成されてもよい。
【0017】
前記圧着面は、前記電極リードの長さ方向に2つ以上備えられ、前記隆起面は、2つ以上の前記圧着面の間にさらに備えられてもよい。
【0018】
前記補強シール領域は、前記シール部の上部表面及び下部表面にそれぞれ形成され、前記シール部の上部表面及び下部表面にそれぞれ形成された前記補強シール領域の圧着面及び隆起面は、対称又は非対称に形成されてもよい。
【0019】
一方、本発明の二次電池製造装置は、電極タブを備えた電極組立体と、前記電極タブに結合される電極リードと、前記電極リードの先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体を収容する収容部、及び前記収容部を密封するシール部を備えた電池ケースと、前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードに備えられるリードフィルムとを含む二次電池を製造するためのものであって、前記電極リードが位置する前記シール部を圧着してシールする加圧部材を含み、前記加圧部材は、前記収容部と連結される前記シール部の表面を圧着して連結シール領域を形成する連結シール部と、前記連結シール領域の反対側に位置する前記シール部の表面を圧着して先端シール領域を形成する先端シール部と、前記連結シール部と前記先端シール部との間に位置する前記シール部の表面を圧着して圧着面及び隆起面からなる補強シール領域を形成する補強シール部とを含み、前記補強シール部は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部を圧着して前記シール部の内部に凹む圧着面を形成する圧着突起と、前記圧着突起と前記連結シール部との間及び前記圧着突起と前記先端シール部との間のシール部を前記圧着面より小さく凹むように圧着して前記圧着面より厚い隆起面を形成する圧着溝とを含み、前記先端シール部は、前記電池ケースから見たとき前記圧着突起より小さく突出することによって、前記先端シール領域の厚さを前記補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成するようにしてもよい。
【0020】
前記加圧部材は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面のみを圧着してシールするようにしてもよい。
【0021】
前記圧着突起及び前記圧着溝は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着突起及び前記圧着溝の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、前記圧着突起及び前記圧着溝の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成されてもよい。
【0022】
一方、本発明の二次電池製造方法は、電極タブが備えられた電極組立体を準備する準備ステップと、前記電極組立体の電極タブに電極リードを結合する結合ステップと、前記電極リードの先端を外部に引き出した状態で電極組立体を電池ケースの収容部に収容し、前記電池ケースのシール部に位置する前記電極リードにリードフィルムを貼り付ける収容ステップと、前記電極リードが引き出された前記電池ケースのシール部を圧着して密封するシールステップとを含み、前記シールステップは、前記収容部と連結される前記シール部の表面を圧着して連結シール領域を形成する連結シール工程と、前記連結シール領域の反対側に位置する前記シール部の表面を圧着して先端シール領域を形成する先端シール工程と、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間の前記シール部の表面を圧着して圧着面及び隆起面からなる補強シール領域を形成する補強シール工程とを含み、前記補強シール工程は、前記連結シール領域と前記先端シール領域との間のシール部を凹むように圧着して圧着面を形成する作業と、前記圧着面と前記連結シール領域との間及び前記圧着面と前記先端シール領域との間のシール部を前記圧着面より小さく凹むように圧着して前記圧着面より厚い隆起面を形成する作業とを含み、前記収容ステップにおいて、電池ケースは、内側から外側方向に樹脂層、金属層及び絶縁層が順次積層される構造を有し、前記シールステップにおいて、前記隆起面の樹脂層は、前記圧着面の樹脂層より厚い厚さを有するようにしてもよい。
【0023】
前記補強シール領域は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面にのみ形成されてもよい。
【0024】
前記圧着面及び前記隆起面は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着面及び隆起面の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は全幅長より短い長さを有し、前記圧着面及び隆起面の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の二次電池は、収容部及びシール部を備えた電池ケースを含み、前記シール部は、連結シール領域、先端シール領域及び補強シール領域を含み、前記補強シール領域は、圧着面及び隆起面を含むことを特徴とする。このような特徴により、電極リードが位置する電池ケースのシール部のシール力を大きく高めることができ、これにより、ベントの発生を大幅に防止することができる。
【0026】
特に、本出願において、先端シール領域は、前記補強シール領域の圧着面より厚く備えられることを特徴とし、このような特徴により、シール部の先端の引張強度を十分に確保することができ、これにより、シール部の先端が剥離したり破れたりする問題を防止することができる。
【0027】
また、本発明の二次電池において、電池ケースは、樹脂層、金属層及び絶縁層が順次積層される構造を有し、前記隆起面の樹脂層は、前記圧着面の樹脂層より厚く形成されることを特徴とする。このような特徴により、電池ケースの隆起面の耐圧力を増大させることができ、これにより、収容部に連結されたシール部の開始地点でガスのベントを効果的に遮断することができる。より正確に説明すると、連結シール領域に連結された補強シール領域の隆起面でガスベントを遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態による二次電池を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による二次電池を示す平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による二次電池のベント実験結果を示す断面写真である。
【
図6】本発明の第2実施形態による二次電池製造装置を示す側面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による二次電池製造装置の加圧部材を示す底面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による二次電池製造装置の加圧部材により二次電池のシール部が圧着された状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による二次電池製造方法を示すフローチャートである。
【
図11】本発明のシール部の引張強度を測定した実験例を示すものであり、(a)は比較例の二次電池を示す図であり、(b)は製造例の二次電池を示す図である。
【
図12】本発明のシール部の引張強度を測定した実験例を示すものであり、引張強度を測定する測定装置を示す図である。
【
図13】本発明のシール部の引張強度を測定した実験例を示すものであり、(a)は比較例の引張強度を測定したグラフであり、(b)は製造例の引張強度を測定したグラフである。
【
図14】本発明のシール部の引張強度を測定した実験例を示すものであり、比較例及び製造例の引張強度を数値で示す表である。
【
図15】本発明のシール部の引張強度を測定した実験例を示すものであり、比較例及び製造例の引張強度を示す棒グラフである。
【
図16】本発明のシール部のシール状態を測定した実験例を示すものであり、本発明の二次電池に含まれるシール部を撮影した断面写真である。
【
図17】本発明のシール部のシール状態を測定した実験例を示すものであり、本発明の二次電池に含まれるシール部のシール前後のシールの厚さを数値で示す表である。
【
図18】本発明のシール部のシール状態を測定した実験例を示すものであり、(a)は
図16に示す圧着面の厚さを示すものであり、(b)は
図16に示す隆起面の厚さを示すものである。
【
図19】本発明のシール部のベント状態を実験した実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分には類似の図面符号を付す。
【0030】
[本発明の第1実施形態による二次電池]
本発明の第1実施形態による二次電池1は、
図1~
図5に示すように、電極タブ11を備えた電極組立体10と、前記電極タブ11に結合される電極リード20と、前記電極リード20の先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体10を収容する電池ケース30と、前記電池ケース30のシール部に位置する電極リード20に貼り付けられるリードフィルム40とを含む。
【0031】
前記電極組立体10は、分離膜を介在した状態で複数の電極が交互に積層される構造を有し、前記複数の電極には電極タブ11が備えられる。ここで、前記複数の電極は、正極及び負極であってもよく、前記電極タブ11は、正極に備えられる正極タブ及び負極に備えられる負極タブであってもよい。
【0032】
前記電極リード20は、前記電極タブに結合されるものであり、正極タブに結合される正極リードと、負極タブに結合される負極リードとを含む。
【0033】
前記電池ケース30は、前記電極組立体10を収容する収容部31と、前記収容部31の縁部に沿って形成されて前記収容部31を密封するシール部32とを含む。
【0034】
ここで、前記電池ケース30は、互いに対応して結合される上部パウチ及び下部パウチを含み、前記上部及び下部パウチは、電極組立体10が位置する内側から外側方向に樹脂層30a、金属層30b及び絶縁層30cが順次積層される構造を有するようにしてもよい。
【0035】
一方、前記上部及び下部パウチの積層構造は1つの実施形態により説明したが、適用されるパウチ構造によって樹脂層30a、金属層30b及び絶縁層30cを含む形態で様々な積層構造を有することができる。一例として、樹脂層、接着層、金属層、接着層及び絶縁層の積層構造に形成されてもよい。
【0036】
前記リードフィルム40は、シール部32に位置する電極リード20を囲む形態で備えられることにより、前記シール部32と前記電極リード20との間の結合力及び密封力を高める。
【0037】
一方、二次電池1は、電池ケース30の内部のガス圧力が増大する場合、電池ケース30のシール部32がベント(vent)することにより、爆発又は発火が発生する可能性が高くなる。特に、前記電池ケース30のシール部32のうち、前記電極リード20が位置するシール部32は、電極リードが位置しないシール部に比べてシール力が弱いため、ガス圧力により先にベントする可能性が高い。
【0038】
上記問題を解決するために、本発明の第1実施形態による二次電池1は、電池ケースのシール部のシール力を強化する構造を有する。特に、本発明の第1実施形態による二次電池1は、前記電極リード20に位置するシール部32のシール力を大きく強化する構造を有し、これにより、ガス圧力により電極リードが位置する前記電池ケースのシール部が先にベントされることを防止することができる。
【0039】
すなわち、本発明の第1実施形態による二次電池1において、電極リードが引き出されたシール部32は、前記収容部31と連結される連結シール領域32aと、前記連結シール領域32aの反対側であるシール部の先端に位置する先端シール領域32bと、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間に備えられる補強シール領域32cとを含む。
【0040】
前記連結シール領域32aは、前記収容部31に連結されたシール部32の表面を圧着することにより形成される。
【0041】
前記先端シール領域32bは、前記連結シール領域32aの反対側であるシール部の先端の表面を圧着することにより形成される。
【0042】
前記補強シール領域32cは、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間のシール部の表面を圧着することにより形成される。
【0043】
ここで、補強シール領域32cは、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間のシール部32に備えられ、前記シール部32の内部に凹んで形成される圧着面32dと、前記連結シール領域32aと圧着面32dとの間及び前記先端シール領域32bと前記圧着面32dとの間のシール部32に備えられ、前記圧着面32dより厚く形成されることにより前記圧着面から外側に突出する隆起面32eとを含む。
【0044】
すなわち、補強シール領域32cは、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間のシール部32を凹むように圧着することにより形成される圧着面32dと、補強シール領域の形成時に前記圧着面32dより小さく凹むように圧着することにより前記圧着面32dより厚く形成される隆起面32eとを含む。
【0045】
ここで、前記先端シール領域32bの厚さは、前記補強シール領域32cの圧着面32dの厚さより厚く形成されてもよい。好ましくは、前記電極リードが位置する前記先端シール領域32bの厚さは、前記補強シール領域32cの圧着面32dの厚さより厚く形成される。
【0046】
すなわち、前記先端シール領域32bは、シール部の先端に位置するものであって、前記圧着面32dと同じ厚さに圧着した場合、結晶化度が高くなってシール力は大きく高めることができるが、引張強度は大きく弱化されるという問題があり、これにより、先端シール領域32bが剥離したり破れたりしやすくなり、不良が発生することがある。これを防止するために、前記先端シール領域32bは、シール部の厚さ方向に凹むように圧着するが、前記圧着面32dの厚さより厚く形成し、これにより、圧着面より結晶化度は低くなり得るが、引張強度は大きく増大させることができ、よって、前記先端シール領域32bが剥離したり破れたりする問題を解決することができる。
【0047】
特に、前記電極リードが位置するシール部の先端は剥離したり破れたりするなどの不良が発生する可能性が高く、これにより、前記電極リードが位置するシール部の先端のみ先端シール領域32bを形成し、先端シール領域32bの厚さは補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成してもよい。
【0048】
一方、前記隆起面32eに位置する樹脂層30aは、前記圧着面32dに位置する樹脂層30aより厚い厚さを有するようにしてもよい。すなわち、隆起面32eは、前記補強シール領域32cを形成する際に前記圧着面32dより小さく凹むように圧着されるが、このとき、隆起面32eの樹脂層30aは、前記圧着面32dの樹脂層30aより小さく圧着されることにより厚い厚さを有するようになる。これにより、前記隆起面の樹脂層は、圧着面の樹脂層より厚く形成されることにより、圧着面の樹脂層より高い耐圧力を形成することができ、その結果、電池ケースの内部に発生したガスが連結シール領域32aに連結された補強シール領域の隆起面32eに位置する樹脂層30aにより遮断されることによって止まり、その結果、ベントの発生を効果的に遮断することができる(
図5の撮影された断面写真を参照)。
【0049】
つまり、
図4を参照すると、隆起面の樹脂層の厚さ(a)は、圧着面の樹脂層の厚さ(B)より厚く形成される。
【0050】
一方、前記隆起面32eの金属層及び前記圧着面32dの金属層又は前記隆起面32eの絶縁層及び前記圧着面32dの絶縁層は、均等な厚さを有するようにしてもよい。これにより、電極リードに位置するシール部全体の絶縁性と外形変化を防止することができる。
【0051】
このような構造を有するシール部32は、連結シール領域32a、先端シール領域32b及び補強シール領域32cを含むことにより、電極リードが引き出されたシール部のシール力を高めることができ、その結果、シール部のベントの発生を大幅に防止することができる。
【0052】
一方、前記補強シール領域32cは、前記電極リード20が引き出された電池ケース30のシール部32全体に形成されてもよく、作業と工程の効率性を高めるために、前記電極リード20の表面に対応するシール部32の表面にのみ形成されてもよい。
【0053】
すなわち、電極リードが位置しないシール部は、上部及び下部パウチが密着状態で圧着されるので、安定したシール力を確保することができる。しかし、電極リードが位置するシール部は、リードフィルムと上部パウチ、リードフィルムと下部パウチがシールされるので、安定したシール力の確保には限界がある。
【0054】
これにより、前記補強シール領域32cは、前記電極リード20が位置するシール部32の表面にのみ形成され、その結果、電極リードが位置するシール部の表面のシール力を効果的に補強することができる。すなわち、補強シール領域は、電極リードの表面と同じ垂直線上に位置するシール部の表面内に形成されてもよい。
【0055】
一方、前記圧着面32d及び前記隆起面32eは、前記電極リードの幅方向に長く形成される。特に、前記圧着面32d及び隆起面32eの長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は短い長さを有する。これにより、電極リードの幅方向に同じシール力を有し、その結果、ベントの発生を大幅に防止することができる。
【0056】
特に、前記圧着面32d及び隆起面32eの両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される。すなわち、前記圧着面32d及び隆起面32eは、
図2を参照すると、両端が直線である長方形形状を有する。これにより、前記圧着面32d及び隆起面32eの両端まで同じシール力を有するようになり、その結果、電極リードに位置するシール部のシール力を高めることができる。
【0057】
一方、前記連結シール領域32a又は前記先端シール領域32bは、曲面又は傾斜面に形成されてもよい。すなわち、前記連結シール領域32aは、隆起面に連結された一端から反対側である他端に行くほど厚さが徐々に増大する曲面又は傾斜面に形成される。これにより、連結シール領域32aの一端は高い結晶化度を維持し、他端は高い引張強度を維持することができる。その結果、前記連結シール領域32aのベント及び剥離の発生を防止することができる。また、前記先端シール領域32bは、隆起面に連結された一端から他端に行くほど厚さが徐々に増大する曲面又は傾斜面に形成され、これにより、前記先端シール領域32bの一端は高い結晶化度を維持し、他端は高い引張強度を維持することができる。その結果、先端シール領域32bのベント及び剥離問題を大幅に防止することができる。
【0058】
一方、前記圧着面32dは、前記電極リードの長さ方向に2つ以上備えられ、前記隆起面32eは、前記2つ以上の圧着面32d間にさらに備えられてもよい。これにより、ガスのベントを多段で遮断することができ、その結果、ベントの発生を大幅に防止することができる。
【0059】
一方、前記電極リードの長さ方向に備えられた2つの圧着面の幅は、異なってもよい。すなわち、内部圧力が大きく発生する収容部に位置する圧着面の幅は大きく形成し、シール部の先端に位置する圧着面の幅は小さく形成してもよい。
【0060】
一方、2つ以上の圧着面32dの深さは、同じでもよく、異なってもよい。すなわち、2つ以上の圧着面32dの深さを同じ深さに形成すると、2つ以上の圧着面のシール力が同じであるため、シール力を大きく高めることができる。また、2つ以上の圧着面32dの深さを異なる深さに形成すると、いずれか1つ以上の圧着面はシール力を高め、残りの圧着面は引張強度を高めることができる。例として、先端シール領域32bに近い圧着面は深さを浅くして引張強度を高め、連結シール領域32aに近い圧着面は深さを深くしてシール強度を高めることができる。
【0061】
一方、補強シール領域32cに形成された2つ以上の隆起面32eは、同じ高さを有してもよく、異なる高さを有してもよい。すなわち、補強シール領域32cに形成された2つ以上の隆起面は、精密な成形工程により同じ高さを有するようにしてもよく、圧着力の差により異なる高さを有するようにしてもよい。
【0062】
一方、樹脂層30aは、金属層及び絶縁層より低い溶融点を有してもよい。すなわち、シール部の圧着時、樹脂層30aのみを溶融して下部及び上部パウチのシール部を熱融着し、それと同時にシール部に補強シール領域を形成してもよい。
【0063】
一方、圧着面32dの幅は、3mm~5mmを有する。好ましくは、圧着面32dの幅は、4mmを有する。すなわち、圧着面32dは、幅が2mm又はそれ以下である場合、シール強度の確保が難しく、幅が6mm又はそれ以上である場合、シール部の面積が大きく増大してエネルギー密度を低下させることがある。これにより、複数の圧着面32dは、3~5mmの幅を有することにより、シール強度及びエネルギー密度の低下を防止することができる。
【0064】
一方、圧着面32dの深さ(圧着面の底面から隆起面の最上端面までの高さ)は、30μm~50μmに形成される。好ましくは、圧着面32dの深さは、40μmに形成される。これにより、圧着面32d間に40μmの高さを有する隆起面32eが形成される。すなわち、圧着面32dの深さが30μm以下である場合、隆起面を十分に確保することが難しく、50μm以上である場合、隆起面を十分に確保することはできるが、圧着面に位置する樹脂層の厚さが薄くなりすぎるという問題がある。
【0065】
一方、前記補強シール領域32cは、前記シール部32の上部表面及び下部表面にそれぞれ形成される。ここで、前記シール部32の上部及び下部表面にそれぞれ形成された補強シール領域32cは、非対称に形成される。すなわち、前記補強シール領域32cは、前記シール部32の上部表面及び下部表面において隆起面の高さ及び形状に違いがあり、非対称に形成されてもよい。このように、補強シール領域がシール部の上部表面及び下部表面に非対称に形成されると、シール部の厚さムラを最小限に抑えることができ、その結果、シール部の強度が大きく弱化されることを防止することができる。
【0066】
一方、前記補強シール領域32cは、前記シール部32の上部表面及び下部表面にそれぞれ対称に形成されてもよい。
【0067】
よって、本発明の第1実施形態による二次電池1は、電池ケース30のシール部32に圧着面32d及び隆起面32eが形成された補強シール領域を含むことにより、電池ケース30のシール力を大きく高めることができ、これにより、ベントを大幅に防止することができる。特に、連結シール領域に連結された補強シール領域の開始点である隆起面でガスベントを効果的に遮断することができる。また、前記先端シール領域の厚さを前記補強シール領域の圧着面の厚さより厚く形成することにより、シール部の先端シール領域の引張強度の弱化を防止することができ、その結果、電池ケースが分離される現象を防止することができる。
【0068】
一方、本発明の第1実施形態による二次電池1のシール部は、二次電池製造装置を用いてシールすることができる。すなわち、本発明の第2実施形態による二次電池製造装置は、電池ケースのシール部をシールするが、とりわけ電極リードが引き出された電池ケースのシール部をシールすることができる。
【0069】
以下、本発明の第2実施形態による二次電池製造装置について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
[本発明の第2実施形態による二次電池製造装置]
本発明の第2実施形態による二次電池製造装置100は、電極リードが引き出された電池ケースのシール部をシールするためのものである。
【0071】
一方、二次電池1は、電極タブ11を備えた電極組立体10と、前記電極タブ11に結合される電極リード20と、前記電極リード20の先端が外部に引き出された状態で前記電極組立体10を収容する収容部31、及び前記収容部31を密封するシール部32を備えた電池ケース30と、前記電池ケース30のシール部32に位置する前記電極リード20に備えられるリードフィルム40とを含む。
【0072】
一方、本発明の第2実施形態による二次電池製造装置100は、電極リードが引き出された電池ケースのシール部をシールすることを1つの実施形態として説明するが、電極リードのない電池ケースのシール部にも同様に適用することができる。
【0073】
すなわち、本発明の第2実施形態による二次電池製造装置100は、
図6~
図9に示すように、電極リードが引き出された電池ケース30のシール部32を圧着して前記シール部32をシールする加圧部材110を含む。
【0074】
前記加圧部材110は、前記収容部31と連結される前記シール部32の表面を圧着して連結シール領域32aを形成する連結シール部111と、前記連結シール領域32aの反対側に位置する前記シール部32の先端の表面を圧着して先端シール領域32bを形成する先端シール部112と、前記連結シール部111と前記先端シール部112との間に位置する前記シール部32の表面を圧着して圧着面32d及び隆起面32eからなる補強シール領域32cを形成する補強シール部113とを含む。
【0075】
ここで、前記補強シール部113は、表面を長さ方向(
図7における左右方向)に削って溝を加工するが、前記溝は、補強シール部113の幅方向(
図7における上下方向)に複数形成されるように加工する。これにより、補強シール部113は、シール部の幅方向に溝と突起が交互に形成された断面形状を有する。一方、突起は、シール部に圧着面を形成させる圧着突起となり、溝は、シール部に隆起面を形成させる圧着溝となる。
【0076】
つまり、前記補強シール部113は、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間のシール部を圧着して前記シール部の内部に凹む圧着面32dを形成する圧着突起113aと、前記圧着突起113aと前記連結シール部111との間及び前記圧着突起113aと前記先端シール部112との間のシール部を前記圧着面32dより小さく凹むように圧着して前記圧着面32dより厚い隆起面32eを形成する圧着溝113bとを含む。
【0077】
このような構造を有する加圧部材110は、連結シール部111、先端シール部112及び補強シール部113を含むことにより、前記電極リードが引き出された電池ケース30のシール部32に連結シール領域32a、先端シール領域32b、補強シール領域32cを形成することができる。
【0078】
ここで、加圧部材110は、電極リード20の表面に対応するシール部32の表面のみを加圧し、これにより、電極リード20が位置するシール部32の表面にのみ連結シール領域32a、先端シール領域32b、補強シール領域32cを形成することができる。
【0079】
特に、前記先端シール部112は、前記電池ケース30から見たとき前記圧着突起113aより小さく突出し、これにより、前記先端シール領域32bの厚さを前記補強シール領域32cの圧着面32dの厚さより厚く形成することができ、これは、先端シール領域32bの引張強度を十分に確保することができ、先端シール領域が剥離したり破れたりする現象を防止することができる。
【0080】
一方、加圧部材110は、電極リード20が位置するシール部32の上面及び下面をそれぞれ加圧するように一対に設けられてもよい。すなわち、一対の加圧部材110は、電極リード20が位置するシール部32の上面及び下面にそれぞれ配置し、その後互いに対応する方向に移動させる。すると、加圧部材110の連結シール部111、先端シール部112及び補強シール部113が電池ケース30のシール部32を加圧することにより、シール部32に連結シール領域32a、先端シール領域32b、補強シール領域32cを形成する。特に、補強シール部113は、圧着突起113aにより補強シール領域32cの一部を前記シール部32の厚さ方向にさらに凹むように圧着して圧着面32dを形成し、補強シール領域32cの残りの部分は圧着溝113bにより前記圧着突起113aより小さく圧着して隆起面32eを形成する。
【0081】
一方、前記圧着突起及び前記圧着溝は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着突起及び前記圧着溝の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は短い長さを有する。これにより、電極リードが位置するシール部の表面に電極リードの幅方向に長く形成される圧着面及び隆起面を形成することができる。
【0082】
また、前記圧着突起及び前記圧着溝の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される。これにより、長方形形状の圧着面及び隆起面を形成することができ、その結果、シール部のシール力を高めることができる。
【0083】
一方、前記圧着突起113aは、前記シール部32の幅方向に2つ以上備えられ、前記圧着溝113bは、前記2つ以上の圧着突起113a間にさらに備えられてもよい。これにより、補強シール領域32cに2つ以上の圧着面32d及び2つ以上の隆起面32eを形成することができ、その結果、シール部のシール力を大きく高めることができる。
【0084】
一方、2つ以上の圧着突起は、異なる幅を有してもよい。すなわち、収容部に近い圧着突起の幅は大きく形成し、シール部の先端に位置する圧着突起の幅は小さく形成してもよい。
【0085】
一方、圧着溝113bに連結された連結シール部111は、一端から他端に行くほど高さが増大する曲面又は傾斜面に形成されてもよい。これにより、連結シール部111は、シール部に曲面又は傾斜面を有する連結シール領域を形成することができる。また、圧着溝113bに連結された先端シール部112は、一端から他端に行くほど高さが増大する曲面又は傾斜面に形成されてもよい。これにより、先端シール部112は、シール部に曲面又は傾斜面を有する先端シール領域を形成することができる。
【0086】
一方、前記加圧部材110に形成される圧着突起113aの幅は、3~5mmを有し、好ましくは4mmを有する。これにより、シール部の補強シール領域に3~5mmを有する、好ましくは4mmを有する圧着面32dを形成することができる。
【0087】
一方、圧着突起の先端から圧着溝の底面までの深さは、30μm~50μmに形成される。好ましくは、圧着突起の先端から圧着溝の底面までの深さは、40μmに形成される。これにより、圧着面32d間に40μmの高さを有する隆起面32eを形成することができる。
【0088】
よって、本発明の第2実施形態による二次電池製造装置100は、電極リードが位置するシール部の表面のみをシールする加圧部材110を含むことにより、電極リードが位置するシール部のシール力を大きく強化することができる。
【0089】
以下、本発明の第3実施形態による二次電池製造方法についてより具体的に説明する。
【0090】
[本発明の第3実施形態による二次電池製造方法]
本発明の第3実施形態による二次電池製造方法は、
図10に示すように、準備ステップ(S10)、結合ステップ(S20)、収容ステップ(S30)、シールステップ(S40)を含む。
【0091】
準備ステップ
準備ステップ(S10)は、電極タブ11が備えられた電極組立体10を準備する。ここで、電極組立体は、電極と分離膜とが交互に積層される構造を有し、前記電極タブ11は、前記電極の一端から突設される。
【0092】
結合ステップ
結合ステップ(S20)は、前記電極組立体10の電極タブ11の先端に電極リード20の一端を重ねて配置し、その後電極タブ11と電極リード20との重畳面を溶接して結合する。
【0093】
収容ステップ
収容ステップ(S30)は、前記電極リード20の先端が外部に引き出された状態で電極組立体10を電池ケース30の収容部31に収容する。そして、電池ケース30のシール部32に位置する電極リード20にリードフィルム40を貼り付ける。
【0094】
一方、電池ケース30は、上部パウチ及び下部パウチを含む。ここで、上部パウチの収容溝と下部パウチの収容溝とが連結されることにより収容部31を形成し、上部パウチのシール面と下部パウチのシール面とが連結されることによりシール部32を形成する。
【0095】
また、前記上部パウチ及び下部パウチは、内側から外側方向に樹脂層30a、金属層30b及び絶縁層30cが順次積層される構造を有するようにしてもよい。
【0096】
シールステップ
シールステップ(S40)は、電極リードが位置するシール部32をシールするためのものであって、前記収容部31と連結される前記シール部32の表面を圧着して連結シール領域32aを形成する連結シール工程と、前記連結シール領域32aの反対側に位置する前記シール部32の先端の表面を圧着して先端シール領域32bを形成する先端シール工程と、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間の前記シール部32の表面を圧着して圧着面32d及び隆起面32eからなる補強シール領域32cを形成する補強シール工程とを含む。
【0097】
ここで、前記連結シール工程、先端シール工程及び補強シール工程は、説明のためにそれぞれ記載したが、シール部のシール時に同時に行われる。
【0098】
また、シールステップ(S40)は、二次電池製造装置100の加圧部材110を用い、前記加圧部材110は、連結シール部111、先端シール部112及び補強シール部113を含む。
【0099】
すなわち、前記二次電池製造装置100は、一対の加圧部材110により、前記電極リードが引き出された前記電池ケース30のシール部32の両面を同時に圧着して密封する。
【0100】
ここで、前記補強シール工程は、補強シール部113の圧着突起113aにより前記シール部32の表面に圧着面32dを形成する圧着面形成作業と、補強シール部113の圧着溝113bにより前記シール部32の表面に隆起面32eを形成する隆起面形成作業とを含む。前記圧着面形成作業は、圧着突起113aにより、シール部32の幅方向に少なくとも2つ以上備えられ、前記シール部の表面をシール部32の厚さ方向に凹むように圧着される圧着面を形成する。前記隆起面形成作業は、圧着溝113bにより、連結シール領域と圧着面との間及び先端シール領域と圧着面との間を圧着して隆起面32eを形成するが、前記隆起面32eは、前記圧着面より少なく凹むように圧着される。それにより、隆起面32eは、前記圧着面より突出する。
【0101】
一方、前記圧着面形成作業及び前記隆起面形成作業は、説明のためにそれぞれ記載したが、シール部のシール時に同時に行われる。
【0102】
一方、前記シールステップにおいて、先端シール領域32bの厚さは、前記補強シール領域32cの圧着面32dの厚さより厚く形成してもよい。これにより、先端シール領域32bの引張強度が弱化されることを防止することができ、その結果、先端シール領域32bが剥離したり破れたりする現象を防止することができる。
【0103】
一方、前記シールステップにおいて、前記隆起面32eは、前記圧着面32dより少なく圧着されることにより、隆起面32eの樹脂層が圧着面32dの樹脂層より厚い厚さを有するようにしてもよい。これにより、前記隆起面32eの樹脂層30aは、前記圧着面32dの樹脂層30aより耐圧力が増大し、その結果、電池ケースの内部に発生したガスが隆起面が形成されたシール部の開始点から止まり、その結果、ガスによるベントを効果的に遮断することができる。
【0104】
一方、前記隆起面32eの金属層及び絶縁層は、前記圧着面32dの金属層及び絶縁層と同じか、又は設定された範囲で均等な厚さを有する。
【0105】
一方、前記補強シール工程において、前記隆起面32eと連結シール領域32a及び先端シール領域32bは、同じ厚さを有するようにしてもよい。
【0106】
一方、前記補強シール工程は、前記連結シール領域32aと前記先端シール領域32bとの間のシール部に前記シール部の幅方向に2つ以上の圧着面を形成し、前記2つ以上の圧着面間に隆起面をさらに形成してもよい。これにより、シール部のシール力を大きく高めることができる。
【0107】
一方、前記補強シール領域は、前記電極リードの表面に対応する前記シール部の表面にのみ形成される。特に、前記圧着面及び前記隆起面は、前記電極リードの幅方向に長く形成され、前記圧着面及び隆起面の長さは、前記電極リードの全幅長と同じ又は短い長さを有する。また、前記圧着面及び隆起面の両端は、前記電極リードの長さ方向と同じ直線部で形成される。
【0108】
よって、本発明の第3実施形態による二次電池製造方法は、上記のようなステップが完了すると、シール力が強化された完製品の二次電池1を製造することができる。
【0109】
[引張強度実験]
引張強度実験の準備
電極と分離膜とが交互に積層された電極組立体と、前記電極組立体に結合される電極リードと、前記電極組立体を収容する電池ケースとを含む複数の二次電池を準備する。ここで、電池ケースは、温度200℃、圧力0.2MPa、時間0.2sでシールが行われる。
【0110】
上記のように準備された二次電池のうち5つの二次電池のシール部に連結シール領域、先端シール領域及び補強シール領域を形成してシール力を強化し、それらを製造例として分離する。また、残りの二次電池のうち5つを比較例として分離する。
【0111】
比較例
比較例は、
図11の(a)に示すように、二次電池において電極リード20と電池ケース30のシール部とが連結された部分を切断して比較実験片を準備する。ここで、比較実験片は、
図11の(a)を参照すると、正極リードとシール部の上部及び下部をそれぞれ切断して正極上部及び正極下部の比較物を準備し、負極リードとシール部の上部及び下部をそれぞれ切断して負極上部及び負極下部の比較物を準備する。
【0112】
製造例
製造例は、
図11の(b)に示すように、連結シール領域、先端シール領域及び補強シール領域をさらに電極リード20と電池ケース30のシール部とが連結された部分を切断して製造実験片を準備する。一方、前記補強シール領域は、2つの圧着面及び3つの隆起面を含む。
【0113】
ここで、製造実験片は、正極リードとシール部の上部及び下部をそれぞれ切断して正極上部及び正極下部の製造物を準備し、負極リードとシール部の上部及び下部をそれぞれ切断して負極上部及び負極下部の製造物を準備する。
【0114】
一方、前記正極上部及び正極下部、負極上部及び負極下部は、
図11に示すシール部を基準に説明したものである。
【0115】
引張強度の測定
上記のように準備した製造実験片と比較実験片は、
図12に示すように、引張強度実験装置により同一条件で引張し、その後引張強度を測定する。その結果、
図13~15のような結果が得られる。
【0116】
引張強度の測定結果
図13の(a)を参照すると、比較例は、電極リードとシール部とが連結された両端部において引張強度が一部増大したことが確認される。また、
図13の(b)を参照すると、製造例は、電極リードとシール部とが連結された両端部と中央において引張強度が比較例より大きく増大したことが確認される。特に、製造例において引張強度が大きく増大した部分は隆起面が形成された部分であることが確認される。
【0117】
図14及び
図15は比較例及び製造例の引張強度の平均値及び最大値を記載したものである。ここで、左側は引張強度の平均値であり、右側は引張強度の最大値である。
【0118】
図14及び
図15を参照すると、製造例は、比較例より、電極上部及び電極下部において引張強度の平均値と引張強度の最大値が両方とも増大したことが確認される。
【0119】
よって、上記のような実験の結果、製造例は比較例より引張強度を十分に確保することができ、その結果、シール部が剥離したり破れたりする現象を大幅に防止することができることが確認される。
【0120】
[シール部の厚さの測定]
シール部実験の準備及び測定
前述した実験において製造例として用いた二次電池のうちいずれか1つの二次電池を準備し、その後二次電池において電極リードが位置するシール部の断面を透視(又はビジョン)撮影し、次いで
図16のようなシール部の断面写真を準備する。
【0121】
そして、
図16のように、隆起面32eが位置するシール部の厚さと圧着面32dが位置するシール部の厚さをそれぞれ測定する。すなわち、圧着面に位置する樹脂層、金属層及び絶縁層の厚さを測定し、隆起面32eに位置する樹脂層30a、金属層30b及び絶縁層30cの厚さを測定する。このとき、正極リードに位置するシール部の厚さと負極リードに位置するシール部の厚さをそれぞれ測定する。
【0122】
そして、前記シール部をシールする前の電池ケースに含まれる樹脂層、金属層及び絶縁層の原資材の厚さを先に測定する。
【0123】
上記のように測定した結果、
図17のような表が得られる。また、比較の容易性のために、
図17に記載された測定値のうち隆起面と圧着面の樹脂層、絶縁層及び金属層の厚さのみを表示した結果が、
図18のような棒グラフが得られる。
【0124】
シール部の厚さの測定結果
図17及び
図18を参照すると、隆起面と圧着面に位置する樹脂層、金属層及び絶縁層の厚さは、原資材に位置する樹脂層、金属層及び絶縁層の厚さより薄くなったことが確認される。
【0125】
特に、隆起面と圧着面に位置する樹脂層の厚さの差は隆起面と圧着面に位置する絶縁層及び金属層より大きく発生したことが確認される。これは、隆起面に位置する樹脂層は圧着面に位置する樹脂層より小さく圧着されることにより厚い厚さを有することができる。
【0126】
すなわち、正極リードの上部において、隆起面に位置する樹脂層の残存率は51%であり、圧着面に位置する樹脂層の残存率は22%であり、2倍以上の厚さの差が発生したことが確認される。また、正極リードの下部において、隆起面に位置する樹脂層の残存率は32.58%であり、圧着面に位置する樹脂層の残存率は16.29%であり、2倍の厚さの差が発生したことが確認される。
【0127】
なお、負極リードの上部において、隆起面に位置する樹脂層の残存率は78%であり、圧着面に位置する樹脂層の残存率は37%であり、2倍以上の厚さの差が発生したことが確認される。また、負極リードの下部において、隆起面に位置する樹脂層の残存率は66%であり、圧着面に位置する樹脂層の残存率は25%であり、2倍の厚さの差が発生したことが確認される。
【0128】
よって、シール部の厚さの測定の結果、隆起面に位置する樹脂層は圧着面に位置する樹脂層より厚い厚さを有することが確認される。
【0129】
[ベント発生実験]
ベント発生実験の準備
引張強度実験で用いた比較例の二次電池と同じ6つの比較例(比較例1~6)を準備し、引張強度実験で用いた製造例の二次電池と同じ2つの製造例(製造例1~2)を準備する。
【0130】
また、上記のように準備した製造例と比較例の内部に25℃のガスを10mL/minの速度で注入し、ベントが発生する時点のベント圧力を測定する。その結果、
図19のような表が得られる。
【0131】
ベント発生実験の結果
図19を参照すると、比較例1のベント圧力は3.8barであり、比較例2のベント圧力は4.0barであり、比較例3のベント圧力は4.1barであり、比較例4のベント圧力は4.1barであり、比較例5のベント圧力は3.7barであり、比較例6のベント圧力は3.7barと測定された。
【0132】
また、製造例1のベント圧力は5.1barであり、製造例2のベント圧力は4.5barと測定された。
【0133】
上記のような測定の結果、製造例は、比較例より、ベント圧力が大きく増大したことが確認される。これは、シール部のシール力が大きく増大し、シール部の先端の引張強度を十分に確保することができ、これにより、シール部が剥離したり破れたりすることを防止できるようになったものと予測される。特に、製造例2はシール部のサイドにおいてベントが発生したが、これにより、電極リードが位置するシール部の方が電極リードが位置しないシール部よりシール力及び引張強度が増大したことが確認される。
【0134】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりも特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される多様な実施形態が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 二次電池
10 電極組立体
11 電極タブ
20 電極リード
30 電池ケース
30a 樹脂層
30b 金属層
30c 絶縁層
31 収容部
32 シール部
32a 連結シール領域
32b 先端シール領域
32c 補強シール領域
32d 圧着面
32e 隆起面
100 二次電池製造装置
110 加圧部材
111 連結シール部
112 先端シール部
113 補強シール部
113a 圧着突起
113b 圧着溝