(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】負極活物質、これを含む負極および二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/587 20100101AFI20240415BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240415BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/133
H01M4/36 C
(21)【出願番号】P 2023509811
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 KR2021012632
(87)【国際公開番号】W WO2022060106
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0120879
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウク・ウ
(72)【発明者】
【氏名】スク・イン・ノ
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-043069(JP,A)
【文献】特開2010-267629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0295351(US,A1)
【文献】国際公開第2015/146960(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/587
H01M 4/133
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の一次人造黒鉛粒子が結合した二次粒子形状である人造黒鉛粒子を含み、
下記のステップを含む方法により測定された熱膨張係数が、108×10
-6/K~150×10
-6/Kである、負極活物質:
(a)前記負極活物質およびピッチバインダーを90:10の重量比で混合し、1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有する混合物ペレットを製造するステップ;
(b)前記混合物ペレットを熱機械分析して前記混合物ペレットの熱膨張係数を得るステップ;
(c)前記ピッチバインダーから1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有するピッチバインダーペレットを製造し、熱機械分析して前記ピッチバインダーペレットの熱膨張係数を得るステップ;および
(d)下記の数式1により前記負極活物質の熱膨張係数を得るステップ;
[数式1]
A={C-(B×0.1)}/0.9
前記数式1中、Aは、負極活物質の熱膨張係数であり、Bは、ピッチバインダーペレットの熱膨張係数であり、Cは、混合物ペレットの熱膨張係数である。
【請求項2】
前記一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D
50)は5μm~15μmである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項3】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子のX線回折分析による(002)面の面間隔d002が0.3357nm~0.3361nmである、請求項1または2に記載の負極活物質。
【請求項4】
前記負極活物質のBET比表面積は0.3m
2/g~2.5m
2/gである、請求項1から3のいずれか一項に記載の負極活物質。
【請求項5】
前記人造黒鉛粒子のc軸方向の結晶子サイズLcは45nm~75nmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極活物質。
【請求項6】
前記負極活物質は、前記一次人造黒鉛粒子に分布された硫黄を15ppm~40ppm含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の負極活物質
【請求項7】
前記負極活物質のタップ密度は0.88g/cc~1.20g/ccである、請求項1から6のいずれか一項に記載の負極活物質。
【請求項8】
前記負極活物質の平均粒径(D
50)は10μm~30μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の負極活物質。
【請求項9】
前記人造黒鉛粒子上に位置する炭素コーティング層をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の負極活物質。
【請求項10】
前記炭素コーティング層は、前記負極活物質内に0.1重量%~5重量%含まれる、請求項9に記載の負極活物質。
【請求項11】
前記炭素コーティング層は、非晶質炭素を含む、請求項9または10に記載の負極活物質。
【請求項12】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、
前記負極活物質層は、請求項1から11のいずれか一項に記載の負極活物質を含む、負極。
【請求項13】
前記負極のX線回折分析時に、面積比I(004)/I(110)は7~14である、請求項12に記載の負極。
【請求項14】
請求項12または13に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、
電解質とを含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月18日付けの韓国特許出願第10-2020-0120879号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極活物質、これを含む負極および二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格高騰、環境汚染への関心の増幅に伴い、環境にやさしい代替エネルギー源が未来生活のための必要不可欠な要素となっている。
【0004】
特に、モバイル機器に関する技術の開発と需要の増加に伴い、環境にやさしい代替エネルギー源として、二次電池の需要が急激に増加している。
【0005】
また、最近、環境問題に関する関心の増加に伴い、大気汚染の主な原因の一つであるガソリン車、ディーゼル車など化石燃料を使用する車両の代わりに使用可能な電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに関する研究が多く行われている。このような電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源としては、高いエネルギー密度、高い放電電圧および出力安定性のリチウム二次電池が、主に研究、使用されている。
【0006】
前記二次電池は、負極として、従来、リチウム金属が使用されていたが、デンドライト(dendrite)の形成による電池短絡と、これによる爆発の恐れが問題となり、可逆的なリチウムイオンの挿入(intercalation)および脱離が可能であり、構造的および電気的性質を維持する炭素系活物質の使用が浮上している。
【0007】
前記炭素系活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンなどの様々な形態の炭素系材料が適用されており、中でも、優れた可逆性によりリチウム二次電池の寿命特性を保証できる黒鉛系活物質が最も広く使用されている。前記黒鉛系活物質は、リチウムに比べて放電電圧が-0.2Vと低いことから、黒鉛系活物質を用いた電池は、3.6Vの高い放電電圧を示すことができ、リチウム電池のエネルギー密度の面で多くの利点を提供している。
【0008】
中でも、人造黒鉛は、天然黒鉛に比べてスウェリング防止効果に優れ、高温特性に優れるという利点がある。ただし、人造黒鉛は、天然黒鉛に比べて空隙が少なくて出力特性が低いという問題があるため、出力特性を向上させ、粒子内の空隙の形成のために、人造黒鉛を一次粒子が凝集または結合した二次粒子の形態で使用することが知られている。
【0009】
しかし、二次粒子からなる人造黒鉛は、一次粒子の形状、これらの造粒によって不規則で滑らかでない形状を有する可能性が高い。このような人造黒鉛を負極に使用した時に電極の接着力が良好でない問題があり、電極接着力の低下によって工程性が低下し、負極の駆動時に活物質の脱離現象が発生して長期サイクル特性が低下する問題がある。
【0010】
特許第4403327号公報は、リチウムイオン二次電池負極用黒鉛粉末について開示しているが、上述の問題に関する代案を提示することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一課題は、二次粒子形状の人造黒鉛を含む負極活物質において、接着力に優れ、且つ、容量および初期効率が高い負極活物質を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の課題は、上述の負極活物質を含む負極を提供することである。
【0014】
また、本発明のさらに他の課題は、上述の負極を含む二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数の一次人造黒鉛粒子が結合した二次粒子形状である人造黒鉛粒子を含み、下記のステップを含む方法により測定された熱膨張係数が、108×10-6/K~150×10-6/Kである負極活物質を提供する。
(a)前記負極活物質およびピッチバインダーを90:10の重量比で混合し、1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有する混合物ペレットを製造するステップ;(b)前記混合物ペレットを熱機械分析して前記混合物ペレットの熱膨張係数を得るステップ;(c)前記ピッチバインダーから1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有するピッチバインダーペレットを製造し、熱機械分析して前記ピッチバインダーペレットの熱膨張係数を得るステップ;および(d)下記の数式1により前記負極活物質の熱膨張係数を得るステップ;
[数式1]
A={C-(B×0.1)}/0.9
前記数式1中、Aは、負極活物質の熱膨張係数であり、Bは、ピッチバインダーペレットの熱膨張係数であり、Cは、混合物ペレットの熱膨張係数である。
【0016】
また、本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、上述の負極活物質を含む負極を提供する。
【0017】
また、本発明は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、電解質とを含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の負極活物質は、二次粒子形状の人造黒鉛粒子を含み、前記方法により測定された熱膨張係数が特定の範囲を満たすことを特徴とする。前記熱膨張係数の範囲を満たす負極活物質は、負極内での接着力に優れ、且つ、容量および初期効率の向上が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0020】
本明細書にて使用されている用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味を有していない限り、複数の表現を含む。
【0021】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指すためのものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0022】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に相当する粒径として定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
【0023】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0024】
負極活物質
本発明は、負極活物質に関し、具体的には、リチウム二次電池用負極活物質に関する。
【0025】
具体的には、本発明による負極活物質は、複数の一次人造黒鉛粒子が結合した二次粒子形状である人造黒鉛を含み、下記のステップを含む方法により測定された熱膨張係数が、108×10-6/K~150×10-6/Kである。
(a)前記負極活物質およびピッチバインダーを90:10の重量比で混合し、1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有する混合物ペレットを製造するステップ;
(b)前記混合物ペレットを熱機械分析して前記混合物ペレットの熱膨張係数を得るステップ;
(c)前記ピッチバインダーから1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有するピッチバインダーペレットを製造し、熱機械分析して前記ピッチバインダーペレットの熱膨張係数を得るステップ;および
(d)下記の数式1により前記負極活物質の熱膨張係数を得るステップ;
[数式1]
A={C-(B×0.1)}/0.9
(前記数式1中、Aは、負極活物質の熱膨張係数であり、Bは、ピッチバインダーペレットの熱膨張係数であり、Cは、混合物ペレットの熱膨張係数である。)
【0026】
従来、人造黒鉛は、天然黒鉛に比べてスウェリングの発生程度が少なく、貯蔵特性に優れるものの出力特性は劣っていると知られている。人造黒鉛の出力特性を向上させるために、人造黒鉛を複数の一次粒子を凝集または結合して二次粒子形状に製造し、一次粒子の間の空隙を設ける方法が研究されているが、このような二次粒子形状に造粒された人造黒鉛は、形状が不規則で、複雑であり、電極接着力が非常に低下する問題があり、そのため、工程性が低下し、負極の駆動時に活物質の脱離現象が発生して長期寿命特性を低下させる問題がある。
【0027】
このような問題を解決するために、本発明の負極活物質は、前記方法により測定された熱膨張係数を特定の範囲に調節することを特徴とする。前記範囲の熱膨張係数を満たす負極活物質は、活物質内の一次粒子の構造がランダムなものであると評価され、このようなランダムな一次粒子が結合して形成された二次粒子は、全体的に表面が緩やかであり、形状の不規則性が緩和して電極接着力が向上することができ、これにより、高い工程性および寿命特性を有することができる。また、前記範囲の熱膨張係数を満たす負極活物質は、電極接着力が向上することができ、且つ、優れた容量および初期効率を有することができる。
【0028】
前記負極活物質は、人造黒鉛粒子を含む。
【0029】
前記人造黒鉛粒子は、複数の一次人造黒鉛粒子が結合した二次粒子形状の人造黒鉛粒子であることができる。具体的には、前記人造黒鉛粒子は、複数の一次人造黒鉛粒子の結合体であることができる。前記人造黒鉛粒子が二次粒子形状の人造黒鉛粒子である場合、一次人造黒鉛粒子の間に空隙が形成されることから、このような空隙の確保により、人造黒鉛粒子の出力特性がより向上することができる。
【0030】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子の場合、前記二次粒子は、複数の一次人造黒鉛粒子の結合体であることができ、具体的には、前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子において、前記一次人造黒鉛粒子は、ファンデルワールス力によって互いに結合したものではなく、ピッチなどの樹脂バインダーによって複数の一次人造黒鉛粒子が結合または凝集して二次粒子を形成したものであることができる。
【0031】
前記一次人造黒鉛粒子は、炭素前駆体を粉体化した後、形成されたものであることができる。前記炭素前駆体は、石炭系重質油、繊維系重質油、タール類、ピッチ類およびコークス類からなる群から選択される1種以上であることができる。粉体化した炭素前駆体で形成された一次人造黒鉛粒子は、凝集性が向上することができ、硬度が高い一次人造黒鉛粒子の形成が可能である。
【0032】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子は、反応器に粉体形状の炭素前駆体を投入し、前記反応器を作動させ、前記粉体を遠心力によって結合して一次粒子が結合した二次粒子を形成し、2,500℃~3,500℃の温度、好ましくは2,700℃~3,200℃の温度で黒鉛化を行うことで形成されることができる。前記黒鉛化工程において、前記一次粒子および二次粒子の黒鉛化が同時に行われることができる。前記粉体を結合する過程で、ピッチなどの樹脂バインダーをともに反応器に投入し、約400℃~800℃の温度で熱処理を行うことができる。
【0033】
前記一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は、5μm~15μm、好ましくは8μm~12μm、より好ましくは8.5μm~9.5μmであることができる。前記一次人造黒鉛粒子が前記範囲の平均粒径(D50)を有する時に、粒径が過剰に大きいことによる比表面積増加、接着力低下の問題が防止され、粒径が過剰に大きいことによる配向性増加の問題、出力特性低下の問題が防止されることができ、負極活物質の電極接着力、出力特性および容量特性の実現が容易であることができる。
【0034】
前記負極活物質は、前記一次人造黒鉛粒子に分布した硫黄(S)を含むことができる。
【0035】
一般的に、前記硫黄は、不純物として取り扱われ、人造黒鉛の製造時に、黒鉛化、脱鉄工程などで除去されることができ、例えば、人造黒鉛の製造時に、原材料(コークスなど)を粉砕する前に、1,000℃~1,500℃の高温で熱処理してこのような不純物を除去する工程を行う。しかし、前記硫黄が適正含量で原材料内に含まれる場合、前記原材料に粉砕などの工程を施して製造された一次人造黒鉛粒子の結晶構造をランダム化する役割を行うことができ、これにより粉砕された一次人造黒鉛粒子の形状のランダム性が向上することができる。したがって、前記硫黄が適正含量で含まれた一次人造黒鉛粒子が互いに結合して二次粒子を形成すると、緩やかで滑らかな表面を有する二次粒子形状の人造黒鉛粒子の製造が可能であり、上述の熱膨張係数を有する負極活物質の実現が可能であり、電極接着力が向上することができる。
【0036】
前記硫黄は、前記負極活物質内に、好ましくは15ppm~40ppm、好ましくは18ppm~35ppm、さらに好ましくは23ppm~25ppm含まれることができ、上述の範囲内である時に、本発明の負極活物質の熱膨張係数の実現が容易であり、電極接着力、寿命特性が向上し、且つ過剰な硫黄の含有による電解液副反応の増加、初期効率の低下、および容量減少が防止されて好ましい。
【0037】
本発明による前記硫黄の含量は、人造黒鉛粒子の製造時に、黒鉛化、脱鉄工程の熱処理条件などを調節するか、人造黒鉛の製造時に一般的に行われるか焼(Calcination)工程を行わないか、か焼条件を調節するか、人造黒鉛原材料を適切に選択するなどの方法により実現されることができる。具体的には、本発明による前記硫黄の含量は、人造黒鉛粒子の製造工程において、人造黒鉛原材料(コークスなど)の粉砕の前に行われるか焼工程を行わないか、か焼工程を500℃以下、好ましくは300℃以下の低温で行うことにより実現されることができる。
【0038】
前記硫黄の含量の測定は、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICP)分析法によって測定されることができる。
【0039】
前記負極活物質は、前記人造黒鉛粒子上に位置する炭素コーティング層をさらに含むことができる。前記炭素コーティング層は、人造黒鉛粒子の構造的安定性を向上させ、負極活物質と電解液の副反応を防止するのに役立つことができる。
【0040】
前記炭素コーティング層は、前記負極活物質内に、0.1重量%~5重量%、好ましくは1重量%~4重量%含まれることができる。前記炭素コーティング層の存在は、負極活物質の構造的安定性を向上させることができるが、炭素コーティング層の過剰な形成は、負極圧延時に比表面積の増加による初期効率の減少を引き起こし、高温貯蔵性能が低下する恐れがあるため、上述の範囲の含量で炭素コーティング層を形成することが好ましい。
【0041】
前記炭素コーティング層は、非晶質炭素を含むことができる。例えば、前記炭素コーティング層は、石炭系重質油、繊維系重質油、タール類、ピッチ類およびコークス類からなる群から選択される1種以上の炭素コーティング層前駆体を前記人造黒鉛粒子に提供した後、熱処理して形成されることができる。前記炭素コーティング層を形成するための熱処理工程は、炭素コーティング層の均一な形成を図る面で、1,000℃~1,500℃で実施することができる。
【0042】
前記負極活物質の平均粒径(D50)は、10μm~30μm、好ましくは14μm~25μm、より好ましくは15μm~20μm、さらに好ましくは16μm~17μmであることができる。特に、前記負極活物質が二次粒子形状の人造黒鉛粒子を含み、前記範囲の平均粒径を有する場合、二次粒子の造粒がスムーズに行われたと評価することができ、さらに、電極接着力の向上が可能であり、負極製造の工程性が向上することができる。
【0043】
前記負極活物質のBET比表面積は、0.3m2/g~2.5m2/g、好ましくは0.5m2/g~1m2/gであることができ、前記範囲内である時に、電解液との副反応を防止して初期効率をより向上させることができる面で好ましい。
【0044】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子のX線回折分析法(XRD)により測定された結晶面の間隔d002は、0.3357nm~0.3361nm、好ましくは0.33575nm~0.33585nmであることができ、前記範囲である時に、上述の範囲の熱膨張係数の実現が容易で電極接着力が向上し、黒鉛層およびその積層構造の結晶化がよく行われて負極活物質の容量確保、初期効率およびエネルギー密度の向上が可能であり好ましい。
【0045】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子のc軸方向の結晶子サイズLcは、45nm~75nm、好ましくは60nm~70nmであることができる。前記範囲内である時に、上述の範囲の熱膨張係数の実現が容易で電極接着力が向上し、黒鉛層およびその積層構造の結晶化がよく行われて負極活物質の容量確保、初期効率およびエネルギー密度の向上が可能であり好ましい。
【0046】
前記負極活物質のタップ密度は、0.88g/cc~1.20g/cc、好ましくは0.92g/cc~1.15g/cc、より好ましくは1.04g/cc~1.10g/ccであることができ、前記熱膨張係数の範囲とともに前記タップ密度の範囲を満たす場合、表面が緩やかで均一な負極活物質の実現が可能であり、高い電極接着力を実現することができ好ましい。
【0047】
前記負極活物質の下記のステップ(ステップ(a)~ステップ(d))を含む方法により測定された熱膨張係数は、108×10-6/K~150×10-6/Kである。
(a)前記負極活物質およびピッチバインダーを90:10の重量比で混合し、1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有する混合物ペレットを製造するステップ;
(b)前記混合物ペレットを熱機械分析(thermomechnical analysis)して前記混合物ペレットの熱膨張係数を得るステップ;
(c)前記ピッチバインダーから1.5g/cc~2.0g/ccの密度を有するピッチバインダーペレットを製造し、熱機械分析して前記ピッチバインダーペレットの熱膨張係数を得るステップ;および
(d)下記の数式1により前記負極活物質の熱膨張係数を得るステップ;
[数式1]
A={C-(B×0.1)}/0.9
(前記数式1中、Aは、負極活物質の熱膨張係数であり、Bは、ピッチバインダーペレットの熱膨張係数であり、Cは、混合物ペレットの熱膨張係数である。)
【0048】
前記熱膨張係数測定方法のうち(a)ステップの場合、本発明の負極活物質は、これに含まれた人造黒鉛粒子に揮発分がなく、粘性がないためペレットの形状に製造することが難しく、負極活物質と粘性を有するピッチバインダーを混合して混合物ペレットを製造するステップである。後述するように、混合物ペレットの熱膨張係数を測定した後、数式1により負極活物質の熱膨張係数を評価することができる。
【0049】
前記混合物ペレットは、評価の客観性を確保するために、1.5g/cc~2.0g/cc、具体的には1.8g/ccの密度を有するように製造されることができる。
【0050】
前記混合物ペレットの直径は、10mm~15mm、具体的には13mmであることができる。
【0051】
前記熱膨張係数測定方法のうち(b)ステップの場合、前記混合物ペレットの熱膨張係数を熱機械分析により測定するステップである。前記熱機械分析および熱膨張係数の測定は、TMA機器(Thermomechanical analyser)を用いることができ、具体的には、昇温速度を10℃/分に設定し、30℃~100℃の温度区間での熱膨張係数を測定することができる。
【0052】
前記熱膨張係数測定方法のうち(c)ステップの場合、前記ピッチバインダーペレットを製造して、ピッチバインダー自体の熱膨張係数を測定するステップである。前記ピッチバインダーは、前記混合物ペレットと同じ形状、密度、および直径を有するように製造されることができる。
【0053】
前記ピッチバインダーペレットは、評価の客観性を確保するために、1.5g/cc~2.0g/cc、具体的には1.8g/ccの密度を有するように製造されることができ、具体的には、前記(a)ステップで製造された混合物ペレットと同じ密度、形状、および直径を有するように製造されることができる。
【0054】
前記ピッチバインダーペレットは、直径が、10mm~15mm、具体的には13mmになるように製造されることができる。
【0055】
前記熱膨張係数測定方法のうち(d)ステップの場合、(a)ステップでの負極活物質とピッチバインダーの混合重量比(90:10)を考慮して、負極活物質自体の熱膨張係数を求めるステップである。具体的には、混合物ペレットにおいて、負極活物質とピッチバインダーは、それぞれの熱膨張係数を有し、これらの重量比によって混合物ペレットの熱膨張係数に役立ち、これを考慮すると、混合物ペレットの熱膨張係数(C)、ピッチバインダーペレットの熱膨張係数(B)および負極活物質の熱膨張係数(A)の関係は、下記の数式2で示すことができる。
【0056】
[数式2]
C={(A×90)+(B×10)}/100
【0057】
前記数式2を負極活物質の熱膨張係数(A)に関する式に変換すると、数式1を得ることができ、これにより、負極活物質自体の熱膨張係数を予測し、評価することができる。
【0058】
前記負極活物質が前記範囲の熱膨張係数を有する場合、高い電極接着力、これによる工程性および寿命特性の向上を図るだけでなく、高い容量および初期効率を有する負極活物質の実現が可能である。
【0059】
仮に、前記負極活物質の熱膨張係数が、108×10-6/K未満である場合、一次人造黒鉛粒子がランダムな構造を有するとみることが難しく、一次人造黒鉛粒子の造粒体である二次粒子形状の人造黒鉛粒子の表面が滑らかでなくて電極接着力の向上が難しく、工程性が低下し、負極の作動時に負極活物質の脱離が発生する可能性が高くて長期サイクル寿命特性が低下する恐れがある。仮に、前記負極活物質の熱膨張係数が150×10-6/Kを超える場合、一次人造黒鉛粒子が過剰にランダムな構造を有するようになり、黒鉛化度が低く、過剰に容量が低下し、初期効率が低下する恐れがあって好ましくない。
【0060】
前記負極活物質の熱膨張係数は、好ましくは110×10-6/K~140×10-6/K、より好ましくは112×10-6/K~120×10-6/Kであることができ、前記範囲内である時に、電極接着力、寿命特性、容量および初期効率の同時向上効果が好ましく実現されることができ好ましい。
【0061】
前記負極活物質の熱膨張係数は、一次人造黒鉛粒子のランダム性、二次粒子形状の人造黒鉛粒子の形状を適切に調節することにより実現されることができる。具体的には、前記負極活物質の熱膨張係数は、一次人造黒鉛粒子内の硫黄などの不純物の含量、一次人造黒鉛粒子のサイズ、二次粒子のサイズ、造粒程度などを適切に調節して実現されることができるが、これに制限されるものではない。
【0062】
負極
また、本発明は、上述の負極活物質を含む負極、より具体的にはリチウム二次電池用負極を提供する。
【0063】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置された負極活物質層とを含む。前記負極活物質層は、上述の負極活物質を含む。
【0064】
前記負極集電体は、当分野において一般的に使用される負極集電体が制限なく使用可能であり、例えば、リチウム二次電池の化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、前記負極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金から選択される少なくとも1種、好ましくは銅を含むことができる。
【0065】
前記負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態で使用されることができる。
【0066】
前記負極集電体は、一般的に、3μm~500μmの厚さを有することができる。
【0067】
前記負極活物質層は、前記負極集電体上に積層され、上述の負極活物質を含む。
【0068】
前記負極活物質は、負極活物質層内に、80重量%~99重量%、好ましくは93重量%~98重量%含まれることができる。
【0069】
前記負極活物質層は、上述の負極活物質の他に、バインダー、導電材および/または増粘剤をさらに含むことができる。
【0070】
前記バインダーは、活物質および/または集電体の間の結合を容易にする成分であり、通常、負極活物質層内に、1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~10重量%含まれることができる。
【0071】
前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは、ポリビニリデンフルオライドおよびスチレン-ブタジエンゴムから選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0072】
前記増粘剤としては、従来、リチウム二次電池に使用されるすべての増粘剤が使用可能であり、一例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)などがある。
【0073】
前記導電材は、負極活物質の導電性をより向上させるための成分であり、負極活物質層内に、1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~10重量%含まれることができる。
【0074】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用可能である。市販の導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカル社(Chevron Chemical Company)やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイル社(Gulf Oil Company)製など)、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマック社(Armak Company)製)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボット社(Cabot Company)製)およびスーパー(Super)P(Timcal社製)などがある。
【0075】
前記負極活物質層は、上述の負極活物質と、バインダー、導電材および増粘剤から選択される少なくとも1種を溶媒に混合して負極スラリーを製造し、前記負極スラリーを前記負極集電体に塗布、圧延、乾燥して製造されることができる。
【0076】
前記溶媒は、水またはNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含むことができ、前記負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含む時に、好ましい粘度になる量で使用されることができる。例えば、負極活物質、および選択的にバインダー、増粘剤および導電材から選択される少なくとも1種を含む固形分の濃度が、50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%になるように含まれることができる。
【0077】
前記負極のX線回折分析時に、面積比I(004)/I(110)(配向指数)は、7~14、より好ましくは7.5~9.5であることができる。上述の範囲内である時に、活物質がリチウムイオンの拡散経路を最小化するように粒子配列されることができ、リチウムイオン拡散抵抗が低減することができる。前記配向指数の達成は、上述の負極活物質を前記負極に使用することにより図ることができる。
【0078】
二次電池
また、本発明は、上述の負極を含む二次電池、より具体的にはリチウム二次電池を提供する。
【0079】
前記二次電池は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、電解質とを含むことができる。
【0080】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含むことができる。
【0081】
前記正極集電体は、当分野において一般的に使用される負極集電体が制限なく使用可能であり、例えば、二次電池の化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、前記正極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金から選択される少なくとも1種、好ましくはアルミニウムを含むことができる。
【0082】
前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で使用されることができる。
【0083】
前記正極集電体は、一般的に、3μm~500μmの厚さを有することができる。
【0084】
前記正極活物質層は、正極活物質を含むことができる。
【0085】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であり、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含むことができる。より具体的には、前記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMnYO2(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNizO4(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1O2(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2O2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1O4(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr1)O2(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O4(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3Ms2)O2(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であり、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の化合物が含まれることができる。中でも、電池の容量特性および安定性を高めることができる点で、前記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2など)などであることができ、リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類および含量比の制御による改善効果の顕著性を考慮すると、前記リチウム複合金属酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2などであることができ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。
【0086】
前記正極活物質は、前記正極活物質層内に80重量%~99重量%含まれることができる。
【0087】
前記正極活物質層は、前記正極活物質とともに、バインダー、および導電材からなる郡から選択される少なくとも1種をさらに含むことができる。
【0088】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合を容易にする成分であり、通常、正極合剤の全重量に対して1~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、およびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0089】
前記バインダーは、前記正極活物質層内に1重量%~30重量%含まれることができる。
【0090】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、グラファイト;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素系物質;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用可能である。市販の導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカル社(Chevron Chemical Company)やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイル社(Gulf Oil Company)製など)、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマック社(Armak Company)製)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボット社(Cabot Company)製)およびスーパー(Super)P(Timcal社製)などがある。
【0091】
前記導電材は、前記正極活物質層内に1重量%~30重量%添加されることができる。
【0092】
前記セパレータは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、リチウム二次電池においてセパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であるとともに、電解液含湿能に優れるものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されることができる。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性または機械的強度の確保のために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが使用されてもよく、選択的に、単層または多層構造で使用されることができる。
【0093】
また、本発明で使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0094】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0095】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテルまたはヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用可能である。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと直鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、優れた電解液の性能を示すことができる。
【0096】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池において使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記リチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiI、またはLiB(C2O4)2などが使用されることができる。前記リチウム塩は、0.1~2.0Mの濃度範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有することから、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0097】
前記のように、本発明によるリチウム二次電池は、優れた放電容量、急速充電特性および容量維持率を安定的に示すことから、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどのポータブル機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などにおいて有用であり、特に、中大型電池モジュールの構成電池として好ましく使用されることができる。したがって、本発明はまた前記のような二次電池を単位電池として含む中大型電池モジュールを提供する。
【0098】
このような中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように、高出力、大容量を要する動力源に好ましく適用されることができる。
【0099】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施するように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0100】
実施例
1.負極活物質の製造
実施例1:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が2,916ppmである石油系コークスをインパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が10μmである粉体を取得した。このようなコークスの粉砕の際に、別のか焼(Calcination)工程は行われなかった。前記粉体を垂直式造粒機を用いて、不活性ガス(N2)雰囲気で、550℃で熱処理し、複数の一次粒子が結合した二次粒子を製造した。
【0101】
次に、不活性ガス雰囲気下で、3,000℃で20時間以上熱処理して前記二次粒子を黒鉛化し、二次粒子形状の人造黒鉛粒子を製造した。
【0102】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子および石油系ピッチを混合し、ローラーハースキルン(Roller hearth kiln)で、1,300℃で熱処理し、前記二次粒子上に非晶質炭素コーティング層を形成した。
【0103】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は29.4ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は11μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は19.4μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3360nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは63.9nmであり、BET比表面積は0.7m2/gであり、タップ密度は0.95g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0104】
この場合、タップ密度は、前記負極活物質40gを容器に充填した後、上下に1,000回振動させて得られる最終体積を測定し、見掛け密度を測定することにより求めた。
【0105】
前記負極活物質のBET比表面積は、負極活物質を130℃で前処理し、窒素気体を用いて、BEL JAPAN社製のBELSORP(BET装備)を用いるBET(Brunauer-Emmett-Teller)測定法によって測定された。
【0106】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質とピッチバインダーを90:10の重量比で混合し、密度が1.8g/ccであり、直径が13mmである混合物ペレットを製造した。
【0107】
前記混合物ペレット1gをTMA機器(メーカー:Mettler Toledo、機器名:SDTA840)に入れ、昇温速度を10℃/分に設定し、30℃~100℃の温度区間での混合物ペレットの熱膨張係数(128×10-6/K)を測定した。
【0108】
前記で使用されたピッチバインダーと同じピッチバインダーを準備した後、密度が1.8g/ccであり、直径が13mmであり、前記混合物ペレットと同じ形状のピッチバインダーペレットを製造した。前記ピッチバインダーペレット1gをTMA機器に入れ、前記混合物ペレットの熱膨張係数の測定条件と同じ条件でピッチバインダーペレットの熱膨張係数(56×10-6/K)を測定した。
【0109】
次に、下記の数式1によって負極活物質の熱膨張係数(136×10-6/K)を計算した。
【0110】
[数式1]
A={C-(B×0.1)}/0.9
(A:負極活物質の熱膨張係数、B:ピッチバインダーペレットの熱膨張係数、C:混合物ペレットの熱膨張係数)
【0111】
実施例2:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が2,531ppmである石油系コークスをインパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が10μmである粉体を取得したこと、前記粉体を水平式造粒機を用いて二次粒子化したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0112】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は22.4ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は10μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は18.1μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3359nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは66.7nmであり、BET比表面積は0.7m2/gであり、タップ密度は1.03g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0113】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0114】
混合物ペレットの熱膨張係数:119×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:126×10-6/K
【0115】
実施例3:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が2,008ppmである石油系コークスをインパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が10μmである粉体を取得したこと、前記粉体を水平式造粒機を用いて二次粒子化したこと、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量が2重量%になるように二次粒子形状の人造黒鉛粒子と石油系ピッチの混合重量比を調節したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0116】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は23.6ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は9μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は16.5μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3358nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは73.1nmであり、BET比表面積は0.6m2/gであり、タップ密度は1.05g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は2重量%であった。
【0117】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0118】
混合物ペレットの熱膨張係数:110×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:116×10-6/K
【0119】
実施例4:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
粉体を用いて複数の一次粒子が結合した二次粒子を製造する時に、垂直式造粒機の代わりに水平式造粒機を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0120】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は26.7ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は11μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は22.4μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3360nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは64.1nmであり、BET比表面積は0.7m2/gであり、タップ密度は0.89g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0121】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0122】
混合物ペレットの熱膨張係数:123×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:約130×10-6/K
【0123】
比較例1:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が1,671ppmである石油系ニードルコークスを25℃/分の昇温速度で1,000℃まで熱処理した後、インパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が10μmである粉体を取得した。前記粉体と石油系ピッチを87:13の重量比で混合し、垂直式造粒機を用いて不活性ガス(N2)の雰囲気で550℃で10時間熱処理し、複数の一次粒子が凝集した二次粒子を製造した(平均粒径(D50):22.8μm)。
【0124】
次に、不活性ガスの雰囲気下で3,000℃で20時間以上熱処理して前記二次粒子を黒鉛化し、二次粒子形状の人造黒鉛粒子を製造した。
【0125】
前記二次粒子形状の人造黒鉛粒子および石油系ピッチを混合し、ローラーハースキルンで1,300℃で熱処理し、前記二次粒子上に非晶質炭素コーティング層を形成した。
【0126】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は10ppm未満であり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は10μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は21.8μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3361nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは67.7nmであり、BET比表面積は0.7m2/gであり、タップ密度は0.86g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0127】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0128】
混合物ペレットの熱膨張係数:97×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:約102×10-6/K
【0129】
比較例2:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が1,513ppmである石油系ニードルコークスをインパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が9μmである粉体を取得したこと、コークスの粉砕に別のか焼工程(calcination)を施していないこと、前記粉体と石油系ピッチを90:10の重量比で混合し、垂直式造粒機を用いて二次粒子を造粒したこと以外は、比較例1と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0130】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は12.2ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は9μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は13.4μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3359nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは69.4nmであり、BET比表面積は0.9m2/gであり、タップ密度は1.00g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0131】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0132】
混合物ペレットの熱膨張係数:98×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:約103×10-6/K
【0133】
比較例3:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が1,236ppmである石油系ニードルコークスを使用したこと以外は、比較例2と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0134】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は10.8ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は10μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は15.6μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3357nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは75.7nmであり、BET比表面積は0.8m2/gであり、タップ密度は1.05g/ccであり、負極活物質内の非晶質炭素コーティング層の含量は3重量%であった。
【0135】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0136】
混合物ペレットの熱膨張係数:94×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:約98×10-6/K
【0137】
比較例4:負極活物質の製造
<負極活物質の製造>
硫黄の含量が4,000ppm以上である石油系コークスをインパクトミルを用いて粉砕し、平均粒径(D50)が10μmである粉体を取得したこと、二次粒子形状の人造黒鉛に非晶質炭素コーティング層を形成しないこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0138】
前記で製造された負極活物質の硫黄の含量は64.0ppmであり、一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)は10μmであり、負極活物質の平均粒径(D50)は15.2μmであり、XRDによって測定されたd002は0.3371nmであり、c軸方向の結晶子サイズLcは29nmであり、BET比表面積は0.9m2/gであり、タップ密度は0.86g/ccであった。
【0139】
<熱膨張係数の測定>
前記で製造された負極活物質を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で負極活物質の熱膨張係数を測定した。
【0140】
混合物ペレットの熱膨張係数:158×10-6/K
ピッチバインダーペレットの熱膨張係数:56×10-6/K
負極活物質の熱膨張係数:約169×10-6/K
【0141】
2.負極の製造
実施例1で製造された負極活物質、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを95.3:1.0:1.2:2.5の重量比で混合し、水を添加して負極スラリーを製造した。
【0142】
前記負極スラリーを銅負極集電体(厚さ:15μm)に塗布し、約130℃で8時間真空乾燥および圧延して負極活物質層(厚さ:84μm)を形成し、実施例1の負極を製造した。この際、負極のローディングは3.6mAh/cm2になるように製造した。
【0143】
実施例2~4、比較例1~4で製造された負極活物質をそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で実施例2~4、比較例1~4の負極を製造した。
【0144】
実施例および比較例の負極の配向指数は、(004)面と(110)面をXRDで測定し、それぞれの測定されたXRDピークを積分して得られた面積比I(004)/I(110)として得られた。
【0145】
【0146】
実験例
実験例1:接着力の評価
実施例1の負極を20mm×150mmのサイズに打ち抜き、25mm×75mmスライドガラスの中央部に両面テープを使用して固定した後、UTM(メーカー:LLOYD Instrument LTD.、機器名:LF Plus)を使用して負極集電体から負極活物質層を剥離しながら90度剥離強度を測定した。実施例1の負極として同一のものを5個準備し、同じ方法で5回の90度剥離強度を測定し、その平均値を実施例1の負極の接着力(単位:gf/10mm)とした。
【0147】
実施例1の場合と同じ方法で、実施例2~4、比較例1~4の90度剥離強度を測定した。
【0148】
実験例2:放電容量および初期効率の評価
<二次電池の製造>
正極として、リチウム金属対極を準備した。
【0149】
実施例1~4、比較例1~4で製造されたそれぞれの負極と正極との間にポリオレフィンセパレータを介在した後、電解液を注入し、実施例および比較例の二次電池を製造した。前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を2:8の体積比で混合した非水電解液溶媒にビニレンカーボネート(VC)を溶媒に対して0.5重量%で添加し、LiPF6を1Mに溶解させたものを使用した。
【0150】
<初期放電容量および初期効率の評価>
前記で製造された実施例および比較例の二次電池に対して充電容量および放電容量を測定し、以下のような式によって初期効率を計算し、その結果を表2に示した。充電および放電条件は、下記のとおりである。
【0151】
充電条件:CCCVモード、0.1C充電、5mVおよび1/200Cでcut-off
放電条件:CCモード、0.1C放電、1.5V cut-off
【0152】
初期効率=(1回目のサイクルでの放電容量/充電容量)×100
【0153】
【0154】
表2を参照すると、実施例1~4の負極活物質を含む負極および二次電池は、電極接着力に優れ、且つ初期効率と放電容量がいずれも向上したことを確認することができる。
【0155】
比較例1~3の負極活物質の場合、負極活物質の熱膨張係数が低く、そのため、二次粒子形状の人造黒鉛粒子の表面が滑らかでなく、接着力が非常に低いことを確認することができる。
【0156】
また、比較例4の場合、負極活物質の熱膨張係数が過剰に大きくて放電容量が非常に低く、初期効率が低くなることを確認することができる。
【0157】
実験例3:寿命特性の評価
<二次電池の製造>
正極活物質としてLi[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O2、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてPVdFを94:4:2の重量比で混合し、溶媒としてN-メチルピロリドンを添加して正極スラリーを製造し、これを前記正極スラリーをアルミニウム箔に塗布し、約130℃で8時間真空乾燥および圧延して正極を製造した。この際、正極のローディングは3.34mAh/cm2になるように製造した。
【0158】
実施例1~4、比較例1~2で製造されたそれぞれの負極と正極との間にポリオレフィンセパレータを介在した後、電解液を注入して実施例および比較例の二次電池を製造した。前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を2:8の体積比で混合した非水電解液溶媒にビニレンカーボネート(VC)を溶媒に対して0.5重量%で添加し、LiPF6を1Mに溶解させたものを使用した。
【0159】
<サイクル容量維持率の評価>
実施例1~4、比較例1~2の二次電池に対して、45℃での300サイクル容量維持率を評価した。
【0160】
具体的には、実施例1~4および比較例1~2の二次電池を充電(CC/CVモード、1.0C充電、4.2V、0.05Cでcut-off)および放電(CCモード、1.0C放電、3.0Vでcut-off)条件で300回目のサイクルまで充電および放電を行った。
【0161】
300サイクル容量維持率は、下記の式で評価され、その結果を表3に示した。
【0162】
300サイクル容量維持率(%)={(300回目のサイクルでの放電容量)/(最初のサイクルでの放電容量)}×100
【0163】
【0164】
表3を参照すると、負極活物質の熱膨張係数が本発明の範囲を満たす実施例1~4の二次電池は、そうでない比較例1、2の二次電池に比べて、著しく向上した容量維持率を示すことを確認することができる。