(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ノイズブランカ
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20240415BHJP
H04B 1/16 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H04B1/10 F
H04B1/16 R
(21)【出願番号】P 2020111419
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】今里 康二郎
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-050003(JP,A)
【文献】特開2013-074566(JP,A)
【文献】特開2005-197813(JP,A)
【文献】特開平06-069819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号のピークであって瞬時電力がピーク閾値よりも大きいピークを含むパルスサンプルを検出するパルス検出部と、
前記パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号から少なくとも前記パルスサンプルを除去して信号をミュートする平均用ブランク処理部と、
前記平均用ブランク処理部から出力される信号の瞬時電力について所定の時間長さにおける最大値の平均値を計算して前記ピーク閾値として出力する閾値出力部と、
前記パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号から前記パルスサンプルを含む複数のサンプルを除去して信号をミュートする出力用ブランク処理部と、を有する、
ことを特徴とするノイズブランカ。
【請求項2】
高周波信号を受信してアナログの受信信号を出力するアンテナ部と、
前記アナログの受信信号をデジタル信号に変換してデジタルの受信信号を出力するA/D変換器と、
前記デジタルの受信信号をダウンコンバートして出力するDDC部と、
入力される信号について所望のチャネル帯域外の周波数成分を除去して出力するチャネルフィルタと、
前記チャネルフィルタから出力される信号のレベルを調整するAGC部と、
前記AGC部から出力される信号を復調する復調部と、を有する回路において、
前記DDC部と前記チャネルフィルタとの間に挿入される、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズブランカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ノイズブランカに関し、特に、高周波信号を受信して所定の出力手段へと供給するデータを生成する無線受信機に用いられるノイズブランカに関する。
【背景技術】
【0002】
ノイズを抑圧する機序として、例えば、入力信号のノイズを減衰させる処理を行うノイズ処理手段と、入力信号の信号レベルを検出してノイズを検出するためのノイズ検出手段と、ノイズ処理手段にノイズを減衰させる減衰量を設定するための減衰量設定手段とを備え、ノイズ検出手段がノイズを検出すると、ノイズ処理手段が設定された減衰量に応じてノイズを減衰させる処理を行うノイズブランカ、が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線機の受信時に混入するパルス性雑音は、復調データを劣化させ、延いては、復調データに基づいて再生される音声に悪影響を与えて音質を劣化させる、という問題がある。
【0005】
そこでこの発明は、パルス性雑音を抑圧/除去して復調データの劣化を防ぐことが可能な、ノイズブランカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、入力される信号のピークであって瞬時電力がピーク閾値よりも大きいピークを含むパルスサンプルを検出するパルス検出部と、前記パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号から少なくとも前記パルスサンプルを除去して信号をミュートする平均用ブランク処理部と、前記平均用ブランク処理部から出力される信号の瞬時電力について所定の時間長さにおける最大値の平均値を計算して前記ピーク閾値として出力する閾値出力部と、前記パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号から前記パルスサンプルを含む複数のサンプルを除去して信号をミュートする出力用ブランク処理部と、を有する、ことを特徴とするノイズブランカである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のノイズブランカにおいて、高周波信号を受信してアナログの受信信号を出力するアンテナ部と、前記アナログの受信信号をデジタル信号に変換してデジタルの受信信号を出力するA/D変換器と、前記デジタルの受信信号をダウンコンバートして出力するDDC部と、入力される信号について所望のチャネル帯域外の周波数成分を除去して出力するチャネルフィルタと、前記チャネルフィルタから出力される信号のレベルを調整するAGC部と、前記AGC部から出力される信号を復調する復調部と、を有する回路において、前記DDC部と前記チャネルフィルタとの間に挿入される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、入力される信号を復調する前にパルス部分の受信信号を0とすることによって受信信号に含まれるパルス成分(特に、幅が広いパルス)を抑圧/除去するようにしているので、復調データ(延いては、復調データに基づいて再生される音声)の劣化を最小限に抑えることが可能となる。請求項1に記載の発明によれば、特に、受信信号の瞬時電力について所定の時間長さにおける最大値の平均値をピーク閾値として用いて受信信号に含まれるパルスを検出するようにしているので、時々の受信信号の状態を的確に反映した閾値によってパルスを検出することができ、パルスを適切に検出して対処することが可能となり、延いては、復調データ(延いては、復調データに基づいて再生される音声)の劣化を良好に抑えることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、DDC部とチャネルフィルタとの間にノイズブランカを挿入するようにしているので、AGC部の前段階においてノイズブランク処理を施すことにより、強いパルス成分を抑圧し、本来受信したい目的信号(例えば、音声)のレベルが自動利得制御によって低下する事態を回避することが可能となり、また、チャネルフィルタの前段階においてノイズブランク処理を施すことにより、パルス性雑音がフィルタによって時間的に広がる前にパルス性雑音を良好に抑圧/除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の実施の形態に係るノイズブランカを含む受信機の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1のノイズブランカの作用効果の検証例を示す図である。(A)は、トーン信号に、パルス性雑音として1秒ごとに1ms幅のパルスを重畳させた信号(時間波形)を示す図である。(B)は、(A)の信号を受信信号として与えてノイズブランカを動作させた場合のシミュレーションの結果として得られる出力信号(時間波形)を示す図である。
【
図3】
図1のノイズブランカの作用効果の検証例を示す図である。(A)は、音声信号に、パルス性雑音として1秒ごとに1ms幅のパルスを重畳させた信号(時間波形)を示す図である。(B)は、(A)の信号を受信信号として与えてノイズブランカを動作させた場合のシミュレーションの結果として得られる出力信号(時間波形)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態に係るノイズブランカ5を含む受信機1の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0013】
受信機1は、高周波信号を受信し、所定の方式でデータ出力を行う出力手段へと供給するデータを生成して出力する装置であり、主として、アンテナ部2と、A/D変換器3と、DDC部4と、ノイズブランカ5と、チャネルフィルタ6と、AGC部7と、復調部8と、を有する。
【0014】
アンテナ部2は、図示していない送信機などから送信される高周波信号を受信し、アナログの受信信号を出力する。
【0015】
A/D変換器3(Analog/Digital Converter)は、アンテナ部2から出力されるアナログの受信信号の入力を受け、入力された前記受信信号に対して所定のサンプリング周波数に従ってアナログ信号からデジタル信号への変換処理を施して、デジタル変換処理後のデジタルの受信信号を出力する。
【0016】
DDC部4(DDC:Digital Down Converter の略)は、デシメーションフィルタを備え、入力されるデジタル信号に対してダウンサンプリング処理(別言すると、時間軸上における間引き処理/デシメーション処理)を施して周波数の変換処理を行う。
【0017】
DDC部4は、具体的には、A/D変換器3から出力されるデジタルの受信信号の入力を受け、入力された前記受信信号を高周波帯からベースバンド周波数帯または中間周波数帯へと周波数変換して、ダウンコンバート処理後のベースバンド周波数帯または中間周波数帯の受信信号を出力する。
【0018】
ノイズブランカ5は、DDC部4から出力されるベースバンド周波数帯または中間周波数帯の受信信号の入力を受け、入力された前記受信信号のノイズ成分を検出するとともに前記ノイズ成分のブランク処理(別言すると、減衰処理)を行い、ブランク処理後の受信信号を出力する。
【0019】
チャネルフィルタ6は、具体的には帯域通過フィルタによって構成され、ノイズブランカ5から出力されるブランク処理後の受信信号の入力を受け、入力された前記受信信号について所望のチャネル帯域外の周波数成分を除去して、所望のチャネルの周波数成分の受信信号を出力する。
【0020】
AGC部7(AGC:Automatic Gain Control の略)は、後段の復調部8による復調処理後に図示していない出力手段としての例えばスピーカによって再生される音声レベルを安定化させるために利得制御の処理を行う。
【0021】
AGC部7は、フィードフォワード型またはフィードバック型の方式により、チャネルフィルタ6から出力される受信信号のレベルを調整し、レベル調整処理後の受信信号を出力する。
【0022】
復調部8は、AGC部7から出力されるレベル調整処理後の受信信号の入力を受け、入力された前記受信信号に対して復調処理を施して、復調データを出力する。復調部8から出力される復調データは、必要に応じて各種の処理(例えば、周波数変換処理、デジタル信号からアナログ信号への変換処理)がさらに施されたうえで、図示していない出力手段としての例えばスピーカへと入力される。そして、復調データに基づいて、出力手段としての例えばスピーカから音声が出力される。
【0023】
そして、実施の形態に係るノイズブランカ5は、入力される信号のピークであって瞬時電力がピーク閾値よりも大きいピークを含むパルスサンプルを検出するパルス検出部51と、パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号から少なくともパルスサンプルを除去して信号をミュートする平均用ブランク処理部53と、平均用ブランク処理部53から出力される信号の瞬時電力について所定の時間長さにおける最大値の平均値を計算してピーク閾値として出力する閾値出力部54と、パルスサンプルが検出された場合に前記入力される信号からパルスサンプルを含む複数のサンプルを除去して信号をミュートする出力用ブランク処理部55と、を有する、ようにしている。
【0024】
パルス検出部51は、DDC部4から出力されて分岐される受信信号の入力を受けるとともに、閾値出力部54から出力されるピーク閾値の入力を受け、前記受信信号のピークを検出するとともに前記ピークの瞬時電力が前記ピーク閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0025】
パルス検出部51は、ピーク閾値よりも大きい受信信号のピークの瞬時電力が検出されると、平均用ブランク処理部53と出力用ブランク処理部55とに対して、瞬時電力がピーク閾値よりも大きい受信信号のピークの位置を含むサンプルが検出されたことを表す信号(「パルスフラグ」と呼ぶ)を出力する。
【0026】
遅延回路52は、DDC部4から出力される受信信号を、主にパルス検出部51における処理時間に相当する時間だけ遅延させた信号を生成して出力する。
【0027】
平均用ブランク処理部53は、遅延回路52から出力される受信信号の入力を受け、パルス検出部51から出力されるパルスフラグが入力されたときに、入力された前記受信信号からパルスの主成分を除去することを目的として所定数のサンプルを除去して信号を0にする(別言すると、ミュートする)。
【0028】
この際、パルス検出部51において検出された受信信号のピークの位置を含むサンプル(「パルスサンプル」と呼ぶ)のみを除去するようにしてもよく、或いは、前記パルスサンプルに加えて前記パルスサンプルの前後のサンプルも除去するようにしてもよい。例えば、前記パルスサンプルに加えて、前記パルスサンプルの前後3サンプルずつの、合計7サンプルを除去するようにしてもよい。なお、平均用ブランク処理部53において除去するサンプル数は、特定の値には限定されないものの、除去するサンプル数が増加することによって平均用ブランク処理部53における演算処理量が極端に増大しないように、あまり多くしないようにすることが考慮されて設定されることが好ましい。
【0029】
閾値出力部54は、最大値保持部541とLPF部542とを備え、平均用ブランク処理部53から出力される受信信号の瞬時電力の最大値の平均値を計算してピーク閾値として出力する。
【0030】
最大値保持部541は、平均用ブランク処理部53から出力されるブランク処理後の受信信号の入力を受け、入力を受けた時点の直近の所定時間における受信信号の瞬時電力の最大値を特定して出力する。受信信号の瞬時電力の最大値を特定する際の直近の時間は、特定の時間長さに限定されるものではなく、例えば10~40ms程度の範囲のうちのいずれかの時間長さに設定されることが考えられる。
【0031】
LPF部542は、無限インパルス応答(IIR:Infinite Impulse Response の略)型のローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter の略)を含んで構成され、最大値保持部541から出力される受信信号の瞬時電力の最大値の入力を受け、IIRフィルタ処理により、前記最大値の平均値(別言すると、受信強度の最大値の平均レベル)を出力する。なお、LPF部542における時定数は、特定の値に限定されるものではなく、例えば0.1~0.3ms程度の範囲のうちのいずれかの値に設定されることが考えられる。
【0032】
ここで、最大値保持部541へと入力される受信信号は、平均用ブランク処理部53により、パルス検出部51によって検出されたパルスの主成分に該当するサンプルは既に除去されている。したがって、LPF部542から出力される平均値は、受信信号の瞬時電力が極端に大きいピークの影響を受けることがなく安定した値となる。このため、パルス検出部51は、LPF部542から出力される平均値をピーク閾値として用いることにより、パルス性雑音に該当する受信信号のピークを適切に検出することができる。
【0033】
出力用ブランク処理部55は、遅延回路52から出力される信号(即ち、DDC部4から出力されて遅延させられた受信信号)の入力を受け、パルス検出部51から出力されるパルスフラグが入力されたときに、入力された前記信号からパルスの主成分およびサイドロープを除去することを目的として所定数のサンプルを除去して信号を0にする(別言すると、ミュートする)。
【0034】
ここで、ノイズブランカ5は、特に、雷サージや開閉サージなど、パルスの幅が広いパルス性雑音を検出して減衰させることを主眼とする。
【0035】
このため、出力用ブランク処理部55は、例えば1ms程度以下の時間長さのパルスを対象として、パルス発生区間に該当する複数のサンプルを除去する。出力用ブランク処理部55において除去するサンプル数は、特定の値には限定されないものの、例えば、0.2~1ms程度の範囲のうちのいずれかの時間長さに相当するサンプル数に設定されることが考えられる。
【0036】
出力用ブランク処理部55において除去するサンプル数は、パルス検出部51において検出された受信信号のピークの位置を含むサンプル(即ち、パルスサンプル)の前後で異なるようにしてもよい。具体的には例えば、DDC部4におけるダウンコンバート後の周波数が96kHzであって1サンプルの幅(時間長さ)が10μs程度の場合で、0.5ms程度の時間長さのパルス発生区間に該当するサンプルを除去する場合に、パルスサンプルに加えて前記パルスサンプルの前3サンプルおよび後48サンプルの、合計52サンプルを除去するようにしてもよい。
【0037】
上記により、DDC部4から出力される受信信号のうちの、パルス部分の信号が0となり(別言すると、ミュートされ)、パルス性雑音成分が除去されて受信信号の劣化を防ぐことができる。
【0038】
上記のようなノイズブランカ5の作用効果の検証例を
図2および
図3に示す。
【0039】
図2(A)は、トーン信号に、パルス性雑音として1秒ごとに1ms幅のパルスを重畳させた信号を示す図である。同図(B)は、前記(A)の信号(時間波形)を受信信号として与えてノイズブランカ5を動作させた(尚、ノイズブランカ5は動作させない)場合のシミュレーションの結果として得られる出力信号(時間波形)を示す図である。
図2(B)に示す結果から、ノイズブランカ5の働きにより、パルス部分の信号が0とされて(別言すると、ミュートされて)、パルス性雑音が適切に除去されていることが確認される。
【0040】
図3(A)は、音声信号に、パルス性雑音として1秒ごとに1ms幅のパルスを重畳させた信号(時間波形)を示す図である。同図(B)は、前記(A)の信号を受信信号として与えてノイズブランカ5を動作させた(尚、ノイズブランカ5は動作させない)場合のシミュレーションの結果として得られる出力信号(時間波形)を示す図である。
図3(B)に示す結果から、ノイズブランカ5の働きにより、実際的な音声信号の場合も、パルス性雑音が適切に除去されて、音声信号が良好に再現されていることが確認される。
【0041】
上記のようなノイズブランカ5によれば、受信信号を復調する前にパルス部分の受信信号を0とすることによって受信信号に含まれるパルス成分(特に、幅が広いパルス)を抑圧/除去するようにしているので、復調データ(延いては、復調データに基づいて再生される音声)の劣化を最小限に抑えることが可能となる。上記のようなノイズブランカ5によれば、特に、受信信号の瞬時電力について所定の時間長さにおける最大値の平均値をピーク閾値として用いて受信信号に含まれるパルスを検出するようにしているので、時々の受信信号の状態を的確に反映した閾値によってパルスを検出することができ、パルスを適切に検出して対処することが可能となり、延いては、復調データ(延いては、復調データに基づいて再生される音声)の劣化を良好に抑えることが可能となる。
【0042】
上記のようなノイズブランカ5によれば、また、DDC部4とチャネルフィルタ6との間にノイズブランカ5を挿入するようにしているので、AGC部7の前段階においてノイズブランク処理を施すことにより、強いパルス成分を抑圧し、本来受信したい目的信号(例えば、音声)のレベルが自動利得制御によって低下する事態を回避することが可能となり、また、チャネルフィルタ6の前段階においてノイズブランク処理を施すことにより、パルス性雑音がフィルタによって時間的に広がる前にパルス性雑音を良好に抑圧/除去することが可能となる。
【0043】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では
図1に概略構成を示す受信機1に対してこの発明に係るノイズブランカ5が適用される場合を例に挙げて説明しているが、この発明が適用され得る受信機の構成は
図1に示す例には限定されない。すなわち、この発明は、上記の実施の形態におけるDDC部4に相当する構成を備えてDDC部4の後段にノイズブランカが組み込まれ得る受信機であればどのような受信機に対しても適用され得る。さらに付け加えると、この発明は、音声出力に纏わる雑音成分の除去だけでなく、種々のデータ出力に纏わる雑音成分の除去に対しても適用され得る。
【0044】
また、上記の実施の形態ではパルス検出部51において用いるピーク閾値を最大値保持部541およびLPF部542によって受信信号の瞬時電力の最大値の平均レベルとして求めるようにしている。しかしながら、パルス検出部51において用いるピーク閾値の求め方/決定の仕法は、上記の実施の形態における求め方に限定されるものではなく、パルス性雑音に該当するピークを検出し得る閾値の求め方/決定の仕法であればどのようなものであってもよい。例えば、LPF部542について、無限インパルス応答(IIR)型のフィルタの代わりに、有限インパルス応答(FIR:Finite Impulse Response の略)型のフィルタや移動平均フィルタが用いられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 受信機
2 アンテナ部
3 A/D変換器
4 DDC部
5 ノイズブランカ
51 パルス検出部
52 遅延回路
53 平均用ブランク処理部
54 閾値出力部
541 最大値保持部
542 LPF部
55 出力用ブランク処理部
6 チャネルフィルタ
7 AGC部
8 復調部