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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】ジェットエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02C 1/04 20060101AFI20240415BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20240415BHJP
   B64D 37/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
F02C1/04
F02C7/26 B
B64D37/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019026290
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020133461
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】名古 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】羽二生 拓人
(72)【発明者】
【氏名】和田 知久
(72)【発明者】
【氏名】古谷 正二郎
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183574(JP,A)
【文献】特開2007-205353(JP,A)
【文献】特開2014-159769(JP,A)
【文献】特表2015-532485(JP,A)
【文献】特表2017-524851(JP,A)
【文献】特表2016-510376(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051566(WO,A1)
【文献】特開2007-120316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0006594(US,A1)
【文献】米国特許第05129599(US,A)
【文献】特開2015-047902(JP,A)
【文献】米国特許第05752380(US,A)
【文献】特開2015-114488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/04
F02C 7/26
F02K 7/00
B64D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を加圧するポンプと、
加圧された前記燃料を加熱する加熱流路と、
前記ポンプに動力を与える燃料タービンと、
回転電機と、
前記燃料タービンの回転速度を計測する回転計と、
前記燃料タービンの前記回転速度に応じて、前記回転電機の回転速度を制御する制御装置と、
を備え、
所望の条件を満たさないときに、前記回転電機が前記燃料タービンに動力を与え、
前記所望の条件を満たすときに、前記加熱流路を通過した燃焼前の前記燃料が、前記燃料タービンに流入して前記燃料タービンに動力を与え、
前記燃料は、前記所望の条件を満たさないときに、前記燃料タービンを通過せずに燃焼され、
前記制御装置は、前記燃料タービンの前記回転速度が第3閾値より大きいときに、前記燃料タービンの前記回転速度を減少させる方向に動力を加えるように、前記回転電機の回転速度を制御する
ジェットエンジン。
【請求項2】
前記所望の条件は、前記加熱流路を通過した前記燃料が気化していることを含む
請求項1に記載のジェットエンジン。
【請求項3】
前記所望の条件は、前記加熱流路の温度が第1閾値より高いことを含む
請求項1または2に記載のジェットエンジン。
【請求項4】
前記所望の条件は、前記加熱流路を通過した前記燃料の温度が第2閾値より高いことを含む
請求項1から3のいずれか1項に記載のジェットエンジン。
【請求項5】
前記所望の条件は、当該ジェットエンジンを始動してから所望の時間が経過していることを含む
請求項1から4のいずれか1項に記載のジェットエンジン。
【請求項6】
前記回転電機は、前記所望の条件を満たすときに、前記燃料タービンの回転力を受けて電力を発電する
請求項1から5のいずれか1項に記載のジェットエンジン。
【請求項7】
前記制御装置は
前記燃料タービンの前記回転速度が第4閾値より小さいときに、前記燃料タービンの前記回転速度を増加させる方向に動力を加えるように、前記回転電機の回転速度を制御する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のジェットエンジン。
【請求項8】
前記燃料を燃焼する燃焼器を備え、
前記加熱流路は、前記燃焼器に隣接して設けられている
請求項1からのいずれか1項に記載のジェットエンジン。
【請求項9】
燃料を加圧するポンプと、
加圧された前記燃料を加熱する加熱流路と、
前記ポンプに動力を与える燃料タービンと、
回転電機と、
前記燃料を燃焼する燃焼器と、
前記回転電機に電力を供給する電源装置と、
を備え、
所望の条件を満たさないときに、前記回転電機が前記燃料タービンに動力を与え、
前記所望の条件を満たすときに、前記加熱流路を通過した燃焼前の前記燃料が、前記燃料タービンに流入して前記燃料タービンに動力を与え、
前記加熱流路は、前記燃焼器に隣接して設けられ、
前記電源装置は、前記燃焼器で発生する熱により保温される
ジェットエンジン。
【請求項10】
前記電源装置は、前記加熱流路に隣接して設けられている
請求項に記載のジェットエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラムジェットエンジンなどのジェットエンジンには、燃料を燃焼する燃焼器に、高い噴射圧で燃料を噴射する場合がある。例えば、特許文献1には、タービンポンプを用いて燃料を加圧する方法が開示されている。このタービンポンプは、タービンエンジンで圧縮した加圧空気がタービンポンプに流入することで、タービンポンプを稼働させる。また、タービンポンプに発電機を組み込むことで、タービンポンプから電力を取り出してもよいことが記載されている。さらに、タービンポンプに電動モータを組み込むことで、タービンエンジンからの加圧空気を低減することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-510376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の状況に鑑みなされたものであり、燃料に圧力を効率的に加えることができるジェットエンジンを提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0006】
上記目的を達成するための一実施の形態によるジェットエンジン(2)は、燃料を加圧するポンプ(110)と、加圧された燃料を加熱する加熱流路(120)と、ポンプに動力を与える燃料タービン(130)と、回転電機(140)とを備える。所望の条件を満たさないときに、回転電機(140)が燃料タービン(130)に動力を与える。所望の条件を満たすときに、加熱流路(120)を通過した燃焼前の燃料が、燃料タービン(130)に流入して燃料タービン(130)に動力を与える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ジェットエンジンの燃料に効率的に圧力を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態におけるジェットエンジンを備える機体の概略図である。
図2】一実施の形態におけるジェットエンジンの断面を表す概略図である。
図3】一実施の形態におけるジェットエンジンの供給システムの概略図である。
図4】一実施の形態におけるジェットエンジンの供給システムの処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施の形態によるジェットエンジン2は、例えば、図1に示すように、航空機1に搭載される。ジェットエンジン2は、ミサイルなどを含む飛昇体に搭載されてもよい。ジェットエンジン2は、図2に示すように、例えば、機体10と、カウル20と、供給システム30とを備える。機体10と、カウル20との間に気体の流通可能な空間15が形成されている。機体10とカウル20とは、航空機1が前方に進むことで、空気を空間15に導入するインレット50を構成する。空間15の中央部分には、供給システム30から燃料が噴射され、燃料と空気とが混合され燃焼される燃焼器60が構成される。燃焼した気体は、機体10とカウル20とで構成されたノズル70から放出される。ジェットエンジン2は、インレット50から空気を取り込み、ノズル70から燃焼した気体を放出することで推力を得る。ジェットエンジン2は、例えば、ラムジェットエンジンを含む。
【0010】
供給システム30は、図3に示すように、燃料タンク100と、ポンプ110と、加熱流路120と、燃料タービン130と、回転電機140と、電源装置150と、噴射口160とを備える。燃料タンク100には、燃料が格納されている。
【0011】
ジェットエンジン2が始動するとき、回転電機140がポンプ110に動力を供給する。回転電機140は、燃料タービン130の燃料タービン軸135を介して、ポンプ110のポンプ軸115に接続されている。回転電機140は、電源装置150から電力が供給されて、燃料タービン軸135を回転させて、燃料タービン130に動力を供給する。燃料タービン軸135が回転することで、ポンプ軸115が回転する。ポンプ軸115が回転することで、ポンプ110は、燃料タンク100から供給される燃料に圧力を加える。圧力が加えられた燃料は、加熱流路120を経由し、噴射口160から燃焼器60に噴射される。
【0012】
燃焼器60が高温になると、燃料タービン130がポンプ110に動力を供給する。加熱流路120は、燃焼器60で生じる熱が加熱流路120に伝搬されることで、加熱流路120を流れる燃料を加熱して気化させる。気化した燃料は、燃焼器60で燃焼する前に、燃料タービン130に流入して、燃料タービン130に動力を供給し、燃料タービン130の燃料タービン軸135を回転させる。燃料タービン軸135はポンプ軸115に接続されているため、燃料タービン130で生じた回転力は、ポンプ110のポンプ軸115を回転させる。ポンプ軸115が回転することで、ポンプ110は燃料に圧力を加える。また、燃料タービン130から放出された燃料は、噴射口160から燃焼器60に噴射される。
【0013】
このように、ポンプ110は、加熱流路120の温度が低いときに回転電機140から動力を得て、加熱流路120の温度が高いときに燃料タービン130から動力を得る。これにより、ポンプ110は、加熱流路120の温度が低いときに、燃料に十分な圧力を加えることができる。
【0014】
また、加熱流路120の温度が高いときに、燃料タービン130が回転電機140の回転子を回転させることで、回転電機140は電力を生成する。回転電機140が生成した電力は、航空機1に搭載された電子機器40に供給される。
【0015】
このように、回転電機140が電力を供給することで、電源装置150の電力消費を抑制することができる。電源装置150は、熱電池(thermal battery)、融解塩電池(molten salt battery)などを含む。電源装置150は、燃焼器60または加熱流路120に隣接して設けられてもよい。燃焼器60で生じる熱が電源装置150に伝搬される。これにより、電源装置150が保温されることで、電源装置150の作動時間が長くなり得る。
【0016】
供給システム30における燃料の流れを説明する。供給システム30は、燃料タンク100とポンプ110とを接続する第1流路170と、ポンプ110と加熱流路120とを接続する第2流路180と、加熱流路120と噴射口160と燃料タービン130とを接続する第3流路190と、燃料タービン130と噴射口160とを接続する第4流路200とを備える。
【0017】
第1流路170は、ジェットエンジン2が始動するときに、燃料タンク100に格納された燃料をポンプ110に導く。第1流路170には、遮断弁172が設けられている。ジェットエンジン2が始動するときに遮断弁172が開くことで、燃料がポンプ110に流れる。ポンプ110に流入した燃料は、加圧されて、第2流路180に放出される。ポンプ110は、タービンポンプなどのうず巻きポンプを含む。
【0018】
第2流路180は、ポンプ110で加圧された燃料を加熱流路120に導く。加熱流路120に導かれた燃料は、加熱流路120で加熱され、第3流路190に流れる。加熱流路120は、例えば、燃焼器60に隣接して設けられている。また、加熱流路120は、ノズル70に隣接して設けられてもよい。
【0019】
第3流路190は、加熱流路120の温度に応じて、噴射口160または燃料タービン130に燃料を導く。第3流路190は、加熱流路120から噴射口160に燃料を導く流路と、加熱流路120から燃料タービン130に燃料を導く流路との分岐点192を備える。また、分岐点192と燃料タービン130との間には第1開閉弁194が設けられ、分岐点192と噴射口160との間には第2開閉弁196が設けられている。加熱流路120の温度が低いときに、第1開閉弁194が閉じられ、第2開閉弁196が開かれる。これにより、加熱流路120を通過した燃料は、燃料タービン130を通過せずに噴射口160に流れ、噴射口160から燃焼器60に噴射され、燃焼する。加熱流路120の温度が高いときに、第1開閉弁194が開き、第2開閉弁196が閉じられる。これにより、加熱流路120を通過した燃料は燃料タービン130に流れる。
【0020】
燃料タービン130に導かれた燃料は、燃料タービン軸135を回転させ、第4流路200に放出される。
【0021】
第4流路200は、燃料タービン130から放出された燃料を噴射口160に導く。噴射口160に導かれた燃料は、噴射口160から噴射され、燃焼する。
【0022】
供給システム30は、燃料の流れを制御するために、例えば、制御装置210と、温度センサ220と、回転計230とを備える。
【0023】
温度センサ220は、加熱流路120の温度を計測し、計測した温度を示す温度情報を制御装置210に送信する。
【0024】
回転計230は、ポンプ軸115の回転速度を計測し、計測した回転速度を示す回転情報を制御装置210に送信する。回転計230は、燃料タービン軸135の回転速度を計測することで、ポンプ軸115の回転速度を推定してもよい。
【0025】
制御装置210は、遮断弁172と、第1開閉弁194と、第2開閉弁196とを制御する。制御装置210は、温度センサ220が計測した温度に基づき、第1開閉弁194と第2開閉弁196とを制御する。
【0026】
また、制御装置210は、回転電機140を制御する。制御装置210は、ジェットエンジン2が始動するときに、ポンプ110が燃料を加圧できるように、回転電機140に電力を供給して、回転電機140を電動機として駆動する。また、加熱流路120の温度が高いときに、制御装置210は、燃料タービン130の動力から電力を発電するように、回転電機140を発電機として駆動する。
【0027】
さらに、制御装置210は、回転計230が計測した回転速度に応じて、回転電機140の回転数を制御してもよい。ポンプ軸115の回転速度に応じて、ポンプ110が燃料に加える圧力が決定される。このため、ポンプ軸115の回転速度が速いときに、制御装置210は、回転電機140の回転速度を下げるように回転電機140を制御する。同様に、ポンプ軸115の回転速度が遅いときに、制御装置210は、回転電機140の回転速度を上げるように回転電機140を制御する。これにより、ポンプ110から放出される燃料の圧力を制御することができる。
【0028】
ジェットエンジン2は、図4に示すように動作する。ジェットエンジン2が始動する前に、遮断弁172と、第1開閉弁194は閉じられ、第2開閉弁196が開かれる。
【0029】
ジェットエンジン2が始動するときに、回転電機140を電動機として駆動し、遮断弁172を開く(ステップS100)。制御装置210は、遮断弁172を開き、燃料タンク100の燃料をポンプ110に流す。また、制御装置210は、ポンプ110が燃料を加圧するように、回転電機140に電力を供給する。第2開閉弁196は、ジェットエンジン2が始動するときに開かれてもよい。
【0030】
ステップS110において、制御装置210は、温度センサ220が計測する加熱流路120の温度に基づき、加熱流路120で加熱された燃料が気化しているかを判断する。例えば、加熱流路120の温度が所望の温度より高いときに、加熱流路120を流れる燃料が気化していると判断する。制御装置210は、加熱流路120を流れる燃料が気化していると判断されるまで待つ。加熱流路120を流れる燃料が気化していると判断したときに、ステップS120に移行する。
【0031】
ステップS120において、制御装置210は、第1開閉弁194と第2開閉弁196とを制御して、燃料が流れる経路を変更する。制御装置210は、加熱流路120で加熱された燃料が気化していると判断すると、第1開閉弁194を開く。次に、制御装置210は、第2開閉弁196を閉じる。このため、加熱流路120で加熱された燃料は、燃料タービン130に流入し、燃料タービン軸135を回転させる。燃料タービン軸135が回転することで、ポンプ110のポンプ軸115が回転する。その結果、ポンプ110は燃料を加圧する。
【0032】
ステップS130において、制御装置210は、回転計230が測定するポンプ軸115の回転速度が第1閾値より低いかを判断する。ポンプ軸115の回転速度が第1閾値より低い場合、ポンプ110から放出される燃料の圧力が低いことを意味する。このため、制御装置210は、ポンプ軸115の回転速度が第1閾値より低いと判断すると、回転電機140の回転速度を上げるように回転電機140を制御する(ステップS140)。制御装置210は、ステップS140の処理を行った後にステップS130の処理に戻る。ポンプ軸115の回転速度が第1閾値以上であるときは、処理はステップS150に移行する。第1閾値は、ジェットエンジン2が許容し得る燃料の圧力の下限値に基づき、決定されてもよい。第1閾値は、航空機1の速度に応じて、決定されてもよい。この場合、供給システム30は、航空機1の速度を航空機1が備える速度計から取得する。また、供給システム30が速度計を備えてもよい。
【0033】
ステップS150において、制御装置210は、回転計230が測定するポンプ軸115の回転速度が第2閾値より高いかを判断する。ポンプ軸115の回転速度が第2閾値より高い場合、ポンプ110から放出される燃料の圧力が高いことを意味する。このため、制御装置210は、ポンプ軸115の回転速度が第2閾値より高いと判断すると、回転電機140の回転速度を下げるように回転電機140を制御する(ステップS160)。制御装置210は、ステップS160の処理を行った後にステップS130の処理に戻る。ポンプ軸115の回転速度が第2閾値以下であるときは、処理はステップS170に移行する。第2閾値は、ジェットエンジン2が許容し得る燃料の圧力の上限値に基づき、決定されてもよい。第2閾値は、航空機1の速度に応じて、決定されてもよい。例えば、第2閾値は、第1閾値より大きくてもよい。
【0034】
ステップS170において、制御装置210は、回転電機140を発電機として駆動して、回転電機140が発電した電力を電子機器40に供給する。例えば、制御装置210は、回転電機140が発電した電力を受け取り、電子機器40に供給する。回転電機140が発電した電力を直接、電子機器40に供給してもよい。また、ステップS140、S160において、制御装置210は、電源装置150から供給される電力を電子機器40に供給してもよい。
【0035】
ステップS130~S170を繰り返すことで、制御装置210は、燃料の圧力を調整することができる。
【0036】
ステップS110において、加熱流路120で加熱された燃料が気化しているかを判断するための任意の方法を選択することができる。例えば、加熱流路120または第3流路190を流れる燃料の温度に基づき、燃料が気化しているかを判断してもよい。この場合、温度センサ220は、加熱流路120または第3流路190を流れる燃料の温度を測定する。制御装置210は、温度センサ220が測定した燃料の温度が所望の値より大きいときに、燃料が気化していると判断する。また、ジェットエンジン2を始動してから経過した時間に基づき、燃料が気化しているかを判断してもよい。この場合、制御装置210は、ジェットエンジン2を始動してから所望の時間が経過しているときに燃料が気化していると判断する。また、加熱流路120の温度と、加熱流路120を流れる燃料の温度と、第3流路190を流れる燃料の温度と、ジェットエンジン2が始動してから経過した時間との2つ以上の組み合わせに基づき、加熱流路120で加熱された燃料が気化しているかを判断してもよい。
【0037】
ステップS120において、燃料が流れる経路を変更するための任意の方法を選択することができる。例えば、制御装置210は、第2開閉弁196を閉じた後に、第1開閉弁194を開いてもよい。また、制御装置210は、第2開閉弁196の閉鎖と、第1開閉弁194の開放とを同時に行ってもよい。また、分岐点192に三方弁を備えてもよい。制御装置210がこの三方弁を制御することで、加熱流路120を通過した燃料は噴射口160または燃料タービン130に導かれる。この場合、加熱流路120の温度が低いときに加熱流路120を通過した燃料が噴射口160に流れるように、制御装置210は三方弁を制御する。加熱流路120の温度が高いときに加熱流路120を通過した燃料が燃料タービン130に流れるように、制御装置210は三方弁を制御する。
【0038】
加熱流路120の温度が低いときに燃料が噴射口160から噴射するための任意の方法を選択することができる。例えば、加熱流路120の温度が低いときに、加熱流路120を経由せずに、燃料は第2流路180から噴射口160に導かれてもよい。この場合、第2流路180は、ポンプ110から加熱流路120に燃料を導く流路と、ポンプ110から噴射口160に燃料を導く流路との分岐点を備える。この分岐点と加熱流路120との間に第3開閉弁が設けられ、この分岐点と噴射口160との間に第4開閉弁が設けられる。制御装置210は、第3開閉弁と第4開閉弁とを、第1開閉弁194と第2開閉弁196と同様に制御する。また、燃料は、第3流路190に分岐点192を設けずに、常に燃料タービン130を経由して、噴射口160に流れてもよい。
【0039】
以上において説明した処理は一例であり、各ステップの順番、処理内容は、機能を阻害しない範囲で変更してもよい。また、説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよい。例えば、ポンプ110のポンプ軸115は、燃料タービン130の燃料タービン軸135に動力が伝わればよく、燃料タービン軸135に任意の方法で接続されてもよい。燃料タービン130の燃料タービン軸135は、回転電機140に動力が伝わればよく、回転電機140に任意の方法で接続されてもよい。制御装置210は、ポンプ軸115の回転速度に応じて、回転電機140を制御しなくてもよい。この場合、図4のステップS130~S160を省略することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 航空機
2 ジェットエンジン
10 機体
15 空間
20 カウル
30 供給システム
40 電子機器
50 インレット
60 燃焼器
70 ノズル
100 燃料タンク
110 ポンプ
115 ポンプ軸
120 加熱流路
130 燃料タービン
135 燃料タービン軸
140 回転電機
150 電源装置
160 噴射口
170 第1流路
172 遮断弁
180 第2流路
190 第3流路
192 分岐点
194 第1開閉弁
196 第2開閉弁
200 第4流路
210 制御装置
220 温度センサ
230 回転計
図1
図2
図3
図4