(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】表示装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240415BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240415BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 366A
G09F9/00 312
G02F1/1333
G03G15/00 550
(21)【出願番号】P 2019218764
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 達人
(72)【発明者】
【氏名】服部 真吾
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097120(JP,A)
【文献】特開2006-126229(JP,A)
【文献】特開2018-036514(JP,A)
【文献】特開2006-010789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0038809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 ー 9/46
G02F 1/1333
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる表示装置であって、
液晶画面と、前記液晶画面を保持するフレームとを有する液晶ユニットと、
前記液晶ユニットを支持する支持部材と、
前記フレームのうちの前記液晶画面の表示領域外の部分と、前記支持部材との間に配置されたスペーサと、
前記液晶ユニットと前記支持部材との間に圧縮された状態で配置され、前記スペーサよりも剛性が低く、且つ、導電性を有する導通部材と、を備えた、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記液晶画面よりも剛性が高い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記液晶ユニットは、操作者がタッチ操作により情報を入力可能なタッチパネルを有する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記スペーサは、前記液晶画面と平行な方向に互いに離間した少なくとも3個所にそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記液晶ユニットは、前記液晶画面と直交する方向から見た形状が略矩形状であり、
前記スペーサは、それぞれ前記液晶ユニットの1辺に対して該1辺の長さの1/4以下の領域に配置されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スペーサは、前記液晶ユニットの4隅にそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記液晶ユニットは、前記液晶画面と直交する方向から見た形状が略矩形状であり、
前記スペーサは、前記液晶ユニットの4辺に対応する位置にそれぞれ配置されており、
各辺において、前記スペーサの幅は、そのスペーサが配置される辺の幅よりも狭い、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記フレームは、一部に他の部分よりも剛性が高い高剛性部を有し、
前記スペーサは、前記高剛性部以外の部分に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記スペーサは、絶縁性の樹脂製である、
ことを特徴とする、請求項1ないし8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記導通部材は、導電性繊維とウレタンフォームを含んで構成される、
ことを特徴とする、請求項1ないし9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部が収容される筐体と、
前記筐体に設けられた、請求項1ないし10の何れか1項に記載の表示装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記表示装置は、前記筐体に対して揺動可能に設けられている、
ことを特徴とする、請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶画面を有する表示装置と、このような表示装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、液晶画面を有する表示装置を備えた構成が従来から知られている。液晶画面は筐体(フレーム)に保持されることで液晶ユニットを構成し、この液晶ユニットは支持部材を介して画像形成装置に支持されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、表示装置の薄型化に伴い、液晶画面と筐体との隙間を小さくすることが求められている。しかしながら、液晶画面と筐体との隙間を小さくすると、液晶ユニットや液晶ユニットを支持する支持部材の形状のばらつきや撓みなどによって、液晶画面と筐体とが一部で接触する虞がある。即ち、液晶画面と筐体との隙間が小さいため、例えば、液晶ユニットや支持部材の撓みにより筐体が支持部材に押されて筐体が液晶画面の背面と接触する虞がある。
【0005】
このように、液晶画面と筐体とが接触した場合、液晶画面上に波紋が発生する虞がある。特に、表示装置が、操作者が指などで操作可能なタッチパネルを有するものである場合、波紋が発生し易い。例えば、液晶ユニットや支持部材の撓みにより筐体が支持部材に押されており、液晶画面と筐体との間の隙間が更に小さくなっている場合、操作者がタッチパネルを押した際に、液晶画面と筐体とが接触して波紋が発生し易くなる。
【0006】
本発明は、液晶画面に波紋が生じにくい構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像形成装置に用いられる表示装置であって、液晶画面と、前記液晶画面を保持するフレームとを有する液晶ユニットと、前記液晶ユニットを支持する支持部材と、前記フレームのうちの前記液晶画面の表示領域外の部分と、前記支持部材との間に配置されたスペーサと、前記液晶ユニットと前記支持部材との間に圧縮された状態で配置され、前記スペーサよりも剛性が低く、且つ、導電性を有する導通部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶画面に波紋が生じにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の斜視図。
【
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【
図3】第1の実施形態に係る表示装置の分解斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係るLCDユニットを、(a)表面側から見た斜視図、(b)背面側から見た斜視図。
【
図5】第1の実施形態に係る支持板に対するスペーサの取り付け構成を示す斜視図。
【
図6】第1の実施形態に係る支持板に対するスペーサ及びガスケットの配置を示す平面図。
【
図8】第1の実施形態に係るLCDユニットに対するスペーサ及びガスケットの配置を示す平面図。
【
図9】第1の実施形態の別の第1例に係るLCDユニットに対するスペーサ及びガスケットの配置を示す模式図。
【
図10】第1の実施形態の別の第2例に係るLCDユニットに対するスペーサ及びガスケットの配置を示す模式図。
【
図11】第2の実施形態に係るLCDユニットに対するスペーサ及びガスケットの配置を示す模式図。
【
図12】第3の実施形態に係るLCDユニットに対するスペーサ及びガスケットの配置を示す模式図。
【
図13】(a)第4の実施形態に係る表示装置の支持構成を示す画像形成装置の部分側面図、(b)(a)よりも表示装置を起こした状態を示す画像形成装置の部分側面図。
【
図14】第4の実施形態に係る表示装置の揺動支持部材の斜視図。
【
図15】第4の実施形態に係る表示装置が力を受ける様子を示す画像形成装置の部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、
図1ないし
図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0011】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、それぞれ像担持体としての感光ドラム6を有する4つの画像形成ステーションを備えた電子写真方式のフルカラープリンタである。画像形成装置1は、原稿読取部41又は画像形成装置1に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。また、各画像形成ステーションは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。以下、具体的に説明する。なお、以下の説明では、記録材をシートSとする。
【0012】
図1及び
図2において、画像形成装置1は、原稿読取部41、シート供給部42、シート搬送部43、画像形成部44、定着器45、表示装置46を有する。シート供給部42、シート搬送部43、画像形成部44、定着器45は、画像形成装置1の筐体1a内に収容されている。一方、表示装置46は、筐体1aに設けられている。
【0013】
画像形成部44は、上述の4つの画像形成ステーション、中間転写ベルト7、露光ユニット2を有する。各画像形成ステーションは、それぞれ、円筒状の感光体である感光ドラム6を有する。感光ドラム6の周囲には、それぞれ不図示の帯電器、現像器、クリーナが配置され、それらがプロセスカートリッジ3を構成している。各プロセスカートリッジ3の上方には、各感光ドラム6と接触するようにして中間転写体としての中間転写ベルト7を配置している。各感光ドラム6及び中間転写ベルト7は、画像形成時に回転駆動される。
【0014】
感光ドラム6は、それぞれ不図示の帯電器により帯電され、露光ユニット2より画像信号に応じて露光されることで、表面に潜像が形成される。各感光ドラム6に形成されたそれぞれの潜像は不図示の現像器により、トナー像として現像される。現像器には、トナーボトル12からトナーが補給される。
【0015】
感光ドラム6の回転に伴い、トナー像は感光ドラム6と中間転写ベルト7とが当接する1次転写部に搬送される。トナー像は、一次転写部において、各感光ドラム6と中間転写ベルト7を介して対向して配設された1次転写手段としての1次転写ローラ5によって、中間転写ベルト7へ順次転写される。1次転写ローラ5には、不図示の電装基板から1次転写バイアスが印加される。
【0016】
シート供給部42に収納されたシートSは、ピックアップローラにより1枚毎に、シート搬送部43に送り出され、レジストローラ9でタイミングを合わせた後、2次転写ローラ8と中間転写ベルト7で構成されるニップ部(2次転写部)に搬送される。そして、2次転写部にて、中間転写ベルト7のトナー像がシートSに2次転写される。その後、トナー像が転写されたシートSは、定着器45に搬送され、そこで熱及び圧力を受ける。そして、これによりトナーが溶融混色してトナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、定着器45の下流に設けられた排出ローラ18によって排出トレイ13に排出される。
【0017】
シートSの両面に画像形成する場合には、表面にトナー像が定着されたシートSを反転搬送路11に搬送する。反転搬送路11に搬送されたシートSは、反転搬送ローラ17により再び2次転写部へ搬送され、裏面にトナー像が転写される。その後、シートSは、定着器45へ搬送され、裏面のトナー像が定着され、排出ローラ18によって排出トレイ13に排出される。
【0018】
原稿読取部41は、画像形成装置1の上部、図示の例では排出トレイ13の上方に配置され、原稿を読み取る。
【0019】
表示装置46は、
図1に示すように、原稿読取部41の正面側に配置されている。正面側とは操作者が画像形成装置1を操作する側である。操作者は、表示装置46を用いて、所望の指令を入力する。画像形成装置1は、所定の入力を受けて所定の動作を行う。画像形成装置1は、表示装置46へ入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作する。
【0020】
[表示装置]
次に、本実施形態の表示装置46について、
図3ないし
図8を用いて説明する。
図3に示すように、表示装置46の内部には、液晶ユニットとしてのLCD(Liquid Crystal Display)ユニット101が配置されている。本実施形態の表示装置46は、操作部カバー103、タッチパネル104、シール部材105、LCDユニット101、スペーサ106a~106d、導通部材としてのガスケット107、支持部材としての操作部支持板108から構成される。
【0021】
LCDユニット101は、
図4(a)、(b)に示すように、不図示のバックライト、偏光フィルターなどを含む平板状の液晶画面101aと、LCDフレーム102を有する。LCDユニット101は、液晶画面101aと直交する方向から見た形状が略矩形状である。LCDフレーム102は、液晶画面101aよりも剛性が高い金属製或いは樹脂製であり、液晶画面101aの表面の縁4辺、側面および背面を覆うように囲うことで、液晶画面101aを保持している。LCDフレーム102は、液晶画面101aの表面4辺を、それぞれB1、B2の幅だけ覆っている。
【0022】
なお、LCDユニット101の背面とは、操作部支持板108側の面である。また、本実施形態では、LCDユニット101の厚みを5.5mmとしている。この厚みが薄くなると、LCDユニット101の剛性が低くなる傾向にある。また、本実施形態の液晶画面101aのサイズは10.1inchである。
【0023】
ここで、液晶画面上の波紋発生の原理について簡単に説明する。液晶画面101a上の波紋は、液晶画面101aの厚みが局所的に変わると、液晶画面101a内の光の遮りにムラが起きることで発生する。したがって、液晶画面101aの背面に何かしら接触するものがあると、その部分だけ液晶の厚みが局所的に変化してしまい、液晶画面上に波紋が発生してしまう。また、LCDユニット101の厚みが薄くなると、剛性が低くなる分、厚みの変化が起こり易くなり(撓み易くなり)、波紋が発生し易くなる。このため、このような波紋の発生を抑制するためには、液晶画面101aの背面側に空間を設けることが求められる。
【0024】
例えば、LCDユニットを支持板に支持する際に、LCDユニットの背面全体を樹脂製のプレートにより保持することが考えられる。このとき、LCDユニットや支持板の撓みによりプレートがLCDユニットの背面を押して、LCDユニットを構成するLCDフレームが液晶画面の背面に接触する虞がある。そして、上述のように液晶画面に波紋が発生する虞がある。そこで、本実施形態では、表示装置46を次のように構成している。
【0025】
[表示装置の構成]
上述のように、本実施形態の表示装置46は、操作部カバー103、タッチパネル104、シール部材105、LCDユニット101、スペーサ106a~106d、ガスケット107、操作部支持板108から構成される。
図3に示すように、操作部カバー103は、表示装置46の外装に相当するものであり、タッチパネル104が取り付けられる。また、操作部カバー103は、
図3に示すように中央に開口が設けられており、表示装置46は、この開口を介してLCDユニット101の後述する液晶画面101aの表示画像を表示装置46の正面に表示することが可能となっている。タッチパネル104は、操作者がタッチ操作により情報を入力可能なパネルである。タッチパネル104の背面4辺には、シール部材105が配設される。シール部材105は単一で形成されても良いし、複数から形成されてもよい。そして、そのシール部材105を押し潰すような形でLCDユニット101が操作部カバー103に取りつけられる。このとき、シール部材105を押し潰すことによって、操作部カバー103とLCDユニット101の隙間をなくすことができる。そして、LCDユニット101は操作部カバー103の不図示の位置決め形状によって、X方向、Y方向(即ち、液晶画面101aと平行な方向)の位置が決まる。
【0026】
一方、操作部支持板108のLCDユニット101側には、スペーサ106a~106dとガスケット107が取り付けられる。本実施形態では、スペーサ106a~106dは、樹脂で成型されており、厚みは2.35mmである。スペーサ106a~106dは、絶縁性の樹脂製とすることが好ましく、例えば、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック)やPC+ABS(ポリカーボネート+アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック)等である。
【0027】
図5に示すように、スペーサ106aには、それぞれ2つのボス110a、110bが設けられている。一方、操作部支持板108には、複数の穴108a、108bが形成されている。そして、ボス110a、110bを穴108a、108bに挿入することで、スペーサ106aを操作部支持板108に取り付けている。また、スペーサ106aのボス110a、110bには、それぞれ操作部支持板108の穴108a、108b中心にスリットが設けられている。そして、ボス110a、110bの外径は、操作部支持板108の穴108a、108bよりも大きい。このような構成にしておくことで、スペーサ106aを操作部支持板108の穴108a、108bに組み付けたときに、ボス110a、110bと穴108a、108bの間の摩擦力で、スペーサ106aを操作部支持板108に仮保持することができる。他のスペーサ106b~106dについても同様である。
【0028】
その後、後述するように、スペーサ106a~106dは、表示装置46の厚さ方向においてLCDユニット101と操作部支持板108の間で挟持されるため、ボス110a、110bが穴108a、108bから抜けることはない。なお、本実施形態では、スペーサ106a~106dは、LCDユニット101の4隅に該当する位置にそれぞれ配設される。このために、
図6に示すように、スペーサ106a~106dは、操作部支持板108の4隅に保持されている。
【0029】
導通部材であるガスケット107は、LCDユニット101と操作部支持板108との間に配置され、スペーサ106a~106dよりも剛性が低く、且つ、導電性を有する。具体的には、ガスケット107は、導電性繊維とウレタンフォームから構成されており、LCDユニット101の背面に配設される。ガスケット107の役割は、LCDユニット101と操作部支持板108とにそれぞれ接触することにより、これらの部材の導通をとり、電磁ノイズを低減させることである。ガスケット107の厚みは、13mmである。ガスケット107はウレタンフォームから形成されているため、非常に剛度が低く、柔らかい。
【0030】
図7に示すように、スペーサ106a~106d(
図7ではスペーサ106b、106dのみを表示)及びガスケット107を取り付けた操作部支持板108が、LCDユニット101を挟み込むようにして操作部カバー103に取り付けられる。そして、操作部支持板108と操作部カバー103とが不図示のビスで固定される。このとき、各部品の厚みのばらつきは、シール部材105の潰し量によって吸収することができる。
【0031】
このような構成にすることで、4隅に配設されたスペーサ106a~106dにより、LCDユニット101の背面と操作部支持板108との間に隙間Gを確保できる。この隙間Gは、LCDユニット101の背面と操作部支持板108との最近接位置での隙間である。言い換えれば、スペーサ106a~106dにより形成される隙間である。このため、仮にLCDユニット101又は操作部支持板108が撓んでも、これらが互いに接触することが抑制される。
【0032】
ここで、
操作者の操作力:P(N)
LCDユニットの幅:L(mm)
LCDユニットの縦弾性係数:E(N/mm2)
LCDユニットの断面二次モーメント:I
としたときに、LCDユニットの撓み量δは、
δ=PL3/(48EI)
と定義される。
【0033】
隙間Gは、この撓み量δ以上とすることが求められる。したがって、スペーサ106a~106dの厚み公差を±0.1mmと仮定すると、スペーサ106a~106dの好ましい厚みtは、t=δ+0.1mmとなる。
【0034】
なお、ガスケット107は、前述のように柔らかい部品のため、スペーサの厚みまで潰される。このため、ガスケット107は、仮にLCDユニット101又は操作部支持板108が撓んでも、これに倣って変形し、仮に液晶画面101aの表示領域内にあっても液晶画面上に波紋を発生させることはない。一方、この状態で、スペーサ106a~106dは殆ど潰れず、上述のように隙間Gを確保する。また、仮にスペーサ106a~106dが多少潰れたとしても、上述のように隙間Gを確保できるように、材質や厚さを設定する。
【0035】
[スペーサの配置について]
次に、スペーサ106a~106dの配置について、
図8ないし
図10を用いて説明する。
図8ないし
図10は、LCDユニット101を背面から見た図である。また、
図9は、本実施形態の別の第1例を示す図であり、
図10は、本実施形態の別の第2例を示す図である。
【0036】
図8に示すように、スペーサ106a~106dの配置領域は、液晶画面101aの周囲を覆っているLCDフレーム102の幅B1、B2以下である。即ち、スペーサ106a~106dは、LCDフレーム102のうちの液晶画面101aの表示領域外の部分と、操作部支持板108との間に配置されている。
【0037】
ここで、液晶画面101aの表示領域外の部分とは、表示装置46を正面側(液晶画面と直交する方向)から見た場合に、操作部カバー103によって覆われている部分である。即ち、液晶画面101aの表面のうち、操作部カバー103に覆われた部分よりも液晶画面101aの中心側の領域は表示装置46において画像を表示可能な領域であり、ユーザから見て表示画像が視認可能な領域である。
【0038】
また、液晶画面101aの表示領域外の部分とは、液晶画面101aと反対側の裏面において液晶画面101aの表面の4辺を覆うフレーム部分に対応する部分である。即ち、液晶画面101aの表面のうち、4辺のLCDフレーム102に覆われた部分よりも内側は画像を表示可能な領域である。一方、液晶画面101aの裏面側はLCDフレーム102により全体が覆われている。尚、液晶画面101aにおいてLCDフレーム102に覆われていない領域の面積は、操作部カバー103の開口面積以上の大きさとなっている。
【0039】
スペーサ106a~106dは、液晶画面101aと平行な方向に互いに離間した少なくとも3個所にそれぞれ配置することが好ましく、本実施形態では、上述のように、LCDユニット101の4隅にそれぞれ配置されている。具体的には、スペーサ106a~106dは、それぞれLCDユニット101の端面から25~30mmの範囲に配置される。また、同一部品を4ヶ所に配置している。
【0040】
このような本実施形態の場合、例えば、操作者が表示装置46に触れて操作する際、表示装置46に操作力が加わる。しかし、LCDユニット101と操作部支持板108との間に配置されたスペーサ106a~106dを介して、操作部支持板108がLCDフレーム102の幅B1、B2の領域で、その操作力を受ける。このため、液晶画面101aが撓むことがなく、液晶画面101a上に波紋が出ることを抑制できる。
【0041】
なお、スペーサ106a~106dは、例えば、
図9に示すように、それぞれLCDユニット101の1辺に対して該1辺の長さの1/4以下の領域に配置することが好ましい。1つのスペーサが配置される領域を1/4よりも大きくすると、1辺に対して2個のスペーサがある場合、LCDフレーム102の1辺とスペーサとが半分よりも大きい領域で接触してしまう。そうすると、操作部支持板108の撓みなどの影響がスペーサを介してLCDユニット101に伝わって液晶画面101aが撓む虞がある。このため、スペーサ106a~106dは、それぞれLCDユニット101の1辺に対して該1辺の長さの1/4以下の領域に配置することが好ましい。
【0042】
また、
図10に示すように、LCDユニット101の剛性を確保すべく、LCDフレーム102Aの一部を他の部分よりも剛性が高い高剛性部とする場合がある。
図10に示す構成では、LCDフレーム102Aの中央寄り部分を絞り形状102aとして、この絞り形状102aによりLCDフレーム102Aの剛性を高めている。即ち、絞り形状102aを高剛性部としている。この場合には、スペーサ106a~106dを、絞り形状102aを避けた領域、即ち、高剛性部以外の部分に配置する。
【0043】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、
図11を用いて説明する。上述の第1の実施形態ではスペーサをLCDユニットの4隅に配置したが、本実施形態では、スペーサを4辺に配置している。その他の構成及び作用は第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0044】
図11は、LCDユニット101Aを背面から見た図である。本実施形態では、スペーサ206a~206dは、LCDユニット101Aの4辺に対応する位置にそれぞれ配置されている。また、各辺において、スペーサ206a~206dの幅は、そのスペーサ206a~206dが配置される辺の幅よりも狭い。なお、LCDユニット101Aは、第1の実施形態と同様に、液晶画面101a(
図3参照)の直交する方向から見た形状が略矩形状である。また、スペーサ206a~206dの材質や厚さは、第1の実施形態のスペーサ106a~106dと同様である。
【0045】
即ち、本実施形態では、スペーサ206a~206dを、LCDユニット101Aの4辺に配置する。スペーサ206a~206dを4辺に配置することで、操作者の操作力によるLCDユニット101Aの撓みを、より軽減させることができる。特に、本実施形態では、スペーサ206a~206dを各辺の長さ方向全域に配置することで、LCDユニット101Aの4辺全域にスペーサ206a~206dを配置している。
【0046】
但し、スペーサ206a~206dの幅B3は、液晶画面101aの周囲を覆っているLCDフレーム102の幅B1、B2以下である(
図4(a)参照)。即ち、本実施形態においても、スペーサ206a~206dは、液晶画面101aの表示領域外に配置している。このため、操作者のタッチパネル操作に伴う、波紋の発生を抑制できる。
【0047】
なお、スペーサ206a~206dは、各辺の長さ方向全域に配置しなくても良い。この場合、スペーサを1辺の長さの1/4以上としても良いし、1/4以下としても良い。但し、スペーサの幅をそのスペーサが配置される辺の幅よりも狭くすることが好ましい。
【0048】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、
図12を用いて説明する。上述の第1の実施形態ではスペーサをLCDユニットの4隅に配置したが、本実施形態では、スペーサを3個所に配置している。その他の構成及び作用は第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
図12は、LCDユニット101Bを背面から見た図である。本実施形態では、スペーサ306a~306cを、LCDユニット101の3点に配置している。具体的には、略矩形状のLCDユニット101Bの2つの長辺のうちの一方の長辺に、1つのスペーサ306aを配置する。スペーサ306aは、この長辺の長さ方向略中央に配置されている。一方、もう一方の長辺と短辺とがなす角部にそれぞれスペーサ306b、306cを配置する。なお、スペーサ306a~306cの材質や厚さは、第1の実施形態のスペーサ106a~106dと同様である。
【0050】
LCDユニット101Bを操作部支持板108(
図3など参照)に対して平行に維持するためには、最低3点を支持すれば良い。本実施形態では、このようにスペーサ306a~306cを、液晶画面101a(
図3参照)と平行な方向に互いに離間した3個所にそれぞれ配置しているため、第1の実施形態に対して、より少ない部品点数にすることができる。
【0051】
スペーサ306a~306cの幅B4は、液晶画面101aの周囲を覆っているLCDフレーム102の幅B1、B2以下である(
図4(a)参照)。即ち、本実施形態においても、スペーサ306a~306cは、液晶画面101aの表示領域外に配置している。このため、操作者のタッチパネル操作に伴う、波紋の発生を抑制できる。なお、本実施形態の場合も、スペーサ306a~306cは、それぞれLCDユニット101の1辺に対して該1辺の長さの1/4以下の領域に配置することが好ましい。
【0052】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について、
図13(a)、(b)、
図14及び
図15を用いて説明する。上述の第1の実施形態では表示装置46を画像形成装置1の筐体1aに揺動不能に設けている。これに対して本実施形態では、表示装置46を画像形成装置1Aの筐体1aに揺動可能に設けている。その他の構成及び作用は第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0053】
本実施形態では、表示装置46の支持方法が、画像形成装置1に対して固定ではなくチルトする構成である。表示装置46については、上述の第1ないし第3の実施形態の何れの構成であっても良い。
【0054】
本実施形態の表示装置46の支持方法について説明する。表示装置46は、高身長の操作者から車椅子に座った操作者まで幅広い視点の高さに対応するため、上下方向に揺動可能かつ任意の角度で保持することが求められている。
図13(a)、(b)は、画像形成装置1Aの左側面側から表示装置46を見た概略図であり、
図13(a)は、表示装置46を持ち上げて高身長の操作者を想定した配置を示す図である。
図13(b)は、操作部を押し下げて車椅子の操作者を想定した配置を示す図、即ち、
図13(a)よりも表示装置46を起こした状態を示す図である。
【0055】
表示装置46は、
図13(a)から
図13(b)にかけての任意の位置で保持可能である。この機能を達成するため、表示装置46を画像形成装置1Aの筐体1aに固定するための揺動保持部材150を、
図14に示す。
図14に示すように、揺動保持部材150は、操作部側保持部151、揺動部152、画像形成装置側固定部153からなり、揺動部152には摩擦によって任意の角度を保持するフリーストップヒンジ154が設けられている。
【0056】
操作部側保持部151は、表示装置46の略中央部を保持する部分である。画像形成装置側固定部153は、画像形成装置1Aの筐体1aに固定される部分である。揺動部152は、操作部側保持部151と画像形成装置側固定部153との間に設けられ、操作部側保持部151を画像形成装置側固定部153に対して略水平方向の軸を中心として揺動可能に支持するものである。フリーストップヒンジ154にはいくつかの方式があるが、本実施形態では樹脂製のパイプに金属軸を圧入したパイプ式を用いている。このように構成することで、操作部側保持部151に保持された表示装置46を筐体1aに対して上下方向に揺動可能に、且つ、任意の角度で保持可能に支持している。
【0057】
上述のように表示装置46が筐体1aに対してチルトする構成だと、表示装置46は、揺動保持部材150を介して筐体1aに固定されることになる。このため、表示装置46の4隅は筐体1aに固定されず、操作者の操作力で表示装置46がねじれやすくなる。例えば、
図15に示すように、操作者が表示装置46を操作する際に、表示装置46の下辺部をP2の力で支持した状態で上辺部を力P1の力で押すと、表示装置46は、揺動部152を回転中心として捻じれてしまう。表示装置46が捻じれてしまうと、表示装置内のLCDユニット101と操作部支持板108(
図3、7参照)との隙間が縮まり、接触する懸念が発生する。
【0058】
しかしながら、第1ないし第3の実施形態の何れかのように、スペーサをLCDユニット101と操作部支持板108の間に配置すると、それらスペーサによってLCDユニット101と操作部支持板108の隙間は確保される。このため、上述のように表示装置46がねじれても液晶画面101aに波紋が出ることは抑制される。
【0059】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、スペーサをLCDユニットと操作部支持板との間に3個所ないし4個所配置したが、スペーサを5個所以上配置しても良い。また、スペーサの形状についても、液晶画面に直交する方向から見て丸、楕円、矩形状など様々な形状としても良い。
【0060】
また、上述の各実施形態では、スペーサをLCDユニットと操作部支持板との間に配置した構成について説明したが、スペーサの代わりに、LCDユニット又は操作部支持板に突部を設けても良い。即ち、LCDユニットを構成するLCDフレームのうちの液晶画面の表示領域外の部分において、LCDフレームと操作部支持板との一方の部材に、他方の部材に設けて突出し、他方の部材に当接する突部を設けても良い。そして、突部以外の部分で、LCDユニットと操作部支持板108との間に隙間を形成するようにしても良い。この場合、LCDフレームは、樹脂製とする。
【符号の説明】
【0061】
1、1A・・・画像形成装置/1a・・・筐体/44・・・画像形成部/46・・・表示装置/101、101A、101B・・・LCDユニット(液晶ユニット)/101a・・・液晶画面/102、102A・・・LCDフレーム(フレーム)/102a・・・絞り形状(高剛性部)/104・・・タッチパネル/106a~106d、206a~206d、306a~306c・・・スペーサ/107・・・ガスケット(導通部材)/108・・・操作部支持板(支持部材)