(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20240415BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240415BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 500W
(21)【出願番号】P 2019236302
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】江川 陸
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正隆
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-127882(JP,A)
【文献】特開2019-196944(JP,A)
【文献】特開2008-090304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力を供給するためのキャパシタと、
前記放射線検出パネルおよび前記キャパシタを内包する筐体と、
前記筐体の内壁およびこれに対向する前記キャパシタの対向面との間に配置され、弾性体で形成された保護部材と、
を有し、
前記保護部材は、前記キャパシタの対向面に対する正射影において前記キャパシタの中央領域には重ならず前記中央領域とは異なる領域に重なるように
、前記キャパシタの対向面を四辺形状としてみたときの第1の辺に沿って延びる第1の領域、第2の辺に沿って延びる第2の領域、第3の辺に沿って延びる第3の領域、および、第4の辺に沿って延びる第4の領域に配置される
ことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記保護部材は、25%圧縮応力が0.005MPa以上で且つ0.25MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記保護部材は、独立気泡、連続気泡または半連続気泡のセル構造を有する発泡体で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記保護部材は、前記キャパシタと前記筐体との間の領域であって他の構造物が介在しない領域の一部または全部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記保護部材として、前記対向面に沿って、複数の保護部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記保護部材として、前記キャパシタと前記筐体との間に、複数の保護部材が積層されて配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記保護部材は、厚みが3.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記保護部材は、密度が1000kg/m
3以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記複数の保護部材として、前記筐体の中央に近い側に配置される第1の保護部材と前記筐体の中央から遠い側に配置される第2の保護部材を有することを特徴とする請求項5に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記第1の保護部材と前記第2の保護部材は、それぞれ異なる材質であることを特徴とする請求項9に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記第2の保護部材の圧縮応力は、前記第1の保護部材の圧縮応力よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記第2の保護部材の硬度は、前記第1の保護部材の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した放射線を検出する放射線検出パネルを有する放射線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蛍光体(シンチレータ)と大面積の固体撮像素子を密着させた放射線検出パネル、いわゆるフラットパネルディテクタ(FPD)を使用して、放射線画像を直接デジタル化するデジタル放射線撮影装置が実用化されている。このデジタル放射線撮影装置は、従来のアナログ放射線撮影装置に置き換わり、広く使われるようになってきた。FPDを使用したデジタル放射線撮影装置によれば、放射線画像を瞬時にデジタル情報として得ることができ、技師による撮影作業の省力化や医師による読影の効率化等の多くの利点が得られている。そして技術の進歩により、デジタル放射線撮影装置は、従来のアナログカセッテのサイズまで小型化され、いわゆる電子カセッテと呼ばれる可搬型のデジタル放射線撮影装置が開発されている。
【0003】
電子カセッテは、ポータブル撮影に使用されてきた従来のアナログカセッテと同様に可搬性に優れ、放射線撮影室の様々な場所に移動して放射線撮影を行うことができる。例えば、電子カセッテを、撮影台上に位置させた被検者の撮影対象部位に直接密着させたり、立位スタンドや撮影台のカセッテトレイに装着したりして、放射線撮影が行われる。この電子カセッテが実用化された初期段階では、電子カセッテは、制御部や電源等の附属機器と有線で接続され、画像信号及び制御信号の通信や電力の供給が行われていた。しかしながら、より操作性、可搬性を向上させるため、近年、画像信号や制御信号の無線通信化が行われ、いわゆるワイヤレス電子カセッテが開発されている。
【0004】
ワイヤレス電子カセッテでは、当該ワイヤレス電子カセッテの内部に配置されているFPDや電気基板に電力を供給する電源装置として、二次電池が搭載されている。例えば、特許文献1には、この二次電池として、バッテリーよりも短時間で充放電が可能なキャパシタを用いたワイヤレス電子カセッテが記載されている。また、軽量・薄型が要求されるワイヤレス電子カセッテでは、しばしばラミネートタイプのセルを持つキャパシタが採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ワイヤレス電子カセッテは、可搬性故に、落下や衝突、振動による衝撃が加わることがある。例えば、特許文献1に記載のワイヤレス電子カセッテでは、このような衝撃によって外装の筐体が変形するなどした場合、キャパシタと筐体とが接触し、例えばキャパシタのラミネートの破損が発生する恐れがある。そして、キャパシタのラミネートが破損すると、キャパシタの外部との絶縁性が失われ、非常に危険である。しかしながら、軽量・薄型が要求されるワイヤレス電子カセッテの特性上、衝撃によってもキャパシタと筐体とが接触しないように、キャパシタと筐体とのクリアランスを十分に設けることは、困難である。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、筐体が衝撃を受けた場合に、筐体に内包されているキャパシタに対する当該衝撃の影響を低減することが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線撮影装置は、入射した放射線を検出する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルに電力を供給するためのキャパシタと、前記放射線検出パネルおよび前記キャパシタを内包する筐体と、前記筐体の内壁およびこれに対向する前記キャパシタの対向面との間に配置され、弾性体で形成された保護部材と、を有し、前記保護部材は、前記キャパシタの対向面に対する正射影において前記キャパシタの中央領域には重ならず前記中央領域とは異なる領域に重なるように、前記キャパシタの対向面を四辺形状としてみたときの第1の辺に沿って延びる第1の領域、第2の辺に沿って延びる第2の領域、第3の辺に沿って延びる第3の領域、および、第4の辺に沿って延びる第4の領域に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筐体が衝撃を受けた場合に、筐体に内包されているキャパシタに対する当該衝撃の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すI-I断面における、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態を示し、
図2のキャパシタの概略構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置において、
図2に示す裏蓋筐体部の側から見た際の内部構成の配置例を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置において、
図2に示す裏蓋筐体部の側から見た際の内部構成の配置例を示す図である。
【
図6】
図1に示すI-I断面における、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置の内部構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。ただし、以下に記載する本発明の各実施形態において示す寸法や構造の詳細は、明細書及び図面に記載された内容に限定されるものではない。また、本明細書においては、本発明に係る放射線は、X線に限定されるものではなく、α線やβ線、γ線、粒子線、宇宙線なども、含まれるものとする。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観を示す斜視図である。この
図1には、放射線撮影装置100の外装を構成する筐体180が示されている。
【0014】
図2は、
図1に示すI-I断面における、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。以下の説明においては、この
図2に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-1」として記載する。また、
図2では、点線の矢印で示す放射線Rが入射する放射線入射方向をZ方向とし、Z方向と直交する方向であって相互に直交する方向をX方向及びY方向とした、XYZ座標系を図示している。
【0015】
放射線撮影装置100-1は、
図2に示すように、放射線検出パネル110、脚部121を備える支持部材120、キャパシタ130、保護部材140、配線150、電気基板160、フレキシブル回路基板170、及び、筐体180を有して構成されている。
【0016】
放射線検出パネル110は、入射した放射線R(被検体Hを透過した放射線Rを含む)を検出する構成部である。具体的に、放射線検出パネル110は、入射した放射線Rをその強度に応じて電気信号である放射線画像信号に変換する。放射線検出パネル110は、例えば、複数の光電変換素子が配置されており、これらの光電変換素子が配置された面(検出面)側には、放射線Rを、これらの光電変換素子が感知可能な可視光に変換する蛍光体(シンチレータ)が配置される構成をとりうる。この構成をとる場合、蛍光体(シンチレータ)は、入射した放射線Rを可視光に変換し、その可視光を複数の光電変換素子が電気信号である放射線画像信号に変換する。ここでは、放射線検出パネル110の光電変換素子が配置された面を検出面とし、また、検出面の領域のうち、複数の光電変換素子が配置された領域を画素領域とする。なお、放射線検出パネル110において、上述した光電変換素子及び蛍光体に替えて、入射した放射線Rを直接、放射線画像信号に変換する変換素子を用いてもよく、その場合、変換素子が配置された面が検出面、複数の変換素子が配置された領域が画素領域となる。
【0017】
支持部材120は、放射線検出パネル110を支持する部材である。支持部材120は、放射線検出パネル110を支持する面の反対側の面に、複数の脚部121が複数の箇所に配置されており、この複数の脚部121によって支持部材120と筐体180(より具体的には、裏蓋筐体部183)との間に空間が形成される。そして、本実施形態においては、複数の脚部121によって形成された空間内に、キャパシタ130や保護部材140、配線150、電気基板160等が配置される。
【0018】
キャパシタ130は、放射線検出パネル110や電気基板160、フレキシブル回路基板170等に稼働に必要な電力を供給するための電源装置であって、バッテリーよりも短時間で充放電が可能な構成部である。
図2では、キャパシタ130における保護部材140が配置される側の面を、面130aとして示している。
【0019】
ここで、
図3を用いて、キャパシタ130の概略構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、
図2のキャパシタ130の概略構成の一例を示す図である。本実施形態では、キャパシタ130は、薄型・軽量・コンパクトである点から、ラミネートタイプの物を採用することが好ましいが、樹脂等の外装によってセルがパッケージされた物を採用してもよい。キャパシタ130は、
図3に示すように、電極が積層される本体部131、本体部131の周囲を覆う封止部132、及び、キャパシタ130の外部の構成部と電気的に接続するための端子部133を有して構成されている。ここで、
図3に示すキャパシタ130の構成のうち、本体部131が最も厚いことが一般的である。
図3に示すように、キャパシタ130は、安全性のために封止部132が構成されていることや、端子部133にビスやはんだなどを用いてリード線などと接続する必要がある。これらのことから、放射線撮影装置100-1にキャパシタ130を実装する際には、多くの空間が必要となる。キャパシタ130の端子部133は、電気的な接続部となるため、堅牢性を向上するために、放射線撮影装置100-1に外力が加わった際などに、他の構造物と接触しないように保護したり、端子部133の周りに空間を設けたりすることが考えられる。また、キャパシタ130は、リチウムイオンキャパシタなどで実装することができる。一般的に、二次電池の容量が向上すると、操作者が利用する際に、一度の充電で多くの撮影ができるようになる。しかしながら、キャパシタ130の容量を向上させるには、キャパシタ130の体積もあわせて増加させる必要があり、この場合、厚み方向に制限のある放射線撮影装置100-1においては、平面方向の大きさが大きくなる傾向にある。本実施形態では、最も厚みが厚くなる本体部131上に、保護部材140を配置し、外力(衝撃)による筐体180との接触からキャパシタ130を保護する形態をとる。
【0020】
ここで、再び、
図2の説明に戻る。
保護部材140は、キャパシタ130と筐体180(より具体的には、裏蓋筐体部183)との間との間の領域であって他の構造物が介在しない領域に配置され、弾性体で形成された構成部である。具体的に、本実施形態においては、保護部材140は、キャパシタ130と筐体180(より具体的には、裏蓋筐体部183)との間との間の領域であって他の構造物が介在しない領域の一部または全部に配置されている形態をとる。保護部材140についてより言及すると、保護部材140は、軽量化・衝撃吸収性の観点から、25%圧縮応力が0.005MPa以上で且つ0.25MPa以下の独立気泡、連続気泡または半連続気泡のセル構造を有する発泡体で形成されていることが好ましい。ここで、25%圧縮応力とは、物体が25%圧縮されるのに必要な荷重(応力)のことを指す。保護部材140の25%圧縮応力が、0.005MPa未満もしくは0.25MPaよりも大きいと、外部から局所衝撃が加わった際、衝撃加重を十分分散できず、キャパシタ130に局所加重が加わり、キャパシタ130自体やキャパシタ130のラミネートの破損につながる恐れが生じる。
【0021】
図2に示すように、キャパシタ130と筐体180との間に、弾性体で形成された保護部材140を配置させることにより、放射線撮影装置100-1の落下や衝突、振動によって放射線撮影装置100-1の筐体180に衝撃が加わり、筐体180が変形した場合においても、キャパシタ130と筐体180との接触を防ぐことができる。即ち、筐体180が衝撃を受けた場合に、筐体180に内包されているキャパシタ130に対する当該衝撃の影響を低減することができる。また、保護部材140を弾性体で形成することによって外部からの衝撃を分散・緩和することができ、その結果、キャパシタ130を保護することが可能となる。
【0022】
配線150は、キャパシタ130と電気基板160との間、及び、電気基板160同士の間などを電気的に接続するための配線である。
【0023】
電気基板160は、例えば、放射線検出パネル110の動作を制御するための電気基板や、放射線検出パネル110で変換された電気信号である放射線画像信号を読み出すための電気基板、放射線画像信号を読み出した後に放射線画像の画像データを生成する電気基板などを含む。
【0024】
フレキシブル回路基板170は、放射線検出パネル110と電気基板160とを電気的に接続する回路基板である。具体的に、フレキシブル回路基板170は、一方の端部が放射線検出パネル110に接続され、他方の端部が放射線検出パネル110で得られた放射線画像信号を処理するための電気基板160に接続されている。
【0025】
筐体180は、放射線検出パネル110、支持部材120、キャパシタ130、保護部材140、配線150、電気基板160及びフレキシブル回路基板170を内包する構成部である。この筐体は、
図2に示すように、放射線入射側筐体部181、フレーム筐体部182、及び、裏蓋筐体部183を有して構成されている。
【0026】
放射線入射側筐体部181は、筐体180において、放射線Rが入射する側に位置する筐体部である。フレーム筐体部182は、筐体180において、側面に位置する筐体部である。裏蓋筐体部183は、筐体180において、放射線Rが入射する側(放射線入射側筐体部181)とは反対側に位置する筐体部である。
【0027】
なお、本実施形態に係る筐体180は、
図2に示すように、放射線入射側筐体部181、フレーム筐体部182及び裏蓋筐体部183を有して構成されているが、本発明においては、この形態に限定されるものではない。例えば、放射線入射側筐体部181、フレーム筐体部182及び裏蓋筐体部183のうちの一部または全部が一体となっていてもよい。
【0028】
放射線入射側筐体部181は、放射線検出パネル110に放射線Rを入射させるため、放射線Rの吸収率が、フレーム筐体部182及び裏蓋筐体部183よりも低い材料で構成されている。また、放射線入射側筐体部181は、重量が軽く、且つ衝撃などに対し一定の強度を確保できることが好ましい。この放射線入射側筐体部181の材料としては、例えば、樹脂材料やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などが用いられる。また、フレーム筐体部182及び裏蓋筐体部183は、落下や衝撃などに対する強度確保、及び、運搬時の負担軽減を目的とした軽量化のため、例えば、マグネシウムやアルミニウム、CFRP等の低比重の材料が用いられる。また、放射線撮影装置100-1の電磁遮蔽能力の向上のため、例えばフレーム筐体部182及び裏蓋筐体部183は、マグネシウムやアルミニウム等の導電性のある金属材料が用いられる。ここで、電磁遮蔽能力とは、放射線撮影装置100-1の付近にある電気機器などから発生する電磁波などによって、放射線撮影装置100-1の動作に影響を受けにくくする能力や放射線撮影装置100-1が筐体180の外部に発する電磁波を遮蔽する能力を指す。
【0029】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影装置100において、
図2に示す裏蓋筐体部183の側から見た際の内部構成の配置例を示す図である。この
図4において、
図2に示す構成と同様の構成については、同じ符号を付している。また、
図4では、
図2に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。
【0030】
図4に示す放射線撮影装置100-1では、キャパシタ130が2つ配置されている態様が示されているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではなく、キャパシタ130は、放射線撮影装置100-1の内部に1つ以上配置されていればよい。また、保護部材140は、キャパシタ130と筐体180との間の領域であって他の構造物が介在しない領域の少なくとも一部に配置されていればよいが、薄型の放射線撮影装置100-1の内部に収納するために、保護部材140の厚みは3.5mm以下とする。さらに、保護部材140は、薄すぎると衝撃を吸収しきれず、逆に厚いと筐体180(裏蓋筐体部183)と干渉して放射線撮影装置100-1の外形に影響を及ぼす可能性があるため、保護部材140の厚みは、1.0mm以上で且つ2.5mm以下であるとより好ましい。
図2及び
図4に示すように、保護部材140を、キャパシタの面130aの平面方向(XY平面の方向)に大きくすると、体積及び重量ともに増加するため、軽量化を図るために、保護部材140の密度は、1000kg/m
3以下であることが好ましい。さらに、保護部材140の密度は、500kg/m
3以下であることがより好ましい。
【0031】
ここで、キャパシタ130と筐体180との接触のメカニズム、及び、保護部材140の役割について説明する。
図2に示すように、支持部材120と裏蓋筐体部183との間には、脚部121によって空間が存在するため、放射線撮影装置100-1に衝撃が加わるなどした際に、裏蓋筐体部183や支持部材120がたわみ変形する恐れがある。特に、平面方向に大きな面積を持つキャパシタ130付近では、脚部121の間隔が広くなり、裏蓋筐体部183や支持部材120の変形がより大きくなり、裏蓋筐体部183とキャパシタ130との接触に繋がる。保護部材140は、こうした変形による、裏蓋筐体部183とキャパシタ130との接触によるキャパシタ130のラミネートの破損を抑制することが可能である。また、保護部材140は、キャパシタ130と筐体180との間の領域であって他の構造物が介在しない領域に配置されればよいが、配置箇所の決定の容易さ、保護部材140の平面方向へのズレ防止等の観点から、キャパシタ130に接着して配置されることが好ましい。
【0032】
以上説明したように、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1では、キャパシタ130と筐体180(より具体的には、裏蓋筐体部183)との間に、弾性体で形成された保護部材140を配置するようにしている。
かかる構成によれば、外部からの衝撃が筐体180に加わった場合(筐体180が衝撃を受けた場合)に、筐体180に内包されているキャパシタ130に対する当該衝撃の影響を低減することができる。これにより、筐体180に内包されているキャパシタ130を保護することが可能となる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0034】
第2の実施形態に係る放射線撮影装置の外観を示す斜視図は、
図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観を示す斜視図と同様である。また、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成は、基本的には、
図2に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100-1の内部構成と略同じであるが、1つのキャパシタ130に接着して配置する保護部材140の数が異なる。より具体的に、第1の実施形態に係る放射線撮影装置100では、1つのキャパシタ130に接着して配置する保護部材140の数が1であるのに対して、第2の実施形態に係る放射線撮影装置100では、1つのキャパシタ130に接着して配置する保護部材140の数が複数である点で異なる。
【0035】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮影装置100において、
図2に示す裏蓋筐体部183の側から見た際の内部構成の配置例を示す図である。この
図5において、
図2及び
図4に示す構成と同様の構成については、同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、
図5では、
図2及び
図4に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。なお、以下の説明においては、この
図5に示す第2の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-2」として記載する。
【0036】
図5に示す放射線撮影装置100-2では、1つのキャパシタ130に接着して配置する保護部材140の数が2である例が示されている。具体的に、
図5に示す放射線撮影装置100-2では、1つのキャパシタ130に、当該キャパシタ130の面130aに沿って、第1の保護部材140-1及び第2の保護部材140-2の複数の保護部材140が接着されて配置されている。この際、第1の保護部材140-1及び第2の保護部材140-2は、それぞれが重複しないように、1つのキャパシタ130に接着されて配置されている。これにより、例えば第1の実施形態で示したようにキャパシタ130を大面積の保護部材140で覆う場合よりも、保護部材140の軽量化を図ることができる。なお、本実施形態においては、複数配置された各保護部材の材質は、全て同一でもよいが、異なっていてもよい。例えば、放射線撮影装置100-2の平面方向(XY平面の方向)の中央側に配置される第1の保護部材140-1と、外側に配置される第2の保護部材140-2との25%圧縮応力の関係を、第1の保護部材140-1<第2の保護部材140-2としてもよい。これにより、外部から荷重が加わった際、筐体180の裏蓋筐体部183が比較的大きく変位する中央側において、キャパシタ130に生じる局所的な負荷を抑制することができる。
【0037】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、外部からの衝撃が筐体180に加わった場合(筐体180が衝撃を受けた場合)に、筐体180に内包されているキャパシタ130に対する当該衝撃の影響を低減することができる。これにより、筐体180に内包されているキャパシタ130を保護することが可能となる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明では、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0039】
第3の実施形態に係る放射線撮影装置の外観を示す斜視図は、
図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮影装置100の外観を示す斜視図と同様である。
【0040】
図6は、
図1に示すI-I断面における、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮影装置100の内部構成の一例を示す図である。この
図6において、
図2に示す構成と同様の構成については、同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。また、
図6では、
図2に示すXYZ座標系に対応するXYZ座標系を図示している。なお、以下の説明においては、この
図6に示す第3の実施形態に係る放射線撮影装置100を、「放射線撮影装置100-3」として記載する。
【0041】
図6に示す放射線撮影装置100-3では、キャパシタ130と筐体180(より具体的には、裏蓋筐体部183)との間に、複数の保護部材140として第1の保護部材140-3及び第2の保護部材140-4が積層されて配置されている。ここで、本実施形態においては、第1の保護部材140-3と第2の保護部材140-4との25%圧縮応力または硬度の関係が、第1の保護部材140-3<第2の保護部材140-4となっていることが好ましい。これにより、特に、裏蓋筐体部183側からの局所的荷重に対して、荷重を分散する能力が向上し、キャパシタ130に局所的負荷が加わることを抑制することができる。
【0042】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、外部からの衝撃が筐体180に加わった場合(筐体180が衝撃を受けた場合)に、筐体180に内包されているキャパシタ130に対する当該衝撃の影響を低減することができる。これにより、筐体180に内包されているキャパシタ130を保護することが可能となる。
【0043】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
100:放射線撮影装置、110:放射線検出パネル、120:支持部材、121:脚部、130:キャパシタ、140:保護部材、150:配線、160:電気基板、170:フレキシブル回路基板、180:筐体、R:放射線、H:被検体