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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】検品システム、検品方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240415BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240415BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240415BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240415BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J29/393 105
G03G21/00 510
G06T7/00 300E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020017729
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021125786
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】神戸川 実
(72)【発明者】
【氏名】大林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】合田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅教
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006603(JP,A)
【文献】特開2005-271331(JP,A)
【文献】特開2019-215284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/393
G03G 21/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の記録シートに印刷された画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取り得られた複数の正解画像候補を取得する取得手段と、
前記複数の正解画像候補から合成画像を生成する生成手段と、
複数の正解画像候補のそれぞれの画素値と、前記合成画像の対応する画素値との差分が所定値以上である画素を含む正解画像候補を特定する特定手段と、
前記特定された正解画像候補を除いた、複数の正解画像候補から生成された正解画像を用いて、印刷された画像を読み取り得られた検品対象画像を検品する検品手段と、
を有することを特徴とする検品システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記正解画像候補の第一の位置にある第一の画素の値と、前記合成画像の前記第一の位置にある第二の画素の値とを比較し、前記第一の画素の値と前記第二の画素の値との差分が前記所定値以上であるかを判定する処理を含むことを特徴とする請求項に記載の検品システム。
【請求項3】
さらに、表示部を有し、
前記表示部に、前記差分が前記所定値を超えたことを表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項又はに記載の検品システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示部に、前記特定手段によって特定された正解画像候補を表示させることを特徴とする請求項に記載の検品システム。
【請求項5】
検品システムが実行する検品方法であって、
複数枚の記録シートに印刷された画像を読み取る読取工程と、
前記読取工程によって読み取り得られた複数の正解画像候補を取得する取得工程と、
前記複数の正解画像候補から合成画像を生成する生成工程と、
複数の正解画像候補のそれぞれの画素値と、前記合成画像の対応する画素値との差分が所定値以上である画素を含む正解画像候補を特定する特定工程と、
前記特定された正解画像候補を除いた、複数の正解画像候補から生成された正解画像を用いて、印刷された画像を読み取り得られた検品対象画像を検品する検品工程と、
を含むことを特徴とする検品方法。
【請求項6】
前記特定工程では、前記正解画像候補の第一の位置にある第一の画素の値と、前記合成画像の前記第一の位置にある第二の画素の値とを比較し、前記第一の画素の値と前記第二の画素の値との差分が前記所定値以上であるかを判定する処理を含むことを特徴とする請求項に記載の検品方法。
【請求項7】
さらに、表示部に、前記差分が前記所定値を超えたことを表示させる表示制御工程を有することを特徴とする請求項又はに記載の検品方法。
【請求項8】
前記表示制御工程では、前記表示部に、前記特定工程によって特定された正解画像候補を表示させることを特徴とする請求項に記載の検品方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品システム、検品方法関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷装置により印刷されたシートを搬送中に検品装置によって検査可能とした印刷システムが知られている。印刷シートの検査では、検品装置が搬送された印刷シートの画像を読み取り、読み取った画像の画像解析により印刷シートが正常であるか否かを判定する。検品装置は、バーコード、罫線の欠け、画像抜け、印刷不良、ページ抜け、色ずれ等を検出することが可能である。こうして印刷シートが欠陥シートであると判定された場合には、欠陥シートは正常シートとは別の排紙先に排紙される。これにより欠陥シートが正常シートに混入することが防がれ、オペレータが欠陥シートを廃棄することが可能となる。
【0003】
画像解析に用いる正解画像(マスタ画像、リファレンス画像)を作成する方法として、事前に印刷した正解画像として十分な品位のある印刷シートを検品装置で読み取って用いる方法が知られる。検品装置上の、実際の検査工程で使用する読み取りセンサーを用いて正解画像を取得することにより、印刷シート搬送精度及びセンサー読み取り精度に起因する検査誤判定を抑えることが可能となる。
【0004】
正解画像の取得時は、読み取る印刷シートが正解画像として十分な品位で印刷されていることのみならず、読み取りセンサーで正しく読み取る必要がある。印刷シートの紙粉が検品装置の読み取りセンサーに付着することで、読み取る画像上にスジが発生してしまうことが考えられる。スジの混入した画像を正解画像として用いた場合、例え印刷物に不良が発生していなくても印刷不良と誤検知してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-173289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によれば、正解画像取得前後に画像不良が発生していないことを確認することで、正解画像取得時に印刷不良や読み取り不良が発生していないとしている。しかしながら、前述した紙粉に起因するゴミスジは、たとえ正解画像取得前後で発生していなくても、正解画像取得時のみ発生するといったことが十分に考えられる。またスジ検出等の公知の不良検出アルゴリズムを適用してすべての不良を検出できるわけではないので正解画像の候補の中に不良画像が混じってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数枚の記録シートに印刷された画像を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取り得られた複数の正解画像候補を取得する取得手段と、前記複数の正解画像候補から合成画像を生成する生成手段と、複数の正解画像候補のそれぞれの画素値と、前記合成画像の対応する画素値との差分が所定値以上である画素を含む正解画像候補を特定する特定手段と、前記特定された正解画像候補を除いた、複数の正解画像候補から生成された正解画像を用いて、印刷された画像を読み取り得られた検品対象画像を検品する検品手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、正解画像取得時に画像不良が発生しているかどうかを確実に判別可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】画像形成装置、外部コントローラ、及びPCのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】画像形成装置のメカ断面の一例を示す図である。
図4】正解画像を登録する際の情報処理の流れを示すフローチャートである。
図5】正解画像を登録する際に検品装置が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。
図6】浮遊スジ等による画像の一例を示している。
図7】検品処理を行う際に検品装置が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。
図8】検品装置の起動時に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図9】正解画像を登録する際に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図10】正解画像の読み取り中に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図11】正解画像の読み取りが完了した後に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図12】正解画像の取得後に表示される画面等の一例を示す図である。
図13】検品の設定を行う際に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図14】検品開始後に検品装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図15】最後に読み取った画像が欠陥画像と判定された場合の画面の一例を示す図である。
図16】外部コントローラのディスプレイに表示される検品ジョブの設定画面の一例を示す図である。
図17】複数の正解画像候補から差異が大きい画像を除外候補画像として検出する情報処理の流れを示すフローチャートである。
図18】第1、第2、第3、第4、第5の位置合わせ済画像の対応する一部領域の画素値を示す図である。
図19】変形例1の複数の正解画像候補から差異が大きい画像を除外候補画像として検出する情報処理の流れを示すフローチャートである。
図20】画像の置き換えを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
以下の説明において、外部コントローラは、画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド、プリントサーバ、DFE等と呼ばれることもある。画像形成装置は、複合機、マルチファンクションペリフェラル、MFPと呼ばれることもある。
【0011】
<実施形態1>
図1は、画像処理システムのシステム構成の一例を示す図である。画像処理システムは、画像形成装置101と外部コントローラ102を備える。画像形成装置101と外部コントローラ102は内部LAN105とビデオケーブル106を介して通信可能に接続されている。外部コントローラ102は、外部LAN104を介してPC103と通信可能に接続されており、PC103から外部コントローラ102に対して印刷指示が行われる。
【0012】
PC103には印刷データを外部コントローラ102で処理可能な印刷記述言語に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。印刷を行うユーザは各種アプリケーションからプリンタドライバを介して印刷指示を行うことができる。プリンタドライバは、ユーザからの印刷指示に基づいて外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102は、PC103から印刷指示を受け取ると、データ解析及びラスタライズ処理を行い、画像形成装置101に対して印刷データを投入し印刷指示を行う。
【0013】
次に画像形成装置101について説明する。画像形成装置101には複数の異なる機能を持つ装置が接続され、製本等の複雑な印刷処理が可能なように構成されている。
印刷装置107は、印刷装置107の下部にある給紙部から搬送される用紙に対してトナーを用いて画像を形成する。この印刷装置107の構成及び動作原理は次のとおりである。画像データに応じて変調された、レーザ光等の光線をポリゴンミラー等の回転多面鏡により反射して走査光として感光ドラムに照射する。このレーザ光により感光ドラム上に形成された静電潜像はトナーによって現像され、転写ドラムに貼り付けられた用紙に、そのトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することにより、用紙上にフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写ドラム上の用紙は定着器へ搬送される。定着器は、ローラー及びベルト等を含み、ローラー内にハロゲンヒータ等の熱源を内蔵し、トナー像が転写された用紙上のトナーを、熱と圧力によって溶解して用紙に定着させる。
【0014】
インサータ108は、挿入シートを挿入するためのインサータである。インサータ108は、印刷装置107で印刷され搬送された用紙群に対して、任意の位置で108から用紙を挿入することができる。
検品装置109は、搬送された用紙の画像を読み取り、予め登録された正解画像と比較することで、印刷された画像が正常かどうかを判定するための装置である。用紙は、記録媒体の一例である。
大容量スタッカ110は、大容量のシートを積載することが可能な大容量スタッカである。フィニッシャ111は、搬送されたシートに対してフィニッシング処理を加えるフィニッシャである。フィニッシャ111は、ステイプル、パンチ、中綴じ製本等のフィニッシングを行うことが可能で、排紙トレイに排紙する。
【0015】
図1で説明した印刷システムは画像形成装置101に外部コントローラ102が接続された構成であるが、外部コントローラ102の接続された構成に限定されない。すなわち、画像形成装置101を外部LAN104に接続し、PC103から、画像形成装置101が処理可能な印刷データを送信する構成でもよい。この場合、画像形成装置101において、データ解析及びラスタライズ処理が行われ、印刷処理が実行される。
【0016】
図2は、画像形成装置101、外部コントローラ102、及びPC103のハードウェア構成の一例を示す図である。
まず画像形成装置101の印刷装置107の構成について説明する。画像形成装置101の印刷装置107は、通信I/F217、LANI/F218、ビデオI/F220、HDD221、CPU222、メモリ223、操作部224、ディスプレイ225で構成される。さらに画像形成装置101の印刷装置107は、原稿露光部226、レーザ露光部227、作像部228、定着部229、給紙部230を備える。それぞれの構成要素はシステムバス231を介して接続される。
【0017】
通信I/F217は、通信ケーブル255を介してインサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、及びフィニッシャ111と接続され、それぞれの装置の制御のための通信が行われる。
LANI/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102と接続され、印刷データ等の通信が行われる。
ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102と接続され、画像データ等の通信が行われる。
【0018】
HDD221は、プログラム及びデータが保存された記憶装置である。CPU222は、HDD221に保存されたプログラム等に基づいて、画像処理制御及び印刷の制御を包括的に行う。メモリ223は、CPU222が各種処理を行う際に必要となるプログラム及び、画像データが記憶され、ワークエリアとして動作する。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力及び操作の指示を受け付ける。ディスプレイ225には、画像処理装置の設定情報及び印刷ジョブの処理状況等が表示される。
【0019】
原稿露光部226は、コピー機能及びスキャン機能を使用する際に原稿を読み込む処理を行う。原稿露光部226は、ユーザにより設置された用紙に対して露光ランプを照らしながらCMOSイメージセンサで画像を撮影することで原稿データを読み込む。レーザ露光部227は、トナー像を転写するために感光ドラムにレーザ光を照射するための一次帯電及び、レーザ露光を行う装置である。レーザ露光部227においては、まず感光ドラム表面を均一なマイナス電位に帯電させる一次帯電が行われる。次にレーザードライバーによってレーザ光を、ポリゴンミラーで反射角度を調節しながら感光ドラムに照射される。これにより照射した部分のマイナス電荷が中和され、静電潜像が形成される。
【0020】
作像部228は、用紙に対してトナーを転写するための装置であり、現像ユニット、転写ユニット、トナー補給部等により構成され、感光ドラム上のトナーを用紙に転写する。現像ユニットにおいては、現像シリンダーからマイナスに帯電したトナーを感光ドラム表面の静電潜像に付着させ、可視像化する。転写ユニットにおいては、一次転写ローラーにプラス電位を印可し感光ドラム表面のトナーを転写ベルトに転写する一次転写、二次転写外ローラーにプラス電位を印可し転写ベルト上のトナーを用紙に転写する二次転写が行われる。定着部229は、用紙上のトナーを熱と圧力で用紙に溶解固着するための装置であり、加熱ヒーター、定着ベルト、加圧ベルト等で構成される。給紙部230は、用紙を給紙するための装置であり、ローラー及び各種センサーにより用紙の給紙動作、搬送動作が制御される。
【0021】
次に画像形成装置101のインサータ108の構成について説明する。画像形成装置101のインサータ108は、通信I/F232、CPU233、メモリ234、給紙制御部235で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス236を介して接続される。通信I/F232は、通信ケーブル255を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信が行われる。CPU233は、メモリ234に格納された制御プログラムに応じて、給紙に必要な各種制御を行う。メモリ234は、制御プログラムが保存された記憶装置である。給紙制御部235は、CPU238からの指示に基づき、ローラーとセンサーを制御しながら、インサータの給紙部及び印刷装置107から搬送された用紙の給紙、搬送を制御する。
【0022】
次に画像形成装置101の検品装置109の構成について説明する。画像形成装置101の検品装置109は、通信I/F237、CPU238、メモリ239、撮影部240、表示部241、操作部242で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス243を介して接続される。通信I/F237は、通信ケーブル255を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信が行われる。CPU238は、メモリ239に格納された制御プログラムに応じて、検品に必要な各種制御を行う。メモリ239は、制御プログラムが保存された記憶装置である。撮影部240は、CPU238の指示に基づき、搬送された用紙を撮影する。撮影部240は、検査対象の印刷物だけでなく、正解画像登録時には正解画像候補となる印刷物の読み取りも行う。正解画像候補となる印刷物は、印刷物1ページあたり複数枚取得した画像を重畳化、平均化したものが使用される。これにより、印刷物に含まれる検査精度未満の微小な変動成分を極力排することが可能となる。
CPU238は、撮影部240によって撮影された画像と、メモリ239に保存された正解画像と比較し、印刷された画像が正常かどうかを判定する。表示部241は、検品結果及び設定画面等が表示される。操作部242は、ユーザによって操作され、検品装置109の設定変更及び正解画像の登録等の指示を受け付ける。
【0023】
次に画像形成装置101の大容量スタッカ110の構成について説明する。画像形成装置101の大容量スタッカ110は、通信I/F244、CPU245、メモリ246、排紙制御部247で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス248を介して接続される。通信I/F244は通信ケーブル255を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信が行われる。CPU245は、メモリ246に格納された制御プログラムに応じて、排紙に必要な各種制御を行う。メモリ239は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部247は、CPU245からの指示に基づき、搬送された用紙をスタックトレイ、エスケープトレイ、又は後続のフィニッシャ111に搬送する制御を行う。
【0024】
次に画像形成装置101のフィニッシャ111の構成について説明する。画像形成装置101のフィニッシャ111は、通信I/F249、CPU250、メモリ251、排紙制御部252、フィニッシング処理部253で構成され、それぞれの構成要素はシステムバス254を介して接続される。通信I/F249は、通信ケーブル255を介して印刷装置107と接続され、制御に必要な通信が行われる。CPU250は、メモリ251に格納された制御プログラムに応じて、フィニッシング及び排紙に必要な各種制御を行う。メモリ251は、制御プログラムが保存された記憶装置である。排紙制御部252は、CPU250からの指示に基づき、用紙の搬送、排紙を制御する。フィニッシング処理部253は、CPU250からの指示に基づき、ステイプル、パンチ、中綴じ製本等のフィニッシング処理を制御する。
【0025】
次に外部コントローラ102の構成について説明する。外部コントローラ102は、CPU208、メモリ209、HDD210、キーボード211、ディスプレイ212、LANI/F213、LANI/F214、ビデオI/F215で構成され、システムバス216を通して接続されている。CPU208は、HDD210に保存されたプログラム及びデータに基づいてPC103からの印刷データの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷データの送信等の処理を包括的に実行する。メモリ209は、CPU208が各種処理を行う際に必要なプログラム及びデータが記憶され、ワークエリアとして動作する。HDD210には、印刷処理等の動作に必要なプログラム及びデータが記憶される。キーボード211は、外部コントローラ102の操作指示を入力するための装置である。ディスプレイ212には、外部コントローラ102の実行アプリケーション等の情報を静止画及び動画の映像信号により表示される。LANI/F213は、外部LAN104を介してPC103と接続され、印刷指示等の通信が行われる。LANI/F214は、内部LAN105を介して画像形成装置101と接続され、印刷指示等の通信が行われる。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して画像形成装置101と接続され、印刷データ等の通信が行われる。
【0026】
次にPC103の構成について説明する。PC103は、CPU201、メモリ202、HDD203、キーボード204、ディスプレイ205、LANI/F206で構成され、システムバス207を介して接続されている。CPU201は、HDD203に保存された文書処理プログラム等に基づいて印刷データの作成及び印刷指示を実行する。またCPU201は、システムバスに接続される各デバイスを包括的に制御する。メモリ202は、CPU201が各種処理を行う際に必要となるプログラム及びデータが記憶され、ワークエリアとして動作する。HDD203には、印刷処理等の動作に必要なプログラムやデータが記憶される。キーボード204は、PC103の操作指示を入力するための装置である。ディスプレイ205には、PC103の実行アプリケーション等の情報が静止画及び動画の映像信号により表示される。LANI/F206は、外部LAN104と接続されており、印刷指示等の通信が行われる。
【0027】
以上の説明において、外部コントローラ102と画像形成装置101は内部LAN1905とビデオケーブル106が接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよく、例えば、ビデオケーブルのみの接続構成でもよい。また、メモリ202、メモリ209、メモリ223、メモリ234、メモリ239、メモリ246、メモリ251はそれぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。例えば、揮発性のRAM、不揮発性のROM、内蔵HDD、外付けHDD、USBメモリ等で代替した構成でもよい。
【0028】
図3は、画像形成装置101のメカ断面の一例を示す図である。印刷装置107は、シートに印刷する画像を形成する印刷装置である。給紙デッキ301及び302は給紙デッキである。各給紙デッキには、各種シートを収容しておくことが可能である。各給紙デッキでは、収容されたシートの最上位のシート一枚のみを分離し、シート搬送パス303へ搬送することが可能である。現像ステーション304~307は、カラー画像を形成するために、それぞれY、M、C、Kの有色トナーを用いてトナー像を形成する。ここで形成されたトナー像は中間転写ベルト308に一次転写され、中間転写ベルト308は図を時計回りに回転し、二次転写位置309でシート搬送パス303から搬送されてきたシートへとトナー像が転写される。
【0029】
ディスプレイ225は、画像形成装置101の印刷状況及び設定のための情報を表示する。定着ユニット311は、トナー像をシートへ定着させるための定着ユニットである。定着ユニット311は、加圧ローラーと加熱ローラーを備え、各ローラーの間をシートが通過することにより、トナーを溶融・圧着することでシートにトナー像を定着させる。定着ユニット311を抜けたシートはシート搬送パス312を通ってパス315へと搬送される。シートの種類によって定着のためにさらに溶融及び圧着が必要な場合は、シートは、定着ユニット311を通過した後、上のシート搬送パスを使って第二定着ユニット313へと搬送され、追加の溶融及び圧着が施された後、シート搬送パス314を通ってパス315へと搬送される。画像形成モードが両面の場合は、シート反転パス316へとシートを搬送し、シート反転パス316で反転した後、両面搬送パス317へとシートが搬送され、二次転写位置309で2面目の画像転写が行われる。
【0030】
インサータ108は、挿入シートを挿入するためのインサータである。インサータ108は、インサータトレイ321を備え、シート搬送パス322を通じて給紙されたシートを搬送パスへ合流させる。これにより、印刷装置107から搬送される一連のシート群に、任意の位置でシートを挿入させて後続装置へ搬送させることが可能となる。
インサータ108を通過したシートは検品装置109へ搬送される。検品装置109内にはCIS(Contact Image Sensor)331、332が対向する形で配置される。CIS331は、シートの上面を、CIS332はシートの下面を読み取るためのセンサーである。なお、読み取るイメージセンサはCISではなく、ラインスキャンカメラでもよい。検品装置109は、シート搬送パス333に搬送されたシートが所定に位置に到達したタイミングで、CIS331、CIS332を用いてシートの画像を読み取り、装置の画像が正常であるかを判定することができる。表示部241には検品装置109によって行われた検品結果等が表示される。
【0031】
大容量スタッカ110は、大容量のシートを積載することが可能な大容量スタッカである。大容量スタッカ110は、シートを積載するトレイとしてスタックトレイ341を有する。検品装置109を通過したシートはシート搬送パス344を通して大容量スタッカ110に入力されてくる。シートはシート搬送パス344からシート搬送パス345を経由して、スタックトレイ341に積載される。さらにスタッカ340は、排紙トレイとしてエスケープトレイ346を有する。エスケープトレイ346は、検品装置109によって欠陥シートと判定されたシートを排出するために使用される排紙トレイである。エスケープトレイ346に出力する場合は、シート搬送パス344からシート搬送パス347を経由してエスケープトレイ346へシートが搬送される。なお、大容量スタッカ110の後段の後処理装置へシートを搬送する場合には、シート搬送パス348を経由してシートが搬送される。反転部349は、シートを反転するための反転部である。この反転部349は、シートをスタックトレイ341に積載する場合に使用される。入力されたシートの向きと出力時点でのシートの向きが同一となるように、スタックトレイ341に積載する場合には反転部349で一度シートが反転させられる。エスケープトレイ346及び、後続の後処理装置へ搬送する場合は、積載時にフリップせずにそのままシートを排出するため、反転部349での反転動作は行われない。
【0032】
フィニッシャ111は、ユーザに指定された機能に応じ、搬送されたシートに対してフィニッシング処理を加えるフィニッシャである。フィニッシャ111では、具体的にはステイプル(1個所・2箇所綴じ)、パンチ(2穴・3穴)、中とじ製本等のフィニッシング機能を有する。フィニッシャ111は、排紙トレイ351と排紙トレイ352の2つの排紙トレイを備え、シート搬送パス353を経由して排紙トレイ351に出力される。ただし、シート搬送パス353ではステイプル等のフィニッシング処理を行うことはできない。ステイプル等のフィニッシング処理を行う場合は、シート搬送パス354を経由して処理部355でユーザに指定されたフィニッシング機能が実行され、排紙トレイ352へ出力される。
排紙トレイ351及び排紙トレイ352はそれぞれ昇降することが可能であり、排紙トレイ351を下降させ、処理部355でフィニッシング処理したシートを排紙トレイ351へ積載するように動作することも可能である。中とじ製本が指定された場合には中とじ処理部356で、シート中央にステイプル処理をした後、シートを二つ折りにしてシート搬送パス357を経由して中とじ製本トレイ358へ出力される。中とじ製本トレイ358は、ベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ358上に積載された中とじ製本束は左側へ搬送される構成となっている。
【0033】
検品装置109は、あらかじめ設定された検査項目に従い、送られてきたシート画像を検査する。シート画像の検査はあらかじめ設定された正解画像と送られてきたシート画像とを比較して行われる。画像の比較方法には、画像位置ごとの画素値を比較する方法、エッジ検出による物体の位置の比較、OCR(Optical Character Recognition)による文字データの抽出等による方法がある。検査項目には、印刷位置のずれ、画像の色合い、画像の濃度、スジ、カスレ、印刷抜け等がある。
【0034】
以下、図4図7を用いて正解画像の登録処理、及び画像検査の情報処理について説明する。
図4(a)は、正解画像を登録する際に外部コントローラ102が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。図4(a)の処理は、外部コントローラ102のCPU208が実行する。
S4001で、CPU208は、印刷ジョブの1部の印刷指示を受信したかを判定する。
S4001でN部印刷指示を受信した場合は、CPU208は、S4002に進む。S4002で、CPU208は、外部コントローラ102は印刷装置107に対してN部の印刷データを投入し、印刷の実行を指示する。
【0035】
図4(b)は、正解画像を登録する際に印刷装置107が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。図4(b)の処理は、印刷装置107のCPU222が実行する。
S4003で、CPU222は、外部コントローラ102の印刷指示を受信するのを待つ。
S4003で外部コントローラ102からの印刷指示を受信した場合には、CPU222は、S4004に進む。S4004において、CPU222は、外部コントローラ102から受信したジョブを印刷する。外部コントローラ102から受信するジョブには、画像データの他に、給紙先及び排紙先の情報も含まれる。CPU222は、外部コントローラ102から受信したジョブの内容に応じて、通信ケーブル255を介してインサータ108、検品装置109、大容量スタッカ110、フィニッシャ111を制御する。
【0036】
ここで印刷装置107は、検品装置109の検品処理において後述の不良画像が検出され(S505)、検品装置109から再印刷の指示を受けた場合は同じページを繰り返し印刷する。
【0037】
図5は、正解画像を登録する際に検品装置109が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。図5の処理は、検品装置109のCPU238が実行する。
S501で、CPU238は、印刷設定を取得する。S501で取得する設定値には1部あたりの用紙枚数や検品を行う面、さらには用紙1枚あたり何枚の画像を重畳化、平均化して正解画像を作成するか等が含まれる。本実施形態では検品を行う各ページ当たり5枚の画像を重畳化、平均化して正解画像を作成するものとする。
【0038】
次にS502で、CPU238は、検品装置109に用紙が搬送されるのを待つ。
S502で用紙が搬送された場合は、CPU238は、S503に進む。S503で、CPU238は、用紙の画像をCIS331及びCIS332を使用して読み取り、検品装置109のメモリ239に保存する。
【0039】
S504で、CPU238は、メモリ239に保存された読み取り画像に不良画像検出処理を適用し、不良情報の生成を行う。不良画像検出で対象とする不良の一例としては、紙粉等による浮遊スジ及び固定スジであり、図6(a)は浮遊スジによる画像の一例を示している。図6(b)は原稿の縦線を示している。なお、浮遊スジを検出するアルゴリズムの一例として、CPU238は、読み取り画像に対して、想定されるスジ幅の縦線の検出を行う。これはフィルタ処理により可能である。次に、CPU238は、検出した縦線に対して主走査方向の周囲の画素との輝度値の変化量及び副走査方向の周囲の画素との輝度値の変化量を算出する。CPU238は、その算出結果と副走査方向への連続性から、スジの画素であるかを判定する。
【0040】
S505で、CPU238は、読み取り画像の不良情報を取得して、不良画像であるかを判定する。不良画像である場合には、CPU238は、S506へ進む。S506で、CPU238は、印刷装置107へ同じページの再印刷を指示する。不良画像ではない場合には、CPU238は、S507へ進む。
次にS507で、CPU238は、S501で取得した用紙枚数分の画像を読み取ったかを判定する。S507で、まだ用紙枚数分の画像読み取りが完了していない場合は、CPU238は、S502に戻る。S507で、用紙枚数分の画像読み取りが完了した場合は、CPU238は、S511に進む。
S511に進んだ時点で、検品を行う各ページに対し5枚の正解画像候補がメモリ239に取得されている。S511で、CPU238は、5枚の正解画像候補から差異が大きい画像を除外候補画像として検出する。S511の処理は、複数の正解画像の候補から除外予定の正解画像の候補を検出する処理の一例である。
【0041】
ここでS504において行われた不良検出処理と、S511において行われた除外候補画像の検出処理の関係を説明する。
S504においては画像1ページ毎に不良の典型的なパターンを探すから、多くの計算リソースは不要だが濃度のムラ等は検出できない。
対してS511では複数の正解画像候補から差異が大きい画像を除外候補画像として検出するので、S504において検出できなかった濃度のムラ等を検出することができる。
つまりS511の処理を施し正解画像候補から不良を除外することにより、より精度の高い正解画像候補のグループを得ることができる。
【0042】
S512で、CPU238は、S511で検出された除外候補画像を除外するか問い合わせるUI画面を生成し、表示部241に表示する。なお、ユーザに確認せず除外する実施形態でもよい。このとき表示するUI画面の詳細については図11で後述する。
ユーザから正解画像作成の指示を受けると、CPU238は、S513に進み、読み取り画像を重畳化、平均化した正解画像を生成して図5に示すフローチャートの処理を終了する。
S511の処理は図17で詳細に後述する。
【0043】
図7は、検品処理を行う際に検品装置109が行う情報処理の流れを示すフローチャートである。
図7の処理は、検品装置109のCPU238が実行する。
S601で、CPU238は、検品終了指示を受信したかを判定する。
S601で検品終了指示を受信した場合は、CPU238は、図7の情報処理を終了する。
S601で検品終了指示を受信していない場合は、CPU238は、S602に進む。
S602で、CPU238は、検品装置109に用紙が搬送されたかを判定する。
S602で用紙が搬送されない場合は、CPU238は、S601に進む。
S602で用紙が搬送された場合は、CPU238は、S603に進む。S603で、CPU238は、用紙の画像をCIS331及びCIS332を使用して読み取り、検品装置109のメモリ239に保存する。
【0044】
S604で、CPU238は、S603で読み取った画像と正解画像との比較を行う。S604で比較する項目は、図13の1201で設定された検品レベル及び1202で設定された検品種別に基づく。次にS605に進み、CPU238は、S604の正解画像との比較の結果、正常画像と欠陥画像のどちらであるかを判定する。
【0045】
S605で正常画像(検品OK)と判定された場合には、CPU238は、S606に進む。S606で、CPU238は、検品装置109の表示部241に検品結果がOKであることを表示する。図14は、S606で表示される画面の一例を示す図である。
次にS607に進み、CPU238は、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のスタックトレイ341に排紙するよう指示する。ここで排紙される排紙先は、図16の設定部1503で設定された排紙先に基づく。印刷装置107は、検品装置109に指示に基づき、大容量スタッカ110に対してスタックトレイ341に排紙するよう指示する。
次に、CPU238は、S601に進み処理を継続する。
【0046】
S605で欠陥画像(検品NG)と判定された場合には、CPU238は、S608に進む。S608で、CPU238は、検品装置109の表示部241に検品結果がNGであることを表示する。図15は、S608で表示される画面の一例を示す図である。
次にS609に進み、CPU238は、印刷装置107に対して、印刷シートを大容量スタッカ110のエスケープトレイ346に排紙するよう指示する。ここで排紙される排紙先は、図16の設定部1503で設定された検品NG時の排紙先に基づく。印刷装置107は、検品装置109に指示に基づき、大容量スタッカ110に対してエスケープトレイ346に排紙するよう指示する。
次に、CPU238は、S601に進み処理を継続する。
【0047】
図8図15は、検品装置109の表示画面の一例であり、検品装置109のCPU238の指示に基づき表示される。
図8は、検品装置109の起動時に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。
表示部701には、正解画像が登録されていないので検品を開始するには正解画像の登録が必要である旨が表示されている。正解画像が登録済みの場合は、検品開始可能である旨が表示される。
表示部702には、登録済みの正解画像が表示される。図8では正解画像が未登録のため、未登録である旨が表示されている。
【0048】
ボタン703は、正解画像の登録画面を呼び出すためのボタンである。
ボタン706は、検品の設定画面を呼び出すためのボタンである。検品の設定画面では、ユーザの検品目的に応じて検品の項目及び検品の精度(正解画像との差異がどの程度で欠陥画像と判定するか)を設定する。
ボタン707は、検品の開始を指示するためのボタンである。ボタン707が選択されると、検品装置109は、送られてきたシート画像の検査を開始する。
【0049】
図9は、正解画像を登録する際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。図9の表示画面は、図8のボタン703が選択された際に表示される。
設定部801は、検品を行う印刷ジョブの1部あたりの用紙枚数を設定するための設定部である。検品装置109には、1部あたり2枚以上の印刷ジョブである場合には、複数枚の画像を正解画像として登録することができる。
【0050】
設定部802では、検品を行う面を設定するための設定部である。設定部802では検品装置109が行う検品を両面にするか、表面のみにするか、裏面のみにするかを設定することができる。なお、印刷は片面の場合であっても、印刷されない面にゴミがついていないことを検査するために、両面の検査を行うよう設定する場合もある。
設定部803では、何枚のシート画像を取得して重畳化、平均化した正解画像を生成するかを設定することができる。
ボタン804は正解画像の登録を指示するためのボタンである。ボタン804が選択された後に、検品装置109は、流れてきた印刷シートの画像を読み取り、正解画像として登録する。
【0051】
図10は、正解画像の読み取り中に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。図10図9のボタン804が選択された際に表示される。設定部801及び設定部803で設定された枚数の読み取りが完了するまではこの画面が表示される。
ボタン901は、正解画像の読み取り中止を指示するためのボタンである。ボタン901が選択された場合には、正解画像の登録を行わずに図8の表示画面に戻る。
【0052】
図11は、正解画像の読み取りが完了した後に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。表示部1001には検品装置109で読み取った印刷シートのプレビュー画像が表示される。ここではS511で差異が大きいと検出された除外候補画像が表示されている。このように優先して除外候補画像を表示してもよい。1001の表示は切り替えボタン1002で画像を切り替え、表と裏の両面の検品を行う場合には切り替えボタン1003で表裏を切り替えることができる。また、読み取った画像に他の不良が混入していないかどうかを確認するために、画像拡縮ボタン1004で画像全体や、細部を確認する。なお、1002、1003、1004の各操作ボタンは一例であり、これらの操作ボタンは表示せずに、フリック、ピンチ、スワイプ等のジェスチャー操作をそれぞれの操作に割り当ててもよい。
【0053】
ボタン1005は、表示部1001の読み取り画像の確認後に、現在表示している画像を正解画像の候補画像として使用することを指示するためのボタンである。各取得画像について、ボタン1005が選択されたものについて、重畳化、平均化がなされ、正解画像が生成される。
ボタン1006は、現在表示している画像を正解画像の候補画像から除外することを指示するためのボタンである。各取得画像について、ボタン1006が選択されたものについてはそのまま破棄され、正解画像としては使用されない。
【0054】
一括使用ボタン1007は、各取得画像について一括で正解画像として使用することを指示するためのボタンである。キャンセルボタン1008は、すべての取得画像を破棄して正解画像として使用しないことを指示するためのボタンである。一括使用ボタン1007、キャンセルボタン1008の何れかが選択されるか、又はすべての取得画像について、使用するボタン1005、使用しないボタン1006の何れかが選択完了されると、図12(a)の表示画面に進む。
【0055】
図12(a)は、正解画像の取得後に表示される画面の一例を示す図である。図8の正解画像取得前の表示画面と比較して、表示部701には正解画像が登録されていることが表示される。また、表示部702には、登録された正解画像が表示される。なお、ここで表示される正解画像は、CIS331、332で読み取った複数枚のシート画像を重畳化、平均化して生成されたものである。
ボタン703は登録した正解画像をクリアするためのボタンである。正解画像がクリアされると、図8の表示画面に戻る。
ボタン704は、正解画像追加登録ボタンである。図11において、一部の取得画像を破棄したものの、追加で正解画像候補を取得したい場合に、本ボタンを選択することで追加取得することが可能となる。ボタン704が選択されると図12(b)の表示画面に進む。
【0056】
図12(b)は、正解画像追加登録を設定する画面の一例を示す図である。
追加ページ指定ボタン1101は、追加取得するページを指定するためのボタンである。
個別ページ追加ボタン1102は、追加ページ指定ボタン1101で指定されたページを追加取得するように指示するためのボタンである。
全ページ一括追加ボタン1103は、すべてのページを一括して追加取得するように指示するためのボタンである。
【0057】
表示部1104は、個別ページ追加ボタン1102、全ページ一括追加ボタン1103で指定された追加取得ページを表示する。
追加枚数指定ボタン1105は、追加取得するように指定されたページ毎に何枚取得するのかを指定するためのボタンである。
取得開始ボタン1106は、追加取得を開始するためのボタンである。取得開始ボタン1106が選択され、指定された枚数の画像取得が完了すると、図11の表示画面に進む。
【0058】
図13は、検品の設定を行う際に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。図13の表示画面は、図8のボタン706が選択された際に表示される。
設定部1201は、検品レベルを設定するための設定部である。ユーザは、設定部1201において、検品の精度を変更することができる。検品装置109は、検品精度のレベルが高いほど、正解画像と読み取り画像のわずかな違いでも欠陥画像と判定する。
設定部1202は、検品種別を設定するための設定部である。ユーザは、設定部1202において、ユーザの検品目的に応じて検品の項目を設定することが可能である。図13の例では、位置、色合い、スジ、抜けは検品の対象とするが、濃度は検品の対象外とすることを示している。なお、本実施形態の検品種別は一例である。
【0059】
図14は、検品開始後に検品装置109の表示部241に表示される画面の一例を示す図である。図14の表示画面は、図8のボタン707が選択された際に表示される。
表示部1301には、検品装置109が最後に読み取った印刷シートの画像が表示される。
表示部1302には、表示部1301の読み取り画像と正解画像を比較した判定結果が表示される。図14の例では、正常画像と判定されたため、OKと表示されている。
ボタン1303は検品の終了を指示するためのボタンである。ボタン1303が選択された場合には、検品装置109は検品処理を終了し、図8の表示画面に戻る。
【0060】
図15は、最後に読み取った画像が欠陥画像と判定された場合の画面の一例を示す図である。
表示部1301の読み取り画像と正解画像を比較した結果欠陥画像と判定されたため、表示部1302にはNGの表示及び、NGと判定した要因や位置が表示されている。図15の例では、スジ1405が検出されたため、欠陥画像と判定されたことが示されている。
【0061】
図16は、外部コントローラ102のディスプレイ212に表示される検品ジョブの設定画面の一例を示す図である。図8図15は、検品装置109に対して検品の設定を行う際の画面例であるが、検品装置109に正解画像の印刷シート及び検品対象の印刷シートを流す指示は、外部コントローラ102から行う。
設定部1501は、ジョブの部数を設定する設定部である。図16の例では、1000部のジョブを印刷する設定がされている。
【0062】
設定部1503は、検品ジョブの排紙先を設定する設定部である。ここでは、排紙先として大容量スタッカが設定され、検品で欠陥画像と判定された場合に排紙する排紙先としてエスケープトレイが設定されている。なお、この設定以外にも、例えば検品OK時NG時の排紙を同一のトレイに設定してもよい。この場合、不図示の検品結果一覧をもとに後から手作業で検品NGの印刷シートを抜き取ることになる。又は、同一トレイに排紙する場合は、OKとNGのシートをずらして排紙させて後から抜き取り作業が楽になるように構成してもよい。
【0063】
ボタン1504、1505は検品ジョブをN部だけ印刷することを指示するボタンである。図9のボタン804で検品装置109に正解画像の登録開始を指示した後に、ボタン1504、1505で外部コントローラ102に検品ジョブをN部印刷指示すると、印刷装置107による印刷処理及び検品装置109による正解画像の読み込みが行われる。なお、本実施形態以外にも、図9のボタン804が選択されると同時に、検品装置109から通信ケーブル255、内部LAN105を介し、外部コントローラ102に対して自動で検品ジョブをN部印刷指示するように構成してもよい。また、同様に図12の正解画像追加取得時にも、取得開始ボタン1106が選択されると同時に、検品装置109から外部コントローラ102に対して特定のページを追加印刷指示するように構成されていてもよい。
【0064】
ボタン1508は検品ジョブの印刷開始を指示するためのボタンである。ボタン1508で印刷開始が指示されると、外部コントローラ102は図16の設定に基づき、検品ジョブを印刷装置107に投入する。図8のボタン707で検品装置109に検品開始を指示した後に、ボタン1508で外部コントローラ102に検品ジョブの印刷開始を指示すると、外部コントローラ102は、印刷装置107に印刷データを投入する。外部コントローラ102はさらに、印刷された印刷シートの検品装置109への搬送を指示する。検品装置109は、印刷シートが搬送されたら印刷シートの画像を読み込み、検品処理が行われる。なお、本実施形態以外にも、ボタン1508が選択されて検品ジョブの印刷開始が指示されると同時に、外部コントローラ102から検品装置109に対して検品開始指示を行うように構成されていてもよい。このとき、検品装置109から外部コントローラ102へ正解画像の登録がされているか否かを通知することで、正解画像未登録時に外部コントローラ102が印刷開始をしないように構成してもよい。
【0065】
複数の正解画像候補から差異が大きい画像を除外候補画像として検出する処理フローを図17に示す。本実施形態では正解画像の候補数は5、図17のフローの各処理は、検品装置109のCPU238が実行する。また各処理で生成されるデータはメモリ239に保存される。なお本フローは検品対象の各ページに対して行われる。
【0066】
S1601で、CPU238は、第1の正解画像候補を選択する。なお、S1601では、ユーザの指示に基づき、第1の正解画像候補を選択してもよい。
S1602で、CPU238は、選択された正解画像候補の画像データに対し解像度変換を適用する。例えば、CPU238は、1200dpiの第1の正解画像候補の画像データを300dpiの第1の低解像度解画像データへ変換する。なお低解像度への変換は正解画像候補の画像解像度が本フローの目的以上に解像度が高い場合、好ましいが必須ではない。
S1603で、CPU238は、第1の低解像度画像データから特徴部を抽出する。これは複数の正解画像候補の位置合わせを目的とするので、抽出箇所は画像の全体に分散して複数あるのが好ましい。なお画像の四隅に予め位置合わせ用の印を含んでそれを抽出してもよい。
【0067】
S1604は第2以降の低解像度画像データを第1の低解像度画像データと対象画素が一致するように変形させる処理である。CPU238は、第1の低解像度データはS1603でスキップ、つまり処理せずに第1の位置合わせ済画像データとしてメモリ239に保存する。第2以降の低解像度画像データを位置合わせ用に変形する処理は、例えば、アフィン変換でよい。そのために、CPU238は、カレントの低解像度画像の特徴部位置と第1の低解像度画像の対応する特徴部位置の対応関係からアルゴリズムによってアフィン変換のためのパラメータを得たのちに、そのパラメータを以てカレントの低解像度画像データに対してアフィン変換を適用する。CPU238は、得られた画像データを、例えば第2の位置合わせ済データとしてメモリ239に保存する。なお、本ステップの変形処理は非線形の変換を行うことによって各画像固有の歪みを補正してもよい。
【0068】
S1606で、CPU238は、S1600からS1605までの処理が全正解画像候補についてなされたか判定される。YESであれば、CPU238は、S1607に進む。
S1607で、CPU238は、第1から第5までの位置合わせ済画像の平均画像を取得する。CPU238は、各画素について画素値の平均を生成すればよい。
S1608で、CPU238は、平均画像と第1から第5までの位置合わせ済画像との差異を計算し差異が大きい画像を検出する。なお、S1608では、S1601で選択された第1の正解画像候補と第2から第4までの位置合わせ済画像との差異を計算し差異が大きい画像を検出してもよい。
【0069】
図18に具体例を示す。図18の(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)はそれぞれ第1、第2、第3、第4、第5の位置合わせ済画像の対応する一部領域の画素値を示す。ここで(a4)のグレー部のみ何らかの不良により画素値が高いものとする。S1607で各画素について画素値の平均を取得した平均画像は(b)となる。さらに平均画像(b)に対して(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)の差分をそれぞれ求めたものが(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)となる。
CPU238は、この差分の絶対値が所定の値を超えた場合に不良画素と判定する。閾値は例えば50とする。その場合、CPU238は、(c4)のグレー部を不良画素の領域と判定する。
S1608で、CPU238は、不良画素を含む(c4)に対応する第4の正解画像候補を差異の大きいものとして検出し、フローを終了する。
【0070】
ここでは不良画素が検出されたことを以て直ちに第4の正解画像候補を差異が大きい画像と判定したが、以下のようにルールを設けて微細な差分を無視するようにしてもよい。例えば、CPU238は、不良画素が単独で存在するか、又は特定数以下の領域の場合は無視する。例えば、CPU238は、不良画素の数がページ内で所定以下であれば無視する、等である。
さらに本実施形態では平均画像を一旦生成してからそれとの差異が数値化したが、必ずしも平均画像を求める必要はなく、例えば各画素のばらつきを統計的に解析して偏差が所定値以外の画素を不良画素としてもよい。
【0071】
以上説明したように、本実施形態ではS504で行ったような不良画像検出では検知が困難な不良についてもS511の処理を施し正解画像候補から不良な画像を除外することにより、より精度の高い正解画像候補のグループを得ることができる。
【0072】
(変形例1)
実施形態1では、S511で除外候補画像を検出した場合、ページ単位で除外したが、不良部分だけを実質的に除外して、正解画像候補の母数を保つ処理を説明する。
変形例1では、実施形態1で説明した図17の正解画像候補から差異が大きい画像を検出する処理の流れが異なる。変形例1の正解画像を登録する際の検品装置の処理の流れを図19に示した。以下、図19に基づいて説明する。図19の処理は、検品装置109のCPU238が実行する。
【0073】
図19においてS1601からS1608までは実施形態1の図17と同様である。以降の処理を図20の具体例を以て説明する。
図20の(c1)から(c5)までは図18で説明した差分処理結果(c1)から(c5)までを示している。つまり図20(c4)のグレー部が閾値の50を超えて不良部と判定されている。
変形例1ではここから更に、S1809として、CPU238は、(c4)以外の画像の上記不良部に相当する画像部の平均画像を計算する。つまり、CPU238は、(c1)、(c2)、(c3)、(c5)の平均画像の(d)を得る。
【0074】
次にS1810として、CPU238は、(c4)の不良部を(d)で置き換え、(c4´)を得る。(c4)を含む第4の位置合わせ済画像は、(c4´)を含む第4の位置合わせ済画像と置き換えられる。これにより第4の位置合わせ済画像は除外候補画像ではなく、5つの正解候補の位置合わせ済画像が得られる。5つの正解候補の位置合わせ済画像を重畳化、平均化したものを正解画像として使用すればよい。
なお、変形例1の検品は各被検品画像に対しS1601と同じ比率の解像度変換とS1604と同じ位置合わせを行い、正解画像と比較することにより行うものとする。
S1810の処理は、除外予定の正解画像の候補の一部分を他の画像に置き換える処理の一例である。
【0075】
変形例1によれば、正解画像候補の母数を保つことができる。
【0076】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0077】
以上、本発明の実施形態の一例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。
【0078】
以上、上述した各実施形態によれば、正解画像取得時に画像不良が発生しているかどうかを確実に判別可能とすることができる。
【符号の説明】
【0079】
101 画像形成装置
109 検品装置
238 CPU
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