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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20240415BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240415BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240415BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240415BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/613
H01M10/625
H01M50/209
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020048717
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150170
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 陽介
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-175896(JP,A)
【文献】特開2015-041605(JP,A)
【文献】特開2015-115167(JP,A)
【文献】特表2012-525676(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109509937(CN,A)
【文献】国際公開第2015/087671(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/047337(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/051393(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 50/209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びた空気通路と、前記空気通路の左右両側に設けられるとともにそれぞれに前記上下方向に並んで複数の棚部が設けられ互いに外部に対して密閉された一対の電池室と、前記電池室と前記空気通路とを仕切り前記各棚部と前記空気通路とを連通する複数の通気口が設けられた一対の仕切壁と、前記電池室および前記空気通路と前後方向に並んだ電気室と、前記電気室と前記電池室および前記空気通路とを隔離する隔壁と、が設けられた第一筐体と、
前記電池室における前記各棚部に収容された複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールを冷却するヒートシンクと、
前記空気通路の端部に設けられ、前記通気口を経由して前記各棚部内に収容された前記電池モジュールを冷却する空気流を生成するファンと、
前記ファンのケーブルを収容可能な収容室が設けられ、当該収容室と前記電池室とを隔離するダクトと、
を備えた、電池装置。
【請求項2】
前記電池モジュールは、それぞれ、複数の電池セルと、前記複数の電池セルと熱的に接続された底壁を含む第二筐体と、を有し、
前記ヒートシンクは、前記電池モジュールのそれぞれの前記底壁と熱的に接続された状態に設けられた、請求項1に記載の電池装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、前記底壁との熱交換によって前記複数の電池セルを冷却する流体が流れる流路が設けられた冷却プレートを有した、請求項2に記載の電池装置。
【請求項4】
前記仕切壁は、前記第一筐体の外壁と接合され、
前記ダクトは、前記隔壁と接合された、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池モジュールと、複数の電池モジュールを冷却する空気流を生成するファンと、を備えた電池装置が、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-175896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電池装置では、例えば、安全性と冷却性とを両立して確保できるような、より不都合の少ない新規な構成が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電池装置は、例えば、第一筐体と、電池モジュールと、ヒートシンクと、ファンと、ダクトと、備える。第一筐体には、上下方向に延びた空気通路と、空気通路の左右両側に設けられるとともにそれぞれに上下方向に並んで複数の棚部が設けられ互いに外部に対して密閉された一対の電池室と、電池室と空気通路とを仕切り各棚部と空気通路とを連通する複数の通気口が設けられた一対の仕切壁と、電池室および空気通路と前後方向に並んだ電気室と、電気室と電池室および空気通路とを隔離する隔壁と、が設けられる。複数の電池モジュールは、電池室における各棚部に収容される。ヒートシンクは、複数の電池モジュールを冷却する。ファンは、空気通路の端部に設けられ、通気口を経由して各棚部内に収容された電池モジュールを冷却する空気流を生成する。ダクトは、ファンのケーブルを収容可能な収容室が設けられ、当該収容室と電池室とを隔離する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の電池装置の例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態の電池装置の電池モジュールの例示的かつ模式的な斜視図である。
図3図3は、実施形態の電池装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、サイドカバーが取り外された状態の図である。
図4図4は、実施形態の電池装置の電池室における一部の例示的かつ模式的なYZ断面図である。
図5図5は、実施形態の電池装置の下端部における一部の例示的かつ模式的なXY断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0008】
なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0009】
[実施形態]
図1は、実施形態の電池装置1の斜視図である。図1に示されるように、電池装置1は、例えば、筐体2や、筐体2内の電池室11に収容された複数の電池モジュール3(図2参照)、筐体2内の電気室12に収容された複数の電気機器4等を備えている。本実施形態では、例えば、複数の電池モジュール3が電池室11における各棚部10(図3参照)に設置され、これら複数の電池モジュール3が直列あるいは並列に接続されることによって電池装置1が構成されている。筐体2は、第一筐体の一例である。
【0010】
電池装置1は、種々の装置や、機械、設備等に設置され、それら種々の装置や、機械、設備等の電源として使用される。例えば、電池装置1は、鉄道車両に搭載され、当該鉄道車両の電源として使用されうる。また、鉄道車両には、複数の本実施形態で示される電池装置1を、直列あるいは並列に接続したセットを搭載することもできる。電池装置1は、鉄道車両用蓄電池装置等とも称される。
【0011】
なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、筐体2の奥行方向(前後方向)に沿うとともに、電池モジュール3の幅方向(短手方向)に沿う。Y方向は、筐体2の幅方向(左右方向)に沿うとともに、電池モジュール3の長手方向に沿う。Z方向は、筐体2の高さ方向(上下方向)に沿うとともに、電池モジュール3の高さ方向に沿う。
【0012】
また、以下の説明では、便宜上、X方向は前方と称され、X方向の反対方向は後方と称され、Y方向は右方と称され、Y方向の反対方向は左方と称され、Z方向は上方と称され、Z方向の反対方向は下方と称される場合がある。
【0013】
図1に示されるように、筐体2は、Y方向に短い直方体状の箱型に構成されている。筐体2は、底壁2aや、天壁2b、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f、隔壁2g、棚壁2h(図3参照)、仕切壁2i(図4参照)等の複数の壁部を有している。前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fは、側壁や、周壁等とも称される。
【0014】
底壁2aおよび天壁2bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁2aは、筐体2の下端部を構成し、天壁2bは、筐体2の上端部を構成している。底壁2aは、下壁等とも称され、天壁2bは、上壁等とも称される。
【0015】
左壁2dおよび右壁2fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。右壁2fは、底壁2aおよび天壁2bのY方向の端部の間に亘り、左壁2dは、底壁2aおよび天壁2bのY方向の反対方向の端部の間に亘っている。左壁2dは、筐体2の左端部を構成し、右壁2fは、筐体2の右端部を構成している。
【0016】
また、左壁2dおよび右壁2fには、それぞれ、圧力開放弁5が設けられている。圧力開放弁5は、左壁2dおよび右壁2fのZ方向の上端部に配置され、筐体2内の電池室11に臨んでいる。圧力開放弁5は、電池室11内の圧力が閾値よりも高くなった場合に開放され、当該電池室11内の圧力を低下させる。
【0017】
前壁2cおよび後壁2eは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cは、底壁2aおよび天壁2bのX方向の端部の間に亘り、後壁2eは、底壁2aおよび天壁2bのX方向の反対方向の端部の間に亘っている。前壁2cは、筐体2の前端部を構成し、後壁2eは、筐体2の後端部を構成している。
【0018】
隔壁2g(図5参照)は、前壁2cと後壁2eとの間に位置され、左壁2dと右壁2fとの間および底壁2aと天壁2bとの間に亘っている。隔壁2gは、前壁2cおよび後壁2eと平行である。隔壁2gは、筐体2内をX方向に複数の空間としての電池室11および電気室12に仕切っている。また、隔壁2gは、電気室12と電池室11および後述する空気通路13(図4参照)とを隔離している。
【0019】
仕切壁2iは、いずれも、左壁2dと右壁2fとの間に位置され、上述した隔壁2gと後壁2eとの間および底壁2aと天壁2bとの間に亘っている。筐体2には、一対の仕切壁2iがY方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の仕切壁2iの間には、後述する空気通路13が設けられている。仕切壁2iは、筐体2内をY方向に複数の空間としての一対の電池室11および空気通路13に仕切っている。
【0020】
棚壁2hは、いずれも、底壁2aと天壁2bとの間に位置され、仕切壁2iと左壁2dとの間および仕切壁2iと右壁2fとの間に亘るように延びている。筐体2には、複数の棚壁2hがZ方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。棚壁2hは、電池室11内をそれぞれZ方向に複数の空間としての棚部10に仕切っている。棚壁2hは、例えば、筐体2にY方向に沿ってスライド可能、すなわち引き出し可能に支持されうる。
【0021】
また、各棚部10には、例えば、それぞれ六つの電池モジュール3(図3参照)がX方向に並んだ状態で収容されている。言い換えると、棚壁2hは、それぞれX方向に並ぶ六つの電池モジュール3を含むモジュール列を支持している。モジュール列は、モジュール群等とも称される。
【0022】
図1に示されるように、筐体2は、例えば、ベース15や、フロントカバー16、サイドカバー17,18等の複数の部品(分割体)の組み合わせによって構成されている。ベース15、フロントカバー16、およびサイドカバー17,18は、それぞれ、合成樹脂材料や金属材料等によって作られる。
【0023】
ベース15は、底壁2aや、天壁2b、後壁2e、隔壁2g、棚壁2h、仕切壁2i等を有している。フロントカバー16は、前壁2c等を有している。また、サイドカバー17は、左壁2d等を有し、サイドカバー18は、右壁2f等を有している。フロントカバー16およびサイドカバー17,18は、例えば、ベース15に対して電気室12および電池室11を外側から覆った状態で、ネジ等の結合具やクランプ材等によって結合されている。
【0024】
また、ベース15とサイドカバー17,18との間や、ベース15とフロントカバー16との間等には、それぞれ不図示のシール部材が設けられている。シール部材は、例えば、電池室11や電気室12の縁部に沿った枠状のパッキン(ガスケット)等である。シール部材によって、電池室11や電気室12の周囲から気体や液体等が漏れるのが抑制される。言い換えると、電池室11および電気室12は、それぞれ筐体2の外部に対して密閉されている。
【0025】
図2は、電池装置1の電池モジュール3の斜視図である。図2に示されるように、電池モジュール3は、例えば、筐体7や、筐体7内に収容された複数の電池セル6、複数の電池セル6とバスバー等を介して電気的に接続された出力端子部8等を有している。複数の電池セル6の電力、すなわち電池モジュール3の電力は、出力端子部8と電気的に接続されたケーブル9を介して、外部に取り出される。筐体7は、第二筐体の一例である。
【0026】
電池セル6は、例えば、リチウムイオン二次電池等で構成されうる。なお、電池セル6は、ニッケル水素電池や、ニッケルカドミウム電池等、他の二次電池であってもよい。リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種であり、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。電池セル6は、所謂角型缶タイプのものであり、缶セル等とも称される。
【0027】
複数の電池セル6は、例えば、筐体7内に縦置きの姿勢、言い換えるとそれぞれの端子面がZ方向を向いた姿勢で収容されている。また、複数の電池セル6は、例えば、筐体7内において、X方向やY方向に複数列に並べられている。
【0028】
筐体7は、例えば、X方向に短い直方体状の箱型に構成されている。筐体7は、底壁7aや、天壁7b、一対の端壁7c,7e、一対の側壁7d,7f等の複数の壁部を有している。底壁7aは、下壁等とも称され、天壁7bは、上壁等とも称される。また、端壁7c,7eおよび側壁7d,7fは、周壁等とも称される。
【0029】
底壁7aおよび天壁7bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁7aは、筐体7の下端部を構成し、天壁7bは、筐体7の上端部を構成している。底壁7aは、電池セル6のそれぞれの下面を支持し、当該下面と直接的にまたは熱伝導グリス等を介して間接的に熱的に接続されている。
【0030】
一対の端壁7c,7eは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。端壁7eは、筐体7のY方向の端部を構成し、端壁7cは、筐体7のY方向の反対方向の端部を構成している。端壁7c,7eは、電池セル6のそれぞれの短側面または長側面を覆っている。
【0031】
一対の側壁7d,7fは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。側壁7fは、筐体7のX方向の端部を構成し、側壁7dは、筐体7のX方向の反対方向の端部を構成している。側壁7d,7fは、電池セル6のそれぞれの長側面または短側面を覆っている。
【0032】
また、筐体7は、例えば、ケース25や、トップカバー26等の複数の部品(分割体)の組み合わせによって構成されている。ケース25およびトップカバー26は、それぞれ、合成樹脂材料や金属材料等によって作られる。
【0033】
ケース25は、例えば、底壁7aや、一対の端壁7c,7e、一対の側壁7d,7f等を有している。また、トップカバー26は、例えば、天壁7b等を有している。トップカバー26は、ケース25に対して電池セル6の収容室をZ方向から覆った状態で、ネジ等の結合具28やスナップフィット等によって結合されている。
【0034】
図3は、電池装置1の一部の側面図であって、サイドカバー17が取り外された状態の図である。図3に示されるように、筐体2の電池室11における各棚部10には、それぞれヒートシンク20が設けられている。ヒートシンク20は、例えば、冷却プレート21と、接続配管22と、を有している。
【0035】
冷却プレート21は、例えば、筐体2の棚壁2hに沿って延びた四角形状の板状に構成されている。冷却プレート21は、各棚部10内において、棚壁2hとX方向に並んだ六つの電池モジュール3を含むモジュール列との間に介在されている。言い換えると、冷却プレート21は、電池モジュール3のそれぞれの底壁7aと熱的に接続された状態に設けられている。
【0036】
冷却プレート21の内部には、電池モジュール3を冷却する冷却水等の流体が流れる流路が設けられている。流路は、接続配管22と接続されるとともに、複数の電池モジュール3と熱交換が行われるように冷却プレート21の内部をX方向およびY方向に蛇行しながら延びている。本実施形態では、例えば、複数の接続配管22によって、Z方向に並んだ複数の冷却プレート21の各流路が、直列や、並列、あるいは直列と並列との組み合わせ等によって接続されている。
【0037】
また、冷却プレート21と電池モジュール3の底壁7aとの間には、それぞれ、不図示の熱伝導層が設けられている。熱伝導層は、例えば、熱伝導グリスや、熱伝導シート等である。熱伝導層によって、冷却プレート21と底壁7aとの間の熱伝達性が向上し、ひいてはヒートシンク20による底壁7a、すなわち複数の電池セル6の冷却効果をより高めることができる。
【0038】
図4は、電池装置1の電池室11における一部のYZ断面図である。図4に示されるように、電池室11のY方向の略中央部には、Z方向に沿って延びる空気通路13が設けられている。空気通路13は、上述した一対の仕切壁2iの間に設けられており、各棚部10とY方向に並んでいる。
【0039】
空気通路13のZ方向の上端部は、筐体2の天壁2bに臨んでいる。一方、空気通路13の下端部は、後述するファン30(図5参照)に臨んでいる。本実施形態では、例えば、溶接等によって仕切壁2iの上端部が天壁2bと接合されるとともに、仕切壁2iの下端部が底壁2aもしくは最も下段の棚壁2hと接合されている。下端部は、端部の一例であり、天壁2bは、外壁の一例である。
【0040】
また、仕切壁2iには、それぞれ複数の通気口2kが設けられている。通気口2kは、仕切壁2iをY方向に貫通した貫通孔であり、空気通路13と電池室11の各棚部10とを連通している。通気口2kは、例えば、X方向に並んだ六つの電池モジュール3を含むモジュール列と重なるようにX方向に細長く延びている。
【0041】
本実施形態では、例えば、ファン30から吐出された空気流Wは、左壁2dおよび右壁2fと棚壁2hとの間の隙間14を経由して、電池室11の各棚部10へと供給される。そして、空気流Wは、各棚部10内をY方向に横断するように通過し、通気口2kから空気通路13を経由してファン30へと戻る。
【0042】
ここで、各棚部10の空間には、電池モジュール3の筐体7のうちヒートシンク20と面した底壁7a以外の天壁7bや、端壁7c,7e、側壁7d,7f等が面している。よって、空気流Wは、各棚部10を通過する過程で底壁7a以外の天壁7bや、端壁7c,7e、側壁7d,7f等と熱交換を行うことによって、電池モジュール3の冷却効果をより高めることができる。
【0043】
このように、本実施形態では、電池室11内を循環(旋回)するように流れる空気流Wによる冷却とヒートシンク20による冷却とによって、一対の電池室11のそれぞれに収容された複数の電池モジュール3の温度上昇をより効果的に抑制できるよう構成されている。
【0044】
図5は、電池装置1の下端部における一部のXY断面図である。図5に示されるように、上述した空気通路13の下端部には、ファン30が接続されている。本実施形態では、例えば、筐体2には、X方向に並んで複数のファン30が設けられている。複数のファン30は、それぞれ、空気通路13と面している。
【0045】
ファン30は、例えば、Z方向に沿って延びる回転中心Ax回りに回転可能な遠心ファンまたは軸流ファンである。ファン30は、環状開口内のブレードの回転中心Ax回りの回転により、上述した電池室11内を循環(旋回)するように流れる空気流Wを生成する。ファン30のY方向に沿った幅は、空気通路13すなわち一対の仕切壁2iの間の間隔と略同じか僅かに狭い。言い換えると、ファン30は、一対の仕切壁2iの間に収容されうる。
【0046】
また、ファン30のY方向には、ダクト40が隣接して設けられている。ダクト40は、X方向に沿って延びており、筐体2の隔壁2gと接合されている。ダクト40の内部には、ファン30のケーブル等を収容可能な収容室41が設けられている。ファン30のケーブルは、収容室41から隔壁2gに設けられた不図示の貫通孔を経由して、電気室12内の電気機器4等と接続されている。
【0047】
なお、ファン30やダクト40等は、例えば、筐体2の底壁2aと最も下段の棚壁2hとの間のスペース等に収容されうる。ファン30は、棚壁2hからZ方向に露出するとともに一対の仕切壁2iによってY方向の両側から覆われた状態に設けられうる。ダクト40は、棚壁2hからZ方向に露出する天壁等を有し、当該天壁が電池室11と収容室41とを隔離している。
【0048】
以上のように、本実施形態では、電池装置1は、それぞれにZ方向に並んで複数の棚部10が設けられ互いに外部に対して密閉された一対の電池室11と、電池室11と空気通路13とを仕切り各棚部10と空気通路13とを連通する複数の通気口2kが設けられた一対の仕切壁2iと、電池室11および空気通路13とX方向に並んだ電気室12と、電気室12と電池室11および空気通路13とを隔離する隔壁2gと、が設けられた筐体2(第一筐体)と、電池室11における各棚部10に収容された複数の電池モジュール3と、複数の電池モジュール3を冷却するヒートシンク20と、空気通路13の下端部(端部)に設けられ、通気口2kを経由して各棚部10内に収容された電池モジュール3を冷却する空気流Wを生成するファン30と、ファン30のケーブルを収容可能な収容室41が設けられ、当該収容室41と電池室11とを隔離するダクト40と、を備える。
【0049】
このような構成によれば、例えば、筐体2内において、複数の電池モジュール3を電気室12に収容される電気機器4やダクト40に収容されるファン30のケーブル等に対して隔離することができるため、電池装置1の安全性がより高まりやすい。また、例えば、ヒートシンク20による冷却とファン30の空気流Wによる冷却とによって、一対の電池室11に配置された複数の電池モジュール3の温度上昇をより効果的に抑制することができる。よって、例えば、従来では背反であった安全性と冷却性とを両立して確保できる電池装置1を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態では、電池モジュール3は、それぞれ、複数の電池セル6と、複数の電池セル6と熱的に接続された底壁7aを含む筐体7(第二筐体)と、を有し、ヒートシンク20は、電池モジュール3のそれぞれの底壁7aと熱的に接続された状態に設けられている。
【0051】
このような構成によれば、例えば、ヒートシンク20と電池モジュール3のそれぞれの底壁7aとの熱交換によって、複数の電池セル6をより効率的に冷却することができる。また、例えば、ファン30からの空気流Wによって、電池モジュール3の底壁7a以外の天壁7bや、端壁7c,7e、側壁7d,7f等を冷却することによって、複数の電池セル6の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、ヒートシンク20は、底壁7aとの熱交換によって複数の電池セル6を冷却する流体が流れる流路が設けられた冷却プレート21を有している。
【0053】
このような構成によれば、例えば、冷却プレート21による水冷式もしくは液冷式のヒートシンク20によって、複数の電池モジュール3の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、仕切壁2iは、筐体2の天壁2b(外壁)と接合され、ダクト40は、隔壁2gと接合されている。
【0055】
このような構成によれば、例えば、仕切壁2iおよび隔壁2gによって、筐体2の剛性や強度を高めることができ、ひいては筐体2内に複数の電池モジュール3が高密度に配置された場合にも耐久性や安全性を確保することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…電池装置、2…筐体(第一筐体)、2b…天壁(外壁)、2g…隔壁、2i…仕切壁、2k…通気口、3…電池モジュール、6…電池セル、7…筐体(第二筐体)、7a…底壁、10…棚部、11…電池室、12…電気室、13…空気通路、20…ヒートシンク、21…冷却プレート、30…ファン、40…ダクト、41…収容室、W…空気流、X…前後方向、Y…左右方向、Z…上下方向。
図1
図2
図3
図4
図5