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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240415BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020087090
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182686
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】添田 幸寛
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-281549(JP,A)
【文献】特開2002-361989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04 - 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読取る画像読取装置であって、
シートを搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、シートを搬送する第2搬送手段と、
前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段との間に配置され、シート搬送路の一方側を形成する第1搬送ガイドと、
前記第1搬送ガイドに対向して前記シート搬送路の他方側を形成する対向位置と、前記対向位置から退避した退避位置と、に移動可能な第2搬送ガイドと、
前記第1搬送ガイドに対向しかつ前記シート搬送方向と直交する幅方向に移動可能に配置され、シートの画像情報を読取る画像読取手段と、を備え、
前記画像読取手段が前記幅方向に移動してシートの画像情報を読取る際に、前記第2搬送ガイドが前記退避位置に移動する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取手段は、前記幅方向において前記シート搬送路よりも外側にある外位置に移動可能であり、
前記画像読取手段が前記外位置にある際に、前記第2搬送ガイドが前記対向位置に移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2搬送ガイドは、前記第1搬送手段により少なくともシートが前記画像読取手段がシートの画像情報を読取る位置に搬送されるまで前記対向位置に位置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取手段は、シートの画像情報の色を読取るカラーセンサである、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取手段は、前記画像読取手段がシートの画像情報を読取る位置において、前記幅方向の一方に移動しつつシートの画像情報を読取った後、前記幅方向の他方に移動しつつシートの画像情報を読取る、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取手段は、シートの全域にある画像情報を読取ることが可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2搬送ガイドは、
前記シート搬送方向において前記画像読取手段が前記幅方向に移動する位置よりも上流側に配置された上流回転軸を支点として、シートをガイド可能な上流ガイド面を前記対向位置と前記退避位置とに回転させて移動可能な上流回転ガイド部材と、
前記シート搬送方向において前記画像読取手段が前記幅方向に移動する位置よりも下流側に配置された下流回転軸を支点として、シートをガイド可能な下流ガイド面を前記対向位置と前記退避位置とに回転させて移動可能な下流回転ガイド部材と、により構成された、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第2搬送ガイドは、シートをガイド可能な上流ガイド面を前記対向位置と前記退避位置とに平行に移動可能な平行移動ガイド部材により構成された、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置と、
前記画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読取る請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像読取装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記画像読取装置によって読取られた画像情報に基づいて、シートに形成する画像を補正する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの画像を読取る画像読取装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置でシートに画像を形成した後、そのシートの画像情報を画像読取装置で読取り、次に画像形成装置で画像を形成する際の画像の調整(特に色味調整)を行う画像形成システムが提案されている(特許文献1,2参照)。これら特許文献1,2のものでは、シートに形成されたパッチ像をカラーセンサによって検出してプロファイルを作成し、そのプロファイルに基づき色味調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-54324号公報
【文献】特開2009-53346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のものは、カラーセンサが固定されているため、主走査方向(シート幅方向)で位置が合ったパッチ像しか読取ることができない。即ち、1枚のシートで多くのパッチ像を読取るためや、主走査方向で濃度の均一性を判定するためにも、カラーセンサを主走査方向に多数並べて配置する必要がある。しかしながら、カラーセンサが安価ではないため、製品コストが高くなってしまうという問題がある。
【0005】
そのため、上記特許文献2のように、カラーセンサを主走査方向に移動させる方式を採用することが考えられる。しかしながら、カラーセンサが主走査方向であるシート幅方向に移動させる場合、シート搬送路を形成するガイド部材が邪魔となるが、ガイド部材が無いとシートのジャムが発生する可能性が高くなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、画像読取手段が幅方向に移動してシートの画像情報を読取り可能でありながら、シートのジャムが発生する可能性を低減することが可能な画像読取装置、及び画像形成システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートに画像を形成する画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読取る画像読取装置であって、シートを搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、シートを搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段及び前記第2搬送手段との間に配置され、シート搬送路の一方側を形成する第1搬送ガイドと、前記第1搬送ガイドに対向して前記シート搬送路の他方側を形成する対向位置と、前記対向位置から退避した退避位置と、に移動可能な第2搬送ガイドと、前記第1搬送ガイドに対向しかつ前記シート搬送方向と直交する幅方向に移動可能に配置され、シートの画像情報を読取る画像読取手段と、を備え、前記画像読取手段が前記幅方向に移動してシートの画像情報を読取る際に、前記第2搬送ガイドが前記退避位置に移動する、ことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、画像読取手段が幅方向に移動してシートの画像情報を読取り可能でありながら、シートのジャムが発生する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る画像形成システムの概略図。
図2】第1の実施の形態に係る調整ユニットの概略図。
図3】カラーセンサの構造を示す模式図。
図4】画像形成システムの制御構成を示すブロック図。
図5】ICCプロファイルを説明する図。
図6】カラーマネージメント環境を示す概略図。
図7】カラーセンサ及び移動ユニットの一部を示す斜視図。
図8】移動ユニットを示す斜視図。
図9】第1の実施の形態に係るガイドシャッタ装置と搬送ユニットとカラーセンサとを示す斜視図。
図10】ガイドシャッタ装置の駆動系と搬送ユニットの駆動系とを示す拡大斜視図。
図11】ガイドシャッタ装置と搬送ユニットとカラーセンサと冷却ファンとの位置関係を示す斜視図。
図12】(a)は第1の実施の形態に係るガイドシャッタ装置の上流ガイドシャッタと下流ガイドシャッタとがシート搬送路を形成している状態を示す側方視図。(b)は第1の実施の形態に係るガイドシャッタ装置の上流ガイドシャッタと下流ガイドシャッタとがシート搬送路から退避している状態を示す側方視図。
図13】(a)カラーセンサが読取り前の位置である状態を示す図。(b)はカラーセンサがパッチのP1の行を読取り開始する状態を示す図。(c)はカラーセンサがパッチのP1の行の読取りを終了した状態を示す図。(d)はカラーセンサがパッチのP2の行を読取り開始する状態を示す図。(e)カラーセンサがパッチのP1の行を再度読取りする状態を示す図。
図14】(a)は第2の実施の形態に係るガイドシャッタ装置の可動ガイドシャッタがシート搬送路を形成している状態を示す側方視図。(b)は第2の実施の形態に係るガイドシャッタ装置の可動ガイドシャッタがシート搬送路から退避している状態を示す側方視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施の形態に係る画像読取装置乃至画像形成システムについて、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本技術の適用範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
<第1の実施の形態>
[画像形成システムの概略構成]
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成システム100Sを示す概略図である。画像形成システム100Sは、画像形成装置100と、調整ユニット400と、フィニッシャ800とを備えている。本実施の形態では、画像形成装置として、電子写真方式のレーザービームプリンタである画像形成装置100を例に説明をするが、これに限らず、画像形成装置は、インクジェット式のプリンタや、昇華型のプリンタであってもよい。また、調整ユニット400は、本実施の形態の画像読取装置である。
【0012】
画像形成装置100の筐体101には、画像形成エンジン102と、画像形成システム100Sの動作を制御するプリンタコントローラ103(図3参照)を収容する制御ボード収納部(不図示)と、が搭載されている。画像形成部としての画像形成エンジン102は、画像形成プロセスにより記録材に画像を形成する光学処理機構10及び定着処理機構20と、記録材として用いられる矩形状のシート1の給送及び搬送を行う給送処理機構30及び搬送処理機構40と、を含む。記録材としては、普通紙や厚紙等の紙、コート紙やエンボス紙等の表面処理が施された紙、プラスチックフィルム、布等のシートが使用可能である。
【0013】
光学処理機構10は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各色のトナー像を形成するステーション120,121,122,123と、中間転写ベルト106とを備えている。各ステーション120~123では、ドラム状の感光体である感光ドラム105の表面を一次帯電器111が帯電させる。レーザスキャナ部107は、画像データに基づいて生成されレーザスキャナ部107に送信される指令信号に基づいて感光ドラム105の露光処理を行う。レーザスキャナ部107は、不図示の半導体レーザから放射されるレーザ光をオン、オフに駆動するレーザドライバを有する。レーザスキャナ部107は、半導体レーザからのレーザ光を回転多面鏡により主走査方向(シートの幅方向)に振り分けつつ反射ミラー109を介して感光ドラム105に導く。これにより、感光ドラム105の表面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0014】
現像器112は、トナーを含む現像剤を内部に収容し、帯電したトナー粒子を感光ドラム105に供給する。表面電位分布に応じてトナー粒子がドラム表面に付着することにより、感光ドラム105に担持された静電潜像はトナー像として可視化される。感光ドラム105に担持されたトナー像は、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される中間転写ベルト106に転写(一次転写)される。カラー画像を形成する場合、4つのステーション120~123によって形成されたトナー像が中間転写ベルト106の上で互いに重なるように多重転写されることで、ベルト上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0015】
一方、給送処理機構30は、画像形成装置100の筐体101に対して引出可能に挿入されたシート収納庫113から転写ローラ114へ向けて1枚ずつシート1を給送する。中間転写体である中間転写ベルト106に担持されたトナー像は、転写ローラ114によってシート1に転写(二次転写)される。
【0016】
中間転写ベルト106の周りには、画像形成を行う際の印字開始位置を決めるための画像形成開始位置検出センサ115、シート1の給送タイミングを図るための給送タイミングセンサ116、及び濃度センサ117が配置されている。濃度センサ117は、中間転写ベルト106に担持されたテスト用のパッチ画像の濃度を測定する。プリンタコントローラ103は、濃度センサ117の検知結果に基づいて光学処理機構10の動作条件(例えば、一次帯電器111の帯電目標電位や現像器112のバイアス電圧の設定)を調整する。
【0017】
本実施の形態の定着処理機構20は、第1定着器150及び第2定着器160によって構成されている。第1定着器150は、シート1に熱を加えるための定着ローラ151、シート1を定着ローラ151に圧接させるための加圧ベルト152、及び第1定着器150による定着処理の完了を検知する第1定着後センサ153を含む。定着ローラ151は中空ローラであり、内部にヒータを有する。第1定着器150は、回転体対である定着ローラ151及び加圧ベルト152によってシート1を挟持して搬送しながら、シート上のトナー像に熱及び圧力を加える。これによりトナー粒子が溶融し、その後固着することで、シート1に画像が定着する。
【0018】
第2定着器160は、第1定着器150よりもシート1の搬送経路における下流側に配置されている。第2定着器160は、第1定着器150による定着処理が施された画像の光沢度を高めたり、シート1に対する画像の定着性を確保したりする機能を有する。第2定着器160は、第1定着器150同様に、シート1を搬送しながら加熱及び加圧する回転体対としての定着ローラ161及び加圧ローラ162と、第2定着器160による定着処理の完了を検知する第2定着後センサ163とを有している。
【0019】
なお、シート1の種類によっては第2定着器160を通す必要が無い場合がある。画像形成装置100は、このような場合に、エネルギー消費量低減の目的で第2定着器160を経由せずシート1を排出するための迂回搬送路130を有している。第1定着器150から送り出されたシート1は、第1切替フラッパ131によって第2定着器160又は迂回搬送路130のいずれかに誘導される。
【0020】
第2定着器160又は迂回搬送路130を通過したシート1は、第2切替フラッパ132によって排出搬送路139又は反転搬送路135のいずれかに誘導される。反転搬送路135に搬入されたシート1は、反転センサ137によってシート1の位置を検出され、反転部136が行うスイッチバック動作によって副走査方向(シートの搬送される方向)の下流端(先端)と上流端(後端)とが入れ替えられる。両面印刷の場合、表面に画像が形成されたシート1は、反転部136によって先後端を入れ替えられた状態で、第3切替フラップ133によって再搬送路138を介して再び転写ローラ114へ向けて搬送され、表面とは反対の裏面に画像を形成される。
【0021】
片面印刷の画像形成が終了したシート1又は両面印刷における裏面の画像形成が終了したシート1は、排出搬送路139に設けられた排出ローラ139a(排出部)によって画像形成装置100の外部に排出される。なお、反転搬送路135と排出搬送路139の間には、反転部136によってスイッチバックしたシート1を排出搬送路139へ向けて誘導可能な第4切替フラッパ134が設けられ、画像形成装置から排出される際のシート1の表裏を選択可能に構成されている。なお、画像形成装置100の上部には、原稿から画像情報を読取る画像読取装置190が設置されている。
【0022】
[調整ユニットの概略構成]
次に、本実施の形態の画像読取装置であり、画像形成装置100から排出されたシートの画像情報を読取る調整ユニット400の概略構成について説明する。画像形成装置の画像品質(以下画質と呼ぶ)には、粒状性、面内一様性、文字品位、色再現性(色安定性を含む)などがあるが、最も重要なのは色再現性であると言われる。人間は経験に基づいた期待する色(特に人肌、青空、金属など)についての記憶があり、その許容範囲を超えると違和感を覚えてしまう。これらの色は記憶色と呼ばれ、写真などを出力する際にその再現性を問われることが多い。また、記憶色に限らず文書においても、モニタとの色の差に違和感を覚えてしまうオフィスユーザ層、CG画像の色再現性を追求するグラフィックアーツユーザ層など、画像形成装置に対する色再現性(安定性を含む)の要求度が増している。
【0023】
本実施の形態の画像形成システム100Sでは、画像形成装置100がシートに画像を形成する際に、プロファイルに基づき色味調整を行う。具体的には、画像形成システム100Sは、色味調整を行う際、まず画像形成装置100によって、シート1にパッチ520(図4参照)を形成する。その後、調整ユニット400は、シート1のパッチ520を読取って測色し、画像情報としての測色結果を画像形成装置100へ送信(フィードバック)する。画像形成装置100は、調整ユニット400から受け取った測色結果に基づいてプロファイルを作成し、それに基づきシート1にジョブの画像を形成する際における色味調整を行う。本実施の形態の画像形成システム100Sは、このような色味調整を行うことにより、画質を向上させることができる。
【0024】
このような本実施の形態の画像形成システム100Sにおいて、調整ユニット400は、水平方向(図1の左右方向)における画像形成装置100とフィニッシャ800との間に設置されている。即ち、本実施の形態における調整ユニット400の上流装置は画像形成装置100であり、調整ユニット400の下流装置はフィニッシャ800である。フィニッシャ800は、シートの余白の裁断処理、綴じ処理及びサドル処理等の処理を施す処理部801を有し、処理を施したシート又はシート束を(処理が不要な場合は上流装置から受け取ったシートを)画像形成システム100Sの成果物として排出する。
【0025】
なお、調整ユニット400の上流装置及び下流装置は画像形成システム100Sの構成によって変化する。例えば、調整ユニット400は画像形成装置100に直接的に接続されるとは限らず、画像形成装置100と調整ユニット400との間に中間ユニットが配置され、中間ユニットから調整ユニット400がシートを受け取る構成としてもよい。中間ユニットの例としては、画像形成されたシートの画像面に透明なトナーを付着させて光沢を付与するコーティング処理を行う装置が挙げられる。また、調整ユニット400の下流側にフィニッシャ800以外のシート処理装置が連結される場合がある。このようなシート処理装置の例としては、シート束に表紙となるシートを差し込むインサーター、大量の成果物を収容した状態で台車によって移動可能なスタッカーが挙げられる。
【0026】
図2に示すように、調整ユニット400は、画像形成装置100から排出されたシートを調整ユニット400の内部に受け入れる受入口441と、シートをフィニッシャ800(図1参照)に向けて排出する第1排出口(排出口)442と、を備える。また、調整ユニット400は、受入口441と第1排出口442とを略水平方向に沿って直線状に接続するように形成されたスルーパス431と、スルーパス431の途中から分岐して上方に向けて形成された排出パス432と、を備えている。また調整ユニット400は、受入口441から受け入れたシートを排出パス432を介して装置外へ排出する第2排出口443と、調整ユニット400の上部に設けられ、第2排出口443から排出されたシートが積載される排出トレイ423と、を備えている。
【0027】
スルーパス431上には、受入口441から受け入れたシートを搬送する搬送ローラ対401,402,403,404が設けられており、シートを第1排出口442からフィニッシャ800に向けて搬送する。また、排出パス432とスルーパス431との分岐部には、スルーパス431の上流部を搬送されたシートの搬送経路を、スルーパス431の下流部と排出パス432との間で切替可能な案内部材である切替フラッパ422が配置されている。また、排出パス432には、シートを搬送する搬送ローラ対405,406,407,408が設けられており、シートを第2排出口443から排出トレイ423に向けて搬送する。
【0028】
また、排出パス432に沿って、第1搬送手段としてシート搬送方向の上流側にある搬送ローラ対406と、第2搬送手段としてシート搬送方向の下流側にある搬送ローラ対407との間には、測色ユニット500が配置されている。測色ユニット500には、詳しくは後述するように、シート搬送方向と直交する幅方向に移動可能で、読取部501Sでシートの画像情報を読取り可能な画像読取手段としてのカラーセンサ501が備えられている。
【0029】
図3に示すように、カラーセンサ501は、シート1上に形成された画像情報としてのトナーのパッチ520に光を照射する白色LED507と、パッチ520から反射した光を波長ごとに分光する回折格子502とが備えられている。また、カラーセンサ501には、白色LED507から照射された光をシート1上のパッチ520に集光し、またパッチ520から反射した光を回折格子に集光するレンズ506が内蔵されている。また、カラーセンサ501には、回折格子502により波長ごとに分解された光を検出するn画素から成るラインセンサ503(503-1~503-n)が備えられている。そして、カラーセンサ501には、ラインセンサ503により検出された各画素の光強度値から各種演算を行う演算部504と、各種データを保存するメモリ505と、が内蔵されている。演算部504は、例えば、光強度値から分光演算する分光演算部やLab値を演算するLab演算部などを有する。
【0030】
[画像形成システムの制御構成]
図4に示すように、画像形成装置100は、画像形成システム100S(図1参照)の動作を統括制御する制御手段としてのプリンタコントローラ103と、画像形成エンジン102(図1参照)を制御するエンジン制御部312と、を備えている。プリンタコントローラ103は、少なくとも1つのプロセッサとメモリとが実装された制御ボードである。
【0031】
エンジン制御部312は、プリンタコントローラ103からの指令信号等に基づいて、画像形成エンジン102に上述の画像形成プロセスを行わせてシートに画像を形成させる。例えば、エンジン制御部312は、第1定着後センサ153、第2定着後センサ163及び反転センサ137の検知信号に基づいて、シートを搬送するローラを駆動する搬送モータ311、第1切替フラッパ131及び第2切替フラッパ132の動作を制御する。
【0032】
画像形成装置100には、画像形成システム100Sのユーザインタフェースとなる操作部180が設けられている(図1参照)。操作部180は、ユーザに対して情報を表示する表示手段としてのディスプレイを備えている。また、操作部180は、ユーザが画像形成システム100Sに対して指令やデータを入力可能な入力手段として、例えば、テンキー及び印刷実行ボタン等の物理キーや、ディスプレイのタッチパネル機能を備えている。操作部180の操作により、ユーザは、あるシート収納庫113(図1参照)にセットされているシートの名称、坪量及び表面処理の有無等のシート属性を表す情報をプリンタコントローラ103に入力することができる。
【0033】
プリンタコントローラ103は、外部インタフェース(I/F)308を介して外部の有線又は無線通信網に接続され、外部のコンピュータ(不図示)との間で通信可能である。また、プリンタコントローラ103は、画像形成装置100に接続されて画像形成システム100Sを構成する装置(本実施の形態では、調整ユニット400及びフィニッシャ800)の制御回路とも接続される。プリンタコントローラ103は、これらの装置と通信を行って、画像形成装置100及び各装置の動作を協調させる。
【0034】
調整ユニット400には、制御手段としての制御部451と、この制御部451と上記プリンタコントローラ103との間の友進を制御する通信部450と、が備えられている。また、制御部451には、搬送ローラ対401,402,403,404,405,406,407,408を駆動する搬送モータ452が接続され、制御部451によって搬送モータ452の駆動が制御されることでシートの搬送が制御される。また、制御部451には、搬送パスセンサ421が接続されており、シートが排出パス432に搬送されたことを検出可能となっている。
【0035】
さらに、制御部451には、フラッパ切替モータ424が接続されており、制御部451によってフラッパ切替モータ424の駆動を制御することで、切替フラッパ422の切替を制御する。つまりシートをそのままスルーパス431で搬送するか、排出パス432に搬送するかを切替える。また、制御部451には、詳しくは後述する移動モータ571及び位置検知センサ545と、シャッタモータ610と、上述したカラーセンサ501とが接続されている。
【0036】
[画像形成の色味調整について]
ここで、カラーセンサ51によりシート1のパッチ520を測色した際における、画像形成の色味調整(フィードバックする構成)について詳細に説明する。即ち、本実施の形態における画像形成装置100における、プロファイルを作成し、そのプロファイルを用いて画像を出力するための制御の流れを説明する。優れた色再現性を実現するプロファイルとして、ここでは近年市場で受け入れられているICC(International Color Consortium)プロファイルを用いることとする。なお、本実施の形態では、ICCプロファイルを用いるものを説明するが、これに限定されるものではない。ICCプロファイル以外にも、Adobe社が提唱したPostScriptのレベル2から採用されているCRD(Color Rendering Dictionary)やPhotoshop内の色分解テーブルを用いることができる。また、墨版情報を維持するEFI社のColorWise内CMYKシミュレーションなども用いることができる。
【0037】
本実施の形態に係る調整ユニット400は、上述した読取手段としての分光反射率を測定できるカラーセンサ501を内蔵している。分光反射率を測定でき、色度に変換して色変換プロファイルを自ら作成する。そして、内部変換色処理を作成した色変換プロファイルを用いて行う。
【0038】
(カラーセンサの測定、色度の演算)
ここで、色度の算出式について説明する。分光センサで測色され入力される信号は、白色LEDから照射された光が測定対象物にあたり、反射された光が回折格子で分光され、380nm~720nmの各波長領域に配置されたCMOSセンサ上で検出される分光反射率になる。本実施の形態では検出演算精度向上を図るためCIEの規定通り、分光反射率から等色関数などを介してL*a*b*に変換する。そして、L*a*b*に変換されたパッチ情報と、パッチの信号値との関係を求め、色変換プロファイルであるICCプロファイルを作成する。
【0039】
(L*a*b*演算)
以下は、分光反射率から色度値(L*a*b*)を算出する方法である(ISO13655で規定)。
a.試料の分光反射率R(λ)を求める(380nm~780nm)
b.等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)と標準光分光分布SD50(λ)(※1)を用意
なお、等色関数はJIS Z8701、SD50(λ)はJIS Z8720で規定され補助標準イルミナントD50とも呼ばれる。
c.R(λ)×SD50(λ)×x(λ)、R(λ)×SD50(λ)×y(λ)、R(λ)×SD50(λ)×z(λ)
d.各波長積算 Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
e.等色関数y(λ)と標準光分光分布SD50(λ)の積を各波長積算
Σ{SD50(λ)×y(λ)}
f.XYZ算出
X=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
Y=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
Z=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
g.L*a*b*算出
L*=116×(Y/Yn)^(1/3)-16
a*=500{(X/Xn)^(1/3)-(Y/Yn)^(1/3)}
b*=200{(Y/Yn)^(1/3)-(Z/Zn)^(1/3)}
Y/Yn>0.008856のとき
Xn、Yn、Znは標準光三刺激値
(X/Xn)^(1/3)=7.78(X/Xn)^(1/3)+16/116
(Y/Yn)^(1/3)=7.78(Y/Yn)^(1/3)+16/116
(Z/Zn)^(1/3)=7.78(Z/Zn)^(1/3)+16/116
【0040】
(プロファイル作成処理)
カスタマエンジニアによる部品交換時や、カラーマッチング精度が要求されるJOBの前、さらには、デザイン構想段階などで最終出力物の色味が知りたい時などには、ユーザが操作部180を操作してカラープロファイルの作成処理が行われる。
【0041】
プロファイルの作成処理は、図4の制御ブロック図に示すプリンタコントローラ103において行われる。まず、プロファイル作成の指示は、操作部180を介してプロファイル作成部301に入力される。プロファイル作成部301はISO12642テストフォームのCMYK(Cyan Magenta Yellow Black)カラーチャートを、プロファイルを介さずに出力するようエンジン制御部312に信号を送る。また同時に、制御部451に測色指令を送る。
【0042】
画像形成装置100では、帯電、露光、現像、転写、定着といったプロセスによって、シート1にはISO12642テストフォーム(パッチ520)が転写・定着され、そのシート1が調整ユニット400に搬送され、カラーセンサ501にて測色される。測色されたパッチ520の分光反射率データは、プリンタコントローラ103に入力され、Lab演算部303でL*a*b*データに変換され、カラーセンサ用入力ICCプロファイル格納部304に格納され、プロファイル作成部301に入力される。なお、L*a*b*ではない機器に依存しない色空間信号であるCIE1931XYZ表色系へ変換してもよい。
【0043】
さらにプロファイル作成部301は、出力させたCMYK信号と入力されたL*a*b*データとの関係により、出力ICCプロファイルを作成し、出力ICCプロファイル格納部305に格納されている出力ICCプロファイルと入れ替える。ISO12642テストフォームは、一般的な複写機が出力可能な色再現域を網羅するCMYK色信号パッチを含んでおり、それぞれの色信号値と測色したL*a*b*値との関係から色変換表を作成する。つまりCMYK→Labの変換表(A2Bxタグ)が作成される。この変換表をもとにして、逆変換表(B2Axタグ)が作成される。
【0044】
ICCプロファイルは、図5に示す構造になっており、ヘッダー、タグとそのデータからなる。タグには上記色変換テーブルだけでなく、白色点(Wtpt)やプロファイル内部で定義されているLab値によって表現される色が、そのハードコピーの再現可能な再現範囲の内側か外側かを記述する(gamt)タグなども記述される。
【0045】
なお、プロファイル作成命令がPCなど外部接続機器など、外部インタフェース308から入力される場合がある。この場合は、発信外部機器に作成された出力ICCプロファイルをアップロードさせ、ICCプロファイルに対応したアプリケーションでの色変換をユーザが行えるようにしてもよい。
【0046】
(色変換処理)
通常のカラー出力における色変換にについて説明する。スキャナ部などの外部インタフェース308を介して入力されたRGB信号値やJapanColorなどの標準印刷CMYK信号値を想定して入力された画像信号は、外部入力用の入力ICCプロファイル格納部307に送られる。入力ICCプロファイル格納部307において、外部インタフェース308から入力された画像信号に応じて、RGB→L*a*b*あるいはCMYK→L*a*b*変換が行われる。入力ICCプロファイルは、入力信号のガンマをコントロールする1次元LUT(ルックアップテーブル)、ダイレクトマッピングといわれる多次色LUT、生成された変換データのガンマをコントロールする1次元LUTで構成されている。これらのルックアップテーブルを用いてデバイスに依存した色空間からデバイスに依存しないL*a*b*データに変換される。
【0047】
L*a*b*色度座標に変換された画像信号は、CMM(カラーマネージメントモジュール)306に入力される。そして、入力機器としてのスキャナ部などによる外部インタフェース308の読取色空間と、出力機器としての画像形成装置100の出力色再現範囲のミスマッチをマッピングするGUMAT変換を行う。また、入力時の光源種と出力物を観察するときの光源種ミスマッチ(色温度設定のミスマッチとも言う)を調整する色変換や、黒文字判定等も行う。これにより、L*a*b*データは、L*’a*’b*’データへ変換され、プロファイル格納部305に入力される。上述のように作成されたプロファイルは、プロファイル格納部305に格納されており、新たに作成したICCプロファイルによって色変換され、出力機器に依存したCMYK信号へと変換され、エンジン制御部312へ出力される。
【0048】
以上のように、調整ユニット400のカラーセンサ501で測色した(読取った)画像情報に基づき、ICCプロファイルを作成し、それに基づき画像形成装置100の画像形成エンジン102でシート1に形成する画像を補正する。これにより、シート1のパッチ520に基づきフィードバックを行う色味調整を実行することができる。
【0049】
なお、ブロック構成上、CMM306は入力ICCプロファイル格納部と出力ICCプロファイル格納部と分けた構成を説明した。しかしながら、これらの構成は、図6に示すようにCMMはカラーマネージメントを司るモジュールのことであり、入力プロファイルと出力プロファイルとを使って色変換を行っているモジュールである。
【0050】
[測色ユニットの構成]
ついで、測色ユニット500の構成について図7及び図8を用いて説明する。図7及び図8に示すように、測色ユニット500は、大まかに、移動ユニット530と駆動ユニット570とで構成されている。移動ユニット530は、カラーセンサ501と、そのカラーセンサ501を支持する移動支板531とを有している。移動支板531は、シート搬送方向(矢印a)の上流に移動軸受532とシート搬送方向の下流に移動軸受533とが配設されている。また、移動軸受532には、上方に向けて係合板532aが形成されており、係合板532aの図示を省略した歯面に、後述の移動ベルト576に形成された歯面が係合する。そして、移動軸受532は、調整ユニット400のフレーム(不図示)に固定支持され、シート搬送方向と直交するシート幅方向(矢印b)に平行に配置された支持軸534にスライド移動自在に係合している。また同様に、移動軸受533は、調整ユニット400のフレーム(不図示)に固定支持され、シート搬送方向と直交するシート幅方向(矢印b)に平行に配置された支持軸535にスライド移動自在に係合している。
【0051】
駆動ユニット570は、移動モータ571と、第1プーリ572と、第2プーリ573と、連動ベルト575と、移動ベルト576とを有して構成されている。第1プーリ572は移動モータ571の出力軸(不図示)に固定されており、移動モータ571の駆動により回転される。連動ベルト575は、第1プーリ572と第2プーリ573とに張架されており、移動ベルト576は、第2プーリ573と不図示の第3プーリとに張架されている。従って、移動モータ571が駆動されると、第1プーリ572、連動ベルト575、第2プーリ573を介して移動ベルト576が回転移動する。上述のように移動ベルト576の歯面が移動ユニット530の係合板532aの歯面に係合しているため、移動モータ571によって移動ユニット530がシート幅方向(矢印b)に移動制御される。
【0052】
なお、位置検知センサ545は、例えば光センサからなり、移動ユニット530の移動支板531に形成されたフラグ部531fの有無をON/OFFにより検知する。位置検知センサ545は、例えば移動ユニット530がシート搬送路である排出パス432よりもシート幅方向の外側に位置するときにONされるように配置されていて、そこをホームポジションとして検知する。移動モータ571は、ステッピングモータ等で構成され、位置検知センサ545のON検知からパルス制御され、それにより、移動ユニット530のシート幅方向の位置が制御される。
【0053】
[搬送ユニット及びガイドシャッタ装置の構成]
続いて、搬送ユニット460とガイドシャッタ装置600の構成について図9図10、及び図12を用いて説明する。まず、搬送ユニット460について説明する。搬送ユニット460は、図9に示すように、大まかに、上記カラーセンサ501に対して、シート搬送方向の上流側にある搬送ローラ対406と、シート搬送方向の下流側にある搬送ローラ対407と、それらを回転駆動する搬送モータ452と、を備えている。搬送ローラ対406は、駆動ローラ406aと従動ローラ406bとの一対からなり、従動ローラ406bが駆動ローラ406aに不図示のバネにより押付けられてシートを挟持して搬送するニップを形成する。まだ同様に、搬送ローラ対407は、駆動ローラ407aと従動ローラ407bとの一対からなり、従動ローラ407bが駆動ローラ407aに不図示のバネにより押付けられてシートを挟持して搬送するニップを形成する。
【0054】
なお、駆動ローラ406a,407aは、アルミニウム材からなるパイプの外周に厚み30μmのウレタンコーティングを施したものであり、その外径は20mmである。また、駆動ローラ406a,407aは、両端がベアリング(不図示)により回転自在に支持されている。さらに、従動ローラ406b,407bは、アルミニウム材のローラ表面にシリコンゴムを巻付けて構成され、その外径は20mmである。また、従動ローラ406b,407bも、両端がベアリング(不図示)により回転自在に支持されている。
【0055】
図10に示すように、搬送モータ452の出力軸452Aと駆動ローラ406aとの間には伝達ベルト453が張架されており、また、搬送モータ452の出力軸452Aと駆動ローラ407aとの間には伝達ベルト454が張架されている。これにより、搬送モータ452が駆動されることで、駆動ローラ406a,407aは図9に示す矢印R1方向に回転駆動され、シート1を矢印aで示すシート搬送方向に搬送する。なお、本実施の形態では、搬送ローラ対406と搬送ローラ対407とを1つの搬送モータ452により駆動するものを説明しているが、これら搬送ローラ対406,407を別々のモータで駆動してもよい。
【0056】
次に、ガイドシャッタ装置600について説明する。図9に示すように、ガイドシャッタ装置600は、大まかに、上流ガイドシャッタ601、上流回転軸603、下流ガイドシャッタ602、下流回転軸604、それらを駆動するシャッタモータ610、を備えて構成されている。上流ガイドシャッタ601は、厚み1mmの鋼板からなり、シート搬送路である排出パス432を形成してシート1をガイド可能な上流ガイド面となるガイド部601aを有している(図12(a)参照)。同様に、下流ガイドシャッタ602も、厚み1mmの鋼板からなり、シート搬送路である排出パス432を形成してシート1をガイド可能な下流ガイド面となるガイド部602aを有している(図12(a)参照)。なお、本実施の形態では、上流ガイドシャッタ601及び下流ガイドシャッタ602が第2搬送ガイドを構成しており、上流ガイドシャッタ601が上流回転ガイド部材、下流ガイドシャッタ602が下流回転ガイド部材、をそれぞれ構成している。
【0057】
上流ガイドシャッタ601は、上流回転軸603に固定されており、その上流回転軸603は、不図示のベアリングにより調整ユニット400のフレームに対して回転自在に支持されている。換言すると、上流ガイドシャッタ601は上流回転軸603を支点として回転される。同様に、下流ガイドシャッタ602は、下流回転軸604に固定されており、その下流回転軸604は、不図示のベアリングにより調整ユニット400のフレームに対して回転自在に支持されている。換言すると、下流ガイドシャッタ602は下流回転軸604を支点として回転される。
【0058】
図10に示すように、シャッタモータ610の出力軸610Aの外周には歯面が形成されてギヤ611に噛合しており、そのギヤ611は、ギヤとプーリとが一体に形成されたギヤプーリ612に噛合している。ギヤプーリ612は、下流回転軸604に固定されている。一方、上流回転軸603には、ギヤ615が固定されており、そのギヤ615は、ギヤとプーリとが一体に形成されたギヤプーリ614に噛合して、ギヤプーリ614の回転を反転して上流回転軸603に伝達するように構成されている。そして、ギヤプーリ612とギヤプーリ614とのプーリの部分には、伝達ベルト613が張架されており、シャッタモータ610の駆動によりギヤプーリ612,614が同方向に回転する。従って、シャッタモータ610が一方向に駆動されると、図9に示すように、上流回転軸603及び下流回転軸604が矢印R2の方向に回転される。また反対に、シャッタモータ610が他方向に駆動されると、上流回転軸603及び下流回転軸604が矢印R3の方向に回転される。
【0059】
このように構成されたガイドシャッタ装置600の上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とは、図12(a)に示すように、上流側にある搬送ローラ対406と下流側にある搬送ローラ対407との間で、排出パス432を形成する。即ち、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とは、第1搬送ガイドとして移動不能に固定されているガイド板620に対向する対向位置で、ガイド部601aとガイド部602aとが繋がって、シート搬送路としての排出パス432を形成する。つまり、ガイド板620がシート搬送路(排出パス432)の一方側を形成し、ガイド部601aとガイド部602aとが繋がってシート搬送路の他方側を形成することになる。なお、対向位置にある状態では、ガイド部601aの下流端部がガイド部602aの上流端部よりもガイド板620の側にあり、シートのジャムが発生し難くなるように構成されている。
【0060】
そして、図9に示すように、上記シャッタモータ610によって上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とが矢印R3の方向に回転駆動される。すると、図12(b)に示すように、ガイド板620からガイド部601a,602aが上記対向位置から退避した退避位置に移動し、つまり上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とがシート搬送路を形成する位置から退避する。これにより、上述したように移動ユニット530のカラーセンサ501(移動支板531)が、退避位置にある上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602との間をシート搬送方向に移動(通過)可能となる。
【0061】
その後、図9に示すように、上記シャッタモータ610によって上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とが矢印R2の方向に回転駆動されると、図12(a)に示すように、ガイド部601a,602aは対向位置に戻される。これにより、排出パス432は、ガイド板620とガイド部601a,602aとによって区画された空間となり、シート搬送路として閉じられた状態となる。
【0062】
また、図10に示すように、上流回転軸603の端部には欠歯状に形成されたフラグ部605が固定されており、例えば光センサからなる回転位置検知センサ606によりフラグ部605の基準位置をON/OFFにより検知する。回転位置検知センサ606は、例えば図12(a)に示す上流ガイドシャッタ601が対向位置となった状態でONされ、そこをホームポジションとして検知する。シャッタモータ610は、ステッピングモータ等で構成され、回転位置検知センサ606のON検知からパルス制御され、それにより、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602との位置が制御される。
【0063】
なお、本実施の形態では、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とを1つのシャッタモータ610により駆動するものを説明しているが、これら上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とを別々のモータで駆動してもよい。
【0064】
[冷却ファンの配置構造]
ここで、冷却ファン651、及び空気の流れについて図11を用いて説明する。図11に示すように、冷却ファン651は、例えば60mmの軸流ファンで構成され、測色ユニット500の移動ユニット530が移動するシート搬送方向の位置における長手中央付近に配置される。また、吸気口652は、調整ユニット400の例えば前面で、かつカラーセンサ501がホームポジションとなる位置、即ちカラーセンサ501が排出パス432のシート幅方向の外側に移動した位置の近傍に設けられている。従って、冷却ファン651により送風が行われると、空気は矢印Eに示すように流れ、カラーセンサ501を冷却するようになる。
【0065】
[測色ジョブ動作]
ついで、図12及び図13を用いて、シート1のパッチ520をカラーセンサ501で読み込む測色ジョブ動作について説明する。シート1には、画像形成装置100によって、P1~Pmのm行のパッチ520が形成されている。各行に、P1-1、P1-2、P1-3・・・P1-nとn列のパッチ520が形成されている。即ち、1枚のシートにm×n個のパッチ520が配置されている。カラーセンサ501は、上述したように移動ユニット530により、シート搬送方向と直交するシート幅方向に移動可能である。シート1は、搬送パスセンサ421(図2図4参照)により位置が検知されつつ、搬送ユニット460の搬送ローラ対406,407によって、搬送、停止、所定量の搬送が可能となっている。
【0066】
シート1をカラーセンサ501の読取部501Sがある位置まで搬送する際は、図13(a)に示すように、カラーセンサ501は、シート幅方向である主走査方向においてシート搬送路(排出パス432)の外側に退避した位置(外位置)で待機している。この際、図12(a)に示すように、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とが対向位置にあり、つまりガイド板620と共に排出パス432を形成している。
【0067】
搬送ローラ対406,407は、シート1を、カラーセンサ501の読取部501Sと先頭のP1の行のパッチ520の位置とが合う位置まで搬送すると、停止される。なお、この状態では、シート1の先端は搬送ローラ対407に到達していなくても構わない。その後、図12(b)に示すように、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とは退避位置に移動され、つまりカラーセンサ501が通過可能に開かれる。そして、図13(b)に示すように、カラーセンサ501の読取部501Sを主走査方向の一方に移動し、先頭行のP1-1~P1-nのn個のパッチ520を読取る。
【0068】
続けて、図13(c)のように、カラーセンサ501がシート幅方向である主走査方向においてシート搬送路(排出パス432)の外側の位置にある状態にする。そして、搬送ローラ対406,407は、シート1を、読取部501SとP2の行のパッチ520の位置とが合う位置まで搬送し、再度停止する。その状態から、図13(d)に示すように、カラーセンサ501の読取部501Sを主走査方向の他方(P1とは逆方向)に移動し、行のP2-n~P2-1のn個のパッチ520を読取る。その後は、同様の読取動作をm回繰り返し、m×n個すべてのパッチ520を読取る。なお、例えば最後尾のPmの行のパッチ520を読取る際には、シート1の後端が搬送ローラ対406を抜けていても構わない。上述したように、シート1の先端が搬送ローラ対407に到達していない状態、或いはシート1の後端が搬送ローラ対406を抜けた状態で、カラーセンサ501の読取動作を行うことで、シート1の全域にあるパッチ520を読取ることができる。
【0069】
m×n個すべてのパッチ520を読取った後は、カラーセンサ501をシート幅方向である主走査方向においてシート搬送路(排出パス432)の外側にある状態にする。そして、図12(a)に示すように、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とを対向位置に戻し、つまりガイド板620と共に排出パス432を形成して、シート1の搬送を再開する。
【0070】
なお、図13(e)に示すように、P1の行のパッチ520を読取った後、シート1を搬送せずに停止したまま、読取部501Sを主走査方向の他方(逆方向)に移動し、先頭行のP1-n~P1-1のパッチ520を再度読取ってもよい。このように、カラーセンサ501が再度P1の行のパッチ520を読取ることで、読取精度を向上させてもよい。
【0071】
以上説明したように、カラーセンサ501が主走査方向(シート幅方向)に移動してシートの画像情報を読取る際に、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とは退避位置に移動される。そして、シート1を、排出パス432で搬送する際には、上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とを対向位置にして、ガイド板620と共に排出パス432を形成する。つまり、カラーセンサ501の移動領域を上流ガイドシャッタ601と下流ガイドシャッタ602とにより塞ぐ。これにより、シートのジャムが発生する可能性を低減することができる。
【0072】
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について図14を用いて説明する。なお、本第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な部分について、同符号を用いて、その説明を省略する。
【0073】
図14に示すように、第2の実施の形態に係る調整ユニット400は、シート搬送方向の上流側の搬送ローラ対406と下流側の搬送ローラ対407の間に、第2搬送ガイド或いは平行移動ガイド部材としてのガイドシャッタ701を有している。ガイドシャッタ701は、厚み1mmの鋼板からなり、移動不能に固定されたガイド板620に対向する対向位置と、その対向位置から退避した退避位置とに移動可能である。即ち、ガイドシャッタ701は、不図示のシャッタモータの駆動により矢印R4の方向又は矢印R5の方向である、シート搬送方向及びシート幅方向に直交する方向、つまりガイド板620に接近又は離間する方向に、平行にスライド移動する。なお、ガイドシャッタ701の位置は、その端部に不図示のフラグが設けられ、不図示の位置検知センサによりON/OFFが検知され、例えばONが検知される位置をホームポジションとしてパルス制御される。
【0074】
なお、第2の実施の形態における、これ以外の構成、作用、及び効果は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
なお、上記第1及び第2の実施の形態においては、シートの画像情報をカラーセンサ501で読取るものを説明したが、これに限らず、例えばモノクロの画像読取センサでもよく、つまりどのような画像読取手段であってもよい。
【0076】
また、上記第1及び第2の実施の形態においては、カラーセンサ501が主走査方向の一方に移動しつつパッチを読取った後、他方に移動しつつパッチを読取るもの、つまり往復の移動の両方でパッチを読取るものを説明した。しかし、これに限らず、一方の移動、又は他方の移動だけパッチを読取るものであっても構わない。
【符号の説明】
【0077】
1…シート/100…画像形成装置/100S…画像形成システム/102…画像形成部/400…画像読取装置(調整ユニット)/406…第1搬送手段(搬送ローラ対)/407…第2搬送手段(搬送ローラ対)/501…画像読取手段、カラーセンサ/520…画像情報(パッチ)/601…第2搬送ガイド、上流回転ガイド部材(上流ガイドシャッタ)/601a…上流ガイド面(ガイド部)/602…第2搬送ガイド、下流回転ガイド部材(下流ガイドシャッタ)/602a…下流ガイド面(ガイド部)/603…上流回転軸/604…下流回転軸/620…第1搬送ガイド(ガイド板)/701…第2搬送ガイド、平行移動ガイド部材(ガイドシャッタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14