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特許7471915糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法、および紡績機ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法、および紡績機ユニット
(51)【国際特許分類】
   D01H 4/02 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
D01H4/02
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020089856
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2020193428
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10 2019 113 977.5
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ズィーヴェアト
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178298(JP,A)
【文献】特開2018-076607(JP,A)
【文献】特開2010-202988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紡績ユニット(3)を有する紡績機において糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法(100)であって、
前記紡績機に、空気流を発生させる少なくとも1つの空気流発生源(6)が対応配置されており、該空気流発生源(6)は、空気流通路(7)に空気流を通流させるように接続されており、前記空気流通路(7)は、前記空気流発生源(6)と空気流を通流させるように接続されている1つの空気流主通路(8)と、前記空気流主通路(8)から分岐する複数の空気流分岐通路(9)とを有していて、該空気流分岐通路(9)は、糸またはスライバを取り扱うための、紡績ユニット固有の取扱いユニット(4;5)への空気流供給のために、それぞれ1つの紡績ユニット(3)へと分岐しており、かつ
前記紡績機には、測定データを評価するための評価装置(13)と、生産中の紡績ユニット(3)および/または取扱いユニット(4;5)、および/または非生産中の紡績ユニット(3)および/または取扱いユニット(4;5)を検出するための検出装置(14)とが対応配置されており、前記検出装置(14)は、前記評価装置(13)にデータを伝送するように接続されている、
方法(100)において、
空気流量測定ユニット(10)が設けられていて、該空気流量測定ユニット(10)は、前記空気流主通路(8)において前記空気流発生源(6)と、空気流路に沿って前記空気流発生源(6)の直ぐ下流に位置している前記空気流分岐通路(9)との間に配置されており、前記空気流量測定ユニット(10)は、前記評価装置(13)にデータを伝送するように接続されており、
1つのステップ(110)において、前記空気流量測定ユニット(10)を用いて空気流量を測定し、かつ測定結果を前記評価装置(13)に伝送し、
1つのステップ(120)において、生産中の紡績ユニット(3)および/または非生産中の紡績ユニット(3)の数を、前記検出装置(14)を用いて、空気流量測定の時点に検出し、かつ前記評価装置(13)に伝送し、
1つのステップ(130)において、空気流量目標値を、前記空気流量の測定時点において検出された、前記生産中の紡績ユニット(3)および/または非生産中の紡績ユニット(3)の数に関連して算出し、前記空気流量目標値は、前記測定時点における前記生産中の紡績ユニット(3)の空気流量総需要量に相当しており、
1つのステップ(140)において、前記空気流量目標値を、前記評価装置(13)を用いて、測定された前記空気流量の実際値と比較し、かつ
1つのステップ(150)において、前記評価装置(13)は比較に基づいて、前記空気流量目標値に対する前記実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価を行う
ことを特徴とする、方法(100)。
【請求項2】
前記評価が、前記空気流量目標値に対する前記実際値の許容不能な偏差を示している場合に、前記評価装置(13)から警告信号を発信する、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
前記紡績機は、空気紡績機であり、前記空気流発生源は、少なくとも、前記紡績ユニット(3)の1つの紡績要素において予め設定された紡績圧を生ぜしめるための圧縮空気源である、
請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項4】
別の空気流量測定ユニット(11)が、少なくとも1つの空気流分岐通路(9)に、特に1つの紡績ユニット(3)に通じるまたは直接1つの取扱いユニット(4;5)に通じるそれぞれの空気流分岐通路(9)に配置されており、
1つのステップ(160)において、特定の時点に前記別の空気流量測定ユニット(11)によって空気流量を測定し、かつ前記評価装置(13)に伝送し、
1つのステップ(170)において、前記空気流量測定の時点に前記検出装置(14)を用いて、前記別の空気流量測定ユニット(11)に作用接続された前記紡績ユニット(3)または前記取扱いユニット(4;5)が、生産中であるかかつ/または非生産中であるかを検出し、
1つのステップ(180)において、作用接続された生産中の前記紡績ユニット(3)もしくは前記取扱いユニット(4;5)について、測定された前記空気流量の相応の個別実際値を測定し、かつ
1つのステップ(190)において、前記個別実際値を、作用接続された前記紡績ユニット(3)もしくは前記取扱いユニット(4;5)の空気流量総需要量に相当している個別目標値と比較し、
1つのステップ(200)において、比較に基づいて、前記評価装置(13)を用いて、前記個別目標値に対する前記個別実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価を行い、かつ
偏差の評価が許容不能である場合に、1つのステップ(210)において、前記評価装置(13)から、許容不能な偏差に該当する前記別の空気流量測定ユニット(11)、前記紡績ユニット(3)、前記取扱いユニット(4;5)、および/または前記空気流分岐通路(9)に関する情報を含む警告信号を発信する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項5】
1つの別の空気流量測定ユニット(11)を含むそれぞれの前記空気流分岐通路(9)に、閉鎖要素(12)が、特に前記空気流主通路(8)の近傍に配置されており、前記閉鎖要素(12)は、開放位置と閉鎖位置との間において可動であり、前記閉鎖要素(12)を、前記閉鎖要素(12)を有する前記空気流分岐通路(9)に該当する偏差が許容不能であると評価された場合に、前記閉鎖位置に移動させる、
請求項記載の方法(100)。
【請求項6】
請求項1記載の方法(100)を実施するための紡績機ユニット(1)であって、
必要な空気流を用いて糸またはスライバを取り扱うための、空気流を必要とするそれぞれ少なくとも1つの取扱いユニット(4;5)を備えた複数の紡績ユニット(3)と、
空気流通路(7)に空気流を通流させるように接続されている、空気流を発生させる空気流発生源(6)であって、前記空気流通路(7)が、前記空気流発生源(6)に空気流を通流させるように接続されている1つの空気流主通路(8)と、前記空気流主通路(8)から分岐する複数の空気流分岐通路(9)とを有していて、前記空気流分岐通路(9)が、紡績ユニット固有の少なくとも1つの取扱いユニット(4;5)への空気流供給のために、それぞれ1つの紡績ユニット(3)へと分岐している、空気流発生源(6)と、
測定データを評価するための評価装置(13)と、
生産中の紡績ユニット(3)および/または非生産中の紡績ユニット(3)を検出するための検出装置(14)であって、前記評価装置(13)にデータを伝送するように接続可能であるかまたは接続されている、検出装置(14)と、
を含んでいる、紡績機ユニット(1)において、
空気流量測定ユニット(10)が設けられており、該空気流量測定ユニット(10)は、前記空気流主通路(8)において前記空気流発生源(6)と、空気流路に沿って前記空気流発生源(6)の直ぐ下流に位置している空気流分岐通路(9)との間に配置されており、前記空気流量測定ユニット(10)は、前記評価装置(13)にデータを伝送するように接続可能であるかまたは接続されており、かつ
前記評価装置(13)は次のように、すなわち、
空気流量目標値を、空気流量の測定の時点において検出された生産中の紡績ユニット(3)および/または非生産中の紡績ユニット(3)の数に関連して算出し、前記空気流量目標値は、前記測定時点における生産中の前記紡績ユニット(3)の空気流量総需要量に相当しており、
前記空気流量目標値を、測定された前記空気流量の実際値と比較し、かつ
比較に基づいて、前記空気流量目標値に対する前記実際値の許容不能な偏差が存在しているか否を評価するように、
構成されている
ことを特徴とする、紡績機ユニット(1)。
【請求項7】
別の空気流量測定ユニット(11)が、少なくとも1つの空気流分岐通路(9)に、特に1つの紡績ユニット(3)にまたは1つの取扱いユニット(4;5)に直接通じているそれぞれの空気流分岐通路(9)に、配置されており、
前記検出装置(14)は、前記別の空気流量測定ユニット(11)によって実施された空気流量測定の時点において、前記別の空気流量測定ユニット(11)に作用接続された前記紡績ユニット(3)または前記取扱いユニット(4;5)が、生産中であるか否か、かつ/または非生産中であるか否かを検出するように構成されており、
前記評価装置(13)は次のように、すなわち、
前記別の空気流量測定ユニット(11)に作用接続された生産中の前記紡績ユニット(3)もしくは前記取扱いユニット(4;5)について、前記空気流量の個別実際値を測定し、かつ作用接続された前記紡績ユニット(3)もしくは前記取扱いユニット(4;5)の空気流量総需要量に相当する個別目標値と比較し、
比較に基づいて、前記個別目標値に対する個別実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価を行うように、かつ
偏差が許容不能であると評価された場合に、許容不能な偏差に該当する前記別の空気流量測定ユニット(11)、前記紡績ユニット(3)、前記取扱いユニット(4;5)、および/または前記空気流分岐通路(9)に関する情報を含む警告信号を発信するように
構成されている、
請求項6記載の紡績機ユニット(1)。
【請求項8】
1つの別の空気流量測定ユニット(11)を含む前記空気流分岐通路(9)に、閉鎖要素(12)が、特に前記空気流主通路(8)の近傍に配置されており、前記閉鎖要素(12)は、開放位置と閉鎖位置との間において可動であり、前記閉鎖要素(12)は、前記閉鎖要素(12)を有する前記空気流分岐通路(9)に該当する偏差が許容不能であると評価された場合に、前記閉鎖位置にある、
請求項7記載の紡績機ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紡績ユニットを有する紡績機において糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法、および方法を実施するための紡績機ユニットに関する。
【0002】
紡績機は、公知のように、同一形式の複数の紡績ユニットを含んでおり、これらの紡績ユニットは、糸および/またはスライバを取り扱うための取扱いユニットを備えており、これらの取扱いユニットは、少なくとも時々、紡績プロセスの過程におけるスライバ、または紡績された糸を、特に品質に影響を及ぼすように取り扱うために、空気流を必要とする。空気流は、通常、空気流を発生させる少なくとも1つの空気流発生源によって発生させられる。紡績機型式に関連して空気流発生源は、特にロータ紡績機では例えば紡績負圧を生ぜしめるために使用される吸込み空気設備であっても、または特に空気紡績機において紡績圧を生ぜしめるために使用される圧縮空気発生源であってもよい。
【0003】
取扱いユニットとしては、相応に例えば、ロータ紡績機の紡績ロータを挙げることができ、この紡績ロータのロータディスクには、通常の紡績作動中に、しかしながら紡績開始過程中にも、吸込み空気が供給される。さらに空気紡績機では、紡績ノズルを取扱いユニットと見なすことができる。一般的に、空気力を用いて糸またはスライバを取り扱うすべての装置が、取扱いユニットと見なされる。
【0004】
紡績機によって製造される糸の品質のためには、空気流、特に付随する正圧、負圧、または流量が、取扱いユニットによる糸もしくはスライバの適正な取扱いのために、確定された範囲内にあることが必要である。さらに、空気流が可能な限り直接相応の要求に応じて使用されると、機械の生産性が最大になる。それというのは、さもないと取扱いユニットは、非生産的な待機時間を過ごさなくてはならないからである。他方において空気流発生源の設計は、最大に必要な空気流需要量に向かって高められ、このような空気流発生源のコストは、不都合である。同様に、ちょうど必要なレベルを上回る空気流の持続供給も、エネルギ消費を高める。このような持続供給は、特に、例えば漏れに基づく、空気流路の内部における損失が発生している場合に、必要なことがある。
【0005】
したがって従来技術では、一方では空気流に対するある程度の待機時間を、少なくとも緊急状況においては受容すること、かつ他方では空気流を可能な限り正確に、必要な需要量に調整することが実施されている。しかしながら特に空気流通路の長さに基づいて、空気流の調整は比較的緩慢であるので、純粋に後追いの調整では、必要な空気流を維持することはしばしば不可能である。
【0006】
したがって例えば独国特許出願公開第19511960号明細書によれば、取扱いユニットがその空気流需要量を予め通知しなくてはならないことが、つまり要求を出すようになっていることが提案されており、これに続いて空気流調整が、空気流の呼出しの前に適正時期に、空気流を十分に調整し、これによってこの要求が割り当てられた後でも、十分な空気流を、接続されたすべての取扱い要素のために維持することができる。このことは、必要なエネルギ需要量が高められることによって、エネルギ消費が高められるおそれがある。最大に許容可能なエネルギ需要量に達した場合には、さらなる要求はもはや割り当てられず、要求のある取扱いユニットは待機位置にもたらされることになる。そして待機している取扱いユニットは、エネルギ需要量が、先行する要求が満たされたことによって十分に低下した場合に初めて再び作動させられる。
【0007】
独国特許出願公開第102006050220号明細書によって、要求の優先制御された処理が提案される。この提案によって特に、例えば複数の作業ユニットを担当する操作アセンブリおよび操作員のような、ぎりぎりのリソースの待機時間を短縮することができる。
【0008】
そのために、独国特許出願公開第102006050220号明細書は、取扱いユニットの要求を紡績ユニットレベルに分配することを開示している。具体的には、分配は、確定された数の紡績ユニットにしか許されない。最大数に達すると、さらなる取扱いユニットの要求は、待ち行列へと調節される。その結果待機している紡績ユニットには、ちょうど供給されている紡績ユニットのうちの1つが、該紡績ユニットが空気流を要求した作業を終了した場合に初めて、つまり紡績ユニットが、現在の要求をもはや有していない場合に初めて、空気流を割り当てることができる。
【0009】
公知のすべての解決策において共通なことは、例えば空気流路に沿った漏れによる空気流損失が、明確に考慮されないということである。このような損失は、相応の取扱いユニットの機能性に不都合に作用することがあり、取扱いユニットにおいて極めて僅かしか存在しない空気流は、取扱いユニットによって取り扱う必要がある糸またはスライバの品質を損なうおそれがある。例えば紡績正圧または紡績負圧が極めて低いと、品質的に比較的低価値の糸が生ぜしめられるおそれがある。さらに例を挙げると、紡績機のドラフト装置の領域における、スライバの繊維を集束するための圧力が極めて低いと、同様に品質的に比較的低価値の糸を生ぜしめることがある。
【0010】
このような背景から、本発明によって、糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視する可能性、および例えば漏れによる不所望の空気流損失を、特に簡単にかつ安価に確認する可能性を提供することが望まれている。空気流というのは、本発明の意味では、負圧または正圧によって生ぜしめられた空気流のことを意味しており、このとき負圧によって生ぜしめられた空気流は、正圧によって生ぜしめられる空気流とは、単に空気の流れ方向においてしか異なっていない。
【0011】
そのために本発明の第1の態様によれば、複数の紡績ユニットを有する紡績機において糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法が提案される。紡績機には、空気流を発生させる少なくとも1つの空気流発生源が対応配置されており、該空気流発生源は、空気流を案内する空気流通路に空気流を通流させるように(以下においては流れ側と呼ぶ)接続されており、このとき空気流通路は、空気流発生源に流れ側において接続されている1つの空気流主通路と、空気流主通路から分岐する複数の空気流分岐通路とを有している。空気流分岐通路はそれぞれ、糸もしくはスライバを取り扱うための、紡績ユニット固有の取扱いユニットへの空気流供給のために、1つの紡績ユニットへと分岐している。さらに紡績機には、測定データを評価するための評価装置と、生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットを検出するための検出装置とが対応配置されており、このとき検出装置は、評価装置にデータを伝送するように接続されている。データを伝送する接続は、一般的に通常の形式で、必要に応じて特にケーブル接続式にまたはケーブルなしに(ワイヤレスに)実現されていてよい。
【0012】
空気流発生源、評価装置、および/または検出装置は、好ましくは紡績機によって含まれていてよい。それとは択一的に、空気流発生源、評価装置、および/または検出装置は、紡績機の外部に配置されていて、紡績機に作用接続されていてよく、これによって本発明の意味では、紡績機ユニットが形成される。
【0013】
本発明は、空気流量測定ユニットが設けられていて、該空気流量測定ユニットは、空気流主通路において空気流発生源と、空気流路に沿って空気流発生源の直ぐ下流に位置している空気流分岐通路との間に配置されており、このとき空気流量測定ユニットは、評価装置に、特に上に記載されたような形式でデータを伝送するように接続されていることによって傑出している。方法の過程において、空気流量を、空気流量測定ユニットを用いて測定し、かつ測定結果を、例えば具体的な測定値の形態でまたは測定値を再現するコーディングの形態で、評価装置に伝送する。さらに生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットの数を、検出ユニットを用いて、空気流量測定の時点に検出し、かつ評価装置に伝送する。紡績ユニットもしくは取扱いユニットが、糸を製造するため、もしくは糸および/またはスライバを取り扱うための空気流を、例えば紡績ユニットの故障、ひいてはこれに伴う紡績ユニットの停止に基づいてもはや必要としなくなるまで、紡績ユニットもしくは取扱いユニットは生産作動状態にある。単に例示すると、生産作動を定義する経過としては、紡績開始、糸の紡績、空管への糸端部の仕掛け、スライバまたはこれに類したものの集束が挙げられる。これらのすべての経過において空気流が必要であり、空気流の使用下で、相応の取扱いユニットによって糸もしくはスライバが取り扱われる。
【0014】
方法の過程においてさらに、空気流量目標値を、空気流量の測定時点において検出された、生産中の紡績ユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットの数に関連して算出し、このとき空気流量目標値は、測定時点における生産中の紡績ユニットの空気流量総需要量に相当している。算出された空気流量目標値を、測定された空気流量の実際値と比較し、かつ比較によって、空気流量目標値に対する実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かを評価する。許容不能な偏差は、例えば、目標値が誤差可能もしくは許容可能と見なされる値範囲の限界を定義している場合に存在することができ、このとき測定された空気流量の実際値は、値範囲の外にある。別の許容不能な偏差は、実際値と目標値との間における差の値が、決定された対応する限界値を超えている場合に存在することができる。
【0015】
算出、比較、および評価の過程は、評価装置によって実施される。評価装置というのは、本発明の意味では、これらの必要な過程を実施するように構成されていて機能的に共働する要素またはユニットのことである。このときこれらの要素もしくはユニットは、互いに分離されていても、または1つの共通のアセンブリにおいて実現されていてもよい。評価装置は、好ましくは、例えば1つまたは複数の紡績機または紡績ユニットに対応配置された制御ユニットのような、プロセッササポートされた装置であってよい。
【0016】
許容不能な偏差が評価されるや否や、本発明の好適な実施形態によれば、警告信号が発信される。警告信号の発信は、評価装置が、警告信号をリリースするのに適した信号を、例えば直接、警告信号をリリースするユニットに、または間に配置されたユニットに、伝送した場合に行われる。このとき警告信号は、視覚的な、光学式の、音響的な、かつ/または触感的な信号であってよい。このような警告信号を用いて、紡績機の操作員に、紡績機の適正でない作動を、特に、品質的に低価値の糸を製造するおそれがある、糸もしくはスライバの取扱いのために適正でない空気流を、表示することができる。
【0017】
提案された方法は、空気流を監視するための、かつ特に紡績機における空気流損失を識別するための、安価でかつ極めて簡単な可能性を提供している。
【0018】
このとき測定、伝達、算出、比較、および評価の過程は、エネルギ消費に対する要求に応じて、好適な形式で、連続的に、周期的に、または決定された時点において行うことができる。このような過程が頻繁に実施されればされるほど、確かに紡績機の相応のエネルギ需要量は益々大きくなるが、しかしながらまた直接的な介入もしくはトラブルシューティングの監視および可能性も益々信頼性が高くなり、これによって紡績機の生産性を最適化することができる。
【0019】
本発明によって提案された方法は、空気紡績機として形成された紡績機のために特に好適に適しており、このとき空気流発生源は、少なくとも、紡績ユニットの1つの紡績要素もしくは紡績ノズルにおいて予め設定された紡績圧を生ぜしめるための圧縮空気源である。
【0020】
好適な実施形態によれば、警告信号は、不十分な空気流供給の情報の他に、どの紡績ユニット部分が、さらに好ましくはどの紡績ユニットが、さらに好ましくは、どの取扱いユニットおよび/または空気流分岐通路が該当しているかという情報をも含んでいる。そのために好ましくは、別の空気流量測定ユニットが、少なくとも1つの空気流分岐通路に、特に1つの紡績ユニットに通じるまたは直接1つの取扱いユニットに通じるそれぞれの空気流分岐通路に配置されており、このとき別の空気流量測定ユニットには、特に、紡績ユニットもしくは取扱いユニットもしくは空気流分岐通路を識別するための、固有の呼出し可能なコーディングが割り当てられていてよい。特定の時点に、空気流量は、別の空気流量測定ユニットによって測定され、かつ評価装置に伝送される。空気流量測定の時点に検出ユニットを用いて、別の空気流量測定ユニットに作用接続された紡績ユニットまたは取扱いユニットが、生産中であるかかつ/または非生産中であるかが検出される。生産中の紡績ユニットもしくは取扱いユニットについては、空気流量の相応の個別実際値が測定され、かつ個別実際値は、作用接続された紡績ユニットもしくは取扱いユニットの空気流量総需要量に相当する個別目標値と比較される。比較に基づいて、評価装置を用いて、個別目標値に対する個別実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価が行われる。偏差の評価が許容不能である場合に、許容不能な偏差に該当する別の空気流量測定ユニット、紡績ユニット、取扱いユニット、および/または空気流分岐通路に関する情報を含む警告信号が発信される。
【0021】
さらに好ましくは、空気流分岐通路は、空気流分岐通路を閉鎖するための閉鎖要素を、特に好ましくは、空気流主通路からの分岐部の近傍に有している。閉鎖要素は、好ましくは手動でかつ/または自動式に、空気流量を貫流させる開放位置と、空気流分岐通路を閉鎖する閉鎖位置との間において可動である。このような閉鎖要素を用いて、許容不能な偏差が存在している場合に、好ましくは、単に空気流損失が該当している紡績ユニットもしくは取扱いユニットだけを、停止させれば、もしくは空気流供給部から切り離せばよい。残りの紡績ユニットもしくは取扱いユニットを適正にさらに作動させることができる。
【0022】
本発明の別の態様によれば、好適な実施形態のうちの1つの実施形態による方法を実施するための紡績機ユニットが提案される。
【0023】
紡績機ユニットは、必要な空気流を用いて糸またはスライバを取り扱うための、空気流を必要とするそれぞれ少なくとも1つの取扱いユニットを備えた複数の紡績ユニットを含んでいる。さらに紡績機ユニットは、空気流通路に空気流を通流させるように(以下においては流れ側と呼ぶ)接続されている、空気流を発生させる空気流発生源を有しており、このとき空気流通路は、空気流発生源に流れ側において接続されている1つの空気流主通路と、空気流主通路から分岐する複数の空気流分岐通路とを有していて、これらの空気流分岐通路は、紡績ユニット固有の少なくとも1つの取扱いユニットへの空気流供給のために、それぞれ1つの紡績ユニットへと分岐している。さらに紡績機ユニットは、測定データを評価するための評価装置と、生産中の紡績ユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットを検出するための検出装置とを有しており、このとき検出装置は、評価装置にデータを伝送するように接続可能であるかまたは接続されている。
【0024】
紡績機ユニットは、空気流量測定ユニットが設けられており、該空気流量測定ユニットは、空気流主通路において空気流発生源と、空気流路に沿って空気流発生源の直ぐ下流に位置している空気流分岐通路との間に配置されており、このとき空気流量測定ユニットは、評価装置にデータを伝送するように接続可能であるかまたは接続されていることによって傑出している。空気流量測定ユニットは、好ましくは、複数の紡績ユニットの配置が行われている機械端部フレームまたは機械中央フレームに配置されていてよい。機械端部フレームまたは機械中央フレームは、対応配置された紡績ユニットを制御および/または調整するためのユニットを備えた制御ハウジングを有していてよく、このハウジング内に、空気流量測定ユニットは、好ましくはアクセス可能に、かつさらに好ましくは、制御ハウジングの外側から、例えば覗き窓または開口を通して覗込み可能に配置されている。
【0025】
さらに評価装置は次のように、すなわち、空気流量目標値を、空気流量の測定の時点において検出された生産中の紡績ユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットの数に関連して算出するように構成されており、このとき空気流量目標値は、測定時点における生産中の紡績ユニットの空気流量総需要量に相当している。さらに評価装置は、空気流量目標値を、測定された空気流量の実際値と比較するように、かつ比較に基づいて、空気流量目標値に対する実際値の許容不能な偏差が存在しているか否を評価するように構成されている。
【0026】
このような紡績機ユニットによって、本発明の好適な実施形態による提案された方法において得られた利点を、同様に得ることができる。紡績機ユニットに対応配置されたコンポーネントは、好ましくは、1つの好適な実施形態による方法の過程において記載されたステップもしくは工程が、それぞれのコンポーネントによって実行可能であり、かつ実施可能であるように相応に形成されていることができる。
【0027】
好ましくは、1つの好適な実施形態によれば、別の空気流量測定ユニットが、少なくとも1つの空気流分岐通路に、特に1つの紡績ユニットにまたは1つの取扱いユニットに直接通じているそれぞれの空気流分岐通路に、配置されており、このとき検出装置は、別の空気流量測定ユニットによって実施された空気流量測定の時点において、別の空気流量測定ユニットに作用接続された紡績ユニットまたは取扱いユニットが、生産中であるか否か、かつ/または非生産中であるか否かを検出するように構成されている。評価装置はこの過程において次のように、すなわち、別の空気流量測定ユニットに作用接続された生産中の紡績ユニットもしくは取扱いユニットについて、空気流量の個別実際値を測定し、かつ作用接続された紡績ユニットもしくは取扱いユニットの空気流量総需要量に相当する個別目標値と比較するように構成されている。比較に基づいて、さらに評価装置は、個別目標値に対する個別実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価を行うように、かつ偏差が許容不能であると評価された場合に、許容不能な偏差に該当する別の空気流量測定ユニット、紡績ユニット、取扱いユニット、および/または空気流分岐通路に関する情報を含む警告信号を発信するように構成されている。
【0028】
さらに好ましくは、1つの実施形態によれば、1つの別の空気流量測定ユニットを含む空気流分岐通路に、閉鎖要素が配置されており、閉鎖要素は、開放位置と閉鎖位置との間において可動であり、このとき閉鎖要素は、閉鎖要素を有する空気流分岐通路に該当する偏差が許容不能であると評価された場合に、所属の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットへの空気流供給を遮断するために閉鎖位置にある。
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の好適な実施例の以下の記載から、本発明にとって重要な詳細を示す図および図面を参照しながら、かつ請求項から分かる。個々の特徴は、それぞれ個々にまたは複数が任意に組み合わせられて、本発明の好適な実施形態において実現されていてよい。
【0030】
次に本発明の好適な実施例について、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】好適な実施例による紡績機ユニットを示す概略図である。
図2】好適な実施例による方法を概略的に示すフローチャートである。
【0032】
図1には、好適な実施例による紡績機ユニット1が単に概略的に示されており、この紡績機ユニット1は、図2に概略的に示されたフローチャートによって示されている、好適な実施例による方法100を実施するために適している。
【0033】
例えばロータ紡績機または空気紡績機である紡績機ユニット1は、機械端部に、制御ハウジング2を備えた機械フレームを含んでおり、制御ハウジング2からは複数の紡績ユニット3が、紡績機ユニットの機械長辺の上にかつ該機械長辺に沿って、列状に配置されて延びており、このときそれぞれの紡績ユニット3は、制御ハウジング2内に図示されていない中央制御ユニットに、データ伝送側において接続されている。それぞれの紡績ユニット3は、それぞれの紡績ユニット3において取り扱うべき糸またはスライバを取り扱うための、第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5を有している。第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5は、紡績機型式に関連して、それぞれ紡績ユニット3に対応配置された、糸またはスライバを取り扱うための空気流を必要とする汎用のユニット、例えば紡績ロータ、空気力式の糸貯え器、紡績ノズル、集束装置、またはこれに類したもののようなユニットであってよい。
【0034】
紡績機ユニット1は、空気流を発生させる空気流発生源6を含んでおり、この空気流発生源6は、好適な本実施例では制御ハウジング2内に配置されている。空気流発生源6は、大気圧に対して負圧または正圧によって生ぜしめられた空気流を発生させるように構成されている。空気流発生源6は、空気流通路7に空気流を通流させるように(以下においては流れ側と呼ぶ)接続されており、このとき空気流通路7は、1つの空気流主通路8と、この空気流主通路8から分岐する複数の空気流分岐通路9とを有している。分岐する空気流分岐通路9のそれぞれの空気流分岐通路は、1つの紡績ユニット3と、紡績ユニット3に対応配置された第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5とに通じており、これによって紡績ユニット3と第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5とに、空気流発生源6から発生可能な空気流を供給することができる。
【0035】
空気流主通路8は、空気流発生源6と、空気流発生源6の直ぐ下流に位置している空気流分岐通路9との間に、空気流量測定ユニット10を有しており、この空気流量測定ユニット10は、図示された好適な実施例によれば制御ハウジング2内に配置されている。空気流量測定ユニット10は、制御ハウジング2内において保守フラップを通してアクセス可能であり、かつ特に、保守フラップに組み込まれた覗き窓を通して覗き見ることができる。空気流量測定ユニット10は、好適な実施例によれば、貫流される測定可能な空気流量を目盛りによって、かつ/またはデジタル式に表示するための表示器を有することができる。
【0036】
1つの紡績ユニット3に通じるそれぞれの空気流分岐通路9と、紡績ユニット3からそれぞれの第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5に通じている空気流分岐通路9とは、貫流案内される空気流量を測定するための別の空気流量測定ユニット11を有している。空気流路に沿って空気流主通路8と空気流分岐通路9との間には、例えば駆動制御可能な弁として形成された閉鎖要素12が配置されている。この閉鎖要素12は、開放位置と閉鎖位置との間において移動可能である。開放位置において空気流は、相応の空気流分岐通路9を通して閉鎖要素12を介して貫流案内可能であり、これに対して閉鎖要素12が閉鎖位置にある場合には、空気流のための相応の空気流分岐通路9は遮断されている。別の空気流量測定ユニット11と空気流主通路8との間に閉鎖要素12を配置することは、その都度の開放位置および閉鎖位置において、別の空気流分岐通路9に相応に空気流が供給可能であるかまたは別の空気流分岐通路9が遮断されているかを、測定によって検査可能である点で好適である。
【0037】
空気流量測定ユニット10、別の空気流量測定ユニット11、および閉鎖要素12は、評価装置13にデータ伝送側において接続されている。したがって評価装置13に、空気流量測定ユニット10および別の空気流量測定ユニット11によって測定された空気流量を伝送することができる。さらにそれぞれの閉鎖要素12は、開放位置または閉鎖位置への移動のために駆動制御することができる。図1の回路図においてデータ伝送路は一方向に示されているが、別の好適な実施例によれば、特に相応のフィードバックを与えることまたは呼び出すことができるようにするために、双方向の接続であってよい。
【0038】
さらに評価装置13は、検出装置14にデータ伝送側において一方向または双方向に接続されている。検出装置14は、好適な本実施例によればさらにデータ伝送側において一方向または双方向に、それぞれの紡績ユニット3と、それぞれの第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5とに接続されている。これに関連して明らかなように、図1においては単に図面を見やすくするために、単に、空気流路に沿って空気流発生源6の直ぐ下流に位置している紡績ユニット3、第1の取扱いユニット4、閉鎖要素12、および別の空気流量測定ユニット11の、データ伝送側の接続だけが示されている。相応の接続は、図1に示されていて接続されていないその他のコンポーネントに対しても同様に行われている。
【0039】
検出装置14は、生産中の紡績ユニット3、第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5、および/または非生産中の紡績ユニット3、第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5について検出し、かつ評価装置13に伝送するように構成されている。
【0040】
好適な実施例による、上に記載された紡績機ユニット1は、図2によってフローチャートとして概略的に示された、好適な実施例による、糸および/またはスライバを取り扱うために必要な空気流を監視するための方法100を実施するように構成されている。この方法100は、空気流主通路8に配置された空気流量測定ユニット10を用いて空気流量を測定するステップ110を含んでいる。確定された時点において測定された測定値、またはこの測定値を表現するコード情報が、評価装置13に伝送される。測定の確定された時点に、別のステップ120において、生産中の紡績ユニット3および/または非生産中の紡績ユニット3の数が検出され、かつ評価装置13に伝送される。次いで別のステップ130において評価装置13を用いて、検出された生産中の紡績ユニット3および/または非生産中の紡績ユニット3の数に関連して、空気流量目標値が算出され、このとき空気流量目標値は、測定時点に生産中である紡績ユニットの空気流量総需要量に対応している。空気流量総需要量は、理論値であり、生産中の紡績ユニットの適正な作動を実施するために必要な空気流量に対応する。通常、生産中の紡績ユニットの適正な作動のためには、個別目標値が既知である、もしくは個別目標値を予め算出することができ、このときこの値は、一般的に、それぞれの紡績ユニットの構成に関連している。この値は、評価装置13から、図示されていない一時的なまたは一時的でないメモリから呼び出すことができ、かつ操作員または制御ユニットによって可変に格納されていてよい。メモリは、少なくとも紡績機に対応配置されていて、かつ特に紡績機に含まれていてよい。好適な実施例によれば、空気流量目標値を算出するために、個別目標値は生産中の紡績ユニットの数と乗算される。それとは択一的に、メモリ内に、生産中の紡績ユニットのそれぞれ異なった数に対応しているそれぞれの空気流量目標値を含む変換テーブル(Konkordanztabelle)が、呼出し可能に格納されていて、生産中の紡績ユニットの数に関連して空気流量目標値が直接呼出し可能であるようになっていてよい。生産中の紡績ユニットの数は、生産中の紡績ユニットの検出によって直接行うこと、または非生産中の紡績ユニットの検出によって行うことができ、このとき後者は、空気流主通路に接続された紡績ユニットの既知の総数から、非生産中の紡績ユニットの検出された数を差し引いて計算するというステップを必要とする。
【0041】
後続のステップ140において評価装置13は、算出された空気流量目標値を、測定された空気流量の実際値と比較し、かつそれに続いてまたは調整の過程で、別のステップ150において、空気流量目標値に対する実際値の差が許容可能であるか否かの評価を行う。許容不能な偏差が存在すると評価された場合には、評価装置13は、警告信号を発信し、この警告信号によって許容不能な偏差を操作員に、例えば評価装置13にデータ伝送するように接続されている警告信号表示ユニット15を介して示すことができる(図1参照)。
【0042】
上に述べたステップは、好適な実施例によれば連続的に行うことができ、または択一的な実施例によれば特定の時点に、特に周期的に行うことができる。監視を用いて簡単に、空気流通路内における空気流量損失を識別することができる。紡績機ユニットは、紡績ユニットの数に関連して、1つよりも多くの空気流通路を有することが十分に可能であり、このとき確定された数の紡績ユニットへの供給のために、1つの空気流通路が設けられている。このようにして、許容不能な偏差が発見された空気流通路に関連して、空気流量損失の場所をより詳しく確定することができる。
【0043】
図1に示された、好適な実施例による紡績機ユニット1では、別の空気流量測定ユニット11および閉鎖要素12が設けられており、これらの空気流量測定ユニット11および閉鎖要素12は、空気流分岐通路9に配置されている。
【0044】
上に記載された空気流主通路8の監視と同等に、空気流分岐通路9においても、例えば漏れのような異常な空気流量損失を監視することができる。そのためにステップ160において空気流量が、1つの別の空気流量測定ユニット11を用いて測定され、かつ評価装置13に伝送される。検出ユニット14は、測定の時点にステップ170において、生産中の紡績ユニット3および/または第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5、および/または非生産中の紡績ユニット3および/または第1の取扱いユニット4および第2の取扱いユニット5について検出する。ステップ180において、検出された生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットには、測定された空気流量の、相応の測定された個別実際値が割り当てられ(逆もまた同じ)、これによって別のステップ190において、それに対応する個別目標値との比較を行うことができ、このとき個別目標値は、作用接続されたそれぞれの紡績ユニットもしくは取扱いユニットの空気流量需要量に対応する。比較に基づいて、ステップ200の過程で、個別目標値に対する個別実際値の許容不能な偏差が存在しているか否かの評価が、評価装置13を用いて行われる。偏差が許容不能であると評価された場合には、ステップ210において評価装置を用いて警告信号が発信され、この警告信号は、許容不能な偏差に該当する別の空気流量測定ユニット、紡績ユニット、取扱いユニット、および/または空気流分岐通路に関する情報を含んでおり、これによって許容不能な偏差を、さらに容易に位置的に限定することが可能になる。さらに偏差が許容不能であると評価された場合には、ステップ220において閉鎖要素12を開放位置から閉鎖位置に移動させることによって、許容不能な偏差に該当する空気流分岐通路9を、空気流供給部に対して遮断することができる。これによって、空気流分岐通路9に接続されていない、空気流を必要とする残りの紡績ユニットもしくは取扱いユニットを適正にさらに作動させることができ、かつ同時に該当する空気流分岐通路9を、どのような理由から許容不能な偏差が生じたのかについて検査することができる。
【0045】
紡績機ユニット1の空気流分岐通路9に別の空気流量測定ユニット11および/または閉鎖要素12を設けることは必要に応じて行うことができる。したがって選択された空気流分岐通路9には、単に別の空気流量測定ユニット11だけが、または単に閉鎖要素12だけが配置されてよい。また、別の空気流量測定ユニット11および/または閉鎖要素12の配置に関連して、上に記載された方法100を適宜に適合させることができる。したがってそれぞれの方法ステップ、またはそのうちの選択された方法ステップを、1つの空気流分岐通路9および/または1つの空気流主通路8のために、または複数の空気流分岐通路9および/または複数の空気流主通路8のために実施することができ、これによってそれぞれの空気流分岐通路9および/または空気流主通路8における空気流量損失を確認することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 紡績機ユニット
2 制御ハウジング
3 紡績ユニット
4 第1の取扱いユニット
5 第2の取扱いユニット
6 空気流発生源
7 空気流通路
8 空気流主通路
9 空気流分岐通路
10 空気流量測定ユニット
11 別の空気流量測定ユニット
12 閉鎖要素
13 評価装置
14 検出装置
15 警告信号表示ユニット
100 方法
110 空気流量測定ユニットを用いて空気流量を測定するステップ
120 生産中の紡績ユニットおよび/または非生産中の紡績ユニットを検出するステップ
130 比較のステップ
140 評価のステップ
150 警告信号を発信するステップ
160 別の空気流量測定ユニットを用いて空気流量を測定するステップ
170 生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニット、および/または非生産中の紡績ユニットおよび/または取扱いユニットを検出するステップ
180 割当てのステップ
190 個別目標値を個別実際値と比較するステップ
200 評価のステップ
210 警告信号を発信するステップ
220 遮断のステップ
図1
図2