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特許7471925紙幣処理装置、紙幣処理システムおよび紙幣処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】紙幣処理装置、紙幣処理システムおよび紙幣処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20240415BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20240415BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020098899
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192206
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 高士
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204381(JP,A)
【文献】特開2010-181987(JP,A)
【文献】特開2005-234618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/20
G07D 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理装置において、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え
前記返却処理部は、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理装置において、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理装置において、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理装置において、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
前記相違判定が行われた場合に相違が発生した旨を示す発生情報が保持される発生情報保持部をさらに備え、
前記返却処理部は、前記相違判定が行われた場合に、
前記発生情報保持部に前記発生情報が保持されていないときには、記番号が相違する旨を前記出力部に出力させず、
前記発生情報保持部に前記発生情報が保持されているときには、記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記発生情報保持部に保持された前記発生情報は、前記取引処理の終了に基づいて消去される、
ことを特徴とする請求項に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理システムにおいて、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理システム
【請求項8】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理システムにおいて、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理システム
【請求項9】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理システムにおいて、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え
前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理システム。
【請求項10】
投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理システムにおいて、
紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、
紙幣が返却される返却部と、
前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、
前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備え、
前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理システム
【請求項11】
紙幣に記された2つの記番号を読取部により読み取り、
前記2つの記番号が相違するか否かを判定し、
記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理を行い、
前記返却処理では、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理方法。
【請求項12】
紙幣に記された2つの記番号を読取部により読み取り、
前記2つの記番号が相違するか否かを判定し、
記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理を行い、
前記返却処理では、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理方法。
【請求項13】
紙幣に記された2つの記番号を読取部により読み取り、
前記2つの記番号が相違するか否かを判定し、
記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理を行い、
前記返却処理では、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理方法。
【請求項14】
紙幣に記された2つの記番号を読取部により読み取り、
前記2つの記番号が相違するか否かを判定し、
記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理を行い、
前記返却処理では、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する、
ことを特徴とする紙幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された紙幣に対して、入金処理等の取引処理を行う紙幣処理装置および紙幣処理システムに関する。また、本発明は、これら紙幣処理装置および紙幣処理システムに用いて好適な紙幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣の入金、出金、計数、整理等の処理を行う紙幣処理装置では、装置に投入された紙幣が識別部により識別され、識別結果に基づいて、処理対象として適正でない、即ち正常でないと判定された紙幣は、処理されることなく、返却口(リジェクト口)に返却される。返却理由(正常でないとの判定理由)には、様々なものがあり、たとえば、紙幣が破れや汚れの度合いが大きな損傷券である、紙幣が旧券である、紙幣の金種が識別できない、紙幣に記された左右の記番号が同じでない、などの理由を挙げることができる。
【0003】
このような返却理由を、紙幣が返却される際に通知するようにした紙幣処理装置が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-41172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙幣の左右の記番号が相違している場合、その紙幣が偽造されたものであることが疑われる。このため、記番号の相違が判明した場合には、現物の紙幣を目視して詳細に検討する必要が生じる。
【0006】
したがって、左右の記番号が相違するとの判定に基づいて紙幣が返却された場合に、その理由が安易に通知されてしまうと、その判定が誤りであるときに、現物の紙幣では記番号の相違がないため、操作者の混乱を招いてしまう虞がある。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、2つの記番号が相違するとの判定により紙幣の返却が生じた場合に、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知でき得る紙幣処理装置、紙幣処理システムおよび紙幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1ないし第4の態様は、投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理装置に関する。これら態様に係る紙幣処理装置は、紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、紙幣が返却される返却部と、前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備える。
第1の態様に係る紙幣処理装置において、前記返却処理部は、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第2の態様に係る紙幣処理装置において、前記返却処理部は、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第3の態様に係る紙幣処理装置において、前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
第4の態様に係る紙幣処理装置において、前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
【0009】
たとえば、記番号判定部は、記番号を構成する複数桁の英数字のうち、少なくとも1桁の英数字が一致しないときに、記番号が相違すると判定してもよいし、少なくとも所定の複数桁(たとえば、3桁)の英数字が一致しないときに、記番号が相違すると判定してもよい。
たとえば、所定期間は、一回の取引処理が行われている期間、取引処理の際に操作者が登録される場合に操作者が同じである期間、営業時間や1日などの日時で決められた期間などを示し、必ずしも時間的に一定となる期間を示すのもではない。
【0010】
第1ないし第4の態様に係る紙幣処理装置によれば、1枚の紙幣の2つの記番号が相違するとの相違判定が行われる度に記番号が相違する旨の通知が行われないため、紙幣が返却部に返却された際に、誤って記番号が相違する旨の通知が行われる頻度を低減できる。よって、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知することが可能となる。
【0013】
所定期間内に、記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性や、半券同士が誤って貼り合わされた2枚の紙幣が投入され、それら紙幣に、順次、記番号が相違するとの判定が行われた可能性がある。このため、所定期間内での2回目の判定は、1回目の判定よりも信頼性が高くなり得る。
【0014】
よって、第1ないし第4の態様に係る紙幣処理装置によれば、判定の信頼性が高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
同じ金種の紙幣において、所定期間内に記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。よって、第1の態様に係る紙幣処理装置によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
同じ券種の紙幣において、所定期間内に記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。よって、第2の態様に係る紙幣処理装置によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
所定期間内に相違判定が行われた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つの記番号同士が同じである場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。よって、第3の態様に係る紙幣処理装置によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
所定期間内に相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じである場合は、半券同士が誤って貼り合わされた2枚の紙幣が投入され、それら紙幣に、順次、記番号が相違するとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。よって、第4の態様に係る紙幣処理装置によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
【0015】
上記の構成とされた場合、前記相違判定が行われた場合に相違が発生した旨を示す発生情報が保持される発生情報保持部をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記返却処理部は、前記相違判定が行われた場合に、前記発生情報保持部に前記発生情報が保持されていないときには、記番号が相違する旨を前記出力部に出力させず、前記発生情報保持部に前記発生情報が保持されているときには、記番号が相違する旨を前記出力部に出力させるような構成とされ得る。
【0016】
このような構成とされれば、発生情報保持部に発生情報が保持されているか否かにより、最初の相違判定であるか再度の相違判定であるかを判別でき、この判別に基づいて記番号が相違する旨を出力部に出力させるか否かを決定できる。
【0017】
上記の構成とされた場合、さらに、前記発生情報保持部に保持された前記発生情報は、前記取引処理の終了に基づいて消去され得る。
【0018】
このような構成とされれば、一回の取引処理の期間内において、最初に相違判定がなされたときは記番号の相違が通知されず、再度の相違判定が行われたときに記番号の相違が通知されるようにすることができる。
【0031】
本発明の第5ないし8の態様は、投入された紙幣に対して所定の取引処理を行う紙幣処理システムに関する。これら態様に係る紙幣処理システムは、紙幣に記された2つの記番号を読み取り可能な読取部と、紙幣が返却される返却部と、前記2つの記番号が相違するか否かの判定を行う記番号判定部と、前記記番号判定部による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を前記返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理部と、を備える。
第5の態様に係る紙幣処理システムにおいて、前記返却処理部は、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第6の態様に係る紙幣処理システムにおいて、前記返却処理部は、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第7の態様に係る紙幣処理システムにおいて、前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
第8の態様に係る紙幣処理システムにおいて、前記返却処理部は、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
【0032】
第5ないし第8の態様に係る紙幣処理システムによれば、それぞれ、上記第1ないし第4の態様に係る紙幣処理装置と同様な効果を奏することができる。
【0033】
本発明の第9ないし12の態様は、紙幣処理方法に関する。これら態様に係る紙幣処理方法は、紙幣に記された2つの記番号を読取部により読み取り、前記2つの記番号が相違するか否かを判定し、記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を返却部に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を出力部に出力させない第1出力処理と記番号が相違する旨を前記出力部に出力させる第2出力処理とを選択的に実行する返却処理を行う
第9の態様に係る紙幣処理方法において、前記返却処理では、同じ金種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第10の態様に係る紙幣処理方法において、前記返却処理では、同じ券種の紙幣について、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われたことに基づいて、前記第2出力処理を実行する。
第11の態様に係る紙幣処理方法において、前記返却処理では、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、同じ位置の2つ記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
第12の態様に係る紙幣処理装置において、前記返却処理では、所定期間内において前記相違判定により前記第1出力処理が実行された後に再び前記相違判定が行われた場合に、前記相違判定がなされた2つの紙幣の間で、異なる位置の記番号同士が同じであるときに前記第2出力処理を実行する。
【0034】
第9ないし12の態様に係る紙幣処理方法によれば、それぞれ、上記第1ないし4の態様に係る紙幣処理装置と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0035】
上記のように、本発明によれば、2つの記番号が相違するとの判定により紙幣の返却が生じた場合に、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知でき得る紙幣処理装置、紙幣処理システムおよび紙幣処理方法を提供できる。
【0036】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、実施形態に係る、紙幣処理装置が組み込まれた貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係る、紙幣処理装置の構成を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る、紙幣処理装置の主たる構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る、操作端末の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る、紙幣処理装置の制御部による入金処理の制御動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る、通知画面を示す図である。
図7図7(a)ないし(c)は、変更例1に係る、発生情報保持部の構成を示す図である。
図8図8(a)は、変更例2に係る、発生情報保持部の構成を示す図である。図8(b)および(c)は、変更例2に係る、半券同士が誤って貼り合わされた2枚の紙幣を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
本実施形態において、入金リジェクト部120が、特許請求の範囲に記載の「返却部」に対応する。また、入金識別部160が、特許請求の範囲に記載の「読取部」に対応する。さらに、操作表示部310が、特許請求の範囲に記載の「出力部」に対応する。さらに、入金処理が、特許請求の範囲に記載の「取引処理」に対応する。
【0040】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0041】
図1は、紙幣処理装置10が組み込まれた貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0042】
本実施形態の紙幣処理装置10は、貨幣処理システム1に組み込まれ、貨幣処理システム1の一部を構成する。貨幣処理システム1は、たとえば、銀行等の金融機関の店舗において、窓口カウンタの奥方のフロア内に設置される。
【0043】
貨幣処理システム1は、紙幣処理装置10の他、束紙幣処理装置20と、硬貨処理装置30と、包装硬貨処理装置40と、有価媒体処理装置50と、特殊硬貨処理装置60と、貨幣保管装置70と、操作端末80と、を備える。
【0044】
紙幣処理装置10は、バラ状態の紙幣(バラ紙幣)を金種別に収納できる紙幣収納部(スタッカ)を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。
【0045】
束紙幣処理装置20は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束状態の紙幣(束紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。束紙幣処理装置20は、紙幣処理装置10と接続されており、紙幣処理装置10から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0046】
硬貨処理装置30は、バラ状態の硬貨(バラ硬貨)を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。
【0047】
包装硬貨処理装置40は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装状態の硬貨(包装硬貨)を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置40は、硬貨処理装置30と接続されており、硬貨処理装置30から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨を生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を包装硬貨収納部に収納する。
【0048】
有価媒体処理装置50は、紙幣処理装置10および束紙幣処理装置20で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置50は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによって紙幣処理装置10で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置50は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0049】
特殊硬貨処理装置60は、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)、現在発行されていない硬貨である旧貨、記念貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、硬貨処理装置30では、取り扱うことができない。
【0050】
貨幣保管装置70は、現金バスとも称され、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、旧貨、記念貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。また、貨幣保管装置70は、束紙幣処理装置20に収納しきらない束紙幣や包装硬貨処理装置40に収納しきらない包装硬貨の保管に用いられる。
【0051】
操作端末80は、操作表示部310と、プリンタ320とを備える。ユーザは、操作端末80を用いて、紙幣処理装置10、束紙幣処理装置20、硬貨処理装置30、包装硬貨処理装置40、有価媒体処理装置50、特殊硬貨処理装置60および貨幣保管装置70に対する入金処理のための操作、出金処理のための操作などの各種の操作を行う。
【0052】
なお、紙幣処理装置10、束紙幣処理装置20および操作端末80により、紙幣処理システム2が構成される。
【0053】
図2は、紙幣処理装置10の構成を示す概略図である。
【0054】
紙幣処理装置10は、筐体100内に、入金部110と、入金リジェクト部120と、出金部130と、出金リジェクト部140と、搬送部150と、入金識別部160と、出金識別部170と、入金紙幣揃え部180と、出金紙幣揃え部190と、5つのスタッカ200と、5つの一時保留部210と、2つの整理一時保留部220と、搬送機構部230と、を備える。
【0055】
筐体100の上部には、紙幣入金口101と紙幣出金口102が設けられる。紙幣入金口101は入金扉103により開閉され、紙幣出金口102は出金扉104により開閉される。
【0056】
入金部110は、紙幣入金口101に繋がり、紙幣入金口101を通じて入金部110にバラ紙幣が投入される。入金部110は、入金繰出機構111を備える。入金繰出機構111は、入金部110に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部150へ繰り出す。
【0057】
入金リジェクト部120には、主に、入金識別部160での識別の結果、正常でないと見做された紙幣が、リジェクト紙幣として返却される。入金リジェクト部120は、紙幣入金口101に繋がり、紙幣入金口101を通じて入金リジェクト部120からリジェクト紙幣が取り出される。
【0058】
出金部130は、主に、スタッカ200から繰り出された紙幣を受け取る。出金部130は、紙幣出金口102に繋がり、紙幣出金口102を通じて出金部130からバラ紙幣が取り出される。
【0059】
出金リジェクト部140には、主に、出金識別部170での識別の結果、正常でないと見做された紙幣が、リジェクト紙幣として集積される。
【0060】
搬送部150は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、メイン搬送路151と、入金搬送路152と、入金リジェクト搬送路153と、5つのスタッカ搬送路154と、第1出金搬送路155と、第2出金搬送路156と、出金リジェクト搬送路157と、2つの分岐搬送路158とを含む。メイン搬送路151は、筐体100内において、前後方向に延びるようにループ状に形成され、図2において、反時計回り方向に紙幣を搬送することが可能である。
【0061】
入金搬送路152は、入金部110とメイン搬送路151との間に設けられる。入金リジェクト搬送路153は、入金リジェクト部120とメイン搬送路151との間に設けられる。各スタッカ搬送路154は、スタッカ200および一時保留部210とメイン搬送路151との間に設けられる。第1出金搬送路155は、スタッカ200の出口とメイン搬送路151との間に設けられる。第2出金搬送路156は、メイン搬送路151と出金部130との間に設けられる。出金リジェクト搬送路157は、第2出金搬送路156から分岐し、出金リジェクト部140に繋がる。分岐搬送路158は、第2出金搬送路156から分岐し、整理一時保留部220に繋がる。
【0062】
長方形である紙幣は、その短手方向(天地方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部150に搬送される。本実施形態では、紙幣を入金部110からスタッカ200へ収納する入金時の搬送部150による搬送方向とスタッカ200から出金部130へ投出する出金時の搬送部150による搬送方向が同じ方向である。
【0063】
入金識別部160は、入金搬送路152に設けられる。入金識別部160は、入金搬送路152を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。出金識別部170は、第1出金搬送路155において、出金紙幣揃え部190よりも上流側に設けられる。出金識別部170は、第1出金搬送路155を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を制御部に出力する。入金識別部160および出金識別部170により識別される属性には、紙幣の真偽、金種、券種、表裏天地の向きなどが含まれる。
【0064】
さらに、入金識別部160および出金識別部170は、紙幣の枚数を計測する機能や、紙幣の破れや汚れの度合いを検出する機能、1枚の紙幣に記された2つの記番号を読み取る機能を有する。記番号は、紙幣の左の天側と右の地側に記され、複数桁(複数列)の英数字で構成される。
【0065】
入金紙幣揃え部180は、メイン搬送路151における、入金搬送路152の合流地点よりも下流側に配置される。入金紙幣揃え部180は、メイン搬送路151の一部を構成する反転部181および非反転部182を含む。反転部181は、スイッチバック方式により紙幣を折り返すようにして表裏反転させる搬送路を含む。反転部181を通過した紙幣は、紙幣の短手方向、即ち天地方向に沿って表裏反転し、表裏と天地が入れ替わる。非反転部182は、反転部181とほぼ同じ経路長を有し、紙幣を現状の方向のまま通過させる。
【0066】
出金紙幣揃え部190は、第1出金搬送路155において、出金識別部170よりも下流側に設けられる。出金紙幣揃え部190は、第1出金搬送路155の一部を構成する反転部191および非反転部192を含む。反転部191は、上下方向に延びるようにスパイラル状に形成され紙幣を左右に捩じるようにして表裏反転させる搬送路を含む。反転部191を通過した紙幣は、紙幣の長手方向、即ち左右方向に沿って表裏反転し、表裏と左右が入れ替わる。非反転部192は、反転部191とほぼ同じ経路長を有し、紙幣を現状の方向のまま通過させる。
【0067】
5つのスタッカ200は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、5つのスタッカ200のそれぞれに対し、一万円、千円、5千円等の金種が割り当てられ得る。各スタッカ200内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。各スタッカ200には、その天面に紙幣の入口が形成され、その底面に紙幣の出口が形成される。スタッカ200には、その底面側に繰出機構(図示せず)が設けられ、スタッカ200内の紙幣を第1出金搬送路155に繰り出すことができる。
【0068】
5つの一時保留部210は、対応するスタッカ200の上方に配置され、スタッカ200に収納される紙幣を一時的に保留する。各一時保留部210には、繰出機構(図示せず)が設けられ、一時保留部210内の紙幣を、対応するスタッカ搬送路154に繰り出すことができる。
【0069】
整理一時保留部220は、搬送部150により搬送された紙幣を、帯封により結束される結束単位となる所定の結束枚数、たとえば、100枚となるまで集積する。
【0070】
搬送機構部230は、一対のアーム231を備え、結束単位にまとまったバラ紙幣を、一対のアーム231で挟んで整理一時保留部220内から取り出し、隣接する束紙幣処理装置20の束紙幣形成部まで搬送する。なお、搬送機構部230は、紙幣処理装置10と束紙幣処理装置20との双方に属し、これら装置の後部に配置される。
【0071】
図3は、紙幣処理装置10の主たる構成を示すブロック図である。
【0072】
紙幣処理装置10は、上述した各構成110~230の他、制御部240、記憶部250および通信部260を備える。
【0073】
制御部240は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部250に記憶されたプログラムに従って、入金部110の入金繰出機構111、搬送部150、入金識別部160、出金識別部170、入金紙幣揃え部180、出金紙幣揃え部190、スタッカ200、一時保留部210、搬送機構部230等を制御する。
【0074】
記憶部250は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部240の動作プログラムを記憶し、また、制御部240の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0075】
通信部260は、操作端末80の通信部340との間で無線方式あるいは有線方式による信号の送受信を行う。
【0076】
本実施形態では、記憶部250に記憶された制御プログラムによって、記番号判定部241および返却処理部242の機能が制御部240に付与される。
【0077】
記番号判定部241は、紙幣に記された2つの記番号が相違するか否かの判定を行う。
【0078】
返却処理部242は、記番号判定部241による記番号が相違するとの相違判定に基づいて、記番号が相違する紙幣を入金リジェクト部120に返却する処理を実行するとともに、記番号が相違する旨を操作端末80の操作表示部310に出力させない第1返却処理と記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させる第2返却処理とを選択的に実行する。具体的には、返却処理部242は、入金処理の実行期間内において上記の相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理を実行する。
【0079】
記憶部250には、記番号判定部241により上記の相違判定が行われた場合に相違が発生した旨を示す発生情報が保持される発生情報保持部251が備えられる。たとえば、発生情報保持部251は、記番号の相違が発生した回数をカウントするカウンタとすることができる。この場合、1以上のカウント値が発生情報となる。また、発生情報保持部251は、記番号の相違が発生したときに、「真」や「1」の値にセットされるフラグとすることができる。この場合、「真」や「1」の値が発生情報となる。なお、発生情報保持部251が、記憶部250ではなく、制御部240に備えられてもよい。
【0080】
図4は、操作端末80の構成を示すブロック図である。
【0081】
操作端末80は、上述した操作表示部310およびプリンタ320の他、カードリーダ330、通信部340、制御部350および記憶部360を備える。
【0082】
操作表示部310は、たとえば、ディスプレイとタッチセンサとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイには各種の操作画面が表示され、ディスプレイ、即ち操作画面や操作画面に含まれる操作ボタンに対するユーザのタッチ操作がタッチセンサにより検出される。
【0083】
プリンタ320は、紙幣処理装置10、束紙幣処理装置20、硬貨処理装置30、包装硬貨処理装置40、有価媒体処理装置50、特殊硬貨処理装置60および貨幣保管装置70に対する入金処理、出金処理等の各種の取引処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0084】
カードリーダ330は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを制御部350に出力する。
【0085】
通信部340は、紙幣処理装置10の通信部260との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部340は、束紙幣処理装置20、硬貨処理装置30、包装硬貨処理装置40、有価媒体処理装置50、特殊硬貨処理装置60および貨幣保管装置70の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0086】
制御部350は、CPU等の演算回路を備え、記憶部360に記憶されたプログラムに従って、操作表示部310、プリンタ320、カードリーダ330、通信部340を制御する。さらに、制御部350は、通信部340を介して、紙幣処理装置10、束紙幣処理装置20、硬貨処理装置30、包装硬貨処理装置40、有価媒体処理装置50、特殊硬貨処理装置60および貨幣保管装置70との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら装置の動作を制御する。
【0087】
記憶部360は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部350の制御プログラムを記憶し、また、制御部350の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0088】
次に、紙幣処理装置10への紙幣の入金処理について説明する。
【0089】
図5は、紙幣処理装置10の制御部240による入金処理の制御動作を示すフローチャートである。
【0090】
操作者は、紙幣処理装置10の入金部110へ紙幣を投入した後、操作端末80の操作表示部310において入金画面を開き、入金処理を開始する操作を行う。なお、入金画面を開く際、操作者は、自身のIDカードをカードリーダ330に読み込ませる。これにより、操作端末80に操作者が登録される。開始操作がなされると、操作端末80の制御部350から紙幣処理装置10の制御部240へ開始指令が送信され、制御部240が入金処理を開始する。
【0091】
図5を参照して、制御部240は、入金部110から一枚ずつ紙幣(バラ紙幣)を繰り出させて搬送部150に搬送させ(S101)、搬送部150を流れる紙幣の属性を入金識別部160により識別する(S102)。次に、制御部240は、入金識別部160での識別結果などに基づいて、紙幣が正常な紙幣であるか否かを判定する(S103)。
【0092】
紙幣の正否の判定として、制御部240は、紙幣の属性が識別できたか否か、紙幣が旧券であるか否か、および、紙幣の破損や汚損の度合(損度)が閾値より大きいか否かの判定を行う。また、制御部240は、記番号判定部241の機能により、1枚の2つの記番号が相違しているか否かの判定を行う。この際、制御部240は、2つの記番号において、少なくとも所定の桁数の英数字が一致していない場合に、記番号が相違していると判定する。所定の桁数は、予め設定操作等により決めることができ、1桁でもよいし、2桁以上、たとえば3桁でもよい。なお、上記の記番号の判定では、2つの記番号の同じ桁の英数字が読み取れたが違う英数字であった場合のみならず、少なくとも一方の記番号の英数字が読み取れなかった場合も、その桁の英数字が一致しないと見做される。
【0093】
制御部240は、紙幣の属性が識別でき、紙幣が旧券でなく、損度が閾値以下で、記番号の相違がないとき、紙幣が正常であると判定し、紙幣の属性が識別できないか、紙幣が旧券であるか、損度が閾値より大きいか、記番号が相違するとき、紙幣が正常でないと判定する。
【0094】
紙幣が正常である場合(S103:YES)、制御部240は、搬送部150により、その紙幣を、対応する一時保留部210へ搬送させる(S104)。これにより、正常な紙幣が一時保留部210に収納される。
【0095】
他方、紙幣が正常でない場合(S103:NO)、制御部240は、搬送部150により、その紙幣をリジェクト紙幣として入金リジェクト部120へ搬送させる(S109)。これにより、リジェクト紙幣が入金リジェクト部120に返却される。
【0096】
入金部110から紙幣が全て繰り出されると(S105:YES)、制御部240は、操作端末80の操作表示部310に表示された入金画面上で承認操作がなされるか、返却操作がなされるのを待つ(S106、S114)。入金画面には、入金識別部160による計数結果、即ち、金種別枚数や合計枚数、合計金額等が表示される。操作者は、計数結果を確認し、承認する場合に承認操作を行い、承認を行わずに紙幣の返却を求める場合に返却操作を行う。
【0097】
承認操作が行われることにより、操作端末80の制御部350から承認操作に応じた指令を受け取ると(S106:YES)、制御部240は、一時保留部210から紙幣を排出させて、排出された紙幣をスタッカ200に収納する(S107)。
【0098】
他方、返却操作が行われることにより、操作端末80の制御部350から返却操作に応じた指令を受け取ると(S106:NO)、制御部240は、一時保留部210内の紙幣を、対応するスタッカ搬送路154に繰り出させ、繰り出された紙幣を、搬送部150により出金部130へ搬送する(S115)。これにより、一時保留部210内の紙幣が出金部130に返却される。
【0099】
なお、図5のフローチャートには示されていないが、承認操作または返却操作を待つ間に、リジェクト紙幣が入金部110に再投入された場合、再び、S101以降の処理が行われ、入金部110から繰り出された紙幣が一時保留部210または入金リジェクト部120へ搬送される。
【0100】
さて、S109において、紙幣が入金リジェクト部120へ搬送される際、制御部240は、紙幣の返却理由が、2つの記番号の相違であるか否かを判定する(S110)。返却理由が記番号の相違である場合(S110:YES)、制御部240は、発生情報保持部251に発生情報が保持されているか否かを判定する(S111)。たとえば、発生情報保持部251がカウンタである場合、カウント値が1以上であるか否かが判定される。
【0101】
今回の入金処理において、記番号が相違するとの判定が初めてである場合、発生情報保持部251に発生情報が保持されていない。この場合(S111:NO)、制御部240は、記番号の相違が発生した旨を操作表示部310での画面表示(後述する)により通知することなく、発生情報保持部251に発生情報を保持させる(S112)。たとえば、カウンタのカウント値が「0」から「1」にアップする。その後、制御部240は、S105の処理へ進む。
【0102】
一方で、今回の入金処理において、記番号が相違するとの判定が初めてでない場合、発生情報保持部251に発生情報が保持されている。この場合(S111:YES)、制御部240は、記番号の相違が発生した旨を通知するための指令を操作端末80の制御部350に送信することにより、操作表示部310に、図6に示すような通知画面410を表示させる。たとえば、通知画面410は、入金画面420に重なるように操作表示部310にポップアップ表示される。通知画面410には、記番号の相違が発生した旨を知らせるメッセージ411と確認ボタン412が含まれる。確認ボタン412が操作されると、通知画面410が閉じられる。
【0103】
その後、制御部240は、発生情報保持部251に発生情報を保持させる(S112)。たとえば、カウンタのカウント値が「1」から「2」にアップする。
【0104】
制御部240は、紙幣がスタッカ200内に収納されるか、あるいは、紙幣が出金部130に返却されて、入金処理が終了する際、発生情報保持部251に保持された発生情報を消去する(S108)。たとえば、カウンタのカウント値が「0」に戻される。なお、発生情報保持部251に発生情報が保持されていなければ、S108の処理はスキップされる。
【0105】
紙幣の左右の記番号が相違している場合、その紙幣が偽造されたものであることが疑われる。このため、記番号の相違が判明した場合には、現物の紙幣を目視して詳細に検討する必要が生じる。
【0106】
したがって、左右の記番号が相違するとの判定に基づいて紙幣が返却された場合に、その理由が安易に通知されてしまうと、その判定が誤りであるときに、現物の紙幣では記番号の相違がないため、操作者の混乱を招いてしまう虞がある。
【0107】
本実施形態では、上記の通り、入金処理の期間内において、最初に記番号が相違するとの判定が行われた場合は記番号の相違が発生した旨の通知が行われず、再び記番号が相違するとの判定が行われた場合に記番号の相違が発生した旨の通知が行われる。これにより、紙幣が入金リジェクト部に返却された際に、誤って記番号が相違する旨の通知が行われる頻度を低減できる。
【0108】
また、同じ入金処理の期間内に、記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性や、半券同士が誤って貼り合わされた2枚の紙幣が投入され、それら紙幣に、順次、記番号が相違するとの判定が行われた可能性がある。このため、入金処理の期間内での2回目の判定は、1回目の判定よりも信頼性が高くなり得る。よって、判定の信頼性が高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
【0109】
したがって、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知することが可能となる。
【0110】
なお、本実施形態の紙幣処理装置10では、上記の入金処理において、入金部110から一時保留部210へと紙幣が搬送される際、入金紙幣揃え部180では、入金識別部160により地方向が搬送方向を向くと識別された紙幣が反転部181を通され、天方向が搬送方向を向くと識別された紙幣が非反転部182を通される。これにより、天地の方向が揃えられた紙幣がスタッカ200に収納される。その後、出金処理において、スタッカ200内の紙幣が出金部130へと搬送される際、出金紙幣揃え部190では、出金識別部170により裏向きであると識別された紙幣が反転部191を通され、表向きであると識別された紙幣が非反転部192を通される。これにより、天地および表裏の方向が揃えられた紙幣が出金部130に出金される。
【0111】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0112】
図5に示すように、1枚の紙幣の2つの記番号が相違するとの相違判定が行われた場合に、記番号が相違する紙幣を入金リジェクト部120に返却する処理(S109)が実行されるとともに、記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させない第1返却処理(S110:YES→S111:NO→S112)と記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させる第2返却処理(S110:YES→S111:YES→S113→S112)とが選択的に実行される。
【0113】
この構成によれば、紙幣の記番号が相違するとの相違判定が行われる度に記番号が相違する旨の通知が行われないため、紙幣が入金リジェクト部120に返却された際に、誤って記番号が相違する旨の通知が行われる頻度を低減できる。よって、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知することが可能となる。
【0114】
特に、入金処理の期間内において相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理が実行される。これにより、判定の信頼性が高い状況下において、記番号が相違する旨の通知が可能となる。よって、操作者の混乱を招きにくくしつつ、その理由を操作者に通知することが、一層、可能となる。
【0115】
また、相違判定が行われた場合に相違が発生した旨を示す発生情報が保持される発生情報保持部251が備えられ、相違判定が行われた場合に、発生情報保持部251に発生情報が保持されていないときには、記番号が相違する旨が操作表示部310に出力されず、発生情報保持部251に発生情報が保持されているときには、記番号が相違する旨が操作表示部310に出力される。
【0116】
この構成によれば、発生情報保持部251に発生情報が保持されているか否かにより、最初の相違判定であるか再度の相違判定であるかを判別でき、この判別に基づいて記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させるか否かを決定できる。
【0117】
さらに、発生情報保持部251に保持された発生情報は、入金処理の終了に基づいて消去される。
【0118】
この構成によれば、一回の入金処理の期間内において、最初に相違判定がなされたときは記番号の相違が通知されず、再度の相違判定が行われたときに記番号の相違が通知されるようにすることができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0120】
<変更例1>
図7(a)ないし(c)は、それぞれ、変更例1に係る、発生情報保持部252、253、254の構成を示す図である。
【0121】
図7(a)に示す発生情報保持部252は、紙幣の金種が発生情報として記憶される記憶ファイルである。この発生情報保持部252が用いられた場合、制御部240は、図5のS112の処理において、左右の記番号が相違すると判定された紙幣の金種を発生情報保持部252に記憶(保持)させる。そして、制御部240は、S111の処理において、発生情報保持部252に金種が記憶されており、かつ、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の金種が発生情報保持部252の金種と同じである場合に、YESの判定を行い、S113の処理において、記番号が相違する旨の通知を行う。
【0122】
図7(b)に示す発生情報保持部253は、紙幣の券種が発生情報として記憶される記憶ファイルである。この発生情報保持部253が用いられた場合、制御部240は、図5のS112の処理において、左右の記番号が相違すると判定された紙幣の券種を発生情報保持部253に記憶(保持)させる。そして、制御部240は、S111の処理において、発生情報保持部253に券種が記憶されており、かつ、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の券種が発生情報保持部253の券種と同じである場合に、YESの判定を行い、S113の処理において、記番号が相違する旨の通知を行う。
【0123】
図7(c)に示す発生情報保持部254は、紙幣の金種および券種が発生情報として記憶される記憶ファイルである。この発生情報保持部254が用いられた場合、制御部240は、図5のS112の処理において、左右の記番号が相違すると判定された紙幣の金種および券種を発生情報保持部254に記憶(保持)させる。そして、制御部240は、S111の処理において、発生情報保持部254に金種および券種が記憶されており、かつ、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の金種および券種が発生情報保持部254の金種および券種と同じである場合に、YESの判定を行い、S113の処理において、記番号が相違する旨の通知を行う。
【0124】
同じ金種および/または券種の紙幣において、入金処理の期間内に記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。
【0125】
したがって、本変更例の構成によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
【0126】
<変更例2>
図8(a)は、変更例2に係る、発生情報保持部255の構成を示す図である。図8(b)および(c)は、変更例2に係る、半券同士が誤って貼り合わされた2枚の紙幣を示す図である。
【0127】
本変更例では、発生情報保持部255が、紙幣の左右の記番号が発生情報として記憶される記憶ファイルとされている。この発生情報保持部255が用いられた場合、制御部240は、図5のS112の処理において、左右の記番号が相違すると判定すると、それら左右の記番号を発生情報保持部255に記憶(保持)させる。そして、制御部240は、S111の処理において、発生情報保持部255に左右の記番号が記憶されており、かつ、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の左右の記番号が発生情報保持部255の左右の記番号と同じである場合に、YESの判定を行い、S113の処理において、記番号が相違する旨の通知を行う。
【0128】
左右双方の記番号が同じ紙幣において、入金処理の期間内に記番号が相違するとの判定が2回行われた場合は、記番号が相違することにより返却された紙幣が再投入され、その紙幣に再び記番号が異なるとの判定が行われた可能性が高い。このため、2回目の判定の信頼性が一層高くなる。
【0129】
したがって、本変更例の構成によれば、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
【0130】
さらに、制御部240は、S111の処理において、上記の左右双方の記番号が一致する場合に加えて、発生情報保持部255に左右の記番号が記憶されており、かつ、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の左側の記番号が発生情報保持部255の右側の記番号と同じである、かつ/または、今回の記番号が相違すると判定された紙幣の右側の記番号が発生情報保持部255の左側の記番号と同じである場合に、YESの判定を行うようにしてもよい。
【0131】
相違判定がなされた紙幣の左側の記番号が発生情報保持部255の右側の記番号と同じであり、かつ、相違判定がなされた紙幣の右側の記番号が発生情報保持部255の左側の記番号と同じである場合、図8(b)のように、破れた2枚の紙幣において、半券同士が入れ替わった状態で貼り合わされた後、入金が行われた可能性が高い。また、相違判定がなされた紙幣の左側の記番号が発生情報保持部255の右側の記番号と同じであるか、相違判定がなされた紙幣の右側の記番号が発生情報保持部255の左側の記番号と同じである場合、図8(c)のように、同じ紙幣の左側および右側の半券が用いられた、貼り合わせの2枚の紙幣が入金された可能性が高い。
【0132】
これにより、2回目の判定の信頼性が一層高くなるので、判定の信頼性が一層高い状況下において、記番号が相違する旨を通知することが可能となる。
【0133】
<その他の変更例>
上記実施形態では、入金処理において、1枚の紙幣の2つの記番号が相違するとの相違判定が行われた場合に、記番号が相違する紙幣を入金リジェクト部120に返却する処理(S109)が実行されるとともに、記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させない第1返却処理(S110:YES→S111:NO→S112)と記番号が相違する旨を操作表示部310に出力させる第2返却処理(S110:YES→S111:YES→S113→S112)とが選択的に実行された。しかしながら、その他の取引処理、たとえば、出金処理において、上記の処理(ステップS109ないしS113の処理)が実行されるようにしてもよい。この場合、出金処理の期間内において、相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理が実行される。発生情報保持部251に保持された発生情報は、出金処理の終了に基づいて消去される。
【0134】
また、上記実施形態では、発生情報保持部251に保持された発生情報が、入金処理の終了に基づいて消去された。即ち、入金処理の期間内において相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理が実行された。しかしながら、発生情報が消去されるタイミングは、上記のタイミングに限られない。たとえば、貨幣処理システム1を操作する操作者が切り替わるタイミング、即ち、カードリーダ330で新たな操作者のIDカードが読み込まれ、操作端末80に登録されたタイミングで、発生情報の消去が行われてもよい。また、日付が変わるタイミングや店舗の営業時間が終了するタイミングで、発生情報の消去が行われてもよい。これらの場合、操作者が同じである期間内や一日の期間内。営業時間の期間内において相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理が実行される。
【0135】
さらに、上記実施形態では、記番号が相違する旨が、操作端末80の操作表示部310に、通知画面410により出力された。しかしながら、紙幣処理装置10に表示部(操作表示部)が設けられ、この表示部に、記番号が相違する旨が画面表示等により出力されてもよい。あるいは、貨幣処理システム1に、通信可能に管理装置や端末装置(携帯端末、パーソナルコンピュータ)が接続されている場合は、これら管理装置や端末装置の表示部(操作表示部)に、記番号が相違する旨が画面表示等により出力されてもよい。さらには、記番号が相違する旨が、操作端末80等のスピーカ(図示せず)からの音声により通知されてもよい。
【0136】
さらに、上記実施形態では、操作表示部310の通知画面410により、記番号が相違する旨のみが通知された。しかしながら、記番号が相違する旨が通知とともに、左右の記番号の画像が操作表示部310に表示されてもよい。記番号の画像は、通知画面410に含まれてもよいし、別途、表示されてもよい。さらに、記番号の画像が、プリンタ320により用紙に印刷されて、出力されてもよい。このようにすれば、画面表示あるいは印刷された記番号の画像により、現物の紙幣の記番号を確認する作業をアシストできる。
【0137】
さらに、上記実施形態では、記憶部250に記憶された制御プログラムによって、制御部240に、記番号判定部241の機能が付与された。しかしながら、入金識別部160に記番号判定部が設けられ、入金識別部160において、2つの記番号の読み取りと2つの記番号が相違するか否かの判定とが行われるようにしてもよい。
【0138】
さらに、上記実施形態では、操作端末80は、タッチパネル等からなる操作表示部310を備えた。しかしながら、操作端末80に、操作表示部310に替えて、ディスプレイ、キーボードおよびマウスが備えられてもよい。
【0139】
さらに、上記実施形態では、貨幣処理システム1に組み込まれた紙幣処理装置10に、本発明が適用された。しかしながら、本発明は、他の種類の紙幣処理装置、たとえば、銀行等の窓口カウンタの内側に設置され、貨幣の入出金業務を行うテラーにより、入金処理、出金処理、紙幣を計数する計数処理等の取引処理が行われる貨幣入出金機(たとえば、特開2019-57269号公報に記載の装置)に適用されてもよい。また、本発明は、スーパーマーケット等の商業施設のバックヤードに設置され、レジ釣銭機から出金された売上金の入金処理、レジ釣銭機に補充されるつり銭の出金処理等の取引処理を行う売上金入金機(たとえば、特開2015-41172号公報に記載の装置)に適用することができる。さらに、本発明は、紙幣を計数する計数処理、紙幣を金種別等に整理(分類)する整理処理等の取引処理を行う紙幣整理機(たとえば、特開2019-101851号公報に記載の装置)に適用することができる。
【0140】
本発明が、貨幣入出金機、売上金入金機、紙幣整理機等に適用された場合、上記各種の取引処理において、第1返却処理と第2返却処理とが選択的に実行される。たとえば、各種の取引処理の期間内において、相違判定により第1返却処理が実行された後に再び相違判定が行われたことに基づいて、第2返却処理が実行される。
【0141】
同様に、上記貨幣入出金機、売上金入金機、紙幣整理機等の装置と、この装置を管理可能なパーソナルコンピュータ等の管理装置とにより構成されるシステムに、本発明の紙幣処理システムを適用できる。
【0142】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 貨幣処理システム
2 紙幣処理システム
10 紙幣処理装置
80 操作端末
120 入金リジェクト部(返却部)
160 入金識別部(読取部)
240 制御部
241 記番号判定部
242 返却処理部
250 記憶部
251、252、253、254、255 発生情報保持部
310 操作表示部(出力部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8