(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】シート収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240415BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20240415BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/42 B
(21)【出願番号】P 2020112153
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夘野 絢子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-219980(JP,A)
【文献】特開2004-196391(JP,A)
【文献】特開平10-139081(JP,A)
【文献】特開平10-081326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する箱体と、
前記箱体の天面に形成され、開裂すると前記天面に前記シートの取出口が形成される開裂用切目線とを有し、
前記開裂用切目線は、
前記取出口の周縁上に所与の間隔で複数配置された第1カットと、
前記周縁の外側に前記第1カットに対して千鳥状に複数配置された第2カットとを有し、
前記開裂用切目線が開裂したときに形成されて前記第1カットの一端と前記第2カットの一端とを連結する第3カットと前記第1カットとの間の角度が鈍角となるように、前記開裂用切目線が形成されて
おり、
前記第1カットが波形であり、
前記波形の周期が、隣り合う前記第1カット間のタイよりも長い、シート収納箱。
【請求項2】
前記第1カットの端部が、前記第2カット側に延びる、請求項1に記載のシート収納箱。
【請求項3】
前記第1カットの少なくとも一部が、前記取出口の内側に湾曲する、請求項1または2に記載のシート収納箱。
【請求項4】
前記波形の周期が、0.1mm以上6mm以下である、請求項
1乃至3のいずれか一項に記載のシート収納箱。
【請求項5】
前記波形の周期が、前記波形の波高の2倍以上である、請求項
1乃至4のいずれか一項に記載のシート収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
シート収納箱は、ティシューペーパーなどのシートが、厚紙等で作られた箱(カートンともいう)に収納され、カートンの天面に開口する取出口から引き出される構造になっている。従来のシート収納箱では、取出口に樹脂製のフィルム(いわゆる窓貼フィルム)が設けられており、該フィルムに形成されたスリットを通じてシートが引き出されるようになっている(例えば、特許第4142238号公報参照)。
【0003】
また、近年のCO2排出に伴う地球温暖化対策として化石燃料の使用を削減したり、マイクロプラスチック等の海洋汚染を抑制する観点から、樹脂製のフィルムを使用しないシート収納箱(いわゆるフィルムレスカートン)のニーズが高まっている。これらのシート収納箱では、天面に取出口を形成するためのミシン目が設けられており、ミシン目の開裂を容易にするため、ミシン目を構成する複数のカットが千鳥状に配置されている(例えば、特開2007-112503号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4142238号公報
【文献】特開2007-112503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、使用時にシートが破れにくいシート収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るシート収納箱は、積層された複数枚のシートを収容する箱体と、前記箱体の天面に形成され、開裂すると前記天面に前記シートの取出口が形成される開裂用切目線とを有し、前記開裂用切目線は、前記取出口の周縁上に所与の間隔で複数配置された第1カットと、前記周縁の外側に前記第1カットに対して千鳥状に複数配置された第2カットとを有し、前記開裂用切目線が開裂したときに形成されて前記第1カットの一端と前記第2カットの一端とを連結する第3カットと前記第1カットとの間の角度が鈍角となるように、前記開裂用切目線が形成されている。
【0007】
本明細書において、箱体は、シートが収容される容器である。箱体の天面は、収容されたシートが箱体から取り出される面を示す。開裂用切目線は、カットとタイ(2つのカット間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイが破断すると両隣のカットが連続したカットになる切目線を示す。取出口の周縁は、天面に形成される取出口を囲む端縁を示す。
【0008】
取出口の周縁上に所与の間隔で複数配置されたカットは、開裂用切目線が開裂したときに取出口の周縁となり得る部分に開裂用切目線を構成する複数のカットが所定の間隔をあけて配置されていることを示す。周縁の外側とは、開裂用切目線が開裂したときに形成される取出口の周縁から外側に離れた部分を示す。
【0009】
千鳥状に配置されるとは、第2カットが第1カット間のタイと平行に並ぶ位置に配置されることを示す。開裂用切目線が開裂したときに形成されるとは、開裂用切目線が開裂する前は第3カットが形成されておらず、開裂用切目線が開裂した後に第3カット形成されることを示す。
【0010】
第1カットの一端と第2カットの一端とを連結するとは、第1カットの一端から第2カットの両端のうち距離が最短となる第2カットの一端まで開裂用切目線が開裂することを示す。鈍角とは、第3カットと第1カットとの間の角度が90度より大きく180度より小さいことを示す。
【0011】
第1の態様では、開裂用切目線が開裂したときに形成される第3カットが第1カットの一端と第2カットの一端とを連結し、第1カットと第3カットの連結部(角部)において第1カットと第3カットとの間の角度が鈍角となる。これにより、開裂用切目線は開裂し易いまま、開裂用切目線の開裂後に形成される第1カットと第3カットの角部にシートが触れた場合でもシートが破れにくい。そのため、第1の態様では、取出口の開封を容易にしながら、取出口からシートを取り出す際にシートが破れにくい。
【0012】
また、第1の態様では、箱体内に収容されたシートを取出口から取り出す際に取出口に手指を挿入した場合、挿入した手指が第1カットと第3カットの角部に触れる可能性がある。しかしながら、第1の態様では、第1カットと第3カットとの間の角度が鈍角であるため、挿入した手指が第1カットと第3カットの角部に触れた場合でも、手指にかかる負担が少ない。
【0013】
第2の態様に係るシート収納箱は、前記第1カットの端部が、前記第2カット側に延びる。ここで、カットの端部とは、カットの一端寄りの部分を示す。第2カット側に延びるとは、第1カットの端部が第2カットに向かって延びることを示す。
【0014】
第2の態様では、第1カットの端部が第2カット側に延びることで、開裂用切目線を開裂する力が第1カットから第2カットに伝わりやすくなる。これにより、第2の態様では、第3カットと第1カットとの間の角度が鈍角となる場合でも、開裂用切目線が開裂しやすく、開裂用切目線が開裂する際に第3カットが予期せぬ方向に形成されることを抑制することができる。
【0015】
第3の態様に係るシート収納箱は、前記第1カットの少なくとも一部が、前記取出口の内側に湾曲する。ここで、第1カットの少なくとも一部は、第1カットの全部または一部を示す。取出口の内側に湾曲するとは、取出口の周縁の内側に向かって凸状に曲がることを示す。
【0016】
第3の態様では、第1カットの少なくとも一部が取出口の内側に湾曲することで、取出口を通過するシートは取出口の内側に湾曲する部分に接触しやすくなる。そのため、第1カットと第3カットの角部に接触しにくくなり、取出口からシートを取り出す際にさらにシートが破れにくい。
【0017】
また、第3の態様では、箱体内に収容されたシートを取出口から取り出す際に、取出口に手指を挿入した場合でも、挿入した手指は取出口の内側に湾曲する部分に触れやすくなる。そのため、取出口に挿入した手指は、第1カットと第3カットの角部に接触しにくくなり、手指にかかる負担がさらに少ないものとなる。
【0018】
第4の態様に係るシート収納箱は、前記第1カットが波形である。ここで、波形とは、曲線状の凹部と凸部が繰り返し連続する形状を示す。第4の態様では、開裂用切目線の第1カットを波形にすることで、開裂用切目線が開裂したときに第1カットの波形が取出口の周縁に残される。
【0019】
これにより、第4の態様では、取出口の周縁のシートが擦れる部分が波形の凸部だけになる。そのため、第1カットと第3カットの角部に接触しにくくなり、シートを取り出す際にシートが破損にくい。また、取り出されるシートが取出口の周縁に形成された波線の凸部に支持されやすくなり、シートの落ち込みが抑制される。さらに、第1カットを波形にすることで、取出口の周縁の手指が触れる部分が波形の凸部だけになるため、シート収納箱の使用時に手指にかかる負担がさらに少なくなる。
【0020】
第5の態様に係るシート収納箱は、前記波形の周期が、隣り合う前記第1カット間のタイよりも長い。ここで、波形の周期とは、波形の隣り合う2つの凸部間の距離または凹部間の距離を示す。隣り合う第1カット間のタイの長さは、第2カットの長さに対応する。
【0021】
第5の態様では、波形の周期が隣り合う第1カット間のタイよりも長いことで、開裂用切目線が開裂したときに取出口の周縁に残される波形の凸部を少なくすることができる。これにより、取出口の周縁においてシートが擦れる部分が少なくなり、シートの破れが抑制される。
【0022】
また、第5の態様では、波形の周期が隣り合う第1カット間のタイよりも長いことで、取出口の周縁に形成される波形の凸部の傾斜がなだらかになる。これにより、取出口の周縁がなめらかになり、取出口からシートを取り出す際にさらにシートが破れにくい。また、取出口の周縁に触れる手指の違和感を軽減し、手指への負担を軽減することができる。
【0023】
第6の態様に係るシート収納箱は、前記波形の周期が、0.1mm以上6mm以下である。波形の周期が0.1mm以上6mm以下であることは、波形のスケールが微小であることを示す。第6の態様では、波形の周期を0.1mm以上6mm以下にすることで、波形の凸部または凹部の間隔が小さくなる。これにより、取出口の周縁に触れる手指の違和感をさらに軽減し、該手指への負担をさらに軽減することができる。
【0024】
また、第6の態様では、取出口の周縁で波形の凸部または凹部の間隔が小さくなることで、取出口の周縁を波形にすることによるシート収納箱の外観(または見栄え)の低下を抑制することができる。
【0025】
第7の態様に係るシート収納箱は、前記波形の周期が、前記波形の波高の2倍以上である。ここで、波形の波高とは、波形の凸部の頂部から凹部の底部までの垂直距離を示す。
【0026】
第7の態様では、波形の周期を波形の波高の2倍以上にすることで、取出口の周縁に形成される波形の凸部の傾斜がなだらかになる。これにより、取出口の周縁がなめらかになり、取出口からシートを取り出す際にさらにシートが破れにくい。また、取出口の周縁に触れる手指の違和感をさらに軽減し、該手指への負担をさらに軽減することができる。
【0027】
また、第7の態様では、取出口の周縁に形成される波形の凸部の傾斜がなだらかになることで、取出口の周縁を波形にすることによるシート収納箱の外観(または見栄え)の低下をさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、使用時にシートが破れにくいシート収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】第1開裂用切目線の第1カットの波形の一例を示す図。
【
図4】第1開裂用切目線の第1カットの波形の他の一例を示す図。
【
図5】第1開裂用切目線の第1カットの波形のさらに他の一例を示す図。
【
図6】実施形態の一例における第1カットと第2カットの位置関係を示す図。
【
図7】
図6において第1カットと第2カットの間に第3カットが形成された状態を示す図。
【
図8】実施形態の他の一例における第1カットと第2カットの位置関係を示す図。
【
図9】実施形態のさらに他の一例における第1カットと第2カットの位置関係を示す図。
【
図10】
図2において第2開裂用切目線が開裂した(第2開口が開口した)図。
【
図11】
図10において第1開裂用切目線が開裂した(第1開口が開口した)図。
【
図12】
図11においてシートが取出口を通過する状態を示す図。
【
図13】従来のシート収納箱における、第1カットと第2カットの位置関係を示す図。
【
図14】
図13においてミシン目が開裂した後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0031】
本明細書では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート収納箱の長手方向または左右方向をX方向とし、短手方向または前後方向をY方向とし、高さ方向または上下方向をZ方向とする。また、上方とは、シート収納箱の高さ方向(Z方向)において、箱体の天面の上側を示す。
【0032】
図1は、実施形態に係るシート収納箱を示す図である。
図2は、
図1をシート収納箱の上方から見た図である。本実施形態に係るシート収納箱100は、積層された複数枚のシートS(シート積層体SL)を収容する箱体10と、箱体10の天面11に形成され、開裂すると天面11にシートSの取出口20(第1開口)が形成される開裂用切目線M1(第1開裂用切目線)とを有する。
【0033】
箱体10は、シートSが収容される容器である。本実施形態では、
図1に示すように、箱体10が略直方体(立方体を含む)状に形成されている。具体的には、箱体10は、天面11、底面12、側面13、14、および側面(妻面)15、16を有する。天面11と底面12は、高さ方向(Z方向)に対向し、側面13、14は、短手方向(Y方向)に対向し、妻面15、16は、長手方向(X方向)に対向する。
【0034】
本実施形態では、箱体10には、積層された複数枚のシートS(シート積層体SL)が収容されている。シート積層体SLを構成するシートSとして、積層方向が高さ方向(Z方向)となる複数枚の薄葉紙(ティシューペーパー)が収容されている。なお。箱体10の天面11は、収容されたシートS(シート積層体SL)が箱体10から取り出される面を示す。
【0035】
箱体10の材質は、限定されず、パルプを主原料とする原紙が用いられる。ここで、原紙は、箱体10を組み立てるための材料となる堅くて厚い紙を示す。原紙のパルプ組成は、箱体における公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合は、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。本実施形態では、例えば、バージンパルプ、古紙パルプなどを原料とする板紙(例えば、コートボール紙)が用いられる。
【0036】
箱体10の寸法は、限定されず、収納されるシートS(シート積層体SL)の量や寸法などにより定めることができる。なお、箱体10の寸法としては、例えば、箱体10の長手方向(X方向)の長さL1を、100mm以上300mm以下にすることができ、好ましくは150mm以上280mm以下にする。また、短手方向(Y方向)の幅W1を100mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは100mm以上130mm以下にする。さらに、高さ方向(Z方向)の高さHを、30mm以上150mm以下にすることができ、好ましくは40mm以上100mm以下にする。
【0037】
箱体10の坪量は、限定されないが、使用に耐えうる十分な強度を確保する観点から、原紙の坪量が200g/m2以上500g/m2以下にすることができ、好ましくは230g/m2以上450g/m2以下であり、より好ましくは270g/m2以上430g/m2以下である。なお、本明細書において、坪量とは、JIS P 8124(1998)の坪量測定方法に準じて測定したものである。
【0038】
箱体10の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、箱体10が板紙(例えば、コートボール紙)の場合、箱体10の紙厚は、0.1mm以上3mm以下にすることができ、好ましくは0.3mm以上2mm以下、より好ましくは0.5mm以上1mm以下である。
【0039】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙のシート(以下、紙シートという)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0040】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いてもよい。
【0041】
また、シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m2以上80g/m2以下、不織布の場合は20g/m2以上100g/m2以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。
【0042】
また、シートSの厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSを構成する紙シートの紙厚は、2プライあたり、50μm以上500μm以下にすることができ、好ましくは60μm以上330μm以下である。
【0043】
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0044】
シートSの用途は、ティシューペーパーに限定されず、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル、ベビー用または介護用の紙おむつ、生理用ナプキン等の物品に適用可能である。なお、ティシューペーパー等の衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。また、シートSは、産業用、家庭用、携帯用のいずれにも適用できる。なお、本実施形態では、これらの中でも、家庭用のティシューペーパーが好適に用いられる。
【0045】
シートSのプライ数は、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライ、より好ましくは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、2プライのシートが折り畳まれた状態の形状が平面視で長方形であることが好ましい。
【0046】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体SL)、複数枚(または複数組)のシートSが単に積層されたもの、各シートSが折り畳まれた状態で積層されたもの等が挙げられる。なお、シートSを1枚または1組ずつ引き出す観点から、シート積層体SLの形態は、ポップアップ式のシート積層体SLが好ましい。
【0047】
シート積層体SLの寸法は、例えば、ティシューペーパーの場合、長手方向(X方向)の長さが150mm以上250mm以下であり、短手方向(Y方向)の長さが60mm以上130mm以下であり、高さ方向(Z方向)の高さ20mm以上110mm以下である。このようなシート積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0048】
本実施形態では、シートSを取り出すため第1開口20を有する。第1開口20は、箱体10の天面11に形成され、シートSの取出口20を構成する。第1開口20は、長手方向(X方向)に所与の長さL2と、長手方向(X方向)と交差する短手方向(Y方向)に所与の幅W2とを有する。
【0049】
ここで、長手方向(X方向)は、箱体10の天面11上の所定の一方向に沿う方向を示す。長手方向(X方向)と交差する短手方向(Y方向)は、箱体10の天面11上の所定の一方向に沿う方向と直交する方向または筋かいに交わる方向に沿う方向を示す(
図2)。
【0050】
なお、長手方向(X方向)における第1開口20の長さL2は、長手方向(X方向)における天面11の長さL1の40%以上95%以下であり、好ましくは45%以上90%以下、より好ましくは50%以上85%以下である。ここで、天面11の長さは、長手方向(X方向)に沿う天面11の全長であり、第1開口20の長さは、長手方向(X方向)に沿う第1開口20の長さである(
図2参照)。
【0051】
また、短手方向(Y方向)における第1開口20の幅W2は、短手方向(Y方向)における天面11の幅W1の10%以上85%以下であり、好ましくは15%以上70%以下、より好ましくは20%以上60%以下である。ここで、天面11の幅W1は、短手方向(Y方向)に沿う天面11の全幅であり、第1開口20の幅W2は、長手方向(X方向)に沿って第1開口20の幅が最大となる寸法(両端部22、23の最大幅)である(
図2参照)。
【0052】
本実施形態では、第1開口20の幅W2が、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21側から長手方向(X方向)の両端部22、23側に向かって広くなる。本実施形態では、第1開口20の短手方向(Y方向)の幅W2が、長手方向(X方向)に沿って第1開口20の中央部21側から両端部22、23側(天面11の端縁E13、E14側)に進むにつれて天面11の端縁E11、E12側に拡がる(
図2)。
【0053】
本実施形態では、第1開口20の周縁E2は、両端部22、23で湾曲する。ここで、両端部22、23で湾曲することは、第1開口20の周縁E2が第1開口20の両端部22、23で第1開口20の外側に凸状に曲がることを示す。
【0054】
本実施形態では、第1開口20の幅W2が、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21で短手方向(Y方向)に拡がる。本実施形態では、第1開口20の中央部21における短手方向(Y方向)の幅W2が、短手方向(Y方向)に沿って天面11の端縁E11、E12側に広くなっている(
図2)。
【0055】
なお、長手方向(X方向)における第1開口20の中央部21の長さL3は、長手方向(X方向)における天面11の長さL1の1%以上40%以下であり、好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上20%以下である。また、短手方向(Y方向)における第1開口20の中央部21の幅W3は、長手方向(X方向)における天面11の幅W1の10%以上40%以下であり、好ましくは15%以上35%以下、より好ましくは20%以上30%以下である(
図2参照)。
【0056】
本実施形態では、第1開口20の周縁E2は、第1開口20の中央部21で短手方向(Y方向)に湾曲する。ここで、中央部21で短手方向(Y方向)に湾曲することは、第1開口20の周縁E2が、長手方向(X方向)の中央部21で第1開口20の短手方向(Y方向)の外側に凸状に曲がることを示す。
【0057】
本実施形態のシート収納箱100において、開裂用切目線M1は、取出口20の周縁E2上に所与の間隔で複数配置された第1カットC1を有する(
図2)。開裂用切目線M1は、第1カットC1とタイT1(2つの第1カットC1間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイT1またはタイT1の周辺が破断すると両隣のカットが連続したカットになる切目線を示す。
【0058】
なお、第1開裂用切目線M1において、各カットC1の長さは、0.3mm以上40mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上35mm以下であり、より好ましくは1mm以上30mm以下である。また、各タイT1の長さは、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
【0059】
ここで、取出口20の周縁E2は、天面11に形成される取出口20を囲む端縁(内縁E15)を示す(
図2)。また、取出口20の周縁E2上に所与の間隔で複数配置された第1カットC1は、開裂用切目線M1が開裂したときに取出口20の周縁E2となり得る部分に開裂用切目線M1を構成する複数の第1カットC1が所定の間隔をあけて配置されていることを示す(
図2)。
【0060】
本実施形態に係るシート収納箱100は、第1カットC1の少なくとも一部が、取出口20の内側に湾曲する。ここで、第1カットC1の少なくとも一部は、第1カットC1の全部または一部を示す。取出口20の内側に湾曲するとは、取出口20の周縁E2の内側に向かって凸状に曲がることを示す。
【0061】
具体的には、第1カットC1が波形Uである。ここで、波形Uとは、曲線状の凹部Bと凸部Dが繰り返し連続する形状を示す。本実施形態では、開裂用切目線M1の第1カットC1を波形Uにすることで、開裂用切目線M1が開裂したときに第1カットC1の波形Uが取出口20の周縁E2に残される(
図11)。
【0062】
本実施形態に係るシート収納箱100は、波形Uの周期Pが、好ましくは0.1mm以上6mm以下であり、より好ましくは0.3mm以上4.5mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上3mm以下である。ここで、波形Uの周期Pは、波形Uの隣り合う2つの凸部D(D1、D2)間の距離または凹部B(B1、B2)間の距離を示す(
図3)。なお、波形Uの周期Pが0.1mm以上6mm以下であることは、波形Uのスケールが微小であることを示す。
【0063】
本実施形態に係るシート収納箱100は、波形Uの周期Pが、波形Uの波高Hの2倍以上である。ここで、波形Uの波高Hとは、波形Uの凸部Dの頂部から凹部Bの底部までの垂直距離Hを示す。
【0064】
本実施形態では、第1開裂用切目線M1の第1カットC1を構成する波形Uとして、例えば、周期P1が波高H1の約5倍である波形W1を採用することができる(
図3)。また、周期P2が波高H2の約10倍である波形W1を採用することができる(
図4)。さらに、周期P3が波高H3の約2倍である波形W1を採用することができる(
図5)。
【0065】
波形Uの波高Hは、好ましくは0.05mm以上3mm以下であり、より好ましくは0.1mm以上2.5mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以上2mm以下である。なお、波形Uの波高Hが0.05mm以上3mm以下の範囲であることは、波形Uのスケールが微小であることを示す。
【0066】
本実施形態では、第1開裂用切目線M1で囲まれた天面11の一部11Aの長手方向(X方向)の両端部22、23側に第1開裂用切目線M1を開裂するための第2開口30、40が形成されている。天面11の一部11Aは、天面11の半分より少ない範囲の部分を占め、第1開裂用切目線M1が開裂すると天面11に第1開口20が形成される部分である(
図2、
図10)。第2開口30、40は、第2開口30、40が第1開裂用切目線M1を開裂するためのトリガーを構成する。
【0067】
第2開口30、40の周縁E3の一部(波形で構成された部分)は、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21側から長手方向(X方向)の両端部22、23側に湾曲する。ここで、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21側から長手方向(X方向)の両端部22、23側に湾曲するとは、第2開口30、40の周縁E3が、第1開口20の長手方向(X方向)の外側に向かって凸状に曲がることを示す(
図1、
図2)。
【0068】
本実施形態では、天面11の一部11Aに、開裂すると第2開口30、40が形成される第2開裂用切目線M2が形成されている。第2開裂用切目線M2は、カットC4とタイT2(2つのカットC4、C4間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイT2が破断すると両隣のカットC4、C4が連続したカットになる。
【0069】
なお、第2開裂用切目線M2において、各カットC4の長さは、0.3mm以上40mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上35mm以下であり、より好ましくは1mm以上30mm以下である。また、各タイT2の長さは、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
【0070】
本実施形態では、第2開裂用切目線M2のカットC4が波形で構成されている(
図2)。第2開裂用切目線M2のカットC4を構成する波形は、特に限定されず、例えば、上述の波形Uと同じ波形を採用することができる。なお、本実施形態では、開裂用切目線M2のカットC4を波形にすることで、開裂用切目線M2が開裂したときにカットC4の波形が第2開口30、40の周縁E3に残される(
図10)。
【0071】
本実施形態のシート収納箱100において、開裂用切目線M1は、さらに、周縁E2の外側に第1カットC1に対して千鳥状に複数配置された第2カットC2を有する。周縁E2の外側とは、開裂用切目線M1が開裂したときに形成される取出口20の周縁E2から外側に離れた部分を示す(
図2、
図6)。千鳥状に配置されるとは、第2カットC2が第1カットC1間のタイT1と平行に並ぶ位置に配置されることを示す(
図2、
図6)。
【0072】
なお、取出口20の周縁E2と第2カットC2の最短距離は、開裂用切目線が開裂して第3カットが形成される限り任意である。取出口20の周縁E2と第2カットC2の最短距離は、例えば、0.3mm以上2.5mm以下とすることができ、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。
【0073】
本実施形態のシート収納箱100では、開裂用切目線M1が開裂したときに形成されて第1カットC1の一端V1と第2カットC2の一端V2とを連結する第3カットC3と第1カットC1との間の角度θ1が鈍角となるように、開裂用切目線M1が形成されている(
図6、
図7)。ここで、開裂用切目線M1が開裂したときに形成されるとは、開裂用切目線M1が開裂する前は第3カットC3が形成されておらず、開裂用切目線M1が開裂した後に第3カットC3形成されることを示す(
図7)。
【0074】
また、第1カットC1の一端V1と第2カットC2の一端V2とを連結するとは、第1カットC1の一端V1から、第2カットC2の両端V2のうち距離が最短となる第2カットC2の一端V2まで開裂用切目線M1が開裂することを示す(
図6、
図7)。鈍角とは、第3カットC3と第1カットC1との間の角度θ1が90度より大きく180度より小さいことを示す(
図7)。
【0075】
本実施形態に係るシート収納箱100は、第1カットC1の端部CEが第2カットC2側に延びる。ここで、第1カットC1の端部CEとは、第1カットC1の一端V1寄りの部分CEを示す。第2カットC2側に延びるとは、第1カットC1の端部CEが第2カットC2に向かって延びることを示す(
図6)。
【0076】
実施形態に係るシート収納箱100では、
図6に示すように、波形Uの周期Pを、隣り合う第1カットC1間のタイT1より短くしてもよい。また、
図8に示すように、波形Uの周期Pを隣り合う第1カットC1間のタイT1と同じ長さにしてもよい。さらに、
図9に示すように、本波形Uの周期Pを、隣り合う第1カットC1間のタイT1よりも長くしてもよい。
【0077】
ここで、隣り合う第1カットC1間のタイT1の長さは、第2カットの長さQ(Q1、Q2、Q3)に対応する(
図6、
図8、
図9)。なお、本実施形態では、
図9に示すように、第2カットC2を第1カットC1から離れる方向に凸状に湾曲させてもよい。
【0078】
以下、本実施形態の効果について、説明する。本実施形態では、上述のように、開裂用切目線M1が開裂したときに形成される第3カットC3が第1カットC1の一端V1と第2カットC2の一端V2とを連結する。そして、第1カットC1と第3カットC3の連結部(角部)COにおいて第1カットC1と第3カットC3との間の角度θ1が鈍角となる。すなわち、第1カットC1と第3カットC3との間の角度θ1が鋭角にならない(
図7)。
【0079】
これにより、本実施形態では、開裂用切目線M1は開裂し易いまま、開裂用切目線M1の開裂後に形成される第1カットC1と第3カットC3の角部COにシートSが触れた場合でもシートSが破れにくい。そのため、本実施形態では、取出口20の開封を容易にしながら、取出口20からシートSを取り出す際にシートSが破れにくい(
図7、
図12)。
【0080】
また、本実施形態では、箱体10内に収容されたシートSを取出口20から取り出す際に取出口20に手指を挿入した場合、挿入した手指が第1カットC1と第3カットC3の角部COに触れる可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1カットC1と第3カットC3との間の角度θ1が鈍角であるため、挿入した手指が第1カットC1と第3カットC3の角部COに触れた場合でも、手指にかかる負担(例えば、手指等を痛めたり、傷つくこと等)が少ない(
図7、
図11)。
【0081】
本実施形態では、上述のように、第1カットC1の端部CEが第2カットC2側に延びることで、開裂用切目線M1を開裂する力が第1カットC1から第2カットC2に伝わりやすくなる。これにより、本実施形態では、第3カットC3と第1カットC1との間の角度θ1が鈍角となる場合でも、開裂用切目線M1が開裂しやすく、開裂用切目線M1が開裂する際に第3カットC3が予期せぬ方向に形成されることを抑制することができる(
図6~
図8)。
【0082】
本実施形態では、上述のように、第1カットC1の少なくとも一部が取出口20の内側に湾曲することで、取出口20を通過するシートSは取出口20の内側に湾曲する部分に接触しやすくなる。そのため、第1カットC1と第3カットC3の角部COに接触しにくくなり、取出口20からシートSを取り出す際にさらにシートSが破れにくい(
図7、
図12)。
【0083】
具体的には、上述のように、取出口20の周縁E2のシートSが擦れる部分が波形Uの凸部Dだけになる。そのため、第1カットC1と第3カットC3の角部COに接触しにくくなり、シートSを取り出す際にシートSが破損にくい。また、取り出されるシートSが取出口20の周縁E2に形成された波線の凸部Dに支持されやすくなり、シートSの落ち込みが抑制される(
図7、
図12)。
【0084】
また、本実施形態では、箱体10内に収容されたシートSを取出口20から取り出す際に、取出口20に手指を挿入した場合でも、挿入した手指は取出口20の内側に湾曲する部分に触れやすくなる。そのため、取出口20に挿入した手指は、第1カットC1と第3カットC3の角部COに接触しにくくなり、手指にかかる負担がさらに少ないものとなる(
図7、
図11)。
【0085】
具体的には、第1カットC1を波形Uにすることで、取出口20の周縁E2の手指が触れる部分が波形Uの凸部Dだけになるため、シート収納箱100の使用時に手指にかかる負担がさらに少なくなる(
図7、
図11)。
【0086】
本実施形態では、上述のように、波形Uの周期Pを隣り合う第1カットC1間のタイT1よりも長くした場合は、開裂用切目線M1が開裂したときに取出口20の周縁E2に残される波形Uの凸部Dを少なくすることができる(
図9)。これにより、取出口20の周縁E2においてシートSが擦れる部分が少なくなり、シートSの破れが抑制される(
図7、
図12)。
【0087】
また、本実施形態では、波形Uの周期Pが隣り合う第1カットC1間のタイT1よりも長い場合、取出口20の周縁E2に形成される波形Uの凸部Dの傾斜がなだらかになる(
図9)。これにより、取出口20の周縁E2がなめらかになり、取出口20からシートSを取り出す際にさらにシートSが破れにくい。また、取出口20の周縁E2に触れる手指の違和感を軽減し、手指への負担を軽減することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、
図9に示すように、第2カットC2を第1カットC1から離れる方向に凸状に湾曲させることで、第1カットの一部が連続するものと仮定した場合に、その連続する第1カットの一部を切り取って取出口20の周縁E2の外側にずらしたものを第2カットとして設計することができる。そのため、第1カットに対して第2カットの設計が容易である。
【0089】
本実施形態では、上述のように、波形の周期Pを0.1mm以上6mm以下にすることで、波形Uの凸部Dまたは凹部Bの間隔が小さくなる(
図3~
図5、
図11)。これにより、取出口20の周縁E2に触れる手指の違和感をさらに軽減し、該手指への負担をさらに軽減することができる。
【0090】
また、本実施形態では、取出口20の周縁E2で波形Uの凸部Dまたは凹部Bの間隔が小さくなることで、取出口20の周縁E2を波形Uにすることによるシート収納箱100の外観(または見栄え)の低下を抑制することができる(
図3~
図5、
図11)。
【0091】
本実施形態では、上述のように、波形Uの周期Pを波形Uの波高Hの2倍以上にすることで、取出口20の周縁E2に形成される波形Uの凸部Dまたは凹部Bの傾斜がなだらかになる(
図3~
図9)。これにより、取出口20の周縁E2がなめらかになり、取出口20からシートSを取り出す際にさらにシートSが破れにくい(
図12)。また、取出口20の周縁E2に触れる手指の違和感をさらに軽減し、該手指への負担をさらに軽減することができる(
図11)。
【0092】
また、本実施形態では、取出口20の周縁E2に形成される波形Uの凸部Dまたは凹部Bの傾斜がなだらかになることで、取出口20の周縁E2を波形Uにすることによるシート収納箱100の外観(または見栄え)の低下をさらに抑制することができる(
図3~
図5、
図11)。
【0093】
なお、シート収納箱の取出口では、上述のように、シートSを取り出す際に取出口の長手方向(X方向)の両端部でシートが詰まりやすく破断しやすい。これに対して、本実施形態では、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21側から長手方向(X方向)の両端部22、23側に向かって広くなることで、取出口OPを構成する第1開口20の幅W2が長手方向(X方向)の中央部21側より両端部22、23側で広くなる。そのため、シートSを取り出す際にシートSが詰まりやすく破断し易い取出口OPの長手方向の両端部で、シートSが詰まりにくくなり、破断を抑制することができる(
図1、
図2、
図11、
図12)。
【0094】
本実施形態では、上述のように、第1開口20の周縁E2が、第1開口20の長手方向(X方向)の両端部22、23で湾曲することで、シートSが擦れやすく破断しやすい取出口OPの両端部22、23において、引き出されるシートSに対する抵抗を和らげることができる。そのため、本実施形態では、取出口OPでシートSが詰まりにくく、シートSの破断を抑制することができる。
【0095】
本実施形態では、上述のように、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21で短手方向(Y方向)に拡がることで、開口した取出口OPの中央部21に手指等が入れやすくなる。これにより、取出口OPに詰まり易い上層のシートS(例えば1枚目または1組目のシートS1)を容易に引き出すことができる。また、使用中に箱体10内に落ち込んだシートSを箱体10内に手指を入れて簡単に取り出すことができる。さらに、手指を第1開口20に挿入する際に、手指が第1開口20の周縁E2に触れたときの違和感をさらに軽減し、手指への負担をさらに少なくすることができる(
図1、
図2、
図11、
図12)。
【0096】
本実施形態では、上述のように、第1開口20の周縁E2が、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21で短手方向(Y方向)に湾曲することで、手指を第1開口20の中央部21に挿入する際に、手指が第1開口20の周縁E2に対してなめらかに触れることができる。そのため、第1開口20の周縁E2に触れる手指の違和感をさらに軽減し、該手指への負担をさらに軽減することができる。
【0097】
本実施形態では、上述のように、天面11に形成された第1開裂用切目線M1のカットC1が波形Uであり、開裂用切目線M1が開裂したときに第1カットC1の波形Uが取出口20の周縁E2に残される。そのため、本実施形態では、天面11に形成された第1開裂用切目線M1を開裂することで、箱体10の天面11に周縁E2が波形UとなるシートSの取出口20(OP)を形成することができる(
図1~
図12)。
【0098】
また、本実施形態では、上述のように、第1開口20の短手方向(Y方向)の幅W2が、長手方向(X方向)に沿って第1開口20の両端部22、23側から中央部21側に進むにつれて短手方向(Y方向)に狭まっている。そのため、第1開裂用切目線M1を開裂して第1開口20を形成する際に短手方向(Y方向)の幅W2が広い第1開口20の両端部22、23から該幅W2が狭い中央部21に向かって第1開裂用切目線M1を開裂することで、第1開裂用切目線M1をスムーズに開裂することができる(
図1、
図2、
図10~
図12)。
【0099】
本実施形態では、上述のように、第1開裂用切目線M1で囲まれた天面11の一部11Aに、第1開裂用切目線M1を開裂するための第2開口30、40を形成することで、第2開口30、40に指先を挿入することができ、挿入した指先を該天面11の一部11Aに掛けて上方に引き上げることができる。これにより、第2開口30、40が第1開裂用切目線M1を開裂する際のトリガーとなり、天面11に形成された第1開裂用切目線M1を開裂することによる第1開口20の形成が容易になる(
図1、
図2、
図10、
図11)。
【0100】
本実施形態では、上述のように、第2開口30、40を構成する第2開裂用切目線M2のカットC4を波形にすることで、第2開口30、40の周縁E3の指先が触れる部分が波形U2の凸部だけになる。そのため、第1開裂用切目線M1を開裂して天面11に第1開口20を形成する際に、指先を第2開口30、40に挿入する場合や、挿入した指先を天面11の一部11Aに掛けて上方に引き上げる場合に、手指にかかる負担を少なくすることができる(
図1~
図5、
図10)。
【0101】
本実施形態では、上述のように、第2開口30、40の周縁E3の一部(波形で構成された部分)が、第1開口20の長手方向(X方向)の中央部21側から長手方向(X方向)の両端部22、23側に湾曲することで、指先を第2開口30、40に挿入する際に、指先が第2開口30、40の周縁E3に対してなめらかに触れることができる。そのため、第2開口30、40の周縁E3に触れる指先の違和感をさらに軽減し、該指先への負担をさらに軽減することができる(
図1~
図5、
図10)。
【0102】
本実施形態では、上述のように、天面11の一部11Aに形成された第2開裂用切目線M2のカットC4が波形であり、開裂用切目線M2が開裂したときにカットC4の波形が第2開口30、40の周縁E3に残される。そのため、本実施形態では、天面11の一部11Aに形成された第2開裂用切目線M2を開裂することで、箱体10の天面11の一部11Aに周縁E3が波形の第2開口30、40を形成することができる(
図1~
図5、
図10)。
【0103】
なお、このように天面11の一部11Aに形成された第2開口30、40は、上述のように、第1開裂用切目線M1を開裂する際のトリガーを構成することができる。具体的には、第2開裂用切目線M2を開裂することで、基端Rを介して天面11の一部11Aに接続する断片Fが形成され、断片Fを箱体10の内側または外側に傾けることにより、第2開口30、40が形成される。そして、第2開口30、40に指先を挿入することで、天面11の一部11Aに指先を掛けることができる。また、第2開口30、40に挿入した指先は、折り目となる断片Fの基端Rに掛かるため、指先への負担はさらに軽減される(
図10)。
【0104】
本実施形態では、上述のように、天面11の一部11Aの第1開口20の長手方向(X方向)の両端部22、23側に形成された第2開口30、40に指先を挿入し、挿入した指先を該天面11の一部11Aに掛けて上方に引き上げることができる。これにより、第1開口20の長手方向(X方向)の両端部22、23から中央部21に向かって第1開裂用切目線M1を開裂することができるため、天面11への第1開口20の形成が容易である(
図1、
図2、
図6、
図7)。
【実施例】
【0105】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例、実験例の評価は、以下の試験により行った。
【0106】
[シート収納箱(試験体)]
原紙が坪量310g/m
2の原紙(裏ネズコートボール紙)を用いて、寸法が高さ約44mm、幅約229mm、奥行き約110mmの箱体10を作製した。箱体10の天面11には、第1開口20を形成するための第1開裂用切目線M1を形成した。開裂用切目線M1は、取出口20の周縁E2上にタイT1を挟んで並ぶ第1カットC1と、周縁E2の外側に第1カットC1に対して千鳥状に配置された第2カットC2とで構成した。第1開口20の大きさは、長手方向(X方向)の長さL2が全長で約177mm、中央部21で約29mm、両端部22、23で約17mm、短手方向(Y方向)の幅W2が中央部21で約35mm、両端部22、23で約35mm、その他の最小となる部分で約17mmとした(
図1、
図2参照)。箱体10の天面11の一部11Aには、第2開口30、40を形成するための第2開裂用切目線M2を形成した。第2開口30、40は、楕円を半分にした形状とし、第2開裂用切目線M2が開裂すると、基端Rを介して天面11の一部11Aに接続する断片Fが形成されるように、第1開口20の長手方向(X方向)の両端部22、23側に対応する部分に設けた(
図1、
図2、
図10参照)。
【0107】
[シート(ティシューペーパー)]
シートS(シート積層体SL)は、交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー(坪量:10.7g/m
2、紙厚:110μm、プライ数:2プライ、組数:150組(300枚)、寸法:嵩(高さ)約42mm、縦幅約197mm、横幅約207mm)を用いた。また、シートS(シート積層体SL)は、積層方向がシート収納箱100の高さ方向(Z方向)となるように箱体10に収容した(
図1、
図12参照)。
【0108】
[シート破れ]
シート収納箱(試験体)において、シートSを5回取り出し、シートの破れを確認した。なお、シートSは、シート積層体SLの最初の5枚を取り出し、箱体の天面との角度が60度となる方向に取出口からシートを引き出した。評価は、以下の基準で行い、◎または〇を良好、×を不良とした。
◎:シートの破れが1回であった
〇:シートの破れが2~3回であった
×:シートの破れが4回以上であった
【0109】
以下、実施例、比較例、実験例について、説明する。
【0110】
[実施例1]
開裂用切目線M1が開裂したときに形成されて第1カットC1の一端V1と第2カットC2の一端V2とを連結する第3カットC3と第1カットC1の角部COの角度θ1が鈍角となるように、開裂用切目線M1の第1カットC1と第2カットC2を配置した(
図6、
図7参照)。また、開裂用切目線M1の第1カットC1を波形(波線)Uにし、波形Uの周期を0.5mmとし、開裂用切目線M1のタイT1の長さを1.5mmとした。得られた試験体について、シート破れを評価した。結果を表1に示す。
【0111】
[実施例2]
タイT1の長さを1mmとした以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0112】
[実施例3]
波形Uの周期を1mmとした(
図8参照)以外は、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0113】
[実施例4]
波形Uの周期を2mmとした(
図9参照)以外は、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0114】
[実施例5]
波形Uの周期を3mmとした(
図9参照)以外は、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0115】
[比較例1]
図13、
図14に示すように、開裂用切目線M1が開裂したときに形成されて第1カットC1の一端V1と第2カットC2の一端V2とを連結する第3カットC3と第1カットC1の角部CAの角度θ2が鋭角となるように、開裂用切目線M1の第1カットC1と第2カットC2を配置し、開裂用切目線M1の第1カットC1を波形(破線)にしなかった以外は、実施例2と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0116】
【0117】
表1より、第1カットC1と第3カットC3の間の角度θ1が鈍角となるように開裂用切目線M1の第1カットC1と第2カットC2を配置し、開裂用切目線M1の第1カットC1を波形(波線)Uにし、波形Uの周期を0.5~3mmとし、開裂用切目線M1のタイT1の長さを1~1.5mmとしたシート収納箱(試験体)は、シートが破れにくいものであった(実施例1~5)。
【0118】
一方、第1カットC1と第3カットC3の間の角度θ2が鋭角となるように開裂用切目線M1の第1カットC1と第2カットC2を配置し、開裂用切目線M1の第1カットC1を波形(波線)にしなかったシート収納箱は、取り出し時にシートが破れやすいものであった(比較例1)。
【0119】
これらの結果から、開裂用切目線が、取出口の周縁上に所与の間隔で複数配置された第1カットと、周縁の外側に第1カットに対して千鳥状に複数配置された第2カットとを有し、開裂用切目線が開裂したときに形成されて第1カットの一端と第2カットの一端とを連結する第3カットと第1カットとの間の角度が鈍角となるシート収納箱は、使用時にシートが破れにくいことが判った。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
100 シート収納箱
S シート(ティシューペーパー)
SL シート積層体
10 箱体
11 天面
11A 一部
E11、E12、E13、E14 端縁
E15 内縁
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
20 第1開口(取出口)
E2 周縁
U 波形
21 中央部
22、23 端部
30、40 第2開口
E3 周縁
B、B1、B2 凹部
D、D1、D2 凸部
L1、L2、L3 長さ
W1、W2、W3 幅
P、P1、P2、P3 周期
H、H1、H2、H3 波高
M1 第1開裂用切目線
M2 第2開裂用切目線
C1 第1カット
CE 端部
C2 第2カット
C3 第3カット
C4 カット
T1、T2 タイ
V1 第1カットの一端
V2 第2カットの一端
θ1、θ2 角度
Q、Q1、Q2、Q3 第2カットの長さ
CO 角部
R 基端
F 断片