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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】背負式噴霧機の噴霧ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/08 20060101AFI20240415BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B05B9/08
A01M7/00 C
A01M7/00 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020115569
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013183
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】青山 良平
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034685(US,A1)
【文献】特開2008-043941(JP,A)
【文献】特開2017-104056(JP,A)
【文献】特開2012-020220(JP,A)
【文献】特開2016-019962(JP,A)
【文献】特開2007-268428(JP,A)
【文献】実開平03-034859(JP,U)
【文献】国際公開第2018/201207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-1/36
9/00-9/047
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に背負われる作業機本体にホースを介して接続され、前記作業機本体から前記ホースを通して送られる液体を噴霧するための背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)であって、
前記液体を流すためのノズルパイプ(10)と、
前記ノズルパイプ(10)の先端部に接続され下方へ向けて前記液体を噴霧するための噴口部(11)と、
前記ノズルパイプ(10)の後端部に接続され前記ホースとの間に介在する介在部材(12)と、
前記ノズルパイプ(10)に接続され、作業者により握られる握り部(14c)が設けられたグリップ(14)と、を備え、
前記噴口部(11)の先端部(11a)の軸心が鉛直下方を向き、前記ノズルパイプ(10)の後端部が斜め上方へ延びた状態において、前記グリップ(14)は、前記ノズルパイプ(10)に接続される基部(14a)と、前記基部(14a)に連設され前記ノズルパイプ(10)に対して垂直上方へ延びてから湾曲する湾曲部(14b)と、前記湾曲部(14b)に連設されて水平又は水平に近い角度をなす前記握り部(14c)と、を備え、前記噴霧ノズル(100)の重心位置(G)の鉛直上方に、前記グリップ(14)の前記握り部(14c)が位置することを特徴とする背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)。
【請求項2】
前記介在部材(12)は、前記液体の流路を開閉するコック(12a)を備えることを特徴とする請求項1に記載の背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)。
【請求項3】
前記グリップ(14)は、半割りに二分割された片側グリップ(14x,14y)同士を合わせ連結することにより構成され、
前記グリップ(14)の前記ノズルパイプ(10)を挟む部分の内周面(14d)は、前記ノズルパイプ(10)に対する周方向の向きを変えられるように多角形をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)。
【請求項4】
前記ノズルパイプ(10)は、前記グリップ(14)の前記内周面(14d)の多角形と周方向に合わせ可能な多角形の外周面(13j)を有する別部材(13)を含むことを特徴とする請求項記載の背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)。
【請求項5】
前記噴口部(11)は、傘(11b)を有することを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負式噴霧機の噴霧ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者が作業機本体を背負って薬液を噴霧する背負式動力噴霧機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この背負式動力噴霧機は、作業者に背負われる作業機本体を備え、作業機本体に、エンジン、液体ポンプ、液体タンク等が搭載されている。液体タンクの液体は、エンジンの駆動による液体ポンプの作動により、液体ポンプの吐出口に接続された可撓性のホースを介し噴霧ノズルへ圧送される。
【0003】
図8に上記噴霧ノズルの作業時の状態を示す。噴霧ノズル50は、ホースに接続されると共に作業者に握られる握り部を有するグリップ(ノズルグリップ)1と、グリップ1内を流れる液体を先端側へ送るノズルパイプ(ランス部)2と、グリップ1とノズルパイプ2とを接続しグリップ1からノズルパイプ2へ向かう流路を開閉するコック3と、ノズルパイプ2の先端に設けられた噴口部4と、を備え、噴口部4から液体を矢印Aで示すように鉛直下方へ向けて噴霧する。また、飛散防止等の目的で、噴口部4に当該噴口部4を覆う傘(フード)を有するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5021949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記噴霧ノズル50にあっては、噴口部4の重量が大きいと、噴霧ノズル50の重心位置G、すなわち、グリップ1、ノズルパイプ2、コック3及び噴口部4全体の重心位置Gがグリップ1から離れ、特に噴口部4が傘を有していると一層重心位置Gがグリップ1から離れ、力のモーメントが大きくなる。作業時の噴霧量(噴口部4からの吐出量)が非常に多い場合は、噴射圧でモーメントを相殺できるが、噴霧量が過大ではない場合、グリップ1の握り部では、噴霧ノズル50の全体重量を支える力の他、モーメントを抑える力が必要となる。一方、このようなモーメントを抑えるために、重心位置Gにグリップ1をもってくると、作業者と噴口部4との距離が近くなるため、作業者と噴口部4との適正距離を確保できなくなる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、作業時において、噴霧ノズルの全体重量を支える力のみで噴霧ノズルの全体を静止保持できると共に、作業者と噴口部との適正距離を確保できる背負式噴霧機の噴霧ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)は、作業者に背負われる作業機本体にホースを介して接続され、作業機本体からホースを通して送られる液体を噴霧するための背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)であって、液体を流すためのノズルパイプ(10)と、ノズルパイプ(10)の先端部に接続され下方へ向けて液体を噴霧するための噴口部(11)と、ノズルパイプ(10)の後端部に接続されホースとの間に介在する介在部材(12)と、ノズルパイプ(10)に接続され、作業者により握られる握り部(14c)が設けられたグリップ(14)と、を備え、噴口部(11)の先端部(11a)の軸心が鉛直下方を向き、ノズルパイプ(10)の後端部が斜め上方へ延びた状態で、ノズルパイプ(10)、噴口部(11)、介在部材(12)及びグリップ(14)全体の重心位置(G)の鉛直上方に、グリップ(14)の握り部(14c)が位置することを特徴としている。
【0008】
このような背負式噴霧機の噴霧ノズル(100)によれば、噴口部(11)の先端部(11a)の軸心が鉛直下方を向き、ノズルパイプ(10)の後端部が斜め上方へ延びる作業時の状態において、ノズルパイプ(10)、噴口部(11)、ノズルパイプ(10)とホースとの間に介在する介在部材(12)及びグリップ(14)全体の重心位置(G)の鉛直上方、すなわち噴霧ノズル(100)の重心位置(G)の鉛直上方に、グリップ(14)の握り部(14c)が位置しているため、グリップ(14)の握り部(14c)にモーメントが発生せず、噴霧ノズル(100)の全体重量を支える力のみで噴霧ノズル(100)の全体が静止保持される。加えて、グリップ(14)の握り部(14c)が、噴霧ノズル(100)の重心位置(G)から鉛直上方へオフセットされているため、握り部(14c)を握って作業する作業者と噴口部(11)との適正距離が確保される。
【0009】
ここで、噴口部(11)の先端部(11a)の軸心が鉛直下方を向くと共に、グリップ(14)の握り部(14c)が全体の重心位置(G)の鉛直上方に位置した状態において、握り部(14c)は、水平又は水平に近い角度で配置されていると、作業時において作業者が握り部(14c)を握りやすい。
【0010】
また、グリップ(14)は、ノズルパイプ(10)に接続される基部(14a)と、基部(14a)に連設されノズルパイプ(10)に対して垂直上方へ延びてから湾曲する湾曲部(14b)と、湾曲部(14b)に連設されて水平又は水平に近い角度をなす握り部(14c)と、を備える構成であると、上記作用を簡易な構成で実現できる。
【0011】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、介在部材(12)は、液体の流路を開閉するコック(12a)を備える構成が挙げられる。
【0012】
また、グリップ(14)は、半割りに二分割された片側グリップ(14x,14y)同士を合わせ連結することにより構成され、グリップ(14)のノズルパイプ(10)を挟む部分の内周面(14d)は、ノズルパイプ(10)に対する周方向の向きを変えられるように多角形をなしていると、グリップ(14)と噴口部(11)の向き(先端部11aの向き)を容易に合わせることができる。
【0013】
また、ノズルパイプ(10)は、グリップ(14)の内周面(14d)の多角形と周方向に合わせ可能な多角形の外周面(13j)を有する別部材(13)を含んでいると、簡易な構成で、グリップ(14)と噴口部(11)の向きを容易に合わせることができる。
【0014】
また、噴口部(11)は、傘(11b)を有していても良い。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、作業時において、噴霧ノズルの全体重量を支える力のみで噴霧ノズルの全体を静止保持できると共に、作業者と噴口部との適正距離を確保できる背負式噴霧機の噴霧ノズルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る背負式噴霧機の噴霧ノズルを示す側面図である。
図2図1中のグリップを含む要部を示す斜視図である。
図3図2からグリップを取り外した斜視図である。
図4図3のバンドを分解した分解斜視図である。
図5図1及び図2中のグリップを示す斜視図である。
図6図5に示すグリップの分解斜視図である。
図7図3に示すバンドにグリップを装着する前の状態を示す斜視図である。
図8】従来技術を示す背負式噴霧機の噴霧ノズルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る背負式噴霧機の噴霧ノズルの好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る背負式噴霧機の噴霧ノズルを示す側面図、図2は、図1中のグリップを含む要部を示す斜視図、図3は、図2からグリップを取り外した斜視図、図4は、図3のバンドを分解した分解斜視図、図5は、グリップを示す斜視図、図6は、グリップの分解斜視図、図7は、バンドにグリップを装着する前の状態を示す斜視図である。
【0018】
本実施形態の噴霧ノズルは、背負式動力噴霧機に対して適用されるものであり、作業者により背負われた作業機本体のエンジン及び液体ポンプの駆動により、液体ポンプの吐出口から可撓性のホースを介して圧送される液体を噴霧するためのものである。液体は、ここでは、例えば作物に噴霧する薬液とされている。
【0019】
図1に示すように、噴霧ノズル100は、噴霧する液体を流すための長尺なノズルパイプ10と、ノズルパイプ10の先端部に接続され下方へ向けて液体を噴霧するための噴口部11と、ノズルパイプ10の後端部とホースとの間に介在しノズルパイプ10とホースとを接続する介在部材12と、ノズルパイプ10の後端部にバンド13を介して接続され、作業者により握られるグリップ14と、噴口部11の噴口となる先端部11aを覆う傘11bと、を備えている。
【0020】
噴口部11の先端部11aは、ノズルパイプ10に対して135°程度折れ曲がっている。傘11bは、先端部11aに取り付けられ、紙面垂直方向に長軸を有する略中空楕円錐台状に構成されている。作業時には、噴口部11の先端部11aの軸心が矢印Aで示すように鉛直下方を向くようにして使用される。換言すれば、傘11bの底面が水平方向を向くようにして(地に対して平行になるようにして)使用される。
【0021】
介在部材12は、ノズルパイプ10とホースとの間に介在するコック12a及び接続部材12bを備える。コック12aは、ノズルパイプ10の後端部に接続され内部に流れる流路を開閉するものであり、接続部材12bは、略円筒状に構成され、コック12aとホースとを接続するためのものである。
【0022】
バンド13は、ノズルパイプ10の軸線に沿って延びる細長の中空筒体であり、ノズルパイプ10の後端部に接続され、ノズルパイプ10に含まれるものである。バンド13は、ノズルパイプ10の軸線に対して直交すると共に紙面に沿う方向(図1の左斜め上がり右下がりの方向)に、図4に示すように、半割りに二分割されて対向する片側バンド13x,13y同士を、図3に示すように、合わせて連結したものである。
【0023】
バンド13は、後端部13aが六角筒に構成され、その内周面13bの正六角形が、ノズルパイプ10の後端部の外周面10aの正六角形(図4参照)に合わさることにより、ノズルパイプ10に回転不能に装着され、ノズルパイプ10の一部となっている。
【0024】
具体的には、図4に示すように、バンド13を構成する片側バンド13xの後端部13c、片側バンド13yの後端部13dの合わせ部が鍔部とされており、片側バンド13xの後端部13cの鍔部において、相手側の鍔部に向かって突設された凸部13eが、片側バンド13yの後端部13dの鍔部に開口された開口部13fに進入し、凸部13eに対して垂直方向に立設された係止部13gが、開口部13fを形成する開口縁部13hに係合することにより、図3に示すように、片側バンド13x,13yが合わさりノズルパイプ10に一体化されたバンド13が構成される。
【0025】
バンド13の後端部13aより前側部分13iは、後端部13aより小径とされ、その内周面が、ノズルパイプ10の外周面に合うように円形に構成されると共に、その外周面13jが、グリップ14を角度を変更可能に装着すべく、正十角形とされている。このバンド13の前側部分13i内にノズルパイプ10が進入した状態で、バンド13の後端部13aがノズルパイプ10に回転不能に固定されている。
【0026】
図1に示すように、グリップ14は、ノズルパイプ10に含まれるバンド13に接続された基部14aと、基部14aに連設されノズルパイプ10に対して垂直上方へ延びてから湾曲する(折曲する)湾曲部14bと、湾曲部14bに連設され、噴口部11の先端部11aの軸心が矢印Aで示す鉛直下方を向いた状態で、水平又は水平に近い角度をなし作業者により握られる握り部14cと、を備えている。
【0027】
グリップ14は、図1図5及び図6に示すように、細長で内部に多数のリブを有する略棒状の中空体であり(図6参照)、図1の紙面垂直方向に半割りに二分割されて、図6に示すように、対向する片側グリップ14x,14y同士を、図5に示すように、合わせて連結したものである。
【0028】
グリップ14は、基部14aの内周面14dが正十角形とされ、この正十角形の内周面14dが、バンド13の前側部分13iの正十角形の外周面13j(図3参照)に合わさることにより、ノズルパイプ10のバンド13に回転不能に装着される。
【0029】
具体的には、図6に示すように、グリップ14を構成する片側グリップ14yの先端部及び中央部に、タッピンネジ14eの軸部を通すための貫通孔14fがそれぞれ設けられ、片側グリップ14xにおいて貫通孔14fにそれぞれ対応する位置に、タッピンネジ14eが螺合する雌螺子部(不図示)が設けられている。また、図5に示すように、グリップ14の基部14aの下部には、片側グリップ14x,14y同士を連結するためのノブボルト14gが設けられている。
【0030】
そして、グリップ14をバンド13に組み付ける場合には、図7に示すように、片側グリップ14x,14y同士を合わせながら、基部14aにノズルパイプ10を通し、タッピンネジ14eを締めることにより、片側グリップ14x,14y同士を仮組み付け状態とし、片側グリップ14x,14y同士をコック12a側へ移動させ、基部14aの正十角形の内周面14dを、バンド13の前側部分13iの正十角形の外周面13jに合わせる。この場合、グリップ14と噴口部11の向き(先端部11aの向き)を周方向に36°刻みで合わせることができる。そして、バンド13の後端部13aの先端面にグリップ14の基部14aの後端面を突き当て(図2参照)、ノブボルト14gを締め付けることによって、組み立てが完了する。
【0031】
なお、グリップ14の基部14aの内周面14dを正十角形とし(図5参照)、バンド13の前側部分13iの外周面13jを正十角形として(図3参照)、36°刻みでグリップ14と噴口部11の向き(先端部11aの向き;図1参照)を合わせられるようにしているが、正十角形に限定されるものではなく、正六角形以上が好ましいが、多角形であれば良い。また、バンド13の後端部13aの内周面13b(図3参照)とノズルパイプ10の後端部の外周面10a(図4参照)を正六角形としているが、これに限定されず、多角形であれば回転不能となるので好ましい。
【0032】
このような構成を有する噴霧ノズル100によれば、図1に示すように、噴口部11の先端部11aの軸心が矢印Aで示す鉛直下方を向き、ノズルパイプ10の後端部が斜め上方へ延びる作業時の状態において、バンド13を含むノズルパイプ10、噴口部11、ノズルパイプ10とホースとの間に介在する介在部材12(コック12a、接続部材12b)及びグリップ14全体の重心位置Gの鉛直上方、すなわち噴霧ノズル100の重心位置Gの鉛直上方に、グリップ14の握り部14cが位置しているため、グリップ14の握り部14cにモーメントが発生せず、噴霧ノズル100の全体重量を支える力のみで噴霧ノズル100の全体を静止保持できる。加えて、グリップ14の握り部14cが、噴霧ノズル100の重心位置Gから鉛直上方へ距離H、オフセットされているため、握り部14cを握って作業する作業者と噴口部11との適正距離を確保できる。
【0033】
また、噴口部11の先端部11aの軸心が鉛直下方を向くと共に、グリップ14の握り部14cが噴霧ノズル100全体の重心位置Gの鉛直上方に位置した状態において、握り部14cは、水平又は水平に近い角度で配置されているため、作業時において作業者が握り部14cを握りやすい。
【0034】
また、グリップ14は、ノズルパイプ10に接続される基部14aと、基部14aに連設されノズルパイプ10に対して垂直上方へ延びてから湾曲する湾曲部14bと、湾曲部14bに連設されて水平又は水平に近い角度をなす握り部14cと、を備える構成のため、上記作用・効果を簡易な構成で実現できる。
【0035】
また、グリップ14は、半割りに二分割された片側グリップ14x,14y同士を合わせ連結することにより構成され、グリップ14のノズルパイプ10を挟む部分の内周面14d(図5参照)は、ノズルパイプ10に対する周方向の向きを変えられるように多角形をなしているため、グリップ14と噴口部11の向き(先端部11aの向き)を容易に合わせることができる。
【0036】
また、ノズルパイプ10は、グリップ14の内周面14dの多角形と周方向に合わせ可能な多角形の外周面13jを有する別部材であるバンド13を含んでいるため、簡易な構成で、グリップ14と噴口部11の向き(先端部11aの向き)を容易に合わせることができる。なお、ノズルパイプ10の後端部の形状を、バンド13と同様な形状としたノズルパイプを用いても良く、この場合、ノズルパイプの構造が複雑となり製造に不向きとなるが、別部材であるバンド13は不要とされる。
【0037】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、介在部材12を、コック12a及び接続部材12bとしているが、これに限定されない。
【0038】
また、上記実施形態においては、特に好適であるとして、噴口部11が傘11bを有しているが、傘11bを有していない噴口部を備える噴霧ノズルに対しても適用できる。
【0039】
また、上記実施形態においては、特に好適であるとして、噴霧ノズル100を背負式動力噴霧機に対して適用した例を述べているが、背負式手動式噴霧機に対しても適用でき、要は、液体を噴霧する背負式噴霧機全般に対して適用できる。
【符号の説明】
【0040】
10…ノズルパイプ、11…噴口部、11a…先端部、11b…傘、12…介在部材、12a…コック、13…バンド(別部材)、13j…外周面、14…グリップ、14a…基部、14b…湾曲部、14c…握り部、14d…内周面、14x,14y…片側グリップ、100…噴霧ノズル、G…重心位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8