(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】エアコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04B 41/02 20060101AFI20240415BHJP
F04B 35/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
F04B41/02 B
F04B35/00 Z
(21)【出願番号】P 2020133681
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西土 典之
(72)【発明者】
【氏名】森岡 康浩
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0104836(US,A1)
【文献】特開2009-024620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0067836(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0056602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0320677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/02
F04B 35/00
F04B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンプレッサであって、
バッテリパックからの電力によって駆動する電動モータと、
電動モータへの電力をオン・オフするための操作部と、
前記電動モータによって駆動して圧縮エアを生成する圧縮部と、
前記圧縮エアを貯留するタンクと、
前記バッテリパックの取り付け面が取り付けられるバッテリ取り付け部と、
前記バッテリ取り付け部に取り付けられた前記バッテリパックの6面のうち少なくとも3面が開放された状態で、前記バッテリパックと前記圧縮部を保護領域内に位置させるガード部を有
し、
前記タンクの長手方向が左右方向となるように配置され、前記電動モータのモータ軸が左右方向となるように配置され、前記電動モータと前記タンクが前記エアコンプレッサの下方領域において、前後方向に並ぶように配置されており、
前記タンク若しくは前記電動モータの上方で、前記操作部とは反対側の後方に前記バッテリ取り付け部を有するエアコンプレッサ。
【請求項2】
請求項1記載のエアコンプレッサであって、
前記圧縮部を覆う圧縮部カバーを有し、前記圧縮部カバーの上面に、前記バッテリ取り付け部が配置されたエアコンプレッサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアコンプレッサであって、
前記バッテリパックは、取り付け面を下方へ向けて前後にスライドさせることで前記バッテリ取り付け部に対して取り付け、取り外しされるエアコンプレッサ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のエアコンプレッサであって、
前記圧縮部は上下に往復動するピストンを内装したシリンダを備え、前記シリンダの側方かつ前記電動モータの上方に
少なくとも一部がオーバーラップするように前記バッテリ取り付け部が配置されたエアコンプレッサ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のエアコンプレッサであって、
前記バッテリパックの少なくとも一部が前記タンクの上方に位置するように前記バッテリ取り付け部が配置されたエアコンプレッサ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエアコンプレッサであって、
前記タンクの長手方向が左右方向となるように前記タンクが前記エアコンプレッサの前領域に配置され、
前記ガード部は、前記タンクの前部分から上方に延出する前フレームと、前記前フレームの上部から後方に延出する上フレームと、前記上フレームの後部から下方に延出する後フレームと、前記後フレームの下部から前方へ延出し、かつ前記タンクの下面に結合される下フレームを有するエアコンプレッサ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載のエアコンプレッサであって、
前記ガード部は、前記エアコンプレッサの右領域に位置する右フレームと、前記エアコンプレッサの左領域に位置する左フレームと、左右方向に延出して前記右フレームと前記左フレームを結合する結合フレームと、前記結合フレームに設けられたハンドル部を有するエアコンプレッサ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のエアコンプレッサであって、
前記圧縮部を覆う圧縮部カバーと、
前記圧縮部に設けられたエア濾過用のフィルタと、
前記フィルタを交換するために前記圧縮部に設けられ、かつ前記圧縮部カバーから突出する蓋部を有するエアコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアコンプレッサに関し、例えば比較的小型で可搬性に優れたエアコンプレッサに関する。小型のコンプレッサは、圧縮エア駆動式の釘打ち機やエアダスタ等のエアツールに圧縮エアを供給するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
この可搬式のエアコンプレッサは、据え置き式の大型のエアコンプレッサに比して吐出容量は小さいものの、比較的小型で楽に持ち運べる。そのため、エアツールを用いた簡易な軽作業をする際に可搬式のエアコンプレッサを利用することは大きな利便性を発揮する。
【0003】
この可搬式のエアコンプレッサは、下記の特許文献に開示されているように圧縮空気を生成する圧縮部と、生成した圧縮空気を貯留する貯留タンクと、起動停止や設定圧調整等の操作を行う操作部を備えている。圧縮部は駆動源として電動モータを備える。電源には充電式のバッテリパックが用いられている。圧縮部は、電動モータの回転出力を変換してシリンダ内でピストンを往復動させて圧縮エアを吐出する構成(レシプロ式)を備えている。圧縮部から吐出された圧縮空気が貯留タンクに貯留された後にエアツールに供給される。
【0004】
この種のエアコンプレッサは、主として圧縮部や操作部の周囲を囲うガード部を備えている。ガード部は、例えば持ち運び時に誤って壁面にぶつけたり、設置時に手持ち工具類を誤って接触等させたことによる動作トラブルや損傷等を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2020/0056602号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のエアコンプレッサについても種々改良を加える必要があった。例えば、ガード部を設けることで、バッテリパックの取り付け、取り外しの操作性が困難になる場合があった。本開示では、バッテリ取り付け部に対する取り付け、取り外しの操作性を損なうことなく、バッテリパックがより確実に保護されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の特徴によると、エアコンプレッサは、バッテリパックからの電力によって駆動する電動モータと、電動モータへの電力をオン・オフするための操作部と、電動モータによって駆動して圧縮エアを生成する圧縮部を有する。生成された圧縮エアはタンクに貯留される。エアコンプレッサは、バッテリパックの取り付け面が取り付けられるバッテリ取り付け部を有する。バッテリ取り付け部に取り付けられたバッテリパックの6面のうち少なくとも3面が開放された状態で、バッテリパックと圧縮部はガード部の保護領域内に位置される。
【0008】
従って、バッテリパックの取り付け面を除く例えば上面又は左右側面又は後面の少なくとも3面が開口窓を経て外方開放されている。これにより、バッテリパックの少なくとも3面の側方に指先を進入させる把持スペースが確保される。従って、使用者がバッテリパックにこれら3面に指先を宛がって移動操作しやすくなり、この点でバッテリパックの取り付け、取り外しの操作性が確保される。しかも、バッテリパックがガード部の保護領域内に取り付けられることから、持ち運び時や設置時においてバッテリパックに対する壁面や手持ち工具類等その他部材の干渉若しくは衝突がガード部により回避される。これによりバッテリパックの保護が図られる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、エアコンプレッサは、圧縮部を覆う圧縮部カバーを有し、圧縮部カバーの上面に、バッテリ取り付け部が配置されている。従って、バッテリパックが圧縮部カバーの上面に取り付けられて、ガード部により保護される。
【0010】
本開示の他の特徴によると、タンクの長手方向が左右方向となるようにタンクが配置される。電動モータのモータ軸が左右方向となるように電動モータが配置される。電動モータとタンクがエアコンプレッサの下方領域において、前後方向に並ぶように配置されている。従って、当該エアコンプレッサの下方領域において、比較的大きな配置スペースを占める貯留タンクと電動モータが前後に並んでコンパクトに配置される。また、比較的重量物であるタンクと電動モータが下方領域に配置されることでエアコンプレッサの設置の安定性が確保される。
【0011】
本開示の他の特徴によると、圧縮部は上下に往復動するピストンを内装したシリンダを備えている。シリンダの側方かつ電動モータの上方にバッテリ取り付け部が配置されている。従って、上下に延在するシリンダに対して電動モータとバッテリ取り付け部が効率良く配置される。
【0012】
本開示の他の特徴によると、バッテリパックの少なくとも一部がタンクの上方に位置するようにバッテリ取り付け部が配置されている。従って、バッテリパックがタンクに対して前後方向若しくは左右方向(設置面方向)にコンパクトに取り付けられる。
【0013】
本開示の他の特徴によると、タンクの長手方向が左右方向となるようにエアコンプレッサの前領域に配置されている。ガード部は、タンクの前部分から上方に延出する前フレームと、前フレームの上部から後方に延出する上フレームと、上フレームの後部から下方に延出する後フレームと、後フレームの下部から前方へ延出し、かつタンクの下面に結合される下フレームを有する。従って、ガード部が、タンクの前部から上方、後方及び下方に至って側面視ループ形の経路に沿って配置される。側面視ループ形の経路内に、圧縮部と操作部とバッテリパックを含む当該コンプレッサのほぼ全体が配置されてその保護がなされる。
【0014】
本開示の他の特徴によると、ガード部は、エアコンプレッサの右領域に位置する右フレームと、エアコンプレッサの左領域に位置する左フレームとを有する。右フレームと左フレームは、左右方向に延出する結合フレームにより結合されている。結合フレームに設けられたハンドル部を有する。従って、使用者は、左右フレーム間のハンドル部を把持して当該エアコンプレッサを持ち運ぶことができる。
【0015】
本開示の他の特徴によると、圧縮部を覆う圧縮部カバーを有している。圧縮部はエア濾過用のフィルタを備えている。フィルタ交換用の蓋部が圧縮部カバーから突出して配置されている。従って、圧縮部カバーが邪魔になることなく、かつ圧縮部の発熱部に誤って手を接触等させることなく、蓋部を回転操作等して楽に脱着することができる。これにより、フィルタ交換作業の便宜が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るエアコンプレッサの全体斜視図である。本図は、右斜め前方から見た状態を示している。
【
図2】本実施形態に係るエアコンプレッサの全体斜視図である。本図は、
図1中矢印II方向(左斜め後方)から見た状態を示している。
【
図3】エアコンプレッサの前面図である。本図は、
図1中矢印III方向(前方)から見た状態を示している。
【
図4】
図3中IV矢視図であって、エアコンプレッサの上面図である。
【
図5】
図3中V矢視図であって、エアコンプレッサの右側面図である。
【
図6】
図3中VI矢視図であって、エアコンプレッサの左側面図である。
【
図7】
図5中VII矢視図であって、エアコンプレッサの後面図である。
【
図8】
図7中VIII矢視図であって、エアコンプレッサの下面図である。
【
図10】バッテリ取り付け部からバッテリパックが後方へ取り外された状態を右側から見た図である。
【
図11】
図10中XI矢視図であって、バッテリ取り付け部からバッテリパックが後方へ取り外された状態を上側から見た図である。
【
図12】バッテリパックを
図10中矢印XII方向から見た下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を
図1~
図12に基づいて説明する。本実施形態では、比較的小型で可搬性に優れたエアコンプレッサ1が例示されている。エアコンプレッサ1は、圧縮エア駆動式の釘打機やエアタッカ等のエア機器に動力源としての圧縮エアを供給するための機器で、通常は建築作業場の床面や作業台(設置面F)上に設置して用いられる。
【0018】
図1~
図7に示すようにエアコンプレッサ1は、外気を導入して圧縮エアを生成する圧縮部10と、圧縮エアを貯留するタンク20と、圧縮部10の起動停止等の操作する操作部30を備えている。
図9に示すように圧縮部10は、駆動源として電動モータ11を備えている。電動モータ11は、円筒形のモータハウジング11aに固定子や回転子を内装したDCブラシレスモータが用いられている。
図2に示すようにモータハウジング11aは、圧縮部10のほぼ全体を覆う圧縮部カバー19に一体に設けられている。電動モータ11は、後述するバッテリパック40からの電力で起動する。
【0019】
電動モータ11の回転出力がベルト伝達部12を経てピストンロッド13に伝達される。ピストンロッド13が上下動することでピストン14がシリンダ15内を上下に往復動する。シリンダ15の外気導入側には外気濾過用のフィルタ16が円筒形の収容部16aに収用されている。収容部16aは円形の蓋部17で塞がれている。蓋部17に外気導入用の吸気パイプ18が接続されている。シリンダ15内の負圧により吸気パイプ18からシリンダ15内に外気が導入される。蓋部17を一定角度回転させて取り外すことでフィルタ16を収容部16aから取り出して清掃若しくは交換することができる。
【0020】
圧縮部10は、電動モータ11を含めた全体が樹脂製の圧縮部カバー19で覆われている。
図1,2,4に示すように圧縮部カバー19の上面であって、シリンダ15の上方には排熱用の排熱窓19aが多数設けられている。排熱窓19aを経た排気によりシリンダ15及びその周囲が空冷される。圧縮部カバー19の左側部の下方には複数の排気窓19bが設けられている。
図1,5に示すように圧縮部カバー19の右側部であってモータハウジング11aの右端面には多数の吸気窓19cが設けられている。電動モータ11の冷却ファンが回転することで、吸気窓19cを経て圧縮部カバー19内に外気が導入される。導入された外気が左方へ流れることで電動モータ11の冷却がなされる。導入された外気(モータ冷却風)は排熱窓19aや排気窓19bを経て圧縮部カバー19から排気される。
【0021】
図2,4,5,6に示すように圧縮部カバー19の前部19dは、後述する操作部30の後面を覆う状態に設けられている。また、圧縮部カバー19の前部19dにより圧縮部10とタンク20との間の隙間の上方が覆われている。
図5に示すように圧縮部10とタンク20との間の隙間には、電気配線やエア配管類(配管類19e)が取り回されている。配管類19eの上方が圧縮部カバー19の特に前部19dによって覆われている。これにより配管類19eが、圧縮部10とタンク20との間のデッドスペースが有効活用されて効率良く取り回されるとともに、他部材等の干渉や粉塵等の堆積がなされないように保護されている。
【0022】
電動モータ11の起動により圧縮部10が作動して圧縮エアが生成される。圧縮部10で生成された圧縮エアは、エア配管を経てタンク20に貯留される。タンク20は、両端部が気密に塞がれた円柱体形を有している。タンク20は、その長手方向(タンク軸線J方向)を左右方向に沿わせて配置されている。タンク20は、当該エアコンプレッサ1の下部且つ前部の領域であって、圧縮部10の電動モータ11の前側に配置されている。
図1,4,5に示すようにタンク20と電動モータ11は、その長手方向(タンク軸線J)とモータ軸線Mを左右方向に相互にほぼ平行に沿わせた状態で前後に並んで配置されている。
【0023】
図3,5,6,7に示すようにタンク20は、後述するガード部50に設けた4箇所の脚部21により設置面Fに隙間を置いた状態で設置される。タンク20の下面側には水抜き用の排水ドレン22が設けられている。4箇所の脚部21で設置面Fとの間に隙間が設けられることで、使用者は排水ドレン22の開閉コック22aを楽に操作することができる。
【0024】
タンク20の上方に操作部30が配置されている。操作部30は矩形平板形の操作盤を主体とするもので、操作盤は操作部ケース31に収容されている。操作部30の操作面(操作盤)は、前方斜め上方に向けて傾斜配置されている。これにより操作部30の前方斜め上方からの視認性が高められている。操作部30の中央に設定圧調整用の調整ダイヤル32が配置されている。調整ダイヤル32の両側に2つの圧力ゲージ33が配置されている。一方の圧力ゲージ33が、設定圧表示用のゲージで、調整ダイヤル32の操作による設定圧が表示される。他方の圧力ゲージ33が、供給圧表示用のゲージで、タンク20内の供給圧が表示される。操作部30の左端部には、圧縮部10を起動停止させるシーソー型の起動スイッチ34が配置されている。起動スイッチ34をオン操作すると、電動モータ11が起動して圧縮エアの生成が開始される。起動スイッチ34をオフ操作すると、電動モータ11が停止して圧縮エアの生成が停止される。なお、起動状態において、タンク20内のエア圧が設定圧に達すると、これが圧力センサで検知されて電動モータ11が停止され、圧縮部10が待機状態となる。
【0025】
操作部30の下部前面には、エアツール接続用の接続口35と、リリーフバルブ36が配置されている。接続口35にはワンタッチカプラが用いられている。
図1に示すように接続口35にエアホースHを接続することで、タンク20内の圧縮エアがエアホースHを介してエアツールTに供給される。リリーフバルブ36の操作によりタンク20内の圧縮エアが強制的に大気開放される。
【0026】
図1,2,4,5,7に示すように、操作部30の後方であって、圧縮部カバー19の上面に、バッテリパック40を取り付けるためのバッテリ取り付け部45が設けられている。
図9に示すようにバッテリ取り付け部45は、圧縮部10のシリンダ15の右側方かつ電動モータ11の上方に配置されている。バッテリパック40及びバッテリ取り付け部45の詳細が
図10~12に示されている。
【0027】
バッテリパック40は、6面を有する概ね直方体形(6面体)を有している。バッテリパック40は、長さL、幅W、高さDの大きさを有している。バッテリパック40の下面が、バッテリ取り付け部45に対する取り付け面41となっている。
図11,12に示すようにバッテリパック40は取り付け面41を下方へ向けて前後にスライドさせることで、バッテリ取り付け部45に対して取り付け、取り外しされる。バッテリ取り付け部45に取り付けた状態で上面となるバッテリパック40の上面に符号40Uが付されている。取り付けた状態で右側面となるバッテリパック40の右側面に符号40Rが付されている。取り付けた状態で後面となるバッテリパック40の後面に符号40Bが付されている。
【0028】
図12に示すようにバッテリパック40の取り付け面41には、左右一対のレール部41aが設けられている。左右のレール部41a間に、正極の端子受け部41bと負極の端子受け部41cが設けられている。取り付け面41の後部側には、バッテリ取り付け部45に対して係合するロック爪42が設けられている。ロック爪42の後方に、ロック爪42をアンロック位置に移動させるためのアンロックボタン43が設けられている。アンロックボタン43を上方へ押し上げ操作すると、ロック爪42が上方へ後退して、バッテリ取り付け部45に対する係合状態が解除される。
【0029】
図11に示すようにバッテリ取り付け部45には、左右一対のレール受け部45aが設けられている。レール受け部45aに沿ってレール部41aが案内されてバッテリパック40がバッテリ取り付け部45に対して前後にスライドされる。左右のレール受け部45a間に正極端子45bと負極端子45cが配置されている。バッテリ取り付け部45の後部には、バッテリパック40のロック爪42が係合されるロック凹部46が設けられている。
【0030】
バッテリパック40は、アンロックボタン43を押し上げ操作して後方へスライドさせることでバッテリ取り付け部45から取り外すことができる。取り外したバッテリパック40は、他の電動工具に取り付けて電源として転用でき、あるいは別途用意した充電器で充電することで繰り返し使用することができる。レール受け部45aに沿ってレール部41aを係合させて前方へスライドさせることで、バッテリパック40がバッテリ取り付け部45に取り付けられる。バッテリパック40がバッテリ取り付け部45に取り付けられると、バッテリパック40から電動モータ11及び圧力センサ等その他の電気器具に電力を供給可能な状態となる。
【0031】
図5に示すようにバッテリ取り付け部45は、取り付けたバッテリパック40の前部側がタンク20の上方に進入されるように配置されている。従って、バッテリパック40がその前部側をタンク20に対して前後方向にオーバーラップさせた状態に取り付けられる。これによりバッテリパック40の前後方向の取り付けスペースのコンパクト化されている。
【0032】
本実施形態のエアコンプレッサ1は、圧縮部10、タンク20及び操作部30のほぼ全体の周囲を覆うガード部50を有している。カード部50は、エアコンプレッサ1の右領域に位置する右フレーム51と、エアコンプレッサ1の左領域に位置する左フレーム52を有している。右フレーム51と左フレーム52は、相互に左右対称に配置されている。右フレーム51と左フレーム52は、左右方向に延出する結合フレーム53で相互に結合されている。結合フレーム53にハンドル部54が設けられている。
【0033】
右フレーム51と左フレーム52は、同じ枠形状を有して左右対称位置に配置されている。右フレーム51と左フレーム52は、前部の前フレーム51a,52aと、上部の上フレーム51b,52bと、後部の後フレーム51c,52cと、下部の下フレーム51d,52dを有している。前フレーム51a,52aは、タンク20の前部分から上方に延出する。本実施形態では、前フレーム51a,52aの上部側の領域が斜め後方へ傾斜している。この前傾斜部51e,52eの上部に上フレーム51b,52bの前部が結合されている。上フレーム51b,52bは、前傾斜部51e,52eの上部から後方に延出する。後フレーム51c,52cは、上フレーム51b,52bの後部から下方に延出する。下フレーム51d,52dは、後フレーム51c,52cの下部から前方へ延出してタンク20の下面に結合されている。
【0034】
左右の上フレーム51b,52bの前部付近が結合フレーム53を介して相互に結合されている。結合フレーム53の長手方向の中央領域に滑り止め用のゴム層が被覆されてハンドル部54とされている。使用者はハンドル部54を把持して当該エアコンプレッサ1を持ち運ぶことができる。
【0035】
左右の後フレーム51c,52c間が結合フレーム55を介して相互に平行に結合されている。右フレーム51と左フレーム52は、一端側がタンク20の前部に結合され、他端側がタンク20の下部に結合されて、当該エアコンプレッサ1の周囲をループ形に取り回されている。
【0036】
左右の下フレーム51d,52dの前部は、タンク20の下部から前方へ突き出されて、設置の安定性が確保されている。左右の下フレーム51d,52dの前後にゴム製の脚部21が取り付けられている。エアコンプレッサ1は、合計4箇所の脚部21により設置面Fに隙間を置いた状態で設置される。タンク20と設置面Fとの間に十分な隙間が設けられることで、排水ドレン22の開閉コック22aの操作性が確保される。
【0037】
右フレーム51と左フレーム52の間の領域に保護領域Gが形成される。
図3~6に示すように保護領域Gは、左右方向の左右領域GW、上下方向の上下領域GH、前後方向の前後領域GLの範囲に形成される。保護領域G内に圧縮部10、タンク20、操作部30、バッテリ取り付け部45及びバッテリパック40が配置されることで、持ち運び時や設置時において壁面や手持ち工具類等その他部材からの干渉や衝突が回避されてその損傷等が回避される。保護領域G内に、圧縮部10のほぼ全体に加えてバッテリパック40の全体が位置する。なお、前記したように圧縮部10の一部をなす蓋部17が、圧縮部カバー19から左側方に突き出されている。蓋部17の一部は、さらにガード部50の保護領域Gから側方へ突き出している。これにより蓋部17の周面に使用者がしっかりと把持して回転操作するための幅が確保されている。
【0038】
蓋部17を除いて圧縮部10のほぼ全体が保護領域G内に位置して他部材からの干渉等が回避されて保護される。タンク20はその左右側部を除いて保護領域G内に位置する。操作部30は、調整ダイヤル32の上部を除いてほぼ全体が保護領域G内に位置する。調整ダイヤル32の上部が保護領域G内から上方へ突き出されることでその操作性若しくは把持性が高められている。
【0039】
圧縮部カバー19の上面に設けたバッテリ取り付け部45の全体及びバッテリパック40の全体が保護領域G内に位置する。バッテリパック40は、取り付け面41を除いて他の5面が開放されている。特に、
図1,2に示すように本実施形態ではバッテリパック40の上面40U、右側面40R及び後面40Bの3面が大きく側方に開放されている。右フレーム51の内側領域が、バッテリパック40の右側面40Rを右方へ開放する開口窓PRとして機能する。右フレーム51の上フレーム51bと左フレーム52の上フレーム52bとの間の領域が、バッテリパック40の上面40Uを上方へ開放する開口窓PUとして機能する。右フレーム51の後フレーム51cと左フレーム52の後フレーム52cとの間の領域が、バッテリパック40の後面40Bを後方へ開放する開口窓PBとして機能する。バッテリパック40がガード部50の保護領域G内に位置されることでその保護がなされるとともに、その右側面40Rと上面40Uと後面40Bの少なくとも3面がガード部50の開口窓PR,PU,PBを経て側方、上方及び後方へ開放される。これにより、バッテリパック40の少なくとも3面について、使用者がバッテリパック40の取り付け、取り外し時に指先を進入させる把持スペースが確保される。これにより、バッテリパック40の取り付け、取り外し時の取り扱い性及び把持性が高められている。
【0040】
以上のように構成した本実施形態によると、バッテリパック40がガード部50の保護領域G内に取り付けられる。これにより、バッテリパック40に対する他部材の干渉若しくは衝突がガード部50により回避されて、バッテリパック40の保護が図られる。
【0041】
また、バッテリ取り付け部45に取り付けた状態では、バッテリパック40の上面40Uと右側面40Rと後面40Bの3面が開口窓PU,PR,PBを経て外方へ広く開放される。これにより、使用者がバッテリパック40にこれら3面40U,40R,40Bに指先を宛がって移動操作しやすく、この点で取り付け、取り外しの操作性が確保される。
【0042】
さらに、本実施形態によると、エアコンプレッサ1は、圧縮部10を覆う圧縮部カバー19を有し、圧縮部カバー19の上面に、バッテリ取り付け部45が配置されている。これにより、バッテリパック40が圧縮部カバー19の上面に取り付けられて、ガード部50により保護される。
【0043】
また、当該エアコンプレッサ1の下方領域において、タンク20がその長手方向(タンク軸線J)を左右方向に沿わせて配置され、電動モータ11がモータ軸線Mを左右方向に沿わせて配置されている。しかも、電動モータ11とタンク20が下方領域において、前後方向に並んで配置されている。これにより、当該エアコンプレッサ1の下方領域において、比較的大きな配置スペースを占めるタンク20と電動モータ11が前後に並んでコンパクトに配置される。また、比較的重量物であるタンク20と電動モータ11が下方領域に配置されることでエアコンプレッサ1の設置の安定性が確保される。
【0044】
また、例示した圧縮部10によれば、シリンダ15が上下に延びる状態に配置されて、ピストン14の往復動方向が上下方向となっている。上下に延びるシリンダ15の側方に電動モータ11がモータ軸線Mを左右方向の沿わせる横置き姿勢で配置されている。電動モータ11の上方にバッテリ取り付け部45が配置されている。これにより、上下に延在するシリンダ15に対して電動モータ11とバッテリ取り付け部45が効率良く配置されている。
【0045】
さらに、バッテリパック40の前部側がタンク20の上方に位置するようにバッテリ取り付け部45が配置されている。これにより、バッテリパック40の取り付けスペースが、タンク20に対して前後方向(設置面F方向)にオーバーラップされることでコンパクト化されている。
【0046】
また、タンク20の長手方向が左右方向となるようにエアコンプレッサ1の前領域に配置されている。ガード部50の左右フレーム51,52が、タンク20の前部から上方、後方及び下方に至る側面視ループ形の経路に沿って配置される。側面視ループ形の経路内の保護領域Gに、圧縮部10と操作部30とバッテリパック40を含む当該エアコンプレッサ1のほぼ全体が配置されてその保護がなされる。
【0047】
さらに、フィルタ交換用の蓋部17が圧縮部カバー19から突出して配置されることで、その回転操作性が確保されている。これにより使用者は、圧縮部カバー19が邪魔になることなく、かつ圧縮部10の発熱部に誤って手を接触等させることなく、蓋部17を回転操作して楽に脱着することができる。この点で、フィルタ交換作業の便宜が図られる。
【0048】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、フィルタ交換用の蓋部17についてもカード部50の内側の保護領域G内に位置させる構成とすることができる。また、操作部30の調整ダイヤル32がガード部50の前傾斜部51e,52e間から上方へ突き出す構成を例示したが、例えば前傾斜部51e,52eの傾斜角度を変更する等して調整ダイヤル32についても保護領域G内に位置させる構成とすることができる。前傾斜部51e,52eは省略して、前フレーム51a,52aの上部に対して上フレーム51b,52bの前部がほぼ直角に結合される構成としてもよい。
【0049】
また、例示した実施形態では、バッテリパック40の右側方、上方及び後方の3方向について開口窓PR,PU,PBを設定した構成を例示したが、これに代えて若しくは加えて前方や左側方に開口窓を設定することができる。
【0050】
複数個のバッテリパック40を取り付け可能とする場合についても同様に保護領域G内に取り付ける構成とすることができる。タンク20の左右側部についても保護領域G内に位置させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…エアコンプレッサ
F…設置面
10…圧縮部
11…電動モータ、M…モータ軸線
11a…モータハウジング
12…ベルト伝達部
13…ピストンロッド
14…ピストン
15…シリンダ
16…フィルタ、16a…収容部
17…蓋部
18…吸気パイプ
19…圧縮部カバー
19a…排熱窓、19b…排気窓、19c…吸気窓、19d…前部、19e…配管類
20…タンク
J…タンク軸線(長手方向)
21…脚部
22…排水ドレン、22a…開閉コック
30…操作部
31…操作部ケース
32…調整ダイヤル
33…圧力ゲージ
34…起動スイッチ
35…接続口
H…エアホース
T…エアツール
36…リリーフバルブ
40…バッテリパック
40R…右側面、40U…上面、40B…後面
41…取り付け面
41a…レール部、41b…端子受け部(正極)、41c…端子受け部(負極)
42…ロック爪
43…アンロックボタン
45…バッテリ取り付け部
45a…レール受け部、45b…正極端子、45c…負極端子
46…ロック凹部
50…ガード部
51…右フレーム
51a…前フレーム、51b…上フレーム、51c…後フレーム、51d…下フレーム
51e…前傾斜部
52…左フレーム
52a…前フレーム、52b…上フレーム、52c…後フレーム、52d…下フレーム
52e…前傾斜部
53…結合フレーム
54…ハンドル部
55…結合フレーム
G…保護領域
GL…前後領域、GW…左右領域、GH…上下領域
PR…開口窓(右側方)、PU…開口窓(上方)、PB…開口窓(後方)