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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240415BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240415BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L21/88 T
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 655F
H01L29/78 657C
H01L29/78 657G
H01L29/91 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020157962
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051466
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/080162(WO,A1)
【文献】特開平09-022983(JP,A)
【文献】特開2011-134984(JP,A)
【文献】特開2002-246599(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205、29/12、
29/739、29/78、
29/861
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、
前記半導体層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられたゲート電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた電極パッドと、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記ゲート電極に電気的に接続された配線層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記電極パッド及び前記配線層に電気的に接続され、前記第1の面に平行な第1の方向に延びた第1の多結晶シリコン層と、
前記第1の多結晶シリコン層と前記電極パッドとの間、及び、前記第1の多結晶シリコン層と前記配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、を有する絶縁層と、
を、備え、
前記少なくとも一つの第1の開口部の中を経由して前記電極パッドと前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第2の開口部の中を経由して前記配線層と前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、前記少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きく、
前記電極パッドの面積は、前記配線層の面積よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の方向の前記第1の多結晶シリコン層の長さは200μm以上であり、前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向の前記第1の多結晶シリコン層の幅は50μm以下である請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の開口面積は、前記第2の開口面積の2倍以上である請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、
前記半導体層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられたゲート電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた電極パッドと、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記ゲート電極に電気的に接続された配線層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記電極パッド及び前記配線層に電気的に接続され、前記第1の面に平行な第1の方向に延びた第1の多結晶シリコン層と、
前記第1の多結晶シリコン層と前記電極パッドとの間、及び、前記第1の多結晶シリコン層と前記配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、を有する絶縁層と、
を、備え、
前記少なくとも一つの第1の開口部の中を経由して前記電極パッドと前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第2の開口部の中を経由して前記配線層と前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、前記少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きく、
前記第1の方向の前記第1の多結晶シリコン層の長さは200μm以上であり、前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向の前記第1の多結晶シリコン層の幅は50μm以下であり、
前記少なくとも一つの第1の開口部の個数は、前記少なくとも一つの第2の開口部の個数よりも多い、半導体装置。
【請求項5】
前記電極パッドは前記第1の多結晶シリコン層に接し、前記配線層は前記第1の多結晶シリコン層に接する請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、
前記半導体層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられたゲート電極と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた電極パッドと、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記ゲート電極に電気的に接続された配線層と、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記電極パッド及び前記配線層に電気的に接続され、前記第1の面に平行な第1の方向に延びた第1の多結晶シリコン層と、
前記第1の多結晶シリコン層と前記電極パッドとの間、及び、前記第1の多結晶シリコン層と前記配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、を有する絶縁層と、
を、備え、
前記少なくとも一つの第1の開口部の中を経由して前記電極パッドと前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第2の開口部の中を経由して前記配線層と前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、
前記少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、前記少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きく、
前記第1の方向の前記第1の多結晶シリコン層の長さは200μm以上であり、前記第1の面に平行で前記第1の方向に垂直な第2の方向の前記第1の多結晶シリコン層の幅は50μm以下であり、
前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記電極パッドに電気的に接続され、前記配線層と電気的に分離され、前記第1の方向に延びた第2の多結晶シリコン層を、更に備える半導体装置。
【請求項7】
前記第1の多結晶シリコン層はp型不純物又はn型不純物を含む請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のトランジスタチップが基板上に実装されたパワーモジュールでは、各トランジスタチップのゲート電極パッドにゲート抵抗部品を接続する。ゲート抵抗部品を接続することで、例えば、トランジスタチップの間の共振の抑制や、パワーモジュール内の電流の均一化が実現する。
【0003】
ゲート抵抗部品をトランジスタチップの外で接続する場合、パワーモジュールのサイズが増大したり、パワーモジュール内のトランジスタチップの配置の自由度が失われたりするなどの問題が生じる。このため、ゲート抵抗がトランジスタチップに内蔵される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6610785号公報
【文献】特許第6257554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ゲート抵抗が内蔵された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極と、前記半導体層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、前記半導体層の前記第1の面の側に設けられたゲート電極と、前記半導体層の前記第1の面の側に設けられた電極パッドと、前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記ゲート電極に電気的に接続された配線層と、前記半導体層の前記第1の面の側に設けられ、前記電極パッド及び前記配線層に電気的に接続され、前記第1の面に平行な第1の方向に延びた第1の多結晶シリコン層と、前記第1の多結晶シリコン層と前記電極パッドとの間、及び、前記第1の多結晶シリコン層と前記配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、を有する絶縁層と、を、備え、前記少なくとも一つの第1の開口部の中を経由して前記電極パッドと前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、前記少なくとも一つの第2の開口部の中を経由して前記配線層と前記第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、前記少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、前記少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きく、前記電極パッドの面積は、前記配線層の面積よりも大きい
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図5】第2の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図。
図6】第3の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図。
図7】第3の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図8】第4の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図。
図9】第4の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図10】第4の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図11】第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
図12】第5の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、半導体層の第1の面の側に設けられた第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられたゲート電極と、半導体層の第1の面の側に設けられた電極パッドと、半導体層の第1の面の側に設けられ、ゲート電極に電気的に接続された配線層と、半導体層の第1の面の側に設けられ、電極パッド及び配線層に電気的に接続され、第1の面に平行な第1の方向に延びた第1の多結晶シリコン層と、第1の多結晶シリコン層と電極パッドとの間、及び、第1の多結晶シリコン層と配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、を有する絶縁層と、を、備え、少なくとも一つの第1の開口部の中を経由して電極パッドと第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、少なくとも一つの第2の開口部の中を経由して配線層と第1の多結晶シリコン層が電気的に接続され、少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きい。
【0010】
第1の実施形態の半導体装置は、MOSFET100である。MOSFET100は、ベース領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。また、MOSFET100は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0011】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【0012】
図1は、図2のAA’断面図である。図2は、図1の第1の面P1上の全体レイアウトを示す。
【0013】
図1に示すように、MOSFET100は、炭化珪素層10(半導体層)、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極16、ゲート絶縁層18、層間絶縁層20(絶縁層)を備える。
【0014】
炭化珪素層10は、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形のボディ領域26、n形のソース領域28、及びp形のコンタクト領域30を含む。
【0015】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に位置する。炭化珪素層10は、第1の面(図1中“P1”)と第2の面(図1中“P2”)とを備える。
【0016】
第2の面P2は、第1の面P1に対向する。第2の面P2は、第1の面P1に対して平行である。
【0017】
第1の方向及び第2の方向は第1の面P1に対して平行な方向である。また、第2の方向は第1の方向に垂直な方向である。
【0018】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1の上に設けられる。ソース電極12は、第1の面P1に接する。
【0019】
ソース電極12は、例えば、金属である。ソース電極12は、ソース領域28及びコンタクト領域30に電気的に接続される。ソース電極12は、例えば、ソース領域28及びコンタクト領域30に接する。
【0020】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2の側に位置する。ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2上に設けられる。ドレイン電極14は、第2の面P2に接する。
【0021】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、ドレイン領域22に電気的に接続される。ドレイン電極14は、例えば、ドレイン領域22に接する。
【0022】
ゲート電極16は、炭化珪素層10の第1の面P1側に位置する。ゲート電極16は、例えば、第2の方向に延びる。
【0023】
ゲート電極16は、導電層である。ゲート電極16は、例えば、p形不純物又はn形不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0024】
ゲート絶縁層18は、ゲート電極16と炭化珪素層10との間に位置する。ゲート絶縁層18は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0025】
層間絶縁層20は、ゲート電極16上に設けられる。層間絶縁層20は、ゲート電極16とソース電極12との間に設けられる。層間絶縁層20は、ゲート電極16とソース電極12を電気的に分離する。層間絶縁層20は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0026】
図2に示すように、MOSFET100は、ソース電極12(第1の電極)、ゲート電極パッド32(電極パッド)、及びゲート配線層34(配線層)を備える。
【0027】
ゲート電極パッド32は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ゲート電極パッド32の上には、ボンディングワイヤを接続することが可能である。ゲート電極パッド32は、例えば、ゲートドライバ回路とボンディングワイヤを用いて接続される。ゲートドライバ回路からボンディングワイヤを経由してゲート電圧が、ゲート電極パッド32に印加される。
【0028】
ゲート電極パッド32は、例えば、ソース電極12と同一の材料で形成される。ゲート電極パッド32は、例えば、ソース電極12と同一のレイヤで形成される。ゲート電極パッド32は、例えば、金属である。
【0029】
ゲート配線層34は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ゲート配線層34は、例えば、ソース電極12及びゲート電極パッド32と同一の材料で形成される。ゲート電極パッド32は、例えば、ソース電極12及びゲート電極パッド32と同一のレイヤで形成される。ゲート電極パッド32は、例えば、金属である。
【0030】
ゲート配線層34の一部は、例えば、ゲート電極パッド32に隣り合って設けられる。ゲート配線層34の一部は、例えば、ゲート電極パッド32に沿って設けられる。
【0031】
ゲート配線層34は、ゲート電極16に電気的に接続される。
【0032】
図3は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。図3は、図2の破線で囲まれた領域Xのパターンレイアウト示す。
【0033】
図4は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図4は、図3のBB’断面図である。
【0034】
図1~4に示すように、MOSFET100は、炭化珪素層10(半導体層)、ソース電極12(第1の電極)、層間絶縁層20(絶縁層)、ゲート電極パッド32(電極パッド)、ゲート配線層34(配線層)、複数の第1の多結晶シリコン層41、及び、フィールド絶縁層44を有する。層間絶縁層20は、第1のコンタクトホール20a(第1の開口部)及び第2のコンタクトホール20b(第2の開口部)を有する。
【0035】
フィールド絶縁層44は、炭化珪素層10の上に設けられる。フィールド絶縁層44は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0036】
第1の多結晶シリコン層41は、炭化珪素層10の上に設けられる。第1の多結晶シリコン層41は、フィールド絶縁層44の上に設けられる。
【0037】
第1の多結晶シリコン層41は、ゲート電極パッド32及びゲート配線層34と電気的に接続される。ゲート電極パッド32、第1の多結晶シリコン層41、ゲート配線層34、及びゲート電極16は直列に接続される。第1の多結晶シリコン層41は、MOSFET100に内蔵されたゲート抵抗として機能する。
【0038】
第1の多結晶シリコン層41は、第1の方向に延びる。第1の多結晶シリコン層41の第1の方向の長さ(図3中のL)は、例えば、200μm以上500μm以下である。第1の多結晶シリコン層41の第2の方向の幅(図3中のW)は、例えば、20μm以上50μm以下である。
【0039】
第1の多結晶シリコン層41は、p形不純物又はn形不純物を含む。p形不純物は、例えば、ボロン(B)である。n形不純物は、例えば、リン(P)又はヒ素(As)である。
【0040】
第1の多結晶シリコン層41は、例えば、ゲート電極16と同一の材料で形成される。第1の多結晶シリコン層41は、例えば、ゲート電極16と同一のレイヤで形成される。
【0041】
層間絶縁層20は、第1の多結晶シリコン層41とゲート電極パッド32との間に設けられる。層間絶縁層20は、第1の多結晶シリコン層41とゲート配線層34との間に設けられる。
【0042】
層間絶縁層20は、第1のコンタクトホール20a及び第2のコンタクトホール20bを有する。第1のコンタクトホール20a及び第2のコンタクトホール20bは、層間絶縁層20に設けられたホールパターンである。
【0043】
第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積は、第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積よりも大きい。第1の開口面積は、例えば、第2の開口面積の2倍以上10倍以下である。
【0044】
第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積とは、第1の面P1に平行な面の中で、第1のコンタクトホール20aの壁面に囲まれた領域の面積を意味する。第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積とは、例えば、図3で第1のコンタクトホール20aを示す正方形の面積である。
【0045】
同様に、第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積とは、第1の面P1に平行な面の中で、第2のコンタクトホール20bの壁面に囲まれた領域の面積を意味する。第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積とは、例えば、図3で第2のコンタクトホール20bを示す正方形の面積である。
【0046】
第1のコンタクトホール20aを経由して、ゲート電極パッド32と第1の多結晶シリコン層41が電気的に接続される。例えば、第1のコンタクトホール20aの中に入ったゲート電極パッド32が、第1のコンタクトホール20aの底部で第1の多結晶シリコン層41に接することで、ゲート電極パッド32と第1の多結晶シリコン層41が電気的に接続される。
【0047】
第2のコンタクトホール20bを経由して、ゲート配線層34と第1の多結晶シリコン層41が電気的に接続される。例えば、第2のコンタクトホール20bの中に入ったゲート配線層34が、第2のコンタクトホール20bの底部で第1の多結晶シリコン層41に接することで、ゲート配線層34と第1の多結晶シリコン層41が電気的に接続される。
【0048】
第1のコンタクトホール20aと第2のコンタクトホール20bとの間の距離(図3中のd)は、例えば、100μm以上300μm以下である。
【0049】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0050】
複数のトランジスタチップが基板上に実装されたパワーモジュールでは、各トランジスタチップのゲート電極パッドにゲート抵抗部品を接続する。ゲート抵抗部品を接続することで、例えば、トランジスタチップの間の共振の抑制や、パワーモジュール内の電流の均一化が実現する。
【0051】
ゲート抵抗部品をトランジスタチップの外で接続する場合、パワーモジュールのサイズが増大したり、パワーモジュール内のトランジスタチップの配置の自由度が失われたりするなどの問題が生じる。このため、ゲート抵抗がトランジスタチップに内蔵される場合がある。
【0052】
しかし、内蔵されたゲート抵抗が発熱して温度が上昇することで、トランジスタの特性変動が生じたり、トランジスタが破壊したりするおそれがある。
【0053】
例えば、ゲート抵抗の発熱による温度上昇でゲート抵抗の抵抗値が変化し、トランジスタの特性変動が変動する。また、例えば、ゲート抵抗の発熱による温度上昇でゲート抵抗が溶断しトランジスタが破壊する。
【0054】
第1の実施形態のMOSFET100は、ゲート電極パッド32と第1の多結晶シリコン層41を接続するための第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積が、ゲート配線層34と第1の多結晶シリコン層41を接続する第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積よりも大きい。
【0055】
第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積が大きいことで、第1の多結晶シリコン層41で発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなる。
【0056】
ゲート電極パッド32は、ゲート配線層34よりも面積が大きい。このため、ゲート電極パッド32は、ゲート配線層34よりも放熱効率が高い。また、MOSFET100がパワーモジュールに実装された状態では、ゲート電極パッド32には、例えば、ボンディングワイヤが接続されている。このため、ゲート電極パッド32には、ボンディングワイヤを通じた放熱も期待できる。また、ゲート電極パッド32の上には、ボンディングを行う必要があるため、保護膜が形成されていない。したがって、上に保護膜が形成されたゲート配線層34よりも放熱効率が高い。
【0057】
第1の多結晶シリコン層41で発生した熱が、ゲート配線層34よりもゲート電極パッド32に流れやすくなることで、第1の多結晶シリコン層41の温度上昇が抑制される。したがって、MOSFET100の特性変動や破壊が抑制される。
【0058】
第1の多結晶シリコン層41の温度上昇を抑制する観点から、第1の開口面積は、第2の開口面積の2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。
【0059】
以上、第1の実施形態によれば、内蔵されるゲート抵抗の温度上昇が抑制された半導体装置を提供できる。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、少なくとも一つの第1の開口部の個数は、少なくとも一つの第2の開口部の個数よりも多い点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0061】
第2の実施形態の半導体装置は、MOSFET200である。
【0062】
図5は、第2の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。図5は、第1の実施形態の図3に対応する図である。
【0063】
図5に示すように、第2の実施形態のMOSFET200は、第1のコンタクトホール20aの個数が、第2のコンタクトホール20bの個数よりも多い。1つの第1の多結晶シリコン層41に対応する第1のコンタクトホール20aは4個であり、第2のコンタクトホール20bは1個である。
【0064】
なお、第1のコンタクトホール20aが複数個設けられる場合、第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積とは、個々の第1のコンタクトホール20aの開口面積の総和である。同様に、第2のコンタクトホール20bが複数個設けられる場合、第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積とは、個々の第2のコンタクトホール20bの開口面積の総和である。
【0065】
図5の場合、第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積は、第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積の4倍である。
【0066】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、内蔵されるゲート抵抗の温度上昇が抑制された半導体装置を提供できる。
【0067】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、半導体層の第1の面の側に設けられ、電極パッドに電気的に接続され、配線層と電気的に分離され、第1の方向に延びた第2の多結晶シリコン層を、更に備える点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0068】
第3の実施形態の半導体装置は、MOSFET300である。
【0069】
図6は、第3の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。図6は、第1の実施形態の図3に対応する図である。
【0070】
図7は、第3の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図7は、図6のCC’断面図である。
【0071】
図6図7に示すように、第3の実施形態のMOSFET300は、第1の多結晶シリコン層41に加え、第2の多結晶シリコン層42を備える。第2の多結晶シリコン層42は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第2の多結晶シリコン層42は、第1の方向に延びる。
【0072】
第2の多結晶シリコン層42は、ゲート電極パッド32に電気的に接続される。第2の多結晶シリコン層42は、ゲート配線層34と電気的に分離される。
【0073】
層間絶縁層20には、ゲート配線層34と第2の多結晶シリコン層42を電気的に接続するための、コンタクトホールは設けられない。
【0074】
第3の実施形態のMOSFET300は、第2の多結晶シリコン層42を備えることで、ゲート抵抗を、第1の実施形態のMOSFET100よりも高い抵抗値に設定することが可能となる。
【0075】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、内蔵されるゲート抵抗の温度上昇が抑制された半導体装置を提供できる。
【0076】
(第4の実施形態)
第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する半導体層と、半導体層の第1の面の側に設けられた第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられたゲート電極と、半導体層の第1の面の側に設けられた電極パッドと、半導体層の第1の面の側に設けられ、ゲート電極に電気的に接続された配線層と、半導体層の第1の面の側に設けられ、電極パッド及び配線層に電気的に接続され、第1の面に平行な第1の方向に延び、第1のp型領域及び第1のn型領域を含む第1の多結晶シリコン層と、半導体層の第1の面の側に設けられ、電極パッド及び配線層に電気的に接続され、第1の方向に延び、第2のn型領域及び第2のp型領域を含み、第1の多結晶シリコン層と離間した第2の多結晶シリコン層と、第1の多結晶シリコン層及び第2の多結晶シリコン層と電極パッドとの間、及び、第1の多結晶シリコン層及び第2の多結晶シリコン層と配線層との間に設けられ、少なくとも一つの第1の開口部と、少なくとも一つの第2の開口部と、少なくとも一つの第3の開口部と、少なくとも一つの第4の開口部と、を有する絶縁層と、を、備え、少なくとも一つの第1の開口部を経由して電極パッドと第1のp型領域が電気的に接続され、少なくとも一つの第2の開口部を経由して配線層と第1のn型領域が電気的に接続され、少なくとも一つの第3の開口部を経由して電極パッドと第2のn型領域が電気的に接続され、少なくとも一つの第4の開口部を経由して配線層と第2のp型領域が電気的に接続され、第1のp型領域と第1のn型領域との第1の接合面と少なくとも一つの第1の開口部との間の第1の距離は、第1の接合面と少なくとも一つの第2の開口部との間の第2の距離よりも小さく、第2のn型領域と第2のp型領域との第2の接合面と少なくとも一つの第3の開口部との間の第3の距離は、第2の接合面と少なくとも一つの第4の開口部との間の第4の距離よりも小さい。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0077】
第4の実施形態の半導体装置は、MOSFET400である。MOSFET400は、第1の実施形態の図1で示される構造と同様のトランジスタ構造を備える。
【0078】
図8は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。図8は、第1の実施形態の図3に対応する図である。
【0079】
図9は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図9は、図8のDD’断面図である。
【0080】
図10は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図10は、図8のEE’断面図である。
【0081】
図8図9、及び図10に示すように、MOSFET400は、炭化珪素層10(半導体層)、ソース電極12(第1の電極)、層間絶縁層20(絶縁層)、ゲート電極パッド32(電極パッド)、ゲート配線層34(配線層)、複数の第1の多結晶シリコン層51、複数の第2の多結晶シリコン層52、及び、フィールド絶縁層44を有する。層間絶縁層20は、第1のコンタクトホール20a(第1の開口部)、第2のコンタクトホール20b(第2の開口部)、第3のコンタクトホール20c(第3の開口部)、及び第4のコンタクトホール20d(第4の開口部)を有する。
【0082】
フィールド絶縁層44は、炭化珪素層10の上に設けられる。フィールド絶縁層44は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0083】
第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52は、炭化珪素層10の上に設けられる。第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52は、フィールド絶縁層44の上に設けられる。
【0084】
第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52は、ゲート電極パッド32及びゲート配線層34と電気的に接続される。ゲート電極パッド32、第1の多結晶シリコン層51、ゲート配線層34、及びゲート電極16は直列に接続される。ゲート電極パッド32、第2の多結晶シリコン層52、ゲート配線層34、及びゲート電極16は直列に接続される。第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52は、MOSFET400に内蔵されたゲート抵抗として機能する。
【0085】
第1の多結晶シリコン層51は、第1の方向に延びる。第1の多結晶シリコン層51の第1の方向の長さは、例えば、200μm以上500μm以下である。第1の多結晶シリコン層51の第2の方向の幅は、例えば、20μm以上50μm以下である。
【0086】
第1の多結晶シリコン層51は、第1のp型領域51a及び第1のn型領域51bを含む。第1の多結晶シリコン層51は、pnダイオードを備えたゲート抵抗として機能する。
【0087】
第1のp型領域51aは、p形不純物を含む。p形不純物は、例えば、ボロン(B)である。
【0088】
第1のn型領域51bは、n型不純物を含む。n型不純物は、例えば、リン(P)又はヒ素(As)である。
【0089】
第2の多結晶シリコン層52は、第1の方向に延びる。第2の多結晶シリコン層52は、第1の多結晶シリコン層51と離間する。第2の多結晶シリコン層52の第1の方向の長さは、例えば、200μm以上500μm以下である。第2の多結晶シリコン層52の第2の方向の幅は、例えば、20μm以上50μm以下である。
【0090】
第2の多結晶シリコン層52は、第2のn型領域52a及び第2のp型領域52bを含む。第2の多結晶シリコン層52は、pnダイオードを備えたゲート抵抗として機能する。
【0091】
第2のn型領域52aは、n型不純物を含む。n型不純物は、例えば、リン(P)又はヒ素(As)である。
【0092】
第2のp型領域52bは、p形不純物を含む。p形不純物は、例えば、ボロン(B)である。
【0093】
層間絶縁層20は、第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52とゲート電極パッド32との間に設けられる。層間絶縁層20は、第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52とゲート配線層34との間に設けられる。
【0094】
層間絶縁層20は、第1のコンタクトホール20a、第2のコンタクトホール20b、第3のコンタクトホール20c、及び第4のコンタクトホール20dを有する。第1のコンタクトホール20a、第2のコンタクトホール20b、第3のコンタクトホール20c、及び第4のコンタクトホール20dは、層間絶縁層20に設けられたホールパターンである。
【0095】
第1のコンタクトホール20aを経由して、ゲート電極パッド32と第1のp型領域51aが電気的に接続される。例えば、第1のコンタクトホール20aの中に入ったゲート電極パッド32が、第1のコンタクトホール20aの底部で第1のp型領域51aに接することで、ゲート電極パッド32と第1のp型領域51aが電気的に接続される。
【0096】
第2のコンタクトホール20bを経由して、ゲート配線層34と第1のn型領域51bが電気的に接続される。例えば、第2のコンタクトホール20bの中に入ったゲート配線層34が、第2のコンタクトホール20bの底部で第1のn型領域51bに接することで、ゲート配線層34と第1のn型領域51bが電気的に接続される。
【0097】
第1のコンタクトホール20aと第2のコンタクトホール20bとの間の距離は、例えば、100μm以上300μm以下である。
【0098】
第1のp型領域51aと第1のn型領域51bの境界は、第1の接合面51xである。第1の接合面51xは、pn接合である。
【0099】
第1の接合面51xと第1のコンタクトホール20aとの間の第1の距離(図8中のd1)は、第1の接合面51xと第2のコンタクトホール20bとの間の第2の距離(図8中のd2)よりも小さい。第1の距離d1は、例えば、第2の距離d2の2分の1以下である。
【0100】
第3のコンタクトホール20cを経由して、ゲート電極パッド32と第2のn型領域52aが電気的に接続される。例えば、第3のコンタクトホール20cの中に入ったゲート電極パッド32が、第3のコンタクトホール20cの底部で第2のn型領域52aに接することで、ゲート電極パッド32と第2のn型領域52aが電気的に接続される。
【0101】
第4のコンタクトホール20dを経由して、ゲート配線層34と第2のp型領域52bが電気的に接続される。例えば、第4のコンタクトホール20dの中に入ったゲート配線層34が、第4のコンタクトホール20dの底部で第2のp型領域52bに接することで、ゲート配線層34と第2のp型領域52bが電気的に接続される。
【0102】
第3のコンタクトホール20cと第4のコンタクトホール20dとの間の距離は、例えば、100μm以上300μm以下である。
【0103】
第2のn型領域52aと第2のp型領域52bの境界は、第2の接合面52xである。第2の接合面52xは、pn接合である。
【0104】
第2の接合面52xと第3のコンタクトホール20cとの間の第3の距離(図8中のd3)は、第2の接合面52xと第4のコンタクトホール20dとの間の第4の距離(図8中のd4)よりも小さい。第3の距離d3は、例えば、第4の距離d4の2分の1以下である。
【0105】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0106】
図11は、第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。図11は、MOSFET400のゲート抵抗を含む等価回路図を示す。
【0107】
MOSFET400は、トランジスタのターンオン動作時と、トランジスタのターン動作時で異なるゲート抵抗の抵抗値が適用できる。言い換えれば、トランジスタのターンオン動作時と、トランジスタのターンオフ動作時で最適なゲート抵抗の抵抗値を適用できる。
【0108】
例えば、ゲート電極パッド32に印加されるゲート電圧Vgがゲート電極16に対して正の電圧となるターンオン動作時は、第1の多結晶シリコン層51のみがゲート抵抗として機能する。
【0109】
一方、例えば、ゲート電極パッド32に印加されるゲート電圧Vgがゲート電極16に対して負の電圧となるターンオフ動作時は、第2の多結晶シリコン層52のみがゲート抵抗として機能する。
【0110】
図8に示すように第4の実施形態では、並列に接続する第1の多結晶シリコン層51が2つ、第2の多結晶シリコン層52が4つである。そのため、第1の多結晶シリコン層51と第2の多結晶シリコン層52の1個あたりの抵抗値が同じ場合、トランジスタのターンオン動作時の抵抗値は、ターンオフ動作時の抵抗値よりも大きくなる。例えば、トランジスタのターンオン動作時の抵抗値を大きくすることで、トランジスタチップの間の共振を抑制できる。例えば、トランジスタのターンオフ動作時の抵抗値を小さくすることで、ターンオフ損失が低減できる。
【0111】
MOSFET400では、ダイオードの発熱により、第1の多結晶シリコン層51又は第2の多結晶シリコン層52の温度が上昇し、トランジスタの特性変動が生じたり、トランジスタが破壊したりするおそれがある。
【0112】
第4の実施形態のMOSFET400は、第1の接合面51xと第1のコンタクトホール20aとの間の第1の距離(図8中のd1)は、第1の接合面51xと第2のコンタクトホール20bとの間の第2の距離(図8中のd2)よりも小さい。このため、ダイオードのpn接合に近い位置に、ゲート電極パッド32につながる第1のコンタクトホール20aが設けられる。
【0113】
ダイオードのpn接合が、第1のコンタクトホール20aに近いことで、第1の多結晶シリコン層51のダイオードで発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなる。
【0114】
また、第4の実施形態のMOSFET400は、第2の接合面52xと第3のコンタクトホール20cとの間の第3の距離(図8中のd3)は、第2の接合面52xと第4のコンタクトホール20dとの間の第4の距離(図8中のd4)よりも小さい。このため、ダイオードのpn接合に近い位置に、ゲート電極パッド32につながる第3のコンタクトホール20cが設けられる。
【0115】
ダイオードのpn接合が、第3のコンタクトホール20cに近いことで、第2の多結晶シリコン層52のダイオードで発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなる。
【0116】
ゲート電極パッド32は、ゲート配線層34よりも面積が大きい。このため、ゲート電極パッド32は、ゲート配線層34よりも放熱効率が高い。また、MOSFET400がパワーモジュールに実装された状態では、ゲート電極パッド32には、例えば、ボンディングワイヤが接続されている。ゲート電極パッド32には、ボンディングワイヤを通じた放熱が期待できる。また、ゲート電極パッド32の上には、ボンディングを行うために、保護膜が形成されていない。したがって、上に保護膜が形成されたゲート配線層34よりも放熱効率が高い。
【0117】
第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52のダイオードで発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなることで、第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52の温度上昇が抑制される。したがって、MOSFET400の特性変動や破壊が抑制される。
【0118】
第1の多結晶シリコン層51の温度上昇を抑制する観点から、第1の距離d1は、第2の距離d2の2分の1以下であることが好ましく、4分の1以下であることが更に好ましい。また、第2の多結晶シリコン層52の温度上昇を抑制する観点から、第3の距離d3は、第4の距離d4の2分の1以下であることが好ましく、4分の1以下であることが更に好ましい。
【0119】
なお、図8では、並列に接続する第1の多結晶シリコン層51と第2の多結晶シリコン層52の個数を変えることにより、トランジスタのターンオン動作時とトランジスタのターンオフ動作時で抵抗値を変える場合を例に説明した。しかし、例えば、第1の多結晶シリコン層51と第2の多結晶シリコン層52の1個あたりの抵抗値を変えることで、トランジスタのターンオン動作時とトランジスタのターンオフ動作時で抵抗値を変えることも可能である。
【0120】
また、トランジスタのターンオン動作時の抵抗値を、ターンオフ動作時の抵抗値よりも大きくする場合を例に説明したが、トランジスタのターンオン動作時の抵抗値を、ターンオフ動作時の抵抗値より小さくしても構わない。
【0121】
以上、第4の実施形態によれば、内蔵されるゲート抵抗の温度上昇が抑制された半導体装置を提供できる。
【0122】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置は、少なくとも一つの第1の開口部の第1の開口面積は、少なくとも一つの第2の開口部の第2の開口面積よりも大きく、少なくとも一つの第3の開口部の第3の開口面積は、少なくとも一つの第4の開口部の第4の開口面積よりも大きい点で、第4の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0123】
第5の実施形態の半導体装置は、MOSFET500である。
【0124】
図12は、第5の実施形態の半導体装置の一部の模式上面図である。図12は、第4の実施形態の図8に対応する図である。
【0125】
図12に示すように、第5の実施形態のMOSFET500は、第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積が、第2のコンタクトホール20bの第2の開口面積よりも大きい。第1のコンタクトホール20aの第1の開口面積が大きいことで、第1の多結晶シリコン層51で発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなる。
【0126】
また、第3のコンタクトホール20cの第3の開口面積が、第4のコンタクトホール20dの第4の開口面積よりも大きい。第3のコンタクトホール20cの第3の開口面積が大きいことで、第2の多結晶シリコン層52で発生した熱が、ゲート電極パッド32に流れやすくなる。
【0127】
したがって、第5の実施形態のMOSFET500は、第4の実施形態のMOSFET400と比較して、更に、第1の多結晶シリコン層51及び第2の多結晶シリコン層52の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0128】
以上、第5の実施形態によれば、内蔵されるゲート抵抗の温度上昇が抑制された半導体装置を提供できる。
【0129】
以上、第1ないし第5の実施形態では、nチャネル型のMOSFETを例に説明したが、pチャネル型のMOSFETにも本発明を適用することも可能である。
【0130】
また、第1ないし第5の実施形態では、ゲート電極が半導体層の第1の面の上に設けられたプレーナゲート構造のMOSFETを例に説明したが、ゲート電極が半導体層に形成されたトレンチの中に設けられるトレンチゲート構造のMOSFETに本発明を適用することも可能である。
【0131】
また、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)に本発明を適用することも可能である。
【0132】
また、第1ないし第5の実施形態では、半導体層に炭化珪素を用いる場合を例に説明したが、半導体層はシリコン等、その他の半導体であっても構わない。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
10 炭化珪素層(半導体層)
12 ソース電極(第1の電極)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16 ゲート電極
20 層間絶縁層(絶縁層)
20a 第1のコンタクトホール(第1の開口部)
20b 第2のコンタクトホール(第2の開口部)
20c 第3のコンタクトホール(第3の開口部)
20d 第4のコンタクトホール(第4の開口部)
32 ゲート電極パッド(電極パッド)
34 ゲート配線層(配線層)
41 第1の多結晶シリコン層
42 第2の多結晶シリコン層
51 第1の多結晶シリコン層
51a 第1のp型領域
51b 第1のn型領域
51x 第1の接合面
52 第2の多結晶シリコン層
52a 第2のn型領域
52b 第2のp型領域
52x 第2の接合面
100 MOSFET(半導体装置)
L 長さ
P1 第1の面
P2 第2の面
W 幅
d1 第1の距離
d2 第2の距離
d3 第3の距離
d4 第4の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12