(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】噴出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240415BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240415BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20240415BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101N
B05B11/00 101B
B05B11/00 101D
B05B11/00 101E
B05B1/14 Z
F04B9/14 B
(21)【出願番号】P 2020165394
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-132017(JP,U)
【文献】特開昭53-008279(JP,A)
【文献】特開2016-069045(JP,A)
【文献】特開2017-132535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 11/00
B05B 1/14
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される容器本体(10A,10B)と、該容器本体(10A,10B)の口部(14)に装着される容器側蓋体(20A,20B)と、前記内容液を噴出する噴出孔(51d,52a)が上面に設けられた受け皿(51)と、前記容器本体(10A,10B)内の内容液を受け皿(51)まで導くパイプ(60)と、弾性変形可能に設けられて前記容器本体(10A,10B)の内圧を可変する弾性変形部(16,41)と、を有して成る噴出容器であって、
受け皿(51)を押下すると、前記弾性変形部(16,41)が圧縮変形して前記容器本体(10A,10B)内が加圧されることにより、前記内容液が前記パイプ(60)内を押し上げられて前記受け皿(51)に設けられた前記噴出孔(51d,52a)から噴出する
ものであり、
前記受け皿(51)に、噴出孔(52a)に連通すると共にパイプ(60)が接続される連結筒(53)が垂下設され、該連結筒(53)の内周面と前記パイプ(60)の外周面との間に前記噴出孔(52a)と容器本体(10A)の内部とを連通する通気孔(53a)が形成されていることを特徴とする噴出容器。
【請求項2】
内容液が収容される容器本体(10A,10B)と、該容器本体(10A,10B)の口部(14)に装着される容器側蓋体(20A,20B)と、前記内容液を噴出する噴出孔(51d,52a)が上面に設けられた受け皿(51)と、前記容器本体(10A,10B)内の内容液を受け皿(51)まで導くパイプ(60)と、弾性変形可能に設けられて前記容器本体(10A,10B)の内圧を可変する弾性変形部(16,41)と、を有して成る噴出容器であって、
受け皿(51)を押下すると、前記弾性変形部(16,41)が圧縮変形して前記容器本体(10A,10B)内が加圧されることにより、前記内容液が前記パイプ(60)内を押し上げられて前記受け皿(51)に設けられた前記噴出孔(51d,52a)から噴出するものであり、
前記容器側蓋体(20B)の頂壁(21)に蓋側貫通孔(21a)と該蓋側貫通孔(21a)に連通すると共にパイプ(60)が接続される連結筒(25)が垂下設されており、該連結筒(25)には前記蓋側貫通孔(21a)と容器本体(10B)の内部とを連通する通気孔(25a)が形成されていることを特徴とする噴出容器。
【請求項3】
受け皿(51)と容器側蓋体(20B)の頂壁(21)とが対向する部分に、蓋側貫通孔(21a)と噴出孔(51d)とを連通させる案内通路(51c)が形成されている請求項2記載の噴出容器。
【請求項4】
受け皿(51)の上面を覆う皿用蓋体(57)が、前記受け皿(51)の一端に設けられたヒンジ(56)を介して連結されており、前記皿用蓋体(57)の下面で且つ噴出孔(51d,52a)と対向する位置に、閉蓋状態において、前記噴出孔(51d,52a)を閉塞する閉栓部材(57a,57d)が設けられている請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作した手に内容液を噴出させる噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆衛生の観点などから手や指をアルコール消毒液等により消毒することが有効とされている。このようなアルコール消毒液等の内容液を手や指に噴出させる手段として、内容液を収容する容器本体と、容器本体内で内容液を吸い上げるパイプと、パイプ上端に設けられたポンプ機構と、ポンプ機構の上端に設けられ、内容液を噴出するノズルが設けられたノズルヘッドと、を備えるポンプ式の噴出容器が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記ポンプ機構は、例えば、シリンダーとピストンを備えており、パイプから吸い上げた内容液は、一定量シリンダー内に収容される。このようなポンプ機構は、使用者がノズルヘッドを押し下げると(操作時)、シリンダー内でピストンが降下し、降下している間はピストン周囲に備えられた弁が開くように構成されている。これにより、シリンダー内の内容液が、ピストンの周囲の弁を通って上方に押し出され、ノズルから噴出される。使用者がノズルヘッドから手を放すと、シリンダー内のばねによりピストンが上方に移動し(復帰時)、ピストンの周囲の弁は閉じ、シリンダーの下部に配置された逆止弁が開くため、容器内の内容液がパイプから吸い上げられ、シリンダー内に一定量の内容液が再び満たされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1にポンプ式の噴出容器では、比較的高価なポンプ機構を備える必要があることから、製造コストを低廉しにくいという問題がある。
【0006】
また上記特許文献1にポンプ式の噴出容器では、一方の手でノズルヘッドを押し下げる操作を行いながら、他方の手でノズルから噴出される内容液を受け止める必要があることから片手のみでの操作は困難であり、手荷物を持っている使用者は、一度手荷物を地面等に置いて両手をフリーにした状態でなければ一人で操作することができないという問題もある。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、簡単な構成で安価に製造でき、しかも操作した手に内容液を噴出させることのできる噴出容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の主たる手段は、
内容液が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着される容器側蓋体と、内容液を噴出する噴出孔が上面に設けられた受け皿と、容器本体内の内容液を受け皿まで導くパイプと、弾性変形可能に設けられて容器本体の内圧を可変する弾性変形部と、を有して成る噴出容器であって、
受け皿を押下すると、弾性変形部が圧縮変形して容器本体内が加圧されることにより、内容液がパイプ内を押し上げられて受け皿に設けられた噴出孔から噴出するものであり、
受け皿に、噴出孔に連通すると共にパイプが接続される連結筒が垂下設され、該連結筒の内周面とパイプの外周面との間に噴出孔と容器本体の内部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の第1の主たる手段では、比較的高価なポンプ機構を用いることなく、簡単な構成とすることができると共に、片手のみの操作で内容液を噴出させることができる。
また内容液をシャワー状に噴出することを達成し得る。
【0010】
また本発明の第2の主たる手段は、
内容液が収容される容器本体と、該容器本体の口部に装着される容器側蓋体と、前記内容液を噴出する噴出孔が上面に設けられた受け皿と、前記容器本体内の内容液を受け皿まで導くパイプと、弾性変形可能に設けられて前記容器本体の内圧を可変する弾性変形部と、を有して成る噴出容器であって、
受け皿を押下すると、前記弾性変形部が圧縮変形して前記容器本体内が加圧されることにより、前記内容液が前記パイプ内を押し上げられて前記受け皿に設けられた前記噴出孔から噴出するものであり、
前記容器側蓋体の頂壁に蓋側貫通孔と該蓋側貫通孔に連通すると共にパイプが接続される連結筒が垂下設されており、該連結筒には前記蓋側貫通孔と容器本体の内部とを連通する通気孔が形成されていることを特徴とする、と云うものである。
上記第2の主たる手段においても、内容液をシャワー状に噴出することを達成し得る。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記手段に、受け皿と容器側蓋体の頂壁とが対向する部分に、蓋側貫通孔と噴出孔とを連通させる案内通路が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、噴出孔を受け皿の中心から径方向外側の位置に設けることができるため、内容液をより広範囲に亘って噴出することを達成し得る。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、受け皿の上面を覆う皿用蓋体が、受け皿の一端に設けられたヒンジを介して連結されており、皿用蓋体の下面で且つ噴出孔と対向する位置に、閉蓋状態において、噴出孔を閉塞する閉栓部材が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、噴出孔からの液漏れを効果的に防止し得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、比較的高価なポンプ機構を用いることなく簡単な構成とすることができるため、噴出容器の製造コストを低廉なものとすることができる。
また両手を使用することなく、片手の操作だけで内容液を噴出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施例として皿用蓋体を閉じた閉蓋状態(初期状態)を示す噴出容器の断面図である。
【
図2】
図1の噴出容器において、(a)は受け皿の一実施例を示す平面図、(b)は皿用蓋体を開いた開蓋状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2実施例として皿用蓋体を閉じた閉蓋状態(初期状態)を示す噴出容器の断面図である。
【
図4】
図2の噴出容器において、(a)は受け皿の一実施例を示す平面図、(b)は皿用蓋体を開いた開蓋状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
最初に噴出容器の第1実施例について説明する。
1及び
図2に示すように、第1実施例の噴出容器1Aは、容器本体10Aと、容器側蓋体20Aと、連結部材30と、ベロー部材40と、押下部材50Aと、パイプ60と、を有して構成され、これらはすべて合成樹脂材料を用いて形成されている。
【0016】
容器本体10Aは、例えばポリエチレン(PE)などの合成樹脂材料をブロー成形することにより形成されており、底部11の上に連設された筒状の胴部12の上端を縮径状に形成して成る肩部13を介して円筒状の口部14が立設された有底筒状の部材である。口部14の外周面には雄ネジ部15が刻設されている。
【0017】
容器側蓋体20Aは、頂壁21の外縁部に円筒状の周壁22が一体に垂下設された有頂筒状の部材であり、頂壁21には開口部23が形成され、周壁22の内周面には口部14の雄ネジ部15に螺合する雌ネジ部24が形成されている。また周壁22の下端には、径方向外側に向かってリング状に形成された規制部22aが形成されている。容器側蓋体20Aは雌ネジ部24を雄ネジ部15に螺合させることにより、口部14に組み付けられる。
【0018】
連結部材30は、中央に開口部31を有する平板リング形状から成るフランジ32を有し、フランジ32の上面には二重円筒からなる保持部33が形成されている。連結部材30は、容器側蓋体20Aを口部14に装着する際に、口部14の先端と頂壁21との間にフランジ32を挟持させた状態で組み付けられている。
【0019】
ベロー部材40は、上下方向に弾性変形可能に形成された蛇腹状の弾性変形部41と、弾性変形部41の下端に連設された円筒形状から成る下部連結部42と、同じく上端に連設された且つ外周面に雄ネジ部44が形成された円筒形状の上部連結部43とを有して構成されている。ベロー部材40は、下部連結部42を連結部材30の保持部33内に挿入して連結させると共に、上部連結部43の雄ネジ部44を後述する受け皿51の皿側保持部54に形成された雌ネジ部54aに螺合させて連結させた状態で組み付けられている。
【0020】
押下部材50Aは、上方に向かって拡径状に形成された受け皿51と、受け皿51の中央に上方向に向かって突設されると共に先端に複数(本実施例では2個)の噴出孔52aが形成された中空状の噴出突起52と、受け皿51の下面側中央に設けられてパイプ60の上端が接続される連結筒53と、受け皿51の下面側に設けられ且つベロー部材40の上部連結部43の雄ネジ部44と螺合する雌ネジ部54aを有して上部連結部43と連結される二重円筒からなる皿側保持部54と、受け皿51の下面で且つ上部連結部43よりも径方向外側の位置に垂下設され、容器側蓋体20Aの周壁22に沿って上下方向に昇降移動可能に設けられた円筒状の外筒部55と、受け皿51の外縁部に肉薄で形成されたヒンジ56を介して回動可能に設けられた皿用蓋体57とを有して形成されている。
【0021】
押下部材50Aは、ベロー部材40の上部連結部43を皿側保持部54に連結させることにより、弾性変形可能な弾性変形部41を介して、容器本体10Aに対して弾性的に設けられた状態で組み付けられている。受け皿51の上面側に設けられた噴出突起52の内部と受け皿51の下面側に設けられた連結筒53とは連通している。また連結筒53には噴出孔52aと容器本体10Bの内部とを連通する通気孔53aが設けられている。更に
図2(a)に示すように、受け皿51上で且つ噴出突起52よりも径方向の外側の位置には、複数の皿側貫通孔51aが形成されている。
【0022】
皿用蓋体57の下面には閉蓋状態において噴出突起52を被嵌することで閉栓部材として機能するキャップ57aが突設され、またヒンジ56と逆側となる受け皿51の外縁部の位置には係合部57bと摘み片57cが形成されている。係合部57bは、受け皿51の外縁部に設けられた被係合部51bに対し係合可能に構成されている。
【0023】
パイプ60は可撓性を備えた細長筒状のスリーブで形成されており、パイプ60の上端は連結筒53に接続され、下端は少し湾曲する状態で容器本体10Aの底部11まで達している。尚、後述するように内容液はパイプ60の下端から上端に向けて上昇し、連結筒53を介して噴出突起52に導かれ、更には噴出突起52の先端に形成された噴出孔52aから外部に噴出することが可能となっている。
【0024】
次に、上記構成からなる第1実施例の噴出容器についての動作を説明する。
噴出容器1Aから内容液を噴出させるには、使用者は摘み片57cを摘みながら持ち上げ、係合部57bと被係合部51bとの係合を解除すると共に、皿用蓋体57を図示反時計回り方向に回動させることにより開蓋状態に設定する。
【0025】
続いて、片手を受け皿51の上縁部51Aに当接させながら受け皿51を下方に向けて押下部材50Aを押下する。すると、
図2(b)に示すように、弾性変形部41が圧縮変形して容器本体10A内が加圧され、内容液が内圧に押されてその水位が下がるため、内容液がパイプ60の下端から上端側に向かって押し上げられて連結筒53に達し、噴出突起52の噴出孔52aから外部に向けて吐出しようとする。このとき同時に、加圧圧縮された容器本体10A内のエアーが通気孔53aを介して連結筒53に達し、噴出突起52の噴出孔52aを通じて外部に排出されるため、噴出孔52aから噴出される内容液を勢い良くシャワー状に噴出せることができる。よって、両手を使用しなくても、操作した手の、比較的広い範囲に亘って内容液を噴出させることができる。
【0026】
尚、押下部材50Aの押下は、外筒部55の下端が容器側蓋体20Aに形成された規制部22aに当接する位置まで可能である。
また受け皿51が噴出孔52aから漏れ出した内容液を受け止めることができる。更には受け皿51には複数の皿側貫通孔51aが形成されているため、内容液が受け皿51上に残留することを抑制することができる。
【0027】
また押下した手を受け皿51の上縁部51Aから離すと、弾性変形部41が上方に向かって復元して容器本体10A内が減圧されるため、押下部材50Aは圧縮変形前の初期状態に戻ろうとする。この際、外部のエアーが噴出孔52a、連結筒53の内部及び通気孔53aを介して容器本体10A内に引き込まれ、容器本体10Aの内圧が加圧前の初期状態に戻るため、噴出孔52aからの噴出を停止させることができる。
【0028】
そして、使用者が摘み片57cを摘みながら、皿用蓋体57を図示時計回り方向に回動させ、係合部57bを被係合部51bに係合させることにより
図1に示される閉蓋状態(初期状態)に戻すことができる。この閉蓋状態では、皿用蓋体57の下面に設けられているキャップ57aが、噴出突起52を被嵌し、噴出孔52aを閉栓するため、噴出孔52aからの液漏れを防止することができる。
【0029】
次に、噴出容器の第2実施例について説明する。
図3及び
図4に第2実施例として示す噴出容器1Bは、容器本体10Bと、容器側蓋体20Bと、押下部材50Bと、第1実施例と同様の構成から成るパイプ60と、を有して構成され、これらはすべて合成樹脂材料を用いて形成されている。
【0030】
容器本体10Bは、例えばポリエチレン(PE)などの合成樹脂材料をブロー成形することにより形成されており、底部11の上に連設された胴部12の上部に弾性変形可能な蛇腹状の弾性変形部16が一体に形成され、この弾性変形部16の上部に円筒状の口部14が立設された有底筒状の部材である。尚、口部14の外周面には雄ネジ部15が刻設されている。
【0031】
容器側蓋体20Bは、頂壁21の外縁部に円筒状の周壁22が一体に垂下設された有頂筒状の部材であり、周壁22の内周面には口部14の雄ネジ部15に螺合する雌ネジ部24が形成され、周壁22の外周面には後述する押下部材50Bを構成する内筒部58と組み付く係合凸部26が形成されている。また頂壁21の中心には蓋側貫通孔21aが形成され、頂壁21の下面には蓋側貫通孔21aに連通する連結筒25が垂下設されている。また連結筒25内には蓋側貫通孔21aと容器本体10Bの内部とを連通する通気孔25aが設けられている。また頂壁21の上面で且つ中央の蓋側貫通孔21aよりも径方向外側に位置には、係合穴21bが環状又は周方向に沿って間欠状に配置されている。
【0032】
押下部材50Bは、上方に向かって拡径状に形成された受け皿51と、受け皿51の外周端に垂下設され、容器本体10Bの弾性変形部16に沿って上下方向に昇降可能に設けられた外筒部55と、受け皿51の下面に垂下設された内筒部58と、受け皿51の外縁部に肉薄で形成されたヒンジ56を介して回動可能に設けられた皿用蓋体57とを有して形成されている。
【0033】
受け皿51は、下面に、中心から放射状に形成された複数(本実施例では3本)の溝から成る案内通路51cと、受け皿51の下面に突設された係合片51eとが設けられ、上面に、案内通路51cの先端に続く噴出孔51dが穿設されている。各案内通路51cの基端は受け皿51の中心に集約されており、係合片51eを容器側蓋体20Bの係合穴21bに係合させた組み付け状態においては、各案内通路51cの基端と容器側蓋体20Bの蓋側貫通孔21aとが連通する状態に設定される。
尚、
図4(a)に示すように、受け皿51上で且つ下面側の係合片51eよりも径方向外側の位置には、複数の皿側貫通孔51aが形成されている。
【0034】
押下部材50Bを構成する内筒部58の内周面には、容器側蓋体20Bの周壁22の外周面に形成された係合凸部26に組み付く係合凹部58aが形成されている。
更に皿用蓋体57の下面で各噴出孔51dと対向する位置には、閉蓋状態において閉栓部材として機能する複数(本実施例では3個)の突起57dが突設されている。
【0035】
次に、上記構成からなる第2実施例の噴出容器についての動作を説明する。
噴出容器1Bから内容液を噴出させるには、第1実施例同様に、使用者は摘み片57cを摘みながら持ち上げ、係合部57bと被係合部51bとの係合を解除すると共に、皿用蓋体57を図示反時計回りに回動させることにより開蓋状態に設定する。
【0036】
続いて、手を受け皿51の上縁部51Aに当接させながら受け皿51を下方に向けて押下部材50Bを押下する。すると、
図4(b)に示すように、弾性変形部16が圧縮変形して容器本体10B内が加圧され、内容液が内圧に押されてその水位が下がるため、内容液がパイプ60の下端から上端側に向かって押し上げられて連結筒25に達し、蓋側貫通孔21aから各案内通路51cに分かれ、各案内通路51c内を径方向外側に向かって夫々進み、各案内通路51cの先端に設けられた噴出孔51dから上方に向かって吐出しようとする。このとき同時に、加圧圧縮された容器本体10B内のエアーが通気孔25aから連結筒25の内部を介して蓋側貫通孔21aに達し、更に内容液と同じルートを辿って各噴出孔51dから上方に向かって排出されるため、各噴出孔51dから噴出される内容液を勢い良くシャワー状に噴出せることができる。よって、両手を使用しなくても、内容液を操作した手の比較的広い範囲に亘って噴出させることができる。
第2実施例においても受け皿51が各噴出孔51dから漏れ出した内容液を受け止めることができる。また受け皿51には複数の皿側貫通孔51aが形成されているため、内容液が受け皿51上に残留することを抑制することができる。
【0037】
また押下した手を受け皿51の上縁部51Aから離すと、弾性変形部16が上方に向かって復元して容器本体10B内が減圧されるため、押下部材50Bは圧縮変形前の初期状態に戻る、同時に、外部のエアーが各噴出孔51d、案内通路51c、蓋側貫通孔21a及び通気孔25aを通じて容器本体10B内に引き込まれ、容器本体10Bの内圧が加圧前の初期状態に戻るため、噴出孔51dからの噴出を停止させることができる。
そして、使用者が摘み片57cを摘みながら、皿用蓋体57を図示時計回り方向に回動させ、係合部57bを被係合部51bに係合させることにより
図3に示される閉蓋状態(初期状態)に戻すことができる。この閉蓋状態では、皿用蓋体57の下面に設けられている突起57dが、噴出孔51dを夫々閉栓するため、噴出孔51dからの液漏れを防止することができる。
【0038】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記第1実施例では、容器側蓋体20A、連結部材30及びベロー部材40を夫々別部材で構成した場合について説明したが、本発明はこのような第1実施例に限定されるものではなく、容器側蓋体20Aと連結部材30とを一体で形成する構成、又は連結部材30とベロー部材40と一体で形成する構成、或いは容器側蓋体20A、連結部材30及びベロー部材40を一体で形成する構成とするものであっても良い。
【0039】
また上記第2実施例では、案内通路51cを受け皿51の下面に形成した場合について説明したが、容器側蓋体20Bの頂壁21の上面に形成する構成とすることもできる。
【0040】
また上記第1実施例及び第2実施例では、上下方向に弾性変形可能な蛇腹状のベロー部材40を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、径方向に弾性変形可能なベロー部材40であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、アルコール消毒液などの内容液を噴出させる噴出容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1A、1B: 噴出容器
10A、10B: 容器本体
11 : 底部
12 : 胴部
13 : 肩部
14 : 口部
15 : 雄ネジ部
16: 弾性変形部
20A、20B: 容器側蓋体
21 : 頂壁
21a: 蓋側貫通孔
21b: 係合穴
22 : 周壁
22a: 規制部
23 : 開口部
24 : 雌ネジ部
25 : 連結筒
25a: 通気孔
26 : 係合凸部
30 : 連結部材
31 : 開口部
32 : フランジ
33 : 保持部
40 : ベロー部材
41 : 弾性変形部
42 : 下部連結部
43 : 上部連結部
44 : 雄ネジ部
50A、50B: 押下部材
51 : 受け皿
51A: 上縁部
51a: 皿側貫通孔
51b: 被係合部
51c: 案内通路
51d: 噴出孔
51e: 係合片
52 : 噴出突起
52a: 噴出孔
53 : 連結筒
53a: 通気孔
54 : 皿側保持部
54a: 雌ネジ部
55 : 外筒部
56 : ヒンジ
57 : 皿用蓋体
57a: キャップ(閉栓部材)
57b: 係合部
57c: 摘み片
57d: 突起(閉栓部材)
58 : 内筒部
58a: 係合凹部
60 : パイプ