(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 23/24 20060101AFI20240415BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240415BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
H01H23/24 B
H01H36/00 J
B60H1/00 103A
(21)【出願番号】P 2020185170
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 薫
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066269(WO,A1)
【文献】特開2014-206924(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/24
H01H 36/00
G06F 3/041 - 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように設けられた操作部と、
前記操作部を前記第1方向に動かす操作と前記操作部を前記第2方向に動かす操作とを検出する第1検出部と、
前記操作部に設けられ、ユーザが前記操作部に触れる操作を検出する第2検出部と、
前記操作部が操作されて選択及び決定の少なくとも一方の操作状態が設定される場合に、前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号とのうちの少なくとも一方を基に、前記操作部の現在の操作状態を表す表示部の表示を制御する表示処理部とを備え、
前記操作部への操作は、前記操作部に触れて前記操作部をなぞるように操作するなぞり操作を含
み、
前記なぞり操作は、1本指を使用した第1なぞり操作と、複数本の指を使用した第2なぞり操作とを含み、
前記第1なぞり操作及び前記第2なぞり操作の一方は、同一画面上においての選択操作であり、これら操作の他方は、前記表示部の画面の切り換え操作である操作装置。
【請求項2】
前記操作部を前記第1方向に動かす操作、及び、前記操作部を前記第2方向に動かす操作の少なくとも一方は、選択状態を決定に移行させる決定操作である
請求項
1に記載の操作装置。
【請求項3】
装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように設けられた操作部と、
前記操作部を前記第1方向に動かす操作と前記操作部を前記第2方向に動かす操作とを検出する第1検出部と、
前記操作部に設けられ、ユーザが前記操作部に触れる操作を検出する第2検出部と、
前記操作部が操作されて選択及び決定の少なくとも一方の操作状態が設定される場合に、前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号とのうちの少なくとも一方を基に、前記操作部の現在の操作状態を表す表示部の表示を制御する表示処理部とを備え、
前記操作部への操作は、前記操作部に触れて前記操作部をなぞるように操作するなぞり操作を含
み、
前記第1検出信号及び前記第2検出信号の少なくとも一方を基に、前記操作部による選択操作、及び、前記選択操作によって選択された操作状態を前記操作部によって決定する決定操作の少なくとも一方の作動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第2検出部の検知エリアを、前記表示部の表示状態に応じた区分で割り当てる操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1検出信号及び前記第2検出信号の少なくとも一方を基に前記操作部の前記決定操作を認識した場合に、前記決定操作に応じた操作信号を外部に出力する
請求項
3に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を作動させる際に操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、車載された各種機器を作動させるための操作装置として、例えば複数のスイッチを配設した構造が周知である(特許文献1等参照)。具体的には、車内のセンタークラスター等に、エアーコンディショナー装置のスイッチ群やオーディオ装置等のスイッチ群が並ぶように配置されている。これらスイッチには、例えばプッシュスイッチ、ダイヤルスイッチ、レバースイッチ等の種々の形式のものが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のスイッチでは、スイッチに割り付けられた機能は、設定時に割り振られた機能が固定であるものが多い。このため、例えば、スイッチの操作対象の機器の高性能化や増設に伴って、スイッチの機能の拡張が必要とされる場合、その分だけスイッチを設ける必要があるので、部品点数増加やコスト増を招くことがある。このように、操作の機能拡張に対して、柔軟に対応することができない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決する操作装置は、装置本体に対して中立位置から第1方向及び第2方向の各々に動くように設けられた操作部と、前記操作部を前記第1方向に動かす操作と前記操作部を前記第2方向に動かす操作とを検出する第1検出部と、前記操作部に設けられ、ユーザが前記操作部に触れる操作を検出する第2検出部と、前記操作部が操作されて選択及び決定の少なくとも一方の操作状態が設定される場合に、前記第1検出部の第1検出信号と前記第2検出部の第2検出信号とのうちの少なくとも一方を基に、前記操作部の現在の操作状態を表す表示部の表示を制御する表示処理部とを備え、前記操作部への操作は、前記操作部に触れて前記操作部をなぞるように操作するなぞり操作を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操作の機能拡張に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】(a)~(c)は操作部の操作例を示す説明図。
【
図7】操作部の操作の仕方とその際の画面の遷移とを示す説明図。
【
図8】操作部を第1方向にプッシュ操作した際の作動図。
【
図9】操作部を第2方向にプッシュ操作した際の作動図。
【
図10】操作部の操作の仕方とその際の画面の遷移とを示す説明図。
【
図11】操作部の操作の仕方と検知エリアの割り当ての切り換わりとを示す説明図。
【
図12】(a)~(c)は別例における操作部の操作パターンの例示図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、操作装置の一実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、操作装置1は、機器2の作動を設定する際に操作する入力インターフェースである。操作装置1は、装置本体3に対して中立位置から第1方向(
図2の矢印A1方向)と第2方向(
図2の矢印A2方向)の各々に動くように設けられた操作部4を備えている。装置本体3は、操作装置1の本体部分である。装置本体3は、例えば、幅方向(
図2のY軸方向)に長く形成された略直方体形状をなしている。機器2は、例えば、操作装置1が車載用装置の場合、車内を空調するエアーコンディショナー装置、楽曲等を出力するオーディオ装置、シートの状態を調整するシート装置、ステアリングホイールの状態を調整するステアリング装置などがある。
【0009】
操作部4は、装置本体3の上面に配置されている。操作部4は、装置本体3の幅方向(
図1及び
図2のY軸方向)に沿って延びた形状をなしている。
操作装置1は、操作部4の現在の操作状態を表示する表示部6に接続されている。操作装置1は、操作部4が操作された場合、表示部6の表示を適宜切り換える。表示部6は、例えば、液晶、有機ELが使用されている。表示部6は、操作装置1が車載用装置の場合、例えば、カーナビゲーションシステムのディスプレイでもよい。表示部6は、操作部4によって選択操作又は決定操作された機器2の現在状態を表示する。
【0010】
図1に示す通り、表示部6の画面7は、画面7に常に表示される画像を表示する主表示領域8と、操作部4の操作に連動して表示が切り換わる機能表示領域9とを含む。主表示領域8は、例えば、カーナビゲーションシステムの地図を表示する領域である。機能表示領域9は、操作部4で操作される機器2がエアーコンディショナー装置の場合、エアーコンディショナーの各種操作機能を表示する領域である。
【0011】
機能表示領域9は、エアーコンディショナー装置に関係する種々のアイコン11が表示されている。アイコン11は、例えば、操作部4による決定操作の回数に応じて状態の段階が切り換えられる段階設定アイコン12と、操作部4による決定操作の度にオンオフが切り換えられるオンオフ設定アイコン13とを含む。段階設定アイコン12は、例えば、運転席側温度設定アイコン12a、助手席側温度設定アイコン12b、空調風量設定アイコン12c、空調モード設定アイコン12dなどを含む。オンオフ設定アイコン13は、例えば、デュアルモード設定アイコン13a、フロントガラス曇り取りアイコン13b、リヤエアコン設定アイコン13c、リヤガラス曇り取りアイコン13dを含む。また、オンオフ設定アイコン13は、例えば、内外気切換アイコン13e、空調オフ切換アイコン13f、冷房機能オンオフ切換アイコン13g、オートモードオンオフ切換アイコン13hを含む。
【0012】
図3に示すように、機能表示領域9は、操作部4の操作によって画面の切り換えが可能となっている。本例の場合、機能表示領域9は、メインのホーム画面15と、ホーム画面15から切り換えられる2つの切換画面16(第1切換画面17、第2切換画面18)とを表示する。本例のホーム画面15は、例えば、エアーコンディショナー装置の操作画面である。第1切換画面17は、例えば、オーディオ装置の操作画面である。第2切換画面18は、例えば、シート及びステアリングホイールの操作画面である。
【0013】
図4に示すように、操作部4は、幅方向(
図4のY軸方向)に延びる軸部20回りに回転可能に装置本体3の座部21に取り付けられている。操作部4は、中立位置を起点に第1方向A1及び第2方向A2の各々1段階ずつ操作可能に設けられている。本例の場合、操作部4の軸部20回りの操作(本例は、プッシュ操作と記す)が、操作部4による決定操作である。第1方向A1は、例えば、操作部4を操作するユーザから見て下方向である。第2方向A2は、例えば、操作部4を操作するユーザから見て前方向である。操作部4は、中立位置から各方向にプッシュ操作された後に手が離されると、自動で元の中立位置に復帰するモーメンタリスイッチである。
【0014】
操作部4は、例えば、断面略L字形状に形成されている。本例の場合、操作部4の表面は、ユーザの指の形状に沿った曲面状に形成されている。具体的には、操作部4は、中立位置の操作部4に載置した指で、操作部4を中立位置から第1方向A1及び第2方向A2のどちらに対しても操作可能な形状に設けられている。本例の操作部4は、操作部4の操作本体22と、操作部4を第1方向A1に操作する際に押す第1押当部23と、操作部4を第2方向A2に操作する際に押す第2押当部24とを備えている。第1押当部23は、操作本体22から連なるように設けられ、操作部4の盤面において操作本体22の手前に配置されている。第2押当部24は、操作本体22から連なるように設けられ、操作部4の盤面において操作本体22の奥に配置されている。
【0015】
操作装置1は、操作部4の軸部20回りの操作を検知する第1検出部27を備えている。本例の第1検出部27は、操作部4の第1方向A1の操作を検知する第1検出部27aと、操作部4の第2方向A2の操作を検知する第1検出部27bとを含む。第1検出部27a、27bは、装置本体3の奥行き方向(
図4のX軸方向)に沿って並び配置されている。第1検出部27aは、例えば、装置本体3内に収納された基板28に実装されたタクトスイッチ29である。タクトスイッチ29は、スイッチ本体30と、スイッチ本体30の内部の接点をオンオフするプッシュロッド31とを備えている。タクトスイッチ29は、操作部4に上から押されてプッシュロッド31が下がると、スイッチ本体30内の接点がオンに切り換わる。
【0016】
図1に示す通り、操作装置1は、ユーザが操作部4に触れる操作を検出する第2検出部34を備えている。第2検出部34は、例えば、操作部4に対するタッチ操作を検出するタッチセンサ35である。タッチセンサ35は、例えば、静電容量センサである。タッチセンサ35は、操作部4の盤面において幅方向一帯に配置されている。第2検出部34は、操作部4の盤面におけるタッチ位置を検出する。本例の場合、操作部4に触れる操作(タッチ操作、なぞり操作を含む)が、操作部4による選択操作である。第2検出部34は、操作部4の盤面におけるタッチ位置を検出することにより、機能表示領域9のどのアイコン11が選択されているのかを検出する。
【0017】
図5(a)に示すように、操作装置1は、操作部4を第1方向A1に押すプッシュ操作と、操作部4を第2方向A2に押すプッシュ操作とが決定操作である。この場合、操作部4を操作する指の本数は問わない。段階設定アイコン12の機能は、操作部4のプッシュ操作の度に、1段階ずつアップ操作又はダウン操作される。例えば、運転席側温度設定アイコン12aの場合、操作部4が第1方向A1に操作される度に、温度が1段階ずつ低く設定され、操作部4が第2方向A2に操作される度に、温度が1段階ずつ高く設定される。
【0018】
オンオフ設定アイコン13の機能は、操作部4が第1方向A1(第2方向A2)にプッシュ操作される度に、機能のオンオフが切り換えられる。本例の場合、第1方向A1のプッシュ操作は、画面上に配列されたアイコン11のうち、下段のアイコン群(13b、13d、13f、13h)の決定操作として割り当てられている。また、第2方向A2のプッシュ操作は、画面上に配列されたアイコン11のうち、上段のアイコン群(13a、13c、13e、13g)の決定操作として割り当てられている。
【0019】
図5(b)に示すように、操作装置1は、1本指で操作部4の盤面をなぞるスライド操作(以降、第1なぞり操作と記す)が、機能表示領域9でアイコン11を選ぶ選択操作である。操作部4の盤面上のスライド位置、すなわち指のタッチ位置は、操作部4に設けられた第2検出部34で検出される。機能表示領域9に表示されたアイコン群は、選択状態にあるアイコン11がインジケート表示される。インジケート表示は、例えば、機能表示領域9の幅方向略一帯に表示されたバー表示36において、選択状態のアイコン付近が色変化、形状変化、点灯、点滅、これらの組み合わせによって表現された強調表示であることが好ましい。
【0020】
図5(c)に示すように、操作装置1は、複数本の指(本例は、2本指)で操作部4の盤面をなぞるスライド操作(以降、第2なぞり操作と記す)が、機能表示領域9の画面切換操作である。タッチ操作時の指の本数は、第2検出部34によって検出される。本例の場合、機能表示領域9がホーム画面15の際、操作部4の盤面が複数本の指で第1スライド方向B1(紙面の右方向)にスライド操作されると、機能表示領域9がホーム画面15から第1切換画面17に切り換えられる。また、機能表示領域9がホーム画面15の際、操作部4の盤面が複数本の指で第2スライド方向B2(紙面左方向)にスライド操作されると、機能表示領域9がホーム画面15から第2切換画面18に切り換えられる。
【0021】
図6に示すように、操作装置1は、操作装置1の作動を制御する制御部39を備えている。制御部39は、装置本体3に対して操作部4を動かす操作と、操作部4の盤面に触れる操作(タッチ操作、スライド操作)とを、機器2を作動させるための入力操作とするように、第1検出部27から入力する第1検出信号S1と、第2検出部34から入力する第2検出信号S2とを処理する。
【0022】
制御部39は、第1検出部27から入力する第1検出信号S1を基に、操作部4が第1方向A1にプッシュ操作されたのか、操作部4が第2方向A2にプッシュ操作されたのか、或いは、中立位置にあるのかを判断する。制御部39は、第2検出部34から入力する第2検出信号S2を基に、操作部4の盤面におけるタッチ位置を認識し、画面上のどのアイコン11が選択されているのかを判断する。制御部39は、第2検出部34から入力する第2検出信号S2を基に、タッチ操作された指の本数を認識し、機能表示領域9の画面切り換えを実行する。
【0023】
制御部39は、第1検出部27の第1検出信号S1、及び、第2検出部34の第2検出信号S2を基に、操作部4の操作状態を判定する。制御部39は、その判定結果に基づく操作信号Soutを機器2のECU(Electronic Control Unit)に出力することにより、ユーザ操作に応じた作動を機器2に実行させる。
【0024】
操作装置1は、操作部4の操作状態に基づき表示部6の表示状態を切り換える表示処理部40を備えている。表示処理部40は、制御部39に設けられている。表示処理部40は、操作部4が操作されて選択及び決定の少なくとも一方の操作状態が設定される場合に、第1検出部27の第1検出信号S1と第2検出部34の第2検出信号S2とのうちの少なくとも一方を基に、操作部4の現在の操作状態を表す表示部6の表示を制御する。本例の場合、表示処理部40は、制御部39によって認識された操作部4の操作状態を基に、表示部6の表示状態を制御する。
【0025】
次に、本実施形態の操作装置1の作用について説明する。
図7に示すように、制御部39は、第2検出部34の検知エリアEを、表示部6の表示状態に応じた区分で割り当てる。
図7の例の場合、制御部39は、第2検出部34のタッチ操作の検知エリアEを、表示部6に表示されたアイコン11の列数に応じた数に割り当てる。機能表示領域9にホーム画面15が表示されている場合、検知エリアEは、ホーム画面15に表示されたアイコン11の列と同数の「8」に分割されている。このため、検知エリアEにおいて同図の右端の検知分割領域Eaは、運転席側温度設定アイコン12aに対応したタッチ領域となる。
【0026】
運転席側温度設定アイコン12aを操作する場合には、右端の検知分割領域Eaをタッチする選択操作が実行される。このとき、表示処理部40は、第2検出部34の第2検出信号S2を基に、検知エリアEにおいて検知分割領域Eaがタッチ操作されたことを検出すると、ホーム画面15のバー表示36において、運転席側温度設定アイコン12aに対応する箇所をインジケート表示する。このように、運転席側温度設定アイコン12aがインジケート表示によって強調されることにより、いま運転席側温度設定アイコン12aが選択状態にあることが通知される。
【0027】
温度を下降する場合には、操作部4を第1方向A1にプッシュ操作する。このとき、プッシュ操作の度に温度が1段階ずつ下降する。一方、温度を上昇する場合には、操作部4を第2方向A2にプッシュ操作する。このとき、プッシュ操作の度に温度が1段階ずつ上昇する。
【0028】
図8に示すように、操作部4が第1方向A1にプッシュ操作された場合、操作部4が軸部20回りの矢印C1方向に回転する。操作部4が軸部20回りの矢印C1方向に回ると、操作部4の裏面の当て面43によって第1検出部27aのプッシュロッド31が下がり、第1検出部27aのスイッチ本体30内の接点がオンする。これにより、操作部4の第1方向A1へのプッシュ操作が第1検出部27aによって検出される。
【0029】
制御部39は、操作部4の第1方向A1へのプッシュ操作を第1検出部27aで検出すると、その旨を通知する操作信号Soutをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階下げられた状態に変更される。
【0030】
また、表示処理部40は、表示部6に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示に切り換える。具体的には、操作部4の第1方向A1への1回のプッシュ操作で設定温度が「0.5℃」下げられる場合、表示処理部40は、現状の設定温度が「25℃」のときに、操作部4において温度下降のプッシュ操作が1回実行されたことを検出すると、表示部6の表示を、それまでの「25℃」から「0.5℃」下げた「24.5℃」に変更する。
【0031】
図9に示すように、操作部4が第2方向A2にプッシュ操作された場合、操作部4が軸部20回りの矢印C2方向に回転する。操作部4が軸部20回りの矢印C2方向に回ると、操作部4の裏面の当て面44によって第1検出部27bのプッシュロッド31が下がり、第1検出部27bのスイッチ本体30内の接点がオンする。これにより、操作部4の第2方向A2方向へのプッシュ操作が第1検出部27bによって検出される。
【0032】
制御部39は、操作部4の第2方向A2へのプッシュ操作を第1検出部27bで検出すると、その旨を通知する操作信号Soutをエアーコンディショナー装置に出力する。これにより、空調温度の選択状態が現状態から1段階上げられた状態に変更される。
【0033】
また、表示処理部40は、表示部6に表示された空調温度の現状態の表示を、温度変更後の表示に切り換える。具体的には、操作部4の第2方向A2への1回のプッシュ操作で設定温度が「0.5℃」上げられる場合、表示処理部40は、現状の設定温度が「25℃」のときに、操作部4において温度上昇のプッシュ操作が1回実行されたことを検出すると、表示部6の表示を、それまでの「25℃」から「0.5℃」上げた「25.5℃」に変更する。
【0034】
図10に示すように、アイコン11の選択状態を切り換える場合には、操作部4の盤面を第1なぞり操作、すなわち1本指で操作部4の画面を横にスライド操作する。同図の例では、操作部4の盤面に乗せた1本指を左にスライド移動させて、選択状態のアイコン11を、運転席側温度設定アイコン12aから、隣の列のデュアルモード設定アイコン13a及びフロントガラス曇り取りアイコン13bの群に切り換える例を挙げる。制御部39は、検知エリアEのうち検知分割領域Eaの隣の検知分割領域Ebのタッチ操作を検出すると、選択状態とするアイコン11を、それまでの運転席側温度設定アイコン12aから、隣のデュアルモード設定アイコン13a及びフロントガラス曇り取りアイコン13bの群に切り換える。
【0035】
このとき、表示処理部40は、第2検出部34の第2検出信号S2を基に、検知エリアEにおいて検知分割領域Ebがタッチ操作されたことを検出すると、ホーム画面15のバー表示36において、デュアルモード設定アイコン13a及びフロントガラス曇り取りアイコン13bの群に対応する箇所をインジケート表示する。このように、デュアルモード設定アイコン13a及びフロントガラス曇り取りアイコン13bの群がインジケート表示によって強調されることにより、いまデュアルモード設定アイコン13a及びフロントガラス曇り取りアイコン13bの群が選択状態にあることが通知される。
【0036】
デュアルモード機能をオンする場合には、操作部4の検知エリアEの検知分割領域Ebに指を置いた状態で、操作部4を第2方向A2に1回プッシュ操作する。これにより、デュアルモード機能がオンされる。なお、デュアルモード機能がオンとなったとき、機能表示領域9においてデュアルモード設定アイコン13aのインジケータ45が点灯されることが好ましい。デュアルモード設定機能は、操作部4を第2方向A2にプッシュ操作する度に、オンオフが切り換えられる。
【0037】
また、フロントガラス曇り取り機能をオンする場合には、操作部4の検知エリアEの検知分割領域Ebに指を置いた状態で、操作部4を第1方向A1に1回プッシュ操作する。これにより、フロントガラス曇り取り機能がオンされる。なお、フロントガラス曇り取り機能がオンとなったとき、機能表示領域9においてフロントガラス曇り取りアイコン13bのインジケータ(図示略)が点灯されることが好ましい。フロントガラス曇り取り機能は、操作部4を第1方向A1にプッシュ操作する度に、オンオフが切り換えられる。
【0038】
図11に示すように、機能表示領域9の画面を切り換える場合には、操作部4の場面を第2なぞり操作、すなわち複数本の指(
図11の場合は、2本指)で操作部4をなぞるようにスライド操作する。本例の場合、表示処理部40は、第2検出部34の第2検出信号S2を基に、複数本の指で検知エリアEがタッチ操作された状態で、検知エリアEが横方向にスライド操作されたことを認識すると、機能表示領域9をホーム画面15から切換画面16に変更する。
【0039】
本例の場合、表示処理部40は、操作部4の盤面が複数本の指で第1スライド方向B1になぞり操作されたことを検出すると、ホーム画面15を第1切換画面17に変更する。本例の第1切換画面17は、例えば、オーディオ装置の操作画面である。よって、機能表示領域9には、オーディオ装置の各種機能に応じたアイコン群が表示される。なお、第1切換画面17を表示した後、何も操作がなく所定時間が経過した場合には、自動で元のホーム画面15に戻ることが好ましい。
【0040】
また、制御部39は、第2検出部34のタッチ操作の検知エリアEを、表示部6に表示された第1切換画面17の表示アイコンの列数に応じた数に割り当てる。第1切換画面17が表示される場合、検知エリアEは、第1切換画面17の表示アイコンの列と同数の「4」に分割される。そして、ホーム画面15のときと同様の形式で、4分割された検知エリアEを選択的にタッチ操作して操作部4で決定操作を行うことにより、オーディオ装置の各種機能を設定する。
【0041】
表示処理部40は、操作部4の盤面が複数本の指で第2スライド方向B2になぞり操作されたことを検出すると、ホーム画面15を第2切換画面18に変更する。本例の第2切換画面18は、例えば、シート及びステアリングホイールの操作画面である。よって、機能表示領域9には、シート及びステアリングホイールの各種機能に応じたアイコン群が表示される。なお、第2切換画面18を表示した後、何も操作がなく所定時間が経過した場合には、自動で元のホーム画面15に戻ることが好ましい。
【0042】
また、制御部39は、第2検出部34のタッチ操作の検知エリアEを、表示部6に表示された第2切換画面18の表示アイコンの列数に応じた数に割り当てる。第2切換画面18が表示される場合、検知エリアEは、第2切換画面18の表示アイコンの列と同数の「5」に分割される。そして、ホーム画面15のときと同様の形式で、5分割された検知エリアEを選択的にタッチ操作して操作部4で決定操作を行うことにより、シート及びステアリングホイールの各種機能を設定する。
【0043】
上記実施形態の操作装置1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)操作装置1、操作部4、第1検出部27、第2検出部34、及び、表示処理部40を備えている。操作部4は、装置本体3に対して中立位置から第1方向A1及び第2方向A2の各々に動くように設けられている。第1検出部27は、操作部4を第1方向A1に動かす操作と、操作部4を第2方向A2に動かす操作とを検出する。第2検出部34は、操作部4に設けられ、ユーザが操作部4に触れる操作を検出する。表示処理部40は、操作部4が操作されて選択及び決定の少なくとも一方の操作状態が設定される場合に、第1検出部27の第1検出信号S1と第2検出部34の第2検出信号S2とのうちの少なくとも一方を基に、操作部4の現在の操作状態を表す表示部6の表示を制御する。操作部4への操作は、操作部4に触れて操作部4をなぞるように操作するなぞり操作を含む。
【0044】
本例の構成によれば、操作部4を第1方向A1に動かす操作、操作部4を第2方向A2に動かす操作、及び、操作部4に触れる操作の他に、操作部4に対するなぞり操作も、入力操作として受け付ける。このため、入力操作のバリエーションを多くとることが可能となる。よって、操作の機能拡張に対し、柔軟に対応することができる。
【0045】
(2)なぞり操作は、1本指を使用した第1なぞり操作と、複数本の指を使用した第2なぞり操作とを含む。この構成によれば、なぞり操作で用いる指の本数を単に切り換えるという簡易な操作によって、操作部4の操作状態を適宜変更することができる。
【0046】
(3)第1なぞり操作及び第2なぞり操作の一方は、同一画面上においての選択操作であり、これら操作の他方は、表示部6の画面の切り換え操作である。この構成によれば、操作部4をなぞる指の本数を単に切り換えるだけで、簡易に表示部まるの画面を別画面に変更することができる。
【0047】
(4)操作部4を第1方向A1に動かす操作、及び、操作部4を第2方向A2に動かす操作の少なくとも一方は、選択状態を決定に移行させる決定操作である。この構成によれば、操作部4を動かすという操作負荷が必要な操作を決定操作としたので、決定操作を操作フィーリングのよい操作とすることができる。
【0048】
(5)操作装置1に備えられた制御部39は、第1検出信号S1及び第2検出信号S2の少なくとも一方を基に、操作部4による選択操作、及び、選択操作によって選択された操作状態を操作部4によって決定する決定操作の少なくとも一方の作動を制御する。この構成によれば、操作装置1の構成を、制御部39を備えた1つのユニット装置とすることができる。
【0049】
(6)制御部39は、第2検出部34の検知エリアEを、表示部6の表示状態に応じた区分で割り当てる。この構成によれば、表示部6の表示が切り換えられた際、操作部4の検知エリアEを、表示部6の表示状態に応じた領域に分割することが可能となる。このため、操作部4の検知エリアEの割り当てのパターンと、表示部6の表示状態とが一対一の対応付けとなる。よって、操作部4の操作性の向上に寄与する。
【0050】
(7)制御部39は、第1検出信号S1及び第2検出信号S2の少なくとも一方を基に操作部4の決定操作を認識した場合に、決定操作に応じた操作信号Soutを外部に出力する。この構成によれば、操作部4の決定操作に応じた操作信号Soutを操作装置1から出力することができる。
【0051】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図12(a)に示すように、複数本の指でのプッシュ操作を、機能表示領域9の画面切り換え操作としてもよい。
【0052】
・
図12(b)に示すように、操作部4を第1方向A1や第2方向A2に連続的に複数回プッシュする操作をドラッグ操作としてもよい。例えば、操作部4を2回プッシュする操作をダブルクリック操作とし、この操作が検出された場合に、画面をドラッグするように制御してもよい。
【0053】
・
図12(c)に示すように、操作部4を第1方向A1や第2方向A2にプッシュ操作したままの状態を長押し操作とし、長押し操作を連続決定の操作としてもよい。
・操作部4は、表示部6の近傍に配置されていてもよいし、或いは、離れた位置に配置されてもよい。
【0054】
・操作部4は、軸回りに回る回転式に限定されず、例えば、プッシュ式、スライド式などに変更してもよい。
・操作部4のプッシュ操作は、各方向に1段のみ操作できる構成に限らず、例えば、各方向にそれぞれ複数段操作できる構成としてもよい。
【0055】
・操作部4の第1方向A1及び第2方向A2は、互いに直交する方向をとることに限定されず、交差する方向となっていればよい。
・操作部4の第1方向A1への操作、及び、操作部4の第2方向A2への操作は、プッシュ操作に限定されず、例えば、スライド操作、回転操作などに変更してもよい。
【0056】
・操作部4は、断面L字形状の幅方向に長い形状に限定されず、例えば、正四角形、楕円形、真円などに変更してもよい。
・第1検出部27は、タクトスイッチ29に限定されず、他の種類のスイッチに変更してもよい。また、第1検出部27は、タクトスイッチ29等のメカスイッチに限定されず、センサとしてもよい。
【0057】
・タッチセンサ35は、操作部4の盤面一帯に形成されることに限らず、例えば、アイコンごとに区分けして複数形成されてもよい。
・タッチセンサ35は、静電容量方式に限定されず、例えば、抵抗膜方式等の他の方式のセンサでもよい。
【0058】
・第2検出部34は、操作部4の表面側に設けられることに限定されず、例えば、裏面側に設けて、操作部4の裏面のタッチ操作を検出可能としてもよい。
・第2検出部34は、タッチセンサ35に限定されず、例えば、メカ式のスイッチでもよい。
【0059】
・第1なぞり操作を画面切り換えの操作とし、第2なぞり操作をアイコン群の切り換え操作としてもよい。
・なぞり操作は、1本の指を使用した操作と、2本の指を使用した2操作との2種類に限定されず、例えば、更に3本の指を使用した操作を追加して、計3種類としてもよい。
【0060】
・操作部4のプッシュ操作は、決定操作に使用されることに限定されず、選択操作として使用してもよい。
・操作部4のタッチ操作は、選択操作に使用されることに限定されず、決定操作として使用してもよい。例えば、操作部4の盤面を素早く複数回タッチする操作(例えば、ダブルクリック操作)を決定操作としてもよい。
【0061】
・切換画面16は、2つに限定されず、3つ以上としてもよい。
・表示処理部40は、制御部39に設けられることに限定されず、制御部39とは別の独立した構成としてもよい。
【0062】
・制御部39及び表示処理部40は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部39及び表示処理部40は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部39及び表示処理部40は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、[2]各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは[3]それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0063】
・操作装置1は、車載用に限定されず、他の機器や装置に使用されてもよい。
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0064】
1…操作装置、2…機器、3…装置本体、4…操作部、6…表示部、27…第1検出部、34…第2検出部、39…制御部、40…表示処理部、A1…第1方向、A2…第2方向、S1…第1検出信号、S2…第2検出信号、E…検知エリア、Sout…操作信号。