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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/34 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
F16K1/34 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020188673
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2021089070
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019210288
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 教巨
(72)【発明者】
【氏名】鍋井 立視
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106577(JP,A)
【文献】特開2009-230259(JP,A)
【文献】特開2015-094328(JP,A)
【文献】特開2012-077774(JP,A)
【文献】特開2008-008415(JP,A)
【文献】実開昭54-182723(JP,U)
【文献】実開平04-111966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
7/00-7/20
13/00-13/10
25/00-25/04
29/00-29/02
31/12-31/165
31/36-31/42
33/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体と、前記弁体が収容される上流側の弁室と、前記弁室に連通する下流側の弁孔と、前記弁孔の外周に沿って、前記弁室の弁孔側内面から突設され、先端に弁座を有する環状突出部と、を有し、前記弁体が前記弁座と当接離間することで、流体制御を行う流体制御弁において、
前記環状突出部は、前記環状突出部の内径側全周に、前記環状突出部の内径を前記弁孔に向かって縮径させる環状縮径面を備え、
前記弁体は、前記弁座と当接する当接面を備え、前記弁座の内周側に、前記当接面から前記弁孔側に向かって突設された、前記弁孔の内径よりも大きい径を有し、前記弁孔と同軸の円柱状の段差部を備え、
前記段差部の外周面と前記段差部の前記弁孔の側の端面とが交わる環状稜線は、前記環状縮径面の近傍に位置し、流路絞り部を形成すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御弁において、
前記流路絞り部の、前記環状稜線の直径方向の隙間寸法に、前記環状突出部の、前記弁座の中心部における直径寸法を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の流体制御弁において、
前記弁座から、前記段差部の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記弁体は、前記段差部の前記弁孔の側の端面から前記弁孔の側に向かって突設された、前記段差部の外径よりも小さい径を有し、前記弁孔と同軸の円柱状の第2段差部を備え、
前記第2段差部の外周面と前記第2段差部の前記弁孔の側の端面とが交わる第2環状稜線は、前記弁孔の内周面近傍に位置し、第2流路絞り部を形成すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項5】
請求項4に記載の流体制御弁において、
前記第2流路絞り部の、前記第2環状稜線の直径方向の隙間寸法に、前記環状突出部の、前記弁座の中心部における直径寸法を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項6】
請求項4または5に記載の流体制御弁において、
前記環状縮径面と、前記弁孔の内周面は、前記環状縮径面から前記弁孔の側に向かって穿設された、前記弁孔と同軸の環状窪み部により接続され、
前記環状窪み部の内周面と前記環状縮径面とが交わる第3環状稜線は、前記環状稜線の近傍に位置し、前記環状稜線とともに前記流路絞り部を形成すること、
前記環状窪み部の前記弁孔の側の内面と前記弁孔の内周面とが交わる第4環状稜線は、前記第2環状稜線の近傍に位置し、前記第2環状稜線とともに前記第2流路絞り部を形成すること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項7】
請求項6に記載の流体制御弁において、
前記弁座から、前記環状窪み部の前記弁孔の側の内面までの距離は、前記当接面から前記第2段差部の前記弁孔の側の端面までの距離よりも0.03mmから0.13mm小さいこと、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記段差部の外周面から、前記第2段差部の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記弁室および前記弁孔を内部に有する弁本体と、
前記弁体の当接離間方向に対して平行な方向から前記弁本体に積み重なるカバー部材と、
中央部に前記弁体が接続され、前記中央部の外周に、前記弁体の当接離間の動作の際に弾性変形する薄膜部を備える薄膜部材と、を備え、
前記弁本体は、前記カバー部材の側に、前記薄膜部材を取り付ける開口部を備え、
前記薄膜部材は、前記薄膜部の外周に沿って、環状固定部を備え、
前記環状固定部を前記開口部に圧入することで前記開口部に取り付けられた前記薄膜部材は、前記環状固定部を、前記当接離間方向の両側から前記カバー部材と前記弁本体とにより挟持されることで固定されること、
前記環状固定部は、外周全周に沿って、前記カバー部材側の端部を残し、外周面から前記弁本体の側の端面までを切り欠く環状切欠部を備えること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記弁体の一部を挿入させて、前記弁体の当接離間の動作を案内するガイド部を備えること、
前記弁体は、前記ガイド部の内周面に当接する摺動部を備えること、
前記摺動部は、弾性部材からなり、前記内周面に押圧されることで、前記内周面に対して弾性反力を作用させること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
設置面と接地する台座と、前記流体制御弁を前記設置面に固定するための固定部材と、を備えること、
前記固定部材は、前記台座に嵌合させる嵌合部と、前記設置面と結合可能な固定部と、を備えること、
前記台座は、前記嵌合部と嵌合可能な嵌合間口と、前記嵌合間口より嵌合方向の奥側に、前記嵌合間口の幅方向に弾性変形可能であるとともに、前記嵌合部と係合可能な係止片と、を備えること、
前記嵌合部を前記嵌合間口に嵌合させる嵌合操作により、前記嵌合部が前記係止片を初期位置から弾性変形させ、前記嵌合操作が完了すると、前記係止片が前記初期位置に戻ることで前記嵌合部と前記係止片とが係合され、前記固定部材の抜去方向の動きを規制すること、
を特徴とする流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体と、弁体が収容される上流側の弁室と、弁室に連通する下流側の弁孔と、弁孔の外周に沿って、弁室の弁孔側内面から突設され、先端に弁座を有する環状突出部と、を有し、弁体が弁座と当接離間することで、流体制御を行う流体制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁体が弁座に当接離間することで、流体制御を行う流体制御機器として、例えば、特許文献1に開示される流量制御弁や、図4に示すレギュレータ50等が考えられる。レギュレータ50は、半導体製造工程で用いられる純水や薬液等の制御流体の圧力制御を行うものである。入力ポート511、弁室513、下流側流体室516a、出力ポート512が連通された流路を有しており、弁本体51の内部において、圧力作用室516bに導入される操作エアにより、薄膜部材55に接続された弁体54の当接面54aが、弁座515と当接離間することにより、入力ポート511から入力され、出力ポート512から出力される制御流体の圧力制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-230259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
圧力制御により、入力側と出力側で制御流体の圧力の差圧が、例えば200kPa程度と大きい場合、当接面54aと弁座515との離間されている距離(即ち弁開度)は、例えば0.035mm程度と小さく、そのような小さい隙間を通る制御流体は、流速が速くなる。流速の増加により、弁座515の下流側において、制御流体の圧力が低下し(ベルヌーイの定理)、負圧領域となる。すると、制御流体において、沸騰による発泡現象(キャビテーション)が発生する。そして、キャビテーションによる泡が崩壊し 泡の崩壊による衝撃波が、レギュレータ50に振動を引き起こす。また、キャビテーションにより気化した制御流体は体積が増加するが、泡の崩壊により増加した体積が元の体積に戻る。この制御流体の体積の増減が、下流側流体室516aに圧力振動を生じさせる。これら、衝撃波による振動や圧力振動は、レギュレータ50が接続された配管にも伝達され、騒音の原因となり得る。
【0005】
また、弁開度が0.035mm程度の当接面54aと弁座515との隙間を制御流体が通過すると、制御流体の流速が速くなることで、弁座515の下流側で噴流が発生する。この噴流は当接面54aに沿って流れるため、弁体54を振動させるおそれがあり、この振動は、レギュレータ50が接続された配管にも伝達され、騒音の原因となり得る。
【0006】
近年、半導体製造装置の小型化、高密度化により、流体制御弁の小型化が求められている。従来のレギュレータ50では、キャビテーションや噴流に起因する振動が発生しても、弁体54に接続される薄膜部材55により吸収できていたと考えられるが、小型化により薄膜部材55が、従来に比べ小径化され、下流側流体室516aや圧力作用室516bの容積が小さくなったため、キャビテーションに起因する振動を吸収できなくなったと考えられ、振動が発生しやすくなっていると考えられる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、制御流体の流れにより発生する振動を防止または抑制することが可能な流体制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の流体制御弁は、次のような構成を有している。
(1)弁体と、弁体が収容される上流側の弁室と、弁室に連通する下流側の弁孔と、弁孔の外周に沿って、弁室の弁孔側内面から突設され、先端に弁座を有する環状突出部と、を有し、弁体が弁座と当接離間することで、流体制御を行う流体制御弁において、環状突出部は、環状突出部の内径側全周に、環状突出部の内径を弁孔に向かって縮径させる環状縮径面を備え、弁体は、弁座と当接する当接面を備え、弁座の内周側に、当接面から弁孔側に向かって突設された、弁孔の内径よりも大きい径を有し、弁孔と同軸の円柱状の段差部を備え、段差部の外周面と段差部の弁孔の側の端面とが交わる環状稜線は、環状縮径面の近傍に位置し、流路絞り部を形成すること、を特徴とする。
【0009】
(1)に記載の流体制御弁によれば、弁室から弁孔へ流れる流体は、弁体と弁座により流路面積が絞られた箇所、環状縮径面と当接面と段差部の外周面とにより囲まれた空間により流路面積が広げられた箇所、流路絞り部により流路面積が絞られた箇所を順に通過する。これにより、弁座の下流側での負圧状態が軽減されることを、出願人は実験により発見した。
【0010】
負圧状態が軽減されることで、キャビテーションの発生の抑制や、キャビテーションが発生したとしても、気泡の発生から消滅までの時間の短縮化が可能である。これらにより、キャビテーションに起因する振動の発生を抑えることができ、当該振動に起因する騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0011】
さらに、当接面から弁孔側に向かって突設された段差部により、噴流が、弁孔側へ誘導され、弁体から剥離される。噴流が弁体から剥離されることで、噴流に起因する弁体の振動の発生を抑えることができ、騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0012】
(2)(1)に記載の流体制御弁において、流路絞り部の、環状稜線の直径方向の隙間寸法に、環状突出部の、弁座の中心部における直径寸法を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、を特徴とする。
【0013】
(2)に記載の流体制御弁によれば、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0014】
(3)(1)または(2)に記載の流体制御弁において、弁座から、段差部の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、を特徴とする。
【0015】
(3)に記載の流体制御弁によれば、噴流に起因する振動を抑えることに優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0016】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、弁体は、段差部の弁孔の側の端面から弁孔の側に向かって突設された、段差部の外径よりも小さい径を有し、弁孔と同軸の円柱状の第2段差部を備え、第2段差部の外周面と第2段差部の弁孔の側の端面とが交わる第2環状稜線は、弁孔の内周面近傍に位置し、第2流路絞り部を形成すること、を特徴とする。
【0017】
(4)に記載の流体制御弁によれば、弁室から弁孔へ流れる流体は、弁体と弁座により流路面積が絞られた箇所、環状縮径面と当接面と段差部の外周面とにより囲まれた空間により流路面積が広げられた箇所、流路絞り部により流路面積が絞られた箇所を通過した後、さらに、段差部の弁孔の側の端面と第2段差部の外周面とにより流路面積が広げられた箇所、第2流路絞り部により流路面積が絞られた箇所を順に通過する。これにより、弁座の下流側での負圧状態がさらに軽減されることを、出願人は実験により発見した。
【0018】
負圧状態が軽減されることで、キャビテーションの発生を抑えることができる。キャビテーションの発生を抑えることができれば、キャビテーションに起因する振動の発生を抑えることができ、当該振動に起因する騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0019】
(5)(4)に記載の流体制御弁において、第2流路絞り部の、第2環状稜線の直径方向の隙間寸法に、環状突出部の、弁座の中心部における直径寸法を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、を特徴とする。
【0020】
(5)に記載の流体制御弁によれば、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0021】
(6)(4)または(5)に記載の流体制御弁において、環状縮径面と、弁孔の内周面は、環状縮径面から下流側に向かって穿設された、弁孔と同軸の環状窪み部により接続され、環状窪み部の内周面と環状縮径面とが交わる第3環状稜線は、環状稜線の近傍に位置し、環状稜線とともに流路絞り部を形成すること、環状窪み部の弁孔の側の内面と弁孔の内周面とが交わる第4環状稜線は、第2環状稜線の近傍に位置し、第2環状稜線とともに第2流路絞り部を形成すること、を特徴とする。
【0022】
(6)に記載の流体制御弁によれば、窪み部により、流路絞り部と第2流路絞り部の間の空間が拡大され、キャビテーションに起因する振動を抑えることに、より優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0023】
(7)(6)に記載の流体制御弁において、弁座から、環状窪み部の弁孔の側の内面までの距離は、当接面から第2段差部の弁孔の側の端面までの距離よりも0.03mmから0.13mm小さいこと、を特徴とする。
【0024】
(7)に記載の流体制御弁によれば、弁座下流において負圧領域が発生しやすい弁開度(例えば0.035mm程度)においても、第4環状稜線が、確実に第2環状稜線の近傍に位置し、第2流路絞り部を形成することができ、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れた流体制御弁とすることができる。
【0025】
(8)(4)乃至(7)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、段差部の外周面から、第2段差部の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、を特徴とする。
【0026】
(8)に記載の流体制御弁によれば、噴流の、弁孔側への誘導が確実になされ、噴流に起因する弁体の振動の発生を抑えることにより優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0027】
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、弁室および弁孔を内部に有する弁本体と、弁体の当接離間方向に対して平行な方向から弁本体に積み重なるカバー部材と、中央部に弁体が接続され、中央部の外周に、弁体の当接離間の動作の際に弾性変形する薄膜部を備える薄膜部材と、を備え、弁本体は、カバー部材の側に、薄膜部材を取り付ける開口部を備え、薄膜部材は、薄膜部の外周に沿って、環状固定部を備え、環状固定部を開口部に圧入することで開口部に取り付けられた薄膜部材は、環状固定部を、当接離間方向の両側からカバー部材と弁本体とにより挟持されることで固定されること、環状固定部は、外周全周に沿って、カバー部材側の端部を残し、外周面から弁本体の側の端面までを切り欠く環状切欠部を備えること、を特徴とする。
【0028】
(9)に記載の流体制御弁によれば、当接離間方向の両側からカバー部材と弁本体により挟持される環状固定部は、外周全周に沿って、カバー部材側の端部を残し、外周面から弁本体の側の端面までを切り欠く環状切欠部を備えるため、環状固定部のカバー部材側の端部は、カバー部材により押さえつけられる面積を確保することができる。環状固定部に、カバー部材により押さえつけられる面積を確保することで、薄膜部材の固定を確実になすことができ、薄膜部材に接続された弁体に生じる振動を抑えることができる。また、環状切欠部により環状固定部が切り欠かれている分、弁本体の肉厚を確保することができ、弁本体の強度向上を図ることができる。
【0029】
(10)(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、弁体の一部を挿入させて、弁体の当接離間の動作を案内するガイド部を備えること、弁体は、ガイド部の内周面に当接する摺動部を備えること、摺動部は、弾性部材からなり、内周面に押圧されることで、内周面に対して弾性反力を作用させること、を特徴とする。
【0030】
(10)に記載の流体制御弁によれば、弁体が備える摺動部により、ガイド部の内周面に対して弾性反力が作用するため、弁体が弁座に対して当接離間する動作の際に、弁体に発生する振動を抑えることが可能である。
【0031】
(11)(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、設置面と接地する台座と、流体制御弁を設置面に固定するための固定部材と、を備えること、固定部材は、台座に嵌合させる嵌合部と、設置面と結合可能な固定部と、を備えること、台座は、嵌合部と嵌合可能な嵌合間口と、嵌合間口より嵌合方向の奥側に、嵌合間口の幅方向に弾性変形可能であるとともに、嵌合部と係合可能な係止片と、を備えること、嵌合部を嵌合間口に嵌合させる嵌合操作により、嵌合部が係止片を初期位置から弾性変形させ、嵌合操作が完了すると、係止片が初期位置に戻ることで嵌合部と係止片とが係合され、固定部材の抜去方向の動きを規制すること、を特徴とする。
【0032】
(11)に記載の流体制御弁によれば、嵌合操作により固定部材を流体制御弁に組付け可能である。よって、固定部材の要不要に応じて、固定部材を流体制御弁に組付けるか否かを選択可能であり、流体制御弁の設置形態に自由度を持たせることが出来る。
【発明の効果】
【0033】
本発明の流体制御弁によれば、制御流体の流れにより発生する振動を防止または抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施形態に係るレギュレータの断面図を示す。
図2図1の弁座付近の部分拡大図を示す。
図3図2の弁座付近の部分拡大図を示す。
図4】従来技術に係るレギュレータの断面図を示す。
図5】本実施形態に係るレギュレータの、弁座付近における制御流体の圧力分布図を表す。
図6】第2流路絞り部の隙間寸法を拡大した場合の、弁座付近における制御流体の圧力分布図を表す。
図7】従来技術に係るレギュレータの、弁座付近における制御流体の圧力分布図を表す。
図8】弁座付近における制御流体の圧力値を比較するグラフを示す。
図9】本実施形態に係るレギュレータの、弁座付近における制御流体の流速の分布図を表す。
図10】弁座と段差部との距離を拡大した場合の、弁座付近における制御流体の流速の分布図を表す。
図11】従来技術に係るレギュレータの、弁座付近における制御流体の流速の分布図を表す。
図12】本実施形態に係るレギュレータの第1の変形例における、弁座付近の制御流体の圧力分布図を表す。
図13】本実施形態に係るレギュレータの第2の変形例を示す図である。
図14図13の弁座付近の部分拡大図を示す。
図15】本実施形態に係るレギュレータの第3の変形例を示す図である。
図16図15の弁座付近の部分拡大図を示す。
図17】第4の変形例に係るレギュレータの断面図を示す。
図18】摺動部材の斜視図である。
図19】板ばねの斜視図である。
図20】レギュレータに固定部材を取り付けた状態を表す斜視図である。
図21】レギュレータと固定部材を分解した状態を表す斜視図である。
図22】固定部材を示す斜視図である。
図23】レギュレータの底面図である。
図24】レギュレータの底面図の部分拡大図であり、固定部材を取り付けた状態を表す図である。
図25図24のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る流体制御弁の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係る流体制御機器は、半導体製造工程に用いられる薬液や純水等の制御流体の圧力制御を行うレギュレータ1であり、図1に示すように、弁本体11と、上カバー(カバー部材の一例)12と、下カバー13とを備え、弁本体11に対し、弁体14が弁座115a(図2参照)に当接離間する方向と平行な方向から、上カバー12と下カバー13が組付けられている。弁本体11には、制御流体が入力される入力ポート111と、制御流体が出力される出力ポート112とが形成されている。接液部材である弁本体11は、例えば耐腐食性の高いフッ素系合成樹脂により成形され、接液部材ではない上カバー12と下カバー13は、例えばポリプロピレン樹脂により成形されている。
【0036】
弁本体11の中央部には、入力流路111aによって入力ポート111に連通する弁室113が、弁本体11の下カバー13の側の端面から上カバー12の側に向かって穿設されている。そして、弁室113には、弁孔114が連通しており、弁室113の弁孔側内面113aには、弁孔114の外周に沿って環状突出部115が突設されている。
【0037】
環状突出部115の先端には、図2に示すように、後述する弁体14が当接離間する弁座115aが形成されており、環状突出部115の内径側全周には、環状突出部115の内径を弁孔114に向かって縮径させる環状縮径面115bが形成されている。そして、環状縮径面115bと、弁孔114の内周面は、環状縮径面115bから弁孔114の側に向かって穿設された、弁孔114と同軸の環状窪み部117により接続されている。
【0038】
さらに、弁本体11には、図1に示すように、弁孔114と連通している開口部116が、上カバー12側の端面に穿設されている。開口部116は、後述する薄膜部材15によって、出力流路112aにより出力ポート112に連通する下流側流体室116aと、圧力作用室116bと、に分割されている。なお、入力流路111aと、弁室113と、弁孔114と、下流側流体室116aと、出力流路112aとによって、入力ポート111から出力ポート112への流路が構成される。
【0039】
弁室113には、上カバー12と下カバー13との組み付け方向と平行な方向に往復動可能な円柱状の弁体14が収容されている。弁体14には、その軸線方向の中央部に、他の部分よりも径の大きい拡径部141が形成されている。拡径部141の、弁座115aに対向する端面は、図2に示すように、弁座115aに当接する当接面141aとなって
いる。弁体14が環状突出部115の側へ移動すると、当接面141aが弁座115aに当接し、入力ポート111から出力ポート112への流路が遮断される。一方、弁体14が環状突出部115の側とは反対側へ移動すると、当接面141aが弁座115aから離間し、入力ポート111から出力ポート112への流路が連通される。
【0040】
また、当接面141aには、弁座115aの内周側に、円柱状の段差部143が弁孔114の側に向かって突設されている。段差部143は、弁孔114の内径よりも大きい径を有し、弁孔114と同軸に位置している。
【0041】
図3に示すように、段差部143の外周面と、段差部143の弁孔114の側の端面(上端面)とが交わる第1環状稜線145(環状稜線の一例)の近傍には、環状窪み部117の内周面と環状縮径面115bとが交わる第3環状稜線118が位置し、第1環状稜線145と第3環状稜線118とが、流路絞り部17を形成している。流路絞り部17により、当接面141aと弁座115aにより狭められた流路の断面積が、当接面141aと段差部143の外周面と環状縮径面115bとにより囲まれた空間(第1空間)により一度拡大された後、再び狭められることとなる。
【0042】
さらに、段差部143の上端面には、図2に示すように、段差部143の外径よりも小さい径を有する円柱状の第2段差部144が弁孔114側に向かって突設されている。第2段差部144は、弁孔114と同軸に位置している。
【0043】
図3に示すように、第2段差部144の外周面と、第2段差部144の弁孔114の側の端面(上端面)とが交わる第2環状稜線146の近傍には、環状窪み部117の弁孔114の側の内面と弁孔114の内周面とが交わる第4環状稜線119が位置し、第2環状稜線146と第4環状稜線119とが、第2流路絞り部18を形成している。第2流路絞り部18により、流路絞り部17により狭められた流路の断面積が、段差部143の上端面と第2段差部144の外周面と環状窪み部117とに囲まれた空間(第2空間)により拡大された後、再び狭められることとなる。
【0044】
流路絞り部17の、第1環状稜線145の直径方向の隙間寸法C1は、隙間寸法C1に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1(図2参照)を乗じた値が、0.6から1.2の間となるように設定するのが望ましく、例えば、本実施形態においては当該乗じた値が0.83となるようにされている。
【0045】
また、第2流路絞り部18の、第2環状稜線146の直径方向の隙間寸法C2は、隙間寸法C2に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値が、0.6から1.2の間となるように設定するのが望ましく、例えば、本実施形態においては当該乗じた値が0.83となるようにされている。
【0046】
弁座115aの中心部(中心線CL11)から、段差部143の外周面までの距離d1は、0.4mmから0.8mmの範囲内であることが望ましく、例えば、本実施形態においては、0.5mmとされている。さらに、段差部143の外周面から、第2段差部144の外周面までの距離d2は、0.4mmから0.8mmの範囲内であることが望ましく、例えば、本実施形態においては、0.4mmとされている。
【0047】
弁座115aから、環状窪み部117の弁孔114の側の内面までの距離d3は、当接面141aから第2段差部144の上端面までの距離d4よりも0.03mmから0.13mm小さいことが望ましく、例えば、本実施形態においては、0.1mm小さく設定されている。
【0048】
さらに、弁体14は、図1に示すように、下カバー13側の端部に、弁体14と一体に
成形された薄膜部142を備えるとともに、上カバー12側の端部には、薄膜部152を備える薄膜部材15が結合されている。弁体14の薄膜部142と、薄膜部材15の薄膜部152は、弁体14が弁座115aに当接離間する運動に合わせて弾性変形する。なお、接液部材である弁体14と、薄膜部材15は、耐腐食性の高い、例えばフッ素系合成樹脂により成形されている。
【0049】
薄膜部材15は、弁体14が結合される中央部151の外周に、薄膜部152を備え、さらに、薄膜部152の外周に沿って、環状固定部153を備える。環状固定部153は、外周全周に沿って、上カバー12側の端部(上端面153b)を残し、外周面から弁本体11の側の端面(下端面)までを切り欠く環状切欠部153cを備える。環状固定部153の下端面には、圧入部153aが設けられており、弁本体11の開口部116に圧入可能となっている。開口部116に圧入された薄膜部材15は、環状固定部153を、弁体14が弁座115aに当接離間する方向の両側から上カバー12と弁本体11とにより挟持されることで固定されている。環状固定部153の上端面153bと、上カバー12の間には、Oリング19が配設されており、圧力作用室116bの気密を保っている。
【0050】
環状切欠部153cが設けられることで、弁本体11の肉厚を、環状固定部153が環状切欠部153cにより切り欠かれている分だけ厚くすることができ、弁本体11の強度を保つことができる。また、環状切欠部153cは、環状固定部153の上端面153bを残して、外周面から下端面までを切り欠くものであるため、上端面153bにおいて、上カバー12により押さえつけられる面積を確保することができる。
【0051】
下カバー13には、薄膜部142を挟んで弁室113と反対側にばね収容室131が形成されている。ばね収容室131には圧縮コイルばね16が収容されている。この圧縮コイルばね16の付勢力により、弁体14は常時弁座115aに当接する方向へ付勢されている。これにより、弁体14の当接面141aが弁座115aに当接する状態が保持されることとなる。
【0052】
上カバー12には、圧力作用室116bに連通する導入ポート121が形成されており、導入ポート121を通じて圧力作用室116bに操作エアが導入される。圧力作用室116bの操作エアの圧力を制御することにより、弁体14の位置が調節される。
【0053】
以上のような構成を有するレギュレータ1の弁体14の当接面141aおよび弁座115a付近の制御流体の流れ具合について、以下に説明する。
まずは従来技術において問題となっていたキャビテーションの発生について、図5図8を用いて説明する。
【0054】
図5および図6に示すのは、レギュレータ1の入力側と出力側で制御流体の圧力の差圧が、例えば200kPa程度に制御され、弁開度が0.035mm程度となった当接面141aおよび弁座115a付近の圧力分布図であり、コンピュータによる有限要素法を用いて解析した結果を表すものである。また、図7は、従来技術に係るレギュレータ50において、弁開度が0.035mm程度となった当接面54aおよび弁座515付近の圧力分布図であり、コンピュータによる有限要素法を用いて解析した結果を表すものである。図5図7は、ドット密度が高い部分が制御流体の圧力が低い部分を示し、ドット密度が
低い部分が制御流体の圧力が高い部分を示している。
【0055】
なお、弁座115aの下流側における圧力が低いほど、キャビテーションが発生しやすくなり、例えば圧力値P11(図8参照)以下となった状態が、キャビテーションが発生しやすい状態である。
【0056】
弁開度が0.035mm程度であると、そのような小さい隙間を通る制御流体は、流速が速くなる。制御流体の流速が速くなった場合において、従来技術に係るレギュレータ50の弁座515の下流側における制御流体の圧力を、例えば、図7に示すように、測定点A21,A22,A23の3点において見てみると、全て負圧状態となっていることが分かる。これは、流速の増加により圧力が低下するためである(ベルヌーイの定理)。そして、測定点A21,A22,A23の圧力値は、図8のグラフに示すように、全てが圧力値P11以下となっており、キャビテーションが発生しやすい状態であることが分かる。
【0057】
一方、本実施形態に係るレギュレータ1では、図5に示すように、弁体14および弁座115aの隙間付近においては負圧状態となっているものの、測定点A21の位置に相当する、第1空間における測定点A11においては、負圧状態が解消され、圧力値は正の値となっている。これは図8に示すグラフにおいても明らかである。
【0058】
また、測定点A22の位置に相当する、第2空間における測定点A12においても、負圧状態が解消され、圧力値は正の値となっている。これは図8に示すグラフにおいても明らかである。
【0059】
測定点A23の位置に相当する測定点A13においては、圧力分布図を見ると、負圧状態であることが分かるものの、図8のグラフに示されるように圧力値P11を超えた値となっており、キャビテーションが発生しやすい状態は解消されていると言える。
【0060】
即ち、本実施形態に係るレギュレータ1においては、測定点A11,A12,A13全てにおいて、圧力値P11以上の圧力を示しており、キャビテーションが発生しにくい状態となっている。
【0061】
ここで、先述の通り、流路絞り部17の、第1環状稜線145の直径方向の隙間寸法C1は、隙間寸法C1に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値が、0.6から1.2の間となるのが望ましく、第2流路絞り部18の、第2環状稜線146の直径方向の隙間寸法C2は、隙間寸法C2に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値が、0.6から1.2の間となるように設定するのが望ましい。例えば、隙間寸法C2を拡大し、隙間寸法C2に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値を、0.6から1.2の範囲から逸脱させた場合、図6に示すように、第1空間における測定点A11および第2空間における測定点A12がそれぞれ負圧状態となってしまう。そして、測定点A11および測定点A12の圧力値は、図8(C2拡大)に示す通り、P11を下回る値となっており、キャビテーションが発生するおそれがあることが分かる。
【0062】
なお、図12に示す第1の変形例に係るレギュレータのように、環状縮径面115bに環状窪み部117を設けないものとしても良い。この場合、第2空間において負圧状態となるものの、第1空間および弁孔114付近において、キャビテーションが発生しない程度の圧力値に保たれ、キャビテーションの発生を抑えるのに効果がある。
【0063】
次に従来技術において問題となっていた噴流の発生について、図9図11を用いて説明する。図9および図10に示すのは、レギュレータ1の入力側と出力側で制御流体の圧力の差圧が、例えば200kPa程度に制御され、弁開度が0.035mm程度となった当接面141aおよび弁座115a付近における制御流体の流速を表した分布図であり、コンピュータによる有限要素法を用いて解析した結果を表すものである。また、図7は、従来技術に係るレギュレータ50において、弁開度が0.035mm程度となった当接面54aおよび弁座515付近における制御流体の流速を表した分布図であり、コンピュータによる有限要素法を用いて解析した結果を表すものである。図9図11は、ドット密度が高い部分が制御流体の流速が速い部分を示し、ドット密度が低い部分が制御流体の流速が遅い部分を示している。
【0064】
図11に示す従来のレギュレータ50の解析結果を見てみると、制御流体の流速の高い部分が、弁体54の当接面54aに沿って伸びていることが分かる。これは、噴流が当接面54aに沿って発生していることを示している。当接面54aに沿って発生する噴流は、弁体54を振動させる原因となる。
【0065】
一方、本実施形態に係るレギュレータ1においては、図9に示す通り、制御流体の流速の高い部分が、当接面141aと弁座115aとの隙間から、環状縮径面115bに沿って伸びており、従来技術において噴流が当接面54aに沿って発生していた状態が解消されていることが分かる。これは、段差部143により、噴流が、弁孔114側へ誘導され、弁体14から剥離されているためである。噴流が弁体14から剥離されることで、噴流に起因する弁体14の振動の発生を抑えることができるのである。
【0066】
ここで、先述の通り、弁座115aの中心部(中心線CL11)から、段差部143の外周面までの距離d1は、0.4mmから0.8mmの範囲内であることが望ましく、段差部143の外周面から、第2段差部144の外周面までの距離d2は、0.4mmから0.8mmの範囲内であることが望ましい。例えば、距離d1を拡大し、0.4mmから0.8mmの範囲内から逸脱させた場合、図10に示すように、制御流体の流速の高い部分が、弁体14の当接面141aに沿って伸びており、噴流が弁体14から剥離されていないことが分かる。この状態では、噴流に起因する弁体14の振動の発生を抑えることができないおそれがある。
【0067】
なお、本実施例の第2の変形例として、図13および図14に示すように、弁本体21の環状突出部215の先端に設けられた弁座215aに対して当接する、弁体24の拡径部241に設けられた当接面241aを、弁体24の軸心に対して傾斜させるものとしても良い。また、環状窪み部217の弁孔214の側の内面や、段差部243および第2段差部244の弁孔214の側の端面(上端面)も、傾斜させるものとしても良い。
【0068】
このとき、段差部243の外周面と、段差部243の上端面とが交わる第1環状稜線245(環状稜線の一例)の近傍には、環状窪み部217の内周面と環状縮径面215bとが交わる第3環状稜線218が位置し、第1環状稜線245と第3環状稜線218とが、流路絞り部27を形成している。さらに、第2段差部244の外周面と、第2段差部244の上端面とが交わる第2環状稜線246の近傍には、環状窪み部217の弁孔114の側の内面と弁孔214の内周面とが交わる第4環状稜線219が位置し、第2環状稜線246と第4環状稜線219とが、第2流路絞り部28を形成している。
【0069】
さらにまた、第3の変形例として、図15および図16に示すように、第3段差部345と第2環状窪み部318を設けることで、第3流路絞り部39を設けるものとしても良い。
【0070】
まず弁本体31について説明すると、弁本体31が環状突出部315を備え、その先端に弁座315aを有するとともに、縮径面315bおよび環状窪み部317を備える点は、上記の第1の実施形態と同様である。弁本体31は、環状窪み部317の弁孔314側の内面から、弁孔314側に穿設された第2環状窪み部318を有している。
【0071】
次に弁体34について説明すると、弁体34が拡径部341を備え、拡径部341が、弁座315aと当接する当接面341aを備えるとともに、段差部343が当接面341aから弁孔314側に向かって突設され、第2段差部344が、段差部343の弁孔314側の端面(上端面)から、弁孔314側に向かって突設されている点は、上記の第1の実施形態と同様である。第3段差部345は、第2段差部344の弁孔314側の端面(上端面)から、弁孔314の側に向かって突設されており、第2段差部344よりも小さい径を有するとともに、弁孔314に同軸に位置している。
【0072】
このとき、段差部343の外周面と、段差部343の上端面とが交わる第1環状稜線346(環状稜線の一例)の近傍には、環状窪み部317の内周面と環状縮径面315bとが交わる第3環状稜線319が位置し、第1環状稜線346と第3環状稜線319とが、流路絞り部37を形成している。また、第2段差部344の外周面と、第2段差部344の上端面とが交わる第2環状稜線347の近傍には、環状窪み部317の弁孔314の側の内面と第2環状窪み部318の内周面とが交わる第4環状稜線320が位置し、第2環状稜線347と第4環状稜線320とが、第2流路絞り部38を形成している。さらにまた、第3段差部345の外周面と、第3段差部345の弁孔314側の端面とが交わる第5環状稜線348の近傍には、第2環状窪み部318の弁孔314の側の内面と弁孔314の内周面とが交わる第6環状稜線322が位置し、第5環状稜線348と第6環状稜線322とが、第3流路絞り部39を形成している。
【0073】
さらに弁体14の振動を抑えるためには、第4の変形例として、図17に示すようなレギュレータ1が考えられる。
【0074】
下カバー13のばね収容室131には、弁孔114と同軸に、凹状のガイド部132が穿設されている。そして、弁体14の下カバー13側の端部には、弁体14と一体とされ、ガイド部132に挿入された摺動部147が設けられている。弁体14の弁座115aに対する当接離間の動作は、摺動部147がガイド部132に挿入されていることで、ガイド部132によって案内される。
【0075】
弁体14の摺動部147は、弾性部材としての、摺動部材40および板ばね41からなる。
【0076】
摺動部材40は、摺動性の高いフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエアーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)からなる。摺動部材40の、ガイド部132に挿入されている部分には、中空部402が設けられている。中空部402を囲む壁部にはスリット403(図18参照)が設けられており、当該壁部は片持ちばね401とされている。
【0077】
摺動部材40の、ガイド部132に挿入されている部分(片持ちばね401の部分)の直径は、ガイド部132の内周の直径よりも微少に大きくされており、片持ちばね401は、ガイド部132の内周面に押圧された状態となっている。この押圧により、片持ちばね401は弾性変形する。
【0078】
また、中空部402には、板ばね41が中空部402の内周面に密着された状態で嵌装されている。これにより、片持ちばね401が補強されている。
【0079】
板ばね41は、バネ用ステンレス鋼(例えばSUS304CSP)の板材をC型状に形成したものである(図19参照)。摺動部材40の片持ちばね401が、ガイド部132の内周面に押圧されると、板ばね41の外周面412が、片持ちばね401によって押圧される。板ばね41は、スリット411が設けられているため、外周面412が片持ちばね401によって押圧されると、スリット411の幅が小さくなり、板ばね41は弾性変形する。
【0080】
片持ちばね401は、ガイド部132の内周面に、押圧された状態とされているため、片持ちばね401および板ばね41の弾性力が、常時、ガイド部132の内周面に対して弾性反力を作用させる。このようにガイド部132の内周面に対して弾性反力が作用していることで、弁体14が弁座115aに対して当接離間する動作の際に、弁体14に発生する振動を抑えることが可能となる。
【0081】
ここで、以上説明したレギュレータ1の、設置面への固定構造について説明する。レギュレータ1のような流体制御弁は、半導体製造装置の高密度化などにより、機器が密集した箇所に取り付けられるケースが多いため、取付方法の自由度が高いことが求められている。そこで、レギュレータ1は、下カバー13(台座の一例)を設置面60(図20参照)に直接結合することで、設置面60に固定することができる他、図20および図21に示すように、固定部材20をレギュレータ1に装着し、下カバー13を設置面60に接地させた状態で、下カバー13に嵌合された固定部材20を設置面60に固定することで、設置面60に固定することが出来る。
【0082】
固定部材20は、例えば、ポリプロピレン(PP)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)の射出成型品であり、図21に示すように、下カバー13に嵌合させる嵌合部201と、設置面60と結合可能な固定部208と、からなる。
【0083】
固定部材20の嵌合部201は、誤嵌合防止部202と、一対の係合部203と、からなる。誤嵌合防止部202は、幅方向の両端に斜面204を有しており、この斜面204により、誤嵌合防止部202は、下方に向かうほど幅が減少される台形状に形成されている。
【0084】
一対の係合部203は、誤嵌合防止部202の固定部208が設けられている側とは反対側の端面から突設されている。一対の係合部203のそれぞれは、先端部(誤嵌合防止部202側とは反対側の端部)に、第1係止突起205を備える。第1係止突起205には、先端部に向かうほど、その高さが低くなるように、斜面状の押動部206が設けられている。また、嵌合部201には、一対の係合部203に挟まれるようにして、円弧状部207が設けられている。
【0085】
固定部材20の固定部208は、高さ方向に貫通する貫通孔209を備えることで、リング状に形成されている。貫通孔209には、例えばボルトを挿通することができ、貫通孔209に挿通されたボルトを、設置面60に結合させることで、レギュレータ1が設置面60に固定される。
【0086】
下カバー13は、図21に示すように、側面に、固定部材20の嵌合部201と嵌合可能な嵌合間口137を備えている。さらに、図23乃至図25に示すように、嵌合間口137より嵌合方向の奥側に、嵌合間口137の幅方向に弾性変形可能であるとともに、固定部材20の嵌合部201と係合可能な一対の係止片138と、を備えている。
【0087】
嵌合間口137は、幅方向の両端に斜面136を有しており、この斜面136により、下方に向かうほど幅が減少されるように形成されている。つまり、嵌合間口137は、台形状に形成されている。さらに詳しく説明すると、嵌合間口137の台形状は、誤嵌合防止部202と略相似形であり、微少な隙間を持って、誤嵌合防止部202を嵌合間口137にはめ込むことが可能となっている。
【0088】
一対の係止片138のそれぞれは、先端部(嵌合間口137側の端部)に、固定部材20の第1係止突起205と係合可能な第2係止突起133を備えている。また、第2係止突起133には、先端部に向かうほど、その高さが低くなるように、斜面状の被押動部134が設けられている。また、下カバー13には、一対の係止片138に挟まれるようにして、筒状壁部135が設けられている。なお、この筒状壁部135の内周面135aは、雌ねじとなっており、ボルト等を螺合可能である。
【0089】
次に、固定部材20の下カバー13への嵌合操作について説明する。
まず、固定部材20の誤嵌合防止部202と、下カバー13の嵌合間口137とは、ともに台形状に形成されているため、その方向を合わせる。つまり、嵌合間口137が下方に向かうほど幅が減少するようにされているため、誤嵌合防止部202が下方に向かうほど幅が減少する方向とする。ここで、誤った方向で嵌合操作を行ったとしても、誤嵌合防止部202と嵌合間口137とが干渉し、組付けることが出来ないため、誤嵌合を防止することが出来る。
【0090】
嵌合部を嵌合間口137に挿入させていくと、第1係止突起205の押動部206が、第2係止突起133の被押動部134と接触する。そのまま、さらに嵌合部を嵌合間口に挿入させていくと、押動部206が被押動部134を押し広げていき、係止片138を第1係止突起205に対して脱離方向に弾性変形させる。そして、第1係止突起205が第2係止突起133を乗り越えると、係止片138が弾性変形前の状態に戻り、嵌合部201と係止片138とが係合される。つまり、第1係止突起205と第2係止突起133とがかみ合う。これにより、嵌合操作が完了され、固定部材20の抜去方向の動きが規制される。
【0091】
また、嵌合操作が完了された状態では、円弧状部207が筒状壁部135と、接触または近接して、同心上に位置しており、これにより、固定部材20の幅方向の動きが規制される。さらに、誤嵌合防止部202は、嵌合間口137に微少な隙間を持ってはめ込まれるため、誤嵌合防止部202と嵌合間口137とによって、固定部材20の幅方向および高さ方向の動きの規制が行われる。
【0092】
以上のように、嵌合操作により固定部材20をレギュレータ1に組付け可能であるため、固定部材20の要不要に応じて、固定部材20をレギュレータ1に組付けるか否かを選択可能である。よって、レギュレータ1の設置形態に自由度を持たせることが出来る。なお、レギュレータ1を複数の機器が密集するような狭小部に固定する場合には、固定部材20を用いずに、例えば、設置面60にレギュレータ1を設置する側とは反対側からボルトを挿通させ、筒状壁部135の内周面135aに螺合させることで、レギュレータ1を設置面60に固定可能となっている。固定部材20を用いないことで、レギュレータ1から突出する部分がなくなり、狭小部にも設置可能となる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のレギュレータ1によれば、
(1)弁体14と、弁体14が収容される上流側の弁室113と、弁室113に連通する下流側の弁孔114と、弁孔114の外周に沿って、弁室113の弁孔114の側の内面から突設され、先端に弁座115aを有する環状突出部115と、を有し、弁体14が弁座115aと当接離間することで、流体制御を行うレギュレータ1において、環状突出部115は、環状突出部115の内径側全周に、環状突出部115の内径を弁孔114に向かって縮径させる環状縮径面115bを備え、弁体14は、弁座115aと当接する当接面141aを備え、弁座115aの内周側に、当接面141aから弁孔114側に向かって突設された、弁孔114の内径よりも大きい径を有し、弁孔114と同軸の円柱状の段差部143を備え、段差部143の外周面と段差部143の弁孔114の側の端面とが交わる第1環状稜線145は、環状縮径面115bの近傍に位置し、流路絞り部17を形成すること、を特徴とする。
【0094】
(1)に記載のレギュレータ1によれば、弁室113から弁孔114へ流れる制御流体は、弁体14と弁座115aにより流路面積が絞られた箇所、環状縮径面115bと当接面141aと段差部143の外周面とにより囲まれた空間(第1空間)により流路面積が広げられた箇所、流路絞り部17により流路面積が絞られた箇所を順に通過する。これにより、弁座115aの下流側での負圧状態が軽減されることを、出願人は実験により発見した。
【0095】
負圧状態が軽減されることで、キャビテーションの発生の抑制や、キャビテーションが発生したとしても、気泡の発生から消滅までの時間の短縮化が可能である。これらにより、キャビテーションに起因する振動の発生を抑えることができ、当該振動に起因する騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0096】
さらに、当接面141aから弁孔114側に向かって突設された段差部143により、噴流が、弁孔114側へ誘導され、弁体14から剥離される。噴流が弁体14から剥離されることで、噴流に起因する弁体14の振動の発生を抑えることができ、騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0097】
(2)(1)に記載のレギュレータ1において、流路絞り部17の、第1環状稜線145の直径方向の隙間寸法C1に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、を特徴とする。
【0098】
(2)に記載のレギュレータ1によれば、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れたレギュレータ1とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0099】
(3)(1)または(2)に記載のレギュレータ1において、弁座115aから、段差部143の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、を特徴とする。
【0100】
(3)に記載のレギュレータ1によれば、噴流に起因する振動を抑えることに優れたレギュレータ1とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0101】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のレギュレータ1において、弁体14は、段差部143の弁孔114の側の端面から弁孔114側に向かって突設された、段差部143の外径よりも小さい径を有し、弁孔114と同軸の円柱状の第2段差部144を備え、第2段差部144の外周面と第2段差部144の弁孔114の側の端面とが交わる第2環状稜線146は、弁孔114の内周面近傍に位置し、第2流路絞り部18を形成すること、を特徴とする。
【0102】
(4)に記載のレギュレータ1によれば、弁室113から弁孔114へ流れる制御流体は、弁体14と弁座115aにより流路面積が絞られた箇所、環状縮径面115bと当接面141aと段差部143の外周面とにより囲まれた空間(第1空間)により流路面積が広げられた箇所、流路絞り部17により流路面積が絞られた箇所を通過した後、さらに、段差部143の弁孔114の側の端面と第2段差部144の外周面とにより流路面積が広げられた箇所、第2流路絞り部18により流路面積が絞られた箇所を順に通過する。これにより、弁座115aの下流側での負圧状態がさらに軽減されることを、出願人は実験により発見した。
【0103】
負圧状態が軽減されることで、キャビテーションの発生を抑えることができる。キャビテーションの発生を抑えることができれば、キャビテーションに起因する振動の発生を抑えることができ、当該振動に起因する騒音の発生を抑えることが可能となる。
【0104】
(5)(4)に記載のレギュレータ1において、第2流路絞り部18の、第2環状稜線146の直径方向の隙間寸法C2に、環状突出部115の、弁座115aの中心部(中心線CL11)における直径寸法D1を乗じた値が、0.6から1.2の間であること、を特徴とする。
【0105】
(5)に記載のレギュレータ1によれば、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れた流体制御弁とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0106】
(6)(4)または(5)に記載のレギュレータ1において、環状縮径面115bと、弁孔114の内周面は、環状縮径面115bから弁孔114の側に向かって穿設された、弁孔114と同軸の環状窪み部117により接続され、環状窪み部117の内周面と環状縮径面115bとが交わる第3環状稜線118は、第1環状稜線145の近傍に位置し、第1環状稜線145とともに流路絞り部17を形成すること、環状窪み部117の弁孔114の側の内面と弁孔114の内周面とが交わる第4環状稜線119は、第2環状稜線146の近傍に位置し、第2環状稜線146とともに第2流路絞り部18を形成すること、を特徴とする。
【0107】
(6)に記載のレギュレータ1によれば、環状窪み部117により、流路絞り部17と第2流路絞り部18の間の空間(第2空間)が拡大され、キャビテーションに起因する振動を抑えることに、より優れたレギュレータ1とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0108】
(7)(6)に記載のレギュレータ1において、弁座115aから、環状窪み部117の弁孔114の側の内面までの距離は、当接面141aから第2段差部144の弁孔114の側の端面までの距離よりも0.03mmから0.13mm小さいこと、を特徴とする。
【0109】
(7)に記載のレギュレータ1によれば、弁座115aの下流側において負圧領域が発生しやすい弁開度(例えば0.035mm程度)においても、第4環状稜線119が、確実に第2環状稜線146の近傍に位置し、第2流路絞り部18を形成することができ、キャビテーションに起因する振動を抑えることに優れたレギュレータ1とすることができる。
【0110】
(8)(4)乃至(7)のいずれか1つに記載のレギュレータ1において、段差部143の外周面から、第2段差部144の外周面までの距離は、0.4mmから0.8mmの範囲内であること、を特徴とする。
【0111】
(8)に記載のレギュレータ1によれば、噴流の、弁孔114の側への誘導が確実になされ、噴流に起因する弁体14の振動の発生を抑えることにより優れたレギュレータ1とすることができることを、出願人は実験により発見した。
【0112】
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載のレギュレータ1において、弁室113および弁孔114を内部に有する弁本体11と、弁体14の当接離間方向に対して平行な方向から弁本体11に積み重なる上カバー12と、中央部151に弁体14が接続され、中央部151の外周に、弁体14の当接離間の動作の際に弾性変形する薄膜部152を備える薄膜部材15と、を備え、弁本体11は、上カバー12の側に、薄膜部材15を取り付ける開口部116を備え、薄膜部材15は、薄膜部152の外周に沿って、環状固定部153を備え、環状固定部153を開口部116に圧入することで開口部116に取り付けられた薄膜部材15は、環状固定部153を、当接離間方向の両側から上カバー12と弁本体11とにより挟持されることで固定されること、環状固定部153は、外周全周に沿って、上カバー12の側の端部を残し、外周面から弁本体11の側の端面までを切り欠く環状切欠部153cを備えること、を特徴とする。
【0113】
(9)に記載のレギュレータ1によれば、当接離間方向の両側から上カバー12と弁本体11により挟持される環状固定部153は、外周全周に沿って、上カバー12側の端部を残し、外周面から弁本体11の側の端面までを切り欠く環状切欠部153cを備えるため、環状固定部153の上カバー12側の上端面153bは、上カバー12により押さえつけられる面積を確保することができる。環状固定部153に、上カバー12により押さえつけられる面積を確保することで、薄膜部材15の固定を確実になすことができ、薄膜部材15に接続された弁体14に生じる振動を抑えることができる。また、環状切欠部153cにより環状固定部153が切り欠かれている分、弁本体11の肉厚を確保することができ、弁本体11の強度向上を図ることができる。
【0114】
(10)(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、弁体の一部を挿入させて、弁体の当接離間の動作を案内するガイド部を備えること、弁体は、ガイド部の内周面に当接する摺動部を備えること、摺動部は、弾性部材からなり、内周面に押圧されることで、内周面に対して弾性反力を作用させること、を特徴とする。
【0115】
(10)に記載の流体制御弁によれば、弁体が備える摺動部により、ガイド部の内周面に対して弾性反力が作用するため、弁体が弁座に対して当接離間する動作の際に、弁体に発生する振動を抑えることが可能である。
【0116】
(11)(1)乃至(10)のいずれか1つに記載のレギュレータ1において、設置面60と接地する台座(例えば下カバー13)と、レギュレータ1を設置面60に固定するための固定部材20と、を備えること、固定部材20は、下カバー13に嵌合させる嵌合部201と、設置面60と結合可能な固定部208と、を備えること、下カバー13は、嵌合部201と嵌合可能な嵌合間口137と、嵌合間口137より嵌合方向の奥側に、嵌合間口137の幅方向に弾性変形可能であるとともに、嵌合部201と係合可能な係止片138と、を備えること、嵌合部201を嵌合間口137に嵌合させる嵌合操作により、嵌合部201が係止片138を初期位置から弾性変形させ、嵌合操作が完了すると、係止片138が初期位置に戻ることで嵌合部201と係止片138とが係合され、固定部材20の抜去方向の動きを規制すること、を特徴とする。
【0117】
(11)に記載のレギュレータ1によれば、嵌合操作により固定部材20をレギュレータ1に組付け可能である。よって、固定部材20の要不要に応じて、固定部材20をレギュレータ1に組付けるか否かを選択可能であり、レギュレータ1の設置形態に自由度を持たせることが出来る。
【0118】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施形態において、第1環状稜線145、第2環状稜線146、第3環状稜線118、第4環状稜線119は、エッジ状に図示しているが、R面取りまたはC面取り状としても良い。
【符号の説明】
【0119】
1 レギュレータ(流体制御弁の一例)
14 弁体
17 流路絞り部
113 弁室
114 弁孔
115 環状突出部
115a 弁座
115b 環状縮径面
143 段差部
145 第1環状稜線(環状稜線の一例)
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