(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】繊維製品の製造方法および繊維製品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/12 20060101AFI20240415BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20240415BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240415BHJP
D04H 1/4374 20120101ALI20240415BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20240415BHJP
【FI】
B32B27/12
B32B5/02 Z
B32B27/18 Z
D04H1/4374
D21H27/00 E
(21)【出願番号】P 2020536660
(86)(22)【出願日】2018-12-31
(86)【国際出願番号】 FI2018050987
(87)【国際公開番号】W WO2019129934
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-22
(32)【優先日】2017-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】517179114
【氏名又は名称】パプティック オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】カリタ キンヌネン-ローダスコスキ
(72)【発明者】
【氏名】マージャ ジュボネン
(72)【発明者】
【氏名】エサ トーニアイネン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ハグブロム
(72)【発明者】
【氏名】ツォーマス ムストネン
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-138728(JP,A)
【文献】国際公開第01/057316(WO,A1)
【文献】特開2016-068958(JP,A)
【文献】特表2017-538053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
D21B,D21C,D21D,D21F,D21G,D21H,D21J
D04H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの重なり合う層を備える多層繊維製品の製造方法であって、
主に天然繊維を含む第1層と、
合成繊維または粒子を含む第2層と、をウェブ成形プロセスで提供することを特徴とし、ここで、前記第1層および前記第2層は、発泡成形プロセスで成形され、共に接合され、前記第1層および前記第2層は重なり合う関係で配置され、前記第2層は前記繊維製品にヒートシール特性を与えることが可能であり、
前記第1層は、第1組成物を有する第1スラッシュからウェブに成形され、
前記第2層は、第2組成物を有する第2スラッシュから、第1層によって成形されるウェブ上に施され、多層ウェブを成形し、
前記第1組成物は、前記第2組成物とは異なる、方法。
【請求項2】
前記第1層および第2層は、多層ヘッドボックスを使用して、発泡成形プロセスにおいて成形され、共に接合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1層は、第1固形分を有するウェブ中に成形され、
前記ウェブは、前記ウェブの前記固形分を増加させるために乾燥され、第2固形分を有する改質ウェブを提供し、
前記第2層は、前記改質ウェブに施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1層は、第1固形分を有するウェブに成形され、
前記ウェブの前記固形分を増加させて、第2固形分を有する改質ウェブを提供するために、前記ウェブは、プレスセクションでプレスされ、シリンダーセクションでシリンダー乾燥され、またはそれらの組み合わせを施され、
第2層は、前記改質ウェブに施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1層に前記第2層を施す前に、15~35重量%、特に20~35重量%の乾燥物含量を有する改質第1層を、乾燥することによって提供することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2層は、発泡体の形態で前記改質ウェブ上に施される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1層および前記第2層によって成形された前記多層ウェブは、多層繊維製品を製造するために乾燥される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記多層ウェブの乾燥は、非接触乾燥により行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
乾燥は、真空乾燥、熱風乾燥、通風乾燥、遠赤外線乾燥およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの方法によって行われる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1層は、セルロースおよびリグノセルロース繊維ならびにそれらの組み合わせから選択される天然繊維を含む第1スラッシュから成形され、特に前記第1スラッシュは、一年生または多年生の植物、特に木材から得られるセルロースまたはリグノセルロース繊維のそれらの組み合わせを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2層は、ポリラクチド、グリコール酸ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブチレンサクシネートおよびそれらの組み合わせから選択される熱可塑性繊維または粒子を含む第2スラッシュから成形され、特に前記第2スラッシュは、ポリラクチドおよびポリラクチド-ポリブチレンサクシネート繊維から選択される生分解性熱可塑性繊維を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2層は、最大10dtex、好ましくは最大5dtex、例えば1~5dtexなどの繊度、および1~50mm、好ましくは1~12mm、たとえば6~12mmの平均長さを有する熱可塑性繊維を含む第2スラッシュから成形される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1スラッシュは、天然繊維に加えて、固形分から計算して0.1~15重量%の、界面活性剤、結合剤およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をもまた含む、請求項1または10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2層は、合成繊維に加えて、固形分含有量から計算して0.1~15重量%の、界面活性剤、結合剤およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含む第2スラッシュから成形される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1スラッシュまたは第2スラッシュまたはその両方は、デンプンまたは化工デンプンまたは誘導体、キトサン、アルギン酸塩のうちの少なくとも一種を含む天然バインダーおよび生体高分子、または酢酸ビニルおよびアクリレートラテックスまたはポリウレタンまたはSB-ラテックス、ポリビニルアルコールまたはポリ酢酸ビニルのうちの少なくとも一種を含む合成バインダー、またはこれらのバインダーまたはコポリマーの任意の混合物の群から選択される、少なくとも1つのバインダーを備え、特に熱可塑性バインダーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1層または前記第2層またはその両方は、バインダーで含浸される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1層は、前記第1層の繊維の総重量から計算して、50重量%を超え最大100重量%までの天然繊維を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2層は、熱可塑性繊維および/または粒子を、前記第2
層の総重量から計算して、最大100重量%を備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法により得られる、繊維包装、繊維シートまたは繊維ウェブとして使用される多層繊維製品であって、
主に天然繊維で作られたベース層と、
前記ベース層に配置されたヒートシール層と、を備え、
前記ヒートシール層は、主に合成繊維または粒子からなることを特徴とする、製品。
【請求項20】
前記ヒートシール層は、最大10dtex、好ましくは最大5dtex、例えば1~5dtexの繊度を有し、および平均長さが1~12mm、好ましくは1~12mm、たとえば6~12mmである、主に生分解性熱可塑性繊維からなる、請求項
19に記載の製品。
【請求項21】
前記ヒートシール層の坪量は、10g/m
2以下であり、前記ベース層の坪量は、20~100g/m
2である、請求項19または20に記載の製品。
【請求項22】
前記ベース層の前記ヒートシール層の反対側の表面に、疎水性を有する表面層であって、アルキレンケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、又はバインダーと、架橋結合剤との組み合わせを含む表面層が配置されている、請求項19から21のいずれか一項に記載の製品。
【請求項23】
前記ベース層および前記ヒートシール層の両方が同じ熱可塑性バインダーを備え、前記層の上または中に均一に広げられている、請求項19から22のいずれか一項に記載の製品。
【請求項24】
前記製品は、シートがヒートシールによってそれ自体または別のシートに取り付けられている領域に少なくとも1つの縫目領域を備える場合、包装を成形するために折り畳まれた少なくとも1つのシートを備える、請求項19から23のいずれか一項に記載の製品。
【請求項25】
請求項19から24のいずれか一項に記載の製品の、ヒートシールまたはヒートシームされた包装材料としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に記載の繊維製品を製造する方法に関する。
【0002】
この種の方法では、多層繊維製品を調製するために、主に天然繊維を備えるベース層がウェブ成形プロセスで成形され、ヒートシール層がベース層上にもたらされる。
【0003】
本発明はまた、請求項20に記載の繊維製品および請求項26に記載の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
今日の消費者は、ますます環境に優しい包装ソリューションを求めている。このため、多くの小売チェーンおよびブランドオーナーにとって、紙や板紙のような製品は再生可能な原材料から得られ容易にリサイクルされるため、好ましい包装材である。たとえば酸素、水、油脂に対する優れたバリア特性を必要とする多くの包装には、ヒートシール特性を有する材料の層が提供されている。このため、紙とプラスチックのラミネートは、キャンディやベーカリー製品の梱包に頻繁に使用される。このようなラミネートは、紙の押し出しコーティングによって、または紙をプラスチックフィルムと共に冷接着剤または熱接着剤を使用してラミネートすることによって製造される。
【0005】
押し出しフィルムを紙または板紙の基材に接着するため、またラミネートフィルムの強度を上げる必要があるため、これらのフィルムラミネートのプラスチックの割合はしばしば数十パーセントになり、そのため、材料のパルプ化が困難であり、リサイクルはしばしば燃焼による熱回収に基づく。例えば、紙の押し出しコーティングでは、指示された厚さより薄いフィルムは、紙へのフィルムの十分な接着力を得ることを困難にするため、プラスチックフィルムの最小厚さは通常約15umである。一方、ラミネーションプロセスではフィルムが自立していなければならないため、ラミネーションでは20um未満の厚さのフィルムを取り付けることは困難である。
【0006】
フィンランド国特許発明第126474号明細書は、その中に熱可塑性繊維を強化繊維として組み込むことができ、それにより、製品のヒートシール特性を付与することができる、天然繊維マトリックスを備える製品を開示している。しかしながら、マトリックスに混合されるそのような強化繊維の量は、十分に良好なヒートシール性を提供するために、比較的高くなければならない。
【0007】
例えば、本発明の変換プロセスおよび材料の上記の欠点のために、現在のヒートシール紙材料は、材料のリサイクルを損なう比較的大量のプラスチックを備える。さらに、そのような材料の製造には、原則として1つ以上の追加のプロセスステップが必要であり、コストが増加する。
【0008】
さらに、プラスチックフィルムをベースにしたヒートシール製品は通気性がない。しかしながら、多くの包装された製品、例えば粉末製品は、包装ラインの有効性のために、包装からの通気性を必要とする。繊維製品や家具などの多くの製品は、保管中および輸送中の通気または換気が望ましい。パンなどのベーカリー製品は、通気性のある包装の恩恵を受ける。これは、包装する前に製品を冷却する必要がなくなることによって、納期が短縮されるためである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、当該技術に関連する問題の少なくともいくつかを排除し、新しいタイプのヒートシール製品およびヒートシール繊維製品を製造する方法を提供することである。
【0010】
特に、製品に組み込まれる熱可塑性材料の量を減らし、リサイクル可能な包装材料の製造の費用対効果を高めることにより、ヒートシール紙タイプ材料のリサイクル性を改善することを目的とする。
【0011】
本発明のさらなる目的は、新しいヒートシールおよび空気透過性を有する最終製品を製造し得る方法を提供することである。
【0012】
本発明によれば、主に天然繊維を備える基材層の上に、主に合成繊維または粒子、特に長合成繊維を備えるヒートシール層が成形される。
【0013】
本発明では、そのような別個のヒートシール繊維層により、層の全体の厚さをかなり薄くすることが可能であり、したがって合成材料の総量が少なくなることが見出された。一方、従来の押出コーティングまたはラミネートフィルムで得られるものよりも通常強いヒートシールと、また同じ量の合成繊維または合成粒子がベース層に均一に組み込まれている製品で得られるものよりも強いヒートシールと、で接合され得る、本発明の材料が提供される。
【0014】
本発明による方法において、層、特にヒートシール層は、ウェブ成形ステップにおいて既に基材層上にもたらされ、それにより、ヒートシール繊維層は、任意の完全に別個のプロセスステップまたはラインを必要とせずに、基材層に強く付着される。
【0015】
本発明によれば、好ましくは層の少なくとも1つ、特に少なくとも1つの基材層または少なくとも1つのヒートシール層、あるいはその両方が、発泡成形によって成形される。
【0016】
より具体的には、本発明による方法は、請求項1の特徴部分に述べられている事項を主な特徴とする。
【0017】
次に、本発明による製品は、請求項20の特徴部分に述べられている事項を特徴とする。
【0018】
本発明による使用は、請求項26に規定されている。
【0019】
本発明によって、かなりの利点が得られる。
【0020】
特に、本発明によって、包装材料として一般的に使用される紙-プラスチックラミネートと比較して、新規材料のプラスチックの割合を最大75%に大幅に低減することが可能である。これは、繊維または粒子が豊富なヒートシール層が、ウェブ成形ステップで製品の基材層にしっかりと付着する、非常に薄い構造として製造できるという事実によるものである。したがって、本発明は、リサイクルがより容易な多層材料の製造を可能にする。本発明は、製造チェーンから1つの別個の精製プロセスを取り除くので、本発明はまた、費用効果の高いヒートシール材料の製造をも可能にする。
【0021】
さらに、合成熱可塑性繊維が繊維マトリックス全体に均一に混合されている既存のプラスチック模倣製品と比較して、本発明によるヒートシールは、同じ出発材料および総量の材料を有するものより最大60%強力であることがわかった。これにより、さらに少量のプラスチック材料の使用が可能になるため、材料のリサイクルが容易になり、包装産業で本質的に重要な、強力な縫目の製造が可能になる。
【0022】
ラミネートまたは押し出しコーティング法で製造された製品と比較して、自己充足型フィルムとは異なり、ベース層に加えて繊維構造のヒートシール層も通気性のある構造として実装され得るため、製品に通気性があるという利点が得られる。
【0023】
好ましくは、ベース層およびヒートシール層の両方は、製品の乾燥物含量がまだ低い(例えば35%以下である)とき、発泡成形プロセスで成形され、互いに付着される。層のシールは、層にまたは少なくともそれらの界面ゾーンに、バインダーを加えることにより強化され得る。使用されるバインダーは、合成繊維材料の必要性がさらに減少する場合、それ自体ヒートシール可能であることが好ましい。一方、十分な圧力および温度でカレンダー処理することにより、十分に強い相互接続を確保できる。
【0024】
ヒートシール層の厚さは、通常、ベース層のうちひとつの厚さよりもかなり薄く、15g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より好ましくは5g/m2以下の坪量を有するヒートシール層である。
【0025】
ヒートシール層の絶対厚さは、好ましくは、10um以下、例えば、2~10umであり、これは、従来のヒートシール製品で得ることができるものよりも著しく小さい。
【0026】
以下において、本発明の好ましい実施形態は、添付図面に基づいてより詳細に検討される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の一実施形態による2層多層繊維製品の構造の断面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による3層多層繊維製品の構造の断面図である。
【
図1C】構造における層間結合を強化するために、ベース層とヒートシール層とが互いに部分的に混合されている、本発明の一実施形態による多層繊維製品の構造の断面図である。
【
図2】
図2A~
図2Bは、本発明の2つの実施形態による、本発明による製造方法のフローチャートである。
【
図3】実施例1に記載された強度テストの結果をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本文脈における「主にXからなる層」(または「主に~を備える」)という用語は、当該層が少なくとも50重量%の材料Xを備えることを意味する。
【0029】
「ヒートシール」という用語は、少なくとも別の類似の構造および材料を用いて、作用または熱および圧力下で恒久的なシールを成形することができる構造および材料を指す。
【0030】
「ウェブ成形プロセス」および「成形」という用語は、最終製品に含まれる原材料が水性スラッシュまたは泡の形でワイヤー上に導入される、湿式プロセスによるウェブのような繊維ベースの構造の成形を表し、それらは最終的な繊維性マトリックスを提供するために紙または板紙機械の乾燥セクションで乾燥される繊維性ウェブに形成または成形される。「発泡成形」とは、特にフィンランド国特許発明第126474号明細書に開示されている方法を意味する。
【0031】
合成繊維に使用される場合の「長」という用語は、一般に、少なくとも1mmの長さを有する繊維を意味する。
【0032】
「多層繊維製品」の「多層ウェブ」という用語は、繊維の少なくとも2つの重なり合う層によって成形されるウェブまたは繊維製品を表す。複数のそのような重なり合う層、通常2~10の、特に2つまたは3つの層が存在し得る。好ましくは、多層ウェブまたは製品の表面を成形する層の少なくとも1つは、ヒートシール層によって成形される。一実施形態では、ヒートシール層に隣接する層は、通常それ自体ではヒートシール特性を有さない基材層である。繊維層に加えて、例えば疎水性などの、予め選択された特性を層状製品に与える表面層も存在し得る。
【0033】
「平均繊維長」の「繊維長」は、長さ加重平均で表す。長さ加重平均繊維長は、個々の繊維長の二乗の合計を個々の繊維長の合計で割ったもので計算される。
【0034】
上記から明らかなように、好ましい実施形態の製造方法では、紙材料のヒートシール層が、すでに製造段階にある製品の上に運ばれ、多層製品が提供される。
そのような多層繊維製品は、通常、例えば化学パルプ、機械パルプ、半機械パルプ、再生繊維またはこれらの任意の組み合わせなどの天然繊維を主に備える、例えばベース層の第1層と、主に合成繊維、粒子、またはそれらの組み合わせを備える、ウェブ成形プロセスで第1層上に成形される第2層、すなわち、ヒートシール層と、からなる。
【0035】
一実施形態では、少なくとも2つの重なり合う層を備える多層繊維製品を製造する方法は、特に発泡成形によるウェブ成形プロセスで達成される。この実施形態では、
主に天然繊維を含む第1層が提供され、および
合成繊維または粒子を含む第2層が提供され、
第1層および第2層は重なり合う関係で配置されている。第2層は、繊維製品にヒートシールの特性を与えることができる。
【0036】
一実施形態では、
第1層は、第1組成物を有する第1スラッシュからウェブに成形され、および
第2層は、第2組成物を有する第2スラッシュから、第1層によって成形されたウェブ上に施され、多層ウェブを成形する。
【0037】
第1および第2組成物は、例えば、繊維、ポリマー、添加剤および水から選択される少なくとも1つの成分の含有量に関して、互いに異なる。組成物の少なくとも一方、特には両方が、発泡剤を含むことが好ましい。
【0038】
一実施形態では、第1層および第2層は、多層ヘッドボックスを使用する発泡成形プロセスで成形され、共に結合される。
【0039】
一実施形態によれば、本発明の多層繊維製品は、少なくともベース層の製造のために、また好ましくはヒートシール層の製造および層の相互接続のために、発泡成形技術を使用して製造される。一般に、この技術は、文献フィンランド国特許発明第126474号明細書およびフィンランド国特許発明第126092号明細書に記載されている。発泡成形により、長合成繊維を薄層でも均等に分布させることができるため、高品質の最終製品を得ることができる。
【0040】
一実施形態では、本発明の多層製品の発泡成形は、泡流が層状または部分的に供給される単一の成形ユニットを使用して実行される。
【0041】
成形ユニットは水平または垂直にすることができる。たとえば、2層ウェブでは、1つの泡流がベースウェブを成形する。その流の乾燥物は主に天然繊維を備える。シーリング層を成形する他の成形層は、主に熱可塑性繊維を備える。
【0042】
一般的に、発泡成形により、完成紙料の稠度の高さ(スラッシュの乾燥物含有量の高さ)を維持することができる。通常、本技術では、ヘッドボックス内の稠度は、0.1重量%より大きく、特に0.5重量%より大きく、最大約3重量%である。
【0043】
好ましい実施形態において、出発材料の一部は、最初に、第1水相と、天然繊維を主に備える第1繊維相と、を備える、水を含む平面ベースウェブに成形される。特に、ウェブは、以下で説明するように、泡または水の発泡性液体および少なくとも1つの発泡剤に繊維を分散させることにより、発泡成形によって成形される。ヒートシール層は、部分ウェブまたは分散液として、特に、合成繊維および第2繊維相の任意の粒子が第1繊維相の天然繊維間に少なくとも部分的に浸透することを可能にすることによって、第2水相および主に合成繊維を備える第2繊維または粒子またはそれらの組み合わせを備える発泡部分ウェブまたは発泡分散液として、ベースウェブに取り付けられる。
【0044】
得られた湿式多層ウェブを乾燥して水を除去し、それにより天然繊維と合成繊維とが共に層状繊維マトリックスを成形する。同様に、1つ以上のバインダーを第1および/または第2の水相に、またはウェブ全体に塗布することができ、それによってバインダーも所望の層に浸透する。好ましくは、バインダーは、ヒートシール層の繊維および粒子と適合するように選択される。
【0045】
一般に、泡の流の速度とワイヤーの速度との比(可能な場合、既に第1スラッシュの第1層が堆積されている可能性がある)は、0.1~2.5の範囲である。
【0046】
一実施形態では、比は1に等しくない。その実施形態では、層間結合の発達を可能にするために、ワイヤー上で層が混合されている。
【0047】
一実施形態では、この比は1より大きく、最大2.5である。
【0048】
一実施形態では、発泡成形は、通常0.1~15重量%、例えば0.5~10重量%の少なくとも1つの発泡剤を備える繊維泡を得るために、泡または水の発泡性液体および少なくとも1つの発泡剤に繊維を分散させることにより、発泡分散液を成形することを含む。このようにして成形された繊維発泡体は、次いで、ワイヤーなどの有孔支持体に運ばれ、液体が有孔支持体を通して排出されてシートを成形する。
【0049】
泡を製造するための発泡剤は、泡の成形を可能にする界面活性剤から選択される。したがって、通常、発泡剤は、水溶性発泡ポリマー剤および水分散性発泡ポリマー剤ならびにそれらの組み合わせから選択される。発泡剤は、水溶性グリカン、水分散性グリカン、水溶性親水性ポリマーおよび水分散性親水性ポリマーならびにそれらの組み合わせから選択することができる。好ましくは、水溶性グリカンおよび水分散性グリカンは、多糖およびその誘導体から選択される。水溶性親水性ポリマーおよび水分散性親水性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(酢酸ビニル)ならびにそれらのコポリマーから選択することもできる。
【0050】
一実施形態では、繊維が水素結合を成形しない場合、発泡化学物質はバインダーとしても機能する。
【0051】
一実施形態では、第1ヘッドボックスからの第1スラッシュから成形された層を最初に乾燥して、第2層が堆積される前に、まだ濡れている第1層の上の第2ヘッドボックスから水の一部、通常は主要部分を除去することが可能であり、特に別個のヘッドボックスを使用して実施されることが可能である。したがって、一実施形態では、
第1層は、第1固形分を有するウェブに成形され、
ウェブは、ウェブの固形分を増加させて第2固形分(第2の乾燥物含有量)を有する改質ウェブを提供するために、乾燥され、
第2層は、改質ウェブ上に施される。
【0052】
同様に、特に個別のヘッドボックスを使用する場合、
第1層は、第1固形分を有するウェブに成形され、
ウェブは、ウェブの固形分を増加させて第2固形分(第2の乾燥物含有量)を有する改質ウェブを提供するために、プレスセクションでのプレス、シリンダーセクションでのシリンダー乾燥またはそれらの組み合わせを施され、
第2層は、改質ウェブ上に施される。
【0053】
第1層は、最初に、ウェブ成形に使用される第1水組成物のような高い含水率を有し、より高い固形分(乾燥物含有量)へと乾燥されて、第2水組成物が堆積される前に改質ウェブを成形する。例えば、第1層は、15~35重量%、特に20~35重量%の第2固形分含有量へと乾燥されて、第2層をウェブ上に施す前に改質ウェブを成形する。
【0054】
一実施形態では、ウェブ、特に多層ウェブの乾燥は、非接触乾燥によって行われる。
【0055】
乾燥は、例えば、真空乾燥、熱風乾燥、通風乾燥、遠赤外線乾燥、シリンダー乾燥およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの方法によって行われる。
【0056】
乾燥は、通常、20重量%未満、通常15重量%未満、特に10重量%未満の最終水分含有量に達するまで行われる。
【0057】
一実施形態では、層の粒子(繊維を含む)は、ワイヤーの細孔サイズよりも大きいサイズを有する。これは、ウェブからの水の除去を促進するための真空の使用を可能にする。
【0058】
バインダーの塗布は、部分ウェブまたは多層ウェブ上に、すなわち、ベース層ウェブおよびヒートシール層のウェブ上で別々に、これらを一緒に結合する前に、または結合後にのみ行うことができる。構造は、ウェブを共に接合する前に、層の界面で、一方または両方の部分ウェブ上、通常はそれらの接触面上に、バインダーを塗布することによって強化できる。
【0059】
一実施形態では、ベース層とヒートシール層との両方が同じ熱可塑性バインダーを備え、適切には層の上または中に均一に広げられる。
【0060】
本明細書で分解される製品の疎水性は、さらに改善され得る。このように、一実施形態では、ベース層のヒートシール層の反対側の表面に、疎水性を有する層が配置される。一例は表面ラッカー層である。
【0061】
アルキレンケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、バインダーなどの疎水性剤を、架橋結合剤と組み合わせて使用することにより、多層製品の表層に疎水性特性を付与できる。
【0062】
層の繊維状および粒子状材料に関して、以下が挙げられ得る。
【0063】
本文脈において、特に、天然繊維は、例えば化学的パルプ化または半化学的パルプ化または解繊を使用することによって、セルロースまたはリグノセルロース原料から供給される。繊維は、機械パルプ繊維または再生繊維でもあり得る。特に、天然繊維は、文献フィンランド国特許発明第126474号明細書でより正確に説明されている天然繊維およびそれらの混合物を指す。
【0064】
セルロースまたはリグノセルロース繊維の原料としては、一年草や多年生植物などの木質材料や植物性材料を使用することができる。特に落葉樹材(例えば、カンバ、ヤマナラシ、ポプラ、ハンノキ、ユーカリまたは混合熱帯広葉樹から得られる)または、特に針葉樹材が原料として使用される。後者の例には、トウヒまたはマツから得られる木材が含まれる。
【0065】
セルロースまたはリグノセルロース繊維は精製することができる。
【0066】
一実施形態では、非精製セルロースまたはリグノセルロース繊維、特にセルロース繊維が使用される。
【0067】
一実施形態では、ベース層(基板層)は主に天然繊維からなる。一実施形態では、ベース層(基板層)は、ベース層(基板層)の繊維の総重量から計算して、50重量%を超え最大100重量%の天然繊維を備える。
【0068】
一実施形態では、ベース層(基材層)は、1~49重量%、通常約1~30重量%、例えば約1~20重量%の他の繊維、特に合成繊維を備え得る。
【0069】
さらなる成分、例えばバインダーまたは他の添加剤、および製品または製造プロセスに必要とされる可能性のある他の成分をも、組み込むことができる。このような成分の量は、一般に、層の100重量部あたり約0.1~30重量部である。
【0070】
バインダーの例には、デンプンおよび化工デンプンおよびデンプン誘導体などの天然バインダーおよび生体高分子、キトサン、アルギン酸塩、ならびに酢酸ビニルおよびビニルアクリレートラテックスおよびポリウレタンおよびSB-ラテックスなどの合成バインダー、ならびにそれらの混合物および様々なコポリマー、特に合成バインダーポリマーのコポリマーが含まれる。
【0071】
ヒートシール層は、ポリラクチド(PLA)、グリコール酸ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはバイコンポーネント(bico)繊維または粒子などの、熱可塑性繊維および/または粒子を最大100重量%、たとえば50~100重量%、たとえば51~99重量%含み得る。特に、材料は、PLA、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはバイコンポーネント繊維であり得る。また、ポリブチレンサクシネート(PBS)などの他の生体高分子も、これらの合成繊維または合成粒子となり得るな高分子である。好ましい例の一つは、PLA-PBS多層合成繊維または粒子である。特に熱可塑性繊維は、生分解性熱可塑性繊維であり得る。
【0072】
ヒートシール層の原料として、例えば最大約50重量%、例えば約0.1から、約50重量%未満(例えば1~49重量%)、長強化繊維、特にビスコース、または天然繊維などの他の繊維、または熱可塑性合成繊維以外のものも使用できる。したがって、例えば、上記の種類の(および精製された、または好ましくは未精製の)セルロースまたはリグノセルロース繊維を、ヒートシール層に組み込むことができる。通常、そのような繊維の量は、最大40重量%、特に約5~30重量%である。
【0073】
ヒートシール層の合成繊維は、例えば、10dtex以下、好ましくは5dtex以下、例えば1~5dtexの繊度を有し得る。長繊維の平均長さは、例えば、1~50mm、好ましくは1~20mm、例えば3~12mmであり得る。使用に適した一般的なPLA繊維の長さ質量は1.7dtexで、長さは6~12mmである。
【0074】
製品または製造プロセスに必要なバインダーおよび/または他の添加剤も組み込まれ得る。このような成分の量は、一般に、層100重量部あたり約0.1~30重量部である。
【0075】
バインダーの例には、デンプンおよび化工デンプンおよびデンプン誘導体、キトサン、アルギン酸塩などの天然バインダーおよび生体高分子、酢酸ビニルおよびビニルアクリレートラテックスおよびポリウレタンおよびSB-ラテックスなどの合成バインダー、ならびにそれらの混合物および特に合成バインダーポリマーのコポリマーなどの様々なコポリマーが含まれる。一実施形態では、ヒートシールが可能なバインダーが使用される。一実施形態では、ポリウレタンなどの弾性の特性をヒートシール層に与えることができるバインダーが使用される。
【0076】
層の相互接続は、例えば、少なくとも90℃の温度、好ましくは130℃を超える温度で多層ウェブをカレンダー加工することにより、熱によっても実施することができ、またはそれによって改善することもできる。
【0077】
一実施形態では、第1層の水性組成物(「第1スラッシュ」)は、天然繊維、必要に応じて合成繊維および/または粒子に加えて、固形分から計算して0.1~15重量%、界面活性剤、結合剤およびそれらの組み合わせから選択される添加剤をも含む。
【0078】
一実施形態では、第2層の水性組成物(「第2スラッシュ」)は、合成繊維および/または粒子、および必要に応じて天然繊維などの他の繊維に加えて、固形分から計算して0.1~15重量%の含有量、界面活性剤、結合剤およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を含む。
【0079】
上記から明らかなように、好ましい一実施形態では、第1層は「非ヒートシール」であり、すなわち、別の同様の層に対してヒートシールすることができず、一方、第2層は別の層に対してヒートシールすることができる。
【0080】
次に、様々な実施形態をより詳細に示す図面を見ると、
図1Aは、ベース層12(「基板層」とも呼ばれ得る)およびベース層の第1表面上に配置されたヒートシール層14を有する基本構造を示すことが挙げられる。
図1Bは、ベース層の反対側の第2表面上にも機能表面層16が配置されている実施形態を示す。この第2表面層16は、例えば、ヒートシールおよび改善された防湿性の両方の特性を最終製品に提供するために、疎水性層であり得る。
【0081】
一般に、ヒートシール層14は、ベース層12よりも薄い。通常、その坪量は10g/m2以下、好ましくは1~5g/m2、たとえば2~4g/m2であり、ベース層の坪量は20~100g/m2、たとえば30~70g/m2、特に20~60g/m2または20~40g/m2である。一実施形態では、70g/m2の多層製品(シートまたはウェブ)が、60g/m2の繊維質ベース層と重なり合う10g/m2のヒートシール層を有するように製造された。別の実施形態では、ベース層の坪量が30g/m2、ヒートシール層の坪量が3g/m2の多層製品を製造した。
【0082】
上述のように、ベース層は、50~100重量%、例えば51~99重量%の天然繊維、通常はセルロースまたはリグノセルロース繊維、を含み得る。
【0083】
一実施形態では、図面に示される多層構造は、発泡成形用に構成された多層ヘッドボックスを使用することにより、紙または板紙機械によって製造される。
【0084】
図2Aを参照すると、一実施形態によれば、ベース層を成形する部分ウェブおよびヒートシール層を成形する部分ウェブは、発泡成形プロセスのステップ21Aおよび21Bで、抄紙機の多層ヘッドボックスを使用して異なる質量から成形され、その後、ステップ22で部分ウェブから多層ウェブが成形されることが挙げられる。
【0085】
多層繊維製品を調製するために、多層ウェブはステップ23でさらに乾燥される。必要に応じて、ステップ21Aおよび21Bにおいて、バインダーを部分ウェブに塗布することができる。さらに、または必要に応じて、バインダーを多層ウェブに塗布することもできる。多層ウェブは、層の相互接続を改善するためにカレンダー加工することもできる。
【0086】
図2Bを参照すると、一実施形態によれば、ベース層を成形するベースウェブは、発泡成形によってステップ26で成形され、その後、多層ウェブを製造するために、ウェブ成形段階中において、ステップ28で、ベース層を成形するウェブの表面に熱可塑性合成繊維または粒子が塗布される。この前に、ステップ27でベースウェブにバインダーを塗布することもできる。最後に、多層繊維製品を製造するために、ステップ29で多層ウェブを乾燥させる。
【0087】
必要な層強度を達成するために、特にウェブ成形に関連して実施される発泡成形により、異なる層間の混合を調整することが可能である。
【0088】
図1Cに図示された一実施形態によれば、ベース層12Cおよびヒートシール層14Cの繊維は、層の界面が「滑り」になるように、層の界面ゾーンで混合される。インターフェースゾーン13Cの厚さは、例えば、ヒートシール層14Cの厚さの5~50%、例えば、0.5~3umであり得る。混合により接着力が強化され、製品全体、特に製品から生成されるヒートシームが強化される。また、製品の他の層の境界面に対応した混合をすることもできる。必要に応じて、多層構造は、層が互いに実質的に混合されないように、発泡成形によって製造することもできる。
【0089】
ベース層12、12Cは、このユニットで参照されるが、一般に、ベース層もまたいくつかの副層を含み得る。一実施形態によれば、ヒートシール層と同様に、ベース層12、12Cは、しかしながら実質的に単一の層を備え、均質な繊維組成物を有する。
【実施例1】
【0090】
(例1 ヒートシール性に対する層構造の影響)
シート型を使用して、100%セルロース繊維からなるワイヤー側部上の第1層と、セルロース繊維とポリアクチド(PLA)繊維との混合物からなる隣接層、つまりヒートシール層と、を備えたシートを製造した。第1の、非ヒートシール層の側部のシートにバインダーを塗布した。層は、ワンニップと10バールの圧力とを使用して、90℃の温度でカレンダー加工された。
【0091】
シートは、800Nの力、210℃の温度、0.5秒のヒートシール時間で継ぎ合わせた。縫目の強度は、幅50mmのサンプルストリップを使用した水平牽引装置で測定した。ストリップは、縫目が縦方向に向くように、シートから横方向に切り取られた。ペーパーストリップの引抜速度は20mm/分であり、引抜ギャップは100mmであった。各サンプルで3~4の並行測定を実施した。
【0092】
サンプル(1a、2a、3a、4)と参照サンプル(1b、2b、3b)で同じ総量の材料が使用されたが、しかしながらサンプルでは、合成繊維はセルロース繊維の量の一部にのみ混合されていた。このようにして、上記の物に、より類似した層構造が生成された。参照サンプルでは、合成繊維がセルロース繊維の全量と均一に混合された。
【0093】
【0094】
【0095】
サンプル(1a、2a、3a、4)および参照サンプル(1b、2b、3b)の結果からそれぞれわかるように、合成繊維をシートの片側に積層すると、PLA繊維がシートの構造全体に均等に分散された状況と比較して、縫目強度が少なくとも60%増加した。
【0096】
サンプル4は、天然繊維のベース層の上にある薄い(5g/m2)ヒートシール層でさえ、強い縫目を生成することを示している。したがって、実際の用途に十分な現在のシール強度は、合成ポリマーを繊維製品全体に均一に混合する場合よりも著しく少ない量の合成ポリマーを使用して、上記の構造で達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明による製品は、例えば、少なくとも1つのヒートシールされた縫目を有する、ヒートシール包装ブランクまたはバッグまたはボウのような包装として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【文献】フィンランド国特許発明第126474号明細書(FI 126474 B)
【文献】フィンランド国特許発明第126092号明細書(FI 126092 B)
【文献】フィンランド国特許第63806号明細書(FI 63806)
【文献】欧州特許第195458号明細書(EP 0 195 458 B1)