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特許7472031センサ素子および製造方法、並びに電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】センサ素子および製造方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240415BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240415BHJP
   G02B 1/02 20060101ALN20240415BHJP
   G02B 3/08 20060101ALN20240415BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
G02B1/02
G02B3/08
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020553141
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2019040172
(87)【国際公開番号】W WO2020085115
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2018202191
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】田舎中 博士
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-232392(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
G02B 1/02
G02B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、
前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造
を備え、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する
センサ素子。
【請求項2】
前記画素内に設けられた複数の前記溝は、断面視で、前記画素の中心部を基準とした前記垂直な方向に対して線対称に、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とが設けられる
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項3】
前記画素内に設けられた個々の前記溝は、断面視で、前記溝の底部を基準とした前記垂直な方向に対して非対称に、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とが設けられる
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項4】
前記溝は、断面視で、前記第1の溝側面の長さと前記第2の溝側面の長さとが異なる
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項5】
記集光構造として、前記第1の溝側面である垂直面と、前記画素の中央から外側に向かうに従い凹部が深くなるように傾斜する傾斜面である前記第2の溝側面とによる凹凸形状が、複数、前記画素の中央を対称に設けられる
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項6】
前記凹凸形状の高さは、複数の前記溝について略均一に形成される
請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項7】
前記凹凸形状の高さは、複数の前記溝について、前記画素の中央から外側に向かうに従って大きくなるように形成される
請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項8】
前記半導体基板の受光面の前記集光構造の凹凸形状に沿うように成膜される反射防止膜と、
前記反射防止膜に対して成膜され、前記集光構造の凹部を埋め込むように形成される保護膜と
をさらに備える請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項9】
前記半導体基板において、隣接する前記画素どうしを分離する素子分離部が形成されている
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項10】
前記画素ごとに、それぞれの画素が受光する色の光を透過するカラーフィルタと、
前記画素ごとに、それぞれの画素が受光する光を集光するオンチップレンズと
をさらに備える請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項11】
前記集光構造は、平面的に見て直線形状に形成される
請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項12】
前記集光構造は、平面的に見て正方形型に形成される
請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項13】
前記集光構造は、平面的に見て丸型に形成される
請求項5に記載のセンサ素子。
【請求項14】
前記集光構造が、像高に応じて瞳補正された形状に形成される
請求項13に記載のセンサ素子。
【請求項15】
前記溝が、前記半導体基板を異方性エッチングすることにより形成されている
請求項1に記載のセンサ素子。
【請求項16】
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、
前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造
を備えるセンサ素子を製造する製造装置が、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有するように形成すること
を含む製造方法。
【請求項17】
前記溝は、前記半導体基板を異方性エッチングすることにより形成される
請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記溝は、ナノインプリントにより作成されたレジストを前記半導体基板に転写することにより形成される
請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、
前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造
を備え、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する
センサ素子を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ素子および製造方法、並びに電子機器に関し、特に、光を受光する特性の改善を図ることができるようにしたセンサ素子および製造方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像機能を備えた電子機器においては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子が使用されている。例えば、固体撮像素子は、被写体からの光を受光する受光面に複数の画素がアレイ状に配置されて構成されており、光を良好に受光することができるように、画素ごとの光の集光を改善したり、受光面における反射を防止したりすることが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、赤外光検出部の画素の中央部を中心にして、この中心部から周辺にかけ、曲率半径を段ごとに次第に変化させて、中央部への集光を可能にした集光レンズを形成した構造の固体撮像素子が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の画素ごとに光電変換部が形成される半導体基板と、その半導体基板に光が入射する光入射面側に設けられ、高さの異なる複数種類の突起部が形成された構造である反射防止構造とを備えた構造の固体撮像素子が開示されている。この固体撮像素子は、それぞれ異なる加工条件より複数段階に分けて半導体基板の光入射面を掘り込む加工を行うことにより反射防止構造が形成される。そして、反射防止構造は、所定の高さの第1の突起部の間に、第1の突起部よりも高さの低い第2の突起部が形成された構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-145861号公報
【文献】特開2015-220313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1および2で開示されている固体撮像素子は、光が左右に散乱して隣接画素の混色が悪化することが懸念され、赤外線などの単色光の撮影での用途しかないと想定される。特に、特許文献2に開示されている固体撮像素子の構造では、フレネルレンズのような集光を実現することが想定されておらず、画素ごとのオンチップレンズで光を集光するため、低背化および感度向上を実現することは困難であった。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光を受光する特性の改善を図ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面のセンサ素子は、光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造とを備え、前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する。
【0009】
本開示の一側面の製造方法は、光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造とを備えるセンサ素子を製造する製造装置が、前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有するように形成することを含む。
【0010】
本開示の一側面の電子機器は、光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、前記画素の前記第1の面に前記画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの前記画素の中心に向かって光を集光する集光構造とを備え、前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有するセンサ素子を備える。
【0011】
本開示の一側面においては、画素の第1の面に画素ごとに設けられた複数の溝によって、それぞれの画素の中心に向かって光を集光する集光構造が構成され、溝は、断面視で、半導体基板の第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本技術を適用した画素の第1の実施の形態の構成例を示す図である。
図2図1の画素のフレネル構造を拡大して示す図である。
図3図1の画素を有する撮像素子の第1の構成例を示す図である。
図4】本技術を適用した画素の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
図5図4の画素のフレネル構造を拡大して示す図である。
図6図4の画素を有する撮像素子の第2の構成例を示す図である。
図7】撮像素子の第3の構成例を示す図である。
図8】撮像素子の第4の構成例を示す図である。
図9】集光する光の色に応じたフレネル構造の一例を示す図である。
図10】撮像素子の第5の構成例を示す図である。
図11図10の撮像素子の画素の構造を示す図である。
図12図11の画素の変形例を示す図である。
図13】直線形状に形成された集光構造の平面的なレイアウト例を示す図である。
図14】正方形型に形成された集光構造の平面的なレイアウト例を示す図である。
図15】丸型に形成された集光構造の平面的なレイアウト例を示す図である。
図16】丸型に形成された集光構造に、瞳補正を適用した構成の平面的なレイアウト例を示す図である。
図17】集光構造の瞳補正について説明する図である。
図18】瞳補正を適用した集光構造の平面的なレイアウト例を示す図である。
図19】集光構造および反射集光構造の瞳補正について説明する図である。
図20】画素の第1の製造方法について説明する図である。
図21】画素の第1の製造方法について説明する図である。
図22】画素の第1の製造方法について説明する図である。
図23】画素の第2の製造方法について説明する図である。
図24】撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図25】イメージセンサを使用する使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<画素の第1の構成例>
図1は、本技術を適用した画素の第1の実施の形態の構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、画素11は、半導体基板21、反射防止膜22、および保護膜23が積層されて構成され、半導体基板21の表面に集光構造24が形成されている。
【0016】
半導体基板21には、画素11に照射される光を受光して光電変換を行う光電変換部(図示せず)が形成される。
【0017】
反射防止膜22は、半導体基板21の表面に対して成膜され、半導体基板21に照射される光の反射を防止する。例えば、反射防止膜22は、固定電荷膜および酸化膜が積層された積層構造が、集光構造24の形状に沿うように形成される。また、反射防止膜22として、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法による高誘電率(High-k)の絶縁薄膜を用いることができる。具体的には、反射防止膜22として、酸化ハフニウム(HfO2)や、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、STO(Strontium Titan Oxide)などを用いることができる。そして、反射防止膜22として、例えば、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、および酸化シリコン膜の積層構造を用いることが好適である。
【0018】
保護膜23は、反射防止膜22に対して成膜され、集光構造24を保護する。例えば、保護膜23は、透明な無機材料または有機材料によって、集光構造24の凹部を埋め込んで、その表面を平坦化するように形成される。
【0019】
集光構造24は、半導体基板21の表面形状が、画素11の中央から外側に向かうに従い凹部が深くなるような傾斜が、複数、画素11の中央を対称として形成された凹凸形状からなり、半導体基板21に入射する光を画素11の中央に向かって集光する。即ち、集光構造24の凹凸形状は、画素11の中央に向かって光を集光するように傾斜面および垂直面からなる凹部が複数形成されている。以下、集光構造24のように、光を集光する機能を備えた凹凸形状をフレネル形状とも称する。
【0020】
即ち、図2に示すように、集光構造24は、断面視で、半導体基板21の受光面に対して反対側を向く面(図3の配線層25が積層される面)に対して垂直な方向に沿って設けられた垂直面(第1の溝側面)と、垂直な方向とは異なる方向に設けられた傾斜面(第2の溝側面)とを有する複数の溝により構成される。ここで、半導体基板21の受光面に対して反対側を向く面に対して垂直な方向とは、図示する垂直面に沿った方向である。
【0021】
例えば、画素11内において、集光構造24を構成する複数の溝は、断面視で、画素11の中心部を基準とした垂直な方向に対して線対称となるように、垂直面と傾斜面とが設けられる。また、画素11内において、集光構造24を構成する個々の溝は、断面視で、それぞれの溝の底部を基準とした垂直な方向に対して非対称となるように、垂直面と傾斜面とが設けられる。また、垂直面と傾斜面とは、断面視で、それぞれ長さが異なっている。
【0022】
さらに、集光構造24は、フレネル形状の高さが均一で、かつ、フレネル形状の幅が均等に、または、外側に向かうに従い小さくなるように形成される。
【0023】
即ち、図2に示すように、集光構造24は、フレネル形状の凹部から凸部までの高さhが、製造誤差の範囲内で、均一となるように形成される。例えば、集光構造24は、5個の凹凸形状からなる構成では、フレネル形状の高さh0乃至h4の全てが均一となっている。例えば、集光構造24は、n個の凹凸形状からなる構成において、フレネル形状の高さh0乃至hnが、h0=h1=h2=h3=h4=・・・=hnの関係となるように形成される。
【0024】
また、図2に示すように、集光構造24は、フレネル形状の凹部から凸部までの幅dが、製造誤差の範囲内で、均等となるように形成される。例えば、集光構造24は、5個の凹凸形状からなる構成では、フレネル形状の幅d0乃至d4の全てが均等となっている。即ち、集光構造24は、n個の凹凸形状からなる構成において、フレネル形状の幅d0乃至dnが、d0=d1=d2=d3=d4=・・・=dnの関係となるように形成される。
【0025】
このように集光構造24を形成することによって、半導体基板21に入射する光を画素11の中央に向かって集光することができる。従って、図1の白抜きの矢印で示すように、半導体基板21に入射する光が画素11の中央に向かって屈折して、画素11の中央に向かって集光することができる。
【0026】
なお、集光構造24は、フレネル形状の高さhが均一となるように形成され、かつ、フレネル形状の幅dが画素11の中央から外側に向かうに従って小さく(即ち、d0≧d1≧d2≧d3≧d4≧・・・≧dn)なるように形成してもよい。このような集光構造24によって、半導体基板21に入射する光を、外側になるほど画素11の中央に向かって大きく屈折させ、画素11の中央に向かって効果的に集光することができる。
【0027】
<撮像素子の第1の構成例>
図3には、複数の画素が配置されて構成される撮像素子の第1の構成例が示されている。
【0028】
図3に示すように、撮像素子31は、パッケージ32の内部に収納されており、パッケージ32の開口部分は透明ガラス33により封止されている。
【0029】
撮像素子31は、半導体基板21の受光面に対して反対側の面に、画素11を駆動するための駆動信号を伝送する配線や画素11から出力される画素信号を伝送する配線などが形成される配線層25が積層された構造となっている。また、図3に示す構成例の撮像素子31では、保護膜23の表面が平坦に形成されている。
【0030】
さらに、撮像素子31は、半導体基板21において隣接する画素11どうしを分離するために、半導体基板21を彫り込んで形成されるトレンチに遮光性を有する材料が埋め込まれた素子分離部26が設けられる構造となっている。例えば、素子分離部26は、半導体基板21が光を受光する受光面側から設けられたトレンチ、または、その受光面に対して反対となる面(即ち、配線層25が積層される面)側から設けられたトレンチにより構成される。
【0031】
素子分離部26には、誘電体材料が埋め込まれ、または、誘電体材料と遮光膜とが埋め込まれる。この誘電体は、シリコン酸化物や、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化物、シリコン窒化膜などの材料により構成することができる。
【0032】
また、遮光膜は、例えば、特定の金属、金属合金、金属窒化物、または、金属シリサイドを含む材料により構成することができる。具体的には、遮光膜は、W(タングステン)や、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、Ir(イリジウム)、白金イリジウム、TiN(チタンナイトライド)、タングステンシリコン化合物などにより構成される。なお、これら以外の材料により素子分離部26を構成してもよく、例えば、金属以外の遮光性を有する物質を用いることができる。
【0033】
撮像素子31は、それぞれの画素11に集光構造24が設けられる構造によって、より安価に撮像素子31を製造することができる。
【0034】
以上のように構成される撮像素子31は、半導体基板21の受光面に集光構造24を設けることによって、画素11の中央に光を集光して光電変換効率を向上させ、画素11ごとの光を受光する特性の改善を図ることができる。
【0035】
また、撮像素子31は、集光構造24によって、画素11に照射される光が左右に散乱することを防止することができ、例えば、隣接する画素11への混色を軽減させることができる。そして、半導体基板21の受光面に集光構造24を設ける構造によって、撮像素子31の低背化および感度向上を図るとともに、低コスト化を実現することができる。
【0036】
<画素の第2の構成例>
図4は、本技術を適用した画素の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【0037】
図4に示すように、画素11Aは、図1の画素11と同様に、半導体基板21、反射防止膜22、および保護膜23が積層されて構成される。そして、画素11Aは、集光構造24Aの形状が、図1の画素11の集光構造24と異なる形状となっている。
【0038】
即ち、集光構造24Aは、フレネル形状の凹部から凸部までの高さhが、画素11Aの中央から外側に向かうに従って大きくなるように形成される。
【0039】
例えば、図5に示すように、集光構造24Aは、5個の凹凸形状からなる構成では、画素11Aの中央から1番目のフレネル形状の高さh0が最も小さく、画素11Aの中央から2番目のフレネル形状の高さh1は高さh0よりも大きくなる。以下同様に、画素11Aの中央から5番目のフレネル形状の高さh4が最も大きくなる。即ち、集光構造24Aは、n個の凹凸形状からなる構成において、フレネル形状の高さh0乃至hnが、h0≦h1≦h2≦h3≦h4≦・・・≦hnの関係となるように形成される。
【0040】
また、図5に示すように、集光構造24Aは、フレネル形状の凹部から凸部までの幅dが、画素11Aの中央から外側に向かうに従って均等または小さくなるように形成される。例えば、集光構造24Aは、5個の凹凸形状からなる構成では、画素11Aの中央から1番目のフレネル形状の幅d0が最も大きく、画素11Aの中央から2番目のフレネル形状の幅d1は幅d0よりも小さくなる。以下同様に、画素11Aの中央から5番目のフレネル形状の幅d4が最も小さくなる。即ち、集光構造24Aは、n個の凹凸形状からなる構成において、フレネル形状の幅d0乃至dnが、d0≧d1≧d2≧d3≧d4≧・・・≧dnの関係となるように形成される。
【0041】
このように集光構造24Aを形成することによって、画素11Aの中心付近では光の屈折を小さくし、画素11Aの外側に向かうに従って屈折を大きくすることができる。従って、図4の白抜きの矢印で示すように、半導体基板21に入射する光を、外側になるほど画素11Aの中央に向かって大きく屈折させ、画素11Aの中央に向かって効果的に集光することができる。
【0042】
なお、集光構造24Aは、フレネル形状の高さhが画素11Aの中央から外側に向かうに従って大きくなるように形成されていて、かつ、フレネル形状の幅dを、製造誤差の範囲内で、均等(即ち、d0=d1=d2=d3=d4=・・・=dn)に形成してもよい。このような集光構造24Aによっても、半導体基板21に入射する光を画素11Aの中央に向かって集光することができ、画素11Aの感度を向上させることができる。
【0043】
<撮像素子の第2の構成例>
図6には、複数の画素が配置されて構成される撮像素子の第2の構成例が示されている。
【0044】
図6に示すように、撮像素子31Aは、図3の撮像素子31と同様に、半導体基板21に配線層25が積層され、保護膜23の表面が平坦に形成されている。また、撮像素子31Aにおいても、半導体基板21において隣接する画素11Aどうしを分離する素子分離部26が形成されている。
【0045】
そして、撮像素子31Aでは、画素11Aごとに、図4および図5を参照して説明したような集光構造24Aが、半導体基板21の表面に形成されている。
【0046】
なお、図示しないが、撮像素子31Aも、図3の撮像素子31と同様に、パッケージ32の内部に収納され、パッケージ32の開口部分は透明ガラス33により封止される。
【0047】
以上のように構成される撮像素子31Aは、図3の撮像素子31と同様に、画素11Aごとの光を受光する特性の改善を図ることができる。
【0048】
<撮像素子の第3の構成例>
図7には、複数の画素が配置されて構成される撮像素子の第3の構成例が示されている。
【0049】
図7に示すように、撮像素子31Bは、図3の撮像素子31と同様に、半導体基板21に配線層25が積層され、半導体基板21において隣接する画素11Bどうしを分離する素子分離部26が形成されている。また、撮像素子31Bでは、画素11Bごとに、図6の撮像素子31Aの集光構造24Aと同様の形状の集光構造24Bが、半導体基板21の表面に形成されている。
【0050】
そして、撮像素子31Bは、半導体基板21の受光面側に、反射防止膜22を介して、カラーフィルタ27およびオンチップレンズ28が積層されて構成されている。
【0051】
カラーフィルタ27は、画素11Bごとに、それぞれの画素11Bが受光する色の光を透過する。例えば、図7に示す構成例では、カラーフィルタ27-1は赤色(R)の光を透過し、カラーフィルタ27-2は緑色(G)の光を透過し、カラーフィルタ27-3は青色(B)の光を透過し、カラーフィルタ27-4は赤色(R)の光を透過する。なお、このような構成の他、例えば、近赤外光を透過するフィルタや、透明のフィルタ、他の色を透過するカラーフィルタを用いる構成としてもよい。
【0052】
オンチップレンズ28は、画素11Bごとに、それぞれの画素11Bが受光する光を集光する。
【0053】
なお、図示しないが、撮像素子31Bも、図3の撮像素子31と同様に、パッケージ32の内部に収納され、パッケージ32の開口部分は透明ガラス33により封止される。
【0054】
以上のように構成される撮像素子31Bは、図3の撮像素子31と同様に、画素11Bごとの光を受光する特性の改善を図ることができる。さらに、撮像素子31Bは、光の混色を低減することで、上述した特許文献1に開示されている固体撮像素子と異なって、赤外線などの単色光だけではなく、他の波長を含めたカラー画像の撮像を行うことができる。
【0055】
<撮像素子の第4の構成例>
図8には、複数の画素が配置されて構成される撮像素子の第4の構成例が示されている。
【0056】
図8に示すように、撮像素子31Cは、図7の撮像素子31Bと同様に、半導体基板21に配線層25が積層され、半導体基板21の受光面側に、反射防止膜22を介して、カラーフィルタ27およびオンチップレンズ28が積層されて構成されている。また、撮像素子31Cにおいても、半導体基板21において隣接する画素11Cどうしを分離する素子分離部26が形成されている。
【0057】
そして、撮像素子31Cは、画素11Cごとに、それぞれのカラーフィルタ27が透過する光の色(波長)に応じて、集光構造24Cの形状が異なるように構成されている。
【0058】
例えば、図9に示すように、波長が長い赤色の光を透過するカラーフィルタ27-1が配置される画素11C-1は、半導体基板21の奥深い領域で光が集光されるように、フレネル形状の凹部が浅く、傾斜が緩い角度となる形状で集光構造24C-1が形成される。
【0059】
また、波長が短い青色の光を透過するカラーフィルタ27-3が配置される画素11C-3は、半導体基板21の浅い領域で光が集光されるように、フレネル形状の凹部が深く、傾斜が急峻な角度となる形状で集光構造24C-3が形成される。
【0060】
また、赤色より波長が短く、かつ、青色より波長が長い緑色の光を透過するカラーフィルタ27-2が配置される画素11C-2は、集光構造24C-1と集光構造24C-3との中間の領域で光が集光されるように、フレネル形状の凹部および傾斜の角度が、それらの中間となる形状で集光構造24C-2が形成される。
【0061】
このように構成される撮像素子31Cは、図3の撮像素子31と同様に、画素11Cごとに、光を受光する特性の改善を図ることができる。そして、撮像素子31Cは、画素11Cが受光する光の色ごとに、集光を最適化することができる。
【0062】
なお、例えば、カラーフィルタ27に替えて、近赤外光を透過するフィルタを用いる構成では、集光構造24は、カラーフィルタ27-1が配置される画素11C-1よりも、半導体基板21のさらに奥深い領域まで光が届くような形状で集光構造24C形成される。
【0063】
<撮像素子の第5の構成例>
図10には、複数の画素が配置されて構成される撮像素子の第5の構成例が示されている。
【0064】
図10に示すように、撮像素子31Dは、図7の撮像素子31Bと同様に、半導体基板21に配線層25が積層され、半導体基板21の受光面側に、反射防止膜22を介して、カラーフィルタ27およびオンチップレンズ28が積層されて構成されている。また、撮像素子31Dでは、半導体基板21において隣接する画素11Dどうしを分離する素子分離部26が形成され、図6の撮像素子31Aの集光構造24Aと同様の形状の集光構造24Dが、半導体基板21の表面に形成されている。
【0065】
そして、撮像素子31Dは、半導体基板21および配線層25の間に、画素11Dごとに、反射膜29が設けられており、反射膜29に反射集光構造30が形成されて構成されている。
【0066】
反射膜29は、半導体基板21の受光面に対して反対側の面に成膜される金属により構成され、半導体基板21を透過する光を反射する。
【0067】
反射集光構造30は、反射膜29において反射される光が、画素11Dの中央に向かうようなフレネル形状に形成される。
【0068】
例えば、図11に示すように、反射膜29の反射集光構造30は、半導体基板21を透過する光を、画素11Dの中央に向かって反射する。
【0069】
以上のように構成される撮像素子31Dは、図3の撮像素子31と同様に、画素11Dごとの光を受光する特性の改善を図ることができる。さらに、撮像素子31Dは、反射集光構造30を有する反射膜29によって、さらなる感度向上を図ることができる。
【0070】
なお、図12の画素11Eのように、反射集光構造30を有する反射膜29を設け、反射膜29による集光を行うような構成では、半導体基板21の受光面に設けられる集光構造24Eが平坦に形成される変形例を採用してもよい。
【0071】
<フレネル構造の平面的なレイアウト例>
図13乃至図16を参照して、集光構造24の平面的なレイアウトについて説明する。
【0072】
図13には、平面的に見て細長い直線形状に形成された集光構造24Fの平面的なレイアウトの一例が示されている。
【0073】
図13のAには、集光構造24Fが設けられた画素11Fの平面的な構成が示されており、図13のBには、集光構造24Fが設けられた画素11Fの断面的な構成(図13のAに示す一点鎖線A-Bに沿った断面図)が示されている。集光構造24Fは、図1の集光構造24と同様の斜面が設けられ、その斜面が画素11Fの両側に向かって傾斜するような線対称となる形状となっている。
【0074】
また、図13では、半導体基板21に形成される光電変換部41が破線で示されており、図13のCには、複数の画素11Fが行列状に配置された状態が光電変換部41の破線によって表されている。図示するように、集光構造24Fは、複数の画素11Fにわたって列方向に沿うように形成される。例えば、このような集光構造24Fは、ライン型センサに適用するのに好適である。
【0075】
図14には、平面的に見て正方形型に形成された集光構造24Gの平面的なレイアウトの一例が示されている。
【0076】
図14のAには、集光構造24Gが設けられた画素11Gの平面的な構成が示されており、図14のBには、集光構造24Gが設けられた画素11Gの断面的な構成(図14のAに示す一点鎖線A-Bに沿った断面図)が示されている。集光構造24Gは、図1の集光構造24と同様の斜面が設けられ、その斜面が画素11Gの四方に向かって傾斜するような、画素11Gの中心で点対称となる形状となっている。
【0077】
また、図14では、半導体基板21に形成される光電変換部41が破線で示されており、図14のCには、複数の画素11Gが行列状に配置された状態が光電変換部41の破線によって表されている。図示するように、集光構造24Gは、複数の画素11Gごとに正方形型が行方向および列方向に繰り返すように形成される。
【0078】
図15には、平面的に見て丸型に形成された集光構造24Hの平面的なレイアウトの一例が示されている。
【0079】
図15のAには、集光構造24Hが設けられた画素11Hの平面的な構成が示されており、図15のBには、集光構造24Hが設けられた画素11Hの断面的な構成(図15のAに示す一点鎖線A-Bに沿った断面図)が示されている。集光構造24Hは、図4の集光構造24Aと同様の斜面が設けられ、その斜面が画素11Hの外周に向かって傾斜するような、画素11Hの中心に対して同心円となる形状(いわゆるフレネルレンズ形状)となっている。
【0080】
また、図15では、半導体基板21に形成される光電変換部41が破線で示されており、図15のCには、複数の画素11Hが行列状に配置された状態が光電変換部41の破線によって表されている。図示するように、集光構造24Hは、複数の画素11Gごとに丸型が行方向および列方向に繰り返すように形成される。
【0081】
図16には、平面的に見て丸型となる集光構造24Hに、瞳補正を適用した構成における平面的なレイアウトの一例が示されている。
【0082】
図16では、図15のCと同様に、複数の画素11Hが行列状に配置された状態が光電変換部41の破線によって表されている。図16に示すように、瞳補正を適用した集光構造24Hでは、全体の中央に配置される画素11Hでは、集光構造24Hの中心が中央に配置される形状となり、外側に配置される画素11Hほど、集光構造24Hの中心が全体の中央部に近づくような形状となる。例えば、このような瞳補正を適用した集光構造24Hは、点光源に対するセンサに適用するのに好適である。
【0083】
なお、集光構造24の平面的な形状は、図13乃至図16に示したような構成例に限定されることなく、その他の様々な形状を採用することができる。
【0084】
<集光構造の瞳補正>
図17乃至図19を参照して、集光構造24の瞳補正について説明する。
【0085】
図17には、撮像素子31Jの左端近傍に配置される画素11J-1、撮像素子31Jの中央部に配置される画素11J-2、および撮像素子31J-3の右端近傍に配置される画素11J-3の概略的な断面構成が示されている。
【0086】
図示するように、撮像素子31Jの中央部に配置される画素11J-2では、半導体基板21の受光面に集光構造24J-2が形成される。そして、撮像素子31Jの像高が高い外側程、画素11J-1の集光構造24J-1および撮像素子31J-3の集光構造24J-3は、フレネル形状の凹部が深くなるように形成される。
【0087】
また、瞳補正は、点光源に対して、オンチップレンズ28およびカラーフィルタ27の配置をずらし、半導体基板21の表面に形成される集光構造24Jが、それぞれの配置に応じて画素11Jの中央に光が集光されるように形成される。
【0088】
図18には、このように形成される集光構造24Jの平面的なレイアウトの一例が示されている。図18に示すように、全体の中央部から外側に向かって、平面的に見て扇形の形状の集光構造24Jとなっている。
【0089】
図19を参照して、図10を参照して説明したような反射集光構造30を有する反射膜29を有する画素11Kに瞳補正を適用した撮像素子31Kの構成例について説明する。
【0090】
図19には、撮像素子31Kの左端近傍に配置される画素11K-1、撮像素子31Kの中央部に配置される画素11K-2、および撮像素子31K-3の右端近傍に配置される画素11K-3の概略的な断面構成が示されている。
【0091】
図示するように、撮像素子31Kの中央部に配置される画素11K-2では、半導体基板21の受光面に集光構造24K-2が平坦に形成されるとともに、反射膜29Kの反射集光構造30Kが平坦に形成される。そして、撮像素子31Kの像高が高い外側程、画素11K-1の集光構造24K-1および撮像素子31K-3の集光構造24K-3は、フレネル形状の凹部が深くなるように形成されるとともに、反射膜29Kの反射集光構造30Kもフレネル形状の凹部が深くなるように形成される。即ち、反射膜29Kは、像高によって大きさが異なり、それぞれの配置に応じて画素11Jの中央に光が集光されるように形成される。
【0092】
<画素の製造方法>
図20乃至図22を参照して、図1の画素11の製造方法について説明する。
【0093】
第1の工程において、図20の上から1段目に示すように、半導体基板21の受光面に対してSiN膜51を成膜し、SiN膜51に対してレジスト52でマスクを形成する。
【0094】
第2の工程において、図20の上から2段目に示すように、レジスト52をマスクとしてSiN膜51をドライエッチングする。
【0095】
第3の工程において、図20の上から3段目に示すように、レジスト52を除去し、SiN膜51をマスクとして半導体基板21をドライエッチングして、トレンチを形成する。
【0096】
第4の工程において、図20の上から4段目に示すように、SiN膜51を除去する。
【0097】
第5の工程において、図21の上から1段目に示すように、SiN膜53を成膜し、半導体基板21のトレンチ内にもSiN膜53を充填する。
【0098】
第6の工程において、図21の上から2段目に示すように、SiN膜53に対してレジスト54でマスクを形成する。
【0099】
第7の工程において、図21の上から3段目に示すように、レジスト54をマスクとしてSiN膜53をドライエッチングする。
【0100】
第8の工程において、図21の上から4段目に示すように、SiN膜53をマスクとして半導体基板21をウェットエッチングまたはドライエッチングする。このとき、異方性エッチングを行う(Si100面を使用する)ことで、集光構造24となる傾斜が形成される。
【0101】
第9の工程において、図22の上から1段目に示すように、SiN膜53およびレジスト54を除去する。
【0102】
第10の工程において、図22の上から2段目に示すように、集光構造24に対してSIOを形成して、反射防止膜22を成膜する。例えば、反射防止膜22は、上述したように、酸化ハフニウム膜、酸化アルミニウム膜、および酸化シリコン膜の積層構造とすることができる。
【0103】
第11の工程において、図22の上から3段目に示すように、保護膜23を成膜することにより、半導体基板21の受光面に集光構造24が形成された画素11が製造される。
【0104】
図23を参照して、図4の画素11Aの製造方法について説明する。
【0105】
第21の工程において、図23の上から1段目に示すように、ナノインプリントの型枠に所望の形状として、集光構造24Aに対応するフレネル形状を形成する。そして、ナノインプリントで、フレネル形状のレジスト55を、半導体基板21の受光面上に作成する。
【0106】
第22の工程において、図23の上から2段目に示すように、ドライエッチングで加工することにより、レジスト55のフレネル形状が、半導体基板21の受光面に転写されて、集光構造24Aが形成される。
【0107】
第23の工程において、図23の上から3段目に示すように、集光構造24Aに反射防止膜22を成膜した後、カラーフィルタ27およびオンチップレンズ28を形成することにより、半導体基板21の受光面に集光構造24Aが形成された画素11Aが製造される。
【0108】
<電子機器の構成例>
上述したような撮像素子31は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0109】
図24は、電子機器に搭載される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0110】
図24に示すように、撮像装置101は、光学系102、撮像素子103、信号処理回路104、モニタ105、およびメモリ106を備えて構成され、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0111】
光学系102は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を撮像素子103に導き、撮像素子103の受光面(センサ部)に結像させる。
【0112】
撮像素子103としては、上述した撮像素子31が適用される。撮像素子103には、光学系102を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、電子が蓄積される。そして、撮像素子103に蓄積された電子に応じた信号が信号処理回路104に供給される。
【0113】
信号処理回路104は、撮像素子103から出力された画素信号に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路104が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ105に供給されて表示されたり、メモリ106に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0114】
このように構成されている撮像装置101では、上述した撮像素子31を適用することで、例えば、より高感度で画像を撮像することができる。
【0115】
<イメージセンサの使用例>
図25は、上述のイメージセンサ(撮像素子)を使用する使用例を示す図である。
【0116】
上述したイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0117】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0118】
<構成の組み合わせ例>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、
前記画素の前記第1の面に設けられた複数の溝と
を備え、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する
センサ素子。
(2)
前記画素内に設けられた複数の前記溝は、断面視で、前記画素の中心部を基準とした前記垂直な方向に対して線対称に、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とが設けられる
上記(1)記載のセンサ素子。
(3)
前記画素内に設けられた個々の前記溝は、断面視で、前記溝の底部を基準とした前記垂直な方向に対して非対称に、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とが設けられる
上記(1)または(2)に記載のセンサ素子。
(4)
前記溝は、断面視で、前記第1の溝側面の長さと前記第2の溝側面の長さとが異なる
上記(1)から(3)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(5)
複数の前記溝により前記画素ごとに光を集光する集光構造が設けられ、
前記集光構造として、前記第1の溝側面である垂直面と、前記画素の中央から外側に向かうに従い凹部が深くなるように傾斜する傾斜面である前記第2の溝側面とによる凹凸形状が、複数、前記画素の中央を対称に設けられる
上記(1)から(4)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(6)
前記凹凸形状の高さは、複数の前記溝について略均一に形成される
上記(5)記載のセンサ素子。
(7)
前記凹凸形状の高さは、複数の前記溝について、前記画素の中央から外側に向かうに従って大きくなるように形成される
上記(5)記載のセンサ素子。
(8)
前記半導体基板の受光面の前記集光構造の凹凸形状に沿うように成膜される反射防止膜と、
前記反射防止膜に対して成膜され、前記集光構造の凹部を埋め込むように形成される保護膜と
をさらに備える上記(5)から(7)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(9)
前記半導体基板において、隣接する前記画素どうしを分離する素子分離部が形成されている
上記(1)から(8)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(10)
前記画素ごとに、それぞれの画素が受光する色の光を透過するカラーフィルタと、
前記画素ごとに、それぞれの画素が受光する光を集光するオンチップレンズと
をさらに備える上記(1)から(9)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(11)
前記集光構造は、平面的に見て直線形状に形成される
上記(5)から(10)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(12)
前記集光構造は、平面的に見て正方形型に形成される
上記(5)から(10)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(13)
前記集光構造は、平面的に見て丸型に形成される
上記(5)から(10)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(14)
前記集光構造が、像高に応じて瞳補正された形状に形成される
上記(13)に記載のセンサ素子。
(15)
前記溝が、前記半導体基板を異方性エッチングすることにより形成されている
上記(1)から(10)までのいずれかに記載のセンサ素子。
(16)
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、前記画素の前記第1の面に設けられた複数の溝とを備えるセンサ素子を製造する製造装置が、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有するように形成すること
を含む製造方法。
(17)
前記溝は、前記半導体基板を異方性エッチングすることにより形成される
上記(16)に記載の製造方法。
(18)
前記溝は、ナノインプリントにより作成されたレジストを前記半導体基板に転写することにより形成される
上記(16)に記載の製造方法。
(19)
光が入射する第1の面と前記第1の面に対して反対側を向く第2の面とを有する半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた光電変換を行う光電変換領域を含む複数の画素と、
前記画素の前記第1の面に設けられた複数の溝と
を備え、
前記溝は、断面視で、前記半導体基板の前記第2の面に対して垂直な方向に沿って設けられた第1の溝側面と、前記垂直な方向とは異なる方向に設けられた第2の溝側面とを有する
センサ素子を備える電子機器。
【0119】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0120】
11 画素, 21 半導体基板, 22 反射防止膜, 23 保護膜, 24 集光構造, 25 配線層, 26 素子分離部, 27 カラーフィルタ, 28 オンチップレンズ, 29 反射膜, 30 反射集光構造, 31 撮像素子, 32 パッケージ, 33 透明ガラス, 41 光電変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25