(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-12
(45)【発行日】2024-04-22
(54)【発明の名称】カテーテルアセンブリ内の灌注流体経路のための電気接地機構
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240415BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020570904
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019055058
(87)【国際公開番号】W WO2019244009
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウ・スティーブン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】レビー・イツハーク・ティー
(72)【発明者】
【氏名】リフシッツ・アレクサンダー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123869(JP,A)
【文献】特開2015-006345(JP,A)
【文献】特開平11-013574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、前記カテーテルは、
(i)遠位端と、
(ii)近位端と、
(iii)前記遠位端にある、少なくとも1つの電極と、
(iv)前記遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、
(v)前記少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、
(c)前記本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、前記流体コネクタアセンブリは、
(i)流体コネクタ本体であって、前記流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、前記流体導管の近位端が、前記流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、
(ii)前記流体導管の前記近位端と前記流体コネクタ本体との間に介在する接地部材であって、
前記接地部材は前記流体導管の径方向の外側に位置し、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体の前記内部領域と連通しており、その結果、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体を介して前記流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、
(d)前記接地部材と接地の間を電気的に接続するワイヤであって、前記流体コネクタ本体の前記内部領域を通って、前記流体コネクタ本体の遠位側から前記流体コネクタ本体の外に出ている、ワイヤと、を備える、装置。
【請求項2】
前記流体導管と前記流体コネクタ本体の間が流体的に封止され、前記接地部材が、前記封止より近位側から前記封止より遠位側まで延在して
おり、
前記封止より遠位側まで延在している箇所において前記ワイヤが前記接地部材と接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電極は、RFエネルギーを組織に印加するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極は、ヒト心臓血管系内の電気生理学(EP)マッピングに関連する信号を拾い上げるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接地部材は、前記少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号におけるノイズを低減するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、前記カテーテルは、
(i)遠位端と、
(ii)近位端と、
(iii)前記遠位端にある、少なくとも1つの電極と、
(iv)前記遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、
(v)前記少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、
(c)前記本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、前記流体コネクタアセンブリは、
(i)流体コネクタ本体であって、前記流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、前記流体導管の近位端が、前記流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、
(ii)前記流体導管の前記近位端と前記流体コネクタ本体との間に介在する接地部材であって、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体の前記内部領域と連通しており、その結果、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体を介して前記流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備え、
前記接地部材は導電性カフを備え、
前記導電性カフは前記流体導管の前記近位端の周りに同軸上に位置付けられ、前記導電性カフの一部は、前記流体導管を介して連通している流体に曝露されるために位置付けられ、
前記導電性カフの外側と前記流体コネクタ本体の内部との間に介在する接着剤を更に備える
、装置。
【請求項7】
前記導電性カフは、白金/イリジウム合金、パラジウム/白金合金、又は別の高導電性かつ生体適合性材料を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体コネクタ本体の前記内部領域は、第1の内径を有する第1の部分と、第2の内径を有する第2の部分とを備え、前記第1の内径は前記第2の内径よりも大きく、前記流体導管の前記近位端は前記内部領域の前記第1の部分内で終端し、前記接地部材は、前記内部領域の前記第2の部分に固定されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項9】
前記装置の前記本体は、電気接地を有する電気回路を含み、前記接地部材は、前記装置の前記本体内の前記電気回路の前記電気接地と電気的に連通している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記流体コネクタ本体の前記内部領域から流体的に隔離されている、請求項
1に記載の装置。
【請求項11】
(a)ケーブルであって、前記ケーブルは前記本体と連結されている、ケーブルと、
(b)コンソールユニットであって、前記ケーブルは、前記コンソールユニットと更に連結されており、前記コンソールユニットは電気接地を有し、前記ケーブルは、前記本体内の前記電気回路の前記電気接地と前記コンソールユニットの前記電気接地との間に電気経路を設けるように構成されている、コンソールユニットと、を更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コンソールユニットは、前記ケーブルを介して前記少なくとも1つの電極にRFエネルギーを供給するように更に構成されている、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記コンソールユニットは、前記ケーブルを介して前記少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号を受信し、処理するように更に構成されている、請求項
11に記載の装置。
【請求項14】
前記カテーテルは、3次元空間における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように動作可能な位置センサを更に含み、前記コンソールユニットは、前記位置センサからの前記信号を受信し、処理するように更に構成されている、請求項
11に記載の装置。
【請求項15】
1つ以上の磁場発生器を更に備え、前記1つ以上の磁場発生器は、患者の少なくとも一部の周囲で磁場を発生させるように構成されており、前記位置センサは、発生した前記磁場に応答して信号を生成するように構成されている、請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
前記コンソールユニットは、1本以上のケーブルを介して前記1つ以上の磁場発生器と連結されており、前記コンソールユニットは、前記1つ以上の磁場発生器を駆動して前記磁場を発生させるように動作可能である、請求項
15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心房細動などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに生じる。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝達経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を、停止又は修正することが可能な場合がある。アブレーションプロセスは、電気絶縁性の損傷組織又は瘢痕組織を作り出すことによって、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0002】
いくつかの処置では、1つ又は2つ以上のRF電極を備えるカテーテルを使用して、心臓血管系内でアブレーションを行うことができる。主要静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)内にカテーテルを挿入し、次いで、心臓内又は心臓に隣接する心血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を配置するように前進させることができる。電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触して置き、次いでRFエネルギーで作動させ、それによって、接触した組織をアブレーションすることができる。いくつかの場合において、電極は、双極性であってもよい。一部の他の場合において、患者と接触している接地パッドと組み合わせて単極電極を使用してもよい。
【0003】
アブレーションカテーテルの例は、米国特許出願公開第2013/0030426号、発明の名称「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」(2013年1月31日公開、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(2018年3月15日公開、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」(2018年3月1日公開、開示内容は参照により本明細書に援用されている);米国特許出願公開第2018/0036078号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」(2018年2月8日公開、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許第8,956,353号、発明の名称「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」(2015年2月17日発行、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);並びに米国特許第9,801,585号、発明の名称「Electrocardiogram Noise Reduction」(2017年10月31日発行、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)に開示されている。
【0004】
一部のカテーテルアブレーション処置は、電気生理学的(EP)マッピングを使用して実行することができる。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するために使用されるのと同じカテーテル)上における検知電極の使用を含んでもよい。このような検知電極は、心臓血管系内の電気信号を監視して、不整脈に関与する異常な導電性組織部位の位置を正確に示すことができる。EPマッピングシステムの例は、米国特許第5,738,096号、発明の名称「Cardiac Electromechanics」(1998年4月14日発行、開示内容は参照により本明細書に援用されている)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、米国特許第9,907,480号、発明の名称「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」(2018年3月6日発行、開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0005】
EPマッピングを使用することに加えて、いくつかのカテーテルアブレーション処置は、画像誘導手術(IGS)システムを使用して実行されてもよい。IGSシステムは、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、医師がリアルタイムで患者内のカテーテルの位置を視覚的に追跡可能とすることができる。いくつかのシステムは、Biosense Webster,Inc.(California州Irvine)によるCARTO 3(登録商標)システムを含む、EPマッピングとIGS機能との組み合わせを行うことができる。
【0006】
いくつかのアブレーションカテーテルシステム及び方法が製作され、利用されてきたが、本発明者らよりも前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を製作又は利用したものは存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示にすぎず、本願発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】アプレ-ションカテーテルアセンブリのカテーテルが患者に挿入される医療処置の概略図を示す。
【
図2】
図1のアブレーションカテーテルアセンブリの平面図を示す。
【
図3】
図2のアブレーションカテーテルアセンブリの近位部分の断面側面図を示す。
【
図4】コネクタの一部が離脱して、流体コネクタ内部の構造を見せる、
図3のハンドルの流体コネクタの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定するものではなく一例として例示するものである。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0009】
本明細書に記載の教示、表現、変形形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わされ得る。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲に含まれるものとする。
【0010】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指していてもよく、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指していてよい。更に、本明細書で使用するとき、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を表す。
【0011】
I.例示的なアブレーションシステム及び方法
図1は、心臓アブレーションシステムの例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)を把持する医師(PH)を示し、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)のアブレーションカテーテル(120)(
図2に示されているが、
図1には示されていない)は、患者(PA)の心臓(H)内又はその近くの組織をアブレーションするために、患者(PA)内に配置されている。アブレーションカテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と連結されている。アブレーションカテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)と連結されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下に位置付けされ、ケーブル(22)を介して誘導及び駆動システム(10)と連結される。
【0012】
本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)と、ディスプレイ(18)とを含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)と、第2のドライバモジュール(16)とを含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してアブレーションカテーテルアセンブリ(100)と連結され、
図2を参照して以下でより詳細に説明するように、アブレーションカテーテル(120)の電極(150)にRF電力を供給するように動作可能である。いくつかの変形例では、第1のドライバモジュール(14)はまた、電極(150)からEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。第1のドライバモジュール(14)はまた、以下でより詳細に説明するように、アブレーションカテーテル(120)内の位置センサ(140)(
図2)から位置を示す信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)のプロセッサはまた、位置センサ(140)からの位置を示す信号を処理し、それによって、患者(PA)内のアブレーションカテーテル(120)の遠位端(122)の位置を判定するように動作可能である。
【0013】
第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)に連結される。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を作動させて、患者(PA)の心臓(H)の周囲に交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでよい。
【0014】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと連結され、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、一組の手術前又は術中に取得された画像(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づいてもよい。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、位置センサ(140)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、アブレーションカテーテル(120)の遠位端(122)が患者(PA)内で移動するとき、位置センサ(140)からの対応する位置データは、コンソール(12)のプロセッサにディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新させて、遠位端(122)が患者(PA)内で動くとき、遠位端(122)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を描写することができる。更に、コンソール(12)のプロセッサは、アブレーションカテーテル(120)によるEPマッピングによって検出されるように、又は、専用のEPマッピングカテーテル(図示せず)によるEPマッピングによって検出されるように、異常な導電性組織部位の位置を示すように、ディスプレイ(18)を駆動してもよい。単に一例として、コンソール(12)のプロセッサは、患者の解剖学的構造の画像上の異常な導電性組織部位の位置を、例えば、示されたドット、十字線、又は異常な導電性組織部位の視覚的表示のいくつかの他の形態を重ね合わせることによって、重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動してもよい。
【0015】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、示されたドット、十字線、若しくは遠位端(122)の視覚的表示、又は視覚的表示のいくつかの他の形態を重ね合わせることによって、患者の解剖学的構造の画像上の遠位端(122)の現在位置を重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動してもよい。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内で遠位端(122)を移動させ、それによって、遠位端(122)が患者(PA)内で移動する際に、患者(PA)内の遠位端(122)の位置に関するリアルタイム視覚フィードバックを操作者に提供するので、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができる。したがって、ディスプレイ(18)を通して提供される画像は、遠位端(122)を見る任意の光学機器(すなわちカメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内の遠位端(122)の位置を追跡するビデオ追跡を効果的に提供することができる。同じ図で、ディスプレイ(18)は、本明細書に記載されるEPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の位置を、同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位に関する、また、患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関する、遠位端(122)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0016】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又はいくつかの他の好適な灌注流体を収容する袋を備える。導管(40)は、ポンプ(44)と更に連結される可撓性チューブを備える。ポンプ(44)は、流体源(42)とアブレーションカテーテルアセンブリ(100)との間の導管(40)に沿って位置付けられる。本実施例では、ポンプ(44)は、流体源(42)からアブレーションカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に送り出すように動作可能な蠕動ポンプを備える。あるいは、スイッチ(44)は、任意のその他の好適な形態を取ってもよい。
【0017】
図2は、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)をより詳細に示す。図示のように、アブレーションカテーテル(120)は、ハンドル(110)から遠位に延在し、流体コネクタアセンブリ(130)はハンドル(110)から近位に延在する。
図2にも示すように、位置センサ(140)、電極(150)、及び灌注ポート(160)は、アブレーションカテーテル(120)の遠位端(122)に位置する。本実施例のアブレーションカテーテル(120)は、長く、かつ可撓性であり、患者(PA)の心臓血管系内の様々な内腔及び他の通路内に収まる大きさである。
【0018】
上述したように、位置センサ(140)は、患者(PA)内の遠位端(122)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である。いくつかの変形例では、位置センサ(140)は、交流電磁場の存在に応答して、又は静磁場内での動きに応答して、電気信号を生成するように構成されている、1つのワイヤコイル又は複数のワイヤコイル(例えば、3つのコイル)を含む。位置センサ(140)を形成する2つ以上のワイヤコイルを有する変形例では、2つ以上のワイヤコイルは、互いに直交するか、又は互いに任意の他の好適な関係を有するそれぞれの軸に沿って配向されてもよい。本実施例では、上述したように、磁場発生器(20)は、交流電磁場を発生させるように動作可能であり、その結果、センサ(140)は、磁場発生器(20)によって発生した交流電磁場内での位置を示す信号を生成する。遠位端(122)に関連するリアルタイムの位置データを生成するために使用され得る他の技術としては、無線三角測量、音響トラッキング、光学トラッキング、慣性トラッキングなどが挙げられ得る。アブレーションカテーテルアセンブリ(100)のいくつかの変形例は、位置センサ(140)を有さない場合がある。
【0019】
また上述したように、電極(150)は、RFアブレーション又はEPマッピング機能を提供するように構成されてもよい。電極(150)は、本明細書で引用した様々な特許参考文献のうちのいずれかの教示に従って構成され、動作可能であってよい。
図2には2つの電極(150)のみを示すが、任意の好適な数の電極(150)が設けられてもよい。例えば、いくつかの対の電極(150)は、アブレーションカテーテル(120)の長さに沿った様々な位置に位置してもよい。いくつかの変形例では、電極(150)は、RFアブレーション機能及びEPマッピング機能の両方を提供するように構成されている。いくつかの他の変形例では、電極(150)は、RFアブレーション機能のみを提供し、EPマッピング機能は提供しないように構成されている。更に他の変形例では、電極(150)は、EPマッピング機能のみを提供し、RFアブレーション機能は提供しないように構成されている。更に別の単なる例示的な実施例として、アブレーションカテーテル(120)は、RFアブレーション機能のみを提供することのみを目的とするいくつかの電極(150)と、EPマッピング機能のみを提供することのみを目的とする他の電極とを含んでもよい。本明細書における教示を考慮すると、当業者には、電極(150)に関連し得る他の好適な構成及び機能が明らかとなるであろう。
【0020】
アブレーション部位において、流体灌注を提供することが望ましい場合がある。このような灌注は、アブレーション処置中の組織の過剰な加熱を防止してもよい。更に、このような灌注は、電極(150)間での組織に沿った導電性を促進してもよい。上述のように、本実施例のアブレーションカテーテル(120)の遠位端(122)は、アブレーションカテーテル(120)の外側にある横方向開口部の形態である、一組の灌注ポート(160)を含む。
図2には2つの灌注ポート(160)のみを示すが、任意の好適な数の灌注ポート(160)が設けられてよい。
図2に示す実施例では、一方の灌注ポート(160)は、電極(150)の間に長手方向に挿入され、他方の灌注ポート(160)は電極(150)の遠位にある。あるいは、灌注ポート(160)は、アブレーションカテーテル(120)上の任意の他の好適な位置に位置してよい。
【0021】
灌注ポート(160)は、上述のようにハンドル(110)から近位に延在する流体コネクタアセンブリ(130)に収容された灌注導管(134)を介して灌注流体を受容する。
図3に示すように、流体コネクタアセンブリ(130)は、流体導管(40)と連結するように構成されている。流体コネクタアセンブリ(130)は、外側シース(132)と、流体コネクタ(200)とを含む。本実施例では、外側シース(132)は電気絶縁性である。あくまで一例として、外側シース(132)は、熱収縮包装を含んでもよい。灌注導管(134)は、外側シース(132)内に配置され、流体コネクタ(200)と流体連通している。潅注導管(134)は、アブレーションカテーテル(120)の長さに沿って延在し、灌注ポート(160)と流体連通する可撓性管状体を備え、それによって流体コネクタ(200)から灌注ポート(160)に流体連通するための経路を提供する。
【0022】
図4に示すように、本実施例の流体コネクタ(200)は、第1の通路(204)及び第2の通路(206)を画定し、通路(204、206)の間にテーパ状移行部(208)を有する本体(202)を備える。本実施例では、本体(202)は、導管(40)の遠位端において流体コネクタ(46)によって設けられる第2のルアーロック機構と嵌合するように構成されている、第1のルアーロック機構として構成されている。したがって、流体コネクタ(46、200)は、選択的に合わせてロックし、それによって導管(40)及び潅注導管(134)からの灌注流体の連通のための経路を提供するように動作可能である。ルアーロック機構は、単なる1つの例示的な例にすぎない。本明細書の教示を考慮すれば、当業者には、本体(202)及び流体コネクタ(46)が取り得る他の適当な形態が明らかになるであろう。
【0023】
図4にも示すように、灌注導管(134)は、灌注導管(134)が第2の通路(206)を完全に通過し、灌注導管(134)の近位端(136)は第1の通路(204)内に位置付けられるように、本体(202)内に位置付けられる。したがって、灌注導管(134)は、第1の通路(204)と流体連通している。
【0024】
図3に示すように、ハンドル(110)は、本明細書に記載の電気的機能を提供するように構成されている、様々な電気部品を備えるプリント回路基板(PCB)(170)を含む。本明細書の教示を考慮すると、当業者には、PCB(170)に組み込むことのできる、様々な好適な構成要素及び装置が明らかになるであろう。一組のワイヤ(174)が、PCB(170)から遠位に延在する。ワイヤ(174)は、アブレーションカテーテル(120)の長さに沿って位置センサ(140)及び電極(150)まで延在し、それによってPCB(170)と位置センサ(140)との間及びPCB(170)と電極(150)との間での電気通信のための経路を提供する。別組のワイヤ(172)は、PCB(170)から近位に延在する。ワイヤ(172)は、ハンドル(110)の近位端においてソケット(112)内に位置付けられる電気的インターフェース(114)内の電気接点まで延在する。
図3に示すように、ソケットは、ケーブル(30)の遠位端においてプラグ(32)を受容するように構成されている。プラグ(32)は、プラグ(32)がソケット(112)内に完全に着座したときに、電気的インターフェース(114)の電気接点と嵌合する電気接点を含む。これにより、これらの嵌合接点は、ケーブル(30)とPCB(170)との間での電気通信のための経路を提供する。
【0025】
II.潅注流体の例示的な電気接地
場合によっては、誘導駆動システム(10)は、電極(150)からの信号において相当量の電気ノイズを拾い上げる傾向にあり得る。これは、電極(150)がRFアブレーションを適用するために使用されるとき、電極(150)がEPマッピングを提供するために使用されるとき、又は電極(150)が他の目的(例えば、診断目的、治療目的、又は他の目的)で使用されるときに生じ得る。このような電気ノイズは、流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体の流体経路に電気接地を設けることによって、大幅に低減し得る。しかしながら、流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体の流体経路に電気接地を設けることは、流体漏出のリスクを示す傾向にあり得る。更に、流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体の流体経路に電気接地を設けることは、製造において相当な困難又は費用を示す傾向にあり得る。したがって、流体漏出のリスクを回避し、また、製造の困難さ及び費用を回避しつつ、灌注流体のために電気接地機構を設けることが望ましいであろう。そのような電気接地機構の一例を以下に記載する。
【0026】
本実施例では、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)は、導電性カフ(210)と、ワイヤ(220)と、を含み、潅注導管(134)を介して流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体の流体経路内の灌注流体に電気接地を提供する。導電性カフ(210)は、生体適合性であり、灌注流体の存在による劣化に抵抗する導電性材料で形成される。あくまで一例として、導電性カフ(210)は、白金/イリジウム合金、パラジウム/白金合金、又は任意の他の好適な導電性及び生体適合性材料で形成されてもよい。導電性カフ(210)は、近位端(136)のすぐ遠位にある灌注導管(134)の外側の周りにしっかりと、同軸上に固定される。あくまで一例として、導電性カフ(210)は、摩擦嵌め/締まり嵌めによって、又は以下に記載する接着剤(212)などの接着剤によって、灌注導管(134)の外側の周りにしっかりと、同軸上に固定され得る。
【0027】
導電性カフ(210)はまた、接着剤(212)によって本体(202)に対してしっかりと、同軸上に固定される。あくまで一例として、接着剤(212)は、生体適合性接着剤又はポリウレタンなどのポリマーを含み得る。本実施例では、接着剤(212)は、導電性カフ(210)の外側と第2の通路(206)の内径との間に径方向に介在し、それによって、導電性カフ(210)の外側と第2の通路(206)の内径との間に流体密シールをもたらす。接着剤(212)の一部はまた、テーパ状移行部(208)に沿って配置されるが、これはあくまでも任意である。少なくとも一部の接着剤(212)はまた、灌注導管(134)の外側と第2の通路(206)の内径との間、又は灌注導管(134)の外側とテーパ状移行部(208)との間に径方向に介在し得る。場合によっては、接着剤(212)は連続層の形態で塗布されて、潅注導管(134)の外側と第2の通路(206)の内径との間での流体漏出のリスクを最小限に抑える。本実施例では、導電性カフ(210)の近位端は接着剤(212)によって露出したままであり、その結果、導電性カフ(210)は、流体コネクタ(200)の第1の通路(firs passageway)(206)内に存在する任意の流体と電気的に連通するであろう。
【0028】
ワイヤ(220)は、導電性カフ(210)に固定され、それによって導電性カフ(210)と電気的に連通している。あくまで例として、ワイヤ(220)は、抵抗溶接又はレーザーベースの溶接を介して導電性カフ(210)に固定され得る。
図4に示すように、ワイヤ(220)は、導電性カフ(210)から、灌注導管(134)に沿って第2の通路(206)を通って遠位に延在する。
図3~
図4に示すように、ワイヤ(220)はまた、灌注導管(134)に沿って外側シース(132)内で流体コネクタアセンブリ(130)を通って延在し、最終的に外側シース(132)を横断方向に出てPCB(170)に達する。ワイヤ(220)の遠位端は、PCB(170)上の電気接地と連結されている。PCB(170)上の電気接地は、ケーブル(30)を介してコンソール(12)内の電気接地と連結され得、その結果、PCP(170)及びケーブル(30)は、コンソール(12)内の電気接地にワイヤ(220)を電気的に接地させるための経路を提供する。PCB(170)はまた、導電性カフ(210)及びワイヤ(220)によって提供される電気接地機能に関連する、更なる安全特性及び性能特性を提供するように構成されている、抵抗、フィルタ、又は他の構成要素を含んでもよい。例えば、ダイオード又はダイオードのアレイ(例えば、過渡電圧抑制器など)は、接地ワイヤ(220)に至る電気経路内に配置されて、静電放電を防ぐことができる。
【0029】
本実施例では、ワイヤ(220)はPCB(170)を介して電気的に接地しているが、代わりに、ワイヤ(220)が任意の他の好適な様式で電気的に接地してもよい。あくまで一例として、ワイヤ(220)は、ソケット(112)の電気的インターフェース(114)内の接地経路に直接連結され得、その結果、ワイヤ(220)はPCB(170)を迂回する。本明細書の教示を考慮すると、当業者には、ワイヤ(220)の他の好適な代替接地経路が明らかになるであろう。
【0030】
本実施例では、ワイヤ(220)は、接着剤(212)によって、流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体の流体経路から流体的に隔離されている。灌注流体が電解質を含有する生理食塩水である本実施例では、灌注流体は電気を伝導することができる。したがって、ワイヤ(220)が導電性カフ(210)と連結していることにより、ワイヤ(220)は、流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体と電気的に連通している。したがって、カフ(210)及びワイヤ(220)は協働して、灌注導管(134)を介して流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体に電気接地を提供する。
【0031】
導電性カフ(210)、ワイヤ(220)、本体(202)、及び灌注導管(134)の上記の構成及び配置は、製造が比較的容易かつ安価であり、比較的高い信頼度を提供する、実質的に堅固なアセンブリを提供し得る。導電性カフ(210)が灌注導管(134)の外側から、かつ第2の通路(206)の内径からある程度離れている場合、導電性カフ(210)は灌注導管(134)を通過することができず、それによって、灌注ポート(160)に到達することができないであろう。これは、導電性カフ(210)の外径が灌注導管(134)の内径よりも大きいためである。
【0032】
アブレーションカテーテルアセンブリ(100)が使用されてRFアブレーション、EPマッピング、又は他の電気的機能を提供するとき、カフ(210)及びワイヤ(220)によって提供される電気接地は、患者(PA)の身体内に浮遊電気が入らないようにする患者接地を作り出すことによって安全機構を提供し得る。加えて、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)を使用してEPマッピング又は他の感知機能を提供するとき、カフ(210)及びワイヤ(220)によって提供される電気接地は、電極(150)からの電気信号における心電図(ECG)ノイズを最小限に抑えることによって性能を向上し得る。
【0033】
導電性カフ(210)は、本実施例では、流体コネクタ(200)内の潅注導管(134)の近位端(136)付近に位置付けられているが、導電性カフ(210)、又は一部の他の導電性接地構成要素は、代わりに、アブレーションカテーテル(120)の遠位端(122)付近に配置されてもよい。例えば、導電性カフ(210)又は一部の他の導電性接地構成要素は、サイズが縮小され、灌注導管(134)の内腔内の遠位端(122)付近又は灌注導管(134)の長さに沿ったいずれかの場所に位置付けられてもよい。このような変形例では、ワイヤ(220)は、導電性カフ(210)(又はその変形例)とPCB(170)の電気接地部分との間で電気的な導通を維持するように再度位置付けられてもよい。
【0034】
更に、本実施例では、導電性カフ(210)は環状カフの形態であるが、任意の他の好適な構成が使用されて、灌注導管(134)を介して流体導管(40)から灌注ポート(160)に流れる灌注流体に電気接地を提供してもよい。例えば、導電性ロッド、導電性ステム、導電性ストリップ、又は他の形状の導電性構造体の形態の接地部材は、灌注導管(134)の外側と第2の通路(206)の内径との間に径方向に介在してもよく、接着剤(212)が使用されて接地部材を定位置に固定しつつ、また、潅注導管(134)の外側と第2の通路(206)の内径との間の空間の残りを流体的に封止する。このような代替的な接地部材は、潅注導管(134)及び第2の通路(206)によって共有される長手方向軸と平行に配向されてもよく、その一方では、依然として灌注導管(134)及び第2の通路(206)によって共有される長手方向軸から横方向にずれている。
【0035】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者ら又は本発明者らの利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0036】
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの少なくとも一部は、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、カテーテルは、(i)遠位端と、(ii)近位端と、(iii)遠位端にある、少なくとも1つの電極と、(iv)遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、(v)少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、(c)本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、流体コネクタアセンブリは、(i)流体コネクタ本体であって、流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、流体導管の近位端は、流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、(ii)流体導管の近位端と流体コネクタ本体との間に介在する接地部材であって、接地部材は、流体コネクタ本体の内部領域と(電気的又は物理的に)連通しており、その結果、接地部材は、流体コネクタ本体を介して流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。
【実施例2】
【0037】
少なくとも1つの電極は、RFエネルギーを組織に印加するように構成されている、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0038】
少なくとも1つの電極は、ヒト心臓血管系内の電気生理学(EP)マッピングに関連する信号を拾い上げるように構成されている、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例4】
【0039】
接地部材は、少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号におけるノイズを低減するように構成されている、実施例3に記載の装置。
【実施例5】
【0040】
接地部材は導電性カフを備える、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0041】
導電性カフは、流体導管の近位端の周りに同軸上に位置付けられ、導電性カフの一部は、流体導管を介して連通している流体に曝露されるために位置付けられている、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0042】
導電性カフの外側と流体コネクタ本体の内部との間に介在する接着剤を更に備える、実施例5~6のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例8】
【0043】
導電性カフは、白金/イリジウム合金、パラジウム/白金合金、又は別の高導電性かつ生体適合性材料を含む、実施例5~7のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例9】
【0044】
流体コネクタ本体の内部領域は、第1の内径を有する第1の部分と、第2の内径を有する第2の部分とを備え、第1の内径は第2の内径よりも大きく、流体導管の近位端は内部領域の第1の部分内で終端し、接地部材は、内部領域の第2の部分に固定されている、実施例1~8のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例10】
【0045】
装置の本体は、電気接地を有する電気回路を含み、接地部材は、装置の本体内の電気回路の電気接地と電気的に連通している、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0046】
電気回路の電気接地と接地部材との間に延在するワイヤを更に備える、実施例10に記載の装置。
【実施例12】
【0047】
ワイヤは、流体コネクタ本体の内部領域から流体的に隔離されている、実施例11に記載の装置。
【実施例13】
【0048】
(a)ケーブルであって、ケーブルは本体と連結されている、ケーブルと、(b)コンソールユニットであって、ケーブルは、コンソールユニットと更に連結されており、コンソールユニットは電気接地を有し、ケーブルは、本体内の電気回路の電気接地とコンソールの電気接地との間に電気経路を設けるように構成されている、コンソールユニットと、を更に備える、実施例10~12のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例14】
【0049】
コンソールユニットは、ケーブルを介して少なくとも1つの電極にRFエネルギーを供給するように更に構成されている、実施例13に記載の装置。
【実施例15】
【0050】
コンソールユニットは、ケーブルを介して少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号を受信し、処理するように更に構成されている、実施例13~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0051】
カテーテルは、3次元空間における遠位端の位置を示す信号を生成するように動作可能な位置センサを更に含み、コンソールは、位置センサからの信号を受信し、処理するように更に構成されている、実施例13~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例17】
【0052】
1つ以上の磁場発生器を更に備え、1つ以上の磁場発生器は、患者の少なくとも一部の周囲で磁場を発生させるように構成されており、位置センサは、発生した磁場に応答して信号を生成するように構成されている、実施例16に記載の装置。
【実施例18】
【0053】
コンソールは、1本以上のケーブルを介して1つ以上の磁場発生器と連結されており、コンソールは、1つ以上の磁場発生器を駆動して磁場を発生させるように動作可能である、実施例17に記載の装置。
【実施例19】
【0054】
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの少なくとも一部は、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、カテーテルは、(i)遠位端と、(ii)近位端と、(iii)遠位端にある、少なくとも1つの電極と、(iv)遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、(v)少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、(c)本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、流体コネクタアセンブリは、(i)流体コネクタ本体であって、流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、流体導管の近位端は、流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、(ii)流体導管の近位端の周りに同軸上に位置付けられた接地部材であって、接地部材は、流体コネクタ本体の内部領域と連通しており、その結果、接地部材は、流体コネクタ本体を介して流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。
【実施例20】
【0055】
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの少なくとも一部は、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、カテーテルは、(i)遠位端と、(ii)近位端と、(iii)遠位端にある、少なくとも1つの電極と、(iv)遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、(v)少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、(c)本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、流体コネクタアセンブリは、(i)流体コネクタ本体であって、流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、流体導管の近位端は、流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられ、流体導管の近位端及び内部領域は、共通軸に沿って同軸上に位置合わせされている、流体コネクタ本体と、(ii)内部領域内に位置付けられた接地部材であって、接地部材は、共通軸と同軸上に、又は共通軸と平行に配向され、接地部材は、流体コネクタ本体の内部領域と連通しており、その結果、接地部材は、流体コネクタ本体を介して流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。
【0056】
IV.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴を含み得ることが理解されるべきである。単に一例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ以上を含むこともできる。
【0057】
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲の範囲に含まれるものとする。
【0058】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0059】
本発明の様々な変形形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、前記カテーテルは、
(i)遠位端と、
(ii)近位端と、
(iii)前記遠位端にある、少なくとも1つの電極と、
(iv)前記遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、
(v)前記少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、
(c)前記本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、前記流体コネクタアセンブリは、
(i)流体コネクタ本体であって、前記流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、前記流体導管の近位端が、前記流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、
(ii)前記流体導管の前記近位端と前記流体コネクタ本体との間に介在する接地部材であって、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体の前記内部領域と連通しており、その結果、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体を介して前記流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記少なくとも1つの電極は、RFエネルギーを組織に印加するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記少なくとも1つの電極は、ヒト心臓血管系内の電気生理学(EP)マッピングに関連する信号を拾い上げるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記接地部材は、前記少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号におけるノイズを低減するように構成されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記接地部材は導電性カフを備える、実施態様1に記載の装置。
【0061】
(6) 前記導電性カフは前記流体導管の前記近位端の周りに同軸上に位置付けられ、前記導電性カフの一部は、前記流体導管を介して連通している流体に曝露されるために位置付けられている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記導電性カフの外側と前記流体コネクタ本体の内部との間に介在する接着剤を更に備える、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記導電性カフは、白金/イリジウム合金、パラジウム/白金合金、又は別の高導電性かつ生体適合性材料を含む、実施態様5に記載の装置。
(9) 前記流体コネクタ本体の前記内部領域は、第1の内径を有する第1の部分と、第2の内径を有する第2の部分とを備え、前記第1の内径は前記第2の内径よりも大きく、前記流体導管の前記近位端は前記内部領域の前記第1の部分内で終端し、前記接地部材は、前記内部領域の前記第2の部分に固定されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記装置の前記本体は、電気接地を有する電気回路を含み、前記接地部材は、前記装置の前記本体内の前記電気回路の前記電気接地と電気的に連通している、実施態様1に記載の装置。
【0062】
(11) 前記電気回路の前記電気接地と前記接地部材との間に延在するワイヤを更に備える、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記ワイヤは、前記流体コネクタ本体の前記内部領域から流体的に隔離されている、実施態様11に記載の装置。
(13) (a)ケーブルであって、前記ケーブルは前記本体と連結されている、ケーブルと、
(b)コンソールユニットであって、前記ケーブルは、前記コンソールユニットと更に連結されており、前記コンソールユニットは電気接地を有し、前記ケーブルは、前記本体内の前記電気回路の前記電気接地と前記コンソールの前記電気接地との間に電気経路を設けるように構成されている、コンソールユニットと、を更に備える、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記コンソールユニットは、前記ケーブルを介して前記少なくとも1つの電極にRFエネルギーを供給するように更に構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記コンソールユニットは、前記ケーブルを介して前記少なくとも1つの電極からのEPマッピング信号を受信し、処理するように更に構成されている、実施態様13に記載の装置。
【0063】
(16) 前記カテーテルは、3次元空間における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように動作可能な位置センサを更に含み、前記コンソールは、前記位置センサからの前記信号を受信し、処理するように更に構成されている、実施態様13に記載の装置。
(17) 1つ以上の磁場発生器を更に備え、前記1つ以上の磁場発生器は、患者の少なくとも一部の周囲で磁場を発生させるように構成されており、前記位置センサは、発生した前記磁場に応答して信号を生成するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記コンソールは、1本以上のケーブルを介して前記1つ以上の磁場発生器と連結されており、前記コンソールは、前記1つ以上の磁場発生器を駆動して前記磁場を発生させるように動作可能である、実施態様17に記載の装置。
(19) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、前記カテーテルは、
(i)遠位端と、
(ii)近位端と、
(iii)前記遠位端にある、少なくとも1つの電極と、
(iv)前記遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、
(v)前記少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、
(c)前記本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、前記流体コネクタアセンブリは、
(i)流体コネクタ本体であって、前記流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、前記流体導管の近位端が、前記流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられている、流体コネクタ本体と、
(ii)前記流体導管の前記近位端の周りに同軸上に位置付けられた接地部材であって、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体の前記内部領域と連通しており、その結果、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体を介して前記流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。
(20) 装置であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、ヒト心臓血管系の内腔内に収まる大きさであり、ヒト心臓血管系の内腔内に収まるように構成されており、前記カテーテルは、
(i)遠位端と、
(ii)近位端と、
(iii)前記遠位端にある、少なくとも1つの電極と、
(iv)前記遠位端にある、少なくとも1つの灌注ポートと、
(v)前記少なくとも1つの灌注ポートと流体連通している流体導管と、を含む、カテーテルと、
(c)前記本体から近位に延在する流体コネクタアセンブリであって、前記流体コネクタアセンブリは、
(i)流体コネクタ本体であって、前記流体コネクタ本体は、流体源に関連する相補的コネクタと連結するように構成されており、前記流体導管の近位端が、前記流体コネクタ本体の内部領域内に位置付けられ、前記流体導管の前記近位端及び前記内部領域は、共通軸に沿って同軸上に位置合わせされている、流体コネクタ本体と、
(ii)前記内部領域内に位置付けられた接地部材であって、前記接地部材は、前記共通軸と同軸上に、又は前記共通軸と平行に配向され、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体の前記内部領域と連通しており、その結果、前記接地部材は、前記流体コネクタ本体を介して前記流体導管に連通する流体に電気接地を提供するように構成されている、接地部材と、を備える、流体コネクタアセンブリと、を備える、装置。